JP2539545C - - Google Patents

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JP2539545C
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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、艶消し塩化ビニル系樹脂組成物に関し、詳しくは、高温で二次加工
しても艶戻りのない、極めて滑らかな表面を有する艶消しシ−トや艶消しフィル
ム等に成形することができる塩化ビニル系樹脂組成物に関する。 さらに詳しく言うと、高温雰囲気下で二次加工して製品化しても艶戻りのない
、きわめて滑らかな艶消し表面を有する発泡レザ−用オ−バ−レイフィルム、真
空成形用シ−ト、高周波ウェルダ−加工用シ−ト、射出成形時のインサ−トフィ
ルム、熱風溶接用シ−ト等に成形することのできる塩化ビニル系樹脂組成物に関
す る。 [従来の技術] 高級感のある艶消し製品は、包装材、パック類、自動車内装材、床材、壁装材
、電線、コ−ド、積層材等の種々の分野で広く利用されている。 こうした艶消し製品は、一般に、汎用の塩化ビニル樹脂をシ−トやフィルム等
に成形した後、艶消しのためのシボ付け加工をしたり、艶消し塗料を塗布したり
、あるいは部分架橋した塩化ビニル系樹脂を用いたりして、製造されている。 ところが、たとえば、発泡レザ−を製造する場合、発泡工程における発泡温度
が、近年、生産速度を向上させるために益々高温になってきていて、たとえば2
20〜270℃というかなりの高温の発泡炉で短時間に発泡させる方法が取られ
るようになってきている。 しかしながら、汎用の塩化ビニル樹脂にて製膜し、
次いで二次加工として艶消し処理をしたフィルムやシ−トでは、発泡炉内の温度
を上記のように高くすると、シボが溶融して表面が平滑状態になり、その結果、
艶消し処理をしたにもかかわらず、光沢を生じた商品になってしまう。 そこで、この光沢の発生を防止する手段として、発泡した後の艶消しレザ−に
再度のシボ付け加工を行うという試みがなされいる。 しかしながら、再度のシボ付け加工を行なっても、発泡層が緩衝作用を起こし
て、深い谷部の艶消しのシボ付けが困難となり、谷部がキラキラと光るという問
題が残る。 また、前述のように艶消しをしたにもかかわらず光沢を生じると言う問題点あ
るいは前述のように谷部がキラキラと光ると言う問題点を解消するために、艶消
し塗料をシ−トやフィルムに塗布する試みもなされている。 しかしながら、この方法によっても深い谷部に塗料を均一に塗布することが困
難であり、やはり谷部がキラキラ光るという上記同様の現象が発生して、艶消し
を十分に行うことができないという問題点がある。 また、発泡成形に限らず、他の成形工程である真空成形工程、インサ−ト射出
成形工程、ウェルダ−溶接成形工程、ラミネ−ト工程等でも、高温二次加工が行
われるので、上記と同様の不都合な現象が発生し、十分な艶消し製品を得るのが
困難である。 以上のような従来技術では、不良品の低い発生率で安定に艶消し製品を生産す
ることが困難であるから、これを解決しようとする技術もいくつか提案されてい
る。 たとえば、特開昭56−142025号公報には、塩化ビニル系樹脂にポリエ
チレングリコ−ルジアクリレ−ト(N=14)を用いて部分架橋した架橋共重合
体は、200℃での真空成形加工では、若干艶戻りするものの、艶消しされた真
空成形品が製造可能であることが示されている。 しかしながら、この架橋共重合体の場合、さらに温度を高くして二次加工を行
うと艶が発生するであろうことは、この公報の第1表に記載の結果から容易に推
定することができるし、現に200℃では若干艶戻りするという結果が示されて
いる。 したがって、上記公報に開示されている架橋共重合体を用いる場合にも、さら
に高い温度での成形加工では艶戻りを発生するであろうから、高温成形加工にお
ける艶戻りの問題は十分に解決されているとは言い難い。 また、特開昭56−92024号公報には、ゲル分率60%以下、膨潤度5以
上、平均粒径70μm以上の部分架橋した共重合体と部分架橋していない塩化ビ
ニル系重合体との混合物からなるフィルムが、押出ラミネ−ト、熱可塑性樹脂フ
ィルムとの加熱接合法のように、フィルム成形後に熱処理が施された場合でも、
艶消し効果、ベタツキ性の改良効果、風合、肌ざわり、引裂強度等の物性に優れ
たものであるということが開示されている。 しかしながら、本発明者らが特開
昭56−92024号公報に開示されている上記の樹脂混合物の成形加工につい
て、その追試験を詳細に行うと共に種々の検討を行ったところ、 艶消しの程度は十分に満足できるものの、表面の凹凸が大きすぎて絹目状の
