JP2540451Y2 - 取付金具付き窓枠 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この考案は窓枠の取付金具付き窓枠、更に詳しくは主
として、一般家屋において設置される窓枠を、建築躯体
とのクリアランスを調整しながら、その抜脱を防止して
迅速に取り付けられるようにした取付金具付き窓枠に関
する。

［従来の技術］ 従来から、家屋の開口部、例えばその窓に付設された
サッシ枠における室内側周囲の内側には、室内側の装飾
を兼ねてその開口部周囲を囲む窓枠が設置されている。

この窓枠の設置に際し、建築躯体に開口形成した開口
部内周縁に対応するよう予め枠状に構枠されたものを、
室内側から嵌め入れるようにして行なっている。

［考案が解決しようとする課題］ しかして、窓枠の設置に際し、枠状の窓枠を室内側か
ら嵌め入れるようにするために、躯体に形成された開口
部内周面と窓枠外周面との間には、僅かなクリアランス
が設定されるように構成されている。そして、窓枠を開
口部内の所定位置に位置決め固定するために、窓枠を開
口部内に位置させた後、窓枠と窓枠外周との適宜位置に
スペーサを圧入し、そのスペーサによって位置決めしつ
つ、接着している。

ところが、こうしたスペーサ及びこれを介在させた接
着作業は、クリアランスに対応してスペーサ厚さを夫々
に調整する必要があるばかりでなく、接着剤の塗布は、
これによる十分な接着効果が得られるようにするため、
一定の放置時間を必要とし、作業が迅速に行なえない欠
点がある。

そこで、この考案は、叙上のような従来存した諸事情
に鑑み案出されたもので、クリアランスに対する自動調
整を図りながら、開口部への嵌め入れ後は抜脱すること
がない設置安定性が得られ、作業を迅速に遂行できる取
付金具付き窓枠を提供することを目的とする。

［課題を解決するための手段］ 上述した目的を達成するため、本願考案を提供する。

すなわち、本願考案に係る取付金具付き窓枠は、構築
躯体（Ｐ）に開口形成された開口部に取り付けられるサ
ッシ枠（Ｓ）に対応して、開口部に嵌め入れられる四角
枠状の窓枠（Ｗ）であって、その窓枠（Ｗ）における縦
枠および横枠のそれぞれ少なくとも一方には、窓枠
（Ｗ）をサッシ枠（Ｓ）に対応した位置に位置させるた
めのばね基板（１）を固着し、このばね基板（１）に
は、窓枠（Ｗ）を嵌め入れるときの逆方向に向かって切
り起こし、先端を尖らせて構築躯体（Ｐ）に食い込み可
能に形成された躯体食い込み片（２）を設けたことを特
徴とする。

また、請求項２記載の考案においては、請求項１記載
の考案を技術的に限定している。すなわち、ばね基板
（１）には、開口部の開口縁面に当接する規制片（４）
を窓枠（Ｗ）の外方に向けて一体状に連設して構成する
ことができる。

［作用］ この考案に係る取付金具付き窓枠は、四角枠状に形成
された窓枠（Ｗ）における縦枠および横枠のそれぞれ少
なくとも一方に、躯体食い込み片（２）が外方に向かっ
ている状態のばね基板（１）を固着しておく。

この状態で窓枠（Ｗ）を開口部に嵌め入れると、躯体
食い込み片（２）は、その表面側が開口部内縁面上を弾
撥的にスライドする倒伏状となって進入し、窓枠（Ｗ）
自体を開口部内に嵌め入れ、開口部内周面とのクリアラ
ンスを調整する。そして、構築躯体（Ｐ）へ食い込み、
窓枠（Ｗ）自体の移動は阻止され、極めて強固に設置さ
れる。

このとき、請求項２記載の取付金具付き窓枠において
は、ばね基板（１）に一体状に連設した規制片（４）
が、躯体（Ｐ）の開口縁面に当接して窓枠（Ｗ）自体の
嵌め入れを停止させ、躯体（Ｐ）に対する位置決めを一
定にする。

