JP2546948B2 - 化粧板用樹脂組成物原料、化粧板用樹脂組成物および該組成物を使用した化粧板 - Google Patents

化粧板用樹脂組成物原料、化粧板用樹脂組成物および該組成物を使用した化粧板

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JP2546948B2
JP2546948B2 JP4055258A JP5525892A JP2546948B2 JP 2546948 B2 JP2546948 B2 JP 2546948B2 JP 4055258 A JP4055258 A JP 4055258A JP 5525892 A JP5525892 A JP 5525892A JP 2546948 B2 JP2546948 B2 JP 2546948B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規なトリアジン環含
有アクリレートプレポリマーまたはトリアジン環含有メ
タアクリレートプレポリマー{以下、両者をまとめて、
「トリアジン環含有(メタ)アクリレートプレポリマ
ー」と略記する}を配合してなる化粧板用樹脂組成物原
料、該原料から得られる化粧板用樹脂組成物および該化
粧板用樹脂組成物を使用した化粧板に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より不飽和ポリエステル樹脂を表面
に塗布硬化させた化粧板が、テーブル等の家具、カウン
ター、壁面等の表面材として広く使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながらこれら従
来の化粧板は、表面の不飽和ポリエステル樹脂の経時変
色性(黄変性)が大きいために、出荷前や出荷後の流通
過程における在庫中に変色し、経日の長短によって色調
が異なることがあり問題となっていた。この経時変色性
は、暗所に保管する等の保管環境の改善にても防止が困
難であった。
【0004】このように経時的に色調が変化すると、製
造時期のはなれた製品や保管環境の異なる製品は、それ
ぞれ色調が異なることになる。そのため、古いロットの
製品と新しいロットの製品が混在して販売され、広い壁
面などに混在施工されると、それぞれの化粧板ごとの変
色度合のばらつきにより、美観を著しく阻害してしまう
等の問題があった。
【0005】したがって、例えば製造時期のはなれた製
品はなるべく同一箇所には使用しないよう、同一ロット
に限定して出荷して、保管、施工したり、あるいは変色
度合のばらつきが混在したままで施工されていた。本発
明はかかる経時変色性を改善した化粧板用樹脂組成物及
び化粧板を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段および作用】すなわち、請
求項1記載の発明の要旨は、1種類または複数種類の重
合性化合物と硬化促進剤とからなり、硬化剤の添加によ
って硬化する化粧板用樹脂組成物原料において、アミノ
トリアジン化合物、パラホルムアルデヒド、および2−
ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートから合成され、
次式(1)で表される平均分子量200〜8000のト
リアジン環含有(メタ)アクリレートプレポリマーが前
記重合性化合物として前記重合性化合物の総量に対して
5重量パーセント以上配合され、 残余の前記重合性化合
物としては不飽和ポリエステルまたは単官能あるいは多
官能のオリゴマーが配合されることを特徴とする化粧板
用樹脂組成物原料にある。
【0007】式(1):
【0008】
【化4】
【0009】ただし、n=1〜10である。R1は次式
(2)で表される1価または多価の官能基群から1種ま
たは2種以上選択される官能基である。式(2):
【0010】
【化5】
【0011】R2〜R5,R8,R9は、−CH2−,−C
2OCH2−で表される2価の官能基および水素基の群
から1種または2種以上選択される官能基であり、その
内、−CH2OCH2−はトリアジン環同士を結合するた
めのみの官能基である。R6,R7は、水酸基および式
(3)を包含するエチレン性不飽和結合を有する官能基
群から選ばれる1価の官能基で、R2〜R5,R8,R9
中で他のトリアジン環に結合しない−CH2−に、末端
基として結合する。
【0012】式(3):
