JP2552793Y2 - オフセット印刷装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案はオフセット印刷装置、更に詳しくは硬質の印
刷物、例えば、ガラス板、金属板等の表面に印刷を施す
のに適したものであって、特にミクロン単位の印刷精度
を有するオフセット印刷装置に関するものである。

［従来の技術］ 従来より校正機タイプのオフセット印刷装置は、一般
の紙あるいはフィルム等に印刷を施すことができるだけ
でなく、ゴムブランケットを用いているために、ガラス
の表面あるいは金属板等に印刷を施すことも可能であっ
た。

このような従来の校正機タイプオフセット印刷装置
は、一般に、基台と、この基台上を移動自在な移動台と
から形成され、移動台には、各々ローラー体から形成さ
れる着肉装置、給水装置、ブランケットが回転自在かつ
上下動自在に設けられていると共に、基台には、印刷用
の版材上のインキをブランケットに転写させるための版
材セット用定盤と、ブランケットから印刷物にインキを
転写させるための印刷物セット用定盤とが設けられてい
た。

［考案が解決しようとする課題］ ただこのようなオフセット印刷装置を用いると、各装
置部分を精密に製作したとしても、ブランケットにイン
キを転写する部分が版材セット用定盤であり、ブランケ
ットから印刷物にインキを転写する部分が印刷物セット
用定盤であり、両定盤が離れているので、ブランケット
が両定盤間を移動する際に生じる印刷誤差については、
防止することができないこととなっていた。

また更に、版材セット用定盤上でのブランケット圧力
と、印刷物セット用定盤上でのブランケット圧力とも機
械精度により微妙に異なるため、印刷誤差が生じること
となっていた。

そこで本考案は、版材セット用定盤と印刷物セット用
定盤とを兼用させ、ブランケットの移動によって生じる
印刷誤差を防止して、非常な精密印刷が行なえるオフセ
ット印刷装置を提供することにより、例えば液晶に用い
るカラーフィルターなどへの印刷をも可能とすること
を、その目的として案出されたものである。

［課題を解決するための手段］ 上記目的を達成するために、本考案は、基台と、この
基台上を移動自在な移動台とから形成し、この移動台に
は、各々ローラー体から形成される着肉装置、給水装
置、ブランケットを回転自在かつ上下動自在に設けると
共に、基台には、印刷用の版材上のインキをブランケッ
トに転写させるための版材セット用定盤と、ブランケッ
トから印刷物にインキを転写させるための印刷物セット
用定盤とを兼用した兼用定盤を設けたことを特徴とす
る。

［実施例］ 以下本考案の一実施例を、図示例と共に説明する。

第１図は本考案に係るオフセット印刷装置の概略を示
す平面図、第２図は同側面図であり、第３図乃至第９図
は本考案に係るオフセット印刷装置の実際の作動を説明
するための概略図であり、第10図は本考案に係るオフセ
ット印刷装置の印刷精度を説明するために版材あるいは
印刷物を示した平面図である。

本考案に係るオフセット印刷装置は、第１図及び第２
図に示したように、床面上に載置された基台10と、この
基台10上を移動自在な移動台20とから形成されている。

基台10には、移動台20が移動するためのレール11が設
けられていると共に、印刷用の版材30にインキを供給す
るためのインキ供給用定盤40と、印刷用の版材30上のイ
ンキをブランケット22に転写させるための版材セット用
定盤とブランケット22から印刷物50にインキを転写させ
るための印刷物セット用定盤とを兼用した兼用定盤60と
が固定されている。

またここでインキ供給用定盤40と兼用定盤60とは、そ
の上面に版材30あるいは印刷物50を固定するためのもの
であり、詳細な図示は略すが、微移動装置（図示せず）
により平面形状におけるＸ方向及びＹ方向に微動可能と
なるように形成してある。また各々の定盤の上面には、
版材30あるいは印刷物50を一定位置に保持するための保
持用治具が設けられている。

また更に必要に応じて、インキ供給用定盤40と兼用定
盤60とには、その表面に多数の通孔を穿設しておき、イ
ンキの転写時あるいは印刷時には、この通孔内を負圧に
して版材30あるいは印刷物50を負圧吸着することによっ
てズレをなくすと共に、印刷終了時には、この通孔より
空気を吹き出すことにより版材30あるいは印刷物50のイ
ンキ供給用定盤40あるいは兼用定盤60からの取り外しを
容易にすることもできる。

次に、移動台20について説明する。この移動台20に
は、複数本のインキ供給ロール21と二次転写体としての
ブランケット22とが軸支されている。なお詳細な図示は
省略するが、インキ供給ロール21及びブランケット22に
は、上下方向に移動する移動装置が付設してあり、版材
30あるいは印刷物50に対して接離自在となっている。

またブランケット22は、兼用定盤60上の版材30の凸面
又は凹面に付着しているインクを一旦ブランケット22の
面に写し取った後、同じく兼用定盤60上に載置した印刷
物50に印刷するものである。

次に、本考案に係るオフセット印刷装置の作動を、第
３図乃至第９図に示した概略図に従って順次説明する。
なおこの第３図乃至第９図に示した概略図にあっては、
説明の簡便さから、ブランケット22、版材セット用定盤
及び兼用定盤60のみを図示してある。

