JP2540040Y2 - 高周波加熱コイル体 - Google Patents

高周波加熱コイル体

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JP2540040Y2
JP2540040Y2 JP1993005709U JP570993U JP2540040Y2 JP 2540040 Y2 JP2540040 Y2 JP 2540040Y2 JP 1993005709 U JP1993005709 U JP 1993005709U JP 570993 U JP570993 U JP 570993U JP 2540040 Y2 JP2540040 Y2 JP 2540040Y2
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立美 中村
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は、ワーク内に設けられて
いる孔の開口が形成されていたり、また、溝が形成され
ているワークの表面を環状に焼入する場合に用いられる
高周波加熱コイル体(以下高周波加熱コイル体を単に加
熱コイル体ともいう)に関する。
【0002】
【従来の技術】以下、図面を参照して従来の技術を説明
する。図7〜図9はワークを説明するための図面であっ
て、図7はワークの平面図、図8は図7のX−X線矢視
断面説明図、図9は図7のY−Y線矢視断面説明図であ
る。図10は図7のZ−Z線矢視断面説明図と従来の加熱
コイルの断面説明図である。
【0003】ここで採り上げたワーク100 は、例えばブ
ルドーザの走行系の油圧回路に使用されるフローディス
トリビュータであって、図7〜図9に示すように、中央
に円柱状の孔101 を有する円盤状のワークであり、上面
111 (図8上で上側)と下面112 (図8上で下側)とも
環状の平面に形成されている。上面111 の周辺近辺には
環状の溝108 が形成されており、この溝108 の内側には
複数のタップ103 と、上面111 から下面112 に貫通して
いる複数のボルト孔102 が設けられている。
【0004】104 、105 、および106 は、それぞれ、上
面111 に開口している油孔であって、これら油孔104 、
105 、および106 は曲がっており、下面112 の開口は上
面111 の開口の直下にはない。更に、上面111 には、図
示しないOリングを収容するために、油孔104 、105 、
および106 を取り囲むように、ほぼ五角形状に溝107が
穿設されている。
【0005】上面111 には、ワーク100 の軸芯を中心11
0 とし、外周121 (半径Ra )と内周122 (半径Rb )
との間の環状部分である被加熱面120 に硬化層113 を形
成することが要求される。この硬化層113 を形成するに
は、図10に示すように、被加熱面120 の形状に対応する
ように形成された環状の加熱コイル200 を、被加熱面12
0 に対向するように接近配置してから、ワーク100 を中
心110 を中心として回転させながら、加熱コイル200 に
高周波電流を所定時間通電して加熱後、図示しないジャ
ケットから被加熱面120 に冷却液を噴射して冷却する。
【0006】加熱コイル200 の被加熱面120 に対向して
いる面201 に段差を設けて中心110に近い被加熱面ほ
ど、被加熱面120 と加熱コイル200 との空隙距離を大き
くしている。この理由は、このような段差を設けないと
きには、被加熱面120 に発生する環状の誘導電流が中心
110 側に集中して、形成された硬化層は、中心110 側で
深く、中心110 から遠ざかるにつれて浅くなって均一な
深さにならないからである。
【0007】
【考案が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
加熱コイル200 を用いてワーク100 の上面111 の被加熱
面120 を焼入したときには、以下のような問題がある。
即ち、被加熱面120 に発生し環状に流れる高周波電流は
油孔104 、105 、および106 の開口周辺およびOリング
用の溝17の周辺において、その他の部分におけるよりも
集中するので、油孔104 、105 、および106 の開口と溝
17の周辺が過熱されて焼き割れが発生しがちである。
【0008】本考案は上記事情に鑑みて創案されたもの
であって、表面に孔の開口や溝が形成されている環状の
被加熱面を焼入ために加熱したときに、これら開口や溝
の周辺に焼き割れが発生することなく均一に加熱するこ
とができる加熱コイル体を提供する事を目的としてい
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記問題を解決するため
に本考案の加熱コイル体は、所定の幅を有し孔や溝が穿
