JP2537562Y2 - プレスの予備曲げ装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案はプレスへ搬入するワークを予備曲げするた
めのプレスの予備曲げ装置に関する。

〔従来の技術〕

従来トランスファプレスは、ワークの搬送方向に並設
された一対のトランスファバーを有していて、これらト
ランスファバーによりワークの搬入出や各加工ステーシ
ョン間の搬送を行っているが、ワークが薄板でしかも大
型の場合、トランスファバーでクランプするとワークが
撓んで搬送できないことがある。

また雄型を下型にしてプレスを行う場合も、下型に載
置したワークがずり落ちることがある。

このような場合従来ではプレス本体のワーク搬入側に
予備曲げ装置を設けてワークを山形に予備曲げすること
により、ワークに剛性をもたせてトランスファバーによ
る搬入を可能にしたり、下型上に安定した状態で載置で
きるようにしている。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかし従来の予備曲げ装置は上型がプレス本体のスラ
イド側に取付けられていて、スライドの下降とともにワ
ークの予備曲げを行っているため、スライドに作用する
偏荷重によってプレス本体側の成形精度を低下させると
共に、予備曲げ装置の構造が複雑なため、高価であるな
どの不具合があった。

またプレス本体内へ作業者が入って内段取で下型の高
さ調整などを行わなければならないため、作業に多くの
時間を要して作業能率が悪いと共に、作業に危険が伴う
などの不具合もあった。

この考案は上記不具合を改善する目的でなされたもの
で、プレス本体側の成形精度に悪影響を及ぼすことなく
ワークの予備曲げが行えるようにしたプレスの予備曲げ
装置を提供しようとするものである。

〔課題を解決するための手段及び作用〕

この考案は上記目的を達成するために、プレス本体の
ワーク搬入側に上下駆動手段と旋回手段により上下動と
旋回が自在な下型及び上型を設けると共に、上記上型を
プレス本体のスライドより突設したキッカにより打撃す
ることにより、スライドとともに上型を下降できるよう
にして、上記上型と下型の間でワークの予備曲げが行え
るようにした。

また上型及び下型を３分割して、ワークの大きさに応
じて両端側の上型及び下型を退避シリンダにより退避さ
せることにより大きなサイズのワークから小さなサイズ
のワークまで予備曲げが行えると共に、下型上に搬入さ
れたワークを下方より支持するスキッドをトランスファ
バーの搬送高さに応じて複数段階に高さ調整できるよう
にしたプレスの予備曲げ装置を提供するものである。

〔実施例〕

この考案を図示の一実施例を参照して詳述すると、図
において１はトランスファプレスの本体（以下プレス本
体という）で、ボルスタ1a上に下型２が載置されている
と共に、ボルスタ1aの上方には図示しないスライド駆動
機構により上下動されるスライド３が設けられており、
このスライド３の下面に上記下型２との間でワーク４を
成形する上型５が取付けられている。

６は上記プレス本体１のワーク搬入側に設置された予
備曲げ装置で、スキッドバー昇降用サーボモータ７によ
り上下動されるリフトテーブル８を有しており、このリ
フトテーブル８上に旋回モータ９及び旋回機構10を介し
て旋回される下部旋回部材11が設けられている。

そしてこの下部旋回部材11上の上方に下型12とスキッ
ド13が設けられている。

上記下型12は第２図に示すように３分割されていて、
ワーク４の大きさに合せて両端側の下型12a,12bが退避
シリンダ14により下方へ退避できるようになっていると
共に、下型12全体が大型シフト用モータ15によりワーク
搬送方向（矢印Ａ）へシフトできるようになっている。

また上記スキッド13は第２図に示すように、中央の下
型12と両端側の下型12a,12bの間及び両端側の下型12a,1
2bの外側に、それぞれ複数本（実施例では４本）がワー
ク搬送方向Ａと平行するよう並設されている。

そして中央の下型12と両端側の下型12a,12bの間に設
けられたスキッド13によりサイズの小さなワーク４を下
方より支持し、サイズの大きなワーク４は、中央の下型
12と両端側の下型12a,12bの間に設けられたスキッド13
及び両端側の下型12a,12bの外側に設けられたスキッド1
3により下方より支持するようになっており、各スキッ
ド13の両端側は、下部旋回テーブル11上に立設されたガ
イドポスト16に支持されていると共に、各ガイドポスト
16の上部に設けられたサブリフタ用シリンダ17により上
下動できるようになっている。

さらに上記ガイドポスト16の下部に位置決め調整用モ
ータ18が設けられていて、この位置決め調整用モータ18
によりスキッド13の上面高さがプレス本体１に設けられ
たトランスファバー20の搬送高さ（実施例の場合４段階
に調整可能）a,b,c,dに合せ調整できるようになってい
る。

一方上記予備曲げ装置６のフレーム6a上部には架台6b
が設けられていて、この架台6b上に上型昇降用モータ22
と上型旋回用モータ23が設置されている。

また上記架台6bの下方には上記上型昇降用モータ22及
び上型旋回用モータ23により昇降動及び旋回される上部
旋回部材24が設けられている。

上記上部旋回部材24は架台6bの中心部を貫通するよう
に設けられた昇降杆25の下端に連結されていて、プレス
本体１のスライド３側面に突設したキッカ3aにより昇降
杆25の上端を打撃することにより、昇降杆25とともに上
部旋回部材24が第１図の仮想線位置から実線位置まで下
降されるようになっていると共に、上記上部旋回部材24
は、フレーム6aやプレス本体１のアプライトに設けられ
たバランスシリンダ（ともに図示せず）により支持され
ていて、スライド３の上昇とともに上昇されるようにな
っている。

