JP2548451Y2 - 製氷機の製氷水残留機構 - Google Patents

製氷機の製氷水残留機構

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JP2548451Y2
JP2548451Y2 JP10958491U JP10958491U JP2548451Y2 JP 2548451 Y2 JP2548451 Y2 JP 2548451Y2 JP 10958491 U JP10958491 U JP 10958491U JP 10958491 U JP10958491 U JP 10958491U JP 2548451 Y2 JP2548451 Y2 JP 2548451Y2
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この考案は、製氷機の製氷水残留
機構に関し、更に詳しくは、水皿に画成した製氷室中の
製氷水に、製氷基板から多数垂下する製氷突起を浸漬さ
せ、製氷運転の進行に伴い前記製氷突起の周囲に逆ドー
ム状の氷塊を形成させるようにした製氷機において、製
氷運転が終了して水皿が傾動することにより、製氷水を
外部へ排出するに際し、その低温に保持されている製氷
水の全量を排出するのではなく、一部は引続き製氷室中
に残留させ、これを次の製氷運転のため新たに補給され
る製氷水と混合させて、この製氷水を氷結温度にまで低
下させる時間を短縮し得るよう構成した製氷水残留機構
に関するものである。
【0002】
【従来技術】角氷等の氷塊を連続的に多数製造する自動
製氷機では、その製氷方式として多数の型式が提案さ
れ、用途に応じて適宜の方式が採用されている。例え
ば、多数の仕切り板を縦横に配設して下方に開口する
碁盤目状の製氷小室を画成し、その下方に配設した水皿
から各対応の製氷小室に製氷水を噴射供給して、蒸発管
で冷却されている各製氷小室に角氷を形成するクローズ
ドセル式の製氷機や、前記水皿は使用せず、これらの
製氷小室中に下方から製氷水を吹上げ散布することによ
り、各小室中に角氷を形成するオープンセル型の製氷機
や、直立配置した製氷板の一側面に、その上方から製
氷水を流下させることにより該製氷板面にかまぼこ状の
氷塊を多数形成する水流下式の製氷機等が知られてい
る。
【0003】前述の3型式に係る製氷機は、何れも製氷
水を所要量貯留するための製氷水タンクを備え、該タン
ク中の製氷水をポンプで圧送して製氷ユニットの前記製
氷小室または直立製氷板に供給し、氷結するに至らなか
った製氷水は前記タンク中に回収した後に、再び製氷ユ
ニットに向け送り出す強制循環機構を採用している。従
ってこれらの製氷機では、製氷水タンクや製氷水を循環
させるポンプ等の付帯設備が必要となり、構成が複雑化
すると共に製造コストも高騰し、また大型化する一因と
もなっていた。これに対して、水皿中に製氷水を所要レ
ベルで貯留し、蒸発管を配設した製氷基板の下面に突設
垂下した製氷突起を、該製氷水中に浸漬させることによ
り、該製氷突起の周りに氷塊を形成させるようにした簡
易型の製氷機が既に提案されている。この製氷機では、
製氷運転中に製氷水を水皿と製氷水タンクとの間でポン
プ循環させる機構を必要としないために、構造的に簡略
化されて製造コストを抑制し得ると共に、小型化を図っ
た製氷機を製造し得る利点を有している。
【0004】
【考案が解決すべき課題】先に述べた製氷水タンクを備
える自動製氷機では、該タンク中の製氷水は製氷運転中
に製氷ユニットに供給され、ここで氷結するに至らなか
った製氷水はタンクに帰還した後、再び製氷ユニットに
向け供給されるようになっている。しかも前記製氷ユニ
ットでは、製氷水中でも純粋な部分から氷結して行くた
めに、1回の製氷運転が終了した時点での、前記タンク
中における残留水の不純物濃度はかなり上昇している。
このため、前記タンク中の残留水は略0℃に近い温度に
まで充分低下しているにも拘らず、各製氷運転が終了す
る毎に、不純物濃度の高まった製氷水を該タンクから排
出して、次の製氷運転のために新たな製氷水を全量補給
しているのが一般的であった。しかし新たに補給される
製氷水は常温であるために、製氷ユニットに接触し冷却
されてから前記タンク中に帰還する製氷水が、氷結温度
にまで低下するためには、何度も循環を行なう必要があ
ると共に時間が掛かって不経済である、という欠点があ
