JP2551585B2 - シ−トベルトのショルダ−位置調整装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は車両用シートベルトのショルダー位置調整装
置の改良に関する。

（従来の技術） 例えば、車両のフロントシートに用いられる３点式シ
ートベルトにおいて、ショルダー部の支持点であるスル
ーアンカの位置が固定されていると、乗員の座高が高い
ときは肩より低い位置にベルトが当る肩はづれになり、
座高が低いときはベルトが首にかかる首がかりになる。
そこで、スルーアンカの位置を乗員の座高に合わせて調
整する装置がある。

従来のショルダー位置調整装置の一例を第５図〜第７
図に示す。

アジャストベース201は複数個のラッチホール203を有
し、長手方向が上下方向となるように車体のセンターピ
ラー302に固定される。固定はベルト205で行われる。ア
ジャストアンカ207は操作ノブ209とナット211とを有
し、アジャストベース201上をスライドする。ピラーガ
ーニッシュ213は、第５図、第６図のようにアジャスト
ベース201とアジャストアンカ207とを覆い、長手方向に
長い貫通孔213aを設けてある。第７図に示すように、ピ
ラーガーニッシュ213には内側にガイド215があり、ガイ
ド215が作る係合溝にはインナーカバー217がスライドで
きるように係合されている。インナーカバー217には２
個の穴が設けられており、上方の穴には操作ノブ209が
貫通し、下方の穴にはスルーアンカ219をアジャストア
ンカ207に取付けるボルト221が貫通する。ボルト221は
アジャストアンカ207のナット211と螺合する。スルーア
ンカ219にはシートベルト301が通され、基部にはボルト
221の頭部をかくすためにキャップ223が装着される。

ところで、アジャストアンカ207の内部にはアジャス
トベース201上のラッチホール203と係合するラッチピー
ス（図示していない）がある。ラッチピースは操作ノブ
209を回して手前へ引くと行き上げられてラッチホール2
03から外れるようになっている。

従って、ショルダーの位置調整に当っては、操作ノブ
209を回して引くと、ラッチピースの係合が外れ、アジ
ャストアンカ207をスライドさせてスルーアンカ219を乗
員の座高に応じた好みの位置まで移動させることができ
る。適当な位置で操作ノブ209を離し、更にわずかにス
ライドさせれば、ラッチピースが最寄りのラッチホール
203と係合してショルダーの位置決めが行える。

（発明が解決しようとする問題点） しかしながら、このような操作を片手で行うにはスル
ーアンカ219を手の平で握り、指先で操作ノブを回転さ
せて引き上げなければならない。このような操作は手先
の器用な人でも楽ではない、つまり、大部分の人は両手
を使わなければショルダー位置の調整ができない。

そこで、本発明の目的は、片手で容易に操作ができる
シートベルトのショルダー位置調整装置を提供すること
にある。

（問題点を解決するための手段） 本発明のシートベルトのショルダー位置調整装置は、
車体側に取付けられた位置決め用の複数の方形の係止部
を有するアジャストベースと、このアジャストベースに
上下移動自在に取り付けられると共に一方に直状のシャ
フトが突設され且つ他方にシートベルトの支持部を有す
るアジャストアンカ本体と、このアジャストアンカ本体
のシャフトを中心とする位置にあってこのアジャストア
ンカ本体に設けられたラッチガイドと、前記アジャスト
アンカ本体のシャフトを中心とする位置にあって前記ラ
ッチガイドの凹部に係合されることで前記アジャストア
ンカ本体に対して回転不能に支持されてなるラッチホル
ダと、前記アジャストアンカ本体のシャフトを中心とす
る位置にあって前記ラッチホルダによりスライド案内可
能とされ且つ前記アジャストベースの係止部に対して係
脱移動自在なラッチピースと、このラッチピースを前記
アジャストベースの係止部に係合する方向へ常時付勢し
てなる付勢部材と、前記支持部の取付部及び前記カム部
材を覆うアンカーカバーの凹部でもって内包されてなる
操作ノブと、この操作ノブの操作力により回転されるこ
とで前記ラッチホルダを直線方向に移動させ且つこのラ
ッチホルダ直線運動により前記ラッチピースを前記付勢
部材に抗して前記シャフトに沿って前記アジャストベー
スの係止部から離脱する方向へ移動させることが夫々可
能なるカム部材とよりなることを特徴とする。

