JPH08231593A - 腫瘍増殖阻害因子およびその調製方法 - Google Patents

腫瘍増殖阻害因子およびその調製方法

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JPH08231593A JP7346642A JP34664295A JPH08231593A JP H08231593 A JPH08231593 A JP H08231593A JP 7346642 A JP7346642 A JP 7346642A JP 34664295 A JP34664295 A JP 34664295A JP H08231593 A JPH08231593 A JP H08231593A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】腫瘍増殖阻害因子(TIF)、特にある種の正
常ヒト細胞の増殖に副作用を及ぼさずに、ある種の腫瘍
細胞の増殖を阻害することができる実質的に精製された
ポリペプチド因子を提供することにある。 【解決手段】本発明のTIFはTGF依存性正常細胞の
増殖を抑制しない。また、本発明では、少なくとも2種
類の異なったTIFが単離され、実質的に精製され、確
定された。それらは先行技術のものとは異なっているば
かりか、互いに区別し得る。以前に知られているTIF
と異なって、本発明のTIFは新規なマイトジェン(細
胞分裂誘起物質)特性およびヒト細胞増殖刺激特性を有
している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は腫瘍増殖阻害因子
(TIF)に係わり、特にある種の正常ヒト細胞の増殖
に副作用を及ぼさずに、ある種の腫瘍細胞の増殖を阻害
することができる実質的に精製されたポリペプチド因子
に関する。
【0002】
【従来の技術】多くの種類の腫瘍増殖因子(TGF)お
よび増殖阻害物質が当該分野で知られている。ホリーら
は、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77, 5989 (1980 )および
Cell Biol.Int.Reports 7, 525-526 (1983) で、アフリ
カミドリザル腎BSC−1細胞からの強力な増殖阻害物
質の単離について報告している。それは、ヒト乳癌細胞
やヒト正常乳線細胞と同様な産生細胞の増殖を阻害する
ことがわかった。ミックメイホーンら[Proc.Natl.Aca
d.Sci.USA, 79, 456-460 (1982)]は、悪性ラット肝細
胞には作用しないが、正常ラット肝細胞には作用する細
胞増殖阻害物質[Mr(相対分子量)=26,000]
をラットの肝臓から精製した。他の増殖阻害物質は培養
したヒヨコ脊髄細胞で発見されている[カーゲンら、エ
クスペリメンタル・ニューロロジー(Experimental Neu
rology),58,347-360 (1978);ハリントンら、Proc.Nat
l.Acad.Sci.USA 77,423-427 (1980); およびステック
ら、J.Cell Biol. 83, 562-575 (1979) ]。
【0003】ビカエル[Nature, 231, 449-450 (1971)
]は、増殖が平坦域に達した腹水癌をもったマウスか
ら癌細胞のほとんどを吸引してしまうと、残っている癌
細胞が急激に増殖することを報告した。十分増殖した腹
水癌を担ったマウスから得た、細胞を含まない腹水液
を、増殖中の癌細胞を担ったマウスに注射すると、癌の
増殖が著しく抑制される。ビカエル(上記報文で)は、
進行した癌をもつマウスと、初期癌を担ったマウスを外
科手術により結合(併体結合)させると、初期癌の増殖
が著しく抑制されることも観察した。これらの観察[ビ
カエル、Europ.J.Cancer, 6, 291-296 (1970) およびビ
カエル、上記報文]は併体結合のマウス腹膜を通して循
環する拡散可能な阻害因子の存在によって説明され、そ
の因子は充分に増殖した腹水癌によって産生される、細
胞を含まない腹水中に存在する。この阻害因子の性状は
分かっていないが、腹水癌の増殖率はマウスに存在する
癌組織の大きさおよび産生された阻害因子の量を規定す
る癌組織の大きさに依存していると推察された。
【0004】トダロら[ブリストル−マイヤーズ・キャ
ンサー・シンポジウム(Bristol-Myers Cancer Symposi
um)4, 222-223, (1982)] は、ある種の癌細胞増殖阻害
因子の特性を報告した。トダロら(上記報文で)による
この観察は、部分的に精製された製剤に基づけば予備的
なものであった。そればかりでなく本発明のTIFはい
くつかの基本的な点でこれら先行技術のものとは異なっ
ている。すなわち、 (1)先行技術のTIFがTGF(腫瘍細胞増殖因子)
依存性の正常細胞の増殖を遮断するのに対して、本発明
のTIFはTGF依存性正常細胞の増殖を抑制しない。
【0005】(2)先行技術では、阻害因子には異なっ
た群または型があるかが不明であったが、本発明では、
実際、少なくとも2種類の異なったTIFが単離され、
実質的に精製され、確定された。それらは先行技術のも
のとは異なっているばかりか、互いに区別し得る。
【0006】(3)以前に知られているTIFと異なっ
て、本発明のTIFは新規なマイトジェン(細胞分裂誘
起物質)特性およびヒト細胞増殖刺激特性を有してい
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は腫瘍増殖阻害
因子(TIF)に係わり、特にある種の正常ヒト細胞の
増殖に副作用を及ぼさずに、ある種の腫瘍細胞の増殖を
阻害することができる実質的に精製されたポリペプチド
因子を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】腫瘍増殖阻害因子は、多
様な材料から得られる。例えば、尿、血清、血漿および
羊水のような哺乳類の体液;肝臓、心臓、肺、脾臓、筋
肉、脳、胎盤、臍帯、腎臓および膵臓のような哺乳類の
成体および胎児の組織;組織培養による正常ヒト細胞の
コンディションド・メディウム(細胞培養液の上清)の
ような様々なコンデイションドメディウム;組織培養細
胞等からの抽出物である。
【0009】腫瘍増殖阻害因子は、酸/エタノール抽
出、ゲル浸透クロマトグラフィー、イオン交換クロマト
グラフィー、高速液体クロマトグラフィー等を含めた様
々な実験手法を用いて単離および精製することができ
る。
【0010】添加剤、担体および/またはアジュバンド
の中で、当該分野でよく知られた適当な物質を、もし必
要なら用いることができる。好ましい物質として、生理
食塩水、水性溶媒、賦形剤、防腐剤、抗菌剤、殺菌剤等
が挙げられる。
【0011】以下に提示されるデータから分かるよう
に、本発明の腫瘍増殖阻害因子(TIF)は熱安定なタ
ンパクで何種類も存在する。それはみかけの分子量が
3,500ないし45,000(ドルトン)の範囲で、
等電点(pI)が4ないし8であり、TIF−1とTI
F−2が代表的である。様々なTIFは、いくぶん疎水
的であり、逆相高速液体クロマトグラフィー(RP−H
PLC)のC18カラムからアセトニトリル25ないし5
0%の間または2−プロパノール10ないし35%の間
で溶出する。様々なTIFのいくつかの特徴および性質
は以後に記載する。
【0012】「実質的に精製された」という言葉の意味
は、純度が80%以上である製剤、好ましくは90%以
上、さらに好ましくは95%以上である製剤ということ
である。
【0013】材料と方法 以後に記載する方法に類似したまたは同等の材料、方法
を使用し得るが、次のものが望ましい。
【0014】組織抽出物からの腫瘍増殖阻害因子(TI
F)の単離 酸/エタノ−ル抽出法[ダボレン、Biochem. Biophys.
