JP5108644B2 - ボイラ制御装置ならびにボイラ制御方法 - Google Patents

ボイラ制御装置ならびにボイラ制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、ボイラ制御装置ならびにボイラ制御方法に係り、特に高負荷変化率における発電出力、主蒸気圧力、蒸気のエンタルピなどの制御の追従性を同時に向上することが可能なボイラ制御装置ならびにボイラ制御方法に関する。
従来、蒸気発生器における蒸気圧力と蒸気温度に対する制御に関して特許文献1に記載された提案がある。この提案によると燃料の燃焼が出力目標値に対して遅延すること、また給水流量が蒸発器伝熱面を通過するに際しての時間遅れの両者に対して、制御装置内に2つの遅延要素を設けることによって補正しようとする技術が開示されている。
また、図8と図9は本発明者らが先に検討したボイラ制御装置を説明するための図で、図8はボイラ・タービン系における発電出力、主蒸気圧力、蒸気のエンタルピの制御装置全般を示すブロック図、図9はその制御装置の信号系統を示す図である。
図8に示すように、給水はポンプ11によりボイラ装置に導入され、節炭器12を経てその大部分は水壁14に導かれ、給水の一部は分岐点22から1次スプレ水23ならびに2次スプレ水24として使われる。水壁14は火炉13の外周壁を構成しており、水壁14の中を通る水は燃料の燃焼により生成した燃焼ガスにより加熱される。これはケージ15ならびに汽水分離器16を経て蒸気となり、この例では1次過熱器17、2次過熱器18および3次過熱器19で順次過熱されて過熱蒸気となる。
過熱蒸気はガバナ(ガス圧調整弁)20を経て蒸気タービン21(図中では高圧タービンのみ表示)に供給されて発電に寄与し、さらに再熱ループ(図示せず)に送られる。
このボイラ・タービン系の制御は、負荷要求信号(MWD)50に基づいて関数発生器(Fx)30,31により主蒸気圧力設定値60と蒸気のエンタルピ設定値70が生成される。前記負荷要求信号(MWD)50、主蒸気圧力設定値60ならびに蒸気のエンタルピ設定値70に追従すべき量は、発電出力値51、主蒸気圧力値61及び蒸気のエンタルピ値71である。
前記負荷要求信号(MWD)50と発電出力値51との出力偏差値52は、減算器32により求められる。主蒸気圧力設定値60と主蒸気圧力値61との主蒸気圧力偏差値62は、減算器33により求められる。蒸気のエンタルピ設定値70と蒸気のエンタルピ値71との蒸気のエンタルピ偏差値72は、減算器34により求められる。これら偏差値52,62,72はPI(微分・積分)制御器53,63,73に、適切な無次元化の上で入力され、フィードバック調整量111,112,113が算定される。
このうち発電出力偏差値52のフィードバック調整量111はガバナ20への指令信号となり、ガバナ20の開度調整を行う。
主蒸気圧力偏差値62のフィードバック調整量112は加算器35で負荷要求信号(MWD)50と加算されて、ボイラ入力指令信号(BID)200となる。このボイラ入力指令信号(BID)200は一方では関数発生器(Fx)36により給水流量先行信号201を、また一方では関数発生器(Fx)37により燃料流量指令信号202を、それぞれ生成する。給水流量先行信号201は加算ブロック38で前記蒸気のエンタルピ偏差値72のフィードバック調整量113と加算され、給水流量指令信号301となって給水ポンプ11の駆動操作を指示する。前記燃料流量指令信号202は、火炉13(バーナ)への燃料流量の投入操作を指示する。
図9は、前記制御系において前記フィードバック調整量がボイラ・タービン系にどのように作用し、どのような結果を出力するかを説明するための図である。
フィードバック調整量111,112,113を算定するプロセスは図8で説明した通りであるから、その説明は省略する。図9に示すようにボイラ・タービン系20000は、ボイラ・タービン系への入力が出力に変換される過程を3種類の、一般的にはシステム系の出力と入力のラプラス変換の比で表される、伝達関数で表現したG12,G22,G32のブロックとその3種類の伝達関数が影響を受け合うということを表現した加算ブロック40を含むものを、ブロック様式で記載したものである。ボイラ・タービン系にはフィードバック調整量111,112,113が制御値として入力され、それらに基づいてボイラ・タービン系内では伝達関数G12,G22,G32および加算ブロック40で表現された入力から出力への変換が生じ、発電出力値51、主蒸気圧力値61ならびに蒸気のエンタルピ値71がボイラ・タービン系の出力として現れる(図面を簡略にするため図9では代表例として主蒸気圧力値61が出力されている状態を示している)。
主蒸気圧力値(Ppv)61を主蒸気圧力設定値(Pset)60に追従制御するには、減算器33により両者の主蒸気圧力偏差値62を求め、その偏差値62を基にしてPI制御器63によりフィードバック調整量112を得る。
