JP2554767Y2 - 横型射出成形機用金型搬送兼クランプ装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、横型射出成形機用金型
搬送兼クランプ装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】射出成形機の金型を金型固定盤に金型を
クランプするクランプ装置として、例えば、実開昭４８
−４４０７３号公報、特公昭５２−３０３７１号公報、
実公昭５８−５４９９０号公報に記載のように種々のク
ランプ装置が実用に供されている。横型の射出成形機で
は、縦向きの金型固定盤が設けられ、その金型固定盤の
左右両側部分にクランプ装置が設けられ、金型の交換時
には、天井クレーンを用いて金型の交換を行うのが普通
であるが、クレーンにより金型交換を行うと、金型交換
の作業能率が低下する。そこで、横型の射出成形機の前
側又は後側に成形機に対して金型を水平方向に搬送する
金型搬送装置を設け、成形機の盤面の下部にも金型を水
平方向に搬送可能に支持する複数の遊転ローラや摺動面
等を設ける場合もある。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】前記のように、金型搬
送装置及び複数の遊転ローラや摺動面等を設ける場合、
金型を盤面に固定するクランプ装置として、盤面の下部
に１対のクランプ装置を、また、盤面の上部に１対のク
ランプ装置を設け、かつ盤面の下部に金型に係合して金
型をセンタリングするセンタリング装置を設けることが
多い。

【０００４】このように、盤面の下部に、複数の遊転ロ
ーラ、１対のクランプ装置、センタリング装置を夫々独
立の装置として装着するため、装着の為の盤面のボルト
穴が不足し、所期の位置に装着できずにレイアウト的に
制約を受けたり、盤面にボルト穴を形成することが必要
になったり、装置の設計変更が必要になったりするとい
う問題がある。しかも、それらの装置の製作コストが全
体として非常に高価になるという問題もある。

【０００５】本考案の目的は、簡単な構造で安価に製作
でき、盤面に容易に装置できるような横型射出成形機の
金型搬送兼クランプ装置を提供することである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】請求項１の横型射出成形
機用金型搬送兼クランプ装置は、横型射出成形機の金型
固定盤の盤面に金型を固定する装置において、前記金型
固定盤の下部の盤面上に配置され、底面が盤面に当接す
るクランプ本体と、前記クランプ本体を、盤面に形成さ
れた複数のボルト穴を介して盤面に固定する複数のボル
トと、前記クランプ本体の上端部に形成され、金型の下
端部が入る収容間隙を空けて盤面に対向する出力部と、
前記出力部内に夫々盤面と直交状に装着され、ピストン
ロッドを盤面の方へ進出駆動可能で水平方向に１列状に
配置された複数の油圧シリンダと、収容間隙の下端部に
臨むようにクランプ本体に水平方向に１列状に付設さ
れ、盤面と直交する枢支軸に支持された複数の遊転ロー
ラとを備えたものである。

【０００７】請求項２の横型射出成形機用金型搬送兼ク
ランプ装置は、請求項１の装置において、クランプ本体
に、前記収容間隙に進出して金型の係合部に係合する係
合位置とこの係合位置から下方へ退いた非係合位置とに
切り換え自在の係合部材と、クランプ本体内に設けられ
係合部材を進退駆動する油圧シリンダとを備えたセンタ
リング装置を設けたものである。

【０００８】

【考案の作用及び効果】請求項１の横型射出成形機用金
型搬送兼クランプ装置においては、クランプ本体を盤面
に固定した状態において、複数の油圧シリンダをクラン
プ駆動しない状態では、搬送される金型の下端部が複数
の遊転ローラで移動自在に支持され、また、金型が所定
位置に停止した状態において、クランプ本体の上端部の
出力部に設けた複数の油圧シリンダに油圧を供給してク
ランプ駆動すると、それら油圧シリンダのピストンロッ
ドが盤面の方へ進出して金型の下端部を盤面に固定す
る。このようにクランプ装置のクランプ本体に複数の遊
転ローラを設けた構成としたので、金型搬送兼クランプ
装置を盤面に容易に且つ盤面の数個のボルト穴を介して
装着でき、装置の構成を全体として簡単化できるため製
作コストを著しく低減でき、複数の油圧シリンダにより
金型の下部を強力に固定できる。

【０００９】請求項２の横型射出成形機用金型搬送兼ク
ランプ装置においては、金型を盤面に搬入後、センタリ
ング装置の油圧シリンダにより、係合部材を進出駆動し
て金型の係合部に係合させると、金型が所定位置にセン
タリング（金型センターを盤面のセンターに一致させる
こと）できる。前記センタリング装置をクランプ本体に
設けたため、センタリング装置を別個に盤面に装着する
必要がなく、センタリング装置を別個独立に製作する必
要がなくなるため、製作コストを一層低減できる。

