JP2548967Y2 - 液晶投射装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、白色光を三原色に分離
し、夫々液晶表示器（ＬＣＤ）で変調させた後再び合成
してフルカラーの映像を投射するようにした液晶投射装
置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、テレビ画像，パソコンやワープロ
等の出力画像等を液晶パネルに表示し、これをそのまま
拡大投影する装置として、上述のような液晶投射装置が
知られている。 この種の装置には、ダイクロイックミ
ラーによって白色光を分離及び合成するようにしたもの
がある。この場合、各色光はダイクロイックミラーを透
過することによって屈折するから、ダイクロイックミラ
ーの透過の有無によって投射レンズのフロントフォーカ
スが相違してしまう。故にスクリーン上の投射画像の寸
法は、赤色光と青色光と緑色光とで互いに相違し、画像
が不鮮明になる欠点があった。

【０００３】このような欠点を改善した装置として、液
晶表示器と投射レンズとの間の光路で、三つの色光のう
ち光が透過するダイクロイックミラーの合計肉厚が最大
のものを検出し、この最大の合計肉厚と一致するように
他の二つの光路に適宜肉厚の光路長補正用透明板を配置
し、フロントフォーカスを調整した液晶投射装置があ
る。この装置は本出願人が実願平１−１３４８７８号を
以て提案したものであり、図２に示す光学系の構成図に
より、これを説明する。

【０００４】光源１から射出された白色光は、コールド
ミラーＭ１で反射され、紫外線をカットするＵ／Ｖフィ
ルターＦ１を透過した後、ダイクロイックミラーＤＭ１
によって赤色光Ｒが反射され、このミラーＤＭ１を透過
した光線はダイクロイックミラーＤＭ２によって青色光
Ｂが反射されると共に緑色光Ｇがこれを透過する。この
ように三原色に色分解された赤色光Ｒ，青色光Ｂ，緑色
光Ｇは各光路中に配置されたコンデンサーレンズＣ１，
Ｃ２，Ｃ３及び液晶パネル２，３，４を夫々透過するこ
とによって偏光変調がかけられる。そして、ダイクロイ
ックミラーＤＭ３によって赤色光Ｒと青色光Ｂが合成さ
れ、更にダイクロイックミラーＤＭ４によって緑色光Ｇ
がこれに合成される。この合成光によって、投射レンズ
５を通過して図示しないスクリーン上にフルカラーの画
像が投射される。

【０００５】しかもこの場合、各液晶パネルから投射レ
ンズ５までの各光路において、赤色光Ｒがダイクロイッ
クミラーＤＭ３及びＤＭ４を通過するために、透過する
ダイクロイックミラーの肉厚が最大のｌとなる。一方、
青色光Ｂの光路ではダイクロイックミラーＤＭ４のみを
透過するから、これとｌとの差の肉厚を有する透明ガラ
ス７が光路上に配設されている。又、緑色光Ｇの光路で
はダイクロイックミラーを全く透過しないから、肉厚ｌ
の透明ガラス８が配設されている。これによって、スク
リーン上の投影画像の寸法を一致させることができる。
尚、Ｍ２，Ｍ３は反射ミラーである。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】ところで、この透明ガ
ラス７，８の取り付け角度はダイクロイックミラーＤＭ
３，４等と同様に、入射光軸に対して４５°とするのが
正規の角度であるが、実際には、ダイクロイックミラー
製造時における金属蒸着の際や、ダイクロイックミラー
の投射装置への取り付け時等に、ミラーの歪み等が発生
するために、規定の４５°の傾斜角度では各色光による
投影画像の寸法を一致させることが困難である。特に各
色光による投影画像の縦横比が一致していないと、絶対
に投影画像寸法を一致させることはできない。

【０００７】本考案は、このような課題に鑑みて、簡単
に各色光による投影画像の寸法を調整できるようにした
液晶投射装置を提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本考案による液晶投射装
置は、光源からの白色光を分離用ダイクロイックミラー
によって三原色の色光に分離し、各光路の色光を夫々液
晶表示器を透過させることによって変調せしめた後、合
成用ダイクロイックミラーによって合成して投射レンズ
を通して投影するものであって、各液晶表示器と投射レ
ンズ間の各色光光路の光透過用ダイクロイックミラー又
はこのミラーと光路長補正用透明板との合計肉厚が互い
にほぼ等しくなるようにした液晶投射装置において、光
路長補正用透明板の色光光軸に対する傾斜角度を調整可
能にすると共に、各液晶表示器を光軸方向に位置調整可
能にすることによって、各液晶表示器の投影画像の寸法
を一致させるようにしたことを特徴とするものである。

