JP2553569B2 - 焦電型赤外線アレイセンサ - Google Patents

焦電型赤外線アレイセンサ

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JP2553569B2
JP2553569B2 JP62170252A JP17025287A JP2553569B2 JP 2553569 B2 JP2553569 B2 JP 2553569B2 JP 62170252 A JP62170252 A JP 62170252A JP 17025287 A JP17025287 A JP 17025287A JP 2553569 B2 JP2553569 B2 JP 2553569B2
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pyroelectric
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infrared array
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良一 高山
佳宏 富田
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、焦電薄膜を用いた焦電型赤外線アレイセン
サに関するものである。
[従来の技術] 焦電型赤外線検出器は熱型の赤外線検出器で、常温動
作が可能で、感度の波長依存性が小さく、熱型検出器の
なかでは高感度である。
焦電型検出器に使用されている材料としては、TGS系
・LiTaO3系等の単結晶、PbTiO3系・PbxZr1 - XTiO3系のセ
ラミック、PVF2系等の有機膜等がある。
PbTiO3は、焦電材料の性能指数であるFv(=γ/εC
v)及び が高い。ここで、γは焦電係数、εは誘電率、Cvは体積
比熱、dは厚さである。また、PbTiO3は、焦電係数の温
度変化が小さく、キュリー点が十分高い等の特長を有し
ている。
焦電型検出器には、PbTiO3磁気が用いられる場合が多
い。PbTiO3磁器は多結晶で、結晶軸の配列に方向性が無
いため、自発分極Psもランダンムに配列している。焦電
材料は自発分極Psの変化を出力として取り出すため、自
発分極Psが一方向に揃っているときに、最大出力が得ら
れる。そこで、PbTiO3磁器には高電界を印加して自発分
極Psの向きを揃える分極処理が必要となる。
また、C軸配向したPbTiO3薄膜の配向軸方向に発生す
る焦電気を利用した場合には、C軸方向の誘電率が低下
し、焦電係数が増大するので、PbTiO3磁器の約3倍のFv
を示す高感度焦電材料を実現することができることがで
きる(第30回応用物理学関係連合講演予縞集7P−z−
2)。
赤外線アレイセンサは、光学系との関係で空間分解能
を良くするために、微細な配列にすることが望ましい。
[発明が解決しようとする問題点] 焦電材料の厚さが薄くなるほど、雑音が小さくなり、
検出能:D*は増大する。PhTiO3磁器でアレイを構成する
場合、磁器の薄膜化には限界があり、厚さを薄くしてD
*を向上させることには限界がある。また、各エレメン
ト間のクロストークが大きくなり、空間分解能が低下す
る。そのため、各エレメントを分離することが必要とな
る。面積を小さくすると電気容量が小さくなるため、外
部からの静電容量、浮遊容量の点から小型化も困難とな
る。
さらに、焦電材料に分極処理を施すとき、次のような
問題点が生じる。
(1)分極処理によって絶縁破壊が生じる場合がある。
(2)高密度に配列している高分解能アレイ素子では、
それらを均一に分極することが困難である。
(3)半導体デバイス上に焦電薄膜を形成した集積化デ
バイスでは、分極処理そのものが不可能な場合がある。
一方、焦電薄膜はスパッタリングなどにより高温で作
製されるため、基板との熱膨張の違いによる熱応力が生
じる。感度を向上させるために焦電薄膜と接した基板の
一部を除去する構造では、この熱応力によって焦電薄膜