このフィードバック調整量112がボイラ・タービン系20000に入力されると、物理法則で規定された因果関係に沿って圧力変化値2522が発生する。すなわち前記フィードバック調整量112によりボイラ入力指令信号(BID)200を得て、給水流量先行信号201と燃料流量指令信号202によりボイラ装置が制御されるから火炉13内で圧力変化値2522が発生する。そしてこの圧力変化値2522がゼロに収束することで、主蒸気圧力設定値(Pset)60が得られることになる。
ここで前記因果関係はシステム理論の用語で伝達関数と称されるものであり、前記フィードバック調整量112が伝達関数(G22)2022に入力されて圧力変化値2522が得られる。この圧力変化値2522には、外乱としてガバナ20のフィードバック調整量111が別の伝達関数(G12)2012を経由した圧力変化値2512が加算ブロック40で加算されるとともに、給水操作量のフィードバック調整量113がさらに別の伝達関数(G32)2032を経由した圧力変化値2532も加算ブロック40で加算される。
これらを直観的に示すと、まず伝達関数(G12)2012を経由した圧力変化値2512の加算は、ガバナ20の開度を絞れば主蒸気圧力が直ちに上昇し、逆に開放すれば主蒸気圧力が直ちに降下するという因果関係に基づくものである。伝達関数(G32)2032を経由した圧力変化値2532の加算は、給水を多量に流せば主蒸気圧力はゆっくりと上昇し、逆動作では主蒸気圧力がゆっくりと降下するという因果関係に基づくものである。
ここでガバナ20を動作するのは発電出力値(MW)51を負荷要求信号(MWD)50に追従するためであり、また給水ポンプ11を動作するのは蒸気のエンタルピ値71を蒸気のエンタルピ設定値70に追従するためである。
特表平7−502803号公報
前記特許文献1で提案された制御装置では、圧力制御への2つの外乱が発生する。その1つは、蒸気のエンタルピを給水操作で制御する際に、この給水操作が主蒸気圧力に影響することである。またガバナの開度は発電出力を設定に持っていくように操作されるが、このガバナ操作の主蒸気圧力への影響が、主蒸気圧力の本来の操作量であるところのボイラ入力によるよりも速いという時間的なミスマッチが存在することである。
図8に示すボイラ・タービン制御系で注意すべき点は、前述のようにガバナ20の開度調整による主蒸気圧力の応答時間がボイラ入力操作による主蒸気圧力の応答時間より数倍程度速いことである。従ってガバナ20が発電出力(MW)制御のために操作されると、その影響が直ちに主蒸気圧力に外乱として作用し、これを除去するためにはその動きを事前に予測し、逆外乱と逆方向に動く作用をボイラ入力から主蒸気圧力に印加しなければならない。しかるにボイラ入力でのそのような事前情報の利用は因果関係からは有り得ないことである。
この先に検討した制御系では前述の応答速度の差が考慮されていないため、主蒸気圧力値61の外乱項のうち特にガバナ20の操作に由来する圧力変化値2512の抑制が困難である。
また外乱項である圧力変化値2532の抑制も積極的には行われていない。このため発電出力値(MW)51あるいは蒸気のエンタルピ値71をそれぞれの設定値に追従させるための操作が主蒸気圧力値61への外乱として作用し、主蒸気圧力を安定に制御するにはPI制御を低いゲインで行わざるを得なくなる。そうすると主蒸気圧力の追従性が遅く、結果として発電出力値(MW)の追従性も遅くなり、発電出力値(MW)の偏差値を規定の範囲に守れない恐れが出てくる。
本発明の目的は、発電出力、主蒸気圧力、蒸気のエンタルピなどの制御の追従性を同時に向上することが可能なボイラ制御装置ならびにボイラ制御方法を提供することにある。
前記目的を達成するため本発明の第1の手段は、ボイラに対する負荷要求信号と蒸気タービンからの発電出力値により演算された発電出力偏差値に基づいて、主蒸気経路に設けたガバナの開度を調整して前記蒸気タービンに供給する主蒸気流量を制御する第1の制御ループと、
前記負荷要求信号に基づいて演算された主蒸気圧力設定値と主蒸気圧力値により演算された主蒸気圧力偏差値に基づいて、バーナに投入する燃料流量を制御する第2の制御ループと、
前記負荷要求信号に基づいて演算された蒸気のエンタルピ設定値と蒸気のエンタルピ値により演算された蒸気のエンタルピ偏差値に基づいて、水壁に供給する給水流量を制御する第3の制御ループと、
ボイラの負荷変化率と制御仕様の入力値から正数パラメータを演算する正数パラメータ演算手段と、
前記発電出力偏差値、主蒸気圧力偏差値、蒸気のエンタルピ偏差値のうちの少なくとも2つの偏差値と前記正数パラメータを入力して、前記入力した偏差値に基づく少なくとも2つのボイラ操作量を出力するムダ時間補償手段とを備えたことを特徴とするものである。
本発明の第2の手段は前記第1の手段において、
前記制御仕様の入力値が主蒸気許容圧力偏差値であることを特徴とするものである。
本発明の第3の手段は前記第1の手段において、
前記ムダ時間補償手段が第1の補償要素演算手段と第2の補償要素演算手段と加算手段を備え、
前記第1の補償要素演算手段に前記発電出力偏差値と前記正数パラメータが入力されて第1の出力信号を出力し、前記第2の補償要素演算手段に前記蒸気のエンタルピ偏差値が入力されて第2の出力信号を出力して、