【０００９】

【作用】液晶投射装置の組み立て時に、光路長補正用透
明板のない光路による投影画像の寸法を基準として、他
の二つの光路の透明板の傾斜角度を夫々調整することで
三つの投影画像の寸法を相似形にし、更にこの二つの光
路の液晶表示器を移動させて深度を変えることによって
各投影画像寸法を一致させることができる。

【００１０】

【実施例】以下、本考案の好適な実施例を図１に基づい
て説明するが、上述の先行技術と同様な部分には同一の
符号を用いてその説明を省略する。図１は図２と同様に
本実施例による液晶投射装置の光学系の構成を示す図で
あり、図中、青色光Ｂの光路の液晶パネル３とダイクロ
イックミラーＤＭ３との間には、透明ガラス７と同様な
同一肉厚を有するガラス等から成る青色用透明板１０が
配設されており、しかもこの透明板１０は、組み立て時
に青色光Ｂの光軸の入射角度αを調整し得るように回動
可能になっている。又、緑色光Ｇの光路の反射ミラーＭ
３とダイクロイックミラーＤＭ４との間には、同様に透
明ガラス８と同様な同一肉厚の緑色用透明板１１が、組
み立て時に緑色光Ｇの光軸の入射角度βを調整し得るよ
うに回動可能に配設されている。

【００１１】本実施例は上述のように構成されているか
ら、液晶投射装置の組み立て時において、ダイクロイッ
クミラーの蒸着時や取り付け時に生じる歪み等によっ
て、各透明板１０，１１と各光軸との角度が正規の４５
°では三色の投影画像寸法が一致しない場合についての
調整のしかたについて説明する。

【００１２】透明板のない赤色光Ｒによる液晶パネル２
の投影画像寸法を基準として、まず、青色光Ｂによる液
晶パネル３の投影画像寸法が、これと縦横比が等しくな
るようにするために、青色用透明板１０の角度を回動調
整して、青色光Ｂの光軸の入射角αを調整する。入射角
αを変えると像の横寸法に対して縦寸法の変化が著し
く、入射角αが大きくなると像の縦寸法が大きくなり、
入射角αが小さくなると像の縦寸法が小さくなる。これ
と同様に、緑色光Ｇによる液晶パネル４の投影画像の寸
法が、赤色光Ｒによる液晶パネル２の投影画像と縦横比
が等しくなるように、緑色用透明板１１を回動して緑色
光Ｇの光軸の入射角βを調整する。これにより、三色の
投影画像寸法が互いに相似になる。この角度で透明板１
０及び１１を固定する。

【００１３】次に、青色光Ｂの光路に関して、液晶パネ
ル３を光軸方向に微小移動させて投射レンズ５との距離
を調整して深度を変え、その投影画像寸法を赤色光Ｒの
投影画像寸法と一致させる。同様に緑色光Ｇの光路に関
して、液晶パネル４を微小移動させて深度を変え、その
投影画像寸法を赤色光Ｒの投影画像寸法と一致させ、各
液晶パネル３，４を固定する。このようにして、各色光
の投影画像寸法を完全に一致させることができる。

【００１４】上述のように、本実施例によれば、簡単に
各色光の投影画像を一致させることができる。

【００１５】尚、青色用透明板１０，緑色用透明板１１
は夫々光路長補正用透明板を構成する。

【００１６】

【考案の効果】上述のように本考案に係る液晶投射装置
は、光路長補正用透明板の色光光軸に対する傾斜角度を
調整可能にすると共に液晶表示器を光軸方向に移動可能
としたから、比較的簡単に各液晶表示器の投影画像の寸
法を互いに一致させるよう調整することができるという
実用上重要な利点を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例による液晶投射装置の光学系の
要部構成図である。

【図２】先行技術による液晶投射装置の光学系の概略構
成図である。

【符号の説明】

１ 光源 ２，３，４ 液晶パネル ５ 投射レンズ ＤＭ１ ダイクロイックミラー ＤＭ２ ダイクロイックミラー ＤＭ３ ダイクロイックミラー ＤＭ４ ダイクロイックミラー １０ 青色用透明板 １１ 緑色用透明板

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】光源からの白色光を分離用ダイクロイック
   ミラーによって三原色の色光に分離し、各光路の色光を
   夫々液晶表示器を透過させることによって変調せしめた
   後、合成用ダイクロイックミラーによって合成して投射
   レンズを通して投影するものであって、各液晶表示器と
   投射レンズ間の各色光光路の光透過用ダイクロイックミ
   ラー又は該ミラーと光路長補正用透明板との合計肉厚が
   等しくなるようにした液晶投射装置において、 色光光軸に対する前記光路長補正用透明板の傾斜角度を
   調整可能にすると共に、当該光路の液晶表示器の位置を
   光軸方向に調整可能にすることによって、前記各液晶表
   示器の投影画像の寸法を一致させるようにしたことを特
   徴とする液晶投射装置。