JP2552229B2 - 金属成型瓦 - Google Patents

金属成型瓦

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JP2552229B2
JP2552229B2 JP5019312A JP1931293A JP2552229B2 JP 2552229 B2 JP2552229 B2 JP 2552229B2 JP 5019312 A JP5019312 A JP 5019312A JP 1931293 A JP1931293 A JP 1931293A JP 2552229 B2 JP2552229 B2 JP 2552229B2
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渉 渡部
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属板を成型して、洋
風や和風の瓦とした金属成型瓦に関するものである。こ
の金属成型瓦は、山部と谷部が連続して形成されている
が、山部・谷部・山部・谷部・山部・・・というように
複数連続して長尺の金属成型瓦に形成されていたり、一
つの山部に一つの谷部が連続しているだけの短い長さの
金属成型瓦(S形瓦等)に形成されていたりする。
【0002】そして、金属成型瓦は、金属製であるため
土瓦等よりも軽いという利点がある。このため、土瓦等
に比べると建築物にかける負担が少ないので、地震等に
強く、近年その使用が増加している。
【0003】
【従来の技術】金属成型瓦は概して、谷部と山部が連続
している面板と、面板の軒側の縁が折り下げられて形成
された折り下げ面と、面板の棟側の縁が立ち上げられて
形成された立ち上げ面とを有している。そして、金属成
型瓦を葺いていくときは、下の段に位置する金属成型瓦
の立ち上げ面に上の段に位置する金属成型瓦の折り下げ
面を重ねて、桟木に釘で打ちつけたり、あるいは、立ち
上げ面の上端を軒方向へ延出して棟側縁を形成し、その
棟側縁に吊り子を引っかけて固定したりしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】金属板を加工して成形
する金属成型瓦は、金属板の折曲に限界があるため、山
部と谷部のアールを深く形成するためには、折り下げ面
や立ち上げ面が谷部中央付近に向かうにつれて軒側に出
っ張っていくように湾曲し、山部中央付近に向かうにつ
れて軒側から引っ込んでいくように湾曲するよう形成し
なくてはならなかった。このように、谷部の軒側縁は前
方に突出する円弧を描くように形成されざるを得ず、こ
のため、折り下げ面や立ち上げ面を直線上の同一平面に
形成しようとするときは、山部や谷部のアールをかなり
浅いものにしたり、あるいはほぼ平坦に近いような形状
で成型したりしなくてはならなかった。
【0005】つぎに、図9から図12を用いて、この課
題の詳細を説明する。
【0006】図9は金属板8を折曲した時の様子を表し
ている。図9(A)はそのままの状態の金属板8である
が、これを図9(B)のように湾曲させた後に、図9
(B)の破線箇所で折り下げると、図9(C)のように
亀裂21が生じてしまう。つまり、山部と谷部が連続す
る金属成型瓦を作ろうとするときに、折り下げ面や立ち
上げ面を直線上の同一平面に形成しようとすると、図9
(C)のように、折り下げ面と立ち上げ面に亀裂21が
生じてしまうのである。山部や谷部のアールをかなり浅
いものにしたり、あるいはほぼ平坦に近いような形状で
成型し、かつ、折り下げ面や立ち上げ面を巾狭く形成す
るならば、金属板の伸縮する力により、亀裂21が生じ
るのを防ぐことはできる。しかし、山部と谷部のアール
が深いものであれば、図9(C)のように、折り下げ面
と立ち上がり面に亀裂21が生じてしまうのを防ぐこと
はできないのである。
【0007】この金属板8の性質を考慮に入れて金属成
型瓦を成型するためには、図10(A)の切り落とし線
71に沿って金属板8を切り落として先端を円弧状にす
る。そして、図10(B)のように金属板8を湾曲さ