前記第1の出力信号と第2の出力信号と主蒸気圧力偏差値を前記加算手段で加算して第3の出力信号を出力する構成になっていることを特徴とするものである。
本発明の第4の手段は前記第3の手段において、
前記第1の補償要素演算手段が、不完全微分演算手段とムダ時間差設定手段と乗算手段と加算手段を備え、
前記発電出力偏差値と正数パラメータが前記不完全微分演算手段に入力されて、発電出力偏差値の不完全微分が遅れ時間によって演算され、
前記ムダ時間差設定手段に設定されている前記ガバナの操作による主蒸気圧力の応答のムダ時間とボイラ入力の操作による主蒸気圧力の応答のムダ時間の差と、前記不完全微分演算手段によって演算された発電出力偏差値の不完全微分が前記乗算手段により掛け算され、
その掛け算された値と前記発電出力偏差値が前記加算手段により加算されて微分結果値を出力する構成になっていることを特徴とするものである。
本発明の第5の手段は、
ボイラに対する負荷要求信号と蒸気タービンからの発電出力値により演算された発電出力偏差値に基づいて、主蒸気経路に設けたガバナの開度を調整して前記蒸気タービンに供給する主蒸気流量を制御し、
前記負荷要求信号に基づいて演算された主蒸気圧力設定値と主蒸気圧力値により演算された主蒸気圧力偏差値に基づいて、バーナに投入する燃料流量を制御し、
前記負荷要求信号に基づいて演算された蒸気のエンタルピ設定値と蒸気のエンタルピ値により演算された蒸気のエンタルピ偏差値に基づいて、水壁に供給する給水流量を制御するとともに、
ボイラの負荷変化率と制御仕様の入力値から正数パラメータを演算し、
前記発電出力偏差値、主蒸気圧力偏差値、蒸気のエンタルピ偏差値のうちの少なくとも2つの偏差値と前記正数パラメータを入力して、前記入力した偏差値に基づく少なくとも2つのボイラ操作量を出力することを特徴とするものである。
本発明の第6の手段は前記第5の手段において、
前記制御仕様の入力値が主蒸気許容圧力偏差値であることを特徴とするものである。
本発明の第7の手段は前記第5の手段において、
前記発電出力偏差値と前記正数パラメータを第1の補償要素演算手段に入力して第1の出力信号を出力し、
前記蒸気のエンタルピ偏差値に第2の補償要素演算手段に入力して第2の出力信号を出力して、
前記第1の出力信号と第2の出力信号と主蒸気圧力偏差値を加算して第3の出力信号を出力することを特徴とするものである。
本発明の第8の手段は前記第7の手段において、
前記発電出力偏差値と正数パラメータを不完全微分演算手段に入力して発電出力偏差値の不完全微分を遅れ時間によって演算し、
前記ガバナの操作による主蒸気圧力の応答のムダ時間とボイラ入力の操作による主蒸気圧力の応答のムダ時間の差と、前記不完全微分演算手段によって演算された発電出力偏差値の不完全微分を掛け算して、
その掛け算された値と前記発電出力偏差値を加算して微分結果値を出力することを特徴とするものである。
本発明の構成によれば、ボイラ入力で主蒸気圧力を制御する制御ループにおいて、ガバナからと給水流量からのバイアス成分が加算されるため、これらガバナと給水流量の変化に起因する圧力への外乱が除去される。このため主蒸気圧力を十分に大きなPIゲインを使ってボイラ入力で制御できる。従って、主蒸気圧力の応答性、制御性が飛躍的に向上し、これにより発電出力ならびに蒸気のエンタルピの追従性も同時に向上する。
また、発電出力偏差によるフィードバックが主蒸気に影響を与えないように必要とされる先行信号についても負荷変化率の高いとき以外ではバイアス量の上限が抑制されるため、操作のためのポンプや弁などのハード機器の損傷などが低減される。
本発明の核となる考え方は、ガバナ操作が他の操作量に比べて速い応答を引き起こす動作であることが、主蒸気圧力制御への外乱とならないような制御方法をとることにある。すなわちボイラ入力にガバナ操作量の変化をバイアスとして加算し、ガバナ操作により誘起される動作をキャンセルさせる。これによれば発電出力を制御するガバナ操作が圧力に外乱として作用することが抑制される。
また同時にバイアス量の初期操作量の最大値を制御するためにある正数パラメータγを導入し、これを負荷変化率と制御仕様入力値との関数として時々刻々に調整できるようにした。このようなバイアスの生成においては、ガバナ操作が主蒸気圧力に影響するまでの時間やボイラ入力が主蒸気圧力に影響するまでの時間、つまりそれぞれの制御ループのムダ時間を正確に求めておく必要があり、このムダ時間はステップ入力の下での実機応答特性から得られる。
本発明の基本は、圧力制御ループの外乱を除去すればよいことに立脚している。これにより、主蒸気圧力偏差のフィードバック調整量はボイラ入力を介して主蒸気圧力のみを操作できるようになる。このような構成をとることにより、圧力制御ループのPI制御のゲインを十分に大きくすることが可能となり、主蒸気圧力設定値への追従性が向上し、結果として発電出力の追従性も向上する。
