JP2981357B2 - ディスク形記憶媒体の駆動装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、ディスク形記憶媒体
の駆動装置に係わり、とくに磁気ディスク記憶装置のデ
ィスク形磁気記憶媒体の回転をおこなうのに好適な駆動
装置に関している。

【０００２】

【従来の技術】たとえば磁気ディスク記憶装置におい
て、記憶媒体としてのディスクを回転させる駆動装置
は、一般に、シャフトと、ディスク形記憶媒体を支持す
るフランジをもつハブ、ハブフランジ付近に位置してシ
ャフトおよびハブの間に配置され、ハブをシャフトに回
転可能に取り付けさせるベアリング、それに、ハブに固
定され、ディスク形記憶媒体をハブフランジに圧着する
クランプとからなっていて、ハブにディスクをはめ、デ
ィスクの上からクランプをハブにはめ、クランプによっ
てディスクをハブにむかって加圧することによって、デ
ィスクをハブに固定している。

【０００３】図３はこのようなディスク駆動装置の具体
的構造の一例を示している。この駆動装置は、シャフト
ａ、ハブｂおよびクランプｃを具備している。ハブｂは
一端にフランジｄをもち、シャフトａに取り付けられた
ベアリングｅ，ｆに保持されている。磁気記憶媒体とし
てのディスクｇ〜ｉは、スペーサｊ，ｋと交互にハブｂ
にはめられ、ハブフランジｄによって支持されている。
クランプｃはハブｂにボルトなどによって固定され、外
周にある突出によってディスクｇ〜ｉおよびスペーサ
ｊ，ｋを積層方向に加圧し、シャフトａ、ハブｂおよび
クランプｃと一体になって回転するようにさせている。
回転は、シャフトａとハブｂとの間の空間に配置され、
シャフトａに固定されたステータコイルｍおよびハブｂ
に固定されたロータマグネットｎによってなされてい
る。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ディスク形記憶媒体を
使用する記憶装置は小形化を求められ、とくに磁気ディ
スク記憶装置は小型化のみならず、記憶容量の増大もつ
よく要求され、これにともない駆動装置の構成部材を薄
くすると共に、ヘッドを支持するスライダとディスクと
の間隔あるいは浮上量を小さくして、ディスクにおける
記録密度をたかめるだけでなく、記録の分解能も上げる
ことが必要になっている。

【０００５】図３に関連して説明した磁気ディスク記憶
装置のディスク駆動装置において、薄形化はハブｂにお
けるフランジｄの厚みを薄くすることによってなされる
が、ハブフランジｄの厚みを小さくすると、クランプｃ
の加圧力がたとえ一様であっても、図４に示すようにク
ランプｃからの荷重Ｆがハブフランジｄにかかり、ハブ
フランジｄの付け根が変形し、ラジアル荷重およびスラ
スト荷重がハブｂとベアリングｅとの連結部分ｐをとお
してベアリングｅの外輪にかかり、ベアリングｅにおけ
る内外輪の間のラジアルすき間の変化やベアリングｅの
外輪の変形が生じ、ハブｂが振動したり、ハブｂが振れ
ながら回転し、ディスクｇ〜ｉを高い精度でもって回転
させることができなくなるため、ヘッドの浮上量を小さ
くすることができず、小型化をおこなえても、記憶容量
の増大をおこなえない。

