JP2545089B2 - 塗装方法 - Google Patents

塗装方法

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JP2545089B2
JP2545089B2 JP62173541A JP17354187A JP2545089B2 JP 2545089 B2 JP2545089 B2 JP 2545089B2 JP 62173541 A JP62173541 A JP 62173541A JP 17354187 A JP17354187 A JP 17354187A JP 2545089 B2 JP2545089 B2 JP 2545089B2
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勝也 世羅
裕三 宮本
政文 久米
栄作 中谷
顕雅 中畑
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、塗装工程が簡略化され、しかも塗膜の仕上
り外観が極めてすぐれ、かつ省資源、公害対策上有利な
塗装方法に関する。
従来の技術及びその問題点 従来、美粧的外観が重要視される自動車、二輪車、電
気製品などの外板は、彩度が高く、透明感のある色調の
塗膜外観を形成する塗料含有有機溶剤希釈型熱硬化性塗
料で仕上げ塗装されることがある。その塗装工程は、通
常、防食性付与のためのカチオン電着塗料を塗装した
後、耐候性を確保するための中塗り塗料を塗装し、これ
らの両塗膜をそれぞれ加熱硬化した後、さらに、上塗り
塗装として、染料を配合した有機溶剤型熱硬化性エナメ
ル塗料を塗装し、次いで、染料や顔料などを含まない有
機溶剤型熱硬化性透明クリヤー塗料を塗装する工程から
なっていることが多い。
ところが、近年に至って、塗装仕上がり外観、例え
ば、平滑性、鮮映性、肉持感などの向上の要求が更に強
くなり、しかも省資源や公害対策、さらに塗装コストを
低くすることも望まれている。
特に、染料含有塗面に有機溶剤型クリヤー塗料を塗装
すると、該染料が該クリヤー塗膜中の有機溶剤に溶解
し、クリヤー塗膜中に移行して(ブリード現象)、仕上
がり外観を損なうと共にブリードした染料は太陽光など
による紫外線で退色して、著しい塗面劣化を生じるとい
う問題点を有している。
発明が解決しようとする問題点 本発明は、染料を含む上塗り塗料を用いた塗装系にお
ける上記した種々の問題点を解消することを目的として
いる。また、中塗塗膜を研磨して仕上がり外観を改良す
ることも行なわれているが、工数増と十分な外観向上が
得られないという問題がある。さらに従来の有機溶剤型
エナメル塗料には多量の有機溶剤が配合されており、省
資源、公害発生防止などの観点からも好ましくない。
発明を解決する為の手段 そこで本発明者等は、前記した種々の欠点を解消し、
塗装工程が簡略化され、しかも塗膜の仕上がり外観が顕
著に向上し、かつ省資源、公害対策上極めて有利な塗装
方法の開発を目的に鋭意研究を行なった。
その結果、耐候性良好な特定組成のカチオン電着塗
料、染料含有熱硬化性塗料および着色剤を含まない粉体
塗料(トップコート)を用いることによって、中塗り塗
料を使用することなく上記目的を達成できることを見い
出し、本発明を完成するに至った。
しかして、本発明によれば、 (i) (A)表面張力が40〜60dyne/cmであり且つ酸
で中和することによって陰極に電着可能な水性浴を形成
しうるエポキシ系カチオン電着性樹脂、及び (B)表面張力が25〜45dyne/cmである非イオン系被膜
形成性樹脂を、 樹脂(A):樹脂(B)=60:40〜98:2の範囲内の重量
比で含有し且つ樹脂(A)の表面張力が樹脂(B)の表
面張力より大きい複層膜形成用カチオン電着塗料を塗装
し、加熱硬化後、 (ii) 該電着塗面に、第1上塗りとして染料を含有す
る水性もしくは有機溶剤系塗料を塗装し、 (iii) 更に、第2上塗りとして着色剤を含まない粉
体塗料を塗装する ことを特徴とする塗装方法が提供される。
本発明の特徴は、従来一般の中塗り塗料を塗装するこ
となく、上記(i)の特定のカチオン電着塗料塗面に、
上塗り塗料としての上記(ii)および(iii)の塗料を
塗装するところにある。
すなわち、本発明で用いる上記(i)のカチオン電着
塗料は、一回の電着塗装により、下層部(金属基体表面
側。以下同じ)に主として防食性樹脂が分布し且つ上層
部に主として耐候性樹脂が分布するような濃度勾配を有
する複層膜を形成することができる。さらに具体的に
は、該カチオン電着塗料は、エポキシ樹脂系カチオン電
着性樹脂中に耐候性の優れたアクリル系樹脂、ポリエス
テル系樹脂等の非イオン系被膜形成性樹脂を分散させた
ものを結合剤成分とするカチオン電着塗料であって、該
非イオン系被膜形成性樹脂粒子がエポキシ樹脂によって
極めて安定に分散され、貯蔵安定性に優れ、また、前記
エポキシ系カチオン電着性樹脂と非イオン系被膜形成性
樹脂とを特定割合で配合し且つこれらの樹脂成分の表面
張力を特定範囲に限定し、しかも前者の表面張力を後者
のそれより大きくしてあるため、それから形成されるカ
チオン電着浴を用いて電着塗装した塗膜は、焼付乾燥す
ると表面張力の差によって非イオン系被膜形成性樹脂が
上層部に浮上し、他方、エポキシ樹脂は金属基体表面
側、すなわち下層部に移行し、その結果上層部を主とし
て非イオン系被膜形成性樹脂が占め、下層部を主として
エポキシ樹脂が占めるような濃度勾配を有する複層膜を
形成する。その結果、1回の電着塗装及び焼付により、
防食性および耐候性のすぐれた複層塗膜を形成すること
