JP2550307B2 - 腫瘍増殖阻害因子およびその調製方法 - Google Patents

腫瘍増殖阻害因子およびその調製方法

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JP2550307B2 JP60084353A JP8435385A JP2550307B2 JP 2550307 B2 JP2550307 B2 JP 2550307B2 JP 60084353 A JP60084353 A JP 60084353A JP 8435385 A JP8435385 A JP 8435385A JP 2550307 B2 JP2550307 B2 JP 2550307B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は腫瘍増殖阻害因子(TIF)に係わり、特には
ある種の正常ヒト細胞の増殖に副作用を及ぼさずに、あ
る種の腫瘍細胞の増殖を阻害することができる実質的に
精製されたポリペプチド因子に関する。
〔従来の技術とその問題点〕
多くの種類の腫瘍増殖因子(TGF)および増殖阻害物
質が当該分野で知られている。ホリーらは、Proc.Natl.
Acad.Sci.USA77,5989(1980)およびCell Biol.Int.Rep
orts7,525−526(1983)で、アフリカミドリザル腎BSC
−1細胞からの強力な増殖阻害物質の単離について報告
している。それは、ヒト乳癌細胞やヒト正常乳腺細胞と
同様な産生細胞の増殖を阻害することがわかった。ミッ
クメイホーンら〔Proc.Natl.Acad.Sci.USA,79,456−460
(1982)〕は、悪性ラット肝細胞には作用しないが、正
常ラット肝細胞には作用する細胞増殖阻害物質〔Mr(相
対分子量):26,000〕をラットの肝臓から精製した。他
の増殖阻害物質は培養したヒヨコ脊髄細胞で発見されて
いる〔カーゲンら、エクスペリメンタル・ニューロロジ
ー(Experimental Neurology)、58,347−360(197
8);ハリントンら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA77,423−4
27(1980);およびステックら、J.Cell Biol.83,562−
575(1979)〕。
ビカエル〔Nature,231,449−450(1971)〕は、増殖
が平坦域に達した腹水癌をもったマウスから癌細胞のほ
とんどを吸引してしまうと、残っている癌細胞が急激に
増殖することを報告した。十分増殖した腹水癌を担った
マウスから得た、細胞を含まない腹水液を、増殖中の癌
細胞を担ったマウスに注射すると、癌の増殖が著しく抑
制される。ビカエル(上記報文で)は、進行した癌をも
つマウスと、初期癌を担ったマウスを外科手術により結
合(併体結合)させると、初期癌の増殖が著しく抑制さ
れることも観察した。これらの観察〔ビカエル、Europ.
J.Cancer,6,291−296(1970)およびビカエル、上記報
文〕は併体結合のマウス腹膜を通して循環する拡散可能
な阻害因子の存在によって説明され、その因子は充分に
増殖した腹水癌によって産生される、細胞を含まない腹
水中に存在する。この阻害因子の性状は分かっていない
が、腹水癌の増殖率はマウスに存在する癌組織の大きさ
および産生された阻害因子の量を規定する癌組織の大き
さに依存していると推察された。
トダロら〔ブリストル−マイヤーズ・キャンサー・シ
ンポジウム(Bristol−Myers Cancer Symposium)4,222
−223,(1982)〕は、ある種の癌細胞増殖阻害因子の特
性を報告した。トダロら(上記報文で)によるこの観察
は、部分的に精製された製剤に基づけば予備的なもので
あった。そればかりでなく本発明のTIFはいくつかの基
本的な点でこれら先行技術のものとは異なっている。す
なわち、 (1)先行技術のTIFがTGF(腫瘍細胞増殖因子)依存性
の正常細胞の増殖を遮断するのに対して、本発明のTIF
はTGF依存性正常細胞の増殖を抑制しない。
(2)先行技術では、阻害因子には異なった群または型
があるかが不明であったが、本発明では、実際、少なく
とも2種類の異なったTIFが単離され、実質的に精製さ
れ、確定された。それらは先行技術のものとは異なって
いるばかりか、互いに区別し得る。
(3)以前に知られているTIFと異なって、本発明のTIF
は新規なマイトジェン(細胞分裂誘起物質)特性および
ヒト細胞増殖刺激特性を有している。
〔問題点を解決するための手段〕
腫瘍増殖阻害因子は、多様な材料から得られる。例え
ば、尿、血清、血漿および羊水のような哺乳類の体液;
肝臓、心臓、肺、脾臓、筋肉、脳、胎盤、臍帯、腎臓お
よび膵臓のような哺乳類の成体および胎児の組織;組織
培養による正常ヒト細胞のコンディションド・メディウ
ム(細胞培養液の上清)のような様々なコンディション
ド・メディウム;組織培養細胞等からの抽出物である。
腫瘍増殖阻害因子は、酸/エタノール抽出、ゲル浸透
クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、
高速液体クロマトグラフィー等を含めた様々な実験手法
を用いて単離および精製することができる。
添加剤、担体および/またはアジュバンドの中で、当
該分野でよく知られた適当な物質を、もし必要なら用い
ることができる。好ましい物質として、生理食塩水、水
性溶媒、賦形剤、防腐剤、抗菌剤、殺菌剤等が挙げられ
る。
以下に提示されるデータから分かるように、本発明の
腫瘍増殖阻害因子(TIF)は熱安定なタンパクで何種類
も存在する。それはみかけの分子量が3,500ないし45,00
0(ドルトン)の範囲で、等電点(pI)が4ないし8で
あり、TIF−1とTIF−2が代表的である。様々なTIFは
いくぶん疎水的であり、逆相高速液体クロマトグラフィ
ー(RP−HPLC)のC18カラムからアセトニトリル25ない
し50%の間または2−プロパノール10ないし35%の間で
溶出する。様々なTIFのいくつかの特徴および性質は以
後に記載する。
「実質的に精製された」という言葉の意味は、純度が
80%以上である製剤、好ましくは90%以上、さらに好ま
しくは95%以上である製剤ということである。
材料と方法 以後に記載する方法に類似したまたは同等の材料、方
法を使用し得るが、次のものが望ましい。
組織抽出物からの腫瘍増殖阻害因子(TIF)の単離 酸/エタノール抽出法〔ダボレン、Biochem.Biophys.
