JP2547907Y2 - 大電流用チョークコイル装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、複写機、空調機、電子レンジ等の大電流電
源部のノイズ対策のための大電流用チョークコイル装置
に関する。

（考案の概要） 本考案は、大電流電源部のノイズ対策のための大電流
用チョークコイル装置において、チョークコイルを金属
底板に密着させ得る構造としてチョークコイルの放熱効
率の改善、ひていは装置形状の小型化を図ったものであ
る。

（従来の技術） 従来のこの種の大電流用チョークコイル装置の一例を
第６図に示す。この第６図の大電流用チョークコイル装
置は、フェライト等のトロイダイルコアに絶縁コアカバ
ーを被せ、その上に一対の巻線を設けたコモンモードチ
ョークコイル30を、プリント基板31上に配置し、該プリ
ント基板に取り付けられた入出力端子32A乃至32Dに各巻
線端を接続した構成である。

この従来の大電流用チョークコイル装置の場合、プリ
ント基板31上にチョークコイル30を設けているが、プリ
ント基板自体は放熱に殆ど寄与せず、チョークコイル30
から直接的に熱が放散されるのに頼っているため当該チ
ョークコイルの放熱が悪く、大電流用に使用するときに
はチョークコイルの発熱を考慮して線径及びコア形状を
大きくしなければならず、このためコイル取り付けスペ
ースを広くする必要が生じ、装置形状が大型化する嫌い
がある。

一方、実開昭59-9622号には、絶縁ベースのコイル収
納部内にコイルを配設し、前記絶縁ベースを金属収納ケ
ースで囲い、コイルを樹脂注型した構成が提案されてい
る。この構成の場合、箱型の金属収納ケースを用いるこ
とで高さが大きくなり、また組立配線が複雑になる。ま
た、チョークコイルと金属ケースは注型樹脂のみで絶縁
を図っているので確実な絶縁をするためには充分な絶縁
距離が必要である。このため、チョークコイルを金属ケ
ースに密着させることができないので、放熱効率が悪く
コイルを大きくしなければならない欠点を生ずる。

（考案が解決しようとする課題） 本考案は、上記の点に鑑み、チョークコイルの放熱効
率を改善し、チョークコイルの小型化を可能にし、ひい
ては全体形状の小型化を図るとともにコストの低減を図
った大電流用チョークコイル装置を提供することを目的
とする。

（課題を解決するための手段） 上記目的を達成するために、本考案の大電流用チョー
クコイル装置は、上向開口凹部を有する端子装着用樹脂
部を上側に突出させて４隅に一体に設けかつチョークコ
イルの外側形状に対応する樹脂溜まり形成用の壁部及び
該壁部内側の抜き穴を設けてなる樹脂板を、金属底板上
に載置して樹脂溜まりを構成し、該樹脂溜まりに前記チ
ョークコイルを配置し、前記チョークコイルを前記金属
底板に密着乃至近接させて樹脂注型すると共に、前記上
向開口凹部に入出力端子を圧入固定した構成としてい
る。

（作用） 本考案の大電流用チョークコイル装置は、金属底板上
におけるチョークコイルを配置する部分にコイル外側形
状に対応した樹脂溜まりを設け、チョークコイルと金属
底板を絶縁状態で密着乃至近接させてチョークコイルを
樹脂注型することにより金属底板を放熱板として利用で
き、チョークコイルの放熱効率を向上させることがで
き、チョークコイルの小型化、ひいては装置全体の外形
寸法の小型化が可能になる。また、平板状の金属底板を
使用するので、箱型ケースの場合に比べ、高さ寸法を小
さくして偏平なチョークコイル装置を実現できる。さら
に、平板状金属底板上側より各部品を順次搭載して行く
構造であり、組立容易で、組立の自動化に適する。

（実施例） 以下、本考案に係る大電流用チョークコイル装置の実
施例を図面に従って説明する。

第１図乃至第４図は本考案の第１実施例を示す。これ
らの図において、１は平板状の金属底板であり、取付穴
21を有する取付部22が一体に形成されており、また切り
起こしにより係止爪23が形成されている。

また、絶縁樹脂板２には、ノイズ対策用のコモンモー
ドチョークコイル15の外側形状に対応した円形抜き穴３
と、４隅に入出力端子を装着するための四角柱状の有底
凹部11（上向開口凹部を構成している）を有する端子装
着用樹脂部８と、前記係止爪23に対応するスリット穴12
とが一体成型によりそれぞれ形成されている。また円形
抜き穴３に沿って円筒状に突出した円筒壁部７が一体に
設けられている。そして、前記金属底板１上に絶縁樹脂
板２を密着状態で重ね合わせて一体化することにより、
第３図の如く適当な深さのチョークコイル配置用の樹脂
溜まり４が形成される。

前記絶縁樹脂板２上側に突出させて４隅に一体に形成
した端子装着用樹脂部８には略Ｕ字型に折り曲げられた
入出力端子5A乃至5Dが当該端子装着用樹脂部８の有底凹
部11にそれぞれ第１図及び第４図の如く上から圧入され
る。入出力端子5A乃至5Dの端子装着用樹脂部８内に挿入
される部分の両側縁には、第１図に示す如く鋸歯状凹凸
部９が設けられている。これによって、該入出力端子5A
乃至5Dを端子装着用樹脂部８の有底凹部11内に圧入する
だけで固定することができ、装着後の外れを防止してい
る。

金属底板１と絶縁樹脂板２の重ね合わせ及び一体化
は、係止爪23を絶縁樹脂板２に設けられた対応するスリ
ット穴12にそれぞれ挿入し、絶縁樹脂板２と金属底板１
を重ね合わせて密着させ、絶縁樹脂板２の上に突出した
係止爪23を絶縁樹脂板２の上面に沿って折り曲げること
により行うことができる。

