JP2542523Y2 - ケーブル吊留支持部 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案はケーブル吊留支持部に関
する。

【０００２】

【従来の技術】垂直方向に電カケーブルを布設する場
合、ケーブルに沿って引上用のワイヤネットをクランプ
固定し、ケーブルを引き上げ、終端部を懸垂碍子に固定
後クランブを外す方法が行なわれている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
ような構造では、碍子を取り付けた吊下部で高圧充電部
が露出して危険であり、また構造が複雑なので充分な吊
下強度を保持するためには、頻雑な工程を慎重に行わな
ければならない。

【０００４】そこで、本考案では、充分な吊下強度を容
易に保ちながら、引上げ布設作業が簡単で、電気的にも
安全性に優れたケーブル吊留支持部を提供することを目
的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本考案に係るケーブル吊留支持部は、垂直方向に
布設される電カケーブルに接続される金属導体を備えた
ケーブル吊留支持部であって、上記金属導体を、鉛直方
向軸部と該鉛直方向軸部の上端から該鉛直方向軸部に関
して対称位置に突設される一対の突出部とからなる略Ｔ
の字形乃至略Ｙの字形とすると共に、該金属導体の垂直
方向軸部に、上記電力ケーブルの導体に圧着される金属
端子のねじ部が螺合されて該電力ケーブルの導体が吊下
げられるねじ孔を設け、かつ、上記金属導体を、略Ｔの
字形乃至略Ｙの字形の絶縁部材にて被覆すると共に、該
絶縁部材にて被覆された金属導体の両突出部を、該突出
部を包囲状とする筒部を有する着脱自在の一対の半割体
からなる吊下金具にて吊持したものである。

【０００６】

【作用】吊下金具にて、絶縁部材にて被覆された金属導
体の両突出部を吊持しているので、電力ケーブルの自重
等を該突出部にて分担して受けることになる。

【０００７】また、金属導体は、絶縁部材にて被覆され
外部に露出せず、電気的に安全性に優れる。さらに、金
属導体の鉛直方向軸部のねじ孔に、電力ケーブルの導体
に圧着された金属端子のねじ部が螺合されるので、（電
力ケーブルの導体に接続された）金属端子を金属導体か
ら取外すことができる。

【０００８】

【実施例】以下、実施例を示す図面に基づいて本考案を
詳説する。

【０００９】図１は本考案に係るケーブル吊留支持部を
示し、垂直方向に布設される電力ケーブル１を吊留する
ものであって、略Ｔの字形の銅等からなる金属導体２を
備えている。この電力ケーブル１は、例えば、導体公称
断面積が８〜１０００ｍｍ^２の６．６ｋＶＣＶケーブル
が使用される。

【００１０】しかして、金属導体２は、垂直方向軸部２
ａと、該垂直方向軸部２ａの上端から該垂直方向軸部２
ａに関して対称位置に突設される一対の突出部５ａ，５
ｂと、からなる。即ち、金属導体２は、垂直方向軸部２
ａと水平方向軸部２ｂとからなる略Ｔの字形とされ、垂
直方向軸部２ａには接続用孔３が設けられている。そし
て、金属導体２はエポキシ樹脂等の樹脂からなる略Ｔ字
形の絶縁部材４にて被覆されている。つまり、金属導体
２の突出部５ａと絶縁部材４の突出部６ａとが対応し、
金属導体２の突出部５ｂと絶縁部材４の突出部６ｂとが
対応する。

【００１１】また、接続用孔３にはねじ孔７が連設さ
れ、このねじ孔７に金属端子８のねじ部９が螺合してい
る。ここで、金属端子８とは、電力ケーブル１の導体１
０上端部１０ａに圧着される圧着部８ａと、該圧着部８
ａから立設される突出部８ｂと、からなり、該突出部８
ｂに上述のねじ部９が形成されている。

【００１２】従って、電力ケーブル１は、その導体１０
上端部１０ａが金属導体２の下端部に接続され、該金属
導体２に吊下げられる。

【００１３】そして、接続された状態では、その接続部
は絶縁筒１１により包囲されている。即ち、絶縁箇１１
は、内部半導電層１１ａ、絶縁層１１ｂ、外部半導電層
１１ｃが設けられたプレモールド型とされている。ま
た、この絶縁筒１１はクランプ１２によって固定されて
いる。なお、絶縁箇１１の下端部には、ケーブル１の遮
蔽層に接続するように導電性テープ１３が巻設され、接
地線１４が引き出されている。また、導電性テープ１３
は熱収縮性テープ３１にて被覆されている。