このような外乱除去のためには、ボイラ入力に外乱を相殺するような操作量バイアスを加算すればよい。すなわち、ボイラ入力のフィードバック量に、ガバナ起因のバイアス成分と給水起因のバイアス成分を加算すればよい。この際、ガバナの開度調整に伴う主蒸気圧力の応答がボイラ入力に伴う主蒸気圧力の応答の数倍も速いため、前記バイアスは前述の通りの事前予測的な補償を要求されるためバイアス生成の初期に大きく立ち上がる信号になる。
このような初期にピークを持つ信号は微分型と称されるが、この微分型信号が突変的にならないように、これをある正数パラメータγにより抑制する。この正数パラメータγは、ボイラ装置の負荷変化率と、対応する制御仕様の情報から例えばルックアップテーブルで算出する。
なお、本明細書で記述する「制御仕様の入力値」とは、例えば蒸気のエンタルピ偏差が+A〔℃〕〜−B〔℃〕、主蒸気圧力偏差が+C〔MPa〕〜−D〔MPa〕、発電出力偏差が+E〔%〕〜−F〔%〕、主蒸気許容圧力偏差値のようにボイラ・タービン系統を安全にかつ効率的に運転するために予め定められた制御上の規定値を示している。
次に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の実施形態に係るボイラ・タービン系における発電出力、主蒸気圧力、蒸気のエンタルピの制御装置全般を示すブロック図である。
図1に示すように、給水はポンプ11によりボイラ装置に導入され、節炭器12を経てその大部分は水壁14に導かれ、給水の一部は分岐点22から1次スプレ水23ならびに2次スプレ水24として使われる。水壁14は火炉13の外周壁を構成しており、水壁14の中を通る水はバーナによる燃料の燃焼により生成した燃焼ガスにより加熱される。これはケージ15ならびに汽水分離器16を経て蒸気となり、本実施形態では1次過熱器17、2次過熱器18、3次過熱器19で順次過熱されて過熱蒸気となる。
過熱蒸気は主蒸気経路に設けられたガバナ20を通り蒸気タービン21 (図中では高圧タービンのみ表示)に供給されて発電に寄与し、さらに再熱ループ(図示せず)に送られる。
ボイラ・タービン系の制御は、ボイラ装置に対する負荷要求信号(MWD)50に基づいて、関数発生器(Fx)30,31により主蒸気圧力設定値60と蒸気のエンタルピ設定値(1次過熱器入口エンタルピ設定値)70が生成される。前記負荷要求信号(MWD)50、主蒸気圧力設定値60及び蒸気のエンタルピ設定値70に追従すべき量は、実測された発電出力値51、主蒸気圧力値61及び蒸気のエンタルピ値71である。
前記負荷要求信号(MWD)50と発電出力値51との出力偏差値52は、減算器32により求められる。主蒸気圧力設定値60と主蒸気圧力値61との主蒸気圧力偏差値62は、減算器33により求められる。蒸気のエンタルピ設定値70と蒸気のエンタルピ値71との蒸気のエンタルピ偏差値72は、減算器34により求められる。これら偏差値52,62,72はPI制御器53,63,73に、適切な無次元化の上で入力され、フィードバック調整量111,112,113が算定される。
発電出力のフィードバック調整量111、主蒸気圧力のフィードバック調整量112及び蒸気のエンタルピのフィードバック調整量113は、ボイラ動特性ムダ時間補償装置1000に入力される。主蒸気圧力のフィードバック調整量112については演算処理後、新しく第3の出力信号102が得られる。フィードバック調整量111と113はボイラ動特性ムダ時間補償装置1000中で前記第3の出力信号102を生成するために使われる。
その後発電出力のフィードバック調整量111と蒸気のエンタルピのフィードバック調整量113は、ボイラ動特性ムダ時間補償装置1000からそのままで出力され、発電出力のフィードバック調整量111はガバナ20への指令信号となり、ガバナ20の開度調整を行う。
前記第3の出力信号102は加算器35によりボイラ入力のフィードバック成分として負荷要求信号(MWD)50と加算されて、ボイラ入力指令信号(BID)200となる。このボイラ入力指令信号(BID)200は一方では関数発生器(Fx)36により給水流量先行信号201を、また一方では関数発生器(Fx)37により燃料流量指令信号202を、それぞれ生成する。
前記給水流量先行信号201は、加算ブロック38により前記蒸気のエンタルピのフィードバック調整量113と加算され、給水流量指令信号301となって給水ポンプ11の駆動操作を指示する。前記燃料流量指令信号202は、火炉13(バーナ)への燃料流量の投入操作を指示する。
負荷要求信号(MWD)50に基づいて負荷変化率計算器(dL/dt)1100で計算された負荷変化率1110と、制御仕様記憶手段1300に記憶されているその時点で与えられる制御仕様指令信号1310がγ演算回路1500に入力され、両者の入力情報に基づいて正数パラメータγ1510が演算される。そしてこの正数パラメータγ1510が、ボイラ動特性ムダ時間補償装置1000に入力される。
図2は、ボイラ動特性ムダ時間補償装置1000の構成とその周辺の入出力信号の流れを示す図である。なお、フィードバック調整量111,112,113を算定するプロセスは図1で説明した通りであるから、その説明は省略する。