設されている環状の被加熱面にほぼ対向するように配設
されて被加熱面を加熱する複数個の高周波加熱コイルを
備えた高周波加熱コイル体であって、前記高周波加熱コ
イルは、被加熱面のほぼ半周にわたって被加熱面の周方
向に間隔をおいて配設されており、各高周波加熱コイル
は、被加熱面のほぼ外周に沿って配設された第1加熱導
体と、被加熱面のほぼ内周に沿って配設された第2加熱
導体と、第1および第2加熱導体の一端同士および他端
同士をそれぞれ接続し被加熱面のほぼ径方向に配設され
た第3および第4加熱導体とを備え、且つ、高周波加熱
コイルは、被加熱面の中心から各加熱コイルの第2加熱
導体までの距離が互いに異なっているように、配置され
ている。
【0010】そして、高周波加熱コイルは第1〜第3の
高周波加熱コイルの3個であり、第1の高周波加熱コイ
ルは被加熱面の内のほぼ内側の部分とほぼ中央部分を、
第2の高周波加熱コイルは被加熱面の内のほぼ中央部分
を、第3の高周波加熱コイルは被加熱面の内のほぼ中央
部分とほぼ外側の部分を、それぞれ、加熱するようにす
ることが好ましい。
【0011】
【実施例】以下、図面を参照して本考案の一実施例を説
明する。図1〜図6は本実施例の加熱コイル体を説明す
るための図面であって、図1は図6のA−A線矢視断面
説明図、図2は電気回路図、図3は斜視図、図4は1個
の加熱コイルの斜視図、図5は図4のB−B線矢視断面
説明図、図6は本実施例の加熱コイルを用いた高周波焼
入装置の概略正面説明図である。ワークとしては、従来
の技術で説明したのと同じワーク100を採り上げたの
で、ワークの説明は省略する。また、従来の技術で説明
したものと同等のものには同一の符号を付している。
【0012】図1に示すように、本実施例の加熱コイル
体80は、ワーク100 の環状の被加熱面120 に、ほぼ対向
するように配設されて被加熱面120 を加熱する3個の同
形の加熱コイル10、20、および30(第1、第2、および
第3の加熱コイル)を備えていることを基本的な構成と
している。そして、これら加熱コイル10、20、および30
は、被加熱面120 のほぼ半周にわたって被加熱面120 の
周方向に間隔をおいて配設されている。
【0013】図2と図3を用いて加熱コイル体80の構造
を詳細に説明する。まず、電気回路について説明する。
加熱コイル体80は、一端間に高周波電源90が接続されて
いる給電導体41、42と、この給電導体41、42の他端間に
直列に接続された3個の加熱コイル回路81〜83を備えて
いる。
【0014】加熱コイル回路81は、加熱コイル10と、1
対の直線状の給電導体13、14と、1対の接続ブロック1
2、15と、1対のほぼ円弧状の給電導体11、16を備えて
いる。加熱コイル10は、被加熱面120 の中心110 を中心
とし、半径が被加熱面120 の外周121 の半径Ra にほぼ
等しい円弧の一部であるように形成された第1加熱導体
10a と、同じく中心110 を中心とし、半径が被加熱面12
0 の内周122 の半径Rbより若干小さい円弧の一部であ
るように形成された第2加熱導体10b と、第1加熱導体
10a と第2加熱導体10b の一端同士および他端同士をそ
れぞれ接続し、被加熱面120 の径方向に形成された直線
状の第3加熱導体10c および第4加熱導体10d とを備え
ている。従って、加熱コイル10の半径方向での第1加熱
導体10a から第2加熱導体10b に至る最大幅Cは、本実
施例では、被加熱面120 の外周の半径Ra と、内周122
の半径Rb との差より少し大きい。そして、加熱コイル
20および30においても同様である。
【0015】第1加熱導体10a の切断点には、給電導体
13、14が接続されており、給電導体13、14はそれぞれ接
続ブロック12、15を介して給電導体11、16に接続されて
いる。従って、給電導体11、接続ブロック12、給電導体
13、切断された一方の第1加熱導体10a 、第3加熱導体
10c 、第2加熱導体10b 、第4加熱導体10d 、切断され
た他方の第1加熱導体10a 、給電導体14、接続ブロック
15、および給電導体16は直列に接続されている。なお、
給電導体41、42、11、13、14、16および第1〜第4加熱
導体10a 〜10d は、それぞれ、良導電金属製の四角筒か
ら構成されている。
【0016】第2加熱コイル回路82は、第1加熱コイル
回路81の加熱コイル10、給電導体11、13、14、16、およ
び接続ブロック12、15にそれぞれ対応する加熱コイル2
0、給電導体21、23、24、26、および接続ブロック22、2
5を備えている。同様に、第3加熱コイル回路83は、加
熱コイル30、給電導体31、33、34、36、および接続ブロ
ック32、35を備えている。
【0017】そして、加熱コイル20および30は、それぞ