Acta., 63, 150 (1902) およびロバー卜ら、Proc. Nat
l. Acad. Sci. USA, 77, 3494 (1980) に記載]の改良
法により、組織を抽出した。すなわち、95%(V/
V)エタノール375ml、濃塩酸7.5ml、フッ化
フェニルメチルスルホニル(PMSF)33ngおよび
アプロチニン[0.9%NaClおよび0.9%ベンジ
ルアルコール中の10−20トリプシン阻害剤単位(T
IU)]1mlから成る溶液に蒸留水192mlを混合
した。組織をこの溶液に懸濁し(6ml/組織1g)、
はさみで細かく切りそしてソルバールオムニミキサーで
均質化した。4℃で一晩抽出後、その混合物を5000
gで30分間遠心し、ペレットを捨てた。その抽出物を
濃水酸化アンモニウムでpH5.0に調整し、抽出物1
00ml当り1mlの2M酢酸アンモニウム緩衝液(p
H5.2)を加えた。この抽出物を5000gで30分
間遠心し、沈殿物を除去した。冷無水エーテル4容と冷
無水エタノール2容をただちに加え、この混合物を−2
0℃で48時問静置させた。生じた析出物を沈殿させ、
液体の大部分をサイホンで吸い出した。残った懸濁液を
5000gで30分間遠心し、ペレットを得た。このペ
レットを1M酢酸に溶解し、排除分子量3500のスペ
クトラポール(Spectrapor)管(スペクトラ
ム・メデイカル・インダストリーズ、カリフォルニア州
ロサンゼルス)中で0.2M酢酸に対して徹底的に透析
した。この物質は1M酢酸中にて4℃で保存するか、ま
たは凍結乾燥した。
【0015】コンデイションド・メディウム(細胞培養
液の上清) 細胞を含まないコンディションド・メディウムをヒト横
絞筋腫細胞系A673から採取した。細胞を、10%ウ
シ胎児血清を補ったダルベッコの最少必須培地(DME
M)50mlの入ったコーニング850cm2 回転ボト
ル(コーニング25140)中で適当に飽和するまで増
殖させた。続いて、その単層を血清を含まないDMEM
50mlで2回洗った。各回転ボトルを血清を含まない
ワイマウスの培地(メロイ・ラブズ社)50ml中で8
時問培養した。その培地を捨て、血清を含まない新しい
ワイマウスの培地50mlと置換え、細胞を48時間培
養した。こうして「コンディションド・メディウム」を
集め、血清を含まない新しいワイマウスの培地と置換
え、さらに48時間培養した。コンディンョンド・メデ
ィウムは、A673細胞の適当に飽和した単層ごとに3
回集め合計した。続いて集めたコンディションド・メデ
ィウムを溜めて、ベックマンCF−32ローターを用い
32,000rpm(流出率5l/時間)で遠心し、透
明にした。清澄になった物質をアミコンDC−10中空
糸濾過器(遮断分子量:5000)を使って100倍に
濃縮(例えば50lを500mlに)した。濃縮した物
質を溜め、濾過器を200mlの濾液で洗い残っている
因子を除いた。濃縮液と洗浄液をスペクトロフォー(S
pectrophor)3透析管(遮断分子量:350
0)に溜め、2lの0.1M酢酸に対して透析した。透
析した物質をベックマン35型ローター上にて27,0
00rpmで1時間遠心した。ペレットを捨て、上清を
凍結乾燥した。
【0016】培養細胞 培養細胞を10%FBS(ギブコ)を補ったダルベッコ
の改良型イーグル培地の入った75cm2 プラスティッ
ク製組織培養フラスコ(ファルコン3024)中で37
℃に維持した。ただしl0%ウシ血清を要求する細胞系
3T3 202,49Fおよびキルスタインウイルスで
形質転換した正常ラット腎細胞(KNRK)にはこの条
件があてはまらない。A549はヒト肺の腺癌である。
HuFは組織培養でl0ないし25回継代したヒト包皮
線維芽細胞系であり、J.レビー(サンフランシコクの
カリフォルニア大学、ガン研究所)から供与された。3
T3 2−2はウィグラー(ニューヨークのコールドス
プリングハーバー研究所)から供与されたマウスNIH
3T3細胞のなかの1種のクローンである。
【0017】ゲル浸透クロマトグラフィー 凍結乾燥したコンディションド・メディウム(コンディ
ションド・メディウム30ないし100lから得た20
0ないし300mg)を1M酢酸15ないし20ml中
に再び懸濁させ、バイオ−ゲルP−100(100−2
00メッシュ、ポリアクリルアミドゲルバイオ・ラド)
をつめたカラム(5×82.5cm)にかけ、平衡化さ
せて、4℃にて1M酢酸で溶出させた。複数の分画(1
2.4ml)を集めた。そして2本置きの各分画からア
リコート2.5μlを取り、TIF活性を測定した。ま
た2本置きの各分画からアリコート100μlを取りT
GF活性を測定した。増殖調節活性(各種のTIFおよ
びTGF)を含む分画を3種のプールAないしC(第1
図)に分け、凍結乾燥した。
【0018】プールBは凍結乾燥し、バイオ−ゲルP−
10カラムでさらに精製した。凍結乾燥した試料(20
ないし40mg)を1M酢酸5ないし7mlに溶解し、
不溶物質を除くために4℃で30分間200gで遠心し
た。上清をバイオ−ゲルP−10(200ないし400
メッシユ、ポリアクリルアミド、バイオ・ラド)にか
け、平衡化して、4℃にて1M酢酸で溶出させた。複数
の分画(4.6ml)を集め、アリコート100μlを
2本置きの各分画から取り、TIF活性を測定した。
【0019】逆相高圧液体クロマトグラフィー(RP−
HPLC) バイオ−ゲルP−10カラムからTIF活性のピークを
含む分画を集めた。典型的にはこれら分画は分画44な
いし47であった。コンディションド・メディウム30
ないし60l相当からの物質を各HPLCに使用した。
複数のバイオ−ゲルP−10分画を合わせて凍結乾燥し
た。残渣を0.05%トリフルオロ酢酸1mlに再び懸
濁した。この溶液は、不溶物質を除くために1000g
で5分間遠心した。上清をウォーターズμボンドパーク
(μBondapak)C18カラム(0.39×30c
m)に注入した。IBMの濃度勾配液体クロマトグラフ
ィー装置(IBM LC/9533)を使用した。カラ
ムの溶出液を206nmに設定した可変波長紫外(U.
V.)検出器(IBM LC/9523)で監視した。
206nmで吸収を示す主要ピークの分画を集めた。各
分画からアリコートを取り、TIFまたはTGF活性を
測定した。
【0020】軟寒天増殖阻害検定 試験のための凍結乾燥後の試料を、0.34%寒天(デ
ィフコ、アガーノーブル)および2×104 のヒト肺癌
細胞A549を含む最終容積1.4mlの完全増殖培地
(10%FBSを補ったDMEM)に溶解した。処理済
み細胞の軟寒天懸濁液を、60mmシャーレ(ファルコ
ン3002)につくった完全増殖培地を含む2mlの
0.5%寒天基層2ml上にピペットで加えた。シャー
レを、加湿した5%CO2 /95%空気雰囲気中にて3
7℃で3週間培養した。7日後、培養物に完全増殖培地
を含む0.34%寒天1.5mlをさらに加えた。2週
間後および3週間後に増殖の様子を顕微鏡写真で撮影し
た。
【0021】腫瘍増殖阻害因子検定 試験細胞(3×l03 細胞/穴)を、完全培地50μl
の入った96穴組織培養板(タンク167008)上で
二次培養した。ヒト肺癌細胞A549は1穴あたり4.