Acta.,63,150(1902)およびロバートら、Proc.Natl.Ac
ad.Sci.USA,77,3494(1980)に記載〕の改良法により、
組織を抽出した。すなわち、95%(V/V)エタノール375
ml、濃塩酸7.5ml、フッ化フェニルメチルスルホニル(P
MSF)33ngおよびアプロチニン〔0.9%NaClおよび0.9%
ベンジルアルコール中の10−20トリプシン阻害剤単位
(TIU)〕1mlから成る溶液に蒸留水192mlを混合した。
組織をこの溶液に懸濁し(6ml/組織1g)、はさみで細か
く切りそしてソルバールオムニミキサーで均質化した。
4℃で一晩抽出後、その混合物を5000gで30分間遠心
し、ペレットを捨てた。その抽出物を濃水酸化アンモニ
ウムでpH5.0に調整し、抽出物100ml当り1mlの2M酢酸ア
ンモニウム緩衝液(pH5.2)を加えた。この抽出物を500
0gで30分間遠心し、沈殿物を除去した。冷無水エーテル
4容と冷無水エタノール2容をただちに加え、この混合
物を−20℃で48時間静置させた。生じた析出物を沈殿さ
せ、液体の大部分をサイホンで吸い出した。残った懸濁
液を5000gで30分間遠心し、ペレットを得た。このペレ
ットを1M酢酸に溶解し、排除分子量3500のスペクトラポ
ール(Spectrapor)管(スペクトラム・メディカル・イ
ンダストリーズ、カリフォルニア州ロサンゼルス)中で
0.2M酢酸に対して徹底的に透析した。この物質は1M酢酸
中に4℃で保存するか、または凍結乾燥した。
コンディションド・メディウム(細胞培養液の上清) 細胞を含まないコンディションド・メディウムをヒト
横絞筋腫細胞系A673から採取した。細胞を、10%ウシ胎
児血清を補ったダルベッコーの最少必須培地(DMEM)50
mlの入ったコーニング830cm2回転ボトル(コーニング25
140)中で適当に飽和するまで増殖させた。続いて、そ
の単層を血清を含まないDMEM50mlで2回洗った。各回転
ボトルを血清を含まないワイマウスの培地(メロイ・ラ
ブズ社)50ml中で8時間培養した。その培地を捨て、血
清を含まない新しいワイマウスの培地50mlと置換え、細
胞を48時間培養した。こうして「コンディションド・メ
ディウム」を集め、血清を含まない新しいワイマウスの
培地と置換え、さらに48時間培養した。コンディション
ド・メディウムは、A673細胞の適当に飽和した単層ごと
に3回集め会計した。続いて集めたコンディションド・
メディウムを溜めて、ベックマンCF−32ローターを用い
32,000rpm(流出率5l/時間)で遠心し、透明にした。清
澄になった物質をアミコンDC−10中空糸濾過器(遮断分
子量:5000)を使って100倍に濃縮(例えば50lを500ml
に)した。濃縮した物質を溜め、濾過器を200mlの濾液
で洗い残っている因子を除いた。濃縮液と洗浄液をスペ
クトロフォー(Spectrophor)3透析管(遮断分子量:35
00)に溜め、2lの0.1M酢酸に対して透析した。透析した
物質をベックマン35型ローター上にて27.000rpmで1時
間遠心した。ペレットを捨て、上清を凍結乾燥した。
培養細胞 培養細胞を10%FBS(ギブコ)を補ったダルベッコー
の改良型イーグル培地の入った75cm2プラスティック製
組織培養フラスコ(ファルコン3024)中で37℃に維持し
た。ただし10%ウシ血清を要求する細胞系3T3 202,49F
およびキルスタインウイルスで形質転換した正常ラット
腎細胞(KNRK)にはこの条件があてはまらない。A549は
ヒト肺の腺癌である。HuFは組織培養で10ないし25回継
代したヒト包皮線維芽細胞系であり、J.レビー(サンフ
ランシコクのカリフォルニア大学、ガン研究所)から供
与された。3T3 2−2はウィグラー(ニューヨークのコ
ールドスプリングハーバー研究所)から供与されたマウ
スNIH 3T3細胞のなかの1種のクローンである。
ゲル浸透クロマトグラフィー 凍結乾燥したコンディションド・メディウム(コンデ
ィションド・メディウム30ないし100lから得た200ない
し300mg)を1M酢酸15ないし20ml中に再び懸濁させ、バ
イオ−ゲルP−100(100−200メッシュ、ポリアクリル
アミドゲルバイオ・ラド)をつめたカラム(5×82.5c
m)にかけ、平衡化させて、4℃にて1M酢酸で溶出させ
た。複数の分画(12.4ml)を集めた。そして2本置きの
各分画からアリコート2.5μlを取り、TIF活性を測定し
た。また2本置きの各分画からアリコート100μlを取
りTGF活性を測定した。増殖調節活性(各種のTIFおよび
TGF)を含む分画を3種のプールAないしC(第1図)
に分け、凍結乾燥した。
プールBは凍結乾燥し、バイオ−ゲルP−10カラムで
さらに精製した。凍結乾燥した試料(20ないし40mg)を
1M酢酸5ないし7mlに溶解し、不溶物質を除くために4
℃で30分間200gで遠心した。上清をバイオ−ゲルP−10
(200ないし400メッシュ、ポリアクリルアミド、バイオ
−ラド)にかけ、平衡化して、4℃にて1M酢酸で溶出さ
せた。複数の分画(4.6ml)を集め、アリコート100μl
を2本置きの各分画から取り、TIF活性を測定した。
逆相高圧液体クロマトグラフィー(RP−HPLC) バイオ−ゲルP−10カラムからTIF活性のピークを含
む分画を集めた。典型的にはこれら分画は分画44ないし
47であった。コンディションド・メディウム30ないし60
l相当からの物質を各HPLCに使用した。複数のバイオ−
ゲルP−10分画を合わせて凍結乾燥した。残渣を0.05%
トリフルオロ酢酸1mlに再び懸濁した。この溶液は、不
溶物質を除くために1000gで5分間遠心した。上清をウ
ォーターズμボンドパーク(μBondapak)C18カラム
(0.39×30cm)に注入した。IBMの濃度勾配液体クロマ
トグラフィー装置(IBM LC/9533)を使用した。カラム
の溶出液を206nmに設定した可変波長紫外(U.V)検出器
(IBM LC/9523)で監視した。206nmで吸収を示す主要ピ
ークの分画を集めた。各分画からアリコートを取り、TI
FまたはTGF活性を測定した。
軟寒天増殖阻害検定 試験のための凍結乾燥後の試料を、0.34%寒天(ディ
フコ、アガーノーブル)および2×104のヒト肺癌細胞A
549を含む最終容積1.4mlの完全増殖培地(10%FBSを補
ったDMEM)に溶解した。処理剤み細胞の軟寒天懸濁液
を、60mmシャーレ(ファルコン3002)につくった完全増
殖培地を含む2mlの0.5%寒天基層2ml上にペレットで加
えた。シャーレを、加湿した5%CO2/95%空気雰囲気中
にて37℃で3週間培養した。7日後、培養物に完全増殖
培地を含む0.34%寒天1.5mlをさらに加えた。2週間後
および3週間後に増殖の様子を顕微鏡写真で撮影した。
腫瘍増殖阻害因子検定 試験細胞(3×103細胞/穴)を、完全培地50μlの
