JP2548824B2 - 高軟化点乳化物の製法 - Google Patents

高軟化点乳化物の製法

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JP2548824B2 JP2136293A JP13629390A JP2548824B2 JP 2548824 B2 JP2548824 B2 JP 2548824B2 JP 2136293 A JP2136293 A JP 2136293A JP 13629390 A JP13629390 A JP 13629390A JP 2548824 B2 JP2548824 B2 JP 2548824B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、エポキシ樹脂,タツキフアイヤー等の高
軟化点物質を乳化させて、乳化物を製造する方法に関す
るものである。
〔従来の技術〕
エポキシ樹脂エマルジヨンやタツキフアイヤーエマル
ジヨンは、それぞれ疎水性物質であるエポキシ樹脂タツ
キフアイヤー成分を水に乳化させて得られるものであ
り、例えばエポキシ樹脂エマルジヨンは水性塗料とし
て、またタツキフアイヤーエマルジヨンは粘着ラベルの
接着剤等として用いられている。上記エマルジヨンにお
いて、その乳化成分となるエポキシ樹脂ないしタツキフ
アイヤーは、高沸点物質であつてそれぞれ軟化点が100
℃以上であることから、これをそのまま水に乳化させる
ことはできない。そこで、この種の高沸点物質は、一般
に一旦溶剤に溶解して溶剤溶液の状態にし、この溶剤溶
液を常圧下において攪拌羽根を備えた乳化機に投入し乳
化することが行われている。このようにすることによ
り、100℃以下での乳化が初めて可能になる。
〔発明が解決しようとする課題〕
ところが、上記のようにして得られたエマルジヨンに
は、溶剤が含まれていることからこの溶剤を抜く必要が
ある。この溶剤は、減圧下において加熱することによつ
て除去可能であるが、このような工程を経由させること
はエマルジヨンのコストの大幅な上昇を招くため、一般
的ではない。そこで、従来は溶剤を入れたままのエマル
ジヨンを需要者に供給しているが、このような溶剤入り
のエマルジヨンでは火災発生の恐れや環境破壊の恐れが
ある。したがつて、溶剤が入つていず、しかもコストの
安い高軟化点乳化物を製造する方法の提供が求められて
いる。
この発明は、このような事情に鑑みてなされたもの
で、溶剤抜きの高軟化点乳化物を安価に製造しうる方法
の提供をその目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
上記の目的を達成するため、この発明の高軟化点乳化
物の製法は、高軟化点物質を加熱溶融して液状にし、こ
れを第1の加圧流路に導き加圧手段によつて加圧すると
ともに、水を第2の加圧流路に導き加圧手段によつて加
圧したのち、その流路中に設けらている加熱手段で過沸
点状態まで加熱し、上記第1および第2の加圧流路を流
れる流体を合流させ、その合流した流体を加圧状態のま
まステータ歯とロータ歯を備えた乳化機に供給し、この
乳化機中において加圧状態で上記液状高軟化点物質を上
記加熱された水に乳化させて高軟化点乳化物を得るとい
う構成をとる。
〔作用〕
すなわち、高軟化点物質を予め加熱溶融して液状に
し、これと、加圧下で加熱された沸点上昇状態の水と
を、ステータ歯とロータ歯を備えた乳化機に入れ、加圧
状態で乳化するようにすると、従来のように溶剤等を用
いることなく、そのまま高軟化点物質を水に乳化させる
ことができるようになる。
つぎに、この発明を詳しく説明する。
この発明の対象となる高軟化点物質としては、先に述
べたようなエポキシ樹脂やタツキフアイヤー成分等が挙
げられる。それ以外に、ポリアミドアミンやフエノール
樹脂等の100℃を超える軟化点を有している疎水性物質
であつて乳化可能なものがあげられる。
また、この発明に用いるスタータ歯とロータ歯を備え
た特殊な乳化機Xは、第1図および第2図に示すよう
に、モーター1と乳化部2とを備え、乳化物2の円筒状
ケーシング内に、円周に沿つて略リング状のステータ歯
4とその内側に略リング状のロータ歯5とが位置決めさ
れている。6は上記ステータ歯4をケーシングに固定す
るための固定具、7は上記ロータ歯を回転させるための
回転軸でモーター1によつて駆動される。上記ロータ歯
5とステータ歯6において、第2図に示すように、ロー
タ歯5には円周方向に所定間隔で隙間5bが形成され各歯
5aが区画されている。また、ステータ歯4においても各
歯4aの間に隙間4bが形成されている。そして、沸点上昇
した水と加熱溶融された高融点物質とが混合状態でロー
タ歯5の中に入り、そこからその各歯5aの間を通つてス
テータ歯4との間の隙間に移行し、ステータ歯4の各歯
4aの間の隙間4bから外部に導出され、次段のロータ歯5
の中に導入される。このようにして上記混合物は3段階
の乳化段階を経由し乳化される。この場合において、ス
テータ歯4は固定された状態になつており、ロータ歯5
は回転駆動されることから、上記混合物Aには、ロータ
歯5とステータ歯4との間において、ロータ歯5の接線
方向に生じた速度勾配にもとづく剪断力が加えられる。
また、ロータ歯5の各歯5aの間の隙間5bに存在する混合
物Aには遠心力が作用し、半径方向流れを生じさせる。
これによって、上記ロータ歯5とステータ歯4との間の
隙間が生じる混合物Aの旋回流れ層流に対して、直角に
剪断力が作用する。すなわち、半径方向流れと旋回流れ
層流との衝突が連続的に繰り返され、これにより、上記
混合物Aは破砕,混合の作用を連続的に受けることによ
り、完全な乳化が実現される。
つぎに、実施例について説明する。
〔実施例〕