（作用） アンカーカバーでもって内包されてなる操作ノズを操
作すれば、カム部材が周方向の外力で回転操作され、該
カム部材の回転によってラッチホルダがラッチピースの
アジャストベースの係止部から離脱する方向にシャフト
に沿って移動するが、該ラッチホルダはラッチガイドに
よって回転しないように案内されてなり、該ラッチホル
ダの移動によりラッチピースのアジャストベースの係止
部から離脱する方向に移動する。従って、ラッチピース
の係合が外れ、アジャストアンカをアジャストベースに
対し移動させることができる。

操作ノブの操作を解除すれば付勢部材の付勢で方形の
複数の係止部にラッチピースが係合方向へ移動し、該係
合されるにあたり、ラッチピースは回転しないで、スム
ーズにアジャストベースの係止部に係止される。

操作ノブを握ったときの感触がアンカーカバーの凹部
でもって内包されてなることで良く、また、支持部の取
付部がアンカーカバーで覆われることで支持部と操作手
段とを視覚的に一体としたので全体としてすっきりとし
たものとなる。

（実施例） 以下、第１図から第４図の図面を参照しながら本発明
の一実施例の説明を行う。

第１図は本実施例のショルダー位置調整装置の分解斜
視図を示している。本実施例の装置はアジャストベース
１とアジャストアンカ21との小組立から大要が構成され
ている。

前記アジャストベース１は、アジャストベース本体
３、アンカープレート７、ピン９からなっている。アジ
ャストベース本体３には係止部である２個一対のラッチ
ホール５が４対設けられている。アンカープレート７は
アジャストベース本体３の一端にピン９でかしめて固定
され、これによってアジャストベース１は中央部が両端
に較べてやや持ち上った長い板状となる。アジャストベ
ース本体３の上端及びアンカープレート７の下端車体の
センターピラーパネル302（第２図）に固定するための
取付け穴1aが設けられている。

前記アジャストアンカ21は、次のように構成されてい
る。樹脂成形されたスライダ23はアジャストアンカ本体
25内に装着され、アジャストベース本体３の平板部に係
合してスライドするものであり、アジャストベース本体
３の幅方向の両縁にコの字形の係合溝23aを有してい
る。スライダ23の平板部分には貫通孔23bを設けてあ
る。またアンカープレート７の端面7aとの突き当て部に
は金属音が発生しないように緩衝のためのストッパ23c
が一体成形されている。

アジャストアンカ本体25は、スライダ23と同様な断面
形状を有しており、スライダ23を内側に挿入して装着す
る。アジャストアンカ本体25にはシャフト27が平板部分
に垂直に固定されており、その反対側には貫通孔28が設
けられている。シャフト27の両脇には一対のラッチピー
スガイドホール29が設けられている。

ラッチガイド31は薄板に部分的なプレス加工を施して
底の平な容器を伏せたような形状を与えたものである。
ラッチガイド31の平板の部分と平な頂面のほぼ中央には
貫通孔32a.32bが、また縁部にはスリット33が設けられ
ている。一方の貫通孔32bの周囲には後述するレボリュ
ーションカム41を保持する４個の保持片31aを設けてい
る。ラッチガイド31は頂面の貫通孔32bとシャフト27
が、また平板部の貫通孔32aとアジャストアンカ本体25
の貫通孔28とが各々同心になるようにアジャストアンカ
本体25に装着される。このラッチガイド31の装着は、ラ
ッチガイド31の底面に設けた図示しない３個の爪の内、
２個をアジャストアンカ本体25の前記ガイドホール29を
利用して係合させると共に、アジャストアンカ本体25に
設けたさらにもう一個の係合ホール34に残りの爪を係合
させて行う。

ラッチホルダ35は対向する壁面の一部を切り欠いてそ
れらを貫通孔を有する底面36で連結した樹脂製の円筒で
ある。ラッチホルダ35の上側の縁には外側に突き出した
小突起37が各１個設けてある。ラッチホルダ35は底面36
に設けた貫通孔でシャフト27に装着される。

ラッチピース39は断面逆Ｕの字形に成型された樹脂製
の係合部材であり、コの字の両先端39aが下向きに配置
されている。ラッチピース39は上面に設けられた貫通孔
39bで前記シャフト27に装着され、上記のように、両先
端39aを下向きにしてラッチホルダ35の切欠部にはめ込
まれると共にラッチガイド31の凹部31bに嵌合し、ラッ
チホルダ35の底面36にラッチピース39の上面が当接す
る。両先端39aは、さらにラッチピースガイドホール29
を通ってアジャストベース１のラッチホール５と係合す
る。

