JP2542786B2 - ディスク記録媒体の回転駆動機構 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、コイル及びマグネッ
ト部材等からなる駆動モ―タにより記憶媒体である磁気
ディスクを回転させるディスク記録媒体の回転駆動機構
に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、コイル及びマグネット部材等から
なる駆動モ―タによりディスク記憶媒体たる磁気ディス
クを回転させるディスク記録媒体の回転駆動機構として
は、第３図に示すような装置が知られている。

【０００３】第３図は縦断面図を示し、基台１１に固定
された固定軸１２には駆動モ―タの一部を構成するコイ
ル１３が取付けられ、固定軸１２のまわりにはベアリン
グ１４及び１５を介して、非磁性体のフランジ付円筒状
のハブ１６が固定軸１２に対して回転可能に軸支されて
いる。ハブ１６の外周部には複数枚のアルミニウムを基
材とする磁気ディスク１７がスペ―サ１８を介して互い
に平行かつ固定軸１２の軸線に対して直交するように取
付けられている。

【０００４】ハブ１６の内周面には強磁性体からなるヨ
―ク２０が嵌入固定され、ヨ―ク２０の内周面には永久
磁石からなるマグネット部材２１が嵌入固定されてい
る。ヨ―ク２０は駆動モ―タ内部に生じる磁束を遮断し
て外部への漏れを防止する役目を果たす。ハブ１６の下
部側にはカラ―部材１６ａが嵌入固定されている。

【０００５】上記構成になるディスク記録媒体の回転駆
動機構の作用を説明すると、図示していない磁気ヘッド
を例えばロ―タリ型のアクチュエ―タにより磁気ディス
ク１７上の所定位置に移動位置決めさせ、磁気ディスク
１７に対して情報の記録再生を行なうのであるが、まず
コイル１３に通電することにより、コイル１３から発す
る磁界と、マグネット部材２１から発する磁界との間に
生じる反発及び吸引力によりマグネット部材２１がコイ
ル１３のまわりに回転する。よってマグネット部材２１
に固定されたヨ―ク２０，ハブ１６及び磁気ディスク１
７も回転し、この磁気ディスク１７の回転と図示してい
ない磁気ヘッドの磁気ディスク１７の半径方向の移動、
位置決めとにより情報の記録又は再生が行なわれる。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
な従来のディスク記録媒体の回転駆動機構では、磁気デ
ィスク１７とハブ１６との熱膨脹率が異なると、温度の
変化によりハブ１６あるいは磁気ディスク１７に歪が発
生して記録再生動作に支障を来たす恐れがあるため、こ
れを防止する目的でハブ１６の材質を磁気ディスク１７
と同じ材質の非磁性体であるアルミニウム製とする必要
がある。ところが、ハブ１６の材質が非磁性体である
と、単にコイル１３及びマグネット部材２１によりモ―
タ駆動部を構成しただけでは、モ―タ駆動部から発生す
る磁束を通過させてしまうことになる。

【０００７】したがって、磁束の漏れを防ぎ磁気回路を
構成するためには、強磁性体からなるヨーク２０をマグ
ネット部材２１の外側に固定する必要があるが、このよ
うな構成は、部品点数が増加して構造の複雑化を招く。

【０００８】一方、近年では、上記のような回転駆動機
構が使用されている磁気ディスク装置を搭載可能な機
器、例えばパーソナルコンピュータやワードプロセッサ
においてはラップトップタイプなどのハンディタイプの
需要が高まっており、これら機器の小型軽量化が必要不
可欠なものとなっている。したがって上記回転駆動機構
についても機器本体の小型軽量化のために、部品点数の
削減あるいは構造の簡略化を図る必要がある。

【０００９】そこでこの発明は、ディスク記録媒体とこ
の記録媒体が取り付けらるハブとの間での熱膨脹歪みを
解消しつつ、構造の簡略化を図ることを目的としてい
る。

【００１０】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、この発明は、基台と、アルミニウム材料からなる複
数枚のディスク記録媒体と、前記基台に配置された軸
と、前記軸に同軸状に回転可能に配置され、外周部と内
周部を持ち、その外周部に前記ディスク記録媒体を搭載
するフランジ部を有し、その内周部に環状のマグネット
部材を有する円筒状のハブと、前記マグネット部材と対
向し、前記マグネット部材と所定の間隔を持って同軸状
に配置されたコイルと、前記コイルの発生する磁界と前
記マグネット部材の発生する磁界とによって前記ハブを
回転させるモータ駆動部とを有し、前記ハブは、前記デ
ィスク記録媒体とほぼ等しい熱膨脹率を有し、且つ、強
磁性体で構成されるものである。

【００１１】

【作用】ディスク記録媒体を固定するハブを強磁性体と
してその内側にマグネット部材およびコイルを配置する
ようにしたので、ハブがモ―タ駆動部から発生する磁束
の漏れを防止するヨ―クの代わりとなってヨ―クが不要
となり、その分部品点数が減少して構造が簡略化され
る。また、ハブはディスク記録媒体とほぼ同じ熱膨脹率
をもつ材質で構成したので、温度変化によるディスク記
録媒体あるいはハブの歪が抑制される。

【００１２】

【実施例】以下この発明の一実施例をその縦断面図であ
る第１図に基づいて説明する。

【００１３】基台１に固定された固定軸２にはコイル３
が取付けられ、また固定軸２にはベアリング４及び５を
介してフランジ付円筒状のハブ６が回転可能に軸支され
ている。ハブ６の外周部には複数枚のディスク記録媒体
としての磁気ディスク７がそれぞれスペ―サ８を介して
互いに平行かつ固定軸２の中心軸線に対して直交するよ
うに取付けられている。