入った96穴組織培養板(タンク167008)上で二次培養し
た。ヒト肺癌細胞A549は1穴あたり4.5×103)細胞の播
種密度を必要とした。カラム分画からのアリコートによ
りTIF活性を測定するが、そのアリコートをウシ血清ア
ルブミン(BSA)(シグマA−6003)1mg/m1M酢酸溶液50
μlを含む滅菌済12×75mm試験管に移し、凍結乾燥し
た。検定直前にその凍結乾燥した試料を完全培地200μ
l中に再び懸濁させた。再懸濁させた試料のアリコート
50μlを試験細胞を含む穴に加えた。各サンプルを3回
検定した。細胞を加湿した5%CO2/95%空気雰囲気中で
37℃にて72時間培養した。培養期間の終りに各穴を5−
125I〕アイオド−2−デオキシウリジン(125IUdR)
(アメルスハムIM.355V)1μCi/mlを含む完全培地100
μlで24時間処理した。単層を緩衝液〔1mg/mlBSAおよ
び50mM2−シス(2−ヒドロキシエチル)アミノエタン
スルホン酸を含むダルベッコーの改良型イーグル培地、
pH6.8〕で一度洗浄し、無水メタノール中で10分間固定
し、15分間空気乾燥した。細胞に取込まれた125IUdRを1
N NaOH200μlで可溶化し、60℃で20分間インキュベー
トした。各穴中の細胞によって取込まれ、可変化された
125IUdRをタイターテック上澄回収システム(フロ・ラ
ボラトリーズ、78−210−05)を用いて回収・測定し
た。細胞増殖の量を、対数増殖期にある細胞のDNAに取
込まれた125IUdRの量から概算した。検定を行なう前
に、細胞の増殖程度を肉眼で確認するために、各穴をラ
イツの倒立顕微鏡を使って観察した。顕微鏡観察による
処理細胞の増殖阻害の程度は、125IUdRの取込み量の減
少と一致していた。増殖の阻害は、未処理の対照細胞に
よって取込まれた125IUdRに対するTIFで処理した試験細
胞(例えばヒト腫瘍細胞)に取込まれた125IUdRの比に
よって表わした。単層培養中で腫瘍細胞の125IUdRの取
込みを最も阻害するカラム分画は、軟寒天上で腫瘍細胞
の増殖を最も阻害した。細胞増殖の増大が顕微鏡観察で
認められる条件は125IUdRの取込みの増大と一致してい
た。細胞増殖の増大は、パーセント刺激として表わされ
るが、未処理の対照細胞により取込まれた125IUdRに対
してTIFで処理した試験細胞(例えば、正常ヒト細胞)
により取込まれた125IUdRの比に対応する。
マイトジェン(細胞分裂誘起物質)検定 10%ウシ血清を補ったDMEM100μlの入った96穴組織
培養板(タンク167008)中で試験細胞(3T3 2−2)を
二次培養(1.5×104細胞/穴)し、37℃で24時間培養し
た。培地を、0.5%ウシ血清を補ったワイマウス培地(1
00μl/穴)で置換え、37℃でもう一回24時間培養した。
試験するカラム分画のアリコートを、1M酢酸50μlを含
む滅菌済み12×75mm試験管(ファルコン2058)へ移し、
凍結乾燥した。凍結乾燥した試料を2μCi/mlの125IUdR
を含む血清の入っていないワイマウス培地300μlに再
び懸濁し、3回検定した。再懸濁した試料100μlを、
0.5%ウシ血清の入ったワイマウス培地100μlと試験細
胞を含む各穴に加えた。もう一回24時間37℃で培養した
のち、単層を洗い、腫瘍増殖阻害因子検定のために前記
の通りに回収した。
混合実験 第4図のRP−HPLC精製段階から得た28ないし33%のア
セトニトリルで溶出する分画、すなわちTIF−1活性を
有する分画をこの実験で使用した。バイオ−ゲルP−10
0カラムのプールA(第1図)に由来する分子量20,000
のTGFをμボンダパークC18カラムを取付けたRP−HPLCを
用い、0.05%トリフルオロ酢酸(TFA)に溶かした20%
アセトニトリルで直線濃度勾配をかけて溶出させた。そ
れをさらに0.05%トリフルオロ酢酸に溶かした12%プロ
パノールで直線濃度勾配をかけて溶出させながらμボン
ダパークC18カラムで精製した。A549細胞(検定あたり
1.5×103細胞)を完全培地0.3mlに溶かしたTGFおよび/
またはTIF−1と混合した。0.5%寒天溶液0.64mlと各分
画を混合し、その懸濁液を24穴組織培養シャーレ(タン
ク169690)中の0.5%寒天基層に加えた。シャーレを加
湿した5%CO2/95%空気雰囲気中で37℃にて培養した。
3週間後、コロニーを0.052%p−アイオドニトロテト
ラゾリウムバイオレット(11)0.5mlで染色した。
(A):未処理対照細胞。(B−D):TIF−1の1:5逓
減希釈液(Bではタンパク15μg/ml)で処理した細胞。
(E)TGF12ng当量/ml〔ng当量とは、放射線受容体検定
において既知の濃度のEGF(上皮増殖因子)に対して競
合するTGFの濃度と定義する〕で処理された細胞。(F
−H):TGF12ng当量/mlおよびTIF−1の1:5逓減希釈液
(Fではタンパク15μl/ml)で処理した細胞。
TIFの特性決定 トリプシン感受性は、0.1M酢酸アンモニウム(pH7.
4)0.9ml中のTIF76μgにトリプシン(シグマT8253)25
0μgを添加して、それを37℃で1時間培養して試験し
た。トリプシンは、ダイズトリプシンインヒビター(シ
グマ・T−9003)500μgを加えることによって不活性
化した。処理したTIFおよび対照TIF両方を室温でもう1
時間培養した。続いて各試料に1M酢酸0.2mlを添加し、
ただちに凍結乾燥した。
還元剤の効果は、0.065Mジチオトレイトール(DTT)
(シュワルツ/マン、90251)を含む0.1MNH4HCO30.9ml
中の76μgTIF(バイオゲルP−100のプールB)を室温
で1時間培養して試験した。DTT処理のTIFのアリコート
および未処理対照のアリコートをスペクトロフォー3透
析管に移し、1%酢酸(V/V)に対して徹底的に透析し
た。次に、透析後の試料を凍結乾燥し、TIF活性を試験
した。
TIFの熱安定性は、TIFのいくつかのアリコート360μ
gを1M酢酸1mlに再懸濁し、1つのアリコートを56℃30
分およびもう1つのアリコートを沸騰水中で3分間処理
して試験した。熱処理したアリコートと熱処理をしない
対照を凍結乾燥し、TIF活性の試験をした。
〔実施例1〕 TGFおよびTIFを含み血清の入っていないコンディショ
ンドメディウム(ヒト腫瘍細胞系A673に由来)はバイオ
ゲルP−100カラムにかけられ、分画に分けられた(第
1図)。タンパクの大部分は排除体積の部分に溶出す
る。第1図から明らかなように、分画55ないし68にTGF
活性を明確に示す部分〔プールA(Mr=20,000)と標
示〕があった。TGF活性は、分画から取ったアリコート
の、上皮成長因子(EGF)に対する受容体への結合に拮
抗する能力を測定して決めた。トダロら〔Proc.Natl.Ac
ad.Sci.USA,77,5258−5262〕の放射線受容体検定法を使
用した。
第1図に、TIF活性のある3つの主要領域を示す。大
