JP2549711B2 - プロセス制御装置 - Google Patents

プロセス制御装置

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JP2549711B2
JP2549711B2 JP63172913A JP17291388A JP2549711B2 JP 2549711 B2 JP2549711 B2 JP 2549711B2 JP 63172913 A JP63172913 A JP 63172913A JP 17291388 A JP17291388 A JP 17291388A JP 2549711 B2 JP2549711 B2 JP 2549711B2
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【発明の詳細な説明】 [発明の目的] (産業上の利用分野) 本発明は中間プロセスにおける外乱の質的変化による
プロセス・ゲイン変化に対応して、フィードバック制御
およびフィードフォワード制御を常に最適に維持し得る
ようにしたプロセス制御装置に関する。
(従来の技術) 近年、プロセス制御においては、製品需要(量,品
種,品質等)の変動に伴う負荷変化,環境変化等に対し
てフレキシブルに応答し得るように、従来のプロセス制
御の基本であったフィードバック(FB)制御に、負荷変
化等の外乱による影響を予測先行制御するフィードフォ
ワード(FF)制御を組合わせて、外乱に対する応答速度
の向上を図ることが行なわれている。
第7図は、この種のフィードバック制御とフィードフ
ォワード制御とを組合わせたフィードフォワード/フィ
ードバック制御の基本構成を示すブロック図である。第
7図に示すように、フィードフォワード制御において負
荷変化等の外乱を検出し、この外乱による影響をフィー
ドフォワード制御モデルからのフィードフォワード制御
出力(外乱補償信号)によって補償しながらプロセスを
予測先行制御し、この結果によって生じる制御偏差をフ
ィードバック制御において修正制御するものである。す
なわち、フィードフォワード/フィードバック制御にお
いて、フィードバック制御はフィードフォワード制御の
結果として制御偏差が発生した場合に、この制御偏差を
零とするようにフィードバック制御出力(調節信号)を
出力するものであり、フィードフォワード制御が理想的
な予測先行制御動作を実現していればフィードバック制
御機能は必要が無くなる。しかし、実際にプロセスをフ
ィードフォワード/フィードバック制御する場合には、
(a)フィードフォワード制御モデルの誤差、(b)経
時変化,環境変化、(c)未検出の外乱要素による影
響、(d)その他の不確定要素等の影響を受けて、フィ
ードフォワード制御を理想的に実現することは困難であ
り、フィードバック制御の補助が必要になる。
すなわち、第8図に示すように、フィードフォワード
/フィードバック制御の操作出力信号MVは、フィードバ
ック制御出力とフィードフォワード制御出力との合成と
なっており、フィードフォワード制御が理想的に実行さ
れていると、(操作出力信号MV)(フィードフォワー
ド制御出力)で、フィードバック制御出力はほぼ零近傍
となっている。従って、フィードフォワード/フィード
バック制御におけるフィードバック制御の寄与度、すな
わちフィードバック制御出力が大きくなればなる程、外
乱の影響の抑制特性が低下するということになる。そこ
で、基本的には(操作出力信号MV)=(フィードフォワ
ード制御出力)となるように、すなわち(フィードバッ
ク制御出力)=0となるように、フィードフォワード制
御モデルのゲインを修正することになる。
ところが、(操作出力信号MV)=(フィードフォワー
ド制御出力)となるように、どのようにゲインを修正す
るかは、プロセスの特性によって変わってくる。この区
分を第9図に示す。第9図の中で、ゲイン適応形フィー