る。
【0005】そこで例えば、先にで述べたクローズド
セル式の製氷機では、除氷運転に切換わって水皿を傾動
させるに際し、これと一体に設けた製氷水タンクも傾動
させ、このとき充分低温に保持されている製氷水の一部
を該タンク中に残留させる構成が採用されている。この
構成によれば、除氷運転が終了し前記水皿が水平に復帰
した後に、次の製氷運転のため新たに常温の製氷水が該
タンクに補給されると、先の一部残留した低温の製氷水
と混合することにより、全体として製氷水の温度が低下
する。従って製氷水を何度も循環させなくても、短時間
で氷結に必要な温度にまで到達し得る利点がある。しか
も製氷水中の不純物は、その製氷水の大半が排出される
と共に、新たに補給される製氷水で低濃度にまで希釈さ
れるので全く問題がなくなる。
【0006】しかるに先に述べた如く、冷却保持した多
数の製氷突起を水皿中の製氷水に浸漬させ、該突起の周
りに氷塊を形成するよう構成した製氷機では、その製氷
運転中に製氷水を循環させる機構は採用していないため
に、当然のことながら製氷水タンクを備えていない。こ
の場合に製氷水は、水皿に画成した製氷室中に貯留され
る。従って単に当該水皿を傾動させただけでは、製氷水
の排出先が確保されず、また適量の製氷水を一部残留さ
せることもできない。更に、本願に関連する別出願で特
許請求した如く、得られる氷塊の白濁を防止するため
に、水皿の製氷室中に揺動板を配設し、これを揺動させ
て製氷水を移動させる構成が提案されている。この場合
に従来の水皿構造では、前記揺動板の揺動時に製氷水が
上下に移動するので、該製氷水が水皿からオーバーフロ
ーしてしまう事態が懸念される。
【0007】
【考案の目的】本考案は、蒸発管により冷却される製氷
突起を、水皿中に貯留した製氷水に浸漬して、当該製氷
突起の周りに氷塊を形成するようにした製氷機に内在し
ている前記欠点に鑑み、これを好適に解決するべく提案
されたものであって、製氷運転の終了時に低温保持され
ている製氷水の全量を排出するのではなく、一部は引続
き製氷室中に残留させ、これを次の製氷運転のため新た
に補給される製氷水と混合させて、この製氷水を氷結温
度にまで低下させる時間を短縮し得る製氷水残留機構を
提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記課題を克服し、所期
の目的を達成するため本考案は、圧縮機や凝縮器等を備
える冷凍系に接続する蒸発管と、この蒸発管が上面に配
設されると共に、下面に多数の製氷部を所定間隔で突設
垂下させた製氷基板と、製氷機本体に固定した支軸によ
り傾動自在に枢支されて常には水平姿勢を保持し、内部
に画成した製氷室中の製氷水に前記製氷部が浸漬される
水皿と、前記製氷部の周りに製氷水が氷結して所要の氷
塊が形成されると、前記水皿を斜め下方に傾動付勢する
傾動機構とから構成した製氷機において、前記水皿の製
氷室を、矩形状底面と該底面から直立する4つの壁面と
から形成し、この水皿の裏面側に、該水皿における傾動
端の下部近傍から枢支側の下方に向け斜めに延在する排
水シュートを配設し、この排水シュートの上端側に、前
記水皿の傾動端側の壁面を上方から非接触で囲む囲繞壁
を屈曲形成すると共に、この囲繞壁における前記傾動側
壁面より内側に垂下する内壁の下部開放端を、前記底面
より僅か上方に位置させて該底面との間に間隙を設け、
前記傾動機構により付勢されて水皿が斜め下方に傾動し
始めると、前記製氷室中の製氷水は、前記内壁の下部開
放端および傾動側壁面の上端縁部を経て前記排水シュー
トに放出され、該水皿の傾動が所要角度で停止される
と、前記製氷水は傾動側壁面の上端縁部で堰止められて
一部残留するよう構成したことを特徴とする。
【0009】
【実施例】次に、本考案に係る製氷機の製氷水残留機構
につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しなが
ら以下説明する。
【0010】図4および図5は、実施例に係る製氷水残
留機構が採用される製氷機の全体構成を概略的に示す断
面図および斜視図である。製氷機本体を構成する筐体1
0の内部は、圧縮機16や凝縮器18等の冷凍機械が収
納される下部機械室14と、その上方に位置し断熱材で
囲われると共に、扉26で開閉自在に閉成される貯氷庫
12と、この貯氷庫12の上方に配設される製氷ユニッ
