JP2555525Y2

JP2555525Y2 - 糞便採取棒用拭取シートおよび糞便採取具

Info

Publication number: JP2555525Y2
Application number: JP11177491U
Authority: JP
Inventors: 章辻; 健一松田
Original assignee: 藤沢薬品工業株式会社; 阪本印刷株式会社
Priority date: 1991-12-20
Filing date: 1991-12-20
Publication date: 1997-11-26
Anticipated expiration: 2006-12-20
Also published as: JPH0555067U

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、臨床検査、特に糞便中
の潜血やウイルスなどを検査するに際して、糞便の採取
を行った糞便採取棒に、上記検査に必要な量の糞便を残
し余剰に付着した糞便を払拭するための糞便採取棒用拭
取シートおよび当該シートと糞便採取棒とを組み合わせ
てなる糞便採取具に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】糞便は尿と同様に無侵襲性検査試料とし
て好適であり、いくつかの検査において試料として汎用
されている。最近ではラテックス凝集反応、ＥＩＡ、Ｒ
ＩＡなどの免疫学的方法による糞便潜血検査が、大腸癌
などの消化器系の癌の一次スクリーニング検査法として
注目されている。通常、この検査では所定量の糞便を採
取し、次いでその糞便を生理食塩水などの液体に懸濁さ
せる必要がある。従来、この作業を行うに際し、先端部
に糞便収納部（たとえば、糞便収納用の溝）が設けられ
た糞便採取棒を糞便に突き刺し、この収納部に定量の糞
便を採取・収納することがなされている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】ところが、従来糞便採
取棒の先端部に余剰に付着した糞便をトイレットペーパ
などで拭き取っていたが、その際にきつく拭い取ると、
糞便収納部に定量収納されていた糞便の一部が拭い取ら
れ、その結果、正確に検査を行えない恐れがある。ま
た、トイレットペーパなどが破れて作業者の手を汚すこ
ともあり、衛生上でも好ましくない。さらには、糞便採
取時に常にトイレットペーパなどが手元にあるとは限ら
ない。

【０００４】この考案は、上記従来の問題点を解決する
ものであり、検査に必要な定量の糞便を糞便採取棒に確
実に、かつ衛生的に採取・収納するために使用される糞
便採取棒用拭取シートを提供することを目的とするもの
である。またこの考案は、検査に必要な定量の糞便を糞
便採取棒に確実に、かつ衛生的に採取・収納できる糞便
採取具を提供することを目的とするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】この考案の糞便採取棒用
拭取シートは、シートを折曲部で折り曲げてシートの二
重構造部を形成し、このシートの二重構造部間に挟んだ
糞便採取棒を、上記二重構造部の上下から押圧しつつ、
二重構造部間を摺動させて、糞便採取棒で採取した余剰
の糞便を払拭除去する糞便採取棒用拭取シートであっ
て、上記シートの折曲部またはその近傍およびシートの
端部近傍に上記糞便採取棒を挿通させるための挿通口が
設けられており、この複数の挿通口は上記糞便採取棒を
各挿通口に摺動可能に挿通できるように構成されている
ことを特徴とする。また、この考案の糞便採取具は、上
記糞便採取棒用拭取シートの各挿通口に、先端部に糞便
収納部が設けられた糞便採取棒が摺動自在に嵌められて
いることを特徴とする。

【０００６】

【作用】この考案の構成の糞便採取棒用拭取シートおよ
び糞便採取具によれば、糞便採取棒の先端部に糞便を採
取し、この糞便採取棒を指などで上下から押圧されたシ
ートの二重構造部間を摺動させると、その二重構造部間
にて、さらにはシートに形成された複数の挿通口を通過
するときに、この挿通口の各縁部にて、上記糞便採取棒
の周囲表面に余剰に付着した糞便が除去される。したが
って、糞便採取棒の先端部に形成される糞便収納部に、
検査に必要な定量の糞便を確実、容易に、かつ手を汚す
ことなく衛生的に採取・収納できる。

【０００７】

【実施例】この考案の一実施例を図面に基づきさらに具
体的に説明する。図１は、糞便採取棒用拭取シートの構
成を示す平面図である。同図において、１はシートで、
糞便採取棒５に採取した糞便の余剰分を払拭するもので
ある。このシート１は、折曲部４を境として折り曲げて
二重構造部Ｘを形成することができる。二重構造部Ｘは
後記図２において明らかにした。図１において、Ｘ₁お
よびＸ₂はそれぞれ二重構造形成用部である。この二重
構造部の幅は、作業者の親指が添えられる程度以上の長
さであれば特に限定されるものではないが、通常３ｃｍ
程度あれば十分である。