ドフォワード/フィードバック制御方式としては、従来
からタイプ1とタイプ3、すなわち非混合プロセス用と
混合プロセス用は有るが、これらの中間に位置するタイ
プ2、すなわち中間プロセス(外乱の「量」を中心とし
ているが、質も関係してくるボイラ蒸気圧力等)用のゲ
イン適応形フィードフォワード/フィードバック制御方
式はまだ無い。しかし最近では、特に微粉炭とか工場内
で発生する副生燃料等の単位発熱量が大きく変化する低
品位燃料(Wild Fuel)を利用するボイラが増えてきて
おり、これらの制御性の高度化が強く要請されてきてい
る。
(発明が解決しようとする課題) 以上のように従来では、中間プロセス用として最適な
プロセス制御装置が無いという問題があった。
本発明の目的は、中間プロセスにおける外乱の質的変
化によるプロセス・ゲインの変化に対応して、フィード
バック制御およびフィードフォワード制御を常に最適に
維持することが可能な信頼性の高いプロセス制御装置を
提供することにある。
[発明の構成] (課題を解決するための手段) 上記の目的を達成するために本発明では、制御対象か
らのプロセス量とこのプロセス量の目標値信号とを入力
し,この両者の偏差が零となるように調節演算を行ない
速度形フィードバック調節信号を出力するフィードバッ
ク制御手段と、外乱信号を入力し、この外乱信号に所定
のフィードフォワード・ゲインを乗じて得られる位置形
外乱補償信号を速度形信号に変換し速度形外乱補償信号
として出力するフィードフォワード制御手段と、フィー
ドバック制御手段からの速度形フィードバック調節信号
とフィードフォワード制御手段からの速度形外乱補償信
号とを加算合成して得られる速度形操作出力信号を位置
形信号に変換し位置形操作出力信号として制御対象に出
力する手段と、位置形操作出力信号と位置形外乱補償信
号との比に基づいて,速度形操作出力信号のゲインを修
正するゲイン修正手段とを備えて構成している。
(作用) 従って、本発明では位置形操作出力信号と位置形外乱
補償信号との比に基づいて、フィードバック制御出力で
ある速度形フィードバック調節信号とフィードフォワー
ド制御出力である速度形外乱補償信号とを加算合成して
得られる速度形操作出力信号のゲインを修正しているこ
とにより、中間プロセスにおける外乱の質的変化による
制御対象のゲインの変化に対応して、フィードフォワー
ド制御とフィードバック制御のゲインを自動的に修正し
て、常に最適な制御性を得ることができる。これによ
り、常に安定でかつ最適な制御特性を維持することが可
能となる。
(実施例) まず、本発明の考え方について説明する。なおここで
は、ボイラの蒸気圧力を検出し、蒸気流量の変化に対し
て蒸気圧力が一定となるようにボイラへの燃料流量を調
整するプロセスに適用する場合について述べる。
まず、ボイラのプロセス値の各諸元を下表のように決
める。
次に、ボイラ蒸気圧力制御のような中間プロセスで
は、外乱の質的変化に対応して、フィードバック制御ゲ
インもフィードフォワード制御ゲインも変化することに
ついて述べる。ボイラ蒸気圧力Pは次式で表わされる。
dP/dt=PR(ηQF−QS−PC)/T・QR ……(1) ここで、P:ボイラ蒸気圧力、PR:定格圧力、T:ボイラ
時定数、QR:定格蒸発量、η:効率、QF:供給熱量、QS:
蒸気が持出す熱量、PC:蒸気圧力調節出力。
(1)式により、負荷であるQSが変化してもボイラ蒸
気圧力Pが不変であるためには、dP/dt=0、すなわち (ηQF−QS−PC)=0 ……(2) とならなければならない。(2)式より、 QF=(QS+PC)/η=(QS/η)+(PC/η)……(3) が得られる。ここで、(QS/η)はフィードフォワード
制御出力を、(PC/η)はフィードバック制御出力をそ
れぞれ表わす。さらに、前表の諸元を用いて、 QF=FF×CF=FFS×CF=fFS×FF(MAX)×CF ……(4) QS=FS×(iS−iW)=fS×FS(MAX)×(iS−iW) ……
