JP2545460B2 - 被覆金属体 - Google Patents

被覆金属体

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JP2545460B2
JP2545460B2 JP1083308A JP8330889A JP2545460B2 JP 2545460 B2 JP2545460 B2 JP 2545460B2 JP 1083308 A JP1083308 A JP 1083308A JP 8330889 A JP8330889 A JP 8330889A JP 2545460 B2 JP2545460 B2 JP 2545460B2
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nylon
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aliphatic polyamide
inorganic filler
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斉 白土
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、樹脂組成物で被覆された被覆金属体、特
に、耐熱性、耐水性、耐熱水性に優れた被覆金属体に関
する。
(従来の技術) 従来、防錆、潤滑性の向上等を目的として、表面を樹
脂組成物で被覆した被覆金属体は公知であって、使用さ
れる樹脂として、例えば、特公昭57−18557号公報に
は、ポリアリレンサルファイド樹脂と弗素樹脂とからな
る弗素樹脂組成物、又、特開昭54−34335号公報には熱
可塑性芳香族ポリエーテルスルホン樹脂が示されてい
る。
(発明が解決しようとする課題) しかしながら、上記従来技術の場合、耐熱性、耐水
性、耐薬品性、耐食性に優れているが、非常に高価であ
り、被覆金属との密着性が劣り、残留応力が発生し易
く、特に熱水に接触するとブリスターやクラック等が生
じるという欠点があった。
本発明被覆金属体は、上記の欠点を解消し、耐熱性、
耐水性、耐熱水性に優れた被覆金属体を安価に提供する
ことを目的としてなされたものである。
(課題を解決するための手段) 本発明の要旨あ、下地処理を施された金属基材が、ポ
リマー中のメチレン基数とアミド基数との基数比(CH2/
NHCO)が6以上である脂肪族ポリアミド及び無機充填材
を含有する被覆用樹脂組成物で被覆され、前記金属基材
の下地処理が、前記被覆用樹脂組成物中の脂肪族ポリア
ミドと同一または前記基数比の差が2以内の脂肪族ポリ
アミド及び無機充填材を含有する下塗用樹脂組成物を塗
布することにより行われていることを特徴とする被覆金
属体に存する。
本発明に於いて、被覆用樹脂組成物に用いられる基数
比が6以上である脂肪族ポリアミドとしては、ナイロン
7(基数比6)、ナイロン9(基数比8)、ナイロン11
(基数比10)、ナイロン12(基数比11)、ナイロン1212
(基数比11)、ナイロン69(基数比6.5)、ナイロン610
(基数比7)、ナイロン612(基数比8)等、又は、そ
れらの混合物が挙げられる。基数比が6未満の場合に
は、金属ハロゲン化物による環境応力亀裂が生じ易く、
結晶化度が高い為に残留応力が発生してクラックの原因
となり、又、吸水率が高いことから吸水による機械的物
性の低下が起こる。
被覆用樹脂組成物に用いられる無機充填材としては、
耐熱性、耐熱水性に優れた、アルミナ、酸化鉄、酸化チ
タン、酸化ジルコニウム、酸化クロム、酸化ニッケル、
チタン酸カリウム、タルク等の金属酸化物、ガラス、カ
ーボン、窒化珪素、窒化チタン、炭化硼素、炭化珪素等
のセラミックス等が挙げられる。前記無機充填材は、繊
維状、粒状、フレーク状の微粉とされるのが好ましい。
無機充填材の含有量は、脂肪族ポリアミド100重量部に
対して10〜70重量部とされるのが好ましくなり、より好
ましくは15〜50重量部である。10重量部未満であると、
被覆層の熱伝導立及び弾性立の低下により、熱水に接触
した場合に被覆層の剥離がブリスターが生ずる。70重量
部を超えると、被覆層の金属基材に対する密着性が低下
する。
本発明に於いて、金属基材の下地処理は、脂肪族ポリ
アミドと、リチウムポリシリケート、アミンシリケー
ト、アルキルシリケート、二酸化珪素コロイド等の無機
充填材とを含有する下塗用樹脂組成物(必要に応じて適
当な溶剤を含んでいてもよい)を塗布し、加熱、焼付す
る。
下塗用樹脂組成物の樹脂成分として用いられる脂肪族
ポリアミドとしては、ナイロン6(基数比5)、ナイロ
ン66(基数比5)、ナイロン7(基数比6)、ナイロン