また上部旋回部材24の下部にはワーク搬送方向Ａに沿
ってガイド杆26が布設されていて、このガイド杆26に上
型27が支承されている。

上記上型27も第２図に示すように３分割されていて、
ワーク４の大きさに合せて両端側の上型27a,27bが退避
シリンダ28により上方へ退避できるようになっていると
共に、上型27全体が上型シフト用モータ29によりガイド
杆26に沿ってシフトできるようになっている。

次に作用を説明すると、図示しないデイスタッカによ
り分離されたワーク４は、マグネットコンベヤなどのワ
ーク搬送装置30により搬送されて予備曲げ装置６内へと
搬入される。

このとき予備曲げ装置６の上型27は上部旋回部材24と
ともに第１図の仮想線位置に上昇されている。

次にプレス本体１内にすでに搬入されているワーク４
を成形すべくスライド３が下降すると、スライド３より
突設されたキッカ3aが昇降杆25の上端を打撃するため、
スライド３の下降とともに上部旋回部材24が第１図実線
位置まで下降し、上型27と下型９の間でワーク４の予備
曲げが行われる。

その後プレス本体１のスライド３が上昇すると、これ
に伴い上部旋回部材24も第１図の仮想線位置まで上昇す
ると共に、予備曲げの完了したワーク４は、サブリフト
用シリンダ17により上昇されたスキッド13により下方よ
り支持されて、トランスファバー20の搬送高さまで上昇
された後、トランスファバー20によりクランプされてプ
レス本体１内へ搬入され、また予備曲げ装置６には、次
に予備曲げを行うワーク４が搬入される。

なお予備曲げするワーク４のサイズが小さい場合は、
予め両端側の上型27a,27b及び下型12a,12bを退避シリン
ダ28,24で上下方向へ退避させておくことにより、予備
曲げの完了したワーク４をトランスファバー20がクラン
プする際、トランスファバー20と両端側の上型27a,27b
及び下型12a,12bが干渉するのを防止することができ
る。

以下上記動作を繰返すことによりワーク４の予備曲げ
を行うもので、ワーク４の予備曲げ位置を変えたり、予
備曲げ位置の角度を変えたい場合は、下型シフト用モー
タ15及び上型シフト用モータ29により下型９と上型27を
同期させてワーク４の搬送方向Ａへ移動させ、もしくは
下型旋回用モータ９及び上型旋回用モータ23により下型
12と上型27を同期させて旋回させればよい。

〔考案の効果〕

この考案は以上詳述したようにプレス本体のスライド
に設けたキッカで予備曲げ装置の上型を押下げて下型の
間でワークの予備曲げを行うようにしたことから、従来
の予備曲げ装置のように上型の荷重がスライド側に偏荷
重として加わることがない。

これによってプレス本体側の成形精度に悪影響を及ぼ
すことがないと共に、予備曲げ装置がプレス本体と独立
しているため、従来のものに比べて構成が簡素化でき
る。

これによって装置全体の軽量化と価格低減などが図れ
ると共に、上型及び下型の高さ調整が上下型昇降用モー
タなどの上下駆動手段によって自動的に行えるため、従
来のようにプレス本体内へ作業員が入って内段取りで高
さ調整を行う必要がなく、これによって段取り時間の短
縮による生産性の向上と、作業者の安全が図れるように
なる。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の一実施例を示し、第１図は全体的な正
面図、第２図は上型及び下型部分の説明図である。 １はプレス本体、３はスライド、3aはキッカ、４はワー
ク、12,12a,12bは下型、13はスキッド、14は下型退避用
シリンダ、15は下型シフト用モータ、20はトランスファ
バー、27,27a,27bは上型、28は上型退避用シリンダ、29
は上型シフト用モータ。

Claims (4)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】プレス本体１のワーク搬入側に、上下駆動
   手段と旋回手段により上下動と旋回が自在な下型12及び
   上型27を設けると共に、上記上型27をプレス本体１のス
   ライド３より突設したキッカ3aにより打撃することによ
   り、スライド３とともに上型27を下降できるようにして
   なるプレスの予備曲げ装置。
2. 【請求項２】上型27及び下型12を３分割し、かつワーク
   ４の大きさに応じて両端側の上型27a,27b及び下型12a,1
   2bを退避用シリンダ28,14により上方及び下方へ退避で
   きるようにしてなる請求項１記載の予備曲げ装置。
3. 【請求項３】上型27及び下型12を上型シフト用モータ29
   及び下型シフト用モータ15によりワーク搬送方向へシフ
   トできるようにしてなる請求項１記載の予備曲げ装置。
4. 【請求項４】下型12上に搬入されたワーク４を下方より
   支持するスキッド13を、トランスファバー20による搬送
   高さに応じて複数段階に高さ調整できるようにしてなる
   請求項１記載の予備曲げ装置。