(5) が得られる。この(4)式および(5)式を(3)式に
代入すると、 fFS×FF(MAX)×CF=〔{fS×FS(MAX)× (iS−iW)}/η〕+(PC/η) 故に、 fFS={FF(MAX)×(iS−iW)×fS}/{η×CF ×FF(MAX)}+{PC/(η×CF×FF(MAX))}=(K1 ×fS)/(η×CF)+(K2×PC)/(η×CF) ……
(6) となる。ここで、(K1×fS)/(η×CF)はフィードフ
ォワード制御出力を、(K2×PC)/(η×CF)はフィー
ドバック制御出力をそれぞれ表わす。また K1=FS(MAX)×(iS−iW)/FF(MAX)、 K2=1/FF(MAX) は定数である。(6)式から明らかなように、フィード
フォワード制御出力もフィードバック制御出力も、ボイ
ラの効率ηおよび燃料の単位発熱量CFが変化すると、そ
のゲインが同じように影響を受けることがわかる。
ボイラの効率は、負荷の大小によって環境条件および
経時的に変化し、燃料の単位発熱量も低品位燃料程変動
が大きいので、これらの変化の影響を自動的に補償しな
ければ、フィードフォワード制御もフィードバック制御
も最適点からずれて制御性が劣化してしまう。ここで、
(6)式を変形すると、 fFS=(K1×fS+K2×PC)/(η×CF) ……(7) が得られる。(7)式により、フィードフォワード制御
とフィードバック制御のゲインは、全く同じように修正
すればよいことがわかる。
次に、ゲインをどのように修正すれば良いかを示すゲ
イン適応式を求める。第2図は、操作出力信号MVと位置
形外乱補償信号FFの時間的動きを示す図で、Aが操作出
力信号MV、Bが位置形外乱補償信号FFである。前述した
ように、操作出力信号MVと位置形外乱補償信号FFとの比
に基づいて、ゲインを修正すれば良い。すなわち、いま
(n−1)時点において、フィードフォワード制御出力
FFn−1を操作出力信号MVn−1(=n−1時点の最適出
力信号Xn−1)に等しくするための最適修正係数、すな
わちゲイン適応係数をkn−1とすると、 MVn−1=kn−1×FFn−1 となり、 Kn−1=MVn−1/FFn−1 ……(8) が成立する。
次に、フィードフォワード制御出力FFn−1がFFnに変
化した持の最適出力信号Xnは、 Xn=(n−1時点のゲイン適応係数) ×(n時点のフィードフォワード制御出力) =kn−1×FFn=MVn−1×FFn/FFn−1 ……(9) となる。この(9)式は位置形演算式であるので、これ
を速度形演算式に変換する。
Xn=Xn−1+ΔXn 故に、 ΔXn=Xn−Xn−1=(MVn−1×FFn/FFn−1) −MVn−1=(MVn−1/FFn−1)×(FFn−FFn−1) =(MVn−1/FFn−1)×ΔFFn ……(10) =kn−1×ΔFFn ……(11) すなわち、今回の変化分ΔFFnに前回のゲイン適応係
数kn−1を乗ずればよいことになり、(7)式で得られ
たフィードフォワード制御もフィードバック制御も同一
のゲイン適応係数で良いことを考え合せると、 ΔMVn=kn−1×(ΔFFn+ΔCn) ……(12) とすればよいことになる。ここで、ΔFFnはフィードフ
ォワード制御出力、ΔCnフィードバック制御出力であ
る。
以上のように本発明は、フィードフォワード/フィー
ドバック制御系において、位置形演算と速度形演算とを
巧みに組合わせて、フィードフォワード制御とフィード
バック制御のゲインを自動修正しようとするものであ
る。
以下、上述のような考え方に基づく本発明の一実施例
について図面を参照して説明する。
第1図は、本発明をボイラ蒸気圧力制御装置に適用し
た場合の構成例を示すブロック図である。第1図におい
て、制御対象であるボイラ1のバーナ1−1には、図示