【０００６】本発明の目的は、小型化にともなう、ディ
スク形記憶媒体の回転精度の低下を防止することにあ
り、このために改良されたディスク形記憶媒体の駆動装
置を提供しようとするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明は、シャフトと、ディスク形記憶媒体を支
持するフランジを持つハブと、前記フランジ付近に位置
して前記シャフトおよび前記ハブの間に配置され、前記
ハブを前記シャフトに回転可能に取り付けさせるベアリ
ングと、前記ハブに固定され、前記ディスク形記憶媒体
を前記ハブの前記フランジに圧着するクランプとを含ん
でいるディスク形記憶媒体の駆動装置において、前記ハ
ブの前記フランジ近辺と前記ベアリングとを結合する結
合部が、前記ベアリングの外輪の上端から前記ハブに向
かって延びている基部と、該基部の端に形成された段と
を有し、前記段がフランジにおける前記ディスク形記憶
媒体との接触面よりも高い位置に置いて前記ハブと結合
する構造であることを第１の特徴とする。更に本発明
は、シャフトと、前記シャフトにはめられ、一端にフラ
ンジを持つハブと、前記ハブの前記フランジ付近に位置
して前記シャフトおよび前記ハブの間に配置され且つ前
記ハブに結合された第一のベアリングと、前記ハブの前
記フランジに対して反対側に位置して前記シャフトおよ
び前記ハブの間に配置され両者に結合された第二のベア
リングと、前記フランジとの間にスペースを形成して前
記ハブに固定されるクランプと、前記フランジと前記ク
ランプとの間に交互に配置され、前記クランプと前記フ
ランジとによって挟持される複数のディスク形記憶媒体
およびスペーサと、前記シャフトと前記ハブとの間の空
間に配置され、前記シャフトに固定されたステータスコ
イルおよび前記ハブに固定されたロータマグネットとを
含んでいるディスク形記憶媒体の駆動装置において、前
記ハブの前記フランジ近傍と前記第一のベアリングとを
結合する結合部が、前記第一のベアリングの外輪の上端
から前記ハブに向かって延びている基部と、該基部の端
に形成された段とを有し、前記段がフランジにおける前
記ディスク形記憶媒体との接触面よりも高い位置に置い
て前記ハブと結合する構造であることを第２の特徴と
し、更に第２の特徴の駆動装置において、前記第一のベ
アリングの外輪と前記ハブとの結合部が、前記外輪及び
前記ハブとは別の部材であることを第３の特徴とする。

【０００８】

【作用】ディスク形記憶媒体の装着は、ディスク形記憶
媒体をハブにはめ、クランプをハブに固定することによ
ってなされる。クランプが取り付けられると、ディスク
形記憶媒体がクランプおよびフランジによって抜け出し
を阻止されると共に、クランプによってハブフランジに
圧着される。このときに、ハブフランジがクランプの加
圧力によって変形しても、ハブとベアリングとの結合が
ハブフランジよりも高い位置においてなされている、つ
まりハブにおける変形のない部分あるいは少ない部分に
おいてハブとベアリングとの結合がなされているため、
この結合部分をとおしてベアリングにかかるスラスト荷
重およびラジアル荷重が低減され、ベアリングにおける
内輪と外輪との間のラジアルすき間の変化やベアリング
外輪の変形が発生しないので、ハブフランジの厚みを小
さくしても、ディスクが振動したり、振れながら回転し
たりしない。

【０００９】

【実施例】本発明によるディスク形記憶媒体の駆動装置
の実施例は、以下に、図１および図２を参照して説明す
る。

【００１０】このディスク形記憶媒体の駆動装置は、磁
気ディスク記憶装置における記憶媒体としてのディスク
を支持しかつ回転させるスピンドルモータである。

【００１１】このスピンドルモータは、インハブタイプ
のもので、図１に示すように、磁気記憶媒体としてのデ
ィスク１０〜１３、ディスクを保持するハブ１４、ディ
スクをハブに固定するクランプ１５およびハブを保持す
るシャフト１６を具備している。

【００１２】ハブ１４はハブボデイ１７とフランジ１８
とを具備している。ハブボデイ１７は一端が開放された
中空円筒の形態をもっている。ハブフランジ１８は、ハ
ブボデイ１７の開口端のまわり配置されている共に、ハ
ブボデイ１７に一体に形成されている。このハブ１４は
ハブボデイ１７をベアリング１９，２０を介在してシャ
フト１６に取り付けられている。

【００１３】さらに、ハブボデイ１７の内部空間には、
モータを構成するロータ２１およびステータ２２が組み
込まれている。ロータ２１は永久磁石からなっていて、
ハブボデイ１７の内部空間に配置されかつハブボデイ１
７に固定されている。ステータ２２はモータコイルをも
ち、ロータ２１に対面して配置されていると共に、シャ
フト１６に固定されている。ハブ１４は、コイル２２に
電流を流すことによって、ロータ２１と一緒にベアリン
グ１９，２０の上で回転することができる。

【００１４】また、ハブ１４の下部にはブラケット２３
が配置され、ハブ１４の上部にはロータハブ１４ａが配
置されている。ブラケット２３は、シャフト１６と一体
に形成されていて、ベアリング１９の外輪との間にすき
間に磁性流体を組み込まれている。ロータハブ１４ａ
は、シャフト１６を貫通させてベアリング１９およびハ
ブボデイ１７にかん合かつ固定され、そしてシャフト１
６との間にあるすき間に磁性流体を組み込まれている。
ベアリング１９，２０、ロータ２１およびステータ２２
はこれらの磁性流体によってシールされている。

