JP2540111B2 - シ―ト状体積型位相ホログラムの製造方法 - Google Patents

シ―ト状体積型位相ホログラムの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、例えば、平板状のフイルムに立体像を観察
できる体積型位相ホログラムに関し、更に詳しくは、転
写や貼付等によってホログラフィー画像を木材、紙、プ
ラスチック、セラミック等任意の物体に簡単且つ手軽に
設けることができるシート状体積型位相ホログラムの製
造方法に関する。
(従来の技術) ホログラフィーは、レーザーの様に干渉性良好な光波
を物体に照射し、その振幅と位相とがその物体の形状に
応じて変調され、反射又は透過した光波を感材層に受光
して記録し、得られたホログラムに、照射された光によ
り記録した物体の光学像を再生する技術であり、例え
ば、立体光学像を平板状のフイルムに観察することがで
きる。
このようなホログラフィーに関する研究の進展に伴な
い、現在ではその感材に対する要求もかなり明確なもの
となってきている。ホログラフィーに用い得る感材とし
ては、漂白処理銀塩、フォトレジスト、サーモプラスチ
ック、重クロム酸ゼラチン、無機ガラス系材料、強誘電
体等多くの材料が知られており、そのホログラフィーに
対する適性が更に研究されてきている。
ホログラム形成用の感剤の持つべき特性としては、例
えば (1)レーザー光、特に可視光領域のレーザー光に感度
を有し、且つ高感度であること、 (2)高解像力を有すること、 (3)得られたホログラムの回折効率が高いこと、 (4)ホログラムのノイズが少ないこと、 (5)ホログラムが安定していること、 (6)記録及び再生操作が容易であること、等を挙げる
ことができる。
又、ホログラフィー技術の進歩に伴ない、実用に耐え
得るホログラムの形成が可能となりつつあり、画像自体
を楽しんだり、種々の物品を装飾するために用いたりす
る等、ホログラムの用途も種々の方面へ拡大されてお
り、それに応じた各種の形態がホログラムにも要求され
つつある。
例えば、画像に応じた凹凸を感材層表面に形成し、そ
の凹凸での光の反射或いは透過を利用して画像を再生す
る反射タイプのホログラムは、例えば、本の表紙として
或いは磁気カードの偽造や変造防止用のマークとして既
に利用されている。
(発明が解決しようとしている問題点) 一方、体積型位相ホログラムは、高解像度且つ高回折
効率の特徴を有しているため、より高級感を与え、その
用途拡大が求められている。しかし、例えば、重クロム
酸ゼラチン感材を用いて得られたホログラムの耐湿性が
低く、保存安定性の面で大きな欠点が指摘されていた。
一方、ビニルカルバゾール系ポリマーを感材とする体積
型位相ホログラムは、上記の問題点を克服するものであ
る。
ところが、体積型位相ホログラムでは、単なる従来技
術の組み合わせでは、レリーフ反射型のホログラムと違
い用途拡大が図れない故に、単に透明基板上にホログラ
ムが固着積層されるようなものしかなかった。
そこで、本発明者等は、広く用途を拡大するのに役立
つシート状ホルグラムを製造する方法、特に平板以外の
特異形状を有するホログラムシートの製造に好適にも活
用しうる製造方法の開発を鋭意研究した結果、本発明を
完成した。
すなわち、本発明の目的は、任意の表面形状を有する
体積型位相ホログラムシート(フイルム)を容易に提供
することにある。
(問題点を解決するための手段) 上記目的は以下の本発明により達成される。
すなわち、本発明は、ハロゲン化アルカリからなる基
板上にビニルカルバゾール系ポリマーを主成分とする感
材層を積層し、露光及び現像処理を施した後上記基板を
溶解除去することを特徴とするシート状体積型位相ホロ
グラムの製造方法である。
(作用) 任意の表面形状を有する水溶性の基板上にホログラム
フイルムを形成し、ホログラム形成後基板を溶解除去す
ることにより、基板の表面形状に対応した任意の形状の
シート状ホログラムが提供される。
(好ましい実施態様) 以下好ましい実施態様を挙げて本発明を更に詳細に説
明する。
本発明において使用する基板は、水溶性であるハロゲ
ン化アルカリ、例えば、塩化ナトリウム、臭化ナトリウ
ム、塩化カリウム、臭化カリウム等から形成する。これ
らのハロゲン化アルカリからなる基板の形状は、特に限
定されないが、好ましくは2mm乃至10mm程度の厚みの平
板状である。感材層を形成する基板表面は平滑でもよい
し、曲面状或いは凹凸状等いずれの形状でもよく、その
面に対応した形状の感材層が形成される。
又、基板はハロゲン化アルカリ単独で形成してもよい
し、他の水溶性塩を混合してもよく、更に紙、織布、不
織布、プラスチックフイルム、水溶性ポリマーフイルム
等の表面に形成したものでもよい。又、ホログラム形成
時の露光を基板側から行う場合には上記基板は実質的に
透明であることが必要であるが、感材層側から露光を行
う場合は必ずしも透明である必要は無い。
上記の基板上に形成される感材層は、得られるホログ
ラム自身の耐湿性、保存安定性、回折効率等総合面で優
れるため、ビニルカルバゾール系ポリマーを主成分とし
て形成される。
このビニルカルバゾール系ポリマーとは、ポリビニル
カルバゾール、ポリビニルカルバゾールのアルキル置換
体、ポリビニルカルバゾールのハロゲン置換誘導体及び
これらを主体とする重合体をいい、所望に応じてその1
種以上を用い得る。具体的には、例えば、ポリビニルカ
ルバゾール、3−クロルビニルカルバゾールポリマー、
3−ブロムビニルカルバゾールポリマー、3−ヨードビ
ニルカルバゾールポリマー、3−メチルビニルカルバゾ