の割れが生じる。また、これらの焦電薄膜は圧電体であ
るため、振動や音による雑音にも生じる。
本発明は、従来技術における前記課題を解決すること
のできる焦電型赤外線アレイセンサを提供することを目
的とするものである。
[問題点を解決するための手段] 前記目的を達成するため、本発明に係る焦電型赤外線
アレイセンサの構成は、基板と、前記基板上に形成され
た連続した焦電薄膜と、前記焦電薄膜上に形成された複
数の分離した電極薄膜群と、前記焦電薄膜及び前記電極
薄膜群を被覆する有機薄膜と、赤外線受光部に相当する
基板の一部を除去して形成した開口部に設けられた第2
の電極薄膜とを備えたことを特徴とする。
[作用] 前記本発明の構成によれば、焦電薄膜を分離しなくて
も低クロストロークを実現し感度を向上させることがで
きるので、センサの高密度化を容易に図ることができる
と共に、熱応力による焦電薄膜の剥がれ・割れを防止す
ることができる。また、有機薄膜を用いることにより、
センサ部の機械的Qを低減することができるので、振動
・音による雑音を制御することができる。さらに、自発
分極Psが既に揃った自然分極を有し高性能指数を示す焦
電薄膜を用いることにより、分極処理を行う必要がない
ので、歩留まり良く、高性能な焦電型赤外線アレイセン
サを実現することができる。
[実施例] 以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明す
る。
第1図(A)は本発明に係る焦電型赤外線アレイセン
サの一実施例を示す平面図、第1図(B)は第1図
(A)のA−A′断面図である。第1図に示すように、
(100)でへき開し鏡面研磨したMgO単結晶基板1上に、
高周波マグネトロンスパッタ法で絶縁薄膜2としてTi酸
化物を形成した。絶縁薄膜2の上に、高周波マグネトロ
ンスパッタ法で焦電薄膜3としてPb1-XLaxTi1−0.75xO
3(PLT)を4μm成長させた。雰囲気ガスには、ArとO2
の混合ガスを用い、スパッタリングターゲットには、 {(1−Y)Pb1-xLaxTi1−0.75xO3+Y・PbO} の粉末を用いた。(表1)に、スパッタリング条件を示
す。
次に、この焦電薄膜3上に厚さ約0.1μmの複数のNiC
r電極薄膜4を蒸着によって形成した。
NiCr電極薄膜4は、フォトグラフィの手法によりアレ
イのピッチに合わせて格子状に分離、配列されている。
次に、MgO単結晶基板1上に、焦電薄膜3及びNiCr電
極薄膜4を被覆するように有機薄膜5を形成した。有機
薄膜5は感光性ポリイミド系樹脂をスピンナーで塗布
し、紫外線に照射した後に200℃で熱処理したものであ
る。膜厚は3.5μmであった。NiCr電極薄膜4上の一部
にはコンタクトホール6を設け、NiCr電極薄膜4を取り
出し電極7と接触させた。
さらに、焦電薄膜3の直下のMgO単結晶基板1の部分
を熱濃燐酸によってエッチングし、開口部8を設けた。
また、開口部8を通して焦電薄膜3のMgO単結晶基板1
側にNiCr電極薄膜9を蒸着によって形成した。このと
き、エッチング幅を焦電薄膜3の幅によりも大きくし、
焦電薄膜3が絶縁薄膜2を介してMgO単結晶基板1に支
持された構成を採っている。
焦電薄膜3は、600℃近傍の温度でMgO単結晶基板1上
に形成されるため、焦電薄膜3とMgO単結晶基板1との
熱膨張係数の違いにより、焦電薄膜3には大きな熱応力
が生じる。しかし、上記のような構成を採用すれば、絶
縁薄膜2と有機薄膜5がこの熱応力を緩和することにな
るので、焦電薄膜3の剥がれや割れは防止される。有機
薄膜5として、ポリイミド系、エポキシ系、シリコーン
系等の樹脂を用いたが、ポリイミド系を採用した場合
に、焦電薄膜3の剥がれや割れ及び樹脂のクラックは皆
無となった。これは、ある程度の伸張性と大きな引っ張
り強度によるものと考えられる。
PLT焦電薄膜の分極軸の75%以上が一方向に配向して
いるとき、焦電係数:γは5×10-8C/cm2Kとなった。こ
の値は、200℃で100kV/cm印加して分極処理を行ったPbT