きめの細かい艶消し状態とはならない; 部分架橋共重合体の平均粒径が小さいためか、この樹脂混合物は嵩比重が極
めて小さく、安定剤、可塑剤、その他の添加剤を配合して組成物とした後にも、
平均粒径、嵩比重が小さく、そのため、ブレンダ−、バンバリ−ミキサ−に投入
することのできる量が制限されて、生産性が悪くなる; その上、微粒子が作業中に飛散して作業環境を悪化させるために、特別の防 止対策が必要となる; 押出成形、ブロ−成形、射出成形のような成形機のホッパ−からの落下によ
る供給方式では、ホッパ−内で樹脂組成物がブリッジを起こして落下を拒むため
に、供給量が極端に変動したり、吐出量がとぎれるなどの不都合が生じやすく、
安定生産ができない; などの種々の問題があることが判明した。 そこで、これら〜の問題を解消するために、本発明者らは、平均粒径が通
常の大きさになるように重合して、同様に追試験を行ったところ、この場合には
、ロ−ルのバンクが均一にならず、フィルムの表面の凹凸が極めて大きくなり、
実用に値するフィルムが得られず、また、引裂強度等の物性も大幅に低下すると
いう新たな問題が発生した。なお、この問題は、部分架橋した共重合体を単独で
使用した場合には、特に顕著に現われた。 すなわち、上記〜の間題を回避すべく成形に供する樹脂の平均粒径を大き
くすると、上記の問題が発生し、特開昭56−92024号公報の・3頁の左欄
の第18行に記載してあるとおり、成形品の表面の肌あれの発生を防止すること
ができないことが確認された。 [発明が解決しようとする課題] 本発明は、前記の事情を鑑みてなされたものである。 本発明の目的は、成形時の色調の変化が大きい、熱分解が発生しやすい、バン
クマ−クが出やすい、波ムラが発生する、高温二次加工時に艶消しが消失して光
沢がでてくる、表面の凹凸が大きくなる、物性が低下するなどの従来の種々の問
題の発生を防止すると共に、極めて滑らかな表面を有する高品質の艶消し成形品
を容易に製造することができる塩化ビニル系樹脂組成物を提供することにある。 [課題を解決するための手段] 本発明者らは、前記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の(メタ)
アクリル酸エステル類を一方のコモノマ−成分とし、特定のジエン系またはアリ
ル系化合物を他方のコモノマ−成分とし、これらのコモノマ−成分と塩化ビニル
または塩化ビニルおよびこれと共重合可能な炭素間二重結合を一つ有する化合物
との混合物(以下、「塩化ビニル等」と言う。)とを、前記各々のコモノマ−成 分と塩化ビニル等とが特定の割合になる範囲で共重合してなる共重合体を主成分
とする塩化ビニル系樹脂組成物、特に前記共重合体と可塑剤とを特定割合で含有
する塩化ビニル系樹脂組成物が、前記目的を満足するところの、優れた艶消し成
形品の製造用樹脂組成物であることを見出して本発明を完成するに至った。 すなわち、本発明の態様は、下記のA群から選択される第一コモノマーと、下
記のB群から選択される第二コモノマーと、塩化ビニル等とを、塩化ビニル等合
計100重量部当たり、前記第一コモノマ−が0.2〜2.0重量部であるとと
もに前記第二コモノマ−が0.1〜0.5重量部であり、かつ第二コモノマーに
対する第一コモノマーの重量比が1〜20である条件の下に、共重合して得られ
る塩化ビニル系共重合体であって、この塩化ビニル系共重合体を、ニトロベンゼ
ンにて処理し、その不溶解分をろ過により除去して得られるろ液を試料として、
あるいは、テトラヒドロフランにて処理し、その溶解分をエチルアルコールで沈
殿させて得られる沈殿物を試料として、JIS K−6721に準拠して求めた
重合度が300〜4,000の範囲にある塩化ビニル系共重合体100重量部と
、可塑剤20〜200重量部とを含有することを特徴とする艶消し塩化ビニル系
樹脂組成物である。 A群;多価アルコ−ルのジまたはトリ(メタ)アクリル酸エステル類およびア
リル(メタ)アクリレ−ト B群;多価アルコ−ルのジまたはトリアリルエ−テル類、ジアリルエ−テル、
多価カルボン酸のジまたはトリアリルエステル類、シアヌ−ル酸のジまたはトリ
アリルエステル類および共役二重結合を有しないジビニル炭化水素 以下、本発明について詳細に説明する。 前記A群化合物における、多価アルコ−ルのジまたはトリ(メタ)アクリル酸
エステル類としては、多価アルコ−ル分子中の2個または3個のアルコ−ル性水
酸基を形式的にアクリロイルオキシ基および/またはメタクリロイルオキシ基に
置き換えた化合物を挙げることができる。 この多価アルコ−ルとしては、脂肪族、脂環式および芳香族系等のどのような
多価アルコ−ルであってもよいが、通常は、たとえば、エチレングリコ−ル、プ