5×103 細胞の播種密度を必要とした。カラム分画か
らのアリコートによりTIF活性を測定するが、そのア
リコートをウシ血清アルブミン(BSA)(シグマA−
6003)1mg/ml1M酢酸溶液50μlを含む滅
菌済み12×75mm試験管に移し、凍結乾燥した。検
定直前にその凍結乾燥した試料を完全培地200μl中
に再び懸濁させた。再懸濁させた試料のアリコート50
μlを試験細胞を含む穴に加えた。各サンプルを3回検
定した。細胞を加湿した5%CO2 /95%空気雰囲気
中で37℃にて72時間培養した。培養期間の終りに各
穴を5−[ 125I]アイオド−2−デオキシウリジン(
125IUdR)(アメルスハムIM. 355V)1μ
Ci/mlを含む完全培地100μlで24時間処理し
た。単層を緩衝液[1mg/mlBSAおよび50mM
2−シス(2−ヒドロキシエチル)アミノエタンスルホ
ン酸を含むダルベッコの改良型イーグル培地、pH6.
8]で一度洗浄し、無水メタノール中で10分間固定
し、15分間空気乾燥した。細胞に取込まれた 125IU
dRを1NNaOH200μlで可溶化し、60℃で2
0分間インキュベートした。各穴中の細胞によって取込
まれ、可溶化された 125IUdRをタイターテック上澄
回収システム(フロ・ラボラトリーズ、78−210−
05)を用いて回収・測定した。細胞増殖の量を、対数
増殖期にある細胞のDNAに取込まれた 125IUdRの
量から概算した。検定を行なう前に、細胞の増殖程度を
肉眼で確認するために、各穴をライツの倒立顕徴鏡を使
って観察した。顕微鏡観察による処理細胞の増殖阻害の
程度は、 125IUdRの取込み量の減少と一致してい
た。増殖の阻害は、未処理の対照細胞によって取込まれ
125IUdRに対するTIFで処理した試験細胞(例
えばヒト腫瘍細胞)に取込まれた 125IUdRの比によ
って表わした。単層培養中で腫瘍細胞の 125IUdRの
取込みを最も阻害するカラム分画は、軟寒天上で腫瘍細
胞の増殖を最も阻害した。細胞増殖の増大が顕微鏡観察
で認められる条件は 125IUdRの取込みの増大と一致
していた。細胞増殖の増大は、パーセント刺激として表
わされるが、未処理の対照細胞により取込まれた 125
UdRに対してTIFで処理した試験細胞(例えば、正
常ヒト細胞)により取込まれた 125IUdRの比に対応
する。
【0022】マイトジェン(細胞分裂誘起物質)検定 10%ウン血清を補ったDMEM100μlの入った9
6穴組織培養板(タンク167008)中で試験細胞
(3T3 2−2)を二次培養(1.5×104細胞/
穴)し、37℃で24時間培養した。培地を、0.5%
ウン血清を補ったワイマウス培地(100μl/穴)で
置換え、37℃でもう一回24時間培養した。試験する
カラム分画のアリコートを、1M酢酸50μlを含む減
菌済み12×75mm試験管(ファルコン2058)へ
移し、凍結乾燥した。凍結乾燥した試料を2μCi/m
lの 125IUdRを含む血清の入っていないワイマウス
培地300μlに再び懸濁し、3回検定した。再懸濁し
た試料100μlを、0.5%ウシ血清の入ったワイマ
ウス培地100μlと試験細胞を含む各穴に加えた。も
う一回24時問37℃で培養したのち、単層を洗い、腫
瘍増殖阻害因子検定のために前記の通りに回収した。
【0023】混合実験 第4図のBP−HPLC精製段階から得た28ないし3
3%アセトニトリルで溶出する分画、すなわちTIF−
1活性を有する分画をこの実験で使用した。バイオ−ゲ
ルP−100カラムのプールA(第1図)に由来する分
子量20,000のTGFをμボンダパークC18カラム
を取付けたRP−HPLCを用い、0.05%トリフル
オロ酢酸(TFA)に溶かした20%アセトニトリルで
直線濃度勾配をかけて溶出させた。それをさらに0.0
5%トリフルオロ酢酸に溶かした12%プロパノールで
直線濃度勾配をかけて溶出させながらμボンダパークC
18カラムで精製した。A549細胞(検定あたり1.5
×105 細胞)を完全培地0.3mlに溶かしたTGF
および/またはTIF−1と混合した。0.5%寒天溶
液0.64mlと各分画を混合し、その懸濁液を24穴
組織培養シャーレ(タンク169690)中の0.5%
寒天基層に加えた。シャーレを加湿した5%CO2 /9
5%空気雰囲気中で37℃にて培養した。3週間後、コ
ロニーを0.052%p−アイオドニトロテトラゾリウ
ムバイオレット(11)0.5mlで染色した。
(A):未処理対照細胞。(B−D):TIF−1の
1:5逓減希釈液(Bではタンパク15μg/ml)で
処理した細胞。(E)TGF 12ng当量/ml[n
g当量とは、放射線受容体検定において既知の濃度のE
GF(上皮増殖因子)に対して競合するTGFの濃度と
定義する]で処理された細胞。(F−H):TGF12
ng当量/mlおよびTIF−1の1:5逓減希釈液
(Fではタンパク15μl/ml)で処理した細胞。
【0024】TIFの特性決定 トリプシン感受性は、0.1M酢酸アンモニウム(pH
7.4)0.9ml中のTIF76μgにトリプシン
(シグマT8253)250μgを添加して、それを3
7℃で1時間培養して試験した。トリプシンは、ダイズ
トリプシンインヒビター(シグマT−9003)500
μgを加えることによって不活性化した。処理したTI
Fおよび対照TIF両方を室温でもう1時間培養した。
続いて各試料に1M酢酸0.2mlを添加し、ただちに
凍結乾燥した。
【0025】還元剤の効果は、0.065Mジチオトレ
イトール(DTT)(シュワルツ/マン、90251)
を含む0.1MNH4 HCO3 0.9ml中の76μg
TIF(バイオゲルP−100のプールB)を室温で1
時間培養して試験した。DTT処理のTIFのアリコー
トおよび未処理対照の了リコートをスペクトロフォー3
透析管に移し、1%酢酸(V/V)に対して徹底的に透
析した。次に、透析後の試料を凍結乾燥し、TIF活性
を試験した。
【0026】TIFの熱安定性は、TIFのいくつかの
アリコート360μgを1M酢酸1mlに再懸濁し、1
つのアリコートを56℃30分およびもう1つのアリコ
ートを沸騰水中で3分間処理して試験した。熱処理した
アリコートと熱処理をしない対照を凍結乾燥し、TIF
活性の試験をした。
【0027】
【発明の実施の形態】
【0028】
【実施例】
実施例1 TGFおよびTIFを含み血清の入っていないコンディ
ションド・メディウム(ヒト腫瘍細胞系A673に由
来)はバイオゲルP−100カラムにかけられ、分画に
分けられた(第1図)。タンパクの大部分は排除体積の
部分に溶出する。第1図から明らかなように、分画55
ないし68にTGF活性を明確に示す部分[プールA
(Mr=20,000)と標示]があった。TGF活性
は、分画から取ったアリコートの、上皮成長因子(EG
Fに対する受容体への結合に拮抗する能力を測定して決
めた。トダロら[Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 77, 5258-5
262 ]の放射線受容体検定法を使用した。
【0029】第1図に、TIF活性のある3つの主要領