【0013】
【化6】
【0014】ただし、式(3)の官能基は分子中に少な
くとも1つは存在し、そのR10は水素基および−CH3
の群から選択される官能基である。また、請求項2記載
の発明の要旨は、請求項1記載の化粧板用樹脂組成物原
料に硬化剤を添加したことを特徴とする化粧板用樹脂組
成物にある。
【0015】さらに、請求項3記載の発明の要旨は、請
求項2記載の化粧板用樹脂組成物にて表面樹脂加工した
化粧板にある。以下、本発明の詳細について述べる。ま
ず、第1の発明の化粧板用樹脂組成物原料の成分である
トリアジン環含有(メタ)アクリレートプレポリマーの
原料および合成について説明する。 (1)2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート 2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートは、前述の
ごとく、2−ヒドロキシエチルアクリレートと、2−ヒ
ドロキシエチルメタアクリレートとの両者を包含した表
現であるが、本発明においては、両者を共に用いること
のみを意味するのではなく、それぞれ単独で用いること
も意味する。以下、「(メタ)」とあるは、同様な意味
で用いる。
【0016】この2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリ
レートの他に、必要に応じて、少なくとも1個のヒドロ
キシル基を有するエチレン性不飽和結合を有する化合
物、たとえば2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ
ート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレー
ト、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレー
ト、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレー
ト、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、
アリルアルコール、エチレングリコールアリルエーテ
ル、グリセリン(モノ,ジ)アリルエーテル、N−メチ
ロール(メタ)アクリルアミド等あるいはこれらの混合
物が添加可能である。尚、上記「(モノ,ジ)」とある
のは、グリセリンモノアリルエーテルと、グリセリンジ
アリルエーテルとの両方を表現している。これも、両者
を共に用いることのみを意味するのではなく、それぞれ
単独で用いることも意味する。 (2)アミノトリアジン化合物 「アミノトリアジン」とは、C33からなるトリアジン
環の3つの炭素原子にそれぞれアミノ基が結合した構造
の化合物であり、アミノトリアジン化合物とは、アミノ
トリアジン自身あるいはアミノトリアジン誘導体を示
す。
【0017】アミノトリアジン自身としては、メラミン
が挙げられ、アミノトリアジン誘導体としては、ベンゾ
グアナミン,アセトグアナミン,シクロヘキサンカルボ
グアナミン,シクロヘキセンカルボグアナミン,ノルボ
ルナンカルボグアナミン,ノボルネンカルボグアナミン
等が挙げられる。
【0018】プレポリマーの合成に際しては、いずれか
のアミノトリアジン化合物単独、あるいはこれらの混合
物として使用される。ただしこれ以外に要求特性、コス
ト等の理由によりホルムアルデヒドと反応可能な他の化
合物(たとえば尿素類、ケトン類、フェノール類等)を
アミノトリアジン化合物の反応系と同一系において、ホ
ルムアルデヒドに対して反応させてもよい。 (3)パラホルムアルデヒド 常温で固体であり、ホルムアルデヒド源として用いられ
るものである。本発明では、アミノトリアジン化合物と
ともに、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートに
溶解して用いることができるので、基本的に、脱水、脱
溶媒工程が不用である。また、プレポリマーの合成反応
中に、未反応のパラホルムアルデヒドはホルムアルデヒ
ドの形にガス化し、反応物から離脱するので、未反応の
パラホルムアルデヒドの回収処理は特に必要ない。 (4)プレポリマーの合成反応 本発明のトリアジン環含有(メタ)アクリレートプレポ
リマーは、アミノトリアジン化合物にパラホルムアル
デヒドにより導入されたメチロール基と、2−ヒドロキ