本実施形態では、ボイラ動特性ムダ時間補償装置1000は、第1の補償要素演算手段(DBp)1012と第2の補償要素演算手段(DBF)1032と加算ブロック39を備えている。第1の補償要素演算手段(DBp)1012には、発電出力のフィードバック調整量111と、γ演算回路1500で得られた正数パラメータγ1510が入力されて第1の出力信号1512を得る。
第2の補償要素演算手段(DBF)1032には、蒸気のエンタルピのフィードバック調整量113が入力されて第2の出力信号1532を得る。前記出力信号1512,1532は、加算ブロック39により主蒸気圧力のフィードバック調整量112と加算され、ボイラ動特性ムダ時間補償装置1000から第3の出力信号102として、ボイラ・タービン系20000に入力される。
ボイラ・タービン系20000は、第1の伝達関数(G12)2012と第2の伝達関数(G22)2022と第3の伝達関数(G32)2032と加算ブロック40を含むブロック図として表されている。
前記第3の出力信号102がボイラ・タービン系20000に入力されるボイラ・タービン系20000内の第2の伝達関数(G22)2022により、物理法則で規定された因果関係に沿って圧力変化値2522が発生する。すなわち図1に示すように前記フィードバック調整量112によりボイラ入力指令信号(BID)200を得て、給水流量先行信号201と燃料流量指令信号202によりボイラ装置が制御されるから火炉13内で圧力変化値2522が発生する。そしてこの圧力変化値2522がゼロに収束することで、主蒸気圧力設定値(Pset)60が得られることになる。
ここで前記因果関係はシステム理論の用語で伝達関数と称されるものであり、前記第3の出力信号102がボイラ・タービン系20000に入力され、第2の伝達関数(G22)2022により圧力変化値2522が得られる。この圧力変化値2522には、外乱としてガバナ20のフィードバック調整量111から第1の伝達関数(G12)2012により得られる圧力変化値2512が加算ブロック40で加算されるとともに、給水操作量のフィードバック調整量113から第3の伝達関数(G32)2032により得られる圧力変化値2532も加算される。
前記圧力変化値2512の加算は、ガバナ20の開度を絞れば主蒸気圧力が直ちに上昇し、逆に開放すれば主蒸気圧力が直ちに降下するという因果関係に基づくものである。前記圧力変化値2532の加算は、給水を多量に流せば主蒸気圧力はゆっくりと上昇し、逆動作では主蒸気圧力がゆっくりと降下するという因果関係に基づくものである。
前記第1の補償要素演算手段(DBp)1012では、ガバナの操作による主蒸気圧力の応答速度がボイラ入力の操作による主蒸気圧力の応答速度より数倍も速いという事情が考慮されており、この内容を図3と共に説明する。
図3に示すように第1の補償要素演算手段(DBp)1012は、ムダ時間補償演算装置1590と操作量反転装置1595を備えている。この第1の補償要素演算手段(DBp)1012には、発電出力のフィードバック調整量111とγ演算回路1500で得られた正数パラメータγ1510が入力される。
そしてフィードバック調整量111がムダ時間補償演算装置1590において正数パラメータγ1510の値を考慮して微分演算され、その微分結果値1511が操作量反転装置1595に入力されて、最終的にはボイラ入力へのバイアス量としての第1の出力信号1512が得られる。
ここで「微分」の意味を図4で説明するが、この図は前記ムダ時間補償演算装置1590の詳細を示す図である。同図に示すようにムダ時間補償演算装置1590は、不完全微分演算回路1591、ムダ時間差設定部1592、乗算器1593および加算ブロック1594を備えている。
前記不完全微分演算回路1591により発電出力のフィードバック調整量111の不完全微分s/(1+γs)が遅れ時間によって演算され、求められた値とムダ時間差設定部1592に予め設定されているムダ時間差Δτが乗算器1593で乗算され、その値とフィードバック調整量111が加算ブロック1594で加算されることにより微分結果値1511となる。これを計算式で示せば、下記のようになる。
(微分結果値1511)=
(フィードバック調整量111)+Δτ×s/(1+γs)×(フィードバック調整量111)
前記ムダ時間差Δτは、ガバナの操作による主蒸気圧力の応答のムダ時間τ22からボイラ入力の操作による主蒸気圧力の応答のムダ時間τ12を引いた値、すなわちΔτ=τ22−τ12である。通常、ムダ時間τ12はムダ時間τ22の1/2〜1/3程度でムダ時間τ22に比べ小さいため、通常、ムダ時間差Δτ>0の正値である。
図5は、ムダ時間補償演算装置1590の作用の詳細を時間トレンド(時間特性)として具体的に示す図である。
図中のaは発電出力のフィードバック調整量111の時間トレンドで、このフィードバック調整量111に基づいてガバナ20の開度が調整されると、それは直ちに伝達関数(G12)2012を経由して主蒸気の圧力変化値2512として現れる。これが図5に示す時間トレンドbである。
一方、前記フィードバック調整量111は第1の補償要素演算手段(DBp)1012に入力されて、ボイラ入力へのバイアスとしての第1の出力信号1512を得る。これが図5に示す時間トレンドcである。