域を示す。大きな分子量をもつTIFはMr=28,0
00部分て溶出した。プールBと標示されたTIF活性
(分画69ないし95)は10,000ないし16,0
00のMrに相当した。プールCと標示されたTIF活
性(分画96ないし133)は5,000ないし10,
000のMrに相当した。TIF活性のある各主要領域
にはいくぶん異質性があった。第1図で観察されたTI
F活性のある3領域はどれも全くTGF活性を含んでは
いなかった。
【0030】軟寒天中での細胞の足場非依存性増殖は腫
瘍細胞の1つの特徴である。バイオゲルP−100カラ
ムから得たTIF活性のある各領域からのいくつかのア
リコートを、軟寒天上のヒト腫瘍細胞増殖に対するそれ
らの影響について調べた。第2図は軟寒天中でのヒト癌
A549細胞の顕微鏡写真である。腫瘍細胞の未処理対
照懸濁液は中軟寒天中で増殖し大きなコロニーを形成し
た。プールBからのTIFで処理した細胞は、軟寒天中
での増殖能が著しく阻害された。顕微鏡写真(第2図)
に見られるように、処理された腫瘍細胞は軟寒天中で増
殖しえないが、細胞死やそれに続く自己消化には至らな
いようであった。プールBをHPLCで精製したTIF
に関して、軟寒天中でのA549の増殖阻害が同様に観
察された。これらの結果によれば、TIFは細胞毒性が
あるというよりも増殖阻害作用があると思われた。
【0031】血清の入っていないコンディションド・メ
ディウムから得られた腫瘍増殖阻害活性は、インターフ
ェロン活性が存在するためであるとは言えない。ヒト肺
癌細胞の増殖阻害は、わずか3国際単位(IU)と低い
力価のインターフェロンで処理した後観察された。これ
に匹敵する腫瘍細胞増殖の阻害が、プールBからのTI
F360ng/mlによる処理で観察された。しかし、
このTIF試料の1000倍濃縮液を試験したときイン
ターフェロン活性は検出されなかった。
【0032】正常ヒト線維芽細胞(HuF)およびヒト
肺癌(A549)をTIF−1の濃度を順次高めて処理
したとき、ヒト腫瘍細胞の濃度依存性阻害は認められた
が、正常ヒト線維芽細胞の濃度依存性刺激は認められな
かった。ヒト腫瘍細胞はTIF−1により阻害された
が、正常ヒト線維芽細胞は阻害されなかった。したがっ
てTIF−1はすべての細胞の増殖を阻害するものでは
ない。
【0033】TIF−1は、第4図に示すようにμボン
ダパークC18カラムを用いたRP−HPLCにより、ア
セトニトリル/0.05%TFAを3段階の直線濃度勾
配をかけて、プールB(第1図)から精製された。溶出
は次のように行なった。まず0.05%TFA中のアセ
トニトリル0ないし25%の直線濃度勾配15分、つぎ
に0.05%TFA中のアセトニトリル25ないし45
%の直線濃度勾配80分、さらに0.05%TFA中の
アセトニトリル45ないし100%の直線濃度勾配15
分。TIF活性は、2つの異なったアセトニトリル濃度
で溶出したところに観察された。すなわち28−33%
間のアセトニトリル濃度のところと、38−42%間の
アセトニトリル濃度のところである。これらのTIF活
性をTIF−1と標示した。38%ないし42%間のア
セトニトリル濃度で溶出するTIF活性は、プールAか
らのいくつかの重複した分画をプールB(第1図)と混
ぜてRP−HPLC(第4図)で精製したとき、観察さ
れた。バイオゲルP−10カラムの斜線部分から集めた
分画を、RP−HPLCにて28%ないし33%間で溶
出させると、TIF−1活性をもつピーク2つのみが生
じた。
【0034】ヒト肺癌細胞の増殖はTIF−1により阻
害されるが、ヒト正常線維芽細胞はTIF−1により刺
激されることが観察された。したがって、TIF−1を
使って、血清飢餓状態の静止期の3T3マウス細胞での
マイトジェン活性の試験を行なった。TIF−1を含む
分画からのアリコートのTIF量は、観察されたマイト
ジェン活性量と一致していた(第4図)。ヒト腫瘍細胞
でのTIFの阻害活性は、正常マウスおよび正常ヒト細
胞でのマイトジェン活性と一致していたが、この一致は
TIF精製のすべての段階で観察された。したがって、
TIF−1は標的細胞の性質に依存する様々な生物学的
特性を有している。
【0035】μボンダパークC18カラムを使って28な
いし33%間のアセトニトリルで溶出するTIF−1活
性は、さらにμボンダパークC18カラムを使ったRP−
HPLCにより精製した(第5図)。溶出は2−プロパ
ノールの直線濃度勾配をかけて次のように行なった。す
なわち、0.05%TFC中の2−プロパノール0.1
8%の直線濃度勾配10分、0.05%TFC中の2−
プロパノール18ないし22%の直線濃度勾配10分、
0.05%TFC中の2−プロパノール22ないし28
%の直線濃度勾配60分、0.05%TFC中の2−プ
ロパノール28ないし30%の直線濃度勾配10分、
0.05%TFC中の2−プロパノール30ないし10
0%の直線濃度勾配15分。TIF−1は、2−プロパ
ノール18%ないし22%間で溶出することが認められ
た。RP−HPLCを使って2−プロパノールの直線濃
度勾配により精製したTIF−1は、206nmにおけ
る吸光度から概算されるように一連のng/mlの濃度
で著しいTIF活性を示した。
【0036】TIF−1の特性 TIF−1の特性をいくつか第1表に示す。TIF−1
はトリプシンやDTTにより不活化される。このことか
ら、TIF−1は活性に完全なジスルフィド結合を必要
とするタンパクてあるごとが示唆される。TIF−1
は、56℃30分および100℃3分の熱処理に対して
安定である。ヒト癌細胞の増殖阻害は、TIF−1が1
時間以内にて除かれれば、95%可逆的であった。腫瘍
細胞をTIF−1に長く晒すと、増殖の阻害度が対応し
て高まった。
【0037】
【表1】 ヒトおよびヒト以外の様々な細胞系の増殖に対するTI
F−1の阻害活性スペクトルを第2表に示す。正常ヒト
細胞の増殖がTIF−1により刺激されることは注目に
価する。これらの研究には以下の細胞が含まれる。すな
わち生体外で10ないし25回継代した正常ヒト線維芽
細胞株、ヒト線維芽細胞の初期継代細胞(組織移植片か
ら6回の継代)および正常ヒト上皮細胞の初期継代細胞
(組織移植片から3回の継代)。肺腺癌A549および
乳癌MCF7のような何種類かの細胞はTIF−1によ
る増殖阻害に対して高い感受性を示した。膀胱癌や黒色
腫のような他の腫瘍は増殖阻害に対して感受性が低かっ
た。正常アメリカミンク肺上皮細胞も感受性は非常に低
かった。
【0038】
【表2】 ヒト腫瘍細胞を組織培養で維持したとき、TIF−1の
処理による増殖阻害への感受性に関する影響も同様に調
べた。ヒト腫瘍細胞を組織培養で長く維持すればするほ
ど、TIF−1で処理したとき、それは増殖阻害に対し
てより強い抵抗性を示すようになった。TIF−1の供
給源であるヒト横絞筋腫(A673)および肺癌(A5
49)がこの効果を示した(第2表)。少ない回数継代
した細胞の増殖阻害に対する感受性は高いが、何回も継
代した細胞はより強い抵抗性を示した。ヒト腫瘍が1次
移殖片により類似していればしているほど、それはTI
F−1による阻害に対してより強い反応性を示すと考え
られる。