きな分子量をもつTIFはMr=28,000部分に溶出した。プ
ールBと標示されたTIF活性(分画69ないし95)は10,00
0ないし16,000のMrに相当した。プールCと標示されたT
IF活性(分画96ないし133)は5,000ないし10,000のMrに
相当した。TIF活性のある各主要領域にはいくぶん異質
性があった。第1図で観察されたTIF活性のある3領域
はどれも全くTGF活性を含んではいなかった。
軟寒天中での細胞の足場非依存性増殖は腫瘍細胞の1
つの特徴である。バイオゲルP−100カラムから得たTIF
活性のある各領域からのいくつかのアリコートを、軟寒
天上のヒト腫瘍細胞増殖に対するそれらの影響について
調べた。第2図は軟寒天中でのヒト癌A549細胞の顕微鏡
写真である。腫瘍細胞の未処理対照懸濁液は軟寒天中で
増殖し大きなコロニーを形成した。プールBからのTIF
で処理した細胞は、軟寒天中での増殖能が著しく阻害さ
れた。顕微鏡写真(第2図)に見られるように、処理さ
れた腫瘍細胞は軟寒天中で増殖しえないが、細胞死やそ
れに続く自己消化には到らないようであった。プールB
をHPLCで精製したTIFに関して、軟寒天中でのA549の増
殖阻害が同様に観察された。これらの結果によれば、TI
Fは細胞毒性があるというよりも増殖阻害作用があると
思われた。
血清の入っていないコンディションド・メディウムか
ら得られた腫瘍増殖阻害活性は、インターフェロン活性
が存在するためであるとは言えない。ヒト肺癌細胞の増
殖阻害は、わずか3国際単位(IU)と低い力価のインタ
ーフェロンで処理した後観察された。これに匹敵する腫
瘍細胞増殖の阻害が、プールBからのTIF360μg/mlによ
る処理で観察された。しかし、このTIF試料の1000倍濃
縮液を試験したときインターフェロン活性は検出されな
かった。
正常ヒト線維芽細胞(HuF)およびヒト肺癌(A549)
をTIF−1の濃度を順次高めて処理したとき、ヒト腫瘍
細胞の濃度依存性阻害は認められたが、正常ヒト線維芽
細胞の濃度依存性刺激は認められなかった。ヒト腫瘍細
胞はTIF−1により阻害されたが、正常ヒト線維芽細胞
は阻害されなかった。したがってTIF−1はすべての細
胞の増殖を阻害するものではない。
TIF−1は、第4図に示すようにμボンダパークC18
ラムを用いたRP−HPLCにより、アセトニトリル/0.05%T
FAを3段階の直線濃度勾配をかけて、プールB(第1
図)から精製された。溶出は次のように行なった。まず
0.05%TFA中のアセトニトリル0ないし25%の直線濃度
勾配15分、つぎに0.05%TFA中のアセトニトリル25ない
し45%の直線濃度勾配80分、さらに0.05%TFA中のアセ
トニトリル45ないし100%の直線濃度勾配15分。TIF活性
は、2つの異なったアセトニトリル濃度で溶出したとこ
ろに観察された。すなわち28−33%間のアセトニトリル
濃度のところと、38−42%間のアセトニトリル濃度のと
ころである。これらのTIF活性をTIF−1と標示した。38
%ないし42%間のアセトニトリル濃度で溶出するTIF活
性は、プールAからのいくつかの重複した分画をプール
B(第1図)と混ぜてRP−HPLC(第4図)で精製したと
き、観察された。バイオゲルP−10カラムの斜線部分か
ら集めた分画を、RP−HPLCにて28%ないし33%間で溶出
させると、TIF−1活性をもつピーク2つのみが生じ
る。
ヒト肺癌細胞の増殖はTIF−1により阻害されるが、
ヒト正常線維芽細胞はTIF−1により刺激されることが
観察された。したがって、TIF−1を使って、血清飢餓
状態の静止期の3T3マウス細胞でのマイトジェン活性の
試験を行なった。
TIF−1を含む分画からのアリコートのTIF量は、観察
されたマイトジェン活性量と一致していた(第4図)。
ヒト腫瘍細胞でのTIFの阻害活性は、正常マウスおよび
正常ヒト細胞でのマイトジェン活性と一致していたが、
この一致はTIF精製のすべての段階で観察された。した
がって、TIF−1は標的細胞の性質に依存する様々な生
物学的特性を有している。
μボンダパークC18カラムを使って28ないし33%間の
アセトニトリルで溶出するTIF−1活性は、さらにμボ
ンダパークC18カラムを使ったRP−HPLCにより精製した
(第5図)。溶出は2−プロパノールの直線濃度勾配を
かけて次のように行なった。すなわち、0.05%TFC中の
2−プロパノール0.18%の直線濃度勾配10分、0.05%TF
C中の2−プロパノール18ないし22%の直線濃度勾配10
分、0.05%TFC中の2−プロパノール22ないし28%の直
線濃度勾配60分、0.05%TFC中の2−プロパノール28な
いし30%の直線濃度勾配10分、0.05%TFC中の2−プロ
パノール30ないし100%の直線濃度勾配15分。TIF−1
は、2−プロパノール18%ないし22%間で溶出すること
が認められた。RP−HPLCを使って2−プロパノールの直
線濃度勾配により精製したTIF−1は、206nmにおける吸
光度から概算されるように一連のng/mlの濃度で著しいT
IF活性を示した。
TIF−1の特性 TIF−1の特性をいくつか第1表に示す。
TIF−1はトリプシンやDTTにより不活化される。この
ことから、TIF−1は活性に完全なジスルフィド結合を
必要とするタンパクであることが示唆される。TIF−1
は、56℃30分および100℃3分の熱処理に対して安定で
ある。ヒト癌細胞の増殖阻害は、TIF−1が1時間以内
に除かれれば、95%可逆的であった。腫瘍細胞をTIF−
1に長く晒すと、増殖の阻害度が対応して高まった。
ヒトおよびヒト以外の様々な細胞系の増殖に対するTI
F−1の阻害活性スペクトルを第2表に示す。正常ヒト
細胞の増殖がTIF−1により刺激されることは注目に価
する。これらの研究には以下の細胞が含まれる。すなわ
ち生体外で10ないし25回継代した正常ヒト線維芽細胞
株、ヒト線維芽細胞の初期継代細胞(組織移植片から6
回の継代)および正常ヒト上皮細胞の初期継代細胞(組
織移植片から3回の継代)。肺腺癌A549および乳癌MCF7
のような何種類かの細胞はTIF−1による増殖阻害に対
して高い感受性を示した。膀胱癌や黒色腫のような他の
腫瘍は増殖阻害に対して感受性が低かった。正常アメリ
カミンク肺上皮細胞も感受性は非常に低かった。
ヒト腫瘍細胞を組織培養で維持したとき、TIF−1の
処理による増殖阻害への感受性に関する影響も同様に調
べた。ヒト腫瘍細胞を組織培養で長く維持すればするほ
ど、TIF−1で処理したとき、それは増殖阻害に対して
より強い抵抗性を示すようになった。TIF−1の供給源
であるヒト横絞筋腫(A673)および肺癌(A549)がこの
効果を示した(第2表)。少ない回数継代した細胞の増
殖阻害に対する感受性は高いが、何回も継代した細胞は
より強い抵抗性を示した。ヒト腫瘍が1次移植片により
類似していればしているほど、それはTIF−1による阻