ト20とから基本的に構成されている。製氷ユニット2
0は、図2および図3に関して後述する如く、製氷水を
所定レベルで貯留する水皿24と、この製氷水中に浸漬
される製氷突起36を備えた製氷基板34とを備え、該
水皿24は除氷運転に切換わると所定角度傾動して、該
水皿24中の製氷水を排水受部28および排水管30を
介して外部へ排出すると共に、氷塊を前記貯氷庫12へ
放出し得るようになっている。
【0011】図2は、製氷ユニット20の詳細を縦断面
で示し、前記水皿24は図1および図3に示す形状を有
すると共に、その内部に画成した製氷室32中に所定レ
ベルで製氷水を貯留し得るようになっている。すなわち
製氷室32は、水皿24における矩形状底面24aと、
その四方に直立する壁面24b,42,24d,24eと
により画成され、短手方向の対向し合う直立壁24d,
24eの外側に夫々支持片50,50が取付けられてい
る。図1に示す如く、前記直立壁24dに設けられる支
持片50は、前記水皿24から外れた部位で斜め下方に
屈曲突出するカム片50aを有し、このカム片50aに
長孔からなるカム溝54が穿設され、これに後述するカ
ム円板58の偏心位置に突設したカムフォロワ56が摺
動自在に臨んでいる。また各支持片50の前記水皿24
を外れた屈曲部に突片49が突出形成され、これに穿設
した通孔に旋回支軸52が夫々挿通されている。この旋
回支軸52は製氷機の本体側に固定され、前記カム円板
58に接続するアクチュエータモータ60の回転に伴な
うカム作用下に、前記水皿24は旋回支軸52を中心と
して、図9〜図11に示す如く斜め下方への傾動および
傾め上方への復帰をなし得るようになっている。
【0012】図1および図2に示す如く、前記水皿24
には、該水皿24の傾動時に製氷室32中の製氷水を外
部へ放出する水排出路が形成されている。すなわち水皿
24の下面には、斜め下方に延在する排水シュート38
が一体形成されており、この排水シュート38の下方の
開放端に近接して、前記排出水を受けて外部へ排出する
排水受部28が貯氷庫12の内部上方に配設されている
(図4参照)。排水シュート38の上端側には、前記水皿
24における傾動端側(旋回支軸52の配設側と反対側)
の垂直壁面42を、その上方から非接触で囲む囲繞壁2
5(断面が「∩」形状をなしている)が屈曲形成されてい
る。そして該囲繞壁25は、前記傾動側の壁面42より
内側に垂下する内壁24cを一体的に有し、この内壁2
4cの下部開放端を前記矩形状底面24aより僅か上方
に位置させることにより、該底面24aとの間に所要の
間隙を形成している。なお前記の垂直壁面42は、図2
に関して後述する如く、製氷水を所定液位に堰止める堰
止板として機能するものである。従って図2に示す如
く、製氷水は前記水皿内壁24cの下部開放端を経由し
て垂直壁面42に至り、この垂直壁面42の上端面から
オーバーフローして前記排水シュート38に排出可能と
なっている。換言すれば垂直壁面42によって、製氷室
32に貯留される製氷水は所定レベルに保持されるもの
である。また後述の除氷運転に切換わると、図9に示す
ように、水皿24は斜め下方に傾動して製氷水を排水シ
ュート38を介して排出する。そして該水皿24が傾動
停止した位置で、製氷水の一部は垂直壁面42によりそ
のまま残留し(図10参照)、これは次の製氷運転のため
に製氷水供給管68から補給される水と混合して、全体
として製氷水の温度低下を促進し得るものである。
【0013】前記筐体10の内部上方には、製氷基板3
4が水平に配設固定され、この製氷基板34の上面に、
機械室14中に収納した冷凍系から導出した蒸発管22
が蛇行配置されている。また製氷基板34の下面に、多
数の製氷突起36が所要間隔で垂下するように突設さ
れ、製氷運転に際しこの製氷突起36は、前記水皿24
に貯留した製氷水に浸漬されるようになっている。そし
て冷凍系の運転により、蒸発管22において冷媒との熱
交換がなされ、製氷突起36は0℃以下に冷却保持され
る結果として、この製氷突起36の周囲に、図8に示す
如く、次第に氷塊70が形成されることになる。
【0014】水皿24における製氷室32の内部には、
L字形をなす揺動板44が揺動自在に配置され、揺動用
モータ64の回転により上下に揺動駆動されるようにな
っている。すなわち殊に図1に示す如く、垂直な立上り
部45を備えた水平板材からなる揺動板44は、その表