【0039】第2表に掲げたヒト腫瘍細胞のすべては、
その増殖がTIF−1処理により阻害された。ウイルス
により形質転換した細胞に対するTIF−1の効果を第
3表に示す。第2表で見られたように、正常ヒト線維芽
細胞Wi 38の増殖はTIF−1の処理により阻害さ
れず、むしろ増殖の刺激が観察された。しかしながら、
他方SV40で形質転換した細胞の増殖はTIF−1に
より著しく阻害された。ウィルスで形質転換した細胞の
このような増殖阻害はラットの細胞でも同様に観察され
た。正常ラット腎細胞(NRK)の増殖はTIF−1に
より阻害されなかった。しかし、TIF−1で処理した
これらの細胞の増殖は若干刺激されることが観察され
た。ウィルスで形質転換したNRKキルステン肉腫(K
NRK)細胞の増殖もTIF−1により阻害された。D
NAおよびRNAウィルスで形質転換した細胞の増殖は
TIF−1により阻害されるが、一方その親である非形
質転換細胞は増殖が刺激された。
【0040】
【表3】 ヒト腫瘍細胞由来のコンディションド・メディウムは、
複数の腫瘍増殖因子(TGF)と複数の腫瘍増殖阻害因
子(TIF)の両方を含むことが観察された。TIF、
TGF(両方とも同一材料の腫瘍細胞コンディションド
・メディウム由来)およびTIFとTGFの混合物の効
果を、軟寒天中でヒト肺癌細胞(A549)の増殖に関
して検討した。それを第6図に示す(前記の混合実験参
照)。穴AはA549細胞の未処理対照懸濁液で、これ
は軟寒天上でコロニーを形成した。穴BないしDはTI
F−1の様々な希釈液で処理した細胞の軟寒天懸濁液を
含む。穴CおよびDは、3.0および0.6μg/ml
のTIF−lでそれぞれ処理したものであり、TIF濃
度が低いほど腫瘍細胞の増殖は阻害されにくくなること
を示している。しかし、0.6μg/mlのTIF−1
で処理したA549細胞の軟寒天懸濁液においても、な
お肉眼で認められる腫瘍細胞の増殖阻害が起きている。
下段の列の穴EないしHは、軟寒天上でのA549細胞
の増殖に関するTGF(穴BないしDにおいて用いられ
たTIFを産生したと同じ細胞のコンディションド・メ
ディウムに由来)の効果を示している。穴Eは12ng
当量/mlのTGFで処理したものである。Mr20,
000のTGFは軟寒天中でヒト癌細胞の増殖を高め
た。穴FはTGF(12ng当量/ml)とTIF−1
(15μg/ml)とで処理したものである。穴Eにお
いて、腫瘍細胞の軟寒天中での増殖を高めた濃度のTG
F存在下でさえも、ヒト腫瘍細胞の軟寒天中での増殖は
TIF−1により著しく阻害された。穴FないしHにお
いて、TIF濃度を下げると、軟寒天中でTGF処理腫
瘍細胞の増殖が高まった。様々な処理による軟寒天中の
ヒト腫瘍細胞のコロニーの大きさを第4表に示す。未処
理ヒト癌細胞は、軟寒天中で直径0.3mmのコロニー
を形成した。12ng当量/mlのTGFで処理したヒ
ト癌細胞は、軟寒天中で直径0.5mmのより大きなコ
ロニーを形成した。TIFで処理した腫瘍細胞は、TI
F濃度に応じて軟寒天中でより小さな大きさのコロニー
を形成した。12ng当量/mlのTGFと3μg/m
lのTIF−1の混合物で処理した腫瘍細胞は、軟寒天
中でTGFまたはTIFによって処理されなかった対照
の腫瘍細胞と同じ大きさのコロニーを形成した。
【0041】
【表4】 これらの結果から次のことが結論づけられる。
【0042】(1)TIFは軟寒天中での腫瘍細胞の足
場非依存性増殖を阻害する。(2)TGFは軟寒天中で
の腫瘍細胞の足場非依存性増殖を亢進させる。(3)T
IF−1はEGF受容体への結合に対して拮抗しない
が、それは軟寒天中での腫瘍細胞の足場非依存性増殖に
関するTGFの効果に対して拮抗的である。同様の混合
実験でTGFに換えてEGFを用いた場合にも、同様の
結果が観察された。
【0043】混合実験から得られた結果(第4表)によ
れば、生体外の軟寒天検定においてTGFはTIF−1
の効果を中和し得るということが示された。第1図にお
いて、TGF活性を含むプールAにはTIF活性は検出
されなかった。Mr18,000ないし20,000の
TGFを含むプールAをRP−HPLCで精製した場
合、TIF活性はTGF活性と分離し、38ないし42
%の間のアセトニトリルで溶出することが観察された。
プールAのTGFはMrl8,000ないし20,00
0のTIFの存在を明らかに遮蔽していた。
【0044】第2表に示された如く、TIFは正常細胞
の増殖を刺激する。したがって、TIFは、マイトジェ
ンとなり得るし、血清飢餓状態のマウス細胞のような静
止期の細胞にわいてEGF受容体を介した相互作用によ
りDNA合成を刺激し得るという可能性が研究の対象と
なった。EGFとTIF−1の双方には、マウス細胞系
NIHクローン7に対して実質的にマイトジェン刺激能
があることが分った。EGF受容体が機能しないマウス
細胞系NR6/6細胞を用いた同様な実験によれば、E
GFにはマイトジェン活性がないが、TIF−1はマイ
トジェンとして作用することが示された。したがって、
増殖刺激性およびマイトジェン活性は、EGF受容体を
介して機能するのではないと考えられる。
【0045】要約すると、上記の事実から、何種類かの
腫瘍増殖阻害因子(TIF)はヒト腫瘍細胞系A673
から産生され、バイオ・ゲルP−100ゲル濾過クロマ
トグラフィーから観察されるところによれば、分子量が
28,000、18,000ないし22,000、1
0,000ないし16,000および5,000ないし
l0,000であることが考察し得る。TIF−1と称
されるMrl0,000ないし16,000のTIFは
部分的に精製されており、その特性が決定された。TI
F−1は酸および熱に安定なタンパクであることがわか
った。またトリプシンおよびDTTにより失活した。そ
れは、様々な段階のヒト腫瘍細胞、ウイルスにより形質
転換されたヒトおよびラット細胞並びに正常アメリカミ
ンク肺上皮細胞といった幅広い範囲の細胞の増殖を阻害
した。TIF−1は試験に用いられた様々な正常ヒト線
維芽細胞または上皮細胞のいずれの増殖をも阻害しなか
った。事実、TIF−1は様々な正常ヒト線維芽および
上皮細胞の増殖を刺激した。
【0046】混合実験(第6図および第4表)によれ
ば、どのように腫瘍細胞がTIFとTGF双方を産生し
得るか、そしてさらに癌の表現型を提示するかというこ
とが示唆される。TGFよりもTIFをより多く産生す
る腫瘍細胞は、良性となり得、または退行し得るが、一
方より進行性および転移性である腫瘍細胞はTIFより
もTGFをより多く産生し得る。様々なTGFおよびT
IFの異常な産生は、結果として腫瘍を発生し得る。し
たがって産生されるTIFとTGFの比がわかれば、そ
れが腫瘍細胞増殖程度の重要な決定要素として役立ち得
るであろう。TIFの体外からの投与は、正常細胞に影
響を与えずに腫瘍細胞の増殖を調節する非常に強力な手
段となり得る。
【0047】TIF−2の調製 培養細胞 培養細胞は、上記の如く10%FBS(ギブコ)を添加
したダルベッコーの改良型イーグル培地(DMEM)の
入った75cm2 組織培養フラスコ(ファルコン、30
24)中で37℃にて維持された。