せ、折り曲げ線7に沿って、縁を折り下げると、亀裂2
1を生じさせることなく、折り下げ面5を形成すること
ができる。このとき折り下げ面5は、谷部中央付近に向
かうにつれて軒側に出っ張っていくように湾曲してい
る。
【0008】金属板はこのような性質を持っているた
め、金属板を用いて金属成型瓦を成型するためには、ま
ず、金属板の両縁を、成型する山部と谷部に沿うよう連
続する円弧状(ちょうど波形のような形)に切り落と
す。ついで、金属板を山部と谷部が連続するように湾曲
させる。そして、円弧状に切り落とした軒側縁から、折
り下げ面の巾だけ内側に入ったところで折り下げて折り
下げ面を形成し、また、円弧状に切り落とした棟側縁か
ら、立ち上げ面の巾だけ内側に入ったところで立ち上げ
て立ち上げ面を形成する。こうして形成された立ち上げ
面と折り下げ面は、図12(B)に見られるように、谷
部中央付近に向かうにつれて軒側に出っ張っていくよう
に湾曲し、山部中央付近に向かうにつれて軒側から引っ
込んでいくように湾曲して形成されるのである。
【0009】この金属成型瓦の山部や谷部のアールが深
いほど、立ち上げ面と折り下げ面は、谷部中央付近に向
かうにつれて軒側に一層出っ張っていき、山部中央付近
に向かうにつれて軒側から一層引っ込んでいくように湾
曲するのである。
【0010】このように、折り下げ面が谷部中央付近に
向かうにつれて軒側に出っ張っていくように湾曲してい
ると、図11に示したように軒先部分においては、金属
成型瓦1が円弧状に軒側に出っ張ってしまい、軒瓦の端
が直線状となる和風の建築物等に使用することが難しい
という問題があった。
【0011】また、金属成型瓦1を葺成するとき、図1
2(A)に示したように、桟木14に立ち上げ面3を合
わせてその上から上の段の金属成型瓦の折り下げ面5を
重ねて釘23で止着する方法があるが、図12(B)に
見られるように、桟木14がまっすぐであるのに対し、
立ち上げ面3と折り下げ面5は湾曲しているので、桟木
14、立ち上げ面3、折り下げ面5の三者が接する箇所
は少ない。このため、釘23を打つ箇所は限定され、ど
こに釘23を打っても良いというわけにはいかないとい
う点もある。
【0012】そして、意匠的に、山部と谷部のアールを
深く形成しながらも、折り下げ面や立ち上がり面を直線
上の同一平面に形成している金属成型瓦を使いたいとい
う要望があっても、従来の技術では、そのような金属成
型瓦を提供することはできなかった。
【0013】本発明にかかる金属成型瓦はこのような課
題を解決するために発明されたものであり、山部と谷部
のアールを深く形成しながらも、折り下げ面や立ち上が
り面を直線上の同一平面に形成することを可能にした技
術を提供するものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】山部と谷部が連続して形
成された金属成型瓦を成型するための金属板には、複数
の凸条或いは凹条を形成しておく。そして、この金属板
を谷部と山部が連続した面板に形成し、この面板の棟側
縁は上向きに折り曲げて、折曲面である立ち上げ面を直
線上の同一平面に形成する。軒側縁は下向きに折り曲げ
て、折曲面である折り下げ面を直線上の同一平面に形成
する。必ずしも立ち上げ面と折り下げ面の両方が形成さ
れているとは限らないが、形成された立ち上げ面や折り
下げ面は直線上の同一平面となっている金属成型瓦を成
型する。この金属成型瓦を用いることにより課題を解決
することができる。
【0015】
【作用】本発明の作用を図13から図18に基づいて説
明する。
【0016】図13は、金属板8に平行線29を付け
て、折り曲げ線7から直角に折り曲げて折り下げ面5を
形成した状態を示す図である。このように金属板8を単
に直角に折り曲げた場合、平行線29はそのまま平行の
状態に保たれる。
【0017】しかし、図14(A)に示すように、この
金属板8を図9(B)(C)と同様に湾曲させた後に折
り曲げ線7から折り下げて折り下げ面5を形成すると、
平行線29は、下方に向かって末広がりの状態になる
(末広がりの状態がわかりやすいように中心線30を記
