JP2543147Y2 - ブレーキシュー - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、少なくとも摩擦層、中
間層および担持板からなり、その際中間層は、熱硬化可
能な合成物質および挿入物としてのガラス繊維から形成
され、かつ個々の部材がプレスにより互いに解けないよ
うに結合されているブレーキシュー、特に分割ライニン
グデスクブレーキに関する。

【０００２】

【従来の技術】ドイツ公開公報 36 17 846 から、上記
の種類のブレーキシューが知られており、このブレーキ
シューでは、板状の中間層が中間層材料と熱活性可能な
接着剤からなる混合物からなり、この混合物にはガラス
繊維網が埋設されている。その中間層材料は、フェノー
ル樹脂、金属繊維および鉱物繊維、重晶石および水酸化
カルシュームおよびバーミキュル石のような充填剤、ポ
リアミドおよび場合によってはゴムからなる。中間層材
料は、溶媒を用いてニーダーでペーストに加工され、こ
のペーストはドクターブレードでガラス繊維網に塗布さ
れる。分離材料として、シリコン処理された紙が用いら
れる。そのように製造されたウエブが乾燥されて巻き上
げられる。そのウエブから中間層板が打ち抜かれて、溶
媒を担持板に添加することにより粘着される。それか
ら、そのように予め大量生産された担持板がプレスに挿
入されて、粉末状の摩擦材料でブレーキシューにプレス
される。

【０００３】しかしながら、このブレーキシューでは、
中間層が少なくとも２mmの厚さのため摩擦層の有効な厚
さを減少させ、従ってブレーキシューの寿命を減少させ
ることが不利である。中間層材料の高い繊維割分により
条件づけられるので、繊維の一部がその表面に自由に存
在していて、担持板の表面と直接接触状態にあることが
避けられない。中間層は絶対的な拡散密でないので、こ
の位置で水の侵入により腐食が惹起され得る。溶媒が厚
い層からゆっくり蒸発するので、製造の際にも不利益が
起こる。長い乾燥区間が高い圧力率のときに必要であ
り、かつ合成物は粘着性のままの状態が長いので、シリ
コン処理された紙または同様な分離媒体が必要である。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】本考案の課題は、この
不利益を有しないかまたは減少された範囲でのみ有する
中間層をもったブレーキシューを開発することである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】この課題は、本考案によ
り、１mmより少ない厚さの中間層が挿入物としてフリー
スから形成され、このフリースは合成物により完全に浸
潤されているブレーキシューにより解決される。特別な
形成は、請求項２から４までに相応して行われる。

【０００６】

【実施例】以下、本考案を分割ライニングデスクブレー
キのブレーキシューの実施例により図面を参照して詳細
に説明する。

【０００７】図１は、本考案によるブレーキシューの横
断面を示す。図２には担持板を、図３には板状の中間層
を、図４には中間層を有する予め大量生産された担持板
を示し、そして図５には完成したブレーキシューを斜視
図で示すが、その際外側の形状を変えることができる。
担持板の露出している側に、なお制動上張りを設けるこ
ともできる。

【０００８】中間層２を製造するために、ガラス繊維フ
ィラメントでブレーキシューの長手方向に補強された
０．１から０．６ｍｍまでの厚さのガラス繊維フリース
４がスクレーパーロールを有する浸漬槽を通って引っ張
られるが、この浸漬槽には、 ５ 〜１０重量％ ニトリルゴム １０ 〜３０重量％ フェノール樹脂 ５ 〜１５重量％ カーボンブラック １ 〜 ３重量％ 老化防止剤 １ 〜 ２重量％ 加硫剤および ４０ 〜７０重量％ メチルエチルケトン からなる混合物を有機溶媒として含む。そのとき、フリ
ースは完全に浸潤され、そして各繊維は混合物により覆
われる。引き続いて１２０℃までの温度で乾燥すると、
フリースの両側に、実質的に溶媒のない含浸合成物５か
らなる連続した被覆が形成される。このように処理され
たフリース４をまず巻いて中間貯蔵する。加工前、プレ
スされた状態の厚さが０．４から１ｍｍで薄いためおよ
び含浸合成物５中のゴム割分のため、フリースは充分に
可撓性があって折れない。また、そのフリースは案内ロ
ールや変向ロールに付着しない。