【００１４】しかして、絶縁部材４にて被覆された金属
導体２は吊下金具１５にて吊持される。即ち、吊下金具
１５は、図２に示すように一対の半割体１５ａ，１５ｂ
からなり、各半割体１５ａ，１５ｂは、断面半円形状の
弯曲部１６ａ，１６ｂと、該弯曲部１６ａ，１６ｂから
上方へ突設される上鍔部１７ａ，１７ｂと、該弯曲部１
６ａ，１６ｂから下方へ突設される下鍔部１８ａ，１８
ｂと、からなる。従って、上鍔部１７ａと上鍔部１７ｂ
とを当接させると共に、下鍔部１８ａと下鍔部１８ｂと
を当接させて、ボルトとナットからなる連結具１９…に
て連結すれば、半割体１５ａ，１５ｂが連結されて、弯
曲部１６ａ，１６ｂにて絶縁部材４にて被覆された突出
部５ａ，５ｂを包囲状とする筒部、つまり円筒部２２が
形成される。

【００１５】また、図１に示すように、弯曲部１６ａ，
１６ｂの下端中央部乃至下鍔部１８ａ，１８ｂの中央部
には切欠き２０，２０が形成される。つまり、半割体１
５ａ，１５ｂが連結された際に、この切欠２０，２０に
て挿通孔２１が形成され、この挿通孔２１に絶縁部材４
の垂直部４ａが挿通される。

【００１６】即ち、半割体１５ａ，１５ｂの弯曲部１６
ａ，１６ｂに絶縁部材４の水平部４ｂを嵌合させると共
に、切欠き２０，２０に絶縁部材４の垂直部４ａを嵌合
させ、その状態で連結具１９…を介して、半割体１５
ａ，１５ｂを連結すれば、この吊下金具１５に、絶縁部
材４にて被覆された金属導体２が取付けられる。

【００１７】この場合、絶縁部材４の外周面と吊下金具
１５の内筒部２２の内周面との間にゴムシート等の緩衝
材２３が介装される。勿論、この緩衝材２３には挿通孔
２４が設けられ、この挿通孔２４乃至吊下金具１５の挿
通孔２１に絶縁部材４の垂直部４ａが挿通される。

【００１８】また、上鍔部１７ａ，１７ｂには、本吊り
用孔２５と仮吊り用孔２６とが貫設されている。即ち、
本吊り用孔２５は、電力ケーブル１の軸心の延長線上に
設けられ、仮吊り用孔２６は、該延長線とはずれた位置
に設けられている。３０は連結具１９のための貫通孔で
ある。

【００１９】従って、吊下金具１５を吊り下げた場合、
絶縁部材４の突出部６ａ，６ｂにて被覆されている金属
導体２の突出部５ａ，５ｂが、吊下金具１５にて支持さ
れることになる。つまり、金属導体２は、Ａ部とＢ部と
で分担支持されることになる。

【００２０】しかして、上述の如く構成されるケーブル
吊留支持部は、予め、電力ケーブル１の先端に、金属端
子８、絶縁箇１１、導電性テープ１３、接地線１４、及
び熱収縮性テープ３１を取付け、金属導体２のねじ孔７
に金属端子８を螺着して該金属導体２と電力ケーブル１
とを接続すると共に、クランプ１２により絶縁筒１１を
固定するものである。なお、この場合、図１に示す状態
まで工場において加工するのが好ましい。

【００２１】従って、吊下金具１５を引上げれば、ケー
ブル吊留部を施工することができ、布設作業は大幅に簡
単化できる。また、構造が単純でエポキシ樹脂等による
絶縁部材４も頑丈であり、吊下強度も保持し易く、高圧
充電部の露出がなく電気的にも安全である。

【００２２】また、引上げる際には、仮吊り用孔２６を
使用して行なうことができ、所定位置に引上げたとき
に、本吊り用孔２５による本吊りを行なうことができ、
その作業は極めて行ないやすい。