【０００８】上記シートの材質、形状などは、この考案
の目的を達成し得るものであれば特に限定されず、また
シートとしては自己支持性のあるもの、いわゆる腰があ
るものを使用することが好ましい。さらに、使用後の処
理を考慮すれば、水洗トイレに直接流すことができる水
溶性の材質を使用することが特に好ましい。さらにま
た、糞便拭取時に糞便がシートの反対面にまで透過して
指を汚すことのない材質のものよりなることが好まし
い。

【０００９】シートの材料としては、具体的には、たと
えば紙、布、不織布、ポリマー等のシートが例示され、
特に水の溶ける紙やポリマーの使用が好ましい。なお、
シート１に予めミシン目や押圧線を形成して、シート１
を脆弱にして折曲し易くした折曲部４を設けることが好
ましい。シート１の大きさは、糞便採取棒の長さや幅に
応じて適宜選択されるが、通常長さが５〜１０ｃｍ、幅
が２〜４ｃｍ程度である。

【００１０】また、上記シート１には挿通口２，３が形
成され、この挿通口２，３に糞便採取棒５を挿通させ
て、摺動可能に固定できるようになっている。上記挿通
口２は、折曲部４またはその近傍に形成され、挿通口３
はシート１の端部近傍に形成され、これらの挿通口２，
３は、糞便採取棒５の断面形状と同様の形状且つ同程度
の大きさの孔をシート１に穿孔して形成されたものであ
る。なお、上記挿通口２，３を上記糞便採取棒５の断面
形状と同様の形状且つ同程度の大きさに形成すると、挿
通口２，３の各縁部にて、糞便採取棒５の先端部に採取
した糞便の余剰分をこの糞便採取棒５の表面から効果的
に払拭でき、また不使用時に糞便採取棒５が挿通口２，
３から脱落しにくいので好ましい。なお、この考案では
上記折曲部４またはその近傍に形成される挿通口２から
シート１の端部側に２以上の複数の挿通口を形成するこ
ともできる。

【００１１】次に上記糞便採取棒用拭取シート１の使用
動作を説明しつつこの考案の糞便採取具の構成について
説明する。図２は、シート１の挿通口２，３に糞便採取
棒５を挿通し、シート１を、ミシン目として形成された
折曲部４にて折り曲げて二重構造部Ｘを形成して、糞便
採取棒用拭取シート１に糞便採取棒５を固定した糞便採
取具Ａの構成を示す平面図である。

【００１２】この考案の糞便採取具Ａに使用される糞便
採取棒５は、糞便を採取後、糞便を保持するための糞便
収納部Ｇがその先端部５ａに設けられており、糞便採取
棒用拭取シート１の挿通口２、３に挿通できるように細
長いへら状であることが好ましい。糞便収納部Ｇは任意
の構造のものでよく、たとえば溝、貫通孔、切欠などが
例示され、好適には溝が例示される。溝の幅や深さは特
に限定されないが、余剰の糞便を拭い取る際に溝部に収
納された糞便が拭い取られないような幅や深さを設定す
ることが好ましい。溝の数は通常１〜１０条、好ましく
は３〜６条程度である。糞便採取棒の材質としては、た
とえばポリスチレン、ＡＢＳ樹脂などの硬質プラスチッ
ク、金属、ガラス、木などが例示される。

【００１３】また、糞便採取棒５は、シート１を二重構
造とした際に、糞便の採取・保持操作および糞便の拭き
取り操作を容易に行えるように、その両端がシート１か
ら出る程度の長さとすることが好ましい。

【００１４】上記糞便採取棒５が装着固定された糞便採
取棒用拭取シート１を、図３で示すように、被検者が一
方の手の指（図示せず）で、たとえば上記シート１の二
重構造部Ｘの上下面を押さえてこの糞便採取棒５を持
ち、この状態で検体の糞便に上記糞便採取棒５を突き刺
した後、糞便採取棒５を糞便から引き抜くと糞便採取棒
５の先端部５ａに糞便Ｆが採取される。

【００１５】ついで、被検者がこの糞便採取棒５の後端
部５ｂを他方の手の指でつまみ、矢印Ｙ方向へ上記糞便
採取棒５を移動させて、シート１の挿通口２、３から糞
便採取棒５を引き抜く。この引き抜き動作によって、糞
便採取棒５の先端部５ａがシート１の挿通口３を通過す
るとき、その周囲表面に付着した糞便Ｆが、挿通口３の
側縁部で掻き取られて除去される。