9(基数比8)、ナイロン11(基数比10)、ナイロン12
(基数比11)、ナイロン1212(基数比11)、ナイロン69
(基数比6.5)、ナイロン610(基数比7)、ナイロン61
2(基数比8)等、又は、それらの化合物であって、被
覆樹脂組成物に用いられている脂肪族ポリアミドと同一
のもの、もしくは基数比の差が2以内のものを使用する
のが好ましい。
下地用樹脂組成物中の樹脂成分中には、更に、芳香族
ポリアミドやポリオレフィン等の熱可塑性樹脂や、ポリ
イミド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリアミ
ドイミド樹脂、フラン樹脂等の熱硬化性樹脂を含有して
いてもよい。
熱硬化性樹脂を含有する場合には、脂肪族ポリアミド
が、金属基材への塗布後の焼付により溶融し、網目構造
を取る熱硬化性成分と複雑に絡み合い、被覆層と下塗用
樹脂組成物との密着性向上に寄与するので好ましい。脂
肪族ポリアミドと熱硬化性樹脂との混合比は9:1〜3:7と
するのが好ましい。
下地用樹脂組成物に含有される無機充填材としては、
アルミニウム、亜鉛、ニッケル合金、ステンレス鋼、鋳
鉄等の金属、アルミナ、酸化鉄、酸化チタン、酸化ジル
コニウム、酸化クロム、酸化ニッケル、チタン酸カリウ
ム、タルク等の金属酸化物、ガラス、カーボン、窒化珪
素、酸化チタン、炭化硼素、炭化珪素等のセラミック
ス、無機質結晶等が挙げられ、何れも平均粒径1〜100
μmの微粉状とするのが好ましく、より好ましくは5〜
30μmである。
下地用樹脂組成物に含有される無機質充填材の含有量
は、樹脂成分100重量部に対して10〜800重量部とされる
のが好ましく、より好ましくは25〜400重量部である。1
0重量部未満であると下塗層の剥離やクラックを防止す
る効果が得られず、800重量部を超えると、下塗層の樹
脂成分との結合力が阻害される為、下塗層の金属基材に
対する密着性が低下する。
本発明に於いて下地処理を行う前に、金属基体にサン
ドブラスト、脱脂及び化成処理等の前処理を施してもよ
い。
本発明に於いて下塗層の厚みは、5〜100μmとする
のが好ましく、より好ましくは10〜30μmである。5μ
m未満であると、下塗層が均一に形成されず、ピンホー
ルやクラックが発生し易く、100μmを超えると、下塗
層と金属基材との密着性が低下する。
本発明において被覆層は、被覆用樹脂組成物を適当な
溶媒を用いて懸濁液とし、或いは粉末状態のままで、下
地処理を行った金属基材表面に塗布し、上記脂肪族ポリ
アミドの融点以上に加熱して焼付を行うことにより形成
される。被覆層の厚みは50〜2000μmとするのが好まし
く、より好ましくは250〜2000μmである。50μm未満
であると、被覆層が均一に形成されず、ピンホールやク
ラックが発生し易く、2000μmを超えると、焼付等に時
間がかかり、発泡等が生じて緻密な被覆層が得られな
い。
(作用) 本発明に於いては、下地処理を施された金属基材が、
ポリマー中のメチレン基数とアミド基数との基数比(CH
2/NHCO)が6以上である脂肪族ポリアミド及び無機充填
材を含有する被覆用樹脂組成物で被覆され、前記金属基
材の下地処理が、前記被覆用樹脂組成物中の脂肪族ポリ
アミドと同一または前記基数比の差が2以内の脂肪族ポ
リアミド及び無機充填材を含有する下塗用樹脂組成物を
塗布することにより行われているので、下地処理により
被覆層と金属基材との密着性が向上し、親水性のアミド
結合の濃度が低く、無機充填材の含有により熱伝導率が
大きいことから、熱水及び水蒸気が侵入し難く、又、吸
水率も低いので、吸水による機械的物性の低下も殆どな
い。仮に熱水及び水蒸気が侵入した場合にも、無機充填
材の含有により被覆層の剛性が向上しているので、ブリ
スターの発生が防止される。
(実施例) 以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は実施例
に限定されるものではない。
実施例1 3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸(無
水物)3.222g、3,3′−ジアミノジフェニルスルホン3.7
25g及び5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸(無水
物)1.642gを、モレキュラーシーブで乾燥したN−メチ
ル−2−ピロリドン30gに溶解した。この溶液を常温に
て、6時間撹拌し、反応させた後、SUS304ステンレス鋼
粉末(平均粒径40μm以下)25.8gとナイロン12粉末
(粒径50μm以下)4gとを添加し、均一に混合して下塗