シエチル(メタ)アクリレート中のヒドロキシル基との
反応により脱水縮合エーテル化されたもの、あるいは、
アミノトリアジン化合物と、2−ヒドロキシエチル
(メタ)アクリレート〜ホルムアルデヒドヘミアセター
ルとの反応により脱水縮合エーテル化されたものと解さ
れる。
【0019】このプレポリマー合成反応においては、溶
媒を用いなくとも2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリ
レートが常温で液体であるので、これにアミノトリアジ
ン化合物およびパラホルムアルデヒドを溶解させれば、
1つの系で効率的な反応を行わせることが可能である。
ただ、場合により粘度低下や水分との共沸等の反応を容
易にするためトルエン、アルコール、アルコール性ホル
マリン等を適当量添加して行うことは構わない。
【0020】合成時における、アミノトリアジン化合
物、パラホルムアルデヒド、および2−ヒドロキシエチ
ル(メタ)アクリレートの仕込モル比は、原料の種類、
目的とする硬化物の要求物性により異なるがアミノトリ
アジン化合物として代表的なメラミンを用いて、無溶媒
下で反応を行った場合、メラミン:パラホルムアルデヒ
ド=1:2以上が好ましく、また、メラミン:2−ヒド
ロキシエチル(メタ)クリレート=1:2以上が好まし
い。
【0021】メラミンに対するパラホルムアルデヒド比
が低い場合、またはメラミンに対する2−ヒドロキシエ
チル(メタ)アクリレートの割合が低い場合は、メラミ
ンの溶解性が悪くなり、メラミンの自己縮合によるゲル
化が起こりやすくなる。プレポリマー合成反応の進行
は、縮合反応によりなされる。この反応の進度は縮合反
応により離脱して来る水分量によって示される。従っ
て、この水分量を観察し、所望の水分量が留出した時点
でそれ以上の水分留出を停止すれば、縮合反応を所望の
段階で停止させることができる。尚、水分の留出速度
は、反応温度、撹拌効率、触媒、空気吹込み量、溶媒等
の影響によって異なる。
【0022】プレポリマーの合成反応は、無触媒におい
ても行うこともできるが、原材料であるアミノトリアジ
ン化合物の溶解性および/またはエーテル化反応を促進
するため、仕込時にカセイソーダ、炭酸ナトリウム、ア
ンモニア、トリエチルアミン等の有機・無機アルカリ、
あるいは、仕込時あるいは反応途中において、一般的な
エーテル化触媒であるパラトルエンスルホン酸、塩酸等
の無機酸・有機酸を用いることが可能である。
【0023】尚、この反応系には、エチレン性不飽和結
合が常に存在している。従って、プレポリマーの合成中
に、このエチレン性不飽和結合が付加重合することによ
り、ゲル化が生ずる恐れがある。このゲル化を防止する
ためには、フェノール系、アミン系のエチレン性不飽和
結合の重合防止剤を添加したり、重合禁止作用のある酸
素を反応系に吹き込んで合成反応を行なってもよい。勿
論、重合防止剤と酸素との両者を用いてもよい。特に反
応系への酸素の吹き込みは工業的にも容易な空気を使用
するのが望ましい。しかも、これらの吹き込みは、縮合
反応による水分の留去を促進し、平衡をエーテル結合生
成側に移動させるためにも好ましい。
【0024】また、ゲル化を防止して反応を進めるため
に好ましい反応温度は、50〜150℃程度、特に好ま
しくは、70〜130℃程度であり、好ましい反応時間
は0.5〜10時間程度である。また水分の留去を促進
させるため、減圧下において反応を行ってもよい。 (5)生成物(プレポリマー) このようにして製造されたトリアジン環含有(メタ)ア
クリレートプレポリマーは、トリアジン環に対し、(メ
タ)アクリレート基およびアルキルエーテル基および/
またはメチロール基および/またはアミノ基および/ま
たはメチレン基を含む化合物である。
【0025】その平均分子量は、前述したごとく、仕込
みおよび/または反応温度および/または留出する水分
量を調節することにより、200〜8000の範囲に収
める。平均分子量が、8000を越えると粘度が高く、
使用が困難となる。また200未満では十分な性能のプ
レポリマーが得られない。
【0026】これらの化合物は、通常、無色透明で粘稠
な液体で得られ、必ずしも精製の必要はないが使用目的
により、水洗い等の手段により精製してもよい。次に、
上記にて得られるトリアジン環含有(メタ)アクリレー
トプレポリマーを配合したことを特徴とする化粧板用樹