ロピレングリコ−ル、1,4−ブタンジオ−ル、1,6−ヘキサンジオ−ル、1
, 8−オクタンジオ−ル、1,9−ノナンジオ−ル、1,10−デカンジオ−ル、オ
クタデカンジオ−ル等の炭素数2〜18程度のアルカンジオ−ル類、特にα,ω
−アルカンジオ−ル類、ポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル等
のポリアルキレングリコ−ル類、特に炭素数が4〜50程度のポリアルキレング
リコ−ル類等の二価のアルコ−ル類、グリセリン、トリメチロ−ルプロパン、ト
リメチロ−ルエタン、ブタントリオ−ル、ヘキサントリオ−ル等の三価のアルコ
−ル類、テトラメチロ−ルメタン(ペンタエリスリト−ル)等の四価のアルコ−
ル類などを挙げることができる。 これらの多価アルコ−ルの中でも好ましいものとして、たとえば、1,4−ブ
タンジオ−ル、1,6−ヘキサンジオ−ル、1,9−ノナンジオ−ル、ポリエチ
レングリコ−ル[N=4〜50程度のもの。ただし、Nはアルキレンユニット(
この場合は、エチレンユニット)の数を示す。以下同様。]、ポリプロピレング
リコ−ル[N=4〜50程度のもの]等の二価のアルコ−ル類、トリメチロ−ル
プロパン、トリメチロ−ルエタン等の三価のアルコ−ル類、テトラメチロ−ルメ
タン(ペンタエリスリト−ル)等の四価のアルコ−ル類などを挙げることができ
る。 前記多価アルコ−ルのジまたはトリ(メタ)アクリル酸エステル類としては、
前記各種の多価アルコ−ルとメタクリル酸および/またはアクリル酸とのジエス
テルまたはトリエステルである各種のジ(メタ)アクリレ−トおよびトリ(メタ
)アクリレ−トを挙げることができる。 これらのジまたはトリ(メタ)アクリレ−トの代表例としては、たとえば、1
,4−ブタンジオ−ルのジ(メタ)アクリレ−ト[この表記によって、1,4−
ジ(アクリルロイルオキシ)ブタン、1,4−ジ(メタクロイルオキシ)ブタン
および1−アクリロイルオキシ−4−メタクリロイルオキシブタンが意味される
。以下、同様の意味を同様の表記によって示す。]、1,6−ヘキサンジオ−ル
のジ(メタ)アクリレ−ト、1,9−ノナンジオ−ルのジ(メタ)アクリレ−ト
、ポリエチレングリコ−ル[N=4〜50程度]のジ(メタ)アクリレ−ト、ポ
リプロピレングリコ−ル[N=4〜50程度]のジ(メタ)アクリレ−ト等の二
価のアルコ−ル類のジ(メタ)アクリレ−ト、トリメチロ−ルプロパンのトリ(
メ タ)アクリレ−ト、トリメチロ−ルエタンのトリ(メタ)アクリレ−ト等の三価
のアルコ−ル類のトリ(メタ)アクリレ−ト、テトラメチロ−ルメタンのトリ(
メタ)アクリレ−トアルコ−ル類などを挙げることができる。 また、前記A群中のコモノマ−成分としてはアリルアクリレ−トおよびアリル
メタアクリレ−トを挙げることができる。 これらの各種の(メタ)アクリレ−ト類は第一コモノマ−としてその一種を単
独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。 前記B群に属する多価アルコ−ルのジまたはトリアリルエ−テル類としては、
多価アルコ−ル分子中の2個または3個のアルコ−ル性水酸基を形式的にアリル
オキシ基に置き換えた化合物を挙げることができる。 これらの多価アルコ−ルとしては、前記同様の各種の多価アルコ−ルを挙げる
ことができ、その具体例としても、前記例示の各種の化合物を挙げることができ
る。 これらの多価アルコ−ルの中でも好ましいものとして、たとえば、エチレング
リコ−ル、1,4−ブタンジオ−ル、1,6−ヘキサンジオ−ル、1,8−オク
タンジオ−ル、オクタデカンジオ−ル、ポリエチレングリコ−ル[N=4〜50
程度]、ポリプロピレングリコ−ル[N=4〜50程度]等の二価のアルコ−ル
類、グリセリン、トリメチロ−ルプロパン、トリメチロ−ルエタン等の三価のア
ルコ−ル類などを挙げることができる。 前記ジ またはトリアリルエ−テル類の代表例としては、たとえば、エチレン
グリコ−ルのジアリルエ−テル(1,2−ジアリルオキシエタン)、1,4−ブ
タンジオ−ルのジアリルエ−テル、1,4−ブタンジオ−ルのジアリルエ−テル
、1,6-ヘキサンジオ−ルのジアリルエ−テル、ポリエチレングリコ−ル[N
=4〜50程度]のジアリルエ−テル、ポリプロピレングリコ−ル[N=4〜5
0程度]のジアリルエ−テル等の二価アルコ−ル類のジアリルエ−テル、グリセ
リンのジアリルエ−テル、トリメチロ−ルプロパンのジアリルエ−テル等の三価
のアルコ−ル類のジアリルエ−テル、上記三価のアルコ−ル類のトリアリルエ−
テルなどを挙げることができる。 前記B群に属するところの、多価カルボン酸のジまたはトリアリルエステル類 における多価カルボン酸としては、二価以上のカルボン酸であれば脂肪族、脂環