害に対してより強い反応性を示すと考えられる。
第2表に掲げたヒト腫瘍細胞のすべては、その増殖が
TIF−1処理により阻害された。ウイルスにより形質転
換した細胞に対するTIF−1の効果を第3表に示す。第
2表で見られたように、正常ヒト線維芽細胞Wi38の増殖
はTIF−1の処理により阻害されず、むしろ増殖の刺激
が観察された。しかしながら、他方SV40で形質転換した
細胞の増殖はTIF−1により著しく阻害された。ウイル
スで形質転換した細胞のこのような増殖阻害はラットの
細胞でも同様に観察された。正常ラット腎細胞(NRK)
の増殖はTIF−1により阻害されなかった。しかし、TIF
−1で処理したこれらの細胞の増殖は若干刺激されるこ
とが観察された。ウイルスで形質転換したNRKキルステ
ン肉腫(KNRK)細胞の増殖もTIF−1により阻害され
た。DNAおよびRNAウイルスで形質転換した細胞の増殖は
TIF−1により阻害されるが、一方その親である非形質
転換細胞は増殖が刺激された。
ヒト腫瘍細胞由来のコンディションド・メディウム
は、複数の腫瘍増殖因子(TGF)と複数の腫瘍増殖阻害
因子(TIF)の両方を含むことが観察された。TIF,TGF
(両方とも同一材料の腫瘍細胞コンディションド・メデ
ィウム由来)およびTIFとTGFの混合物の効果を、軟寒天
上でヒト肺癌細胞(A549)の増殖に関して検討した。そ
れを第6図に示す(前記の混合実験参照)。穴AはA549
細胞の未処理対照懸濁液で、これは軟寒天中でコロニー
を形成した。穴BないしDはTIF−1の様々な希釈液で
処理した細胞の軟寒天懸濁液を含む。穴CおよびDは、
3.0および0.6μg/mlのTIF−1でそれぞれ処理したもの
であり、TIF濃度が低いほど腫瘍細胞の増殖は阻害され
にくくなることを示している。しかし、0.6μg/mlのTIF
−1で処理したA549細胞の軟寒天懸濁液においても、な
お肉眼で認められる腫瘍細胞の増殖阻害が起きている。
下段の列の穴EないしHは、軟寒天上でのA549細胞の増
殖に関するTGF(穴BないしDにおいて用いられたTIFを
産生したと同じ細胞のコンディションド・メディウムに
由来)の効果を示している。穴Eは12ng当量/mlのTGFで
処理したものである。Mr20,000のTGFは軟寒天中でヒト
癌細胞の増殖を高めた。穴FはTGF(12ng当量/ml)とTI
F−1(15μg/ml)とで処理したものである。穴Eにお
いて、腫瘍細胞の軟寒天中での増殖を高めた濃度のTGF
存在下でさえも、ヒト腫瘍細胞の軟寒天中での増殖はTI
F−1により著しく阻害された。穴FないしHにおい
て、TIF濃度を下げると、軟寒天中でTGF処理腫瘍細胞の
増殖が高まった。様々な処理による軟寒天中のヒト腫瘍
細胞のコロニーの大きさを第4表に示す。未処理ヒト癌
細胞は、軟寒天中で直径0.3mmのコロニーを形成した。1
2ng当量/mlのTGFで処理したヒト癌細胞は、軟寒天中で
直径0.5mmのより大きなコロニーを形成した。TIFで処理
した腫瘍細胞は、TIF濃度に応じて軟寒天中でより小さ
な大きさのコロニーを形成した。12ng当量/mlのTGFと3
μg/mlのTIF−1の混合物で処理した腫瘍細胞は、軟寒
天中でTGFまたはTIFによって処理されなかった対照の腫
瘍細胞と同じ大きさのコロニーを形成した。
これらの結果から次のことが結論ずけられる。(1)
TIFは軟寒天中での腫瘍細胞の足場非依存性増殖を阻害
する。(2)TGFは軟寒天中での腫瘍細胞の足場非依存
性増殖を亢進させる。(3)TIF−1はEGF受容体への結
合に対して拮抗しないが、それは軟寒天中での腫瘍細胞
の足場非依存性増殖に関するTGFの効果に対して拮抗的
である。同様の混合実験でTGFに換えてEGFを用いた場合
にも、同様の結果が観察された。
混合実験から得られた結果(第4表)によれば、生体
外の軟寒天検定においてTGFはTIF−1の効果を中和し得
るということが示された。第1図において、TGF活性を
含むプールAにはTIF活性は検出されなかった。Mr18,00
0ないし20,000のTGFを含むプールAをRP−HPLCで精製し
た場合、TIF活性はTGF活性と分離し、38ないし42%の間
のアセトニトリルで溶出することが観察された。プール
AのTGFはMr18,000ないし20,000のTIFの存在を明らかに
遮蔽していた。
第2表に示された如く、TIFは正常細胞の増殖を刺激
する。したがって、TIFはマイトジェンとなり得るし、
血清飢餓状態のマウス細胞のような静止期の細胞におい
てEGF受容体を介した相互作用によりDNA合成を刺激し得
るという可能性が研究の対象となった。EGFとTIF−1の
双方には、マウス細胞系NIHクローン7に対して実質的
にマイトジェン刺激能があることが分った。EGF受容体
が機能しないマウス細胞系NR6/6細胞を用いた同様な実
験によれば、EGFにはマイトジェン活性がないが、TIF−
1はマイトジェンとして作用することが示された。した
がって、増殖刺激性およびマイトジェン活性は、EGF受
容体を介して機能するのではないと考えられる。
要約すると、上記の事実から、何種類かの腫瘍増殖阻
害因子(TIF)はヒト腫瘍細胞系A673から産生され、バ
イオ・ゲルP−100ゲル濾過クロマトグラフィーから観
察されるところによれば、分子量が28,000、18,000ない
し22,000、10,000ないし16,000および5,000ないし10,00
0であることが考察し得る。TIF−1と称されるMr10,000
ないし16,000のTIFは部分的に精製されており、その特
性が決定された。TIF−1は酸および熱に安定なタンパ
クであることがわかった。またトリプシンおよびDTTに
より失活した。それは、様々な段階のヒト腫瘍細胞、ウ
イルスにより形質転換されたヒトおよびラット細胞並び
に正常アメリカミンク肺上皮細胞といった幅広い範囲の
細胞の増殖を阻害した。TIF−1は試験に用いられた様
々な正常ヒト線維芽細胞または上皮細胞のいずれの増殖
をも阻害しなかった。事実、TIF−1は様々な正常ヒト
線維芽および上皮細胞の増殖を刺激した。
混合実験(第6図および第4表)によれば、どのよう
に腫瘍細胞がTIFとTGF双方を産生し得るか、そしてさら
に癌の表現型を提示するかということが示唆される。TG
FよりもTIFをより多く産生する腫瘍細胞は、良性となり
得または退行し得るが、一方より進行性および転移性で
ある腫瘍細胞はTIFよりもTGFをより多く産生し得る。様
々なTGFおよびTIFの異常な産生は、結果として腫瘍を発
生し得る。したがって産生されるTIFとTGFの比がわかれ
ば、それが腫瘍細胞増殖程度の重要な決定要素として役
立ち得るであろう。TIFの体外からの投与は、正常細胞
に影響を与えずに腫瘍細胞の増殖を調節する非常に強力
な手段となり得る。
TIF−2の調製 培養細胞 培養細胞は、上記の如く10%FBS(ギブコ)を添加し
たダルベッコーの改良型イーグル培地(DMEM)の入った