れ、加熱コイル10の第1〜第4加熱導体10a 〜10d に対
応する第1〜第4加熱導体20a 〜20d および第1〜第4
加熱導体30a 〜30d を備えている。
【0018】図4と図5に示すように、加熱コイル10に
は、加熱コイル10の上面と内側面に接触し、加熱コイル
10の内部に充填されるように、磁性体のコア19が取り付
けられている。同様に、加熱コイル20、30にも図示しな
いコアが取り付けられている。なお、10e および10f は
それぞれ第1加熱導体10a および第2加熱導体10b の外
側面である。
【0019】図3に示すように、給電導体41、42、給電
導体11、16、接続ブロック12、15、給電導体13、14は、
それぞれ、絶縁板50、51、52、53を介して互いに結合固
定されている。また、給電導体21、26、接続ブロック2
2、25、給電導体23、24は、それぞれ、絶縁板54、55、5
6を介して互いに結合固定されている。更に、給電導体3
1、36、接続ブロック32、35、給電導体33、34は、それ
ぞれ、絶縁板57、58、59を介して互いに結合固定されて
いる。
【0020】次に、加熱コイル体80の冷却液の回路につ
いて説明する。図3に示すように、給電導体41には図示
しない可撓性の冷却液供給管の接続口61が設けられてお
り、また、給電導体42には図示しない可撓性の冷却液排
出管の接続口62が設けられている。給電導体11の外側表
面および接続ブロック12の上面にわたって固着された配
管63の一端は接続口61に接続されており、他端は可撓性
の配管64を介して、接続ブロック12の下面に固着された
配管65の一端に接続されている。配管65の他端は給電導
体13の中空部分の上端に連通している。
【0021】接続ブロック15の下面に固着された配管66
の一端は、給電導体14の中空部分の上端に連通し、他端
は、可撓性の配管67を介して、接続ブロック15の上面、
給電導体16の側面、および接続ブロック22の上面にわた
って固着された配管68の一端に接続されている。配管68
の他端は可撓性の配管69を経て、接続ブロック22の下面
に固着された配管70の一端に接続されている。配管70の
他端は給電導体23の中空部分の上端に接続されている。
【0022】接続ブロック25の下面に固着された配管71
の一端は、給電導体24の中空部分の上端に連通し、他端
は、可撓性の配管72を介して、接続ブロック25の上面、
給電導体31の側面、および接続ブロック32の上面にわた
って固着された配管73の一端に接続されている。配管73
の他端は可撓性の配管74を経て、接続ブロック32の下面
に固着された配管75の一端に接続されている。配管75の
他端は給電導体33の中空部分の上端に接続されている。
【0023】接続ブロック35の下面に固着された配管76
の一端は、給電導体34の中空部分の上端に連通し、他端
は、可撓性の配管77を介して、接続ブロック35の上面、
給電導体36の側面、および給電導体42の側面にわたって
固着された配管78の一端に接続されている。配管78の他
端は接続口62に接続されている。
【0024】次に、このような加熱コイル体80を用いて
ワーク100 の上面111 の被加熱面120 を焼入する高周波
焼入装置を説明する。この装置は、図6に示すように、
加熱コイル体80と、ワーク支持回転装置150 と、加熱さ
れたワーク100 に焼入液Lを噴射するジャケット160 と
を備えている。そして、ワーク支持回転装置150 は、水
平に配置されたワーク100 が載置されるワーク受け152
と、ワーク受け152 を支持し且つ回転させるワーク受け
回転装置151 と、ワーク受け回転装置151 の下部に取り
付けられてレール154 上を移動する車輪153 とを備えて
いる。
【0025】加熱コイル体80の加熱コイル10、20、およ
び30は、ワーク受け152 上に載置されたワーク100 が加
熱コイル体80に接近対向したときに、図1に示すよう
に、被加熱面120 のほぼ半周にわたって被加熱面120 の
周方向に間隔をおくように配置されており、且つ、加熱
コイル10の第2加熱導体10b 、加熱コイル20の第2加熱
導体20b 、および加熱コイル30の第2加熱導体30b のそ
れぞれの外側面10f 、20f 、および30f と被加熱面120
の中心110 との距離がR1 、R2 、およびR3 であるよ
うに配置されている。
【0026】但し、R1 <R2 <R3 であって、また、
R1 は被加熱面120 の内周122 の半径の長さRb より少
し小さく、R2 はこの長さRb より僅かに大きく、更に
R3は長さRb より少し大きい。従って、加熱コイル10
の第1加熱導体10a の外側面10e は被加熱面120 の外周
121 にほぼ一致しており、加熱コイル20の第1加熱導体
20a の外側面20e は被加熱面120 の外周121 より少し外
