JP2552708B2 - クラッド容器 - Google Patents

クラッド容器

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JP2552708B2
JP2552708B2 JP63107080A JP10708088A JP2552708B2 JP 2552708 B2 JP2552708 B2 JP 2552708B2 JP 63107080 A JP63107080 A JP 63107080A JP 10708088 A JP10708088 A JP 10708088A JP 2552708 B2 JP2552708 B2 JP 2552708B2
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千春 石倉
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Tanaka Kikinzoku Kogyo KK
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、高温で使用するクラッド容器に関するもの
である。
(従来技術とその問題点) 従来、Taより成る容器の表面に、Ir又はIr合金を被覆
したクラッド容器が、高温ガラスや金属酸化物を含む鉱
石の溶解用るつぼなどに用いることが考えられていた。
ところで、上記クラッド容器は、耐酸性に優れている
が、高温で使用するので、経時的にIr又はIr合金の被膜
の結晶粒が粗大化し、粒界からの他の元素による浸入汚
染や被膜の機械的強度の低下で、クラッド容器の寿命が
短いものであった。また高温で使用した場合、TaにIrが
拡散してしまい、機能を損なうものであった。
(発明の目的) 本発明は、上記問題点を解決すべくなされたもので、
長寿命でしかも耐消耗性に優れ、その上高温で使用して
も容器本体のTaに被覆金属が拡散することが無く、機能
を損なうことの無いクラッド容器を提供することを目的
とするものである。
(問題点を解決するための手段) 上記問題点を解決するための本発明のクラッド容器
は、Taより成る容器の内面又は内外両面に、酸化物、窒
化物、ほう化物、炭化物のいずれか又はこれらの混合物
が中間層として被覆され、その上にPt、Rh、Irのいずれ
か又はこれらの合金を主成分として酸化物、窒化物、ほ
う化物、炭化物のいずれかが分散された材料が表面層と
して被覆されていることを特徴とするものである。
本発明のクラッド容器において、Taより成る容器の内
面又は内外両面に、中間層として酸化物、窒化物、ほう
化物、炭化物のいずれか又はこれらの混合物が被覆され
ている理由は、Taに表面層中のPt、Rh、Irのいずれか又
はこれらの合金が拡散するのが防止できるからであり、
しかも表面層に分散されている物質と同一の物質が強い
密着力を得る為に好ましいからである。またその中間層
の上に表面層としてPt、Rh、Irのいずれか又はこれらの
合金を主成分として酸化物、窒化物、ほう化物、炭化物
のいずれかが分散された材料が被覆されている理由は、
高温でのPt、Rh、Irのいずれか又はこれらの合金の結晶
粒の粗大化が抑制されるからである。
被覆は、スパッタリングで行うのが良い。これはイオ
ンプレーティング、真空蒸着、湿式めっきでは、表面層
の主成分であるPt、Rh、Irのいずれか又はこれらの合金
に酸化物、窒化物、ほう化物、炭化物を分散させるのが
困難であるからである。
上記のように酸化物、窒化物、ほう化物、炭化物を分
散させたPt、Rh、Irのいずれか又はこれらの合金より成
る材料を表面層として被覆したクラッド容器は、耐酸化
性に優れ、しかも表面層中には酸化物、窒化物、ほう化
物、炭化物のいずれかが分散されていて、高温での結晶
粒の成長が抑えられていることから、粒界からの他の元
素による浸入汚染や表面層の機械的強度の低下が無く、
長寿命となる。また中間層として酸化物、窒化物、ほう
化物、炭化物のいずれか又はこれらの混合物が被覆され
ているので、表面層中のPt、Rh、Irのいずれか又はこれ
らの合金が容器本体のTaに拡散することが無いので、機
能を損なうことが無いものである。
酸化物としては、Al2O3、ZrO2、Y2O3が用いられ、窒
化物としては、BN、HfN、TaN、ZrN、TiNが用いられ、ほ