した)。この末広がりになるように働く力が、金属板8
の伸縮力を上回ると、亀裂が生じるわけである。また、
図14(B)に示すように、この金属板8を図9(B)
と反対に、山状に湾曲させて、折り曲げ線7から折り下
げて折り下げ面5を形成すると、平行線29は、下方に
向かって線の間隔が狭くなっていく。今度は亀裂21が
生じるのではなく、金属板8が余ってしわができてしま
う。
【0018】このような作用を念頭に置いて、続いて図
15から図18の説明をする。図15は、金属板8に凸
条9を任意の高さと間隔で設けた図である。この凸条9
は、図16のような様々な形状で形成できるが、各凸条
9にはわずかな隙間が設けられている。この隙間が成型
の時に広がったり潰れたりして、亀裂21が生じたりし
わができたりするのを防ぐのである。
【0019】図15に示された金属板8を、図9のよう
に湾曲させた後に折り曲げ線7から折り下げて折り下げ
面5を形成する。さらにその先端を内側方向へ折り返し
て折り返し28を形成して図18のようにする。折り下
げ面5を形成する際、図17のように各凸状9の隙間が
広がって(図中は、凸条9が広がっている点を簡略して
3カ所のみ記載した)、亀裂が生じることを防ぐ。こう
して、金属板8を湾曲させながらも折り下げ面5を直線
上の同一平面に形成することが可能となるのである。
【0020】
【実施例】本発明にかかる金属成型瓦の実施例につい
て、次に説明する。図1(A)(B)は、金属成型瓦1
の製造方法の一例を示している。まず、金属板8を任意
の長さに切断する。図1(A)では、長尺の金属成型瓦
1を製造するために横に細長い長方形に切断している
が、製造される金属成型瓦1が縦に細長かったり、横と
縦の長さが同じくらいのものであったりするならば、金
属板8も縦に細長い長方形や正方形などというように、
製造される金属成型瓦1の形状によって切断される形状
は異なってくる。
【0021】ついで、プレス加工や成型加工等により凸
条9を複数形成する。この凸条9は、任意の高さと間隔
で設けられており、図16のような様々な形状で形成で
き、各凸条9にはわずかな隙間が設けられている。この
隙間が成型の時に広がったり潰れたりして、亀裂21が
生じたりしわができたりするのを防ぐのである。尚、こ
の実施例では、上方に出っぱっている凸条9について述
べているが、凸条9のかわりに下方に出っぱった凹条に
してもよい。
【0022】このように、金属板8に凸条9を形成した
後に、プレス加工、あるいは、成型加工等により金属成
型瓦1を製造するので、形成した凸条9はプレス加工、
あるいは成型加工等によりつぶれ、外観上はあまり目立
たなくなる。凸条9が潰れることにより、箇所によって
は、三枚板となるところもあり、これが金属成型瓦1を
補強する補強材もかねるようになる。
【0023】このようにして、凸条9(あるいは凹条)
を形成した金属板を金属成型瓦1に成型するが、図2
は、金属成型瓦1の谷部を軒−棟方向で切断したときの
端面図であり、本発明に係る金属成型瓦1の棟側縁と軒
側縁の形状の各種実施例を説明している。図2(A)
は、面板2の棟側縁を略直角に立ち上げるように折り曲
げて、折曲面である立ち上げ面3を形成し、さらに棟側
に略直角に折り曲げて棟側縁4が形成されている。ま
た、面板2の軒側縁は、略直角に折り下げるように折り
曲げて、折曲面である折り下げ面5が形成されている。
図2(B)は、面板2の棟側縁を略直角に立ち上げるよ
うに折り曲げて、折曲面である立ち上げ面3を形成し、
さらに軒側に略直角に折り返して棟側縁4が形成されて
いる。また、面板2の軒側縁は、略直角に折り下げるよ
うに折り曲げて、折曲面である折り下げ面5が形成さ
れ、さらに棟側に略直角に折り返して軒側縁6が形成さ
れている。図2(C)は、面板2の棟側縁を略直角に立
ち上げるように折り曲げて、折曲面である立ち上げ面3
を形成し、さらに棟側に略直角に折り曲げて棟側縁4が
形成され、該棟側縁4と立ち上げ面3に沿って折り返し
てあり、その後棟方向へ延出してある。また、面板2の
軒側縁は、略直角に折り下げるように折り曲げて、折曲