金属底板１と絶縁樹脂板２との一体化及び各端子の装
着が終了した後、金属底板１の上に設けられた樹脂溜ま
り４にコモンモードチョークコイル15を金属底板１との
間に絶縁フィルム６を介在させて配置して樹脂25を流し
込み（樹脂注型し）、コモンモードチョークコイル15を
金属底板１に密着乃至極めて近接した状態で固定する。
但し、コモンモードチョークコイル15はフェライト等の
トロイダイルコアに絶縁コアカバーを被せ、その上に一
対の巻線15A,15Bを設けたものであり、巻線15A,15Bと金
属底板１とは絶縁フィルム６を介在させることにより確
実に絶縁されている。また、本実施例におけるコモンモ
ードチョークコイル15の形状は第６図の従来技術の場合
よりも小型のものである。

そして、コモンモードチョークコイル15と入出力端子
5A乃至5D間の配線が行なわれる。すなわち、コモンモー
ドチョークコイル15の巻線15Aは、入出力端子5Aと5Cと
の間に接続され、巻線15Bは、入出力端子5Bと5Dの間に
接続される。

この第１実施例の構成によれば、チョークコイル15を
金属底板１と絶縁した状態で当該金属底板１に密着乃至
近接させるため、熱伝導の良い金属底板１が放熱板とし
て機能し、チョークコイルの放熱効率が良くなり、巻線
の線径及びコア形状を小さくしてチョークコイルの小型
化が可能になり、ひいては、装置全体の外形の小型化が
可能になる。また、各部品は金属底板１の上方に順次装
着して行く構造であり、組立容易で、組立作業の自動化
にも適する。さらに、平板状の金属底板を使用するの
で、箱型ケースの場合に比べ、高さ寸法を小さくして偏
平形状とすることができる。

第５図は本考案の第２実施例を示す。この場合、前記
第１実施例と同様の構成に対し、さらにコンデンサを付
加してノイズフィルタとしたものである。すなわち、金
属底板1Aに、内側が円形抜き穴３となった円筒壁部７及
び端子装着用樹脂部８を有する絶縁樹脂板2Aを重ねて一
体化して樹脂溜まり４を形成し、該樹脂溜まり４に絶縁
フィルムを敷いてコモンモードチョーク15を樹脂注型で
固定すると共に、端子装着用樹脂部８に入出力端子5A乃
至5Dを圧入固定し、入出力端子5A,5B間にライン間コン
デンサ16を接続し、入出力端子5A,5Bと金属底板側のア
ース端子24との間にラインバイパスコンデンサ17A,17B
を接続している。この場合、金属底板1Aには、切り起こ
しにより係止爪23に加えて切り起こしによるアース端子
24が形成され、絶縁樹脂板2Aにはそれぞれに対応するス
リット穴が設けられている。なお、前述の第１実施例と
同等の部分には同一符号を付して説明を省略した。

（考案の効果） 以上説明したように、本考案の大電流用チョークコイ
ル装置は、チョークコイルを金属底板と絶縁した状態で
密着乃至近接させるため、従来の構造のものよりチョー
クコイルの放熱効率が良くなりチョークコイルの小型化
が可能になる。このため、外形寸法を小型化した大電流
用チョークコイル装置を得ることが可能になる。

また、箱型等の収納ケースを用いない平板構造である
ため、従来の構造のものより高さが低くなり、前記効果
と併せて小さなスペースで電気機器等に装着できる。ま
た、電気機器の金属フレームに直接装着でき、従来技術
のようにチョークコイルを回路基板上に搭載する場合よ
りも回路基板を小型にできる。

さらに、上向開口凹部を有する端子装着用樹脂部を上
側に突出させて４隅に一体に設けかつチョークコイルの
外側形状に対応する樹脂溜まり形成用の壁部及び該壁部
内側の抜き穴を設けてなる樹脂板を、金属底板上に載置
することで適切な大きさの樹脂溜まりを簡単に構成でき
る。しかも、金属底板の上側より絶縁樹脂板、チョーク
コイル、入出力端子等の装着を実行できる構造であり、
入出力端子の取り付け作業等が簡単で、組立容易であ
り、組立の自動化に適している。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る大電流用チョークコイル装置の第
１実施例を示す分解斜視図、第２図は同平面図、第３図
は同正断面図、第４図は第１実施例の入出力端子周囲部
分の拡大断面図、第５図は本考案の第２実施例を示す平
面図、第６図は従来の大電流用チョークコイル装置を示
す平面図である。 1,1A……金属底板、2,2A……絶縁樹脂板、３……円形抜
き穴、４……樹脂溜まり、5A乃至5D……入出力端子、６
……絶縁フィルム、７……円筒壁部、８……端子装着用
樹脂部、９……鋸歯状凹凸部、15……コモンモードチョ
ークコイル、16……ライン間コンデンサ、17A,17B……
ラインバイパスコンデンサ、24……アース端子。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】上向開口凹部を有する端子装着用樹脂部を
   上側に突出させて４隅に一体に設けかつチョークコイル
   の外側形状に対応する樹脂溜まり形成用の壁部及び該壁
   部内側の抜き穴を設けてなる樹脂板を、金属底板上に載
   置して樹脂溜まりを構成し、該樹脂溜まりに前記チョー
   クコイルを配置し、前記チョークコイルを前記金属底板
   に密着乃至近接させて樹脂注型すると共に、前記上向開
   口凹部に入出力端子を圧入固定したことを特徴とする大
   電流用チョークコイル装置。