レボリューションカム41は操作ノブの力の方向を変換
する樹脂製のカム部材である。一方の端面には突起43が
設けてあり、本体円筒部には一対の螺線溝45が設けてあ
る。レボリューションカム41の円筒の内径はラッチホル
ダ35の円筒部の外径より若干大きくしてある。螺線溝45
には、突起43に周方向（第１図の左上方から右下方）へ
の回転力を加えたときにラッチホルダ35とラッチピース
39とが引き上げられるような方向に切ってある。レボリ
ューションカム41の底面にはインロー部41aがあり、ラ
ッチガイド31頂面の貫通孔32bに回転自由に嵌合する。
またレボリューションカム41の底部外周面はラッチガイ
ド31の保持片31aによって保持される。

コイルスプリング47はアジャストアンカ本体25のシャ
フト27に装着され、下端はラッチピース39の上面と接触
する。

スプリングホルダ49は円筒状の樹脂成型品であり、外
周面に各一対の凹部49a、凸部49bを有し、上端に鍔49c
を有した円筒形をしている。スプリングホルダ49は円筒
部を下向きにして、鍔49cの中央に設けられた貫通孔49d
でシャフト27に装着され、その後シャフト27の先端にプ
ッシュナット51が取りつけられる。この状態ではスプリ
ングホルダ49の凹部49aにラッチホルダ35が嵌合し、レ
ボリューションカム41が回転したときその内面段部41b
がスプリングホルダ49の凸部49bに当接してストッパと
なる。スプリングホルダ49が定位置に装着されると、コ
イルスプリング47は若干圧縮されラッチピース39とラッ
チホルダ35には常に下向きの力が与えられる。

また、アジャストアンカ本体25の貫通孔28に取付けら
れるナット53は底部に鍔をもち外面が円筒状のナットで
ある。リーフスプリング55は舌状の出張り部と貫通孔を
もった板バネである。ナット53はその円筒部分をリース
スプリング55の貫通孔55aに通し、さらにアジャストア
ンカ本体25の貫通孔28に通し、ブッシュ57を円筒の外面
にかしめて、アジャストアンカ本体25に固定される。リ
ーフスプリング55の舌状の出張り部は厚み方向にくの字
に曲っており、アジャストベース本体３と、スライダ23
を組込んだアジャストアンカ本体25との間に生じるガタ
を吸収する。

セパレートプレート77は丸い貫通孔77aとほぼ角型の
貫通孔77bの縁部に板と垂直方向の出張り81がある。セ
パレートプレート77は４本のタッピングスクリュー79で
アンカーカバー91に取り付けられる。アンカーカバー91
は、中空の樹脂成型品である。このカバー91には右手で
握ったとき親指の位置に凹部91aがあり、手の平の部分
に貫通孔91bがある。この貫通孔91bとセパレートプレー
ト77の貫通孔77aとは同心になる。

スルーアンカ87はシートベルト301（第２図）の支持
部であり、シートベルト301を通す細長いスリット87aを
もった基部88aと貫通孔87bをもった取付部88bからなっ
ており、基部88aには樹脂が厚くかぶせてある。アンカ
ーサイドカバー89は中空の樹脂成型品で、スルーアンカ
87の取付部88bを収納する形状をしており、取付部88bの
貫通孔87bと同心の貫通孔89aを有している。

リリースボタン95は、樹脂成型品の操作ノブであり、
アンカーカバー91の凹部91aに内包されるように装着さ
れ、視覚的にはアンカーカバー91と一体をなす。リリー
スボタ95には常にボタンスプリング93の力で指の押圧力
と反対方向の力が与えられており、アンカーカバー91の
凹部の中で往復運動を行う。リリースボタン95の裏面に
はレボリューションカム41の突起43に嵌入する凹み95a
が設けてある。

第２図において、ピラーガーニッシュ101はアジャス
トベース１とアジャストアンカ21を覆う。中央には細長
い貫通孔101aを設けてあり、第４図に示すように、内側
にガイド103を有している。ガイド103が作る係合溝103a
にはインナートリム105がスライドできるように係合し
ている。インナートリム105にはピラーガーニッシュ101
のものより小さい長孔105aが設けてある。アジャストベ
ース１はボルト107で車体のセンターピラーパネル302に
固定され、スルーアンカ87にはシートベルト301が支持
される。

アンカーカバー91等をアジャストアンカー21に取り付
けるには、ボルト97のネジ部を第１図に示すアンカーサ
イドカバー89、スルーアンカ87、プラスチックブッシュ
85、プレーンワッシャ83、セパレートプレート77、ツー
スドワッシャ75、ファイバーワッシャ73の各貫通孔にこ
の順序で嵌入する。さらに、インナートリム105の長孔1
05aを通してナット53に螺合する。その際、リリースボ
タン95の裏面の凹み95aにレボリューションカム41の突
起43を嵌入し、セパレートプレート77の出張り81をラッ
チガイド31のスリット33にはめ込む。アンカーカバー91
の貫通孔91bにはキャップ99を取り付ける。第３図に車
体のセンターピラーパネル302に取り付けた本実施例の
装置を示す。