面である折り下げ面5が形成されている。図2(D)
は、面板2の棟側縁を略直角に立ち上げるように折り曲
げて、折曲面である立ち上げ面3を形成し、さらに軒側
に略直角に折り返して棟側縁4が形成され、該棟側縁4
と立ち上げ面3に沿って折り返してあり、その後棟方向
へ延出してある。また、面板2の軒側縁は、略直角に折
り下げるように折り曲げて、折曲面である折り下げ面5
が形成され、さらに棟側に略直角に折り返して軒側縁6
が形成されている。このような各種実施例が考えられ
る。
【0024】図2(A)の金属成型瓦1を斜視図であら
わすと、図3のようになる。この図3に基づいて本発明
の一実施例を説明する。
【0025】あらかじめ凸条9を設けた金属板で金属成
型瓦1を成型するが、この金属成型瓦1の面板2は山部
2bと谷部2aが連続して形成されている。面板2の棟
側縁を略直角に立ち上げて立ち上げ面3を形成し、さら
に棟側に略直角に折り曲げて棟側縁4が形成されてい
る。また、面板2の軒側縁は、略直角に折り下げられて
折り下げ面5が形成されている。折り下げ面5を面板2
から折り曲げ線7で折り曲げるときに、図17のように
凸条9の隙間が広がるため、亀裂が生じるのを防ぎなが
ら、折り下げ面5を直線上の同一平面に形成することが
できる。立ち上げ面3を形成するときは、凸条9の隙間
が狭まるため、立ち上げ面3を直線上の同一平面に形成
することができる。
【0026】この立ち上げ面3と折り下げ面5が直線上
の同一平面に形成されるため、この金属成型瓦1を葺成
すると、図4(A)(B)のようになる。図4(A)
(B)は、立ち上げ面3と折り下げ面5が直線上の同一
平面に形成されることを説明するための簡単な図である
が、図4(A)は葺成したところを上から見た平面図で
あり、図4(B)は軒先を上から見た平面図である。図
4(A)に示したように、本発明に係る金属成型瓦1は
立ち上げ面3と折り下げ面5が直線上の同一平面に形成
されるため、立ち上げ面3と折り下げ面5が桟木14と
平行になり、桟木14、立ち上げ面3、折り下げ面5の
三者を釘で打ちつけることができる箇所が、図12に示
された従来の技術よりも多くなるという利点がある。こ
のため、熟練工でなくてもこの仕事をすることができる
ようになる。また、図4(B)のように、軒先も直線上
の同一平面に形成される。
【0027】さて、次に別の実施例について説明する。
図2(B)の金属成型瓦1を斜視図であらわすと、図5
のようになる。この図5に基づいて本発明の他の実施例
を説明する。
【0028】あらかじめ凸条9を設けた金属板で金属成
型瓦1を成型するが、この金属成型瓦1の面板2は山部
2bと谷部2aが連続して形成されている。面板2の棟
側縁を略直角に立ち上げて立ち上げ面3を形成し、さら
に軒側に略直角に折り返して棟側縁4が形成されてい
る。また、面板2の軒側縁は、略直角に折り下げられて
折り下げ面5が形成されており、さらに棟側に略直角に
折り返して軒側縁6が形成されている。折り下げ面5を
面板2から折り曲げ線7で折り曲げるときに、図17の
ように凸条9の隙間が広がるため、亀裂が生じるのを防
ぎながら、折り下げ面5を直線上の同一平面に形成する
ことができる。立ち上げ面3を形成するときは、凸条9
の隙間が狭まるため、立ち上げ面3を直線上の同一平面
に形成することができる。そして、従来の技術では折り
返すときに亀裂が生じたりするため軒側縁6をわずかし
か折り返せなかったが、本発明では凸条9が広がったり
縮んだりする作用により亀裂が生じることを防ぐことが
できるので、軒側縁6を望みの長さだけ延出することが
できる。
【0029】このように成型された金属成型瓦1を葺い
ていくとき、図6(A)(B)のような吊り子11を用
いて、図7のように葺いていく。図6(A)に示した吊
り子11は、金属成型瓦1の谷部2aに沿うよう上面が
湾曲しており、上面の一方の縁から略L字形の固定部1
3が延出されており、他方の縁は折り下げて係合部12
が形成されている。この吊り子11を用いて葺いた様子
をあらわしているものが図7であるが、下の段に位置す