脂組成物原料について説明する。
【0027】本発明の化粧板用樹脂組成物原料は、上述
のトリアジン環含有(メタ)アクリレートプレポリマー
単独若しくは他の重合性化合物と併用し、硬化促進剤を
配合することにより得られる。また、粘度調整用として
重合性単量体を添加することが好ましい。
【0028】併用可能な重合性化合物としては、不飽和
ポリエステルまたは単官能あるいは多官能のオリゴマー
がある。このようなオリゴマーとしては単官能あるいは
多官能の(メタ)アクリルオリゴマー、単官能あるいは
多官能のアリルオリゴマー等が例示されるが、特にこれ
らに限定されるわけではない。硬化促進剤はナフテン酸
コバルトに代表されるの金属セッケン類、第3級アミン
類、β−ジケトン類、メルカプタン類等が使用できる
が、特にこれらに限定されるわけではない。
【0029】粘度調整用の重合性単量体としては、例え
ばスチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、P
−terブチルスチレン、ジビニルベンゼン、酢酸ビニ
ル、単官能あるいは多官能の(メタ)アクリル酸エステ
ル、ジアリルフタレートなどが使用可能であるが、特に
これらに限定されるわけではない。
【0030】また使用条件等により、これらの他に安定
剤、紫外線吸収剤、空気遮断剤、空気硬化剤、難燃材、
着色剤、充填剤等を配合することができる。安定剤とし
ては、例えばハイドロキノン、t−ブチルカテコール、
t−ブチルハイドロキノン、p−ベンゾキノン等の重合
防止剤、リン酸エステル類等の酸化防止剤を用いること
が可能である。
【0031】紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾー
ル系、サリチル酸エステル系、ヒドロキシアリール系、
ベンゾフェノン系等の化合物を添加しておくことができ
る。空気遮断剤としてはパラフィンワックス、空気硬化
剤としてはアリールエーテル化合物等を用いることが可
能である。
【0032】着色剤としては特に限定されるものではな
いが、例えば酸化チタン、各種顔料および染料、あるい
は、市販の各種カラーペーストを用いることが可能であ
る。難燃材としては、リン、ハロゲン化合物、あるいは
水酸化アルミニウム等を用いることが有効である。充て
ん剤としては、例えば炭酸カルシウム、水酸化アルミニ
ウム、シリカ、タルク、ガラス繊維、金属粉等を挙げる
ことができる。
【0033】なお、非重合性化合物として飽和ポリエス
テルやイソシアネート類あるいは各種可塑剤等を添加し
て使用目的に合わせての変性も可能である。次に化粧板
用樹脂組成物について説明する。該化粧板用樹脂組成物
は、上記化粧板用樹脂組成物原料に硬化剤を添加して得
られる。
【0034】硬化剤には、メチルエチルケトンパーオキ
シド、シクロヘキサノンパーオキシド、アセチルアセト
ンパーオキシド、アセト酢酸エステルパーオキシド、ベ
ンゾイルパーオキシド等のパーオキシドを、単独あるい
は組み合わせて用いることが可能である。なお、硬化剤
はこれらに限定されるものではない。
【0035】化粧板用樹脂組成物は、硬化剤の種類や環
境温度にもよるが、硬化剤添加後、直ちに重合、硬化反
応を開始して約100〜700秒程度でゲル化する。し
たがって、化粧板への施工時に硬化剤を添加して、化粧
板用樹脂組成物とするのが好ましい。硬化剤の配合比
は、その種類にもよるが、化粧板用樹脂組成物原料に対
して1wt%程度である。ただし、冬季などの施工環境
温度が低い場合には硬化時間が長くなるので、幾分増量
することが好ましい。
【0036】次に、化粧板用樹脂組成物を使用した化粧
板について説明する。本発明の化粧板は、 (1)板状の基材の上に透明あるいは着色した液状の化
粧板用樹脂組成物を流すようにして流布する。
【0037】(2)流布した化粧板用樹脂組成物を離型
フィルムで被覆した後、離型フィルム上から押圧して化
粧板用樹脂組成物を基材の全面に押し広げ、均一の厚み
に展延する。 (3)化粧板用樹脂組成物の硬化を待つ。
【0038】(4)化粧板用樹脂組成物が硬化した後、
前記離型フィルムを剥離させる。 の工程にて製造される。本発明に使用される基材は特に
限定されず、木質系、無機系および金属系のパーチクル
ボード、繊維板、合板、天然板、ケイカル板、金属板等
で実施可能である。これらの板材をそのまま基材として