【００２３】次に、図３は他の実施例の要部断面図を示
し、この場合、金属導体２を略Ｙの字形としている。即
ち、金属導体２は垂直方向軸部２７と該垂直方向軸部２
７の上端から傾斜状に突設される突出部２８ａ，２８ｂ
とからなる。

【００２４】また、図４は別の実施例の要部断面図を示
し、この場合、金属導体２を略Ｙの字状とすると共に、
絶縁部材４も略Ｙの字状としている。

【００２５】即ち、図３と図４に示す実施例において
も、絶縁部材４の突出部６ａ，６ｂにて被覆されている
金属導体２の突出部２８ａ，２８ｂが、吊下金具１５に
て支持されることになる。なお、図４に示す絶縁部材４
の場合、吊下金具１５を該絶縁部材４に対応する形状と
する必要がある。

【００２６】なお、本考案は上述の実施例に限定され
ず、本考案の要旨を逸脱しない範囲で設計変更自由であ
り、例えば、金属導体２の垂直方向軸部２ａ及び水平方
向軸部２ｂの長さ寸法を自由に変更することができ、ま
た、該軸部２ａ，２ｂの断面形状としては実施例では円
形としているが、勿論、楕円形としたり、多角形状とし
たりすることができる。さらに、図３と図４に示す金属
導体２の場合、突出部２８ａ，２８ｂの傾斜角度として
も自由に変更することができる。

【００２７】

【考案の効果】本考案は上述の如く構成されているの
で、次に記載する効果を奏する。

【００２８】 絶縁部材４にて被覆された突出部５
ａ，５ｂ（又は２８ａ，２８ｂ）を包囲状とする箇部を
有する吊下金具１５にて、電力ケーブル１の自重等を突
出部５ａ，５ｂ（又は２８ａ，２８ｂ）にて分担して受
けることができるので、安定した状態で電力ケーブル１
等を吊下げることができ、しかも、強度的にも優れたも
のとなり、極めて耐久性に優れたものとなる。

【００２９】 金属導体２は絶縁部材４にて被覆され
ているので、外部に露出することがなく、電気的にも安
全性に優れたものとなり、しかも、一対の半割体１５
ａ，１５ｂを組み合わせて形成される箇部にて、絶縁部
材４で被覆された金属導体２の突出部５ａ，５ｂを包囲
状として該半割体１５ａ，１５ｂを連結すればよいの
で、引上げ布設作業も容易に行なうことができる。

【００３０】 吊下金具１５は着脱自在であるので、
ケーブル吊上げ作業時等において該吊下金具１５が損傷
等しても頗る簡単に新しい吊下金具１５に取替えること
ができ、作業性に優れる。

【００３１】 電力ケーブル１の金属端子８を金属導
体２から取外すことができるので、種類の相違する電力
ケーブル１に簡単に取替えることができ、即ち、複数サ
イズの電力ケーブル１に対応することができ、コストの
低廉化が図れると共に、保守管理も行ない易い。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示す断面図である。

【図２】吊下金具の側面図である。

【図３】他の実施例の要部断面図である。

【図４】別の実施例の要部断面図である。

【符号の説明】

１ 電力ケーブル ２ 金属導体 ２ａ 垂直方向軸部 ４ 絶縁部材 ６ａ 突出部 ６ｂ 突出部 10 導体 10ａ 上端部 15 吊下金具

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 垂直方向に布設される電力ケーブルに接
   続される金属導体を備えたケーブル吊留支持部であっ
   て、上記金属導体を、鉛直方向軸部と該鉛直方向軸部の
   上端から該鉛直方向軸部に関して対称位置に突設される
   一対の突出部とからなる略Ｔの字形乃至略Ｙの字形とす
   ると共に、該金属導体の垂直方向軸部に、上記電力ケー
   ブルの導体に圧着された金属端子のねじ部が螺合されて
   該電力ケーブルの導体が吊下げられるねじ孔を設け、か
   つ、上記金属導体を、略Ｔの字形乃至略Ｙの字形の絶縁
   部材にて被覆すると共に、該絶縁部材にて被覆された金
   属導体の両突出部を、該突出部を包囲状とする筒部を有
   する着脱自在の一対の半割体からなる吊下金具にて吊持
   したことを特徴とするケーブル吊留支持部。