iO3セラミックス(γ=1.8×10-8C/cm2K)と比べてかな
り大きい。配向率90%の場合、焦電係数:γは6.8×10
-8C/cm2Kである。また、分極処理後の値と比べ殆ど変わ
らないばかりでなく、配向率が小さい場合の分極後の値
よりも大きい。誘電率は、配向率90%の場合、セラミッ
クスとほぼ同等の値で約200である。
このように、本実施例で用いたPLT焦電薄膜では、薄
膜形成時に十分にc軸に配向していれば、分極処理を行
わなくても自発分極が揃っており、特に配向率75%以上
の薄膜でその効果が大きいことが明らかになった。
また、焦電材料としての性能指数であるFv(=γ/ε
Cv)の値も大きくなる。200℃で10分間100kV/cm印加し
て分極処理を行ったPbTiO3セラミックスの値と比較し
て、PLT焦電薄膜は3倍強の値を示した。
尚、絶縁薄膜の膜厚が薄いとき、PLT焦電薄膜の配向
率はほとんど低下しなかった。
焦電型赤外線アレイセンサとしての特性も、材料性能
指数のアップ及び各エレメント間の熱拡散を小さくした
構成により大幅に向上した。第2図に示すように、焦電
薄膜の両端で基板に接触しているセンサと比較して、感
度及び検出能D*は5倍以上増大した。また、クロスト
ークもセラミックス焦電アレイセンサと比較して半減し
た。また、振動・音波によるセンサの出力電圧も著しく
低下した。さらに、焦電薄膜の剥がれ・割れがなくなっ
た。
以上述べたように、本発明の焦電型赤外線アレイセン
サは、MgO単結晶基板への熱拡散を抑制して高感度・低
クロストークを実現することができる。
[発明の効果] 本発明に係る焦電型赤外線アレイセンサによれば、焦
電薄膜を分離しなくても低クロストロークを実現し感度
を向上させることができるので、センサの高密度化を容
易に図ることができると共に、熱応力による焦電薄膜の
剥れが・割れを防止することができる。また、有機薄膜
を用いることにより、センサ部の機械的Qを低減するこ
とができるので、振動・音による雑音を制御することが
できる。さらに、自発分極Psが既に揃った自然分極を有
し高性能指数を示す焦電薄膜を用いることにより、分極
処理を行う必要がないので、歩留まり良く、高性能な焦
電型赤外線アレイセンサを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図(A)は本発明ち係る焦電型赤外線アレイセンサ
の一実施例を示す平面図、第1図(B)は第1図(A)
のA−A′断面図、第2図は本発明に係る焦電型赤外線
アレイセンサの一実施例における検出能D*を示す図で
ある。 1……MgO単結晶基板、2……絶縁薄膜 3……焦電薄膜、4……電極薄膜 5……有機薄膜、6……コンタクトホール 7……取り出し電極、8……開口部 9……第2の電極薄膜。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板と、前記基板上に形成された連続した
    焦電薄膜と、前記焦電薄膜上に形成された複数の分離し
    た電極薄膜群と、前記焦電薄膜及び前記電極薄膜群を被
    覆する有機薄膜と、赤外線受光部を相当する基板の一部
    を除去して形成した開口部に設けられた第2の電極薄膜
    とを備えたことを特徴とする焦電型赤外線アレイセン
    サ。
  2. 【請求項2】基板と焦電薄膜との間に無機絶縁薄膜が形
    成され、第2の電極薄膜が前記無機絶縁薄膜の基板側の
    面に形成された特許請求の範囲第1項に記載の焦電型赤
    外線アレイセンサ。
  3. 【請求項3】焦電薄膜の直下の基板の部分が除去され、
    前記焦電薄膜が無機絶縁薄膜を介して前記基板に支持さ
    れている特許請求の範囲第1項に記載の焦電型赤外線ア
    レイセンサ。
  4. 【請求項4】有機薄膜がポリイミド系樹脂である特許請
    求の範囲第1項に記載の焦電型赤外線アレイセンサ。
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