式、芳香族系等のどのようなカルボン酸でもよい。具体的には、たとえば、テレ
フタル酸、イソフタル酸、フタル酸、トリメリト酸等の二価または三価のベンゼ
ンカルボン酸類、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸
、アゼライン酸、セバシン酸等の炭素数3〜18程度のアルカンジカルボン酸、
マレイン酸、フマ−ル酸、イタコン酸等の炭素数4〜18程度の不飽和ジカルボ
ン酸などを挙げることができる。 前記B群に属するところの、多価カルボン酸のジまたはトリアリルエステル類
の代表例としては、たとえば、テレフタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、
フタル酸ジアリル、トリメリト酸ジアリル、トリメリト酸トリアリル、コハク酸
ジアリル、アジピン酸ジアリル、アゼライン酸ジアリル、マレイン酸ジアリル、
フマ−ル酸ジアリル等を挙げることができる。 前記B群に属するところの、シアヌ−ル酸のジまたはトリアリルエステル類と
しては、シアヌ−ル酸ジアリルおよびシアヌ−ル酸トリアリルを挙げることがで
きる。 前記B群に属するところの、共役二重結合を有しないジビニル炭化水素として
は、上記第一コモノマ−におけるジアクリレ−ト類およびアリルアクリレ−トな
らびに上記の第二コモノマ−として各種のジビニル化合物(1分子中に2個のビ
ニル基を有する化合物)以外のジビニル化合物であればどのようなものでも使用
可能であり、通常は、1,6−ヘキサジエン、1,8−ノナジエン、1,9−デ
カジエン等の炭素数4〜12程度のα,ω−アルカジエン、1,4−ジビニルベン
ゼン、1,3−ジビニルベンゼン、1,4−ジビニルトルエン等のジビニルベン
ゼン類などを好適に使用することができる。 共役二重結合を有する炭化水素を除いたのは、これらは塩化ビニルと重合しな
いからである。 なお、これらの第二コモノマ−に属する各種の化合物は、その一種を単独で使
用してもよく、二種以上を併用してもよい。 本発明の艶消し塩化ビニル系樹脂組成物の主成分として使用する前記塩化ビニ
ル系共重合体は、少なくとも、前記第一コモノマ−と前記第二コモノマ−と塩化 ビニルとを、特定のモノマー組成で共重合することによって得ることができる。 すなわち、前記塩化ビニル等の合計100重量部当たり、前記第一コモノマ−
が0.2〜2.0重量部、好ましくは0.5〜1.0重量部、前記第二コモノマ
−が0.1〜0.5重量部、好ましくは0.2〜0.3重量部で、かつ、第二コ
モノマーに対する第一コモノマ−が重量比[第一コモノマー/第二コモノマー]
で1/1〜20/1、好ましくは6/4〜8/2になる割合で共重合して得られ
た、重合度が300〜4,000の範囲にある共重合体であることに注目すべき
である。 ここで前記第一コモノマ−および第二コモノマ−の割合がそれぞれ上記の範囲
になかったり、第一コモノマ−の第二コモノマ−に対する比率(重量比)が上記
の範囲にないと、成形品(フィルムやシ−ト等。以下同様)、特に高温二次加工
による成形品に十分な艶消し効果を実現することができなかったり、成形品の引
張強度、引裂強度等の機械的性質が不十分になったり、成形時に色調の変化、熱
分解、バンクマ−クの発生、波ムラの発生、他の物性の低下を起こしやすくなっ
たり、表面の凹凸の少ない滑らかな艶消し製品を実現することができなかったり
、あるいは成形加工が困難になるなどのいずれかの問題が生じて、本発明の目的
を達成することができない。 たとえば、第二コモノマ−を用いずに、第一コモノマ−と塩化ビニルとを共重
合して得られた共重合体あるいはそれを主成分とする組成物では、成形時の色調
の変化、バンクマ−クの発生、物性の変化等は塩化ビニル単独重合体と比べれば
その程度が少なく、また、表面が滑らかな艶消しのシ−トやフィルムを製造する
ことも可能ではあるが、艶消しの程度は小さく、200℃以上特に220〜27
0℃といった高温での二次加工をした際には艶戻りして光沢が発生するという問
題が生じ、特に発泡レザ−等への応用は実用上困難である。 一方、第一コモノマ−を用いずに、第二コモノマ−と塩化ビニルとを共重合し
て得られた共重合体またはそれを主成分とする組成物では、高温二次加工した際
に艶戻りは発生しにくいものの、引張強度、引裂強度等の機械的性質の低下が大
きくなり、色調の変化、バンクマ−クの発生等も塩化ビニル単独重合体と比べて
その程度が大きくなり、さらに表面の凹凸も大きくなるなどの問題を生じ、実用 に値するフィルムやシ−トを得ることができず、本発明の目的を達成することが
できない。 そこで、前記第一コモノマ−と第二コモノマ−と塩化ビニルとを共重合した共
重合体を使用するのであるが、その場合にも、第一コモノマ−の使用割合が0.