面に多数の通孔46が所要間隔で穿設されている。該揺
動板44の周囲寸法は、製氷室32における底面24a
の内部寸法より若干小さ目に設定され、前記立上り部4
5の上端に湾曲形成した通孔に、揺動支軸48が挿通さ
れる。この揺動支軸48の両端部は、水皿24の両外側
壁に夫々配設した支持片50に突設した突片53の通孔
53aに挿入されるようになっている。そして揺動支軸
48により揺動板44を枢支した状態で、揺動板44は
図2に示す如く、製氷室32の底面に密着的に載置され
る。
【0015】図1に示すように、揺動板44における短
手方向端縁部に直立片59が一体形成され、この直立片
59から水平に係合ピン61が延出している。また図1
および図3に示す揺動用モータ64は、製氷機の本体内
側に固定され、該モータ64の回転軸に配設されて半径
方向に突出する係合片62が、前記揺動板44の係合ピ
ン61に下方から係合・離脱可能となっている。従って
揺動用モータ64を反時計方向に回転させれば、前記係
合片62は、図6に示す如く係合ピン61と係合した状
態で回転し、揺動板44を製氷室32の底面から所要距
離だけ上昇させると共に、図7に示すように、係合片6
2が係合ピン61から外れると、該揺動板44は自重で
製氷室32の底面に落下する。すなわち製氷運転中に揺
動用モータ64を回転させれば、揺動支軸48を中心と
して揺動板44は製氷室32の内部で上下の揺動を反復
し、これにより製氷水を常に動かすことができる。なお
揺動板44には通孔46が穿設されているので、製氷水
はこの通孔46を介して上下に流通し、更に活発な動き
が得られる。但し、この通孔46は不可欠のものではな
く、必要に応じて省略してもよい。
【0016】前記揺動板44は、後述の除氷運転に際
し、水皿24の傾動に伴ない一体的に傾動するが、該揺
動板44に設けた前記係合ピン61の傾動軌跡中に、前
記筐体10から水平に延出させたストッパ63を臨ませ
てある。そして前記揺動板44が水皿24と共に傾動す
る途中で、前記係合ピン61を該ストッパ63に係合さ
せることにより、該揺動板44は水皿24から分離され
て、その傾動姿勢を一定に保持されるものである。
【0017】
【実施例の作用】次に、このように構成した実施例に係
る製氷水残留機構の作用につき説明する。製氷運転に先
立ち水皿24は、図2に示す如く、常には水平姿勢に保
持され、製氷水供給管68を介して前記水皿24中の製
氷室32に製氷水が供給されるようになっている。この
製氷水供給管68からの製氷水の供給並びに停止は、例
えば、図3に示すカム円板58とマイクロスイッチ66
とのカム作用に伴なうスイッチ切換えにより行なわれ
る。なお多少多目に供給されても、製氷室32中の製氷
水は、先に述べた如く垂直壁面42をオーバーフローし
て、排水シュート38および排水受部28を介して外部
へ放出される。
【0018】冷凍系の冷媒循環パイプに設けた弁体(図
示せず)の切換えにより、冷媒が前記蒸発管22に供給
され、その熱交換作用により製氷基板34に突設した製
氷突起36の冷却が開始される。この製氷突起36は製
氷水に浸漬されているために、該突起36の周囲から結
氷が開始され、次第に成長して図8に示す如く、逆ドー
ム状の氷塊70が形成される。そしてこの製氷運転の
間、前記揺動用モータ64を回転させることにより、該
モータ64の係合片62が、前記直立片59に設けた係
合ピン61と係合して、揺動板44を図6に示す如く上
方に持ち上げる。前記係合片62が係合ピン61から離
脱すると、図7に示すように揺動板44は、自重で落下
して製氷室32の底面24aに当接するに至る。このよ
うに、揺動板44は製氷運転の期間中、製氷室32にお
ける製氷水の中で揺動を反復し、これにより該製氷水を
常に動かすこととなる。しかも揺動板44には通孔46
が穿設されているので、該揺動板44の揺動に伴ない製
氷水は該通孔46を通過し、これが噴流現象を伴なって
製氷水の動きを更に活発なものとする。このように製氷
水が常に動的状態に保たれることにより、製氷突起36
の周りに形成される氷塊70の白濁が防止され、透明で
清澄な氷塊70が得られることになる。
【0019】図8に示す如く、製氷突起36に完全な氷
塊70が逆ドーム状に形成されると、この製氷完了を適
宜の手段により検出して製氷運転を終了させる。そして
アクチュエータモータ60の駆動が開始されてカム円板