【００１４】ハブ６は強磁性体であり、かつ磁気ディス
ク７の熱膨脹率とほぼ同じ熱膨脹率を有する材質で形成
される。

【００１５】ハブ６の内周面には永久磁石からなるマグ
ネット部材１０がコイル３と対向するように装着され
る。なお、６ａは組立の都合上設けられた、ハブ６に嵌
入固定されたカラ―部材で、ハブ６と一体的に回転する
ものである。

【００１６】上記構成になる本実施例の作用を説明す
る。

【００１７】コイル３に通電すると、コイル３から発す
る磁界とマグネット部材１０から発する磁界との間に生
じる反発及び吸引力により、マグネット部材１０は回転
し、マグネット部材１０に固定されたハブ６及び磁気デ
ィスク７も回転して磁気ディスク７の回転と図示してい
ない磁気ヘッドの磁気ディスク７の半径方向への移動、
位置決めとにより情報の記録又は再生が行なわれる。

【００１８】その際、ハブ６は強磁性体で形成されてい
るため、これがヨ―クの代わりとなってモ―タ駆動部か
ら発生する磁束を遮断して外部に漏らすことがない。磁
束の漏れを抑制する専用のヨ―クを設ける必要がないの
で、部品点数が減少して構造が簡略し、組立工数等の節
減及び小型軽量化が達成される。したがって、このよう
な回転駆動機構をラップトップタイプなどハンディタイ
プのパ―ソナルコンピュ―タやワ―ドプロセッサなどの
機器に搭載することで、機器本体の小型軽量化に寄与で
きる。

【００１９】また、ハブ６が磁気ディスク７の熱膨脹率
とほぼ等しい熱膨脹率を有する材質で形成されているた
め、温度変化があっても磁気ディスク７とハブ６との間
の熱膨脹差はほとんどなく、両者の歪の発生は防止さ
れ、したがって記録再生動作に支障を来たすことがなく
なる。

【００２０】次に本発明の他の実施例をその縦断面図で
ある第２図に基づいて説明する。

【００２１】この実施例は、回転軸２がハブ６に固定さ
れて両者が一体的に回転するタイプの磁気ディスク装置
にこの発明を適用した場合を示している。固定軸２は、
基台１の中心部に形成された円筒部１ａ内に挿入され、
この円筒部１ａとの間に設けられたベアリング４，５に
よってハブ６とともに回転可能となっている。そして、
円筒部１ａの周囲にコイル３が取付けられる一方、ハブ
６の内周面にはマグネット部材１０が装着されている。
ハブ６は、第１図の実施例と同様強磁性体であり、かつ
磁気ディスク７の熱膨脹率とほぼ同じ熱膨脹率を有する
材質で形成されている。その他の構成は第１図の実施例
と同様なので、同一部材には同一符号を付し、詳細説明
は省略する。

【００２２】この実施例においても、第１図の実施例と
同様に、ハブ６が磁束の漏れを抑制するヨ―クの役目を
果たすので、専用のヨ―クを設ける必要がなく、その分
部品点数が減少して構造が簡略化し、組立工数等の節減
及び小型軽量化が達成される。

【００２３】また、強磁性体のハブ６がアルミニウムを
基材とする磁気ディスク７の熱膨脹率とほぼ同じ熱膨脹
率を有する材質で形成されているため、温度変化があっ
ても磁気ディスク７とハブ６との間の熱膨脹誤差はほと
んどなく両者の歪の発生は防止され、したがって記録再
生動作に支障を来たすことがなくなる。

【００２４】

【発明の効果】以上述べてきたように、本発明によれば
その構成を、ディスク記録媒体を固定したハブの内径部
側にマグネット部材を固定し、このマグネット部材の内
周面側に軸心部側に固設したコイルを配置し、このコイ
ルから発する磁界と前記マグネット部材から発する磁界
との間に生じる反発及び吸引力により前記マグネット部
材を前記コイルのまわりに回転させて前記マグネット部
材に固定されたハブ及びディスク記録媒体を回転させる
ようにしたディスク記録媒体の回転駆動機構であって、
前記ハブを前記ディスク記録媒体と熱膨脹率がほぼ等し
い強磁性体で構成したことを特徴とするものであるか
ら、ハブが磁束の漏れを防止する役目を果たし専用のヨ
―クを設ける必要がなくなり、その分部品点数が減少し
て構造が簡略化し、組立工数等の節減及び小型軽量化に
寄与でき、また温度変化があってもハブあるいはディス
ク記録媒体の歪の発生を抑制することができるという効
果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例の縦断面図である。

【図２】本発明の他の実施例の縦断面図である。

【図３】従来の磁気ディスク装置の一例の縦断面図であ
る。

【符号の説明】

３…コイル ６…ハブ ７…磁気ディスク １０…マグネット部材

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 基台と、アルミニウム材料からなる複数
   枚のディスク記録媒体と、前記基台に配置された軸と、
   前記軸に同軸状に回転可能に配置され、外周部と内周部
   を持ち、その外周部に前記ディスク記録媒体を搭載する
   フランジ部を有し、その内周部に環状のマグネット部材
   を有する円筒状のハブと、前記マグネット部材と対向
   し、前記マグネット部材と所定の間隔を持って同軸状に
   配置されたコイルと、前記コイルの発生する磁界と前記
   マグネット部材の発生する磁界とによって前記ハブを回
   転させるモータ駆動部とを有し、前記ハブは、前記ディ
   スク記録媒体とほぼ等しい熱膨脹率を有し、且つ、強磁
   性体で構成されることを特徴とするディスク記録媒体の
   回転駆動機構。