2重量部(重量部は、前記の定義によるものとする。以下同様。)未満であると
きには、第一コモノマ−の使用量が少なすぎて、高温二次加工した際に艶戻りが
生じるなどの問題が生じ、一方、第一コモノマ−の使用割合が2.0重量部を超
えると、第一コモノマ−の使用量が多くなりすぎて、成形品の表面がきめ細かい
艶消し状態にならず、いわゆるフィッシュアイ状の表面を有するフィルムやシ−
トになり、どちらの場合も本発明の目的を満足することができない。 また、第一コモノマ−の使用割合が前記所定の範囲にあっても、第二コモノマ
−の使用割合が0.1重量部未満の場合、第二コモノマ−の使用量が少なすぎて
、成形品の表面における艶消し度合が不十分になる・などの問題が生じ、一方、
第二コモノマ−の使用割合が、0.5重量部を超えると、第二コモノマ−の使用
量が多すぎて、成形シ−トやフィルムの表面の凹凸が著しくなり、引張強度、引
裂強度等の物性が低下するなどの問題が生じ、どちらの場合にも本発明の目的を
達成することができない。 さらに、第一コモノマ−と第二コモノマ−の使用割合がそれぞれ前記の所定の
範囲にあっても、第二コモノマ−に対する第一コモノマ−の比率(重量比)が、
20/1より大きいと前記した第二コモノマ−の添加効果が過剰の第一コモノマ
−の添加量によって相殺されてしまい、前記した第一コモノマ−と塩化ビニルと
の共重合体に見られるような不都合な問題が生じ、一方、その比率が1/1未満
では、第一コモノマ−の添加効果が第二コモノマ−の添加によって相殺されてし
まい、前記した第二コモノマ−と塩化ビニルとの共重合体に見られるような不都
合な問題を生じ、どちらの場合にも本発明の効果を十分に発揮することができな
い。 本発明の艶消し塩化ビニル系樹脂組成物の主成分として使用する前記塩化ビニ
ル系共重合体は、前記第一コモノマ−と第二コモノマ−と塩化ビニル等とを前記
所定の割合で共重合することにより得ることができる。前記塩化ビニルと共重合 可能な二重結合を1個有する化合物の具体例としては、たとえば、エチレン、プ
ロピレン、1−ブテン、イソブテン等のブテン、アミレン類、1−ヘキセン、4
−メチル-1−ペンテン等のヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン等
のアルケン類、酢酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、各種フタル
酸モノビニル等の飽和カルボン酸モノビニルエステル類、酢酸アリル、プロピオ
ン酸アリル、ステアリン酸アリル、安息香酸アリル、各種フタル酸モノアリル等
の飽和カルボン酸モノアリルエステル類、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)
アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ステアリル
、(メタ)アクリル酸フェニル等の(メタ)アクリル酸エステル類、メチルビニ
ルエ−テル、エチルビニルエ−テル、セチルビニルエ−テル、フェニルビニルエ
−テル等のモノビニルエ−テル類、メチルアリルエ−テル、エチルアリルエ−テ
ル、セチルアリルエ−テル、フェニルアリルエ−テル等のモノアリルエ−テル類
、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸類
、スチレン等の芳香族モノビニル類、アクリロニトリル等を挙げることができる
が、特にこれらに限定されるものではない。 なお、これらのモノマー成分である各種の化合物は、必要に応じて、一種単独
で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。 また、前記モノマー成分を使用する場合、その使用量は、本発明の目的に支障
のない範囲で、任意の割合で使用することができる。 本発明の艶消し塩化ビニル系樹脂組成物の主成分として使用する前記塩化ビニ
ル系共重合体は、前記第一コモノマ−と第二コモノマ−と塩化ビニル等とを、所
望に応じてこれらと前記モノマー成分等の他の成分を含有させて、前記所定の割
合で共重合することにより得ることができる。もちろん、適当な触媒、溶媒もし
くは分散剤、分子量調節剤、各種の安定剤等の各種添加剤を適宜含有させて共重
合することができる。使用する触媒、溶媒もしくは分散剤や各種の添加剤として
は、特に制限はなく、所望に応じて当業界で公知のそれぞれの化合物から適宜に
選定して使用すればよい。 その際に採用する重合方法としては、特に制限はなく、公知の方法等の各種の
方法が採用可能であるが、通常は、懸濁重合法によって共重合するのが望ましい
。 これは、たとえば乳化重合法によると、場合によっては、ロ−ル加工したシ−ト
やフィルムに若干の艶戻りが生じることがあるからである。なお、このことは、
特公昭59−42138号公報の2頁の左欄の上から5行目から17行目にかけ
て記載されているとおり、乳化重合した架橋構造を有する共重合体には、光沢の
ある透明な製品が得られるとすることとほぼ一致する。 前記共重合反応における重合条件としては、特に制限はないが、従来のこの種
の塩化ビニル系共重合体の製造の際に採用される重合条件等を適宜採用すること
ができる。 一般的には、重合反応温度を、32〜80℃程度、好ましくは43〜70℃程