また、倒伏状態で開口部内に進入した躯体食い込み片
（２）は、逆方向に窓枠（Ｗ）が移動しようとした場合
には、起立状となって開口部内周面にほぼ食込み状とな
るので、窓枠（Ｗ）の開口部からの抜脱を阻止する。

［実施例］ 以下、図面を参照してこの考案の一実施例を説明す
る。

図において示される符号１はばね基板であり、このば
ね基板１は、枠状に構枠される所定の窓枠Ｗ外周面の適
宜位置に釘、木ネジ、接着剤その他の固着手段を介して
固着される。

このばね基板１自体は、図示のように、ほぼ矩形状に
形成されており、弾撥性に富んだスプリング鋼板の如き
適宜肉厚の鋼材を素材として形成される。

このばね基板１には、構築された建物用の躯体Ｐに開
口形成された開口部に、室内側から窓枠Ｗを嵌め入れる
ときの逆方向に向かって切り起こし状に形成された躯体
食い込み片２を設けてある。この躯体食い込み片２は、
躯体Ｐの開口部内に窓枠Ｗが嵌め入れられるとき、その
表面側は、開口部内縁面上をスライドして、躯体食い込
み片２自体が倒伏状となって嵌め入れ作業自体は阻害し
ないものの、逆方向への窓枠Ｗの移動に際しては、躯体
食い込み片２が起立状になってその自由端が開口部内縁
面にほぼ食込み状に圧入し、窓枠Ｗ自体の移動が阻止さ
れるようにしてある。

図示にあっての躯体食い込み片２は、その先端がほぼ
鋭角状に尖っている２個の食込み端３を備えたものとな
るよう、正面から見てほぼ横Ｍ字形の切り込みをばね基
板１自体に設けることで形成されている。この食い込み
端３は、躯体Ｐの開口部内に窓枠Ｗが嵌め入れられたと
き、これ自体が開口部内縁面に強く食込むものとして、
その抜脱を一層効率的に防止するように考慮されたもの
である。

躯体食い込み片２自体は、その先端が鋭利状に尖って
いることは必ずしも要求されず、正面から見てほぼ矩形
状であっても、湾曲状であってもよく、要は、開口部内
への嵌め入れに際しては開口部内縁面上をスライドし、
逆方向へは開口部内周面にほぼ食込み状に圧入されれば
足りる。

また、この躯体食い込み片２自体は、ばね基板１のほ
ぼ中央に形成される場合に限らず、その片縁に形成され
ることもある。

なお、窓枠Ｗは、躯体Ｐに開口形成された開口部内に
嵌め入れられるよう、例えば四角枠状に構成され、その
外周面には、図示のように、室内側である躯体Ｐ内側面
に貼着される石膏ボードの如き壁材Ｂ、壁紙の如きクロ
スＣ夫々の端縁が挿入される挿入溝Ｇが形成されてい
る。

したがって、前記のばね基板１は、この挿入溝Ｇの開
口を覆うことがないようにして窓枠Ｗの外周面に固着さ
れるもので、窓枠Ｗにおいて、その室外側端縁から挿入
溝Ｇ開口端縁に至るまでの幅員に比し大きくはないもの
として形成される。

また、この窓枠Ｗは、躯体Ｐの開口部外部に取り付け
られたサッシ枠Ｓに対応して、これＳの室内側端面に当
接状態となるよう、開口部内に室内側から嵌め入れられ
るもので、嵌め入れ後はサッシ枠Ｓと一体状にされる。

また、第３図には、他の実施例が示されており、この
実施例にあっては、ばね基板１に、このばね基板１を窓
枠Ｗの外周面に固着したときの挿入溝Ｇの開口端縁位置
で、外方に突出されるような規制片４を連設したもの
で、このときのばね基板１及び規制片４との一体的な形
状は平面から見てほぼＬ字形を呈する。

以上のように構成された実施例において、躯体Ｐに開
口形成された開口部外部にサッシ枠Ｓが取り付けられた
後、室内側から開口部に嵌め入れられる窓枠Ｗの外周面
に、この考案取付金具を付設しておくことで、開口部と
のクリアランスを調整し、開口部内に窓枠Ｗをしっかり
と固定する。