ールポリマー、3−エチルビニルカルバゾールポリマ
ー、クロル化ポリビニルカルバゾール、ブロム化ポリビ
ニルカルバゾール等が挙げられる。中でも未置換のポリ
ビニルカルバゾールは、その入手が容易でしかも得られ
るホログラムの性能も特に優れたものであるから事実上
最適なものである。
上記ビニルカルバゾール系ポリマーは、例えばフイル
ムとした際の強度や柔軟性等の特性の制御のために、必
要に応じて、他のモノマーと共重合されていてもよい。
そのような用途に用い得る他のモノマーとしては、例え
ば、上記ビニルカルバゾール類に加えて、酢酸ビニル等
のビニルエステル、アクリル酸、メタアクリル酸のエス
テル、スチレン及びスチレン誘導体のラジカル重合によ
る共重合法によって共重合し得るビニル系モノマーを挙
げることができる。又、例えば、ポリスチレン、スチレ
ン−ブタジエンコポリマー、スチレン−水素化ブタジエ
ンコポリマー等の他のポリマーをホログラム像が記録で
きる範囲でブレンドして用いることもできる。尚、これ
らは所望の特性が得られるようにその添加割合が選択し
て用いられる。
上述の感材の主体をなすポリマー成分は、本発明にお
いて予め沃素化合物によって輻射線に対して活性にされ
ている必要がある。
かかる沃素化合物は、ポリマー成分中に共存して、可
視波長域にも充分な感度を持つ感材を構成するものであ
り、具体的には、四沃化炭素、ヨードホルム、四沃化エ
チレン、トリヨードエタン、テトラヨードエタン、ペン
タヨードエタン、ヘキサヨードエタン等を主成分とする
沃素化合物が挙げられる。
本発明において使用するホログラム感材は、上述のポ
リマー及び沃素化合物を所定の割合で、前記基板を溶解
しない溶媒に溶解又は分散させ、基板上にスピンコー
ト、バーコート等の公知技術で塗布及び乾燥して形成さ
れる。
次に感材層に常法に従って露光及び現像処理を施すこ
とによって体積型位相ホログラムを形成する。露光方法
は、公知の感光方法がいずれも使用でき、被写体の種
類、ホログラムの用途等によって適宜選択すればよい。
尚、基板側から露光する場合には、用いる基板はハロゲ
ン化アルカリであるので結晶性であり、その為基板の偏
光方向に留意して露光処理するのが好ましい。
露光後の現像処理は公知のいずれの現像方法でもよい
が、例えば、特開昭54−102140号公報に開示の方法が利
用できる。より具体的には、例えば、488nmのアルゴン
レーザー光にて、例えば、基板の結晶軸を考慮して、物
体光と参照光の二光束の可干渉性レーザー光によって、
干渉パターンを露光し、その後溶剤による膨潤及び収縮
処理して現像することができる。
しかる後本発明ではホログラム像が記録されたフイル
ムを有する基板を水又は温水中に浸漬する等して基板を
部分的又は全面的に溶解することにより、フイルムを剥
離してシート状体積型位相ホログラムを得ることができ
る。
又、転写や添付を目的としたシートでは、接着剤層を
有する透明又は不透明フイルムを予め感材上に設けた後
に基板を溶解除去して該シートを得ることができる。
(効果) 以上の如き本発明によれば、任意の形状のシート状体
積型位相ホログラムが得られ、従って転写方法や貼合方
法によって、各種の物体の装飾材等として使用すること
ができる。
(実 施 例) 以下実施例により、本発明を更に詳細に説明する。
実施例1 5mmの厚みで表面平滑な塩化ナトリウム製基板上に、
暗所にてポリ(N−ビニルカルバゾール)2.5g及び四沃
化炭素0.2gをモノクロルベンゼン30gに溶解した溶液を
スピナー(ミカサスピナー、1H−2)を用いて塗布後乾
燥し、膜厚約5.0μmのホログラム形成用感材層を得
た。
得られた感材層の吸光度を分光光度計UVIDEC−650
(日本分光製)で測定したところ、560nm迄の吸収端を
有していた。
この感材層にArレーザー(514.5nm)を用い、オフセ
ットアングル70゜、光強度比1:1(両ビームの光強度の
和が入射直前で3mW/cm2)の条件でデニシュークの方法
に従って所望の物体に対応する画像を記録した。
露光後、感材層を以下の(1)乃至(3)の工程で順
次処理してホログラムを得た。
(1)20℃のトルエンに2分間浸漬後、 (2)30℃のキシレン3分間浸漬後、 (3)25℃のn−ヘプタンに3分間浸漬後、乾燥。
現像後、ホログラム板を80℃の温水中に60分間浸漬し
て塩化ナトリウム基板を一部溶解し、ホログラムフイル
ムを水中に浮かせ、これをポリエチレンテレフイタレー
トフイルム上にすくい取り、水洗及び乾燥して本発明の
シート状体積型位相ホログラムを得た。
得られたホログラムは、514.5nmの波長の光に対し約
3,000本/mmの空間周波数を有し、回折効率は88%であ
り、透過率が90%の体積型位相であった。
実施例2 実施例1における基板として、5mmの厚みで表面が曲
面状である臭化カリウム基板を使用し、他は実施例1と
同様にして曲面形状のシート状ホログラムを得た。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ハロゲン化アルカリからなる基板上にビニ
    ルカルバゾール系ポリマーを主成分とする感材層を積層
    し、露光及び現像処理を施した後上記基板を溶解除去す
    ることを特徴とするシート状体積型位相ホログラムの製
    造方法。
  2. 【請求項2】基板が透明である特許請求の範囲第(1)
    項に記載のシート状体積型位相ホログラムの製造方法。
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