側にあり、加熱コイル30の第1加熱導体30a の外側面30
e は被加熱面120 の外周121 より或る程度外側にある。
【0027】これら距離R1 、R2 、およびR3 の大き
さ、および加熱コイル10、20、30の幅Cの寸法は経験的
に選定される。本実施例では、各加熱コイル10、20、お
よび30とも、それぞれ、第1加熱導体10a 、20a 、およ
び30a の切断点に対して給電導体13、14、給電導体23、
24、および給電導体33、34が接続されているので、この
切断点近辺で磁束が減少している。この磁束の減少によ
る外周121 近辺での加熱の減少を補うために、加熱コイ
ル20は、被加熱面120 の幅Cの中心よりやや外周121 寄
りとしてあり、また、加熱コイル30も、被加熱面120 の
幅Cの中心に対して、加熱コイル10と対称的な位置より
は外周121 寄りとしてある。
【0028】次に、本実施例の加熱コイル体80によって
ワーク100 の被加熱面120 を焼入する方法を説明する。
焼入を開始するにあたって、加熱コイル体80に冷却液を
流通させる。即ち、図示しない冷却液供給管を介して接
続口61に矢印Pの方向に冷却液を供給すると、冷却液
は、配管63〜65、給電導体13、加熱コイル10、給電導体
14、配管66〜70、給電導体23、加熱コイル20、給電導体
24、配管71〜75、給電導体33、加熱コイル30、給電導体
34、配管76〜78を経て流れ、各給電導体および加熱コイ
ルを冷却後、接続口62から矢印Qの方向に図示しない冷
却液排出管を経て排出される。
【0029】次いで、ワーク支持回転装置150 をジャケ
ット160 のほぼ下方に位置させた状態でワーク受け152
上にワーク100 を載置する。この後、ワーク支持回転装
置150 をレール154 上で移動させて加熱コイル体80の直
下に配置する。このとき、加熱コイル体80の加熱コイル
10、20、および30は、図1および図6に示すように、被
加熱面120 に接近対向して配設されている。そして、こ
のときの加熱コイル10、20、および30の被加熱面120 に
対する位置関係は、前記の通りである。
【0030】次いで、ワーク受け回転装置151 によって
ワーク受け152 を例えば矢印Dの方向に回転させると共
に、高周波電源90を所定時間動作させると、この時間の
間、高周波電流は、給電導体41、11、接続ブロック12、
給電導体13、加熱コイル10、給電導体14、接続ブロック
15、給電導体16、接続ブロック22、給電導体23、加熱コ
イル20、給電導体24、接続ブロック25、給電導体26、接
続ブロック32、給電導体33、加熱コイル30、給電導体3
4、接続ブロック35、給電導体36、給電導体42の経路
で、或いは、これと逆の経路で流れ、加熱コイル10によ
って主として被加熱面120 の中央部分および内周近辺
が、加熱コイル20によって主として被加熱面120 の中央
部分が、また、加熱コイル30によって主として被加熱面
120 の中央部分および外周近辺が加熱される。
【0031】前記のように加熱コイル10、20、および30
は、被加熱面120 の周方向に適当な間隔をおいて配置さ
れているので、被加熱面120 は、加熱コイル10で加熱さ
れてから、加熱コイル20の下方に至るまでは加熱が中止
されているので均熱化し、加熱コイル20の下方に至って
加熱された後、加熱コイル30に至るまでは再び均熱化
し、加熱コイル30の下方に至って加熱される。この後、
被加熱面120 がほぼ半周する間は冷却する。
【0032】被加熱面120 の加熱が終了すると、ワーク
100 を回転させたままで、ワーク支持回転装置150 をレ
ール154 上で移動させてワーク100 をジャケット160 の
下方に配置し、次いでジャケット160 から焼入液Lをワ
ーク100 の上面111 に所定時間噴射してワーク100 を冷
却して焼入を終了する。最後に、ワーク100 の回転を停
止し、ワーク100 をワーク受け152 から取り外す。
【0033】このようにして焼入された被加熱面120 に
は、均一な深さの硬化層113 が形成されていることは勿
論であるが、油孔104 〜106 の開口の周辺および溝107
の周辺に過剰な硬化層113 が形成されたり、或いは、焼
き割れが発生することはない。
【0034】即ち、従来の加熱コイル200 によって被加
熱面120 を加熱したときには、被加熱面120 には周方向
の電流が連続的に且つ孔104 〜106 の開口や溝107 の周
辺に集中して流れて過熱されがちであるが、本実施例の
加熱コイル体によって被加熱面120 を加熱したときに
は、各加熱コイル10、20、30のそれぞれの第1加熱導体
10a 、20a 、30a と第2加熱導体10b 、20b 、30b とに
よって被加熱面120 の周方向に電流が流れるけれども連