このように構成された本実施例の装置の機能を説明す
ると、ショルダー位置の調整に当って、右手でアンカー
カバー91を握ると、親指がリリースボタン95にかかるか
ら、アンカーカバー91を握りながらリリースボタン95を
操作することができる。リリースボタン95を押すと、レ
ボリューションカム41が回転し、この回転運動を直線運
動に変えてラッチホルダ35を引き上げる。ラッチホルダ
35はスプリング47の付勢力に抗してラッチピース39を持
ち上げるからラッチピース39とアジャストベース本体３
のラッチホール５との係合が外れる。アンカーカバー91
を適当な位置に移動させリリースボタン95を離すと、ボ
タンスプリング93の力でレボリューションカム41は反対
向きに回転して元の位置に戻り、ラッチピース39はコイ
ルスプリング47の力でアジャストベース３に押し付けら
れ、さらにわずかにアンカーカバー91を移動させれば適
当な位置のラッチホール５との係合が行われる。従っ
て、これらの操作は片手で楽に行える。リリースボタン
95はアンカーカバー91の凹部に内包され外側に突き出さ
ないから、握ったときの感触がよい。またカバー91でシ
ートベルト301のスルーアンカ87とリリースボタン95と
を視覚的に一体にしたのでリリースボタン95が突き出さ
ず、全体としてすっきりとしたものとなった。

なお、ラッチピース39とラッチホール５との係合は凹
凸を逆にすることもできる。アジャストベース本体３は
両端固定とせず、上端のみ回動自在に支持してハードト
ップ車等に適用させることもできる。支持部としてのス
ルーアンカはバックルにすることもできる。

（発明の効果） 本発明のシートベルトのショルダー位置調整装置は、
操作ノズを横押し式にし、しかもワンタッチでシートベ
ルト支持点の移動と固定が行えるから、使い勝手がよ
く、誰にでも片手で楽にショルダーの位置調整が行え、
操作ノブを握ったときの感触がアンカーカバーの凹部で
もって内包されてなることで良く、また、支持部の取付
部がアンカーカバーで覆われることで支持部と操作手段
とを視覚的に一体としたので全体としてすっきりとした
ものとなる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例の構成を示す分解斜視図、第
２図と第３図はこの実施例の装置を車体に取り付けた状
態を示す図であり、第２図は分解斜視図、第３図は斜視
図、第４図は第２図のIV−IV断面図、第５図は従来の装
置の分解斜視図、第６図は車室内に取付けた状態の斜視
図、第７図は第５図のVII−VII断面図である。 １……アジャストベース ５……ラッチホール（係止部） 21……アジャストアンカ 39……ラッチピース 41……レボリューションカム（カム部材） 47……コイルスプリング（付勢部材） 87……スルーアンカ（支持部） 88b……スルーアンカ（支持部）の取付部 91……アンカーカバー 95……リリースボタン（操作ノブ） 301……シートベルト

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】車体側に取付けられ位置決め用の複数の方
   形の係止部を有するアジャストベースと、 このアジャストベースに上下移動自在に取り付けられる
   と共に一方に直状のシャフトが突設され且つ他方にシー
   トベルトの支持部を有するアジャストアンカ本体と、 このアジャストアンカ本体のシャフトを中心とする位置
   にあってこのアジャストアンカ本体に設けられたラッチ
   ガイドと、 前記アジャストアンカ本体のシャフトを中心とする位置
   にあって前記ラッチガイドの凹部に係合されることで前
   記アジャストアンカ本体に対して回転不能に支持されて
   なるラッチホルダと、 前記アジャストアンカ本体のシャフトを中心とする位置
   にあって前記ラッチホルダによりスライド案内可能とさ
   れ且つ前記アジャストベースの係止部に対して係脱移動
   自在なラッチピースと、 このラッチピースを前記アジャストベースの係止部に係
   合する方向へ常時付勢してなる付勢部材と、 前記支持部の取付部及び前記カム部材を覆うアンカーカ
   バーの凹部でもって内包されてなる操作ノブと、 この操作ノブの操作力により回転されることで前記ラッ
   チホルダを直線方向に移動させ且つこのラッチホルダ直
   線運動により前記ラッチピースを前記付勢部材に抗して
   前記シャフトに沿って前記アジャストベースの係止部か
   ら離脱する方向へ移動させることが夫々可能なるカム部
   材と、 よりなることを特徴とするシートベルトのショルダー位
   置調整装置。