75cm2組織培養フラスコ(ファルコン,3024)中で37℃に
て維持された。
TIFおよびTGFの原料 ヒト横絞筋腫細胞系A673から得た血清を含まないコン
ディションド・メディウムを、上記のごとく処理し、1M
酢酸中でバイオ−ゲルP−100によりクロマトグラフィ
ーを行なった。
CM−セルロースによるクロマトグラフィー 上記の方法によりバイオ−ゲルP−100カラムの何回
かの操作から得られた何本かのTGF活性のある分画を集
め、凍結乾燥した。そして1M酢酸5ml中で再調製し、5mM
酢酸アンモニウム(pH4.5)に対して4℃で一晩透析し
た。この試料を22℃にて175,000gで30分間遠心し、カル
ボキシメチル−セルロース(ワットマン、CM−23)のカ
チオン交換カラムに懸けた。溶出は、2つの容器から成
る定レベル装置〔第1番目の溶器には開始緩衝液(5mM
酢酸アンモニウム、pH4.5)200mlおよび第2番目の容器
には限定緩衝液(0.5M酢酸アンモニウム、pH6.8)を含
む〕からポンプで液を引出し(22℃で流出率80ml/時
間)直線濃度勾配をつけて行なった。複数の分画のアリ
コートを1M酢酸0.5mlを添加して滅菌し、試験前に凍結
乾燥した。
逆相高圧液体クロマトグラフィー(RP−HPLC) CM−セルロースカラムから得られたTIF−2の生物学
的活性部分を集め、凍結乾燥した。そして0.05%アセト
ニトリル1ml中に再懸濁し、カラムに懸ける前に1000gで
5分間遠心し不溶物質を取除いた。上清をウオーターズ
μボンドパークC18カラム(0.39×30cm)に懸けた。ウ
オーターズ濃度勾配液体クロマトグラフィー装置を利用
し、カラムからの溶出液を波長可変UV検出装置で214nm
にて監視した。各分画からのアリコートを試験前に凍結
乾燥した。
軟寒天検定 A375Ag5細胞1×104の懸濁液を凍結乾燥したTIF−2
および0.34%寒天(ディフコ、ノーブル)と混合し、10
%FBSを含んだDMEMで合計溶量0.94mlとした。それをた
だちに35mm組織培養シャーレの中の0.5%寒天基層の上
にピペットで播種した。細胞を5%CO2/95%空気の加湿
した雰囲気中にて37℃で培養した。8日後顕微鏡写真を
撮った。
TIF検定 試験細胞を二次培養し、TIF−2で処理して、上記の
如く125IUdRの取込みを調べた。阻害と刺激を対照に対
するパーセントで表わした。
マイトジェン活性検定 NIHクローン7およびHuF細胞を、96穴組織培養板(ヌ
ンク167008)中の各穴あたり細胞密度1×104で10%FBS
を含むDMEMに二次培養した。37℃で24時間培養の後、培
地をFBS0.1%を含むワイマウス培地と交換することによ
り72時間血清飢餓状態に維持した。細胞をTIF−2で処
理し、上記の如く125IUdR取込みを調べた。
TGF検定 TGF活性は、上記の如く125IUdR放射受容体結合検定に
よって拮抗能を調べることにより決定した。
実施例2 A673細胞から得た血清を含まないコンディションド・
メディウム30lを濃縮し、凍結乾燥しそして280mgのタン
パクを1M酢酸で抽出した。これを1M酢酸で平衡化したバ
イオ−ゲルP−100カラムに懸けた。2本置きの各分画
からアリコートを取り、TGFおよびTIF活性を測定した。
第7図に示す如く、腫瘍増殖阻害活性の主要ピークは分
子量10,000ないし16,000領域(プールB)および分子量
5,000ないし10,000(プールC)の領域に見出された。
分子量18,000ないし22,000の領域(プールA)には高い
阻害活性は認められなかったが、主なTGF活性を含んで
いた。
何回かのバイオ−ゲルP−100カラムから得たTGF分画
(プールA)を、さらにCM−セルロースクロマトグラフ
ィーにより精製した。この材料は元をただせば227lのコ
ンディションド・メディウムに由来した。これらを集め
てCMセルロースカラム(第8図)に懸けた。合計タンパ
ク量は85mgであった。1本おきの分画からのアリコート
のTGF活性およびTIF活性を測定した。このカラムの溶出
模様によれば、阻害活性の大きなピークはTGF活性ピー
クと分離し得たので、恐らくTGFはTIF活性を遮蔽してい
たことが示唆される。TIF活性のピークとして表わされ
る斜線部分を集め、凍結乾燥し、アセトニトリルの直線
濃度勾配をかけて逆相ウオーターズμボンドパークC18
カラムによる再クロマトグラフィーを行なった。次のよ
うな溶出手順を踏んだ。すなわち、まず0.05%トリフル
オロ酢酸中のアセトニトリル0ないし25%の直線濃度勾
配15分、続いて0.05%トリフルオロ酢酸中のアセトニト
リル25ないし45%の直線濃度勾配80分、さらに続けて0.
05%トリフルオロ酢酸中のアセトニトリル45ないし100
%の直線濃度勾配15分。これを第9図に示す。各分画を
凍結乾燥し、TIF活性を測定した。TIF活性を含む主要ピ
ークはアセトニトリル38ないし42%の間で溶出した。TI
F−1はアセトニトリル28ないし33%の間で溶出するこ
とが前に確められている。TIF−2をプロパノールの直
線濃度勾配によるHPLCでさらに精製し得た。TIF−1は
2−プロパノール19ないし21%の間で溶出することが確
められているが、一方TIF−2は2−プロパノール29な
いし31%の間で溶出した。
TIF−2の特性 A375Ag5細胞をTIF−2(64μg/ml)で処理し、8日後
に顕微鏡写真を撮った。第10図に示すごとく、未処理細
胞は一般に概略100ないし200の細胞を含む直径0.5ない
し1mmの範囲の大きさまで増殖した。これらの細胞を、C
M−セルロースで精製したTIF−2で処理した場合、コロ
ニーの大きさは著しく減少した。処理後最初の数日で小
さなコロニーが認められたが、典型的には3週間後でさ
えも増殖の回復は認められなかった。細胞は生きていた
ので、TIF−2には細胞毒性はなかった。CM−セルロー
スクロマトグラフィーからHPLCへの精製レベルは、第5
表に示された如く125倍であった。各精製段階からの物
質のTIF活性を測定した。125IUdRの取込みを、A549細胞
と正常ヒト線維芽細胞系HuFとを用いて測定した。両試
料においてA549細胞は阻害を、HuF細胞は刺激を受け
た。TIF−1は正常線維芽細胞の増殖を刺激し、マイト
ジェンとしての作用も発揮したので、TIF−2を正常マ
ウス細胞(NIHクローン7)およびHuF細胞を用いてマイ
トジェン検定にかけた。血清飢餓状態の細胞に試験する
因子を添加し、同時に24時間125IUdRを加えて検定し
た。54μg/mlのTIF−2処理による細胞は、10%FBSを含
む細胞よりもかなり高レベルの125IUdRを取込んだ。ヒ
ト線維芽細胞で同一濃度のTIF−2処理を行なった場
合、10%FBSを含む場合と同じような取込みレベルを示
した。TIF−2はマウスNIHクローン7細胞において500n
g/ml程度の低濃度でさえも強力なマイトジェンとなりう