ができる。
そのため本発明の方法では、該カチオン電着塗料の焼
付硬化塗膜面に、中塗塗装工程を省略し、上記(ii)及
び(iii)の上塗り塗膜を直接施しても、耐候性ハガレ
(上塗り塗膜を透過した光により、下塗り塗膜が光劣化
をおこし、屋外バクロ中に、下塗り塗膜と上塗り塗膜の
層間でハクリがおこる現象)が発生することは皆無とな
ることが判明した。しかも、本発明の方法によれば、中
塗り塗装工程が省略されるので塗装工程が簡略化され、
塗装コストが低くできるという利点がある。
本発明で用いる成分(i)のカチオン電着塗料塗膜は
耐候性がすぐれており、具体的には、該塗料の硬化塗膜
単独を、1100K.Juole/m2・hrの光線を40時間照射した後
の60度鏡面反射率の保持率が通常、50%以上であり、好
ましくは60%以上でありうる。
また、上記(ii)の染料を含有せしめた熱硬化性塗料
としては、公害防止および省資源の観点からみて有機溶
剤を全くもしくは殆ど含まない水性塗料を用いることが
好ましいが、有機溶剤系であっても、中塗り塗料および
その塗装工程が省略され、粉体上塗り塗料の使用などに
よって、トータル的にみると従来の塗装工程に比べてコ
スト低下である。
さらに、該塗料には染料を配合してあるので、仕上が
り外観の色調が、通常の着色顔料と比べてあざやかで、
かつ深みが強く感じられる。
さらに、該(ii)の塗料の塗面に塗装する上記(ii
i)の粉体塗料は、有機溶剤を全く含んでいないので、
省資源、公害防止に特に有効であり、しかも、60μ以上
の厚膜に塗装できるので、肉持感、平滑性、鮮映性など
の仕上がり外観にすぐれた塗面に仕上げることができる
という特徴がある。また、この粉体塗料には有機溶剤を
含んでおらず、かつ肉厚に塗装できるので、(ii)の染
料中の染料をブリードすることが殆どなく仕上がり外観
の低下を防止でき、耐候性(耐退色性)なども向上し
た。
次に、本発明の塗装方法についてさらに具体的に説明
する。
成分(i):(A)の表面張力が40〜60dyne/cmであり
且つ酸で中和することによって陰極に電着可能な水性浴
を形成しうるエポキシ系カチオン電着性樹脂、及び (B)表面張力が25〜45dyne/cmである非イオン系被膜
形成性樹脂を、 樹脂(A):樹脂(B)=60:40〜98:2の範囲内の重量
比で含有し且つ樹脂(A)の表面張力が樹脂(B)の表
面張力より大きい複層膜形成用カチオン電着塗料。
エポキシ系カチオン電着性樹脂(A成分)としては、
従来からカチオン電着塗料分野において使用されている
アミン付加エポキシ樹脂のようなポリアミン樹脂、例え
ばポリエポキシドと第1級モノ及びポリアミン、第2級
ポリアミン又は第1級、第2級混合ポリアミンとの付加
物(例えば米国特許第3,984,299号参照);ポリエポキ
シドとケチミン化された第1級アミノ基を有する第2級
モノ及びポリアミンとの付加物(例えば米国特許第4,01
7,438号参照);ポリエポキシドとケチミン化された1
級アミノ基を有するヒドロキシ化合物とのエーテル化に
より得られる反応物(例えば特開昭59−43013号公報参
照)などが用いられる。これらのポリアミン樹脂はアル
コール類でブロックしたポリイソシアネート化合物を用
いて硬化させることができ電着塗膜を形成する。
また、ブロックイソシアネート化合物を使用しないで
硬化させることが可能なアミン付加エポキシ樹脂も使用
することができ、例えばポリエポキシドにβ−ヒドロキ
シアルキルカルバメート基を導入した樹脂(例えば特開
昭59−155470号公報参照);エステル交換反応によって
硬化しうるタイプの樹脂(例えば特開昭55−80436号公
報参照)などを用いることもできる。
樹脂(A成分)の製造に使用される前記したポリエポ
キシドとしては、例えば、ポリフェノールをアルカリの
存在下にエピクロルヒドリンと反応させることにより製
造することができるポリフェノールのポリグリシジルエ
ーテルが包含され、かかるポリエポキシドの代表例に
は、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2,2−プロパ
ン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−エタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)−メタン、4,4′−ジ
ヒドロキシジフェニルエーテル、4,4′−ジヒドロキシ
ジフェニルスルホン、フェノールノボラック、クレゾー
ルノボラック等のポリフェノールのグリシジルエーテル
及びその重合物が挙げられる。
上記したポリエポキシドの中で、価格と防食性の点か
ら特に好適なものは、数平均分子量が少なくとも約38
0、好適には約800〜2,000の範囲内、及びエポキシ当量
が190〜2,000、好適には400〜1,000の範囲内のポリフェ
ノールのポリグリシジルエーテルであり、殊に下記一般
で示されるポリエポキシドである。
成分(i)のカチオン電着塗料のエポキシ系カチオン
電着性樹脂(A成分)は、表面張力が40〜60dyne/cm、
好適には45〜55dyne/cmの範囲内にあることが必要であ
る。表面張力が40dyne/cmより低いと、非イオン系被膜
形成性樹脂(B成分)との相溶性が良好になりすぎて所
望の濃度勾配を有する複層膜を形成させ難くなり、しか
も該塗膜が耐候性、防食性ともに劣るものになりやす
い。他方、表面張力が60dyne/cmを超えると、濃度勾配
が極端に進み、樹脂(A成分)と樹脂(B成分)とが完
全に2層に分離するようになり、前記樹脂(A成分)と