【0048】TIFおよびTGFの原料 ヒト横絞筋腫細胞系A673から得た血清を含まないコ
ンディションド・メディウムを、上記のごとく処理し、
1M酢酸中でバイオゲルP−100によりクロマトグラ
フィーを行なった。
【0049】CM−セルロースによるクロマトグラフィ
ー 上記の方法によりバイオゲルP−100カラムの何回か
の操作から得られた何本かのTGF活性のある分画を集
め、凍結乾燥した。そして1M酢酸5ml中で再調製
し、5mM酢酸アンモニウム(pH4.5)に対して4
℃で一晩透析した。この試料を22℃にて175,00
0gで30分間遠心し、カルボキシメチル−セルロース
(ワットマン、CM−23)のカチオン交換カラムにか
けた。溶出は、2つの容器から成る定レベル装置〔第1
番目の容器には開始緩衝液(5mM酢酸アンモニウム、
pH4.5)200mlおよび第2番目の容器には限定
緩衝液(0.5M酢酸アンモニウム、pH6.8)を含
む)からポンプで液を引出し(22℃で流出率80ml
/時間)直線濃度勾配をつけて行なった。複数の分画の
アリコートを1M酢酸0.5mlを添加して滅菌し、試
験前に凍結乾燥した。
【0050】逆相高圧液体クロマトグラフィー(RP−
HPLC) CM−セルロースカラムから得られたTIF−2の生物
学的活性部分を集め、凍結乾燥した。そして0.05%
アセトニトリル1ml中に再懸濁し、カラムにかける前
に1000gで5分間遠心し、不溶物質を取除いた。上
清をウォーターズμボンドパークC18カラム(0.39
×30cm)にかけた。ウォーターズ濃度勾配液体クロ
マトグラフィー装置を利用し、カラムからの溶出液を波
長可変UV検出装置で214nmにて監視した。各分画
からのアリコートを試験前に凍結乾燥した。
【0051】軟寒天検定 A375Ag5細胞l×104 の懸濁液を凍結乾燥した
TIF−2および0.34%寒天(ディフコ、ノーブ
ル)と混合し、10%FBSを含んだDMEMで合計溶
量0.94mlとした。それをただちに35mm組織培
養シャーレの中の0.5%寒天基層の上にピペット播種
した。細胞を5%CO2 /95%空気の加湿した雰囲気
中にて37℃で培養した。8日後顕微鏡写真を撮った。
【0052】TIF検定 試験細胞を二次培養し、TIF−2で処理して、上記の
如く 125IUdRの取込みを調べた。阻害と刺激を対照
に対するパーセントで表わした。
【0053】マイトジェン活性検定 NIHクローン7およびHuF細胞を、96穴組織培養
板(ヌンク167008)中の各穴あたり細胞密度1×
104 で10%FBSを含むDMEMに二次培養した。
37℃で24時間培養の後、培地をFBS0.1%を含
むワイマウス培地と交換することにより72時間血清飢
餓状態に維持した。細胞をTIF−2で処理し、上記の
如く 125IUdR取込みを調べた。
【0054】TGF検定 TGF活性は、上記の如く 125IUdR放射受容体結合
検定によって拮抗能を調べることにより決定した。
【0055】実施例2 A673細胞から得た血清を含まないコンディションド
・メディウム30lを濃縮し、凍結乾燥しそして280
mgのタンパクを1M酢酸で抽出した。これを1M酢酸
で平衡化したバイオ−ゲルP−100カラムにかけた。
2本置きの各分画からアリコートを取り、TGFおよび
TIF活性を測定した。第7図に示す如く、腫瘍増殖阻
害活性の主要ピークは分子量10,000ないし16,
000領域(プールB)および分子量5,000ないし
10,000(プールC)の領域に見出された。分子量
18,000ないし22,000の領域(プールA)に
は高い阻害活性は認められなかったが、主なTGF活性
を含んでいた。
【0056】何回かのバイオ−ゲルP−100カラムか
ら得たTGF分画(プールA)を、さらにCM−セルロ
ースクロマトグラフィーにより精製した。この材料は元
をただせば227lのコンディションド・メディウムに
由来した。これらを集めてCMセルロースカラム(第8
図)にかけた。合計タンパク量は85mgであった。1
本おきの分画からのアリコートのTGF活性およびTI
F活性を測定した。このカラムの溶出模様によれば、阻
害活性の大きなピークはTGF活性ピークと分離し得た
ので、恐らくTGFはTIF活性を遮蔽していたことが
示唆される。TIF活性のピークとして表わされる斜線
部分を集め、凍結乾燥し、アセトニトリルの直線濃度勾
配をかけて逆相ウオーターズμボンドパークC18カラム
による再クロマトグラフィーを行なった。次のような溶
出手順を踏んだ。すなわち、まず0.05%トリフルオ
ロ酢酸中のアセトニトリル0ないし25%の直線濃度勾
配15分、続いて0.05%トリフルオロ酢酸中のアセ
トニトリル25ないし455の直線濃度勾配80分、さ
らに続けて0.05%トリフルオロ酢酸中のアセトニト
リル45ないし100%の直線濃度勾配15分。これを
第9図に示す。各分画を凍結乾燥し、TIF活性を測定
した。TIF活性を含む主要ピークはアセトニトリル3
8ないし42%の間で溶出した。TIF−1はアセトニ
トリル28ないし33%の間で溶出することが前に確め
られている。TIF−2をプロパノールの直線濃度勾配
によるHPLCでさらに精製し得た。TIF−1は2−
プロパノール19ないし21%の間で溶出することが確
められているが、一方TIF−2は2−プロパノール2
9ないし3l%の間で溶出した。
【0057】TIF−2の特性 A375Ag 5細胞をTIF−2(64μg/ml)
で処理し、8日後に顕微鏡写真を撮った。第10図に示
すごとく、未処理細胞は一般に概略100ないし200
の細胞を含む直径0.5ないし1mmの範囲の大きさま
で増殖した。これらの細胞を、CM−セルロースで精製
したTIF−2で処理した場合、コロニーの大きさは著
しく減少した。処理後最初の数日で小さなコロニーが認
められたが、典型的には3週間後でさえも増殖の回復は
認められなかった。細胞は生きていたので、TIF−2
には細胞毒性はなかった。CM−セルロースクロマトグ
ラフィーからHPLCへの精製レベルは、第5表に示さ
れた如く125倍であった。各精製段階からの物質のT
IF活性を測定した。 125IUdRの取込みを、A54
9細胞と正常ヒト線維芽細胞系HuFとを用いて測定し
た。両試料においてA549細胞は阻害を、HuF細胞
は刺激を受けた。TIF−lは正常線維芽細胞の増殖を
刺激し、マイトジェンとしての作用も発揮したので、T
IF−2を正常マウス細胞(NIHクローン7)および
HuF細胞を用いてマイトジェン検定にかけた。血清飢
餓状態の細胞に試験する因子を添加し、同時に24時間
125IUdRを加えて検定した。54μg/mlのTI
F−2処理による細胞は、10%FBSを含む細胞より
もかなり高レベルの 125IUdRを取込んだ。ヒト線維
芽細胞で同一濃度のTIF−2処理を行なった場合、1
0%FBSを含む場合と同じような取込みレベルを示し
た。TIF−2はマウスNIHクローン7細胞において
500ng/ml程度の低濃度でさえも強力なマイトジ
ェンとなりうることが判明した。他方TIF−1のマイ
トジェン活性は20ng/ml程度の低濃度で誘起され
得た。
【0058】