まず作動を説明するに当って、オフセット印刷装置が
全く作動していない状態から説明を開始する。

この場合には、ブランケット22にインキが付着してい
ないので、まずブランケット22にインキを付着させるこ
とを始める。

その為に、図示しないインキ供給ロール21を作動させ
て、インキ供給ロール21にインキを付着させる。同時に
インキ供給用定盤40に版材30をセットする。

この時には、ブランケット22にはインキが付着してい
ないだけでなく、兼用定盤60には何もセットされていな
いものである（第３図参照）。

次いで移動台20を移動させて、移動台20に軸支したイ
ンキ供給ロール21に付着したインキを、インキ供給定盤
上の版材30に付着させる（第４図参照）。

その後、インキが付着した版材30を、インキ供給定盤
から取り外し、兼用定盤60上にセットする（第５図参
照）。

次いで移動台20を移動させて、移動台20に軸支したブ
ランケット22に、兼用定盤60上の版材30に付着したイン
キを転写する（第６図参照）。即ちこの時、兼用定盤60
は版材セット用定盤として機能するものである。

その後、版材30を兼用定盤60から取り外して、インキ
供給用定盤40上にセットすると共に、印刷物50を兼用定
盤60上にセットする（第７図参照）。また同時に図示し
ないインキ供給ロール21にもインキを供給しておく。

次いで移動台20を移動させて、移動台20に軸支したイ
ンキ供給ロール21に付着したインキを、インキ供給定盤
上の版材30に付着させると共に、移動台20に軸支したブ
ランケット22に付着したインキを、兼用定盤60上の印刷
物50に転写する（第８図参照）。即ちこの時、兼用定盤
60は印刷物セット用定盤として機能するものである。

このようにして印刷物50にインキを転写した後は、印
刷物50を兼用定盤60から取り外すと共に、インキが付着
した版材30を兼用定盤60上にセットし、第５図に示した
状態となる（第９図参照）。

従って、その後は、必要枚数に達するまで、第５図か
ら第８図までの作業を繰り返すこととなる。

なお例えば、液晶に用いるカラーフィルターなどのよ
うに、複数の色を場所を代えて印刷する場合には、兼用
定盤60に、版材30をセットするための治具と、印刷物50
をセットするための治具とを固定し、版材30と印刷物50
とを若干ずらしながら印刷することによって、多色刷り
を行なうことが可能である。

次に、本考案に係るオフセット印刷装置を使用した印
刷における印刷精度を、従来のオフセット印刷装置を用
いた印刷の印刷精度と比較して説明する。

またここにおいて使用した各種部材、条件及び測定機
器は、 版材；東レ（株）製の水ナシ平板 インキの材質；フェノール系樹脂を用いたオフセット用
インキ 印刷条件；温度21℃、湿度55％ 測長機；大日本スクリーン製造（株）製のデジタル式精
密測長機（DR-6011-CV） 測定条件；温度21℃、湿度55％ であった。

また測定は、第10図に示した版材30あるいは印刷物50
を示した平面図に基づいて行なった。

なおここであらかじめ測定した版材30における各点の
座標は、 A;（0,0） B;（272.805,0） C;（272.873,192.141） D;（0.082,192.142） であった。

その結果は、「本考案に係るオフセット印刷装置を用
いて印刷した場合の、ABCD各点の座標」及び「従来から
用いられていたオフセット印刷装置を用いて印刷した場
合の、ABCD各点の座標」に示した。

またこの「本考案に係るオフセット印刷装置を用いて
印刷した場合の、ABCD各点の座標」及び「従来から用い
られていたオフセット印刷装置を用いて印刷した場合
の、ABCD各点の座標」においては、各々のXY座標につい
ては［mm］で表示し、その下の数字は版材30と印刷物50
との同一点における誤差を［μｍ］で示した数値であ
る。

このような測定結果から、従来から用いられていたオ
フセット印刷装置で印刷を行なった場合、印刷誤差が50
μｍまでに達するものの、本考案に係るオフセット印刷
装置で印刷を行なった場合、印刷誤差が±10μｍ以内に
おさまっていることが確認できた。

［考案の効果］ 以上説明したように、本考案は、版材セット用定盤と
印刷物セット用定盤とを兼用させ、ブランケットの移動
によって生じる印刷誤差を防止して、非常な精密印刷が
行なえるオフセット印刷装置を提供することにより、例
えば液晶に用いるカラーフィルターなどへの印刷をも可
能としたものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すものであって、第１図は
本考案に係るオフセット印刷装置の概略を示す平面図、
第２図は同側面図であり、第３図乃至第９図は本考案に
係るオフセット印刷装置の実際の作動を説明するための
概略図であり、第10図は本考案に係るオフセット印刷装
置の印刷精度を説明するために版材あるいは印刷物を示
した平面図である。 10……基台、11……レール 20……移動台、21……インキ供給ロール 22……ブランケット、30……版材 40……インキ供給用定盤 50……印刷物、60……兼用定盤

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】基台と、この基台上を移動自在な移動台と
   から形成し、 この移動台には、各々ローラー体から形成される着肉装
   置、給水装置、ブランケットを回転自在かつ上下動自在
   に設けると共に、 基台には、印刷用の版材上のインキをブランケットに転
   写するための版材セット用定盤と、ブランケットから印
   刷物にインキを転写させるための印刷用セット用定盤と
   を兼用した兼用定盤を固定したことを特徴とするオフセ
   ット印刷装置。