樹脂(B成分)の層間付着性が劣る結果となりやすい。
本明細書において、エポキシ系カチオン樹脂(A成
分)及び後記する非イオン系被膜形成性樹脂(B成分)
についていう「表面張力」は次のようにして測定したも
のである: 樹脂(A成分)または樹脂(B成分)を溶剤で希釈
し、脱脂した平滑なブリキ板上にバーコーターにより乾
燥塗膜で10ηmになるように塗装する。塗膜を室温で1
日風乾し、さらに50℃/0.1気圧で1時間乾燥した後、室
温で10分後に次の測定を行なう。
脱イオン水を滴下して、上記乾燥樹脂との接触角
(θ)を測定する。
ついで、SellとNeumannの実験式 式中、γL:水の表面張力(72.8dyne/cm)、 γS:樹脂(A成分)または樹脂(B成分)の表面張力
(dyne/cm) により樹脂(A成分)または樹脂(B成分)の表面張力
を求める。
成分(i)のカチオン電着塗料で使用される非イオン
系塗膜形成性樹脂(B成分)は、本発明の目的から特に
耐候性の優れた樹脂であれば熱硬化性樹脂および熱可塑
性樹脂のいずれでもよく、就中アクリル系樹脂、ポリエ
ステル樹脂、ポリエステル変性樹脂及びシリコン変性樹
脂が好適に使用される。この樹脂(B成分)は非イオン
系であること、すなわち酸中和によってカチオン性基を
生じるような官能基を有さないことが重要であり且つ不
可欠である。すなわち、樹脂(B成分)がイオン性であ
ると、その表面張力が大きくなるため、本発明の目的と
する理想的な濃度勾配を有する複層塗膜を得るためには
樹脂(B成分)の骨格部(非イオン性部)を表面張力の
小さいものに設計しなければならず、その結果として形
成される複層塗膜は層間付着性および耐食性に劣ったも
のとなりやすい。
以下、樹脂(B成分)として好適なものについてさら
に具体的に説明する。
非イオン系アクリル系樹脂としては、例えば、メチル
(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、
ブチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリ
レート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなど
の(メタ)アクリル酸のアルキルエステル;ヒドロキシ
エチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メ
タ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸のヒドロキ
シアルキルエステル;グリシジル(メタ)アクリレー
ト;(メタ)アクリル酸などのアクリル系単量体、並び
にスチレン及びその誘導体(例えばα−メチルスチレ
ン)、(メタ)アクリロニトリル、ブタジエンなどその
他の不飽和単量体を物性に応じて1種または2種以上適
宜選択し、常法に従って(共)重合することによって得
られるものが挙げられる。
該アクリル系樹脂は数平均分子量が約3,000〜約100,0
00、好ましくは約4,000〜約50,000の範囲内のものが適
している。また、該アクリル系樹脂は官能基として水酸
基を含有せしめた場合には、樹脂(A成分)の架橋剤で
あるポリイソシアネート化合物と反応して架橋硬化せし
めることができる。
樹脂(B成分)として用いられる非イオン系ポリエス
テル樹脂には、例えば、フタル酸およびその酸無水物、
イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸およびそ
の酸無水物、ピロメリット酸およびその酸無水物、ヘキ
サヒドロフタル酸およびその酸無水物、コハク酸、アジ
ピン酸、ピメリン酸、セバシン酸、ブラシリン酸などの
多塩基酸成分と、エチレングリコール、ジエチレングリ
コール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコー
ル、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパ
ン、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリシクロデ
カンジメタノールなどのポリオール成分とを常法に従い
縮合重合させることにより製造することができるものが
包含される。その際末端封鎖剤として、例えば安息香
酸、p−t−ブチル安息香酸などを使用して分子量を調
節してもよい。
また、樹脂(B成分)として、前記したアクリル系樹
脂とポリエステル樹脂をブレンドしたものも使用できる
し、さらにポリエステル変性(グラフト)アクリル樹
脂、アクリル変性(グラフト)ポリエステル樹脂も前記
原材料を組合せることにより合成できそれらもまた樹脂
(B成分)として使用できる(これらを本明細書では
「ポリエステル変性樹脂」と総称する)。
さらにまた、樹脂(B成分)として用いられる非イオ
ン系シリコン変性樹脂には、基体樹脂、例えば前記した
アクリル系樹脂またはポリエステル樹脂、或いはアルキ
ド樹脂等をシリコン樹脂で変性したものが包含され、シ
リコン樹脂の使用量は樹脂全体の50重量%以下、好まし
くは3〜45重量%の範囲内である。シリコン樹脂の含有
量が50重量%を超えると、上塗り塗膜との層間付着性が
低下する。また樹脂(A成分)と樹脂(B成分)が完全
に2層に分離し層間の付着性も悪くなる傾向がある。
基体樹脂を変性するために用いるシリコン樹脂は、通
常、数平均分子量が好ましくは約500〜約2,000の範囲内
にある、分子中に水酸基、アルコキシ基のような反応性