第1の出力信号1512は時間トレンドcに示すように変換されるが、その圧力変動への加算量は時間トレンドdに示す圧力変化値2522(図2参照)の一部であって、これは前記第1の出力信号1512すなわち時間トレンドcを伝達関数(G22)2522で変換した量である。
ところが時間トレンドcにおいて時間初期に十分な先行値すなわち微分量が確保されていれば、対応して時間トレンドb(圧力変化値2512)と時間トレンドc(圧力変化値2522)の和は時間トレンドeのようにほぼフラットになり、フィードバック調整量111からの圧力への影響が相殺されることになる。
ここで同様の相殺を第2の補償装置(DBF)1032に対して示し、しかる後にこの第2の補償装置(DBF)1032と対比して第1の補償装置(DBp)1012が持つ問題点とその解決方法について次に説明する。
先ず、第2の補償装置(DBF)1032の作用について図6を用いて説明する。最初にトリガ―として蒸気のエンタルピ偏差値72のフィードバック調整量113の変化を考える。時間トレンドfはそのフィードバック調整量113の変化を示すものであり、このフィードバック調整量113は給水ポンプ11の駆動操作を指示する給水流量指令信号301に関与している。このフィードバック調整量113は、図2に示すように伝達関数(G32)2032に入力され、圧力変化値2532を出力するが、この圧力変化値2532は時間トレンドgのようにムダ時間τ32を経てゆっくりと変化する。
この圧力変化値2532を相殺するために、一方で前記フィードバック調整量113を第2の補償装置(DBF)1032に入力して、バイアス量である第2の出力信号1532を得る(時間トレンドh参照)。ここで注意すべきは、このバイアス量(第2の出力信号1532)を、τ32−τ22=τD32だけ遅らせて発生させることである。前記ムダ時間τ32は前記圧力変化が生じるまでの時間、ムダ時間τ22は前記バイアスが主蒸気圧力に影響するまでの時間、遅れ時間τD32は第2の出力信号1532の遅れ時間である。
前記バイアス量(第2の出力信号1532)が主蒸気圧力に影響しはじめるのはバイアス発生から時間τ22の後である。ところがバイアス量(第2の出力信号1532)はトリガであるフィードバック調整量113より時間τD32だけ遅れて発生しているため、結局、バイアス量(第2の出力信号1532)が主蒸気圧力に影響するのはフィードバック調整量113の入力から、τD32+τ22だけ後である(時間トレンドi参照)。この量は、τD32+τ22=(τ32−τ22)+τ22=τ32である。
そこで結局、ボイラ入力への給水からのバイアス量(第2の出力信号1532)による主蒸気圧力への影響は、フィードバック調整量113のトリガから時間τ22だけ後ということになり、バイアス量(第2の出力信号1532)の大きさを適切に設定すれば、バイアス量(第2の出力信号1532)による圧力変化(時間トレンドi)が給水トリガ(フィードバック調整量113)による圧力変化(時間トレンドg)を相殺することができる。その相殺結果が、時間トレンドjとして示されている。
この補償要素演算手段(DBF)1032の作用で注目すべきは、給水による主蒸気圧力の影響がボイラ入力による主蒸気圧力の影響より遅くτ32>τ22であり、このためτD32=τ32−τ22>0となり、トリガを相殺するためのバイアスを時間的にトリガより後に発生することができたことである。
ところが図5に示すトレンドを有する補償要素演算手段(DBp)1012にあっては対応する遅れ時間τD12を計算すると、τD12=τ12−τ22<0と負値になることが分かる。すなわち図5において、ガバナ20のトリガとなるフィードバック調整量111(時間トレンドa)による圧力変化(時間トレンドb)を相殺するためのバイアス信号(時間トレンドc)は、トリガ(時間トレンドa)よりも先に発生しなければならない。
ところが前記トリガ(時間トレンドa)の情報を得てバイアス信号(時間トレンドc)を発生するのであるから、前述のように予定調和的なバイアス信号を発生させることはできない。
そこで前記トリガの発生時点で直ちに非常に大きなバイアス信号を発生させ、予定調和的なバイアス信号が相殺しているであろう所の圧力変化(時間トレンドd)を打ち消すように働くことになる。これが補償要素演算手段(DBp)1012における微分すなわち先行信号の意味であり、図5のバイアス信号(時間トレンドc)に見られるようにトリガ発生時点で非常に大きなバイアス信号(初期のピーク)を発生しなければならない。
ところが、このような非常に大きな信号が一時的にせよボイラ入力に加算されるということは、ボイラ入力によって給水や燃料の先行値が決まることを考えれば、給水あるいは燃料の操作端を非常に速くかつ大きく操作しなければならないことを意味し、例えばポンプや弁などのハード機器の操作端の損傷の観点から避けるべき事態である。
すなわち補償要素演算手段(DBp)1012が有する問題は、バイアス信号をトリガが立つ時点で非常に速く大きく立ち上げなければならないことと、これにより主蒸気圧力への外乱を十分に除去すること、の矛盾する要素の両立の要求があることである。