続的ではない。また、第3加熱導体10c 、20c 、30c と
第4加熱導体10d 、20d 、30d によって径方向にも電流
が流れるので、孔104 〜106 の開口や溝107 の周辺での
周方向電流の集中を減少している。そして、被加熱面12
0 の加熱は連続的ではなく、加熱と加熱中止とが交互で
ある。以上によって、孔104 〜106 や溝107 の周辺の過
熱による焼き割れの発生が防止されている。
【0035】本実施例では加熱コイル体に3個の同形の
加熱コイル10、20、および30を設けた場合を説明した
が、ワークの材質や被加熱面120 の形状などによって
は、適宜の個数の加熱コイルとし、また、一部の加熱コ
イルの形状を異形として、或いは全ての加熱コイルの形
状を互いに異形として各加熱コイルに所望の加熱効果を
発揮させることもできる。
【0036】
【考案の効果】以上説明したように、本考案の加熱コイ
ル体は、所定の幅を有し溝や孔が穿設されている環状の
被加熱面にほぼ対向するように配設されて被加熱面を加
熱する複数個の加熱コイルを備えた加熱コイル体であっ
て、加熱コイルは、被加熱面のほぼ半周にわたって被加
熱面の周方向に間隔をおいて配設されており、各加熱コ
イルは、被加熱面のほぼ外周に沿って配設された第1加
熱導体と、被加熱面のほぼ内周に沿って配設された第2
加熱導体と、第1および第2加熱導体の一端同士および
他端同士をそれぞれ接続し被加熱面のほぼ径方向に配設
された第3および第4加熱導体とを備え、且つ、加熱コ
イルは、被加熱面の中心から各加熱コイルの第2加熱導
体までの距離が互いに異なっているように、配置されて
いる。
【0037】従って、本考案の加熱コイル体の加熱コイ
ルを、回転しているワークの被加熱面に対向するように
配置して被加熱面を加熱後、冷却して焼入したときに
は、被加熱面に均一な深さの硬化層が形成され、しか
も、油孔の開口の周辺および溝の周辺に過剰な硬化層が
形成されること、或いは、焼き割れが発生することを防
止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図6のA−A線矢視断面説明図である。
【図2】本考案の一実施例の加熱コイル体の電気回路図
である。
【図3】本考案の一実施例の加熱コイル体の斜視図であ
る。
【図4】本考案の一実施例の加熱コイル体の1個の加熱
コイルの斜視図である。
【図5】図5のB−B線矢視断面説明図である。
【図6】本考案の一実施例の加熱コイル体を用いた高周
波焼入装置の概略正面説明図である。
【図7】ワークの正面図である。
【図8】図7のX−X線矢視断面図である。
【図9】図7のY−Y線矢視断面図である。
【図10】図7のZ−Z線矢視断面図と従来の加熱コイ
ルの断面説明図である。
【符号の説明】
10、20、30 加熱コイル 10a 、20a 、30a 第1加熱導体 10b 、20b 、30b 第2加熱導体 10c 、20c 、30c 第3加熱導体 10d 、20d 、30d 第4加熱導体 80 加熱コイル体 100 ワーク 104 〜106 油孔 107 溝 110 中心 120 被加熱面 121 外周 121 内周 Ra 、Rb 半径 R1 、R2 、R3 距離

Claims (2)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定の幅を有し孔や溝が穿設されている
    環状の被加熱面にほぼ対向するように配設されて被加熱
    面を加熱する複数個の高周波加熱コイルを備えた高周波
    加熱コイル体であって、 前記高周波加熱コイルは、被加熱面のほぼ半周にわたっ
    て被加熱面の周方向に間隔をおいて配設されており、 各高周波加熱コイルは、被加熱面のほぼ外周に沿って配
    設された第1加熱導体と、被加熱面のほぼ内周に沿って
    配設された第2加熱導体と、第1および第2加熱導体の
    一端同士および他端同士をそれぞれ接続し被加熱面のほ
    ぼ径方向に配設された第3および第4加熱導体とを備
    え、且つ、 高周波加熱コイルは、被加熱面の中心から各加熱コイル
    の第2加熱導体までの距離が互いに異なっているよう
    に、配置されていることを特徴とする高周波加熱コイル
    体。
  2. 【請求項2】 高周波加熱コイルは第1〜第3の高周波
    加熱コイルの3個であり、第1の高周波加熱コイルは被
    加熱面の内のほぼ内側の部分とほぼ中央部分を、第2の
    高周波加熱コイルは被加熱面の内のほぼ中央部分を、第
    3の高周波加熱コイルは被加熱面の内のほぼ中央部分と
    ほぼ外側の部分を、それぞれ、加熱する請求項1記載の
    高周波加熱コイル体。
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