ることが判明した。他方TIF−1のマイトジェン活性は2
0ng/ml程度の低濃度で誘起され得た。
TIFのインターフェロン活性を、メロイ・ラバラトリ
ーズ社(ヴァージニア州、スプリングフィールド)で行
なわれている抗ウイルスインターフェロン検定法に基づ
いて測定した。そして何種かの白血球インターフェロン
(PIFロットP−321)を、A549細胞を使った本発明の腫
瘍増殖阻害検定法により試験した。白血球インターフェ
ロンは、TIF検定(25%阻害)において3IU/mlで検出さ
れ得た。3IU/mlのインターフェロンと同様の阻害を示す
100倍濃度のTIF−2を抗ウイルス検定で試験したが結果
は陰性であった。これにより、TIF−2には抗ウイルス
活性がなく、したがってそれはインターフェロンではな
いことが分かった。
TIF−1のところで記載したように、HPLCで精製したT
IF−2のトリプシン感受性を調べた。それはトリプシン
感受性を示さなかった。TIF−2(13μg/ml、HPLCで精
製)のアリコートを56℃30分間、別のアリコートを100
℃3分熱処理した。対照は室温で放置した。それぞれを
凍結乾燥し、それぞれの腫瘍増殖阻害活性を、試験細胞
としてA549を用いて調べた。活性は50℃では安定であっ
たが、100℃では不安定で阻害度が53%から35%におち
た。
様々な正常および腫瘍細胞を使って、125IUdRの取込
みに関するTIF−2の影響を試験した。試験したヒト線
維芽細胞のすべては刺激された。さらに継代回数の少な
いヒト胎児腎細胞系も同様に刺激された。上皮細胞のみ
を、この培養中に認めることができた。これに反して試
験したすべてのヒト腫瘍細胞では様々な阻害が認められ
た。A549およびA673に関して継代回数の多少により阻害
程度の差が見られるように、組織培養における継代の回
数がいくらか阻害程度の変化の原因となっているのかも
しれない。腫瘍が初期培養に近いほど、TIF−2による
阻害に対しての感受性がより強い。乳癌細胞系、MCF−
7およびA549はよく試験細胞として用いられるが、TIF
−2に対して最も強い感受性を有することが観察され
た。正常アメリカミンク肺細胞系はTIF−1によりきわ
めて阻害されやすいことが示されている。反対にTIF−
2はアミリカミンク細胞にはほとんど、あるいは全く効
果を発揮しなかった。
TIF−2に対する感受性に関してSV40ウイルス形質転
換の効果を検討した。ヒト胎児肺細胞Wi−38(CCL75)
およびそれのSV40により形質転換された細胞(CCL75.
1)の両方についてTIF−2処理後、125IUdRの取込みを
調べた。Wi−38細胞は刺激(11%)され、Wi−38のSV40
形質転換型細胞は阻害(24%)された。同じ効果がTIF
−1についても見られ、それによれば形質転換された表
現型が、TIFによる阻害に要求されるかもしれないとい
うことが強く支持される。ヒト黒色腫クローン系A375Ag
5およびA375Ag5のTIF−1耐性変異型細胞系(A375Ag5−
IRと称す)を用いて、阻害因子とインターフェロンにつ
いての比較を行なった(第7表)。この細胞系を得るた
めに24穴板に単層で生育しているA375Ag5細胞(1×1
04)をTIF−1の活性分画で処理した。その分画はA673
のコンディションド・メディウムをバイオ−ゲルP−10
0カラムに懸けて得られたものである。細胞を一度処理
したが因子は細胞中で10日間残存していた。処理した細
胞は体積を増し、より丸くなり、もはや培養板に接着し
なくなった。これら処理細胞をファルコンの組織培養フ
ラスコ(3013)に移した。細胞は結局定着し、単層状態
で増殖した。単層で数回継代すると、この細胞系は親細
胞系A375Ag5と同じくらい速く増殖した。両細胞系を軟
寒天中に播種すると、A375Ag5は軟寒天中で増殖し直径
0.5ないし1.0mm範囲のコロニーを形成した。ところがA3
75Ag5−IR変異細胞系は軟寒天中でほとんど増殖せず、
コロニーも3ないし5個しか生じなかった。これらの両
細胞系を、腫瘍増殖阻害検定法により試験した。第7表
で明らかなように、親細胞系A375Ag5はTIF−1,TIF−2
および部分的に精製されたインターフェロンにより阻害
を受けた。変異細胞系A375Ag5−IRはTIF−2およびイン
ターフェロンによる阻害には適当な感受性を示したが、
TIF−1に対する感受性を欠いていた。このことによ
り、阻害因子は2種類あり、様々な細胞に対して応答が
異なることが証明された。
さらに、阻害活性に関するTIF−1とTIF−2との間の
差異を第8表のデータによって示す。
TIF−2およびTIF−1は両方ともヒト横絞筋腫細胞系
A673からのコンディションド・メディウムから得られ
た。TIF−2はバイオ−ゲルP−100およびCM−セルロー
スクロマトグラフィーにより部分的に精製された。TIF
−1はバイオ−ゲルP−100クロマトグラフィーにより
部分的に精製された。試験細胞にはヒト肺腺癌A549およ
び正常アメリカミンク肺細胞を使用した。阻害度は、腫
瘍増殖阻害検定により対照のパーセント(125IUdR取込
率)として表わした。
TIF−1とTIF−2を区別する特徴 上記のようなTIF−1は、バイオ−ゲルP−100カラム
による分子量10,000ないし16,000の領域から単離され、
TIF−2活性はMr18,000ないし22,000のところに見出さ
れる。
TIFとTIF−2双方とも、軟寒天中で試験される多数の
ヒト腫瘍細胞および上記の単層培養細胞の増殖を阻害す
る。しかしながら、TIFによる阻害に対する腫瘍細胞の
感受性は、細胞の型、組織培養における継代および試験
されるTIFの種類に応じて異なっている。単層培養では
両TIFは正常ヒト線維芽細胞および正常ヒト胎児腎細胞
を刺激する。
両TIFはその活性が濃度依存性であって、酸および熱
に安定な低分子量因子である。TIFの阻害活性は、その
因子が処理後1時間以内に細胞から除かれれば、可逆的
である。TIF−1はトリプシンに感受性を示す。一方TIF
−2は、その分子量およびそのTIF−1との多くの類似
特性から推すとタンパクであると言えるが、トリプシン
に感受性を示さない。
TIF−1およびTIF−2は、それらが由来する材料であ
るA673細胞の増殖を阻害し得る。この癌細胞系は、様々
な形質転換増殖因子(TGF)、および対照腫瘍細胞に拮
抗的に作用することが予測される少なくとも2種類の腫
瘍増殖阻害因子を産生する。
TIF−1とTIF−2を区別するいくつかの特徴を要約
し、第9表に揚げる。
本発明のTIFの用途の中には、腫瘍増殖を阻害するま
たは正常細胞の増殖を刺激するTIF量と薬理学的に許容
し得る担体およびアジュバントから成る薬剤組成物のよ
うな製剤等が、当然のこととして含まれる。そのような
薬剤組成物は、当該分野で周知の方法を使って調製し得
る。同様に、本発明の物質の利用法の中には、腫瘍細胞