しない燃料供給源から燃料輸送管2を介して燃料が供給
されると共に、図示しない空気供給源から空気輸送管3
を介して空気が供給される。そして、このバーナ1−1
で燃料が空気とともに燃焼してボイラ1の蒸発管1−2
が加熱され、被加熱流体である水を加熱蒸発させて蒸気
が発生し、この蒸気は蒸気パイプ4を介して図示しない
負荷(需要家)側に供給される。
一方、ボイラ1から発生するプロセス量である蒸気の
圧力を圧力検出器5で検出し、この蒸気圧力信号PVをフ
ィードバック信号としてフィードバック調節手段6に入
力する。また、蒸気圧力目標値信号PSをフィードバック
調節手段6に入力する。さらに、フィードバック調節手
段6では、圧力検出器5からの蒸気圧力信号PVと蒸気圧
力目標値信号PSとを比較し、この両者の偏差が零となる
ようにPID調節演算等を行なって、フィードバック制御
出力である速度形フィードバック調節信号ΔCnを得、こ
れを加算手段7に入力する。以上により、フィードバッ
ク制御手段を構成している。
一方、ボイラ1から発生する蒸気の流量を流量検出器
8で検出し、この蒸気流量信号FSを開平演算手段9によ
り線形化して信号fSを得、これを外乱信号としてフィー
ドフォワード制御モデル10に入力する。このフィードフ
ォワード制御モデル10は、一般に設定係数Kによる静的
補償のみの場合と、この静的補償に外乱の急激な変化に
対する影響をその伝達関数により補償する動的補償とを
組合わせる場合とがあり、本実施例では説明を容易にす
るため前者の場合について説明するが、後者の場合にも
その静的補償部に対して同様に適用できるものである。
すなわち、フィードフォワード制御モデル10では、蒸気
流量信号fsに静的補償係数Kを乗じて位置形外乱補償信
号FFnを得、これを差分演算手段11に入力してその変化
分である速度形外乱補償信号ΔFFn(=FFn−FFn−1)
を求め、これをフィードフォワード制御出力として加算
手段7に入力する。以上により、フィードフォワード制
御手段を構成している。
一方、加算手段7では、フィードバック調節手段6か
らの速度形フィードバック調節信号ΔCnと,差分演算手
段11からの速度形外乱補償信号ΔFFnとを加算合成し、
この出力信号(ΔCn−ΔFFn)を速度形操作出力信号と
して乗算手段12に入力する。また、乗算手段12では、加
算手段7からの速度形操作出力信号に後述するゲイン適
応係数kn−1を乗じ、ゲインの自動修正を行なって信号
ΔMVn=kn−1×(ΔCn+ΔFFn)を得る。さらに、この
信号ΔMVnを速度形/位置形信号変換手段13に入力し
て、位置形操作出力信号MVn=MVn−1+ΔMVnに変換
し、それを燃料流量指令信号fFSとして燃料流量調節手
段14に入力する。
一方、ボイラ1に供給される燃料の流量を流量検出器
15で検出し、この燃料流量信号FFを開平演算手段16によ
り線形化して信号fFを得、これを燃料流量調節手段14に
入力する。また、燃料流量調節手段14では、速度形/位
置形信号変換手段13からの燃料流量指令信号fFSと,開
平演算手段16からの燃料流量信号fFとを比較し、この両
者の偏差が零となるようにPI調節演算等を行ない、この
出力信号をボイラ1の燃料指令信号として燃料調節弁17
に与えることにより、燃料流量を調整して全体としてボ
イラ1の発生する蒸気圧力が所定値となるように制御す
るように構成している。
一方、差分演算手段11からの位置形外乱補償信号FFn
と,速度形/位置形信号変換手段13からの位置形操作出
力信号MVnとを除算手段18に入力し、両者の比を求めて
ゲイン適応係数kn=MVn/FFnを演算し、さらにこれを遅
れ手段19に入力して1回前、すなわち前回(n−1)の
ゲイン適応係数kn−1を求め、これを上記乗算手段12に
乗算要素として入力する。
この遅れ手段19は、今回制御周期1回分のゲイン適応
係数knを記憶した後、次の制御周期のときに前回値kn−
