JP2555098Y2 - 硯 - Google Patents

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JP2555098Y2
JP2555098Y2 JP3565792U JP3565792U JP2555098Y2 JP 2555098 Y2 JP2555098 Y2 JP 2555098Y2 JP 3565792 U JP3565792 U JP 3565792U JP 3565792 U JP3565792 U JP 3565792U JP 2555098 Y2 JP2555098 Y2 JP 2555098Y2
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inkstone
metal
powder
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coated powder
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伸生 横内
鶴雄 中山
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Pentel Co Ltd
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は、高濃度の墨液が得ら
れ、且つ、耐摩耗性の良好な硯に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の硯としては、大別して天然硯とプ
ラスチック製の硯とが知られている。具体的には、天然
硯は、天然のねんばん岩を切削加工したものである。一
方、プラスチック製の硯の代表的なものとしては、軟ら
かく且つ粒径の小さい鉱物粒子と硬く且つ粒径の大きい
鉱物粒子を前者が後者よりも多くなる割合で熱硬化性樹
脂に混合し、更に硬質な単繊維を添加した組成物によ
り、その硬質な単繊維の向きが無秩序になるように全体
を一体成形したもの(実開平1ー138796号)が挙
げられる。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】従来の硯は、天然の硯
の場合、資源上の制約があること、プラスチック製の硯
の場合、高濃度の墨液を得難いことと、墨摺り部の耐摩
耗性に劣るという問題がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで本考案は、前記問
題に鑑みなされたもので、その目的とするところは、資
源上の制約を極力排除し、高濃度の墨液を得ることがで
き、且つ、墨摺り部の耐摩耗性が良好な硯を提供するこ
とであり、無機粉体表面に金属又は合金層を形成した金
属被覆粉体を少なくとも墨摺り部に配した硯を要旨とす
るものである。
【0005】添付図面に基づき本考案を説明する。本考
案の硯は、硯1の少なくとも墨摺り部2に金属被覆粉体
3を配したものであって、この金属被覆粉体3は、図2
に模式的に示すように無機粉体4の表面に金属又は合金
層5を形成したものである。最初に、本考案に用いられ
る金属被覆粉体3について説明する。基材となる無機粉
体4としては、アルミノ珪酸塩を含む金属珪酸塩、金属
炭化物、金属酸化物、半金属酸化物、金属窒化物、金属
炭酸塩、金属ハロゲン化物などが挙げられる。これら無
機粉体の外面形状は、球状、無定形繊維状、コイル状な
どが、又、その内面形状は、中実状、中空状、多孔質状
など種々のものが採用可能である。又、その大きさは種
々選定使用可能である。
【0006】又、金属又は合金層5としては、Ni−
P、Ni−B、Co−B、Co−P、Ni、Co、F
e、Ag、Au、Pd、Cr、Rh、Ru、Cd、P
b、Sn、Zn、Zn−Cu、Ni−Co−P、Ni−
W−P、Ni−Fe−P、Co−Fe−P、Co−W−
P等が挙げられる。又、これら金属又は合金層は2層、
3層などに形成してもよいし、金属又は合金にAl 2
3、ZrO 2、SiO 2、TiO 2、TiN、TiC、
SiC、C、MoS 2、WS 2、BN、BaSO 4、C
rB 2、ZrB 2等の酸化物、炭化物、窒化物、ホウ化
物、硫化物などの無機物、PTFE、ABS、PP、P
E、ポリカーボネート、ラテックス等の有機物などを含
んだ複合層としてもよい。
【0007】次に、金属被覆粉体3の製造方法について
述べる。その方法は、無機粉体4を還元性スズ塩により