使用してもよいし、これらの板材にチタン紙、印刷紙、
圧板シートフィルム、金属ハク等の化粧シートを貼りつ
けたものを基材として使用してもよい。
【0039】基材への流布は、所定量の化粧板用樹脂組
成物を容器から直接に基材上に流すようにして施される
が、刷毛等を用いて塗布してもよい。展延は機械ローラ
ーによって、ローラーを移動させるか又は基材を移動さ
せるかして、化粧板用樹脂組成物を前後左右に広げてい
く方法が簡便であるが、塗膜が均一の厚みになれば他の
手段でもよい。塗膜の厚みが不均一になると部分的に色
の濃淡が生じたり、光の透過度の違いによる色調のばら
つき等を生ずるので、できる限り均一にするのが好まし
い。
【0040】離型フィルムとしては、ビニロンフィル
ム、ポリプロピレンフィルムなどの通常の成型フィルム
が使われるが、フィルムにエンボス加工を施すなどして
賦型性を持たせておいてもよい。化粧板用樹脂組成物の
硬化時間は、硬化剤、硬化促進剤の種類や配合度等によ
って異なるので、予め実験などにより適切な硬化時間を
求めておくとよい。
【0041】離型フィルムの剥離は、化粧板を傷つけな
いようになされれば、その手段は限定されない。また、
使用時まで剥離せずにおいても問題はないので、そのよ
うにすれば、離型フィルムにて輸送や保管時に樹脂面を
保護する効果も得られる。本発明にて得られる化粧板は
優れた耐経時変色性を有するが、使用する化粧板用樹脂
組成物中のトリアジン環含有(メタ)アクリルプレポリ
マーの配合比が全重合性化合物に対して5wt%未満で
あると、耐経時変色性が劣ることがある。化粧板用樹脂
組成物中のトリアジン環含有(メタ)アクリルプレポリ
マーの配合比を、全重合性化合物に対して5wt%以上
とすれば、良好な耐経時変色性を得られる。特に好まし
い配合比は同20wt%以上である。重合性化合物の全
量をトリアジン環含有(メタ)アクリルプレポリマーと
してもよい。
【0042】
【実施例】以下実施例に従って説明する。 1.トリアジン環含有メタアクリレートポリマーの合成 攪拌装置、温度計、気体吹込管、留分追出用冷却管を備
えたセパラブルフラスコに2−ヒドロキシエチルメタク
リレート781g(6モル)、メラミン126g(1モ
ル)、95%パラホルムアルデヒド189g(ホルムア
ルデヒドとして6モル)、パラトルエンスルホン酸3.
0gを加え空気を吹込みながら昇温した。メラミンおよ
びパラホルムアルデヒドが2−ヒドロキシエチルメタク
リレートに溶解した後、内温を90〜120℃に保ちな
がら、水分の留出量が108g(6モル)になるまで反
応した。得られたトリアジン環含有メタアクリレートプ
レポリマーは、臭素価92.1(Brg/100g)、ハ
ーゼン色数が10以下であった。
【0043】上記1.にて合成したトリアジン環含有メ
タアクリレートプレポリマーを用いた化粧板用樹脂組成
物原料の実施例を表1に実施例1〜7として示した。ま
た同表に比較例1の化粧板用樹脂組成物原料を示した。
【0044】
【表1】
【0045】なお、表中、常温ゲル化時間とあるのは、
化粧板用樹脂組成物原料に硬化剤を添加して、化粧板用
樹脂組成物とした際のゲル化時間である。つぎに表1に
示した本発明の化粧板用樹脂組成物原料および比較例の
化粧板用樹脂組成物原料から得られる化粧板用樹脂組成
物を用いた化粧板の作製方法についてのべる。
【0046】基材は、2.7mmの厚さの合板に80g/
2 の白色系チタン紙を不飽和ポリエステル系接着剤で
接着した紙貼り合板である。該合板上に、表1に示した
実施例1〜7および比較例1の化粧板用樹脂組成物原料
に、それぞれに硬化剤としてメチルエチルケトンパーオ
キシド(化薬アクゾ社製カヤメックA)を1wt%添加
して、得た化粧板用樹脂組成物を環境温度25℃で基材
に塗布し、ビニロンフィルムで被覆して、塗膜厚さがお
よそ70μとなるように均一に圧延ロール掛けした。塗
膜がゲル化した後、40℃の雰囲気下に2時間放置して
化粧板用樹脂組成物を硬化させ、その後フィルムをはく
離した。
【0047】実施例1〜7および比較例1の化粧板用樹
脂組成物で作製した化粧板の特性を実施例8〜14とし
て表2に示した。実施例8〜14は、順に実施例1〜7
の化粧板用樹脂組成物原料による化粧板用樹脂組成物を
使用した。また同様に、同表に示した比較例2は比較例
1に対応している。
【0048】表中の変色(黄変)の度合いは、ハンター
色差式(Lab)におけるb値により表現した。b値が