【００１０】

【実施例】以下、本考案の実施例について図面に基いて
説明する。本実施例は、横型射出成形機の金型固定盤
に、金型を搬送し金型の下端部を固定する為の金型搬送
兼クランプ装置に本考案を適用した場合の例である。図
１、図２に示すように、横型射出成形機１の鉛直状の１
対の金型固定盤２の盤面３間に金型４を水平方向に搬出
入するため、成形機１の前側（又は後側）には、水平な
搬送ローラコンベア５を備えた金型搬送台車６が設けら
れ、１対の金型固定盤１の前端部に夫々張り出した張出
し部材７と、両金型固定盤２の盤面３には、複数の遊転
ローラ８，９が設けられている。両金型固定盤２の盤面
３の上部には、クランプ装置１０が夫々設けられ、ま
た、両金型固定盤２の盤面３の下部には、金型搬送兼ク
ランプ装置５０が夫々設けられている。

【００１１】前記クランプ装置１０の構造について、図
３〜図５に基いて説明する。クランプ本体１１は、前後
に細長い矩形状の厚板状の金属部材で構成され、クラン
プ本体１１は、その底面の全域が盤面３に面接触する状
態に盤面３上に配置される。前記クランプ本体１１の下
端部には、金型４の上端部の被固定部４ａが入る収容間
隙２１を空けて盤面２に対向する出力部１２が形成され
ている。前記クランプ本体１１の前部と後部において、
クランプ本体１１の上下方向の途中部には、上下方向に
細長い４つのガイド孔１３が並列状に形成されている。
前記ガイド孔１３は、頂端開放の断面Ｔ字状に形成さ
れ、ガイド孔１３は、狭幅孔部１４と広幅孔部１５とか
らなり、広幅孔部１５の底部には段部１６が形成されて
いる。

【００１２】各ガイド孔１３には、筒部１８とそのトッ
プの鍔部１９とからなる鍔付きブッシュ１７が挿入さ
れ、筒部１８は狭幅孔部１４にまた鍔部１９は広幅孔部
１５の奥部に夫々配置され、筒部１８は、狭幅孔部１４
の盤面直交方向長さよりも僅かに長く形成されている。
各鍔付きブッシュ１７にはボルト２０が外方より挿通さ
れ、ボルト２０の先端部は盤面３のボルト穴４に螺合さ
れ、各鍔付きブッシュ１７は、鍔部１９と段部１６間に
僅かの隙間を空けた状態で、鍔付きブッシュ１７に挿通
されたボルト２０により盤面３に固定されている。従っ
て、クランプ本体１１は、ガイド孔１３が許容する範囲
内において、上下方向には移動可能であるが、４つの鍔
付きブッシュ１７の４つの鍔部１９により、盤面３から
浮上しないように係止されている。尚、各ボルト２０の
頭部２０ａは広幅孔部１５内に収容されている。

【００１３】前記出力部１２には、前後方向に１列状に
配置した８つの油圧シリンダ３０が盤面２と直交する方
向に向けて設けられている。各油圧シリンダ３０に関し
て、クランプ本体１１に形成したシリンダ穴の底部を環
状部材３１で塞ぐことでシリンダ室が形成され、シリン
ダ室にはピストン３２が収容され、ピストン３２から盤
面３側へ延びたピストンロッド３３は、環状部材３１の
ロッド孔を挿通しており、ピストンロッド３３は、出力
部１２から盤面３の方へ進出可能に構成され、シリンダ
室のうち、ピストン３２の頂部側には油室３４が形成さ
れ、また、ピストン３２の盤面３側にはエア室３５が形
成されている。

【００１４】前記８つの油圧シリンダ３０の油室３４に
油圧を供給する為、クランプ本体１１の後端部の油圧供
給ポートから８つの油室３４の頂部に連通する油路３６
がストレートに形成され、油圧供給ポートには油圧供給
装置（図示略）から延びた油圧ホース３７が接続され
る。前記８つの油圧シリンダ３０のエア室３５に加圧エ
アを供給する為、クランプ本体１１の後端部のエア供給
ポートから８つのエア室３５に連通するエア通路３８が
ストレートに形成され、エア供給ポートには、加圧エア
供給装置（図示略）から延びたエアホース３９が接続さ
れる。但し、エア室３５を油室に構成して油圧を供給す
るように構成してもよく、また、エア室３５に復帰スプ
リングを装着して、ピストン５７をスプリングで復帰作
動させるように構成してもよい。