度の範囲から選択するのが適当である。重合反応時間は、通常、4〜12時間程
度、好ましくは5〜7時間程度の範囲とすれば十分である。 本発明の艶消し塩化ビニル系樹脂組成物の主成分として使用する前記塩化ビニ
ル系共重合体は、これを、ニトロベンゼンにて処理し、その不溶解分をろ過によ
り除去して得られるろ液を試料として、あるいは、テトラヒドロフランにて処理
し、その溶解分をエチルアルコールで沈殿させて得られる沈殿物を試料として、
JIS K−6721に準拠して求めた重合度が、300〜4,000の範囲に
あることが重要である。 この重合度が300未満であると、引張強度、引裂強度等の機械的性質が大き
く低下してシ−トやフィルムに加工しても実用に耐えうる十分な強度等の物性を
確保することができず、一方、重合度が4,000を超えると成形性が大幅に低
下し、フィルムやシ−トへの加工が困難になり、どちらの場合にも本発明の目的
を達成することができなくなる。 なお、前記重合度の好ましい範囲は、600〜1,800であり、より好まし
い範囲は、700〜1,300である。こうした範囲の重合度の場合には、塩化
ビニル系重合体の成形加工性と物性のバランスが十分に良好になり、実用上有利
になる。 ところで、「ポリ塩化ビニル(その化学と工業)2.:朝倉書店発行」の第41
頁によると、塩化ビニル単量体[M1 ,rl]と他の単量体[M2 ,r2]との共
重合体中のM2 のモル分率は、r1 ,r2の値によって異なることが説明して
あ る。さらに、第三の単量体[M3 ,r3]等の単量体を加えた多元系になると、
共重合体中の各単量体ユニットのモル分率は重合反応の経過につれて、より複雑
に変化することが予想される。 本発明に係わる前記塩化ビニル系共重合体は、塩化ビニルとA群に属する第一
コモノマ−とB群に属する第二コモノマーと、さらには所望に応じて他のモノマ
ー成分とを共重合してなる多元共重合体であり、しかも、第一コモノマ−および
第二コモノマ−は、それぞれ、塩化ビニル等と共重合可能な特定の二重結合含有
基を2個以上有する化合物であり、架橋性の化合物である。このような多元系の
共重合過程においては、各単量体もしくはその二重結合の反応性の違い等によっ
て共重合体の組成や構造が重合反応の初期、中期、後期で複雑に変化すると推察
される。こうした複雑な共重合の結果として、部分架橋を有する複雑な構造の多
元共重合体である本発明に係わる前記塩化ビニル系共重合体が得られる。 このようにして得られた前記塩化ビニル系共重合体は、成形時に、色調の変化
が少なく、熱分解が発生しにくく、バンクマ−クが生じにくく、波ムラが発生し
ない、高温二次加工時にも艶戻りしない、表面が凹凸の小さい、物性の低下の程
度が小さい等の優れた成形特性を有しており、艶消し性に優れ、表面性状に優れ
、しかも引張強度、引裂強度等の機械的性質等に優れたシ−トやフィルム等の成
形体に成形することができる。 本発明の艶消し塩化ビニル系樹脂組成物は、前記塩化ビニル系共重合体100
重量部と可塑剤20〜200重量物を含有する樹脂組成物である。 可塑剤を含有せしめると、フィルムやシート等の成形品の硬度の調整と加工性
を改良することができる。それ故、可塑剤の配合量が20重量部未満であると塩
化ビニル系共重合体樹脂組成物の溶融粘度が高くなって成形加工が困難になるこ
とがあり、200重量部を越えるとブリードやブルーム等を生じることがある。 前記可塑剤としては、フタル酸エステル可塑剤たとえばジブチルフタレート(
DBP)、ジ−2−エチルヘキシルフタレート(DOP)、ジノニルフタレート
(DNP)、ジイソノニルフタレート(DINP)等、混合フタレートエステル
たとえばn−オクチル・n−デシルフタレート(NODP)、ブチルベンジルフ
タレート(BBP)、ブチルオクチルフタレート(BOP)等、リン酸エステ ル可塑剤たとえばトリクレジルホスフェート(TCP)、トリ−2−エチルヘキ
シルホスフェート(TOP)、トリフェニルホスフェート(TTP)、クレジル
ジフェニルホスフェート(CDP)等、アジピン酸エステル可塑剤たとえばジ−
2−エチルヘキシルアジペート(DOA)、ジイソデシルアジペート(DIDA
)等、そのほか当業界において公知の各種の可塑剤を挙げることができる。 本発明の艶消し塩化ビニル系共重合体樹脂組成物は、前記可塑剤の外に、本発
明の目的を阻害しない限りにおいて当業界において公知の各種の添加剤を配合す
ることもできる。 前記添加剤としては、たとえば、安定剤、キレ−タ−、エポキシ系安定化助剤
、純有機系安定化助剤、抗酸化剤、紫外線防止剤、充填剤、耐衝撃剤等々を挙げ
ることができる。これらは必要に応じて適宜に選択して、前記含有量の範囲内で
それぞれ適量を配合すればよい。 前記塩化ビニル系共重合体と前記可塑剤、要すれば前記各種の添加剤との混合
は、たとえば、高速ミキサ−、リボンブレンダ−、タンブラ−等の公知のブレン
ダ−、ミキサ−、混練機等の各種の混合装置によって行うことができるが、これ
らに限定されるものではなく、たとえば、成形機によっては成形と同時に行うこ
ともできる。 本発明の艶消し塩化ビニル系樹脂組成物を成形するに際して、その成形方法と
しては特に制限はなく、公知の成形方法等のいかなる成形方法を適用してもよい
。具体的には、たとえば、カレンダ−成形、押出成形、射出成形、回転成形、プ