基を2個以上有するオルガノポリシロキサン樹脂であ
り、例えばZ−6018(Dow Corning社製品、分子量160
0)、Z−6188(Dow Corning社製品、分子量650)をは
じめ、Sylkyd50、DC−3037(Dow Corning社製品)KR−2
16、KR−218、KSP−1[信越シリコーン(株)製品]、
TSR−160、TSR−165[東京芝浦電気(株)製品]、SH50
50、SH6018、SH6188[東レシコーン(株)製品]等を用
いることができる。
シリコン変性樹脂は、上記したシリコン樹脂と水酸基
および/又はカルボキシル基を有する基体樹脂、例えば
アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂等を上記した使用割
合で、それ自体公知の方法で共縮合させることによって
製造することができる。
樹脂(B成分)は、表面張力が25〜45dyne/cm、好適
には28〜40dyne/cmの範囲内にあることが必要である。
表面張力が25dyne/cmより小さいと、形成される塗膜と
上塗り塗膜との層間付着性が低下し、また樹脂(A成
分)と樹脂(B成分)が完全に2層に分離し層間付着性
も悪くなる。他方、表面張力が45dyne/cmを超えると、
樹脂(A成分)との相溶性が良好になりすぎ所望の濃度
勾配を有する複層膜が形成され難くなり、しかも塗膜の
耐候性、腐食性がともに劣る結果となる。
成分(i)のカチオン電着塗料において、前記した樹
脂(A成分)及び樹脂(B成分)の表面張力がそれぞれ
前記特定範囲にあって且つ樹脂(A成分)の表面張力が
樹脂(B成分)の表面張力より大きければ、濃度勾配の
ある複層膜を形成することができるが、好適には樹脂
(A成分)と樹脂(B成分)の表面張力の差が5dyne/cm
以上、より好ましくは10〜20dyne/cmの範囲内になるよ
うに両成分を選択して組合わせることが、複層膜の形成
が容易で且つ迅速であり実用的である。
また、複層膜の形成をさらに容易にするには、樹脂
(A成分)と樹脂(B成分)間の相溶性が不相溶もしく
は難相溶の関係にある組合せからなるものを選択すれば
よい。樹脂(A成分)と樹脂(B成分)間の相溶性が
「不相溶」もしくは「難相溶」とは次のことを意味す
る。すなわち、樹脂(A成分)及び樹脂(B成分)を等
重量部の割合で混合した後有機溶媒などに溶解せしめ、
テフロン板に約70ミクロンの膜厚になるように均一にエ
アースプレーし、ついで160〜220℃の間の一定の温度で
且つ15〜60分の間の一定の時間で焼付け、放冷し、得ら
れる単離皮膜について光線透過率を測定したとき、紫外
線の光線(波長約300ミリミクロン)ならびに可視部の
光線(波長約500ミリミクロン)についての透過率がそ
れぞれ0〜約70%の値を示すことを意味する。
成分(i)の電着塗料は、以上述べた樹脂(A成分)
及び樹脂(B成分)をそれ自体既知の方法で水中に分散
及び/又は溶解させることにより調製することができ
る。例えば、樹脂(A成分)及び樹脂(B成分)を水
混和性有機溶剤中に溶解させた状態で水及び酸(例えば
酢酸、ギ酸、乳酸、リン酸、硫酸などの水溶性有機酸又
は無機酸)と混合し中和して水性浴を形成するか、樹
脂(A成分)を水性媒体中に分散させ、酸で中和して水
性浴を形成し、その水性浴中に樹脂(B成分)の水混和
性有機溶剤溶液をホモジナイザー等を用いて強制分散せ
しめる等の方法で調製することができる。前記及び
のいずれの方法によって得られる組成物においても、樹
脂(B成分)の粒子は樹脂(A成分)の中和物によって
水中に極めて安定に分散され、長期間にわたって優れた
貯蔵安定性を示す。
成分(i)の電着塗料の調製にあたって、樹脂(A成
分)及び樹脂(B成分)はそれぞれ単独又は2種以上組
合せて使用することができる。樹脂(A成分)と樹脂
(B成分)の使用割合は、 (A成分):(B成分) =60:40〜98:2、好ましくは70:30〜95:5 の範囲内にすることが必要である。
前記した範囲外の配合割合では効果的な濃度勾配を有
する複層膜が得られず、耐候性又は防食性が劣る結果と
なる。
成分(i)には、前記した樹脂(A成分)及び(B成
分)成分の他に、適宜必要に応じて、通常塗料分野で用
いられている着色顔料、防食顔料、体質顔料、添加剤な
どを添加することもできる。
さらに、樹脂(A成分)として、硬化剤との併用によ
って硬化するタイプのエポキシ系カチオン電着性樹脂を
用いる場合には、該組成物に、硬化剤としてポリイソシ
アネート化合物、例えばイソホロンジイソシアネート、
4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネートなどのブロ
ック化物を所定量配合することができる。
成分(i)のカチオン電着塗料と被塗物に電着塗装す
る方法及び装置としては、従来から陰極電着塗装におい
てそれ自体使用されている公知の方法及び装置を使用す
ることができる。その際、被塗物をカソードとし、アノ
ードとしてはステンレス又は炭素板を用いるのが望まし
い。用いうる電着塗装条件は、特に制限されるものでは
ないが、一般的には浴温:20〜30℃、電圧:100〜400V
(好ましくは200〜300V)、電流密度:0.01〜3A/dm2、通
電時間:1〜5分、極面積比(A/C):2/1〜1/2、極間距
離:10〜100cm、撹拌状態で電着することが望ましい。
カソードの被塗物上に析出した塗膜は、硬化塗膜に基
いて10〜50μ、特に20〜40μの膜厚が好ましく、この析
出した塗膜を洗浄後、約150〜約230℃で約10〜30分間焼