この課題を解決するために、不完全微分のパラメータγを負荷変化率と制御仕様入力値によりタイムリーに設定する方法を図7と共に説明する。同図の上部には正数パラメータγ(横軸)と主蒸気圧力偏差ΔP(縦軸)との関係を、同図の下部には正数パラメータγ(横軸)とボイラ入力指令信号(BID)の振幅ΔBID(縦軸)との関係を、それぞれ示している。
それぞれは負荷変化率dL/dt1、dL/dt2、dL/dt3の3レベルに対してプロットされており、ここでdL/dt1は例えば5%/分の負荷変化率であり、dL/dt1>dL/dt2>dLdt3の順になっている。また上部の図で主蒸気許容圧力偏差ΔPspecを示しているが、制御仕様とは主蒸気圧力偏差ΔPが主蒸気許容圧力偏差ΔPspec以下であることを要求している。図1に示されている制御仕様記憶手段1300には、主蒸気圧力偏差ΔP、主蒸気許容圧力偏差ΔPspecならびに正数パラメータγの関係が予め記憶されている。
前記上部の図から明らかなように、例えば負荷変化率dL/dt1のように負荷変化率dL/dtが高いほど正数パラメータγを大きく設定しないと、圧力偏差ΔPがその主蒸気許容圧力偏差ΔPspecを上回る恐れがある。
そこで本実施形態では、負荷変化率dL/dt1に対する正数パラメータγを、主蒸気許容圧力偏差ΔPspecと負荷変化率dL/dt1の線が交わる点γ1にとる。他の負荷変化率dL/dt2、dL/dt3についても同様に点γ2あるいは点γ3をとる。
こうしておけば、特定の負荷変化率dL/dtに対してやはり主蒸気許容圧力偏差ΔPspecと交わる点をγに設定しておくことにより、必ず圧力偏差ΔPは主蒸気許容圧力偏差ΔPspecを上回ることがなく、予め設定されている制御仕様を充足することができる。
一方、例えば正数パラメータγ1にあってはボイラ入力の振幅ΔBIDが正数パラメータγ2や正数パラメータγ3のときに比べて大きく、本発明のこの一実施例では、可能な限りボイラ入力指令信号(BID)の振幅ΔBIDを同時に抑制することが考慮されている.
本発明によれば、給水で蒸気のエンタルピを制御し温度応答を向上させ、同時に燃料で主蒸気圧力を制御することで発電出力制御の同時達成を図るボイラ制御装置において、発電出力制御あるいは蒸気温度制御のためのフィードバック調整が圧力制御に印加することになる外乱を可能な限り抑制し、また同時に、調整量の初期突変を抑制することで操作端の機器の損傷についても可能な限り低減できるという効果がある。
本発明の実施形態に係るボイラ・タービン系における発電出力、主蒸気圧力、蒸気のエンタルピの制御装置全般を示すブロック図である。 本発明の実施形態に係るボイラ動特性ムダ時間補償装置の構成とその周辺の入出力信号の流れ、およびボイラ・タービン系統における伝達関数を示す図である。 本発明の実施形態に係る第1の補償要素演算手段(DBp)の構成図である。 本発明の実施形態に係るムダ時間補償演算装置の構成図である。 そのムダ時間補償演算装置の作用の詳細を時間トレンドとして示す図である。 本発明の実施形態に係る第2の補償装置(DBF)の作用を時間トレンドとして示す図である。 本発明の実施形態において不完全微分のパラメータγを負荷変化率と制御仕様によりタイムリーに設定する方法を説明するための図である。 先に検討したボイラ・タービン系における発電出力、主蒸気圧力、蒸気のエンタルピの制御装置全般を示すブロック図である。 そのボイラ・タービン系における制御装置の信号系統、およびボイラ・タービン系統における伝達関数を示す図である。
符号の説明
11:給水ポンプ、12:節炭器、13:火炉、14:水壁、15:ケージ、16:汽水分離器、17:1次過熱器、18:2次過熱器、19:3次過熱器、20:ガバナ、21:蒸気タービン、22:分岐点、23:1次スプレ、24:2次スプレ、30:関数発生器、31:関数発生器、32:減算器、33:減算器、34:減算器、35:加算器、36:関数発生器、37:関数発生器、38:加算ブロック、39:加算ブロック、40:加算ブロック、50:負荷要求信号、51:発電出力値、52:出力偏差値、53:PI制御器、60:主蒸気圧力設定値、61:主蒸気圧力値、62:主蒸気圧力偏差値、63:PI制御器、70:蒸気のエンタルピ設定値、71:蒸気のエンタルピ値、72:蒸気のエンタルピ偏差値、73:PI制御器、102:第3の出力信号、111:発電出力のフィードバック調整量、112:主蒸気圧のフィードバック調整量、113:蒸気のエンタルピのフィードバック調整量、200:ボイラ入力指令信号、201:給水流量先行信号、203:燃料流量指令信号、1000:ボイラ動特性ムダ時間補償装置、1012:第1の補償要素演算手段、1032:第2の補償要素演算手段、1100:負荷変化率計算器、1300:制御仕様記憶手段、1310:制御仕様指令信号、1500:γ演算回路、1510:正数パラメータ、1511:微分結果値、1512:第1の出力信号、1532:第2の出力信号、1590:ムダ時間補償演算装置、1591:不完全微分演算回路、1592:ムダ時間差設定部、1594:加算ブロック、2000:ボイラ・タービン制御系統、2012、2022、2032:伝達関数、2512、2522、2532:圧力変化値。