1として出力する。その理由は、乗算手段12でゲイン修
正をするに際し、ΔCn,ΔFFnについては今回分として求
められるのに対し、修正ゲインkについては、演算順序
から言ってゲイン修正の後に今回値knとして求められ
る。従って、乗算手段12で演算する段階では、今回値kn
を求めることが不可能であって前回値kn−1を用いざる
を得ないので、遅れ手段19では制御周期1回分だけ遅ら
して前回値kn−1を用いるようにしている。ここで、除
算手段18と遅れ手段19とからゲイン適応手段20を構成
し、さらにこのゲイン適応手段20と乗算手段12とからゲ
イン修正手段を構成している。
以上の如く構成したボイラ蒸気圧力制御装置において
は、ボイラ1から発生する蒸気の圧力が圧力検出器5で
検出され、その蒸気圧力信号PVがフィードバック調節手
段6に入力される。フィードバック調節手段6では、蒸
気圧力信号PVと蒸気圧力目標値信号Psとを比較して、両
者の偏差が零となるようにPID調節演算等を行ない、フ
ィードバック制御出力である速度形フィードバック調節
信号ΔCnが加算手段7に入力される。また、ボイラ1か
ら発生する蒸気の流量が流量検出器8で検出され、その
蒸気流量信号Fsが開平演算手段9を通し、外乱信号とし
てフィードフォワード制御モデル10に入力される。フィ
ードフォワード制御モデル10では、蒸気流量信号fsに静
的補償係数Kを乗じて位置形外乱補償信号FFnを得、こ
れが差分演算手段11に入力されて速度形外乱補償信号Δ
FFn(=FFn−FFn−1)が得られ、これがフィードフォ
ワード制御出力として加算手段7に入力される。
一方、加算手段7では、フィードバック調節手段6か
らの速度形フィードバック調節信号ΔCnと,差分演算手
段11からの速度形外乱補償信号ΔFFnとを加算合成して
速度形操作出力信号(ΔCn+ΔFFn)が得られ、これに
乗算手段12でゲイン適応手段20からのゲイン適応係数kn
が乗じられて、信号ΔMVn=kn−1×(ΔCn+ΔFF
n)が得られる。そして、この信号ΔMVnは速度形/位置
形信号変換手段13で位置形操作出力信号MVn=MVn−1+
ΔMVnに変換され、燃料流量指令信号fFSとして燃料流量
調節手段14に入力される。また、ボイラ1に供給される
燃料の流量が流量検出器15で検出され、この燃料流量信
号FFが開平演算手段16を通して燃料流量調節手段14に入
力される。燃料流量調節手段14では、燃料流量指令信号
fFSと燃料流量信号fFとを比較して、両者の偏差が零と
なるようにPI調節演算等が行なわれ、燃料指令信号を燃
料調節弁17に与えることにより、ボイラ1への燃料流量
を調整してボイラ1の発生する蒸気圧力が所定値となる
ように制御される。
この場合、乗算手段12においては、速度形操作出力信
号(ΔCn+ΔFFn)に対して、次のようなゲイン適応係
数kn−1が乗じられる。すなわち、ゲイン適応係数kn−
1は、位置形外乱補償信号FFnと位置形操作出力信号MVn
との比(MVn/FFn)をknとして除算手段18で求め、さら
にこれを遅れ手段19に入力することにより、前回(n−
1)のゲイン適応係数kn−1として求められる。従っ
て、ボイラ1における外乱の質的変化が無い時には、位
置形外乱補償信号FFnと位置形操作出力信号MVnとの大き
さが等しいことから、その比(MVn/FFn)は1となり、
乗算手段12では速度形操作出力信号(ΔCn+ΔFFn)に
対して1なるゲイン適応係数kn−1が乗じられる、すな
わち加算手段12からの速度形操作出力信号(ΔCn+ΔFF
n)が、そのままの大きさで速度形/位置形信号変換手
段13に入力されることになる。一方、ボイラ1における
外乱の質的変化によって、制御対象であるボイラ1のゲ
インが変化した時には、位置形外乱補償信号FFnと位置
形操作出力信号MVnとの大きさが異なることから、両者