58が回転し、これに偏心配置したカムフォロワ56
が、カム片50aに形成した前記カム溝54と摺動する
ことによりカム作用が営まれ、前記水皿24は斜め下方
への傾動をし始める。この傾動により製氷室32中の製
氷水は、前記水皿内壁24cおよび垂直壁面42を介し
て排水シュート38へ放出され、この排水シュート38
から排水受部28へ放出される。そして図10に示す如
く、水皿24は所要の傾動角度に達すると、その傾動を
停止する。このとき製氷室32の内部には、前記垂直壁
面42により堰止められた製氷水の一部が残留するに至
る。この残留した製氷水は、先の製氷運転に伴ない充分
冷却されているので、次の製氷運転に向けて補給される
新たな製氷水と混合して、製氷水全体の温度を低下させ
ることができる。
【0020】このように水皿24が傾動すると、製氷突
起36の周りに形成された氷塊70が、該突起36に付
着した状態で露出するに至る。また前記水皿24の傾動
に伴ない前記揺動板44も一体的に傾動し、従ってその
係合ピン61は揺動用モータ64の係合片62から離脱
するに至る。そして、図10に示す如く水皿24が傾動
停止する過程で、揺動板44の係合ピン61が前記スト
ッパ63に係止するために、その後に傾動を停止した水
皿24における製氷室32の底面24aより、該揺動板
44は斜め上方に位置することになる。この揺動板44
は、氷塊70が落下した際に、これを貯氷庫12へ案内
するための滑落用シュートとして機能する。
【0021】図10の状態で冷凍系における前記弁体が
切換えられ、冷媒に代えてホットガスが前記蒸発管22
へ供給されることなり、これにより製氷基板34を介し
て製氷突起36は急速に加温されるに至る。このため製
氷突起36と氷塊70との結合が解除され、当該氷塊7
0は自重により落下する。そして、前記ストッパ63に
より所要の傾斜姿勢に保持されている揺動板44の上面
を滑落し、その斜め下方に位置する前記貯氷庫12中へ
案内放出される。
【0022】この除氷が終了すると、前記カム円板58
とマイクロスイッチ66との組合わせ、または図示しな
い適宜の手段が該除氷終了を検知し、前記アクチュエー
タモータ60を逆転させる。これによりカム円板58,
カムフォロワ56,カム溝54の作用下に、カム片50
aが旋回支軸52を中心として反時計方向に回動し、こ
のため水皿24は反時計方向に回転して、水平姿勢に復
帰した後に停止する制御が与えられる。このとき、先に
述べた如く製氷室32中には、先の製氷運転で使用され
た製氷水が残留しており、これは充分に冷却された状態
となっている。そこで製氷水供給管68を介して製氷水
を補給すると、得られる製氷水は全体として急速に温度
が低下し、次の製氷運転に速やかに入ることができる。
【0023】なお図示の実施例では、逆テーパ状の製氷
突起36を、製氷基板34に対し所定間隔で多数垂下さ
せた構成が採用されている。しかし前記製氷突起は、い
わゆる製氷部として機能する中核的な被冷却部材であれ
ば、丸棒状の部材やピン状の部材など種々のものを好適
に使用し得るものである。
【0024】
【考案の効果】以上に説明した如く、本考案に係る製氷
機の製氷水残留機構によれば、水皿中に貯留した製氷水
に、蒸発管で冷却された製氷突起を浸漬させ、当該製氷
突起の周囲に氷塊を形成するようにした製氷機におい
て、製氷運転の終了により水皿が傾動すると、製氷室に
貯留されていた製氷水が排水シュートを介して外部へ排
出される。このとき、その低温に保持されている製氷水
は、その全量が排出されるのではなく、一部は引続き製
氷室中に残留させられる。従って、これを次の製氷運転
のため新たに補給される製氷水と混合させることによっ
て、前記製氷室中に貯留される製氷水の温度を低下さ
せ、氷結温度に到達させるのに必要な時間を短縮させ得
るものである。また、水皿の製氷室中に揺動板を配置し
て、製氷運転中は該揺動板の揺動により製氷水を上下に
移動させる白濁防止機構を併設した場合は、前記製氷室
における傾動側の壁面より内側に内壁が垂下しているの
で、これにより製氷水が無駄に水皿からオーバーフロー
するのを有効に防止し得る効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案に係る製氷水残留機構が採用される製氷
機において、水皿に画成される製氷室および製氷水排出
経路を、一部切欠状態で示す斜視図である。