レス成形、ブロー成形、インフレーション成形等々を挙げることができる。 なお、本発明の艶消し塩化ビニル系共重合体樹脂組成物は、混練程度の低い押
出成形の場合に、より一層の艶消し効果が現われる。 本発明の艶消し塩化ビニル系樹脂組成物あるいはそれを成形して得られた一次
成形品は、所望に応じて、さらに加工処理を施して、所望の性状の製品として仕
上げることができる。その際、たとえば200℃前後、あるいは220〜270
℃といった200℃以上の高温での成形もしくは加工処理を好適に行なうことが
できる。 本発明の艶消し塩化ビニル系樹脂組成物は、前記特定の塩化ビニル系共重合体 を主成分としているので、前記したように、成形時に、色調の変化が少なく、熱
分解が発生しにくく、バンクマ−クが生じにくく、波ムラが発生しない、高温二
次加工時にも艶戻りしない、表面が凹凸の小さい、物性の低下の程度が小さい等
の優れた成形特性を有している。 この発明の艶消し塩化ビニル系樹脂組成物は、艶消し性に優れ、表面性状に優
れ、しかも引張強度、引裂強度等の機械的性質等に優れたシ−トやフィルム等の
艶消し成形加工品を与えることができる。 また、成形および加工に際して、必要に応じて、本発明の目的に支障のない範
囲で、他の塩化ビニル系樹脂やその組成物等の他の成分を含有させて複合化する
こともできる。 成形品もしくは成形加工品の形状としては、特に制限はなく、単層状、2層以
上の多層構造の積層状のシ−トやフィルム状はもとより、どのような形状および
構造のものにしてもよい。 [作用] 本発明の艶消し塩化ビニル系樹脂組成物が前記したように優れた成形加工特性
を有し、艶消し性に優れ、表面の凹凸の少ないなどの表面性状に優れ、しかも引
張強度、引裂強度等の機械的性質等の物性に優れるなど高品質の艶消しシ−トや
フィルム等の成形加工品に容易になしうるのは、前記した特定の組成および構造
を有する塩化ビニル系共重合体を主成分として用いていることによる。この塩化
ビニル系共重合体が、上記のような優れた成形加工特性をもって上記のような優
れた性能を有する成形加工品を与える理由については、必ずしも明らかではない
が、この塩化ビニル系共重合体が前記したように複雑な共重合過程を経て構成さ
れた複雑な組成および構造を有することに基づくものと推察することができる。 [実施例] 次に、本発明を実施例および比較例によってさらに具体的に説明する。 なお、以下の実施例および比較例における塩化ビニル系共重合体もしくは塩化
ビニル系樹脂組成物の特性あるいはこれらを用いて得られた製品の品質評価等は
、次に示す方法等により行った。 塩化ビニル系共重合体の重合度 JIS K−6721に準拠して測定した。 なお、ニトロベンゼンに溶解しない不溶解分は濾過により除去し、濾液を試験
液とすることにより、塩化ビニル系共重合体の重合度を求めた。 塩化ビニル系樹脂の嵩比重 JIS K−6721に準拠して測定した。 塩化ビニル系樹脂の粒度 (イ)JIS Z8801による42、60, 100、200メッシュの標準
ふるいを受皿野 上に、ふるいの目の大きさの細かい方を下にし て重ね、これ
を一組とする。 (ロ)試料10gを上皿天秤で0.01gまで正 確に秤取り。耐電防止剤(エ
タノール溶液)を 2〜3回噴霧する。 (ハ)上記試料を自然乾燥した後に、ふるいの上 段(42メッシュ)に入れ、
15分間振とうす る。振とう回数は240回/分とする。 (ニ)各篩上に残った試料の重さを0.01gま で秤量し、各篩の通過割合を
算出する。 ロ−ル膜の外観評価 塩化ビニル系樹脂100重量部、ジオクチルフタレート(DOP)60重量部
、Ba−Zn系安定剤2重量部、キレ−タ−0.5重量部、亜鉛系安定剤0.1
5重量部およびカ−ボンブラック1重量部をビ−カ−にて混合して、得られた混
合物を8インチロ−ルを用い、ロ−ル温度160℃、ロ−ルギャップ0.6mm
の条件で7分間混練してロ−ル膜を作成した。 作成されたロ−ル膜の波ムラを目視にて次の基準で評価した。 ◎ 極めて平滑 〇 僅かに波ムラがある。 △ かなり波ムラがある。 X 激しい波ムラがある。 ロ−ル膜の表面粗さの測定 (株)東京精密の表面粗さ計[サ−フコム550A型]にて前記で得られたロ
ール膜のRa値を測定し、下記の基準で評価した。 ◎ Ra≦2μm 〇 2<Ra≦5μm △ 5<Ra≦10μm X 10μm<Ra ロ−ル膜の引張強度の測定 前記で得られたロール膜につき、JIS K−6732準拠して測定した。 ロ−ル膜の引裂強度の測定 前記で得られたロール膜につき、JIS K−6732準拠して測定した。 なお、測定値を次の基準で評価した。 単位は、いずれもKg/cm2である。 ◎ 300≦測定値 ○ 250≦測定値<300 △ 200≦測定値<250 X 測定値<200 ロ−ル膜の艶戻りの測定 前記で得られたロ−ル膜をそのままあるいは220℃のギヤ−オ−ブンに3
分間吊して熱処理した後、スガ試験機(株)製のデジタル変角光沢計UGV−5
Dにて60°グロスを測定し、その熱処理前後のグロス値の差もって、次の基準
で評価した。 ◎ グロス差≦2 ○ 2<グロス差≦10 △ 10<グロス差≦20 X 20<グロス差 ロ−ル膜の熱安定性の測定 上記のの項で、カ−ボンブラックのみを配合しないで同様にしてロ−ル膜を
作成した。このロ−ル膜を180℃のギヤ−オ−ブン中に吊して、10分間毎に
取り出して、膜の変色を観察し膜が黒化する時間を評価すると同時に、スガ試験