の比(MVn/FFn)は1以外の大きさとなり、乗算手段12
では速度形操作出力信号(ΔCn+ΔFFn)に対して、両
者の比に応じた大きさのゲイン適応係数kn−1が乗じら
れる、すなわち加算手段12からの速度形操作出力信号
(ΔCn+ΔFFn)のゲインが修正されて、速度形/位置
形信号変換手段13に入力されることになる。
上述したように、本実施例のボイラ蒸気圧力制御装置
では、中間プロセスにおける外乱の質的変化による制御
対象としてのボイラ1のゲインの変化に対応して、フィ
ードバック制御出力である速度形フィードバック調節信
号ΔCnと,フィードフォワード制御出力である速度形外
乱補償信号ΔFFnとを加算合成して得られる速度形操作
出力信号(ΔCn+ΔFFn)に、ゲイン適応係数kn−1を
乗じてゲインを修正するようにしているので、 (a)フィードフォワード制御モデル10のゲインをより
速く最適化することができ、フィードフォワード制御機
能を常に最大限に発揮させることが可能となる。
(b)フィードバック制御ゲインも同時に修正すること
により、制御の安定性を確保し、制御性の低下を防止す
ることが可能となる。
という極めて優れた効果を得ることができる。
以上によって、ボイラ蒸気圧力制御装置の高度化を実
現することができ、この高度化により安定で品質の高い
蒸気供給を行なうことが可能となる。また、今後石油資
源の有限性,エネルギーコストの高騰等から、微粉炭,
副生燃料等の低品位燃料の利用が増加することが予測さ
れるが、本実施例のボイラ蒸気圧力制御装置を適用する
ことにより、制御性を改善することができ、産業界の発
展に大いに貢献することが期待できるものである。
尚、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、
次のようにしても同様に実施できるものである。
(a)ゲイン適応手段は第1図の構成に限られるもので
はなく、例えば第3図に示すようにゲイン適応手段20を
2つの遅れ手段21,22と、除算手段18とから構成し、位
置形操作出力信号の前回値MVn−を位置形外乱補償信
号の前回値FFn−1で除したもの(MVn−1/FFn−1)
を、ゲイン適応係数kn−1として出力するようにしても
よい。なお、2つの遅れ手段21,22はそれぞれ今回制御
周期1回分の位置形操作出力信号MVn,位置形外乱補償信
号FFnを記憶した後、次の制御周期のときに記憶したMV
n,FFnを前回値MVn−1,FFn−1として出力する機能をも
っている。
(b)ゲイン適応手段は第1図の構成に限られるもので
はなく、例えば第4図に示すようにゲイン適応手段20を
除算手段18と、遅れ手段19とから構成すると共にフィル
タ手段23を備え、ゲイン適応手段20からの出力信号であ
るゲイン適応係数kn−1を平滑してn−1とし、これ
をゲイン適応係数n−1として出力するようにしても
よい。これにより、ゲイン修正を徐々に行なうことがで
きる。なお、フィルタ手段23を設けた理由は、実際の修
正ゲインが急変することも考えられるので、この急変時
のゲインを平滑化することによって安定かつ適正な制御
を実現することにある。
(c)ゲイン適応手段は第1図の構成に限られるもので
はなく、例えば第5図に示すように第3図の構成を有す
るゲイン適応手段20の出力段にフィルタ手段24を備え、
ゲイン適応手段20の出力信号であるゲイン適応係数kn−
1を平滑してn−1とし、これをゲイン適応係数n
−1として出力するようにしてもよい。これにより、ゲ
イン修正を徐々に行なうことができる。なお、第5図の
符号21,22は第3図の符号21,22と同様な機能を有し、ま
た符号24は第4図の符号23と同様な機能を有する。
(d)上記実施例では、フィードフォワード制御モデル
10は外乱の静特性補償のみとした場合について述べた
が、これに限らず動特性補償を付加するようにしてもよ
く、その構成例を第6図に示す。すなわち、外乱静的補