う化物としては、TiB2、ZrB2、HfB2、TaB2、CrB2が用い
られ、炭化物としては、B4C、TiC、ZrC、HfC、VC、Nb
C、TaCが用いられる。
これら酸化物、窒化物、ほう化物、炭化物のPt、Rh、
Irのいずれか又はこれらの合金に対する分散量が、0.02
体積%未満では高温での結晶粒の成長を抑制する効果が
薄く、10体積%を超えると結晶粒の成長を抑制する効果
が変わらなくなるので、それらの量としては0.02〜10体
積%が好ましい。表面層の厚さが0.1μm未満ではTaの
酸化を防止する効果が薄く、100μmを超えると長寿命
化に対する被覆時間の割合が高くなるので、その厚さと
しては0.1〜100μmの範囲が好ましい。また中間層の厚
さが0.1μm未満では表面層中のPt、Rh、Irのいずれか
又はこれらの合金が容器本体のTaに拡散するのを防止す
ることができなく、5μmを超えると長寿命化に対する
被覆時間の割合が高くなるので、その厚さは0.1〜5μ
mの範囲が好ましい。
(実施例1) 本発明のクラッド容器の実施例と従来例について説明
する。肉厚5mm、高さ100mm、内径80mmの断面コの字形Ta
製るつぼの内面に、下記の表の左欄に示す実施例1乃至
10の中間層の材料を夫々の厚さにスパッタリングにより
被覆し、その上に下記の表の左欄に示す実施例1乃至10
の表面層の材料を夫々の厚さにスパッタリングにより被
覆してクラッドるつぼを得た。
一方従来例として、実施例で用いたTa製るつぼの内面
に、Irを厚さ10μmまでスパッタリングしてクラッドる
つぼを得た。
然して実施例1〜10のクラッドるつぼと従来例のクラ
ッドるつぼに、アルカリ亜鉛硼珪酸ガラスを500g入れ、
Arガス雰囲気、温度1500℃、1時間で使用した。これを
10回繰り返した処、従来例のクラッドるつぼは内面から
Ir被膜が3μm削られたのに対し、実施例1乃至10のク
ラッドるつぼは表面層が0.5〜1μmに削られたにとど
まった。
次に実施例1〜10のクラッドるつぼと従来例のクラッ
ドるつぼの底部を、大気中で直接ヒータ加熱して温度約
1000℃で20時間保持した処、従来例のクラッドるつぼ
は、10時間ではIr被膜が減量しなかったが、Ir被膜の結
晶粒の粗大化が著しく、限界状態となり、20時間ではIr
被膜が破壊され、8g減量したのに対し、実施例1〜10の
クラッドるつぼは、表面層の結晶の成長が全て認められ
ず、減量もしなかった。また従来例のクラッドるつぼは
10時間で容器本体であるTaへのIrの拡散が見られたが、
実施例1〜10のクラッドるつぼでは20時間でも容器本体
であるTaへの表面層中のPt、Rh、Irの拡散が全く見られ
ず、るつぼの機能を損なうことは無かった。
これらのことから本発明のクラッドるつぼは、従来の
クラッドるつぼに比べて金属酸化物の溶解用るつぼとし
て著しく寿命が長く、また耐消耗性に優れ、高温で長時
間使用しても機能を損なうことがないことが判る。
尚、上記実施例はTa製るつぼの内面にのみ中間層、表
面層を被覆しているが、内外両面に被覆しても良いもの
である。
(発明の効果) 以上詳述した通り本発明のクラッド容器は、表面層の
結晶粒の粗大化が抑制され、粒界からの他の元素による
浸入汚染や表面層の機械的強度の低下が無いので、長寿
命である。また長時間使用しても表面層は減量せず、耐
消耗性に優れている。さらに長時間使用しても表面層中
の金属が容器本体であるTaに拡散しないので、機能を損
なうことが無い。しかも容器全体を完全被覆した場合は
大気中でも長寿命のものとなる。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Taより成る容器の内面又は内外両面に、酸
    化物、窒化物、ほう化物、炭化物のいずれか又はこれら
    の混合物が中間層として被覆され、その上にPt、Rh、Ir
    のいずれか又はこれらの合金を主成分として酸化物、窒
    化物、ほう化物、炭化物のいずれかが分散された材料が
    表面層として被覆されていることを特徴とするクラッド
    容器。
JP63107080A 1988-04-28 1988-04-28 クラッド容器 Expired - Lifetime JP2552708B2 (ja)

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