る金属成型瓦1の棟側縁4に吊り子11をかぶせて、吊
り子11の固定部13を野地上に止着する。そして、上
の段に位置する金属成型瓦1の軒側縁6を吊り子11の
上から棟側縁4に引っかけるようにかぶせて施工してい
く。図6(B)に示した吊り子11は、図6(A)に示
した吊り子11の係合部12から、さらに内側へ略直角
に折り込んで折り込み縁12aを形成したものである。
【0030】次に、金属成型瓦1の他の実施例を図8に
基づいて説明する。図8(A)は金属成型瓦1の他の実
施例を示す斜視図であり、図8(B)は該金属成型瓦1
を使用した金属屋根10を示す一実施例である。
【0031】この実施例は、折り下げ面5を面板2から
折り曲げ線7にそって折り下げた後、さらに内側に略直
角に折り込んで軒側縁6を形成している。この、折り下
げ面5から内側に略直角に折り込んで軒側縁6を形成す
るときの折り曲げ線7が、図5のように波形状になるの
ではなく、直線状にした点が、この実施例が図5の実施
例と異なるところである。この場合、軒側縁6も底面か
ら見ると細長い長方形になる。このように形成した金属
成型瓦1を軒瓦に使用すれば、軒側縁6が直線状なの
で、横葺き屋根材24の係合部を金属成型瓦1の軒側縁
6に係合することが可能となり、図8(B)に示すよう
に腰葺き、あるいは額縁葺き等にも応用可能となる。
【0032】なお、これらの実施例で、金属成型瓦1の
面板2と桟木、あるいは野地との間には、図示されてい
ないが補強のためのバックアップ材や断熱材等を挿入す
ることができる。また、文中に折曲面をいう言葉を用い
ているが、これは、金属板を折り曲げることで形成され
る面をさして用いている。さらに、金属成型瓦1を山部
・谷部・山部・谷部・山部・・・というように複数連続
して長尺の金属成型瓦に形成したり、一つの山部に一つ
の谷部が連続しているだけの短い長さの金属成型瓦(S
形瓦等)に形成したりというように、特許請求の範囲を
逸脱しない範囲で種々実施が可能である。
【0033】
【発明の効果】金属板を加工して成形する金属成型瓦
は、金属板の折曲に限界があるため、山部と谷部のアー
ルを深く形成するためには、折り下げ面や立ち上げ面が
谷部中央付近に向かうにつれて軒側に出っ張っていくよ
うに湾曲し、また、山部中央付近に向かうにつれて軒側
から引っ込んでいくように湾曲するよう形成しなくては
ならなかった。そして、金属成型瓦の山部や谷部のアー
ルが深いほど、立ち上げ面と折り下げ面は、谷部中央付
近に向かうにつれて軒側に一層出っ張っていき、山部中
央付近に向かうにつれて軒側から一層引っ込んでいくよ
うに湾曲するという問題点があった。このように、谷部
の軒側縁は前方に突出する円弧を描くように形成されざ
るを得ず、このため、折り下げ面や立ち上げ面を直線上
の同一平面に形成しようとするときは、山部や谷部のア
ールをかなり浅いものにしたり、あるいはほぼ平坦に近
いような形状で成型したりしなくてはならなかったが、
本発明にかかる金属成型瓦は、金属成型瓦を成型するた
めの金属板に、複数の凸条あるいは凹条を形成すること
により、山部と谷部のアールを深く形成しながらも、折
り下げ面や立ち上がり面を直線上の同一平面に形成する
ことを可能にしたものである。
【0034】たとえば、折り下げ面が谷部中央付近に向
かうにつれて軒側に出っ張っていくように湾曲している
と、軒先部分においては、金属成型瓦が円弧状に軒側に
出っ張ってしまい、軒瓦の端が直線状となる和風の建築
物等に使用することが難しいという問題があった。しか
し、金属板に複数の凸条あるいは凹条を形成してから金
属成型瓦を成型すると、軒先部分において金属成型瓦が
円弧状に軒側に出っ張ってしまうことがなく、軒瓦の端
が直線状となる和風の建築物等に使用することができる
という効果がある。
【0035】また、金属成型瓦を葺成するとき、桟木に
立ち上げ面を合わせてその上から上の段の金属成型瓦の
折り下げ面5を重ねて釘21で止着する方法があるが、
桟木14がまっすぐであるのに対し、立ち上げ面3と折
り下げ面5は湾曲しているので、桟木、立ち上げ面、折
り下げ面の三者が接する箇所は少ないため、釘23を打