償信号FFnを動特性補償手段25に入力して不完全微分し
た出力信号に、乗算手段26でゲイン適応手段20の出力信
号であるゲイン適応係数kn−1を乗じた後、加算手段27
で位置形操作出力信号MVnに加算合成するようにしても
よい。
(e)上記実施例では本発明をボイラ蒸気圧力制御装置
に適用した場合について述べたが、これに限らず中間プ
ロセスを制御対象とするその他のプロセス制御装置につ
いても同様に適用できるものである。
〔発明の効果〕
以上説明したように本発明によれば、フィードバック
制御出力である速度形フィードバック調節信号と,フィ
ードフォワード制御出力である速度形外乱補償信号とを
加算合成して得られる速度形操作出力信号のゲインを、
位置形操作出力信号と位置形外乱補償信号との比に基づ
いて修正するようにしたので、中間プロセスにおける外
乱の質的変化によるプロセス・ゲインの変化に対応し
て、フィードバック制御およびフィードフォワード制御
を常に最適に維持することが可能な極めて信頼性の高い
プロセス制御装置が提供できる。
【図面の簡単な説明】 第1図は本発明をボイラ蒸気圧力制御装置に適用した場
合の一実施例を示すブロック図、第2図は同実施例にお
ける作用を説明するための図、第3図乃至第6図は本発
明のボイラ蒸気流量制御装置に適用した場合の他の実施
例をそれぞれ示す要部ブロック図、第7図はフィードフ
ォワード/フィードバック制御の基本構成を示すブロッ
ク図、第8図はフィードフォワード/フィードバック制
御の操作出力信号の構成を示す図、第9図は従来の問題
点を説明するための図である。 1……ボイラ、1−1……バーナ、1−2……蒸発管、
2……燃料輸送管、3……空気輸送管、4……蒸気パイ
プ、5……圧力検出器、6……フィードバック調節手
段、7……加算手段、8……流量検出器、9……開平演
算手段、10……フィードフォワード制御モデル、11……
差分演算手段、12……乗算手段、13……速度形/位置形
信号変換手段、14……燃料流量調節手段、15……流量検
出器、16……開平演算手段、17……燃料調節弁、18……
除算手段、19……遅れ手段、20……ゲイン適応手段、2
1,22……遅れ手段、23,24……フィルタ手段、25……動
特性補償手段、26……乗算手段、27……加算手段。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】制御対象からのプロセス量とこのプロセス
    量の目標値信号とを入力し、この両者の偏差が零となる
    ように調節演算を行ない速度形フィードバック調節信号
    を出力するフィードバック制御手段と、 外乱信号を入力し、この外乱信号に所定のフィードフォ
    ワード・ゲインを乗じて得られる位置形外乱補償信号を
    速度形信号に変換し速度形外乱補償信号として出力する
    フィードフォワード制御手段と、 前記フィードバック制御手段からの速度形フィードバッ
    ク調節信号と前記フィードフォワード制御手段からの速
    度形外乱補償信号とを加算合成して得られる速度形操作
    出力信号を位置形信号に変換し位置形操作出力信号とし
    て前記制御対象に出力する手段と、 前記位置形操作出力信号と位置形外乱補償信号との比に
    基づいて、前記速度形操作出力信号のゲインを修正する
    ゲイン修正手段と、 を備えて成ることを特徴とするプロセス制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013096619A (ja) * 2011-10-31 2013-05-20 Toshiba Mitsubishi-Electric Industrial System Corp ボイラ制御装置

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