第3図は、この発明の一実施例の構成を示している。
図において、8は加熱部9を備えた溶融タンクであり、
内部に高温物質を入れ加熱溶融させるようになってい
る。このタンク8の底部から加圧パイプ(第1の加圧流
路)Bが乳化機Xを乳化部2の入口まで延びている。こ
の加圧パイプBには加圧ポンプ10,開閉弁11,逆止弁12が
設けられ、この加圧パイプBと後記の加圧パイプ(第2
の加圧流路)Cとの合流路には、圧力計13が設けられて
いる。上記両パイプB,Cの合流路は、上記乳化機Xの乳
化部2の入口に連通している。また、14は水を収容する
水タンクで、この底部から加圧パイプCが上記合流路ま
で延びている。この加圧パイプCには、ポンプ15,開閉
弁16,ヒーター17,第2の開閉弁18,逆止弁19が設けられ
ている。そして、乳化機Xの乳化部2の出口からは、製
品取り出しパイプDが製品タンク25まで延びている。こ
のパイプDには、圧力計20,開閉弁21,第1のリリース弁
22,第2のリリース弁23,冷却機24が設けられている。
この構成において、高融点物質は上記タンク8内で加
熱溶融されて加圧パイプB内に送り込まれ、ポンプ10で
加圧されて乳化機Xの乳化部2に導入される。この時、
水は水タンク14から加圧パイプCを通つてポンプ15によ
り加圧され、その状態でヒーター17で加熱されて120℃
程度の熱湯状態となり、上記加圧パイプBの加熱溶融高
軟化点物質と混合して乳化機Xに送られる。この乳化機
Xの乳化部2において上記混合物が乳化され、その乳化
物が製品取り出しパイプDを経て製品取り出しタンク25
内に送られる。このパイプDにおける移送中において、
第1のリリース弁22および第2のリリース弁23により減
圧がなされ、上記乳化物は常圧状態になり、また冷却機
24で常温状態ままで冷却される。このようにして高軟化
点乳化物が得られる。
つぎに、具体例について説明する。
〔具体例〕
第3図の装置を用い、エポキシ樹脂エマルジヨンをつ
ぎのようにして製造した。
まず、 ビスフエノールA型エポキシ樹脂 90重量部 ポリエチレンオキサイドノニルフエニルエーテル(エチ
レンオキサイド付加モル数99) 10重量部 からなる高軟化点物質を対象とし、これを水に乳化させ
た。この場合、上記高軟化点物質の軟化点は110〜125℃
であり、加圧パイプBの圧力は4に設定した。
このようにして得られたエポキシ樹脂エマルジヨンを
乳化安定状態を、先に述べた従来例(上記エポキシ樹脂
組成物を溶剤メチルエチルケトンで溶解し、蒸発下にお
て攪拌溶融して乳化したのち、減圧下で上記溶剤を除去
したもの)のそれと対照して後記の第1表に示した。
上記の表から明らかなように、実施例品は従来品と同
様の優れた乳化特性を示しており、溶剤を用いる必要が
ないことからコストの大幅な低減を実現できることがわ
かる。
〔発明の効果〕
以上のように、この発明の高軟化点乳化物の製法は、
高軟化点物質を第1の加圧流路中において加熱溶融する
とともに、水を第2の加圧流路中において加圧状態で加
熱して過沸点状態とし、この両流路を流れる液体を合流
させ、この合流した流体(過沸点状態の水+溶融高軟化
点物質)を加圧状態においてステータ歯とロータ歯を備
えた特殊な乳化機内に供給し、その乳化機中におい加圧
状態で乳化させるため、従来のように溶剤を用いて予め
高軟化点物質を溶解するという手間が不要になり、また
溶剤を抜くという手間も不要になる。したがつて、製造
工程の短縮化を実現できるとともに、溶剤を使用しない
ことから安価な高軟化点乳化物を製造しうるようにな
る。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明に用いる乳化機の構成を示す断面図、
第2図はそのA−A′断面図、第3図はこの発明の一実
施例の構成を示す説明図である。 8……高軟化点物質タンク、B……加圧パイプ、14……
水タンク、C……加圧パイプ、1……モーター、2……
乳化部、D……製品取り出しパイプ、17……ヒーター、
10,15……ポンプ、13,20……圧力計、24……冷却機、25
……製品タンク
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−49239(JP,A) 特開 昭59−166231(JP,A) 特開 昭58−216726(JP,A) 特開 昭58−40131(JP,A) 特開 昭59−42032(JP,A) 特開 昭59−42033(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】高軟化点物質を加熱溶融して液状にし、こ
    れを第1の加圧流路に導き加圧手段によつて加圧すると
    ともに、水を第2の加圧流路に導き加圧手段によつて加
    圧したのち、その流路中に設けらている加熱手段で過沸
    点状態まで加熱し、上記第1および第2の加圧流路を流
    れる流体を合流させ、その合流した流体を加圧状態のま
    まステータ歯とロータ歯を備えた乳化機の供給し、この
    乳化機中において加圧状態で上記液状高軟化点物質を上
    記加熱された水に乳化させて高軟化点乳化物を得ること
    を特徴とする高軟化点乳化物の製法。
  2. 【請求項2】上記両流路内を流れる両液が、乳化機のロ
    ータ歯の各歯の間およびロータ歯とステータ歯の間なら
    びにステータ菌の各歯の間を通過する過程で乳化される
    請求項(1)記載の高軟化点乳化物の製法。
JP2136293A 1990-05-25 1990-05-25 高軟化点乳化物の製法 Expired - Lifetime JP2548824B2 (ja)

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