【０００９】予め強化されたウエブから、板状の中間層
２を打ち抜く。その外側の輪郭は摩擦層３の輪郭に対応
しており、かつ中間層２の孔６の形状および配置は担持
板１の孔の形状および配置と同じである。滴量の溶媒で
中間層２の一方の側の樹脂およびゴムの粘着力が活性化
されて、この側を担持板１に正確な位置に固定すること
ができる。溶媒は薄い中間層２を通って容易に拡散する
ので、そのように予め大量生産された担持板１を短い中
間貯蔵の後でもすでにさらさらした摩擦材料を有する形
にプレスすることができる。そのとき、中間層２は摩擦
層３および担持板１とはりついて硬化する。中間層２が
露出している繊維のない状態で到るところで担持板１と
はりつくので、周知のブレーキシューの場合よりもいっ
そう高い結合力が達成される。同時に、塗膜下腐食が避
けられるので、これは作動中も保たれる。

【００１０】含浸合成物の組成は、摩擦物質の安定化に
応じて変えることができる。従って、例えばフェノール
樹脂の代わりにエポキシ樹脂またはカーボンブラックの
代わりにバーミキュル石を使用することもできる。金属
繊維または金属粉末は犠牲陽極の意味の腐食防護として
必ずしも必要ではない。なぜなら、中間層は電気的絶縁
体として作用しかつ電解液が担持板に到達できないから
である。フィラメントの代わりに、フリースを補強する
ためにガラス繊維糸を使用することもできる。

【００１１】板状の中間層を打ち抜く際に残る浸潤され
たフリースの残りを危険なくごみ処理することができ
る。このために、くず物が粉砕せずに含浸合成物のため
の溶媒に溶解される。濾別されたガラス繊維は保管され
るかまたは繰り返し使用でき、溶解されたポリマーなら
びに堆積した充填物質は溶媒でその過程に導き戻すこと
ができる。例えばシリコン処理された紙のような他の廃
物は、ブレーキシューの製造のときに生じない。

【００１２】同様な仕方で、ドラムブレーキのためのブ
レーキシューを製造することができる。そのときしかし
ながら、摩擦材料は、担持体に粘着された中間層と共に
プレスされて硬化される前に、予めプレスされる。

【００１３】

【考案の効果】中間層が１mmより薄いため摩擦層の有効
厚さを充分取ることができ、かつ溶媒が薄い中間層を通
って容易に拡散するので、蒸発が比較的早く製造の際に
不利益が生じない。中間層が挿入物としてフリースで形
成され、このフリースが合成物により浸潤されるので、
フリースの両側に合成物からなる連続した被覆が形成さ
れ、中間層が露出している繊維のない状態で到る所で担
持板とはりつき、従って高い結合力が達成される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案によるブレーキシューの横断面を示す。

【図２】本考案のブレーキシューの担持板の斜視図であ
る。

【図３】本考案のブレーキシューの板状の中間層の斜視
図である。

【図４】本考案のブレーキシューの中間層を有する予め
大量生産された担持板の斜視図である。

【図５】完成したブレーキシューの斜視図である。

【符号の説明】

１ 担持板 ２ 中間層 ３ 摩擦層 ４ 挿入物 ５ 合成物

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 カールハインツ・ビルトネル ドイツ連邦共和国、ローデンバツハ１、 オーデンウアルトストラーセ、32 (72)考案者 クリスチアン・ハルト ドイツ連邦共和国、ケルステルバツハ、 ツイーゲルヒユツテンウエーク、８ (56)参考文献 特開 昭62−283231（ＪＰ，Ａ) 実公 昭40−12567（ＪＰ，Ｙ１)

Claims (4)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 少なくとも摩擦層、中間層および担持板
   からなり、その際板状の中間層は挿入物としてのガラス
   繊維と、熱硬化可能な合成物質、３５０℃までの温度に
   耐える耐熱性のゴム、充填剤からなる合成物とから製造
   されるブレーキシューにおいて、１ｍｍより少ない厚さ
   の中間層（２）は挿入物としてフリース（４）から形成
   され、このフリースは合成物（５）により浸潤されてい
   ることを特徴とするブレーキシュー。
2. 【請求項２】 フリース（４）が０．１から０．６ｍｍ
   までの厚さを有することを特徴とする請求項１のブレー
   キシュー。
3. 【請求項３】 フリース（４）はブレーキシューの長手
   方向においてガラス繊維フィラメントまたは合成物質繊
   維フィラメントまたはガラス繊維糸または合成物質繊維
   糸で補強されていることを特徴とする請求項１または２
   のブレーキシュー。
4. 【請求項４】 合成物（５）は、５〜２５重量％の熱硬
   化可能な樹脂、１〜１５重量％の、３５０℃までの温度
   に耐える耐熱性のゴム、２〜１５重量％の充填剤、０．
   ２〜１．５重量％の硫化媒体を含むことを特徴とする請
   求項１から３までのうちのいずれか一つのブレーキシュ
   ー。