付けて硬化させることができる。この硬化処理により金
属基体に接する部分にはエポキシ系樹脂(A成分)が、
プライマー層の表面部分には被膜形成性樹脂(B成分)
が優先的に分布した多層構造が形成される。これは加熱
溶融状態で両樹脂が主として表面張力の差で層分離をす
るように作用するためと考えられる。
かくして形成される電着塗膜層が多層分布構造を有し
ている事実は、塗膜を金属基体方向(厚さ方向)に向か
って最上層、中間層及び最下層の3層に分割し、この分
割層における樹脂(B成分)の分配率(含有重量%)を
求めることにより確認することができる。成分(i)の
カチオン電着塗料から形成される電着プライマー層にお
いては、一般に最上層では樹脂(B成分)の分配率が50
%以上、好ましくは70〜95%であり、最下層においては
樹脂(B成分)の分配率は10%以下、好ましくは5%以
下である。
成分(ii):染料を含有せしめてなる水性もしくは有機
溶剤系塗料。
これは、加熱硬化した成分(i)のカチオン電着塗膜
面に塗装する上塗り塗料であり、基体樹脂、硬化剤、染
料、水および/または有機溶剤を主要成分とし、必要に
応じて各種顔料などを配合してなる熱硬化性塗料であ
る。
基体樹脂は、成分(ii)による塗膜の主成分であり、
耐候性および透明性などが良好で、水や有機溶剤に溶解
もしくは分散しうる塗料用樹脂が好適であり、例えば、
アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂などが
あげられる。
まず、これらの基体樹脂の水溶性化もしくは水分散化
は、原則的には、水溶性化もしくは水分散化するのに十
分な量の親水性基、例えばカルボキシル基(−COOH)、
水酸基(−OH)、メチロール基(−CH2OH)、アミノ基
(−NH2)、スルホン基(−SO3H)、ポリオキシエチレ
ン結合CH2CH2Onなどを導入、含有させることであ
るが、最も一般的なものはカルボキシル基を含有させる
ことである。導入したカルボキシル基を中和してアルカ
リ塩を作ることにより水溶性化もしくは水分散化するこ
とができる。カルボキシル基の量は特に制限されず、水
分散化もしくは水溶化の程度に応じて任意に選択できる
が、具体的には、酸価に基いて約10以上、好ましくは30
〜200であって、アルカリ性物質例えば水酸化ナトリウ
ム、各種アミンなどで中和することによって水溶性化も
しくは水分散にすることができる。
上記アクリル樹脂としては、例えばα,β−エチレン
性不飽和カルボン酸、ヒドロキシル基、アミド基、メチ
ロール基などの官能基を有する(メタ)アクリル酸エス
テル、及びその他の(メタ)アクリル酸エステル、及び
その他の(メタ)アクリル酸エステル、スチレンなどを
共重合して得られる上記のごとく酸価を有し、かつ水酸
基価約20〜200のものを挙げることができる。
ポリエステル樹脂としては多塩基酸、多価アルコー
ル、変性油を常法により縮合反応させて得られるもので
ある(酸価および水酸基価は上記アクリル樹脂と同程度
が好ましい)。ウレタン樹脂としては、上記アクリル樹
脂、もしくはポリエステル樹脂にジイソシアネート化合
物を反応させて高分子量化したものが挙げられ、これは
主として水分散性樹脂として用いられる。
また、上記樹脂の水分散化は、上記モノマー成分を界
面活性剤や水溶性樹脂の存在下で乳化重合せしめること
によっても達成される。さらに上記樹脂を例えば乳化剤
などの存在下で水中に分散することによっても得られ
る。この水分散化において、基体樹脂中は前記親水性基
を全く含んでいなくてもよく、或いは上記水溶性樹脂よ
り少なく含有することができる。
このうち、アクリル樹脂の水分散液としては、従来か
ら既知の例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエ
ーテル等のノニオン系界面活性剤、ポリオキシエチレン
アルキルアリルエーテル硫酸エステル塩等のアニオン系
界面活性剤、酸価20〜150程度、数平均分子量5000〜300
00程度のアクリル樹脂等の水溶性樹脂等の分散安定剤の
存在下で、アクリル系単量体及び必要に応じて他の共重
合性単量体を重合することによって調製される平均粒子
径0.05〜1.0μm程度の範囲にある水分散体が好まし
い。
該分散液は、多段重合法によって得られるものが好ま
しい。即ち、最初にα,β−エチレン性不飽和酸を全く
含まないか或いは少量含んだ単量体を重合し、次いで
α,β−エチレン性不飽和酸を多量に含んだ単量体を共
重合することによって得られる多段重合エマルジョン
は、中和剤を用いて中和することによって増粘するので
塗装作業性の面から好ましいものである。
該水分散液中のアクリル樹脂は、その機械安定性、貯
蔵安定性等の性能面からは分散粒子を架橋した方が有利
である。また、この水分散液には、必要に応じて、従来
から公知の方法により製造されるポリエステル系、ポリ
ウレタン系の水分散性樹脂を併用することが可能であ
る。
また、有機溶剤系は、有機溶剤に上記基体樹脂(カル
ボキシル基は特に必要としない)を溶解もしくは分散さ
せることによって得られる。有機溶剤としては、塗料に
通常用いられているものが適用でき、例えば、トルエ
ン、キシレン、ヘキサン、ヘプタンなどの炭化水素系、
酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノメチ
ルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチ
ルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチ
ルエーテルアセテートなどのエステル系、ヘキシルエー
テル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレ
ングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコール
モノメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエ
ーテルなどのエーテル系、ブタノール、プロパノール、
オクタノール、シクロヘキサノール、ジエチレングリコ
ールなどのアルコール系、メチルエチルケトン、メチル
イソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロンなど
のケトン系などがあげられる。
有機溶剤系塗料の形態としては、溶液型、ハイソリッ
ド型、非水分散液型などがある。
硬化剤は、上記基体樹脂を加熱により三次元的に架橋
硬化させるためのものであり、具体的には、メラミン、
ベンゾグアナミン、尿素などとホルムアルデヒドとの縮
合もしくは共縮合または、さらに低級1価アルコールで
エーテル化するなどによって得られるアミノ樹脂が好適
に用いられる。また、ポリイソシアネート化合物もしく
はブロックポリイソシアネート化合物も好適に使用でき
る。
さらに、成分(ii)に配合する染料としては、耐光
性、水や有機溶剤との溶解性などのすぐれた染料が使用
できる。具体的には、モノアゾ染料、ポリアゾ染料、金
属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、スチルベンアゾ
染料およびチアゾールアゾ染料のようなアゾ染料;アン
トラキノン誘導体およびアントロン誘導体のようなアン
トラキノン染料;インジゴ誘導体、チオインジゴ誘導体
のようなインジゴイド染料;フタロシアニン染料;ジフ
ェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテ
ン染料およびアクリジン染料のようなカルボニウム染
料;アジン染料,オキサジン染料,チアジン染料のよう
なキノンイミン染料;ポリメチル(又はシアニン)染
料、アジメチン染料のようなメチン染料;キノリン染
料;ニトロ染料;ニトロン染料;ベンゾキノンおよびナ
フトキノン染料;ナフタルイミド染料;ペリノン染料;
などがあげられ、これらから選ばれた1種もしくは2種
以上が使用できる。
成分(ii)では、これらの染料と共に、メタリック顔
料、着力顔料や体質顔料などから選ばれた1種以上を併
用できる。配合しうるメタリック顔料としては、例えば
アルミニウムフレーク、銅ブロンズフレーク等を挙げる
ことができ、また、着色顔料としては、例えば二酸化チ
タン、酸化鉄、酸化クロム、クロム酸鉛、クロムチタン
エロー、コバルトブルー、カーボンブラック等の如き無
機顔料;フタロシアニンブルー、フタロシアニングリー
ン、カルバゾールバイオレット、アントラピリミジン、
アゾオレンジ、イエロー、フラバンスロンイエロー、イ
ソインドリンイエロー、アゾエロー、インダスロンブル
ー、ジブロムアンザスロンレッド、ペリレンレッド、ア
ゾレッド、アンスラキノンレッド、キナクリドンレッ
ド、バイオレット等の如き有機顔料を挙げることがで
き、体質顔料としてタルク、バリタ、シリカ、カオリン
等を配合することができる。
成分(ii)における上記各成分の比率は、目的に応じ
任意に選択できるが、例えば、基体樹脂と硬化剤とは、
該両成分の合計重量にもとずいて、前者が60〜90重量
%、特に70〜85重量%、後者が40〜10重量%、特に30〜
15重量%の範囲内が好ましい。さらに染料は、所望の色
彩等に応じて適宜の量配合すれば良く、該両成分を合計
した樹脂固形分100重量部に対して通常0.5〜20重量部程
度配合するのが適当であり、顔量は0.5〜200重量部が好
ましい。
成分(ii)では、着色剤として染料を必須成分として
使用しており、さらに着色やメタリック顔料を染料と併
用することもできる。
上記の染料および着色顔料は、共に着色剤であるが、
染料は水や染料用溶剤に容易に溶けるのに対して、着色
顔料はこれらに殆どもしくは全く溶解せず分散してお
り、これらの点で両者は区別できる。
該成分(ii)の塗料は、前記成分(i)によるカチオ
ン電着加熱硬化塗膜面に、例えば10〜50μ程度の硬化膜
厚になるようにスプレー塗装等により塗装することがで
きる。
成分(iii):粉体塗料 該粉体塗料は、成分(ii)塗膜面に塗装することので
きる、熱硬化性のそれ自体既知の粉体塗料であることが
でき、原則として、成分(ii)の着色塗膜を透視できる
ような透明塗膜を形成しうる粉体塗料であって、染料・
着色顔料およびメタリック顔料などの着色剤を含んでお
らず、基体樹脂と硬化剤とを主成分とするものである。
基体樹脂は成分(iii)の粉体塗料の塗膜形成のため
の主要成分であって、例えば、水酸基、カルボキシル
基、グリシジル基などから選ばれる1種またはそれ以上
の架橋性官能基を有するアクリル樹脂、ポリエステル樹
脂、フッ素樹脂、ウレタン樹脂、およびこれらの変性体
(例えば、グラフト重合体)などがあげられるが、これ
らは単なる例示であり、これらのみに限定されるもので
はない。該基体樹脂はガラス転移温度が一般に50℃以
上、特に60〜120℃であることが好ましく、また、組成
および分子量などは目的に応じて任意に選択でき、特に
限定されない。
硬化剤は、上記基体樹脂を加熱により三次元的に架橋
硬化させるための成分であり、例えば、アルコキシメチ