用樹脂組成物を調製した。
表面をグリッドブラスト処理した後、圧縮空気を吹付
けて清浄化した100mm×100mm×3mmの鋼板の片面に、下
塗用樹脂組成物を刷毛で塗布し、塗布面を270℃で30分
間乾燥し、焼付処理を行った。得られた下塗層の厚み
は、平均25μmであった。
ナイロン12粉末(粒径50μ以下)100gとタルク(商品
名SWE、日本タルク社製、平均粒径10μm)35gとを混練
機により190℃で溶融混練し、ペレット化したものを、
冷凍粉砕することにより粒径100μm以下の微粉末とし
た被覆用樹脂組成物を前記下地処理を施された金属基材
上に、静電圧60Kvで3回に分けて粉体塗装し、各塗装後
270℃で5分間フローアウトさせて被覆金属体を得た。
得られた被覆層の厚みは、平均500μmであった。
得られた被覆金属体の被覆層の金属基材への接着力を
次の試験にり評価した。
熱水試験 被覆金属体を仕切として、被覆層側95℃、金属基材側
65℃の熱水中に100時間浸漬した後、被覆層の変化(ブ
リスター発生面積率及びクラックの有無)を観察する。
剥離試験 被覆金属体の被覆層にナイフを用いて1mm間隔に縦、
横11本宛、碁盤目状に金属基材に達する切込を入れて10
0個の枡目を作ったとき、剥離する枡目の割合を観察す
る。
実施例2 下塗用樹脂組成物として、アミノビスマレイミド樹脂
(商品名KERIMID 601、ローヌプーラン社製)5gを、N
−メチル−2−ピロリドン30gに溶解した溶液に高珪素
鋳鉄粉(平均粒径40μm以下)30gとナイロン11粉末
(粒径50μm以下)4gを添加し、均一に混合したものを
用い、被覆樹脂組成物中の脂肪族ポリアミドとしてナイ
ロン11粉末(粒径50μm以下)を用いたこと以外は実施
例1と同様にして、被覆金属体を得、性能評価を行っ
た。
比較例1 被覆用樹脂組成物として、無機充填材を欠如し、脂肪
族ポリアミドとしてナイロン11を混合したものを用いた
こと、下塗用樹脂組成物として、脂肪族ポリアミドを欠
如したものを用いたこと以外は実施例1の通りにして、
被覆金属体を得、性能評価を行った。
比較例2 被覆用樹脂組成物の脂肪族ポリアミドをナイロン11と
したこと、下塗用樹脂組成物として脂肪族ポリアミドを
欠如したものを用いたこと、金属基体に下地処理を行わ
なかったこと以外は実施例1の通りにして、被覆金属体
を得、性能評価を行った。
比較例3 被覆用樹脂組成物の脂肪族ポリアミドとしてナイロン
66を用い、混練時の温度を220℃、フローアウトの温度
を350℃としたこと、下塗用樹脂組成物として脂肪族ポ
リアミドを欠如したものを用いたこと以外は実施例1の
通りにして、被覆金属体を得、性能評価を行った。
比較例4 被覆用樹脂組成物として、無機充填材を欠如し、脂肪
族ポリアミドとしてナイロン66を混合したものを用いた
こと、混練時の温度を220℃、フローアウト時の温度を3
50℃としたこと、下塗用樹脂組成物として脂肪族ポリア
ミドを欠如したものを用いたこと以外は実施例1の通り
にして、被覆金属体を得、性能評価を行った。
以上の各実施例及び各比較例の熱水及び剥離試験によ
る性能評価の結果を次表に示す。
本発明による被覆金属体は、被覆層と金属基材との良
好な密着性、被覆層の充分な剛性と耐水性とにより熱水
によるブリスター及びクラックが生じないことが明らか
であり、被覆層が無機充填材を含有しない場合は剛性と
耐水性とが不充分なことにより、下地処理を行わない場
合は被覆層と金属基材との密着性が不充分なことによ
り、夫々ブリスターが発生してしまうことが、又、ナイ
ロン66を用いた場合には、樹脂の耐熱水性が不充分であ
ることから、クラックが生ずることが分かる。
(発明の効果) 本発明被覆金属体は、叙上の通り構成されているの
で、被覆層の剥離、クラック、ブリスターが生じ難く、
且つ熱水に対する抵抗性が優れており、熱水に接触する
金属管等の防食に用いて好適である。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下地処理を施された金属基材が、ポリマー
    中のメチレン基数とアミド基数との基数比(CH2/NHCO)
    が6以上である脂肪族ポリアミド及び無機充填材を含有
    する被覆用樹脂組成物で被覆され、前記金属基材の下地
    処理が、前記被覆用樹脂組成物中の脂肪族ポリアミドと
    同一または前記基数比の差が2以内の脂肪族ポリアミド
    及び無機充填材を含有する下塗用樹脂組成物を塗布する
    ことより行われていることを特徴とする被覆金属体。
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