【００１５】更に、クランプ装置１０のクランプ本体１
１の中央部の内部に、上下方向向きの複動油圧シリンダ
４０が設けられ、そのピストンロッド４１がクランプ本
体１１の上端部よりも上方まで突出され、固定金具４２
が盤面３に固定され、この固定金具４２にピストンロッ
ド４１が連結されている。前記油圧シリンダ４０へは油
圧供給装置（図示略）から延びた油圧ホース４３，４４
が接続されている。クランプ解除状態において、油圧シ
リンダ４０により、クランプ装置１０を上下方向に移動
させて位置切り換えすることができる。このように構成
すると、クランプ駆動、クランプ解除、クランプ装置１
０の位置切り換えを油圧供給装置を介して遠隔操作でき
るようになる。

【００１６】次に、金型搬送兼クランプ装置５０につい
て、図４と図５に基いて説明する。金型搬送兼クランプ
装置５０のクランプ本体５１は、前記クランプ本体１１
と略同様に前後方向に長い矩形状の厚板部材で構成さ
れ、このクランプ本体５１は、盤面３と直交状にクラン
プ本体５１に挿通させた例えば８つのボルト５２を盤面
３のボルト穴３ｂに夫々螺合することにより、盤面３に
強力に固定されている。前記クランプ本体５１の上端部
には、金型４の下端部の被固定部４ａが入る収容間隙５
３を空けて盤面３に対向する出力部５４が形成されてい
る。この出力部５４には、前後方向に１列状に配置した
８つの油圧シリンダ５５が盤面３と直交する方向に向け
て設けられている。

【００１７】各油圧シリンダ５５に関して、クランプ本
体５１に形成したシリンダ穴の底部を環状部材５６で塞
ぐことでシリンダ室が形成され、シリンダ室にはピスト
ン５７が収容され、ピストン５７から盤面３側へ延びた
ピストンロッド５８は、環状部材５６のロッド孔を挿通
しており、ピストンロッド５８は、出力部５４から盤面
３の方へ進出可能に構成され、シリンダ室のうち、ピス
トン５７の頂部側には油室５９が形成され、また、ピス
トン５８の盤面３側にはエア室６０が形成されている。

【００１８】前記８つの油圧シリンダ５５の油室５９に
油圧を供給する為、クランプ本体５１の後端部の油圧供
給ポートから８つの油室５９の頂部に連通する油路６１
がストレートに形成され、油圧供給ポートには、油圧供
給装置（図示略）から延びた油圧ホース６２が接続され
る。前記８つの油圧シリンダ５５のエア室６０に加圧エ
アを供給する為、クランプ本体５１の後端部のエア供給
ポートから８つのエア室６０に連通するエア通路６３が
ストレートに形成され、エア供給ポートには、加圧エア
供給装置（図示略）から延びたエアホース６４が接続さ
れる。但し、エア室６０を油室に構成して油圧を供給す
るように構成してもよく、また、エア室６０に復帰スプ
リングを装着し、ピストン５７をスプリングで復帰作動
させるように構成してもよい。

【００１９】前記収容間隙５３の下側において、クラン
プ本体５１には、収容間隙５３に頂部が突出する８つの
遊転ローラ６５が水平方向に１列状に設けられ、これら
遊転ローラ６５の各々は、盤面３に直交する枢支ボルト
６６（枢支軸に相当する）と、その枢支ボルト６６に外
嵌された軸受けスリーブ６７によりクランプ本体５１に
回転自在に枢支され、これら遊転ローラ６５の搬送面
は、前記搬送ローラコンベア５の搬送面と同レベルに設
定されている。

【００２０】更に、クランプ本体５１の前後方向中央部
には、金型４を盤面３に対してセンタリングする為のセ
ンタリング装置７０が設けられている。このセンタリン
グ装置７０について説明すると、クランプ本体５１の前
後方向中央部の内部には、盤面３のセンターに対応する
ように、縦向きの複動油圧シリンダ７１が設けられ、そ
のピストンロッド７２の上端部には、金型４の被固定部
４ａの前後方向中央に形成された切欠き状の係合部４ｂ
に係合する係合位置と下降した非係合位置とに昇降可能
な係合部材７３が固定され、油圧シリンダ７１には、油
圧供給装置（図示略）から延びた油圧ホース７４，７５
が接続される。