大きいほど黄色度が大きいことを示す。
【0049】
【表2】
【0050】実施例8〜14および比較例2から明らか
なように本発明の化粧板用樹脂組成物を使用した化粧板
は、良好な耐経時変色性を有する。また、本発明の化粧
板用樹脂組成物は、化粧板に良好な耐経時変色性をもた
らすことが示されている。特に、硬化促進剤として銅系
金属セッケンを用いることにより耐経時変色性はさらに
改良される。
【0051】上述の実施例にては、トリアジン環含有メ
タアクリレートプレポリマーを用いたが、トリアジン環
含有アクリレートプレポリマーの使用あるいはトリアジ
ン環含有メタアクリレートプレポリマーとトリアジン環
含有アクリレートプレポリマーとの併用によっても実施
可能である。これらの場合も、上述の実施例と同様の効
果を生ずる。
【0052】また、上記にては、トリアジン環含有メタ
アクリレートプレポリマーの合成例のみを示したが、上
記1.と同様にして、2−ヒドロキシエチルメタクリレ
ートに代えて2−ヒドロキシエチルアクリレートを用い
れば、第1の発明に使用可能なトリアジン環含有アクリ
レートプレポリマーを合成できる。
【0053】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の化粧板樹
脂組成物原料から得られる化粧板樹脂組成物は、化粧板
に良好な耐経時変色性をもたらす。また、本発明の化粧
板は、良好な耐経時変色性を有する。
【0054】したがって、本発明による化粧板にては、
経時的な色調の変化がわずかとなるので、製造時期のは
なれた製品や保管環境の異なる製品であっても、それぞ
れで色調が異なることがない。そのため、種々のロット
の製品が混在して施工さても、色調のばらつきを原因と
する美観の阻害は防止される。
【0055】また、各ロット毎の出荷、保管、施工など
も不要となるので、例えば管理上のわずらわしさから解
放されるという効果をも併せて奏する。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1種類または複数種類の重合性化合物と
    硬化促進剤とからなり、硬化剤の添加によって硬化する
    化粧板用樹脂組成物原料において、 アミノトリアジン化合物、パラホルムアルデヒド、およ
    び2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートから合成
    され、次式(1)で表される平均分子量200〜800
    0のトリアジン環含有(メタ)アクリレートプレポリマ
    が前記重合性化合物として前記重合性化合物の総量に
    対して5重量パーセント以上配合され、 残余の前記重合
    性化合物としては不飽和ポリエステルまたは単官能ある
    いは多官能のオリゴマーが配合されることを特徴とする
    化粧板用樹脂組成物原料。 式(1): 【化1】 ただし、n=1〜10である。R1は次式(2)で表さ
    れる1価または多価の官能基群から1種または2種以上
    選択される官能基である。 式(2): 【化2】 2〜R5,R8,R9は、−CH2−,−CH2OCH2
    で表される2価の官能基および水素基の群から1種また
    は2種以上選択される官能基であり、その内、−CH2
    OCH2−はトリアジン環同士を結合するためのみの官
    能基である。R6,R7は、水酸基および式(3)を包含
    するエチレン性不飽和結合を有する官能基群から選ばれ
    る1価の官能基で、R2〜R5,R8,R9の中で他のトリ
    アジン環に結合しない−CH2−に、末端基として結合
    する。 式(3): 【化3】 ただし、式(3)の官能基は分子中に少なくとも1つは
    存在し、そのR10は水素基および−CH3の群から選択
    される官能基である。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の化粧板用樹脂組成物原料
    に硬化剤を添加したことを特徴とする化粧板用樹脂組成
    物。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の化粧板用樹脂組成物にて
    表面樹脂加工した化粧板。
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