【表5】 TIFのインターフェロン活性を、メロイ・ラバラトリ
ーズ社(ヴァージニア州、スプリングフィールド)で行
なわれている抗ウイルスインターフェロン検定法に基づ
いて測定した。そして何種かの白血球インターフェロン
(PIFロットP−32l)を、A549細胞を使った
本発明の腫瘍増殖阻害検定法により試験した。白血球イ
ンタフェロンは、TIF検定(25%阻害)において3
IU/mlで検出され得た。3IU/mlのインターフ
ェロンと同様の阻害を示す100倍濃縮のTIF−2を
抗ウイルス検定で試験したが結果は陰性であった。これ
により、TIF−2には抗ウイルス活性がなく、したが
ってそれはインターフェロンではないことが分かった。
【0059】TIF−1のところで記載したように、H
PLCで精製したTIF−2のトリプシン感受性を調べ
た。それはトリプシン感受性を示さなかった。TIF−
2(13μg/ml、HPLCで精製)のアリコートを
56℃30分間、別のアリコートを100℃3分熱処理
した。対照は室温で放置した。それぞれを凍結乾燥し、
それぞれの腫瘍増殖阻害活性を、試験細胞としてA54
9を用いて調べた。活性は50℃では安定であったが、
100℃では不安定で阻害度が53%から35%におち
た。
【0060】様々な正常および腫瘍細胞を使って、 125
IUdRの取込みに関するTIF−2の影響を試験し
た。試験したヒト線維芽細胞のすべては刺激された。更
に継代回数の少ないヒト胎児腎細胞系も同様に刺激され
た。上皮細胞のみを、この培養中に認めることができ
た。これに反して試験したすべてのヒト腫瘍細胞では様
々た阻害が認められた。A549およびA673に関し
て継代回数の多少により阻害程度の差が見られるよう
に、組織培養における継代の回数がいくらか阻害程度の
変化の原因となっているのかもしれない。腫瘍が初期培
養に近いほど、TIF−2による阻害に対しての感受性
がより強い。乳癌細胞系、MCF−7およびA549は
よく試験細胞として用いられるが、TIF−2に対して
最も強い感受性を有することが観察された。正常アメリ
カミンク肺細胞系はTIF−1によりきわめて阻害され
やすいことが示されている。反対にTIF−2はアメリ
カミンク細胞にはほとんどあるいは全く効果を発揮しな
かった。
【0061】
【表6】 TIF−2に対する感受性に関してSV40ウイルス形
質転換の効果を検討した。ヒト胎児肺細胞Wi−38
(CCL75)およびそれのSV40により形質転換さ
れた細胞(CCL75.1)の両方についてTIF−2
処理後、 125IUdRの取込みを調べた。Wi−38細
胞は刺激(11%)され、Wi−38のSV40形質転
換型細胞は阻害(24%)された。同じ効果がTIF−
1についても見られ、それによれば形質転換された表現
型が、TIFによる阻害に要求されるかもしれないとい
うことが強く支持される。ヒト黒色腫クローン系A37
5Ag 5およびA375Ag 5のTIF−1耐性変
異型細胞系(A375Ag5−IRと称す)を用いて、
阻害因子とインターフェロンについての比較を行なった
(第7表)。この細胞系を得るために24穴板に単層で
生育しているA375Ag 5細胞(1×104 )をT
IF−1の活性分画で処理した。その分画はA673の
コンディションド・メディウムをバイオ−ゲルP−10
0カラムにかけて得られたものである。細胞を一度処理
したが因子は細胞中で10日間残存していた。処理した
細胞は体積を増し、より丸くなり、もはや培養板に接着
しなくなった。これら処理細胞をファルコンの組織培養
フラスコ(3013)に移した。細胞は結局定着し、単
層状態で増殖した。単層で数回継代すると、この細胞系
は親細胞系A375Ag 5と同じくらい速く増殖し
た。両細胞系を軟寒天中に播種すると、A375Ag
5は軟寒天中で増殖し直径0.5ないし1.0mm範囲
のコロニーを形成した。ところがA375Ag 5−I
R変異細胞系は軟寒天中でほとんど増殖せず、コロニー
も3ないし5個しか生じなかった。これらの両細胞系
を、腫瘍増殖阻害検定法により試験した。第7表で明ら
かなように、親細胞系A375Ag 5はTIF−1、
TIF−2および部分的に精製されたインターフェロン
により阻害を受けた。変異細胞系A375Ag 5−I
RはTIF−2およびインターフェロンによる阻害には
適当な感受性を示したが、TIF−1に対する感受性を
欠いていた。このことにより、阻害因子は2種類あり、
様々な細胞に対して応答が異なることが証明された。
【0062】
【表7】 さらに、阻害活性に関するTIF−1とTIF−2との
間の差異を第8表のデータによって示す。
【0063】
【表8】 TIF−2およびTIF−1は両方ともヒト横絞筋腫細
胞系A673からのコンディションド・メディウムから
得られた。TIF−2はバイオ−ゲルP−100および
CM−セルロースクロマトグラフィーにより部分的に精
製された。TIF−1はバイオ−ゲルP−100クロマ
トグラフィーにより部分的に精製された。試験細胞には
ヒト肺腺癌A549および正常アメリカミンク肺細胞を
使用した。阻害度は、腫瘍増殖阻害検定により対照のパ
ーセント( 125IUdR取込率)として表わした。
【0064】TIF−1とTIF−2を区別する特徴 上記のようなTIF−1は、バイオ−ゲルP−100カ
ラムによる分子量10,000ないしl6,000の領
域から単離され、TIF−2活性はMrl8,000な
いし22,000のところに見出される。
【0065】TIFとTIF−2双方とも、軟寒天中で
試験される多数のヒト腫瘍細胞および上記の単層培養細
胞の増殖を阻害する。しかしながら、TIFによる阻害
に対する腫瘍細胞の感受性は、細胞の型、組織培養にお
ける継代および試験されるTIFの種類に応じて異なっ
ている。単層培養では両TIFは正常ヒト線維芽細胞お
よび正常ヒト胎児腎細胞を刺激する。
【0066】両TIFはその活性が濃度依存性であっ
て、酸および熱に安定な低分子量因子である。TIFの
阻害活性は、その因子が処理後1時間以内に細胞から除
かれれば、可逆的である。TIF−1はトリプシンに感
受性を示す。一方TIF−2は、その分子量およびその
TIF−1との多くの類似特性から推すとタンパクであ
ると言えるが、トリプシンに感受性を示さない。
【0067】TIF−1およびTIF−2は、それらが
由来する材科であるA673細胞の増殖を阻害し得る。
この癌細胞系は、様々な形質転換増殖因子(TGF)、
および対照腫瘍細胞に拮抗的に作用することが予測され
る少なくとも2種類の腫瘍増殖阻害因子を産生する。
【0068】TIF−1とTIF−2を区別するいくつ
かの特徴を要約し、第9表に掲げる。
【0069】
【表9】 本発明のTIFの用途の中には、腫瘍増殖を阻害するま
たは正常細胞の増殖を刺激するTIF量と薬理学的に許
容し得る担体およびアジュバントから成る薬剤組成物の
ような製剤等が、当然のこととして含まれる。そのよう
な薬剤組成物は、当該分野で周知の方法を使って調製し
得る。同様に、本発明の物質の利用法の中には、腫瘍細
胞の増殖を阻害する方法も含まれる。その方法の特徴
は、転移しやすい腫瘍のある、またはそれを注入された