の増殖を阻害する方法も含まれる。その方法の特徴は、
転移しやすい腫瘍のあるまたはそれを注入された宿主
に、その物質を腫瘍の阻害に足る量だけ投与することで
ある。その物質の投与形態および方法は、例えば錠剤、
溶液、懸濁、ペースト、腹腔内、皮下等いかなるもので
あっても可能と言えよう。本発明に基ずいて、創傷を治
療する方法も、含まれるが、それは創傷部位にTIFを治
癒に足る量だけ投与することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
第1図はヒト横絞筋腫からのコンディションド・メディ
ウムを濃縮し、バイオ−ゲルP−100クロマトグラフィ
ーに懸けて溶出させた分画の活性を示すグラフ図、第2
図はヒト腫瘍細胞の軟寒天中での増殖に対するTIFの効
果を示す顕微鏡写真図、第3図は第1図のプールBをバ
イオ−ゲルP−10クロマトグラフィーに懸けて溶出させ
た分画の活性を示すグラフ図、第4図は第1図のプール
Bをバイオ−ゲルP−100クロマトグラフィーに懸けて
溶出させた分画の活性を示すグラフ図、第5図はμボン
ダパークC18カラム(0.39×30cm)を用い20プロパノー
ルで溶出させてTIF−1を精製したとき得られる分画の
活性を示すグラフ図、第6図は同一コンディションド・
メディウムに由来するTIF−1とTGFとの間の拮抗関係を
示す顕微鏡写真図、第7図は横絞筋腫細胞系A673からの
コンディションド・メディウムをバイオ−ゲルP−100
カラムに懸けて溶出させた分画の活性を示すグラフ図、
第8図は第7図のバイオ−ゲルP−100カラム操作を行
なって得られたTGF活性のあるプールAを集めてCM−セ
ルロースクロマドグラフィーに懸けて溶出させた分画の
活性を示すグラフ図、第9図はCM−セルロースを用いて
精製したTIF−2をRP−HPLCに懸けて溶出させた分画の
活性を示すグラフ図、第10図は軟寒天中でのヒト黒色腫
細胞A375Ag5の増殖に対するTIF−2の効果を示す顕微鏡
写真図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ケネス・ケー・イワタ アメリカ合衆国,ニユーヨーク州 11590,ウエストベリー,ナンバー3, サウス・グランド・ストリート 100 (56)参考文献 米国特許4261976(US,A) 欧州特許公開100641(EP,A1)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】軟寒天中で、正常ラットの腎臓NRK−49F細
    胞のTGF依存性増殖を阻害せず、抗ウイルス効果を発現
    させず、腫瘍細胞の増殖を阻害する特性を有し、更に以
    下の性質、即ち (イ)分子量が10,000ないし16,000の範囲であり、 (ロ)4℃で1M酢酸に安定であり、 (ハ)約56℃で約30分の熱処理に対して安定であり、 (ニ)CCL−64正常ミンク肺細胞を阻害し、 及び (ホ)ヒト正常繊維芽細胞の増殖を刺激する、 という性質を備えた、実質的に精製されたポリペプチド
    腫瘍増殖阻害因子1。
  2. 【請求項2】前記腫瘍増殖阻害因子1が、更に以下の性
    質、即ち (イ)100℃で3分間の熱処理に対して安定であり、 (ロ)等電点が4から8の範囲にあり、 (ハ)高速液体クロマトグラフィー(μbondapak C18
    ラム)にて2−プロパノールで約19から21%、又はアセ
    トニトリルで約28から33%の濃度勾配で溶出し、 (ニ)ヒト腫瘍細胞の増殖を阻害し、 (ホ)トリプシン感受性であり、 (ヘ)細胞分裂誘起活性を有し、及び、 (ト)インターフェロン活性が陰性である、 という性質を備えた、特許請求の範囲第1項に記載の腫
    瘍増殖阻害因子1。
  3. 【請求項3】軟寒天中で、正常ラットの腎臓NRK−49F細
    胞のTGF依存性増殖を阻害せず、抗ウイルス効果を発現
    させず、腫瘍細胞の増殖を阻害する特性を有し、更に以
    下の性質、即ち (イ)分子量が10,000ないし16,000の範囲であり、 (ロ)4℃で1M酢酸に安定であり、 (ハ)約56℃で約30分の熱処理に対して安定であり、 (ニ)CCL−64正常ミンク肺細胞を阻害し、 及び (ホ)ヒト正常繊維芽細胞の増殖を刺激する、 という性質を備えた、実質的に精製されたポリペプチド
    腫瘍増殖阻害因子1の調製方法であって、 (イ)前記腫瘍増殖阻害因子1を調製するために適した
    細胞系を培養し、 (ロ)前記腫瘍細胞増殖因子1を水系酸性溶媒又は有機
    溶媒で抽出し、 及び (ハ)前記腫瘍細胞増殖阻害因子1を精製及び単離する
    こと、 を具備した腫瘍増殖阻害因子1の調製方法。
  4. 【請求項4】特許請求の範囲第3項に記載の腫瘍増殖阻
    害因子1の製造方法であって、前記腫瘍増殖阻害因子1
    が、更に以下の性質、即ち (イ)100℃で3分間の熱処理に対して安定であり、 (ロ)等電点が4から8の範囲にあり、 (ハ)高速液体クロマトグラフィー(μbondapak C18
    ラム)にて2−プロパノールで約19から21%、又はアセ
    トニトリルで約28から33%の濃度勾配で溶出し、 (ニ)ヒト腫瘍細胞の増殖を阻害し、 (ホ)トリプシン感受性であり、 (ヘ)細胞分裂誘起活性を有し、及び、 (ト)インターフェロン活性が陰性である、 という性質を備えた製造方法。
  5. 【請求項5】軟寒天中で、正常ラットの腎臓NRK−49F細
    胞のTGF依存性増殖を阻害せず、抗ウイルス効果を発現
    させず、腫瘍細胞の増殖を阻害する特性を有し、更に以
    下の性質、即ち (イ)分子量が10,000ないし16,000の範囲であり、 (ロ)4℃で1M酢酸に安定であり、 (ハ)約56℃で約30分の熱処理に対して安定であり、 (ニ)CCL−64正常ミンク肺細胞を阻害し、 及び (ホ)ヒト正常繊維芽細胞の増殖を刺激する、 という性質を備えた、実質的に精製されたポリペプチド
    腫瘍増殖阻害因子1の腫瘍阻害量、及び薬剤として許容
    しうる担体又はアジュバンドから成る、哺乳動物におい
    て腫瘍細胞の増殖性を阻害するための薬剤組成物。
  6. 【請求項6】特許請求の範囲第5項に記載の薬剤組成物
    であって、前記腫瘍増殖阻害因子1が、更に以下の性
    質、即ち (イ)100℃で3分間の熱処理に対して安定であり、 (ロ)等電点が4から8の範囲にあり、 (ハ)高速液体クロマトグラフィー(μbondapak C18
    ラム)にて2−プロパノールで約19から21%、又はアセ
    トニトリルで約28から33%の濃度勾配で溶出し、 (ニ)ヒト腫瘍細胞の増殖を阻害し、 (ホ)トリプシン感受性であり、 (ヘ)細胞分裂誘起活性を有し、及び、 (ト)インターフェロン活性が陰性である、 という性質を備えた薬剤組成物。
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