【００２１】以上説明したクランプ装置１０及び金型搬
送兼クランプ装置５０の作用について説明する。前記金
型搬送台車６上の金型４を射出成形機１の１対の金型固
定盤２間に搬入して盤面３に固定する場合、クランプ装
置１０は、上方へ退避した退避位置に保持されており、
クランプ装置１０の油圧シリンダ３０及び金型搬送兼ク
ランプ装置５０の油圧シリンダ５５は、クランプ解除状
態に保持されている。金型４はローラコンベア５と遊転
ローラ８，９上を移動して金型搬送兼クランプ装置５０
上へ移動し、複数の遊転ローラ６５で支持されて移動
し、盤面３の後端側のストッパー２５で受け止められ停
止する。

【００２２】次に、センタリング装置７０の油圧シリン
ダ７１に油圧ホース７４から油圧が供給されると、係合
部材７３が上昇して金型４の係合部４ｂに係合し、金型
４は係合部材７３と係合部４ｂとの係合を介してセンタ
リングされる。この状態において、金型４の下端部の被
固定部４ｂが、出力部５４と盤面３間に位置した状態と
なる。次に、クランプ装置１０の油圧シリンダ４０に油
圧ホース４４から油圧を供給してクランプ装置１０が下
降すると、金型４の上端部が、出力部１２と盤面３間に
位置した状態となる。

【００２３】次に、クランプ装置１０の出力部１２の複
数の油圧シリンダ３０に油圧を供給するとともに、金型
搬送兼クランプ装置５０の出力部５４の複数の油圧シリ
ンダ５５に油圧を供給すると、金型４の上端部の被固定
部４ａが複数の油圧シリンダ３０のピストンロッド３３
により盤面３に固定され、また、金型４の下端部の被固
定部４ａが複数の油圧シリンダ５５のピストンロッド５
８により盤面３に固定される。前記と反対に使用済みの
金型４を成形機１外へ搬出する場合には、クランプ装置
１０と金型搬送兼クランプ装置５０をクランプ解除状態
とし、クランプ装置１０を退避位置へ切り換え、センタ
リング装置７０の係合を解除してから、金型４を前方へ
搬送することになる。

【００２４】以上説明したように、金型搬送兼クランプ
装置５０は、クランプ本体５１に、金型４を搬送する搬
送機構と、金型４をクランプするクランプ機構と、金型
４をセンタリングするセンタリング機構とをユニット化
した構成であるため、これらの諸機構を盤面３に簡単に
装着でき、レイアウト的な制約なしに装着でき、装置の
全体構造もシンプルとなって製作コストが低減する。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施例に係る横型射出成形機の金型固定盤とク
ランプ装置と金型搬送兼クランプ装置等を示す図であ
る。

【図２】図１のクランプ装置の側面図である。

【図３】図２の３−３線断面図である。

【図４】図１の４−４線拡大断面図である。

【図５】図１の５−５線拡大断面図である。

【符号の説明】

１ 横型射出成形機 ２ 金型固定盤 ３ 盤面 ３ｂ ボルト穴 ４ 金型 ４ｂ 係合部 ５０ 金型搬送兼クランプ装置 ５１ クランプ本体 ５２ ボルト ５３ 収容間隙 ５４ 出力部 ５５ 油圧シリンダ ６５ 遊転ローラ ６６ 枢支ボルト ７０ センタリング装置 ７１ 油圧シリンダ ７３ 係合部材

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 横型射出成形機の金型固定盤の盤面に金
   型を固定する装置において、 前記金型固定盤の下部の盤面上に配置され、底面が盤面
   に当接するクランプ本体と、 前記クランプ本体を、盤面に形成された複数のボルト穴
   を介して盤面に固定する複数のボルトと、 前記クランプ本体の上端部に形成され、金型の下端部が
   入る収容間隙を空けて盤面に対向する出力部と、 前記出力部内に夫々盤面と直交状に装着され、ピストン
   ロッドを盤面の方へ進出駆動可能で水平方向に１列状に
   配置された複数の油圧シリンダと、 前記収容間隙の下端部に臨むようにクランプ本体に水平
   方向に１列状に付設され、盤面と直交する枢支軸に支持
   された複数の遊転ローラと、 を備えたことを特徴とする横型射出成形機用金型搬送兼
   クランプ装置。
2. 【請求項２】 クランプ本体に、前記収容間隙に進出し
   て金型の係合部に係合する係合位置とこの係合位置から
   下方へ退いた非係合位置とに切り換え自在の係合部材
   と、クランプ本体内に設けられ係合部材を進退駆動する
   油圧シリンダとを備えたセンタリング装置を設けたこと
   を特徴とする請求項１に記載の横型射出成形機用金型搬
   送兼クランプ装置。