センシタイジングした後、Pd塩を含む水溶液によるア
クチベーション処理により、表面にPd触媒を付与させ
るか、アミノシランにより無機物質を改質後、PdCl
2を吸着させ、その後無電解めっき法により金属又は合
金層5を形成するものである。
【0008】上記金属被覆粉体3は、少なくとも硯1の
墨摺り部2に配置し使用されるが、その形態を添付図面
に基づき説明する。尚、金属被覆粉体は一種もしくは二
種以上混合して使用するが、その添加量としては、後述
する図1、図3乃至図6、図8に示すように、塗料もし
くは印刷インキに分散する場合、塗料もしくは印刷イン
キに対し5〜80%であり、又、必要に応じAl 2
3、SiO 2、MgO 2、CaO、TiO 2等の酸化物
の粒子、TiN、CrN等の窒化物の粒子などを一種も
しくは二種以上金属被覆粉体に1〜50%程度混合し使
用することもできる。
【0009】図1は、金属被覆粉体3を塗料中に分散
し、これを少なくとも硯1の墨摺り部2に塗布するか、
印刷インキ中に分散し印刷したものである。硯1の材質
としては、アルミニウム又はその合金、真鍮などの銅合
金、鉄、亜鉛合金などの金属、ABS、PE、PS、P
VC、AS、PMMA、PP、PC、PA、POM、P
PO、PBT、PPS等の熱可塑性樹脂、フェノール樹
脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂などの熱硬化性樹脂など
の樹脂、石材、木材、ガラスなどが用いられる。金属被
覆粉体3を分散する塗料としては、アクリル系樹脂、メ
ラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、
アクリルーメラミン樹脂、エポキシ系樹脂、フッ素系樹
脂、シリコン系樹脂などの樹脂塗料が用いられる。又、
印刷インキとしては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹
脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂などの印刷イ
ンキが用いられる。尚、本例の場合には、硯1の墨摺り
部2に金属被覆粉体3を分散した塗料又は印刷インキに
よる皮膜6を形成することとなるが、皮膜6は図1に示
すように、墨摺り部2の全面に施してもよいし、図3乃
至図6に示すように模様状に形成してもよい。
【0010】図7は、硯1の中に金属被覆粉体3を分散
させることにより、墨摺り部2に金属被覆粉体3を配し
たものである。本例の場合、硯1の材質としては、図1
の例において述べた熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂が使用
され、この中に金属被覆粉体3を分散し樹脂成形によっ
て得られるが、金属被覆粉体3が特に墨摺り部2により
多く配置するよう成形されるのが好ましい。
【0011】図8は、硯1の墨摺り部2に、プレート7
の表面に図1の例と同様に塗料を塗布もしくは印刷イン
キを印刷したプレートを接着したものである。本例の場
合、硯1の材質としては、図1の例と同じであり、プレ
ート7の表面に図1の例と同様に塗料もしくは印刷イン
キの皮膜6を形成し、このプレート7を皮膜6が上面と
なるように硯1の墨摺り部に接着するものである。尚、
硯の墨摺り部に凹みを形成し、この凹みに前記処理をし
たプレートを嵌め込むようにしてもよい。よって、本例
の場合は、プレート7の皮膜6が墨摺り部となる。
【0012】
【作用】本考案の硯は、無機−金属よりなる複合粉体を
使用することにより、粉体の表面の硬度、インキ又は塗
料樹脂や硯の材質の一つである樹脂と、複合粉体との界
面での接着性が高い為、塗膜などの強度が向上すること
などの理由により高濃度の墨液が得られ、且つ、良好な
耐摩耗性が得られるものと推測される。
【0013】(製造例1) (1)金属被覆粉体の作成 日本ユニカー(株)製アミノシランA−1100を、
水:メタノールの重量比で9:1の混合溶液に0.5w
t/wt%溶解した溶液に、平均粒子径5μmの無定形
α−Al 23を分散し、4時間室温で放置し、α−A
23表面をアミノシランで改質した。これを濾過
し、100℃、1時間乾燥後、PdCl 2を吸着させ
た。これを濾過し、水洗後、塩化ニッケル30g/l、
次亜リン酸ナトリウム10g/l、ヒドロキシ酢酸ナト
リウム50g/l、pH5の無電解めっき液に分散し、
80℃、10分間処理することにより、アルミナ粉体を