Claims (8)

  1. ボイラに対する負荷要求信号と蒸気タービンからの発電出力値により演算された発電出力偏差値に基づいて、主蒸気経路に設けたガバナの開度を調整して前記蒸気タービンに供給する主蒸気流量を制御する第1の制御ループと、
    前記負荷要求信号に基づいて演算された主蒸気圧力設定値と主蒸気圧力値により演算された主蒸気圧力偏差値に基づいて、バーナに投入する燃料流量を制御する第2の制御ループと、
    前記負荷要求信号に基づいて演算された蒸気のエンタルピ設定値と蒸気のエンタルピ値により演算された蒸気のエンタルピ偏差値に基づいて、水壁に供給する給水流量を制御する第3の制御ループと、
    ボイラの負荷変化率と制御仕様の入力値から正数パラメータを演算する正数パラメータ演算手段と、
    前記発電出力偏差値、主蒸気圧力偏差値、蒸気のエンタルピ偏差値のうちの少なくとも2つの偏差値と前記正数パラメータを入力して、前記入力した偏差値に基づく少なくとも2つのボイラ操作量を出力するムダ時間補償手段とを備えたことを特徴とするボイラ制御装置。
  2. 請求項1に記載のボイラ制御装置において、
    前記制御仕様の入力値が主蒸気許容圧力偏差値であることを特徴とするボイラ制御装置。
  3. 請求項1に記載のボイラ制御装置において、
    前記ムダ時間補償手段が第1の補償要素演算手段と第2の補償要素演算手段と加算手段を備え、
    前記第1の補償要素演算手段に前記発電出力偏差値と前記正数パラメータが入力されて第1の出力信号を出力し、前記第2の補償要素演算手段に前記蒸気のエンタルピ偏差値が入力されて第2の出力信号を出力して、
    前記第1の出力信号と第2の出力信号と主蒸気圧力偏差値を前記加算手段で加算して第3の出力信号を出力する構成になっていることを特徴とするボイラ制御装置。
  4. 請求項3に記載のボイラ制御装置において、
    前記第1の補償要素演算手段が、不完全微分演算手段とムダ時間差設定手段と乗算手段と加算手段を備え、
    前記発電出力偏差値と正数パラメータが前記不完全微分演算手段に入力されて、発電出力偏差値の不完全微分が遅れ時間によって演算され、
    前記ムダ時間差設定手段に設定されている前記ガバナの操作による主蒸気圧力の応答のムダ時間とボイラ入力の操作による主蒸気圧力の応答のムダ時間の差と、前記不完全微分演算手段によって演算された発電出力偏差値の不完全微分が前記乗算手段により掛け算され、
    その掛け算された値と前記発電出力偏差値が前記加算手段により加算されて微分結果値を出力する構成になっていることを特徴とするボイラ制御装置。
  5. ボイラに対する負荷要求信号と蒸気タービンからの発電出力値により演算された発電出力偏差値に基づいて、主蒸気経路に設けたガバナの開度を調整して前記蒸気タービンに供給する主蒸気流量を制御し、
    前記負荷要求信号に基づいて演算された主蒸気圧力設定値と主蒸気圧力値により演算された主蒸気圧力偏差値に基づいて、バーナに投入する燃料流量を制御し、
    前記負荷要求信号に基づいて演算された蒸気のエンタルピ設定値と蒸気のエンタルピ値により演算された蒸気のエンタルピ偏差値に基づいて、水壁に供給する給水流量を制御するとともに、
    ボイラの負荷変化率と制御仕様の入力値から正数パラメータを演算し、
    前記発電出力偏差値、主蒸気圧力偏差値、蒸気のエンタルピ偏差値のうちの少なくとも2つの偏差値と前記正数パラメータを入力して、前記入力した偏差値に基づく少なくとも2つのボイラ操作量を出力することを特徴とするボイラ制御方法。
  6. 請求項5に記載のボイラ制御方法において、
    前記制御仕様の入力値が主蒸気許容圧力偏差値であることを特徴とするボイラ制御方法。
  7. 請求項5に記載のボイラ制御方法において、
    前記発電出力偏差値と前記正数パラメータを第1の補償要素演算手段に入力して第1の出力信号を出力し、
    前記蒸気のエンタルピ偏差値に第2の補償要素演算手段に入力して第2の出力信号を出力して、
    前記第1の出力信号と第2の出力信号と主蒸気圧力偏差値を加算して第3の出力信号を出力することを特徴とするボイラ制御方法。
  8. 請求項7に記載のボイラ制御方法において、
    前記発電出力偏差値と正数パラメータを不完全微分演算手段に入力して発電出力偏差値の不完全微分を遅れ時間によって演算し、
    前記ガバナの操作による主蒸気圧力の応答のムダ時間とボイラ入力の操作による主蒸気圧力の応答のムダ時間の差と、前記不完全微分演算手段によって演算された発電出力偏差値の不完全微分を掛け算して、
    その掛け算された値と前記発電出力偏差値を加算して微分結果値を出力することを特徴とするボイラ制御方法。
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