ロールメラミン、ブロックポリイソシアネート化合物、
エポキシ化合物、イソシアヌレート化合物および脂肪族
二塩基酸などが使用できる。
基体樹脂と硬化剤との比率は、基体樹脂中の上記官能
基と硬化剤中の官能基とのモル比がほぼ等モルになるこ
とが最も好ましい。
成分(iii)の粉体塗料には、さらに流動調整剤、紫
外線吸収剤、光安定剤などの塗料添加物を必要に応じて
配合してもさしつかえない。
成分(iii)の粉体塗料は、通常、上記各成分を溶融
混練し、冷却後、粉砕することによって得られ、これら
の工程および粒径などは通常のとおりでよい。
また、該成分(iii)の塗料は、前記成分(ii)の塗
料を塗装し、加熱硬化させることなく、該塗膜中に含ま
れている水分や溶剤の殆どもしくはすべてを除去するた
めに常温もしくは100℃以下で風乾したのち、該成分(i
i)の塗料による未硬化の塗膜面に塗装される。さら
に、該成分(ii)の塗料による塗膜を、例えば、120〜2
00℃に加熱して硬化したのちに(iii)の粉体塗料を塗
装することができる。これらの塗装方法は特に制限され
ず、静電噴霧塗装、流動浸漬法など任意の粉体塗装方法
を用いることができる。
成分(iii)の粉体塗料の塗装膜厚は特に制限される
ものではないが、一般には、例えば40〜200μの範囲が
適しており、なかでも、仕上がり塗膜の平滑性、鮮映
性、光沢、肉持感などを良好にするためには、60〜120
μの肉厚に塗装することが好ましい。
そして、上記(ii)および(iii)の両塗料を塗装
後、例えば120〜200℃に加熱して両塗膜を同時にもしく
は(iii)の塗膜を硬化させる。
以上に述べた本発明の方法は、塗装工程が簡略化さ
れ、しかも塗膜の仕上がり外観が極めてすぐれ、かつ省
資源、公害対策上有利な塗装方法であり、自動車、二輪
車、電気製品などの塗装において広く利用することがで
きる。
以下に実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具
体的に説明する。なお実施例中、「部」及び「%」は
「重量部」及び「重量%」である。
I 試料の調製 成分(i)のカチオン電着塗料: (A) エポキシ系カチオン電着性樹脂の調製 ビスフェノール型エポキシ樹脂(チバガイギー社製
「アラルダイト#6071」) 930 部 ビスフェノール型エポキシ樹脂(チバガイギー社製
「アラルダイトGY2600」) 380 〃 ポリカプロラクトンジオール(ダイセル社製「プラ
クセル#205」) 550 〃 ジメチルベンジルアミン酢酸塩 2.6〃 p−ノニルフェノール 79 〃 モノエタノールアミンのメチルイソブチルケトンケ
チミン化物 71 〃 ジエタノールアミン 105 〃 ブチルセロソルブ 180 〃 セロソルブ 525 〃 成分〜を一緒にし150℃で2時間反応させた後、
成分〜を配合し、80〜90℃で3時間反応させ、固形
分75%の樹脂溶液を得る。この樹脂の表面張力は53dyne
/cmである。
(B) 非イオン系被膜形成性樹脂の調製 (B−1)の製造: ブチルセロソルブ 26 部 80%ポリエステルモノマー(ダイセル社製「FM−3
X」) 37.5〃 スチレン 40 〃 ヒドロキシエチルメタクリレート 25 〃 n−ブチルメタクリレート 5 〃 AIBN(アゾビスイソブチロニトリル) 4 〃 ブチルセロソルブ 5 〃 アゾビスジメチルバレロニトリル 0.5〃 セロソルブ 23 〃 成分を130℃に加熱し、130℃で成分〜を5時間
かけて滴下後、130℃で2時間維持し、130℃で2時間か
けて成分、を滴下し、更に130℃で2時間維持し、
次いで成分を添加して冷却する。
かくして、固形分62%で数平均分子量約5,000及び表
面張力40dyne/cmの樹脂溶液を得る。
(B−2)の製造: ブチルセロソルブ 26 部 80%ポリエステルモノマー(ダイセル社製FM−3X)
87.5〃 スチレン 25 〃 ヒドロキシエチルアクリレート 5 〃 AIBN(アゾビスイソブチロニトリル) 4 〃 ブチルセロソルブ 5 〃 アゾビスジメチルバレロニトリル 0.5〃 セロソルブ 23 〃 成分を130℃に加熱し、130℃で成分〜を5時間
かけて滴下した後、130℃で2時間維持し、130℃で2時
間かけて成分、を滴下し、更に130℃で2時間維持
し、次いで成分を添加して冷却する。かくして、固形
分62%で、数平均分子量約5,000及び表面張力35dyne/cm
の樹脂溶液を得る。
エマルジョンの製造 樹脂溶液混合物((A)および(B)成分を後記第
1表に示した割合からなる組成樹脂)固形分として82.6
部 4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネートのエチ
レングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテルジブロ
ック 5.0 〃 イソホロンジイソシアネートのメチルエチルケトン
ケトオキシムジブロック 12.4 〃 ポリプロピレングリコール4000 0.5 〃 酢酸鉛 1.0 〃 10%酢酸 9.3 〃 脱イオン水 187.75〃 成分〜を均一に混合し、成分〜を加えてさら
に均一に混合し、次いで成分を加えて均一に撹拌混合
して、不揮発分32%(120℃〜1Hr.)のエマルジョンを
得る。
顔料ペーストの製造: 60%第4級塩化エポキシ樹脂(分散媒) 5.73部 チタン白 14.5 〃 カーボン 0.54〃 体質顔料(クレー) 7.0 〃 ケイ酸鉛 2.3 〃 ジブチルチンオキサイド 2.0 〃 脱イオン水 27.49〃 からなる不揮発分50%(120℃〜1Hr.)からなる顔料ペ