つ箇所は限定されてしまうという問題点があった。しか
し、本発明に係る金属成型瓦は立ち上げ面3と折り下げ
面5が直線上の同一平面に形成されるため、立ち上げ面
3と折り下げ面5が桟木14と平行になり、桟木14、
立ち上げ面3、折り下げ面5の三者を釘で打ちつけるこ
とができる箇所が、従来の技術よりも多くなるという利
点があり、熟練工でなくてもこの仕事をすることができ
るようになる。
【0036】そして、意匠的に、山部と谷部のアールを
深く形成しながらも、折り下げ面や立ち上がり面を直線
上の同一平面に形成している金属成型瓦を使いたいとい
う要望があっても、従来の技術では、そのような金属成
型瓦を提供することはできなかった。これに対し、本発
明に係る金属成型瓦には、金属成型瓦を成型するための
金属板に凸条か凹条が設けられており、この凸条か凹条
が広がったり縮んだりするため、山部と谷部のアールを
深く形成しながらも、折り下げ面や立ち上がり面を直線
上の同一平面に形成している金属成型瓦を成型すること
ができるものである。このように市場の需要に応えるこ
とができる金属成型瓦を提供することができるものであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る金属成型瓦の製造方法を示した図
である。(A)は金属成型瓦の製造方法を示す図、
(B)は金属成型瓦の製造方法を示すブロック図であ
る。
【図2】本発明に係る金属成型瓦の様々な実施例を示し
た端面図である。
【図3】本発明に係る金属成型瓦の一実施例を示した斜
視図である。
【図4】本発明に係る金属成型瓦を用いて葺成している
状態を示す図である。(A)は上から見た平面図、
(B)は軒先を上から見た平面図である。
【図5】本発明に係る金属成型瓦の他の実施例を示した
斜視図である。
【図6】本発明に係る金属成型瓦の実施例に用いる吊り
子を示した斜視図である。(A)は一実施例、(B)は
他の実施例である。
【図7】本発明に係る金属成型瓦の一実施例を葺成する
様子の説明図である。
【図8】本発明に係る金属成型瓦の他の実施例を示した
図である。(A)は斜視図であり、(B)はその金属成
型瓦を使用した金属屋根10を示す一実施例である。
【図9】金属板を湾曲させた後に折り曲げたときの作用
を説明するための図である。
【図10】従来の技術の説明図である。
【図11】従来の技術の説明図である。
【図12】従来の技術の説明図である。
【図13】本発明に係る金属成型瓦に関し、金属板の作
用を説明するための図である。
【図14】本発明に係る金属成型瓦に関し、金属板の作
用を説明するための図である。
【図15】本発明に係る金属成型瓦に関し、金属板に凸
条を設けた様子をあらわす斜視図である。
【図16】本発明に係る金属成型瓦の凸条の形状を説明
するための図である。
【図17】本発明に係る金属成型瓦に関し、金属板の作
用を説明するための図である。
【図18】本発明に係る金属成型瓦に関し、金属板の作
用を説明するための図である。
【符号の説明】
1 金属成型瓦 2 面板 2a 谷部 2b 山部 3 立ち上げ面 4 棟側縁 5 折り下げ面 6 軒側縁 7 折り曲げ線 8 金属板 9 凸条 10 金属屋根 11 吊り子 12 係合部 12a折り込み縁 13 固定部 14 桟木 29 平行線

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 山部と谷部が連続して形成された金属成
    型瓦において、該金属成型瓦を成型するための金属板に
    は、複数の凸条或いは凹条が形成されており、該金属成
    型瓦の少なくとも一つの縁は上向きか下向きに折り曲げ
    られて、折曲面が形成されており、該折曲面が直線上の
    同一平面に形成されている金属成型瓦。
JP5019312A 1993-01-11 1993-01-11 金属成型瓦 Expired - Lifetime JP2552229B2 (ja)

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