宿主に、その物質を腫瘍の阻害に足る量だけ投与するこ
とである。その物質の投与形態および方法は、例えば錠
剤、溶液、懸濁、ぺースト、腹腔内、皮下等いかなるも
のであっても可能と言えよう。本発明に基づいて、創傷
を治療する方法も含まれるが、それは創傷部位にTIF
を治癒に足る量だけ投与することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【図1】第l図はヒト横絞筋腫からのコンディションド
・メディウムを濃縮し、バイオ−ゲルP−100クロマ
トグラフィーにかけて溶出させた分画の活性を示すグラ
フ図である。
【図2】第2図はヒト腫瘍細胞の軟寒天中での増殖に対
するTIFの効果を示す顕微鏡写真図である。
【図3】第3図は第1図のプールBをバイオ−ゲルP−
100クロマトグラフィーにかけて溶出させた分画の活
性を示すグラフ図である。
【図4】第4図は第1図のプールBをバイオ−ゲルP−
100クロマトグラフィーにかけて溶出させた分画の活
性をすグラフ図である。
【図5】第5図はμボンダパークC18カラム(0.39
×30cm)を用い2−プロパノールで溶出させてTI
F−1を精製したときに得られる分画の活性を示すグラ
フ図である。
【図6】第6図は同一コンディションド・メディウムに
由来するTIF−1とTGFとの間の拮抗関係を示す顕
微鏡写真図である。
【図7】第7図は横絞筋腫細胞系A673からのコンデ
ィションド・メディウムをバイオ−ゲルP−100カラ
ムにかけて溶出させた分画の活性を示すグラフ図であ
る。
【図8】第8図は第7図のバイオ−ゲルP−100カラ
ム操作を行なって得られたTGF活性のあるプールAを
集めてCM−セルロースクロマトグラフィーにかけて溶
出させた分画の活性を示すグラフ図である。
【図9】第9図はCM−セルロースを用いて精製したT
IF−2をRP−HPLCにかけて溶出させた分画の活
性を示すグラフ図である。
【図10】第10図は軟寒天中でのヒト黒色腫細胞A3
75Ag 5の増殖に対するTIF−2の効果を示す顕
徴鏡写真図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 シヤーロツテ・エー・フライリング アメリカ合衆国、バージニア州 22207、 アーリントン、ノース・ツウエンテイーフ イフス・ロード 4519 (72)発明者 ケネス・ケー・イワタ アメリカ合衆国、ニューヨーク州 11590、 ウエストベリー、ナンバー3、サウス・グ ランド・ストリート100

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軟寒天中で、抗ウイルス効果を発現させ
    ず、腫瘍細胞の増殖を阻害する特性を有し、更に以下の
    性質、即ち (イ)分子量が18,000ないし22,000の範囲
    であり、 (ロ)4℃で1M酢酸に安定であり、 (ハ)約56℃で約30分の熱処理に対して安定であ
    り、 (ニ)CCL−64正常ミンク肺細胞を阻害せず、及び (ホ)ヒト正常繊維芽細胞の増殖を刺激する、という性
    質を備えた、実質的に精製されたポリペプチド腫瘍増殖
    阻害因子2。
  2. 【請求項2】 前記腫瘍増殖阻害因子2が、更に以下の
    性質、即ち (イ)100℃で3分間の熱処理に対して部分的に不安
    定であり、 (ロ)等電点が4から8の範囲にあり、 (ハ)高速液体クロマトグラフィー(μbondapa
    k C18カラム)にて2−プロパノールで約29から3
    1%、又はアセトニトリルで約38から42%の濃度勾
    配で溶出し、 (ニ)ヒト腫瘍細胞の増殖を阻害し、 (ホ)トリプシン感受性を示さず、 (へ)細胞分裂誘起活性を有し、及び、 (ト)インターフェロン活性が陰性である、という性質
    を備えた、請求項1記載の腫瘍増殖阻害因子2。
  3. 【請求項3】 軟寒天中で、抗ウイルス効果を発現させ
    ず、腫瘍細胞の増殖を阻害する特性を有し、更に以下の
    性質、即ち (イ)分子量が18,000ないし22,000の範囲
    であり、 (ロ)4℃で1M酢酸に安定であり、 (ハ)約56℃で約30分の熱処理に対して安定であ
    り、 (ニ)CCL−64正常ミンク肺細胞を阻害せず、 及び (ホ)ヒト正常繊維芽細胞の増殖を刺激する、 という性質を備えた、実質的に精製されたポリペプチド
    腫瘍増殖阻害因子2の調製方法であって、 (イ)前記腫瘍増殖阻害因子2を調製するために適した
    細胞系を培養し、 (ロ)前記腫瘍細胞増殖因子2を水系酸性溶媒又は有機
    溶媒で抽出し、及び (ハ)前記腫瘍細胞増殖阻害因子2を精製及び単離する
    こと、を具備した腫瘍増殖阻害因子2の調製方法。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の腫瘍増殖阻害因子2の
    調製方法であって、前記腫瘍増殖阻害因子2が、更に以
    下の性質、即ち (イ)100℃で3分間の熱処理に対して部分的に不安
    定であり、 (ロ)等電点が4から8の範囲にあり、 (ハ)高速液体クロマトグラフィー(μbondapa
    k C18カラム)にて2−プロパノールで約29から3
    1%、又はアセトニトリルで約38から42%の濃度勾
    配で溶出し、 (ニ)ヒト腫瘍細胞の増殖を阻害し、 (ホ)トリプシン感受性を示さず、 (ハ)細胞分裂誘起活性を有し、及び、 (ト)インターフェロン活性が陰性である、という性質
    を備えた調製方法。
  5. 【請求項5】 軟寒天中で、抗ウイルス効果を発現させ
    ず、腫瘍細胞の増殖を阻害する特性を有し、更に以下の
    性質、即ち (イ)分子量が18,000ないし22,000の範囲
    であり、 (ロ)4℃で1M酢酸に安定であり、 (ハ)約56℃で約30分の熱処理に対して安定であ
    り、 (ニ)CCL−64正常ミンク肺細胞を阻害せず、及び (ホ)ヒト正常繊維芽細胞の増殖を刺激ずる、という性
    質を備えた、実質的に精製きれたポリペプチド腫瘍増殖
    阻害因子2の腫瘍阻害量、及び薬剤として許容しうる担
    体又はアジュバンドから成る、哺乳動物において腫瘍細
    胞の増殖性を阻害するための薬剤組成物。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の薬剤組成物であって、
    前記腫瘍増殖阻害因子2が、更に以下の性質、即ち (イ)100℃で3分間の熱処理に対して部分的に不安
    定であり、 (ロ)等電点が4から8の範囲にあり、 (ハ)高速液体クロマトグラフィー(μbondapa
    k C18カラム)にて2−プロパノールで約29から3
    1%、又はアセトニトリルで約38から42%の濃度勾
    配で溶出し、 (ニ)ヒト腫瘍細胞の増殖を阻害し、 (ホ)トリプシン感受性を示さず、 (ハ)細胞分裂誘起活性を有し、及び、 (ト)インタ−フェロン活性が陰性である、という性質
    を備えた薬剤組成物。
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