ーストを得る。
カチオン電着塗料の製造 上記(A成分)および(B成分)を第1表に示す混合
比(樹脂重量固形分比)に基づいて得られるエマルジョ
ン317.2部、顔料ペースト59.56部及び脱イオン水279.64
部を混合してカチオン電着塗料浴(固形分20%)を得
る。
成分(ii)の塗料 第2表に示した成分および配合量に基いて、通常の方
法により混合、分散して水性および有機溶剤系の第1上
塗り塗料を得る。有機溶剤系では、トルエンとキシレン
との等重量混合溶剤を用いた。
成分(iii)の粉体塗料 (iii−a):アルマテックスPD6730(三井東圧化学
(株)製商品名、グリシジル基官能性アクリル樹脂、数
平均分子量約4500)100部、ドデカン2酸、25部、シリ
コーン流展剤(信越化学社製、KP322)0.1部およびTINU
VIN 900(チバガイギー社製商品名、紫外線吸収剤)をB
USSコニーダー(BUSS社製商品名)で溶融混練した。つ
いで、該混練物を冷却後粉砕して粒径20−150μ程度の
クリヤー粉体塗料を得る。
II 実施例および比較例 リン酸亜鉛処理した鉄板製品(被塗物)を陰極として
カチオン電着塗料浴中に浸漬し、対極である陽極との間
に、焼付後の膜厚が20μとなる電圧で3分間通電し、水
洗後、二酸化窒素濃度が10ppmである雰囲気において170
℃に加熱し20分加熱して該電着塗膜を硬化させた。次
に、この電着塗面に第1上塗りとして(ii−1)〜(ii
−6)をスプレーガン(デビルビスSGA502、25℃、湿度
70%)で硬化膜厚が20〜40μになるように塗装し、次い
で、100℃で20分間加熱したのち、該塗面に第2上塗り
として粉体塗料[成分(iii)]を静電粉体塗装法によ
り、硬化塗膜厚が70〜100μになるように塗装し、150℃
で30分加熱して硬化させた。これらの塗装工程およびそ
の評価も第1表に示す。
第1表において、 (*1) 従来型電着塗料:前記成分(i)のカチオン
電着塗料において、(A)成分のみで、(B)成分を配
合しないで製造したカチオン電着塗料であり、前記(1
−a)と同様に塗装し、加熱硬化した。
(*2) N−2:アミノ・アルキド樹脂系中塗り塗料で
あり、硬化した電着塗面に、スプレー塗装機で硬化塗膜
にもとずいて30μになるように塗装し、160℃で30分加
熱して硬化せしめた。
(*3) 従来型トップコート:マジクロンHK−1 ク
リヤー[関西ペイント(株)製 有機溶液型熱硬化性ア
クリル樹脂系クリヤー塗料]であり、未硬化の上記(ii
−1)の塗膜面に硬化塗膜で40μになるように塗装し、
160℃で30分加熱して両塗膜を同時に硬化させた。
(*4) 上塗り塗装まで行なった塗板をサンシャイン
ウエザオメータ(光量は1100K Juole/m2・hr)で4000時
間促進ばくろした後、40℃温水に20時間浸漬してから塗
膜外観を評価し、次いで素地に達するように塗膜をクロ
スカットし、テープハクリを行う。電着塗面上でのハク
リがなく、かつ外観に全く異常が認められないものは
○、ハクリがなく、退色劣化したものを△、ハクリが認
められ、退色劣化著しいものは×とする。
(*5) 鮮映性測定器JCRI−PGD−166型cd計(発売
元:日本色彩研究所)を用いた。数値が大きいほど良
い。
(*6) 目視で光沢感、色調、肉持感などを評価す
る。
○ ブリード発生が全くなく、しかも意匠性が非常に優
れている又は今までに得られない。
× ブリードが発生し、意匠性が劣る。
(*7) VOC(Volatile organic com−pound) 規制合否の計算方法 で塗装した時の塗着塗料固形分1gal(ガロン)当りのVO
Cが12.2lb/gal、Applied solidを越すものを×、越さな
いものを○と評価する。→EPA(環境保護局)規制 (*8) 経済性の評価は、従来型カチオン電着塗料〜
溶剤型中塗〜溶剤型上塗の3コート系を100とし、他の
経済性の良否を指数で示す。100をこえるものは「経済
性不良」、100をこえないものは「良好」である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮本 裕三 神奈川県平塚市東八幡4丁目17番1号 関西ペイント株式会社内 (72)発明者 久米 政文 神奈川県平塚市東八幡4丁目17番1号 関西ペイント株式会社内 (72)発明者 中谷 栄作 神奈川県平塚市東八幡4丁目17番1号 関西ペイント株式会社内 (72)発明者 中畑 顕雅 神奈川県平塚市東八幡4丁目17番1号 関西ペイント株式会社内 審査官 小川 進

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(i) (A)表面張力が40〜60dyne/cm
    であり且つ酸で中和することによって陰極に電着可能な
    水性浴を形成しうるエポキシ系カチオン電着性樹脂、及
    び (B)表面張力が25〜45dyne/cmである非イオン系被膜
    形成性樹脂を、 樹脂(A):樹脂(B)=60:40〜98:2の範囲内の重量
    比で含有し且つ樹脂(A)の表面張力が樹脂(B)の表
    面張力より大きい複層膜形成用カチオン電着塗料を塗装
    し、加熱硬化後、 (ii) 該電着塗面に、第1上塗りとして染料を含有す
    る水性もしくは有機溶剤系塗料を塗装し、 (iii) 更に、第2上塗りとして着色剤を含まない粉
    体塗料を塗装する ことを特徴とする塗装方法。
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