【００１５】ディスク１０〜１３はスペーサ２４〜２６
といっしょにハブ１４に組み込まれている。これらのデ
ィスク１０〜１３のうち、ディスク１０はハブフランジ
１８に直接接触して、ディスク１１はディスク１０との
間にスペーサ２４を、ディスク１２はディスク１１との
間にスペーサ２５を、ディスク１３はディスク１２との
間にスペーサ２６をそれぞれ介在してハブボデイ１７に
はめられている。

【００１６】クランプ１５は、周辺に突出２７をもつも
ので、ロータハブ１４ａにはめられていると共に、ボル
ト２８によってハブボデイ１７に固定され、ディスク１
０〜１３およびスペーサ２４〜２６からなる積層物の抜
け出しを阻止すると共に、この積層物をハブフランジ１
８にむかって圧着している。

【００１７】このディスク形磁気記憶媒体の駆動装置に
おいて、ベアリング１９，２０はたとえば公知のアンギ
ュラコンタクト軸受からなっていて、それぞれ内輪をシ
ャフト１６にかん合かつ固定されている。ベアリング１
９は回転中心軸と直交方向に延びる結合部３０を外輪に
一体に形成され、ハブ１４はハブボデイ１７をベアリン
グ１９の外輪およびベアリング１８の結合部３０にかん
合されている。が、結合部３０は全体あるいは一部がハ
ブフランジ１８よりも高い位置になるようにベアリング
１９の外輪に設けられている。たとえば、図に示すよう
に、結合部３０は、外輪の上端からハブ１４にむかって
延びている基部および基部端に形成された段３１からな
り、段３１がハブフランジ１８におけるディスク１０と
の接触面よりも高い位置になるように構成されている。

【００１８】このディスク形磁気記憶媒体の駆動装置に
おいて、ディスク１０〜１３の装着は、ディスク１０〜
１３とスペーサ２４〜２６とを交互にハブボデイ１７に
挿入し、これらの積層物にクランプ１５をかぶせ、クラ
ンプ１５をロータハブ１４ａにボルト結合することによ
ってなされる。が、ベアリング１９の外輪は前述のよう
に結合部３０によってハブフランジ１８よりも上部にお
いてハブ１４に結合されている、つまりハブ１４におけ
るより変形の少ない部分においてハブ１４に結合されて
いるため、ハブボデイ１７の下端あるいはハブボデイ１
７に対するハブフランジ１８の付け根が変形しても、ベ
アリング１９が結合部３０をとおしてこの変形の影響を
うけない。このため、ハブフランジ１８の厚みを薄くし
ても、ベアリング１９にスラスト荷重、ラジアル荷重が
増大せず、ベアリング１９の内外輪のラジアルすき間が
初期値を維持し、しかも、ベアリング１９の外輪が変形
せず、ハブ１４が振動したり、振れながら回転しないた
め、ディスク１０〜１３の回転精度が低下しない。な
お、ハブ１４におけるハブボデイ１７に対するフランジ
１８の付け根部分には応力の集中があるので、ベアリン
グ１９とハブ１４との結合部３０はできるだけ上部に配
置されることが好ましい。

【００１９】このスピンドルモータは、たとえば図２に
示すようにして磁気ディスク記憶装置を構成させられ
る。

【００２０】ハウジング４０はボルトなどによって締結
されふたつの部分からなっている。本発明によるスピン
ドルモータは参照符号４１によって示され、ディスク１
０〜１３およびスペーサ２４〜２６と一緒にハウジング
４０の内部空間に収容されかつハウジングに固定されて
いる。ヘッドアッセンブリがディスク１０〜１３の間に
配置されている。各々のヘッドアッセンブリにおけるヘ
ッドはスライダ４２に固定され、スライダ４２はガイド
アーム４３にジンバルを介在して取り付けられている。
ガイドアーム４３は位置決め機構に支持されている。位
置決め機構はキャリッジおよびリニアアクチュエータを
具備している。キャリッジ４４はこれにあるローラ４５
がハウジング４０に固定されたレール４６の上を転動す
ることによって、ヘッドをもつスライダ４２をディスク
１０〜１３の半径方向に移動させるようにさせられてい
る。リニアアクチュエータを構成しているコイル４７は
キャリッジ４４に、マグネット４８はハウジング４０に
それぞれ取り付けられ、コイル４７とマグネット４８と
の電磁気作用によって、キャリッジ４４に前記直線移動
をなさせている。