Ni−Pで被覆した粉体を得た。 (2)硯の作成 セビアン(ダイセル化学工業(株)製、ABS樹脂)を
使用して射出成形により硯体を形成した。NEWアクロ
タンZ(田辺化学工業(株)製、アクリル系塗料)に上
記金属被覆粉体を40重量%(塗料の固形分に対し)添
加混合し、この混合物:硬化剤:溶剤を100:20:
50の比で混合し、上記硯体の墨摺り部にスプレーによ
り塗布し、80℃、30分間熱処理することにより、A
BS上に金属被覆粉体を分散した80μの塗膜を形成し
た硯を得た。
【0014】(製造例2) セビアン(ダイセル化学工業(株)製、ABS樹脂)に
製造例1の金属被覆粉体を45%混合し射出成形し硯を
得た。
【0015】(製造例3) (1)金属被覆粉体の作成 無機粉体として触媒化成工業(株)製シリカマイクロビ
ーズP−1500、平均粒子径15μmを、塩化第一ス
ズ15g/l、HCl(35.5%)20ml/lに分
散し10分間処理後、濾過し水洗した。次にPdCl 2
0.5g/lに分散しPdを吸着させ、濾過し水洗し
た。その後これを、塩化ニッケル30g/l、エチレン
ジアミン60g/l、水酸化ナトリウム40g/l、水
素化ホウ素ナトリウム0.5g/l、フッ化ナトリウム
3g/l、塩化鉛0.2%溶液30ml/lよりなる無
電解めっき液に、90℃、30分間分散処理することに
より、Ni−Bで被覆したシリカ粉体を得た。 (2)硯の作成 JIS A1100材のアルミニウム材を用い、金型プ
レス加工により硯体を形成した。次に前処理としてNa
OH5%溶液を用い50℃で脱脂した後、30%HNO
3 にて中和後H2SO4150g/l、20℃、1.3A
/dm2 、20分間処理することにより硯体の表面にア
ルマイトを形成した。その後上記金属被覆粉体をユニパ
ール(大橋化学工業(株)製、アクリル系塗料)に50
重量%添加(塗料の固形分に対し)し、これに富士デヴ
ィソン(株)製サイロイド63(シリカ粒子、平均粒子
径6.0μm)を15%混合した。この混合液を上記硯
体の墨摺り部にスプレーにより塗布し、180℃、30
分間熱処理することにより、金属被覆粉体を分散した5
0μの塗膜を形成した硯を得た。
【0016】(製造例4) (1)金属被覆粉体の作成 製造例3で使用したNi−B被覆粉体を、日本エンゲル
ハンド社製の無電解めっき液アトメックスを10倍に希
釈した金めっき液に分散し、90℃、5分間処理するこ
とにより金めっきした粉体を得た。 (2)硯の作成 セイコー1000番(セイコーアドバンス(株)製、エ
ポキシ系スクリーン印刷インキ、黒メジウム)に、上記
金属被覆粉体を40%、硬質シリカ((株)マイクロン
製)を20%混合した混合液を、製造例1と同様の硯体
の墨摺り部に、スクリーンメッシュ100メッシュを使
用し50μの印刷層を形成し、80℃、60分間乾燥し
硯を得た。
【0017】(比較例) 軟らかく、且つ、平均粒子径1.0μmの炭酸カルシウ
ムと、硬く、且つ、平均粒子径12μmの珪石と、硬質
な単繊維(ドナカーボS210、大日本インキ化学工業
(株)、カーボン繊維)と、ポリエステル樹脂及び硬化
剤を以下の割合で混合し、射出成形によって硯を得た。
【0018】
【考案の効果】製造例1乃至4の本考案の硯は、比較例
に比し、高濃度の墨液が得られ、又、墨摺り部の耐摩耗
性も優れていた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の硯の実施例を示す斜視図である。
【図2】本考案に使用する金属被覆粉体の実施例を模式
的に示した図である。
【図3】本考案の硯の他の実施例を示す斜視図である。
【図4】本考案の硯の他の実施例を示す斜視図である。
【図5】本考案の硯の他の実施例を示す斜視図である。
【図6】本考案の硯の他の実施例を示す斜視図である。
【図7】本考案の硯の他の実施例を示す斜視図である。
【図8】本考案の硯の他の実施例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 硯 2 墨摺り部 3 金属被覆粉体 4 樹脂粉体 5 金属又は合金層 6 皮膜 7 プレート

Claims (1)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無機粉体表面に金属又は合金層を形成し
    た金属被覆粉体を少なくとも墨摺り部に配した硯。
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