【００１６】さらに、上記先端部５ａが上記被検者の指
で押圧されたシート１の二重構造部Ｘを摺動的に通過す
るとき、この先端部５ａの上下面に残存する糞便Ｆがシ
ート１で拭い取られ、さらにこの後に通過する挿通口２
を通過するとき、前記挿通口３を通過するときと同様
に、上記先端部５ａに残存する糞便Ｆが、挿通口３の側
縁部で掻き取られて除去される。この結果、糞便採取棒
５の糞便収納部Ｇに、所定量の検査用糞便が収納され
る。このように、糞便採取棒５の糞便収納部Ｇに採取し
た余剰の糞便を、確実に、かつ、衛生的に除去できる。

【００１７】図４は、この考案の他の実施例を示すもの
で、３個所に挿通口を形成した糞便採取棒用拭取シート
の平面図である。なお、図１と同じ個所には同一の符号
を付して、その詳細な説明は省略する。同図において、
図１と相違するところは、挿通口２と挿通口３との間
に、さらに挿通口６を形成したことである。また、折曲
部４を挿通口２の位置とずらして形成したことである。

【００１８】上記構成によれば、糞便採取棒５がシート
１の３個所の挿通口で支持されるので、糞便採取棒５を
より安定的にシート１に固定できるとともに、糞便採取
棒５の先端部５ａが通過する挿通口の数が増えるので、
各挿通口の縁部によって余剰糞便がより確実に除去で
き、また被検者の指でシート１を押圧する力を小さくで
きることも期待される。

【００１９】図５は、この考案のその他の実施例を示す
もので、糞便採取棒用拭取シート１を１枚のシートに連
設した平面図である。なお、図１と同じ個所には同一の
符号を付して、その詳細な説明は省略する。

【００２０】同図において、図１と相違するところは、
糞便採取具用拭取シート１をミシン目７を介して１枚の
シートに連設し、このミシン目７を切り離すと２枚の糞
便採取具用拭取シート１が得られるように構成したとこ
ろである。図５では２連のシート１としたが、任意の数
のシート１を連結してもよい。

【００２１】図５の構成によれば、２連の糞便採取具用
拭取シート１が１枚のシートに連設されているので、検
査の精度を向上させるため糞便の内部および表面部の２
箇所から糞便を採取する場合、検体毎に１枚のシートを
用意し、その使用時に切離してそれぞれを使用すればよ
く便利である。

【００２２】

【考案の効果】この考案によれば、糞便採取棒に採取し
た余剰の糞便を確実かつ衛生的に除去できる。また、糞
便採取棒に形成された糞便収納部に、所定量の検査用糞
便を簡便かつ衛生的な操作によって収納できる。さら
に、糞便採取棒を予め糞便採取棒用拭取シートに固定し
ておいても脱落しにくいので、糞便採取時間の短縮が図
れ作業の効率が向上する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示す糞便採取棒用拭取シー
トの平面図である。

【図２】本考案の糞便採取棒用拭取シートの使用動作お
よび本考案の糞便採取具の構成を示す平面図である。

【図３】本考案の糞便採取棒用拭取シートの使用動作を
示す側面図である。

【図４】本考案の他の実施例を示す糞便採取棒用拭取シ
ートの平面図である。

【図５】本考案のその他の実施例を示す糞便採取棒用拭
取シートの平面図である。

【符号の説明】

１シート２，３挿通口４折曲部５糞便採取棒Ａ糞便採取具Ｇ糞便収納部Ｘ二重構造部

Claims

(57)【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】シートを折曲部で折り曲げてシートの二
重構造部を形成し、このシートの二重構造部間に挟んだ
糞便採取棒を、上記二重構造部の上下から押圧しつつ、
二重構造部間を摺動させて、糞便採取棒で採取した余剰
の糞便を払拭除去する糞便採取棒用拭取シートであっ
て、上記シートの折曲部またはその近傍およびシートの
端部近傍に上記糞便採取棒を挿通させるための挿通口が
設けられており、この複数の挿通口は上記糞便採取棒を
各挿通口に摺動可能に挿通できるように構成されている
ことを特徴とする糞便採取棒用拭取シート。
【請求項２】請求項１記載の糞便採取棒用拭取シート
の各挿通口に、先端部に糞便収納部が設けられた糞便採
取棒が摺動自在に嵌められていることを特徴とする糞便
採取具。