【図2】図3に示す製氷ユニットの要部断面図である。
【図3】本考案に係る製氷水残留機構が採用される製氷
ユニットを、分解状態で示す概略斜視図である。
【図4】本考案に係る製氷水残留機構が採用される製氷
機の概略縦断面図である。
【図5】図4に示す製氷機の一部切欠斜視図である。
【図6】図2に示す製氷ユニットにおいて、製氷中に揺
動板が上昇している状態を示す要部断面図である。
【図7】図2に示す製氷ユニットにおいて、製氷中に揺
動板が下降している状態を示す要部断面図である。
【図8】製氷ユニットにおいて製氷が完了した状態を示
す断面図であって、カムフォロアとカム溝との位置関係
を併せて示している。
【図9】製氷ユニットにおいて水皿が傾動を開始し、製
氷に供した残留水の一部が排出される状態を示す縦断面
図である。
【図10】製氷ユニットにおける水皿が傾動を停止し、
また揺動板が当該水皿よりも若干上方で傾動保持された
状態で、除氷がなされている状態を示す縦断面図であ
る。
【図11】製氷ユニットにおいて水皿が元の状態に復帰
して停止し、残留している製氷水へ新たな製氷水の補給
が開始されている状態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
12 貯氷庫 16 圧縮機 18 凝縮器 22 蒸発管 24 水皿 24a 矩形状底面 24b 直立壁面 24d 直立壁面 24e 直立壁面 25 囲繞壁 28 排水受部 30 排水管 32 製氷室 34 製氷基板 36 製氷突起 38 排水シュート 42 直立壁面(傾動側壁面) 50a レバー片 52 揺動支軸 56 カムフォロワ 60 アクチュエータモータ 70 氷塊

Claims (2)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧縮機(16)や凝縮器(18)等を備える冷凍
    系に接続する蒸発管(22)と、この蒸発管(22)が上面に配
    設されると共に、下面に多数の製氷部(36)を所定間隔で
    突設垂下させた製氷基板(34)と、製氷機本体に固定した
    支軸(52)により傾動自在に枢支されて常には水平姿勢を
    保持し、内部に画成した製氷室(32)中の製氷水に前記製
    氷部(36)が浸漬される水皿(24)と、前記製氷部(36)の周
    りに製氷水が氷結して所要の氷塊(70)が形成されると、
    前記水皿(24)を斜め下方に傾動付勢する傾動機構(60,5
    6,50a)とから構成した製氷機において、 前記水皿(24)の製氷室(32)を、矩形状底面(24a)と該底
    面(24a)から直立する4つの壁面(24b,42,24d,24e)とか
    ら形成し、 この水皿(24)の裏面側に、該水皿(24)における傾動端の
    下部近傍から枢支側の下方に向け斜めに延在する排水シ
    ュート(38)を配設し、 この排水シュート(38)の上端側に、前記水皿(24)の傾動
    端側の壁面(42)を上方から非接触で囲む囲繞壁(25)を屈
    曲形成すると共に、この囲繞壁(25)における前記傾動側
    壁面(42)より内側に垂下する内壁(24c)の下部開放端
    を、前記底面(24a)より僅か上方に位置させて該底面(24
    a)との間に間隙を設け、 前記傾動機構(60,56,50a)により付勢されて水皿(24)が
    斜め下方に傾動し始めると、前記製氷室(32)中の製氷水
    は、前記内壁(24c)の下部開放端および傾動側壁面(42)
    の上端縁部を経て前記排水シュート(38)に放出され、該
    水皿(24)の傾動が所要角度で停止されると、前記製氷水
    は傾動側壁面(42)の上端縁部で堰止められて一部残留す
    るよう構成したことを特徴とする製氷機の製氷水残留機
    構。
  2. 【請求項2】 製氷機における貯氷庫(12)の内部上方
    に、前記排水シュート(38)の開放端に近接して開口する
    排水受部(28)が設けられ、この排水受部(28)は該シュー
    ト(38)から排出される製氷水を排水管(30)により外部へ
    放出し得るようになっている請求項1記載の製氷機の製
    氷水残留機構。
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