【００２１】この磁気ディスク記憶装置において、スピ
ンドルモータ４１は前述のようにディスク１０〜１３を
支持しているハブ１４にあるフランジ１８の厚みを薄く
しても、ベアリング１９の内外輪のラジアルすき間の変
化やベアリング１９の外輪の変形に基づくディスク１０
〜１３の回転精度の低下などを生じないので、スライダ
４２の浮上量を小さくして、各々のディスク１０〜１３
の密度記録をたかめることができる。そして、ハブフラ
ンジ１８の厚みおよびディスク１０〜１３間隔の減少
は、装置厚みＨも小さくさせることができるため、ディ
スク１０〜１３の記録密度の高いことと相俟って、コン
パクトかつ大きな記憶容量をもつ磁気ディスク記憶装置
とさせることができる。

【００２２】

【発明の効果】本発明によれば、ハブを薄くしても、ベ
アリング内外輪の間のラジアルすき間の変化やベアリン
グ外輪の変形などに基づく、ディスク形記憶媒体の回転
精度の低下がないため、ディスク形記憶媒体に対する書
き込みあるいは読み出しもしくはこれらの双方を高い精
度でおこなえ、しかもコンパクトなディスク形記憶媒体
の駆動装置を得られ、きびしい要求がなされている磁気
ディスク記憶装置において小形化および記憶容量の増大
を達成することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のディスク形記憶媒体の駆動装置の一実
施例を示す断面図である。

【図２】図１の駆動装置が組み込まれる磁気ディスク記
憶装置の断面図である。

【図３】従来のディスク形記憶媒体の駆動装置の一例を
示す断面図である。

【図４】ハブの変形状態を示す説明図である。

【符号の説明】

１０〜１３…ディスク形記憶媒体、１４…ハブ、１５…
クランプ、１６…シャフト、１８…ハブフランジ、１
９，２０…ベアリング、３０…ハブとベアリングとの結
合部。

フロントページの続き (72)発明者 伊藤 厚 神奈川県小田原市国府津2880番地 株式 会社 日立製作所 ストレージシステム 事業部内 (56)参考文献 実開 平３−49662（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) G11B 19/20

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】シャフトと、 ディスク形記憶媒体を支持するフランジを持つハブと、 前記フランジ付近に位置して前記シャフトおよび前記ハ
   ブの間に配置され、前記ハブを前記シャフトに回転可能
   に取り付けさせるベアリングと、 前記ハブに固定され、前記ディスク形記憶媒体を前記ハ
   ブの前記フランジに圧着するクランプとを含んでいるデ
   ィスク形記憶媒体の駆動装置において、 前記ハブの前記フランジ近辺と前記ベアリングとを結合
   する結合部が、前記ベアリングの外輪の上端から前記ハ
   ブに向かって延びている基部と、該基部の端に形成され
   た段とを有し、前記段がフランジにおける前記ディスク
   形記憶媒体との接触面よりも高い位置において前記ハブ
   と結合する構造であることを特徴とするディスク形記憶
   媒体の駆動装置。
2. 【請求項２】シャフトと、 前記シャフトにはめられ、一端にフランジを持つハブ
   と、 前記ハブの前記フランジ付近に位置して前記シャフトお
   よび前記ハブの間に配置され且つ前記ハブに結合された
   第一のベアリングと、 前記ハブの前記フランジに対して反対側に位置して前記
   シャフトおよび前記ハブの間に配置され両者に結合され
   た第二のベアリングと、 前記フランジとの間にスペースを形成して前記ハブに固
   定されるクランプと、 前記フランジと前記クランプとの間に交互に配置され、
   前記クランプと前記フランジとによって挟持される複数
   のディスク形記憶媒体およびスペーサと、 前記シャフトと前記ハブとの間の空間に配置され、前記
   シャフトに固定されたステータスコイルおよび前記ハブ
   に固定されたロータマグネットとを含んでいるディスク
   形記憶媒体の駆動装置において、 前記ハブの前記フランジ近傍と前記第一のベアリングと
   を結合する結合部が、前記第一のベアリングの外輪の上
   端から前記ハブに向かって延びている基部と、該基部の
   端に形成された段とを有し、前記段がフランジにおける
   前記ディスク形 記憶媒体との接触面よりも高い位置にお
   いて前記ハブと結合する構造であることを特徴とするデ
   ィスク形記憶媒体の駆動装置。
3. 【請求項３】前記第一のベアリングの外輪と前記ハブと
   の結合部が、前記外輪及び前記ハブとは別の部材である
   ことを特徴とする請求項２記載のディスク形記憶媒体の
   駆動装置。