すなわち、窓枠Ｗ外周面に、躯体食い込み片２が外方
に向かって切り起こし状の状態となってばね基板１が固
着されていると、この窓枠Ｗを開口部に嵌め入れるとき
は、躯体食い込み片２は、その表面側が開口部内縁面上
を弾撥的にスライドし、そのスライドに伴ない、躯体食
い込み片２自体が倒伏状となり、窓枠Ｗ自体を開口部内
に嵌め入れることができる。

このとき、ばね基板１に一体状に連設した規制片４
は、躯体Ｐの開口縁面に当接し、窓枠Ｗ自体のそれ以上
の嵌め入れを停止させ、窓枠Ｗ自体の躯体Ｐに対する位
置決めを一定にする。

［考案の効果］ この考案は以上のように構成されており、これがた
め、躯体に開口形成された開口部内周面と窓枠外周面と
のクリアランスは、躯体食い込み片自体によって得られ
る弾撥作用で自動調整でき、窓枠を所定位置にしっかり
と位置決めさせることができる。

また、開口部への嵌め入れ後は躯体食い込み片先端に
よる食込み作用で抜脱することがないので設置安定性が
得られるものであり、しかも、単に、開口部への嵌め入
れだけで窓枠を設置できるから、作業を迅速に遂行でき
るものである。

特に、ばね基板の躯体食い込み片は、開口部に対して
窓枠を嵌め入れるときの逆方向に向かって切り起こし状
にばね基板に形成してあるから、開口部に対する嵌め入
れ作業自体を阻害することは全くないのである。それば
かりでなく、躯体食い込み片が開口部内縁面上でスライ
ドするとき、これ自体が倒伏状となることで、嵌め入れ
作業は一層能率的に行なえるものである。更に、躯体食
い込み片が倒伏されるときに躯体食い込み片自体に生じ
る弾撥力は、開口部とのクリアランスを自動的に調整
し、窓枠を所定位置に位置決めさせるのに大きく役立
つ。

また、逆方向への窓枠の移動に際しては、躯体食い込
み片が起立状になってその自由端が開口部内縁面にほぼ
食込み状に圧入するから、窓枠自体の移動が阻止され、
その設置安定性は極めて強固である。

そしてまた、ばね基板に一体状に連設した規制片は、
窓枠を開口部に嵌め入れるとき、窓枠外方に突出してい
るから、開口部の開口縁面に当接すると、窓枠自体のそ
れ以上の嵌め入れを停止させるのであり、窓枠自体の躯
体に対する位置決めを一定にする。そのため、嵌め入れ
後に、壁材、クロス等を躯体表面に貼着するとき、これ
らの端縁を窓枠周囲に形成されている挿入溝に簡単に位
置合せでき、内装作業の迅速化にも役立つのである。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の一実施例を示すもので、第１図は窓枠
に付設した状態の斜視図、第２図は取付時の平断面図、
第３図は他の実施例における窓枠に付設した状態の斜視
図である。 Ｗ……窓枠、Ｐ……躯体 Ｇ……挿入溝、Ｓ……サッシ枠 Ｂ……壁材、Ｃ……クロス １……ばね基板、２……躯体食い込み片 ３……食込み端、４……規制片

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】構築躯体に開口形成された開口部に取り付
   けられるサッシ枠に対応して、開口部に嵌め入れられる
   四角枠状の窓枠であって、 その窓枠における縦枠および横枠のそれぞれ少なくとも
   一方には、窓枠をサッシ枠に対応した位置に位置させる
   ためのばね基板を固着し、 このばね基板には、窓枠を嵌め入れるときの逆方向に向
   かって切り起こし、先端を尖らせて構築躯体に食い込み
   可能に形成された躯体食い込み片を設けたことを特徴と
   する窓枠の取付金具。
2. 【請求項２】ばね基板には、開口部の開口縁面に当接す
   る規制片を窓枠外方に向けて一体状に連設してある請求
   項１記載の取付金具付き窓枠。