機株製のSMカラ−コンピュ−タSMー5−IS−2Bを用いて、上記ギヤ−オ
−ブンで10分間処理した後のサンプルと未処理サンプルとについて、イエロ−
インデックス値(YI)を測定し、その差(△YI)をもって以下の基準で評価 した。 ◎ △YI≦3 〇 3<△YI≦7 △ 7<△YI≦20 X 20<△YI (実施例1〜16) 撹拌機付きの内容積200 の重合器の内部を窒素ガスにて置換し、次いで純
水100kg、懸濁剤としてケン化度69%で平均重合度800の部分ケン化ポ
リ酢酸ビニル40gを重合器に仕込み、ジ 3−メトキシブチルパ−オキシジカ
−ボネ−ト60gと第1表または第2表に記載の各種の第一コモノマ−と第1表
〜第3表に記載の各種の第二コモノマ−とをそれぞれ表示の量および割合で仕込
み、次いで塩化ビニル50kgを仕込み、仕込み開始と同時に撹拌機で撹拌混合
を開始した。 次に、重合反応温度を57℃に昇温して、懸濁状態で重合を行い、重合器の内
圧が6Kg/cm2になった時点で、未反応の塩化ビニルを排出して、スラリ−を脱水
、乾燥して所望の塩化ビニル系共重合体を得た。 この塩化ビニル系共重合体を用いて、前記4.の方法によってロ−ル膜を作成し
、前記の各種の測定法および品質評価法によって、そのロ−ル膜の外観、表面粗
さ、引裂強度、引張強度、艶戻り、熱安定性(黒化時間、△YI:但し、この場
合、ロ−ル膜は、前記9.により作成した。)等の測定および評価を行った。 これらの結果を第1表〜第3表に示す。 (比較例1〜22) 第1表〜第3表に示すように、第一コモノマ−および第二コモノマ−のうちの
いずれか一方のみを用いて重合を行った以外は、前記実施例と同様にして比較の
ための塩化ビニル系共重合体およびそのロ−ル膜を得て、これらについて同様の
測定および評価を行った。 結果を第1表〜第3表に示す。 (実施例17〜19、比較例23〜24) 重合温度と触媒とを第4表に記載の通りに変更した以外は、前記実施例2の条 件で重合して塩化ビニル共重合体を得て、同条件で評価した結果を第4表に記載
した。尚、第4表の重合度は、共重合体を溶解して、溶解する部分のみをエチル
アルコールにて再沈殿して重合度を測定した。 結果を第4表に示す。 (実施例20,21、比較例25、26) 可塑剤量を第5表に記載の通りに変更した以外は、前記実施例2の条件で試験
した。 その結果を第5表に示す。 [発明の効果] 本発明の塩化ビニル系共重合体は、特定の(メタ)アクリル酸エステル類を第
一コモノマーとし、また、特定のジまたはトリアリル系化合物もしくはジまたは
トリビニル系化合物を第二コモノマーとして用い、少なくとも、この第一コモノ
マーと第二コモノマーと塩化ビニルとを特定の割合で共重合してなる特定の塩化
ビニル系共重合体を主成分とした組成物としているので、 (1)豊富なコモノマーの種類、組み合わせの選択によって、多様な組成および
構造の多元共重合体系の組成物に調製することができ、用途に応じて多種多様の
製品を製造することができ、 (2)成形加工も従来の通常の方法によって容易に行なうことができ、 (3)成形時に、色調の変化が少ない、熱分解が発生しにい、バンクマ−クが生
じにくい、波ムラが発生しにくい、艶戻りがない、表面の凹凸が小さい、物性の
低下の程度が小さい等の優れた成形特性を有しており、 (4)艶消し性に優れ、表面性状に優れ、しかも引張強度、引裂強度等の機械的
性質等に優れたシ−トやフィルム等の高品質の艶消し成形加工品を与えることが
でき (5)また、高温二次加工を施しても、艶戻りが十分に少なく、しかも上記の優
れた特性を十分に保持することができる などの種々の利点を有する工業的に著しく有用なシ−ト、フィルム等用の塩化ビ
ニル系共重合体組成物を提供することができる。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 (1)下記のA群から選択される第一コモノマーと、下記のB群から選択される
    第二コモノマーと、塩化ビニルまたは塩化ビニルおよびこれと共重合可能な炭素
    間二重結合を一つ有する単量体の混合物(以下、「塩化ビニル等」と称する。)
    とを、塩化ビニル等100重量部当たり、前記第一コモノマーが0.2〜2.0
    重量部であるとともに前記第二コモノマーが0.1〜0.5重量部であり、かつ
    第二コモノマーに対する第一コモノマーの重量比が6/4〜8/2である条件の
    下に、共重合して得られる塩化ビニル系重合体であって、この塩化ビニル系共重
    合体をニトロベンゼンにて処理し、その不溶解分をろ過により除去して得られる
    ろ液を試料として、JIS K−6721に準拠して求めた重合度が300〜1
    300の範囲にある塩化ビニル系共重合体100重量部と、可塑剤20〜200
    重量部とを含有することを特徴とする艶消し塩化ビニル系樹脂組成物。 A群;多価アルコ−ルのジまたはトリ(メタ)アクリル酸エステル類およびア
    リル(メタ)アクリレ−ト B群;多価アルコ−ルのジまたはトリアリルエ−テル類、ジアリルエ−テル、
    多価カルボン酸のジまたはトリアリルエステル類、シアヌ−ル酸のジまたはトリ
    アリルエステル類および共役二重結合を有しないジビニル炭化水素

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