JP2537551Y2 - 静電塗装装置の中間貯留槽 - Google Patents

静電塗装装置の中間貯留槽

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JP2537551Y2
JP2537551Y2 JP1950892U JP1950892U JP2537551Y2 JP 2537551 Y2 JP2537551 Y2 JP 2537551Y2 JP 1950892 U JP1950892 U JP 1950892U JP 1950892 U JP1950892 U JP 1950892U JP 2537551 Y2 JP2537551 Y2 JP 2537551Y2
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は、シリンダ内に塗料を一
旦貯留して塗装ガンに該塗料を供給するとともに、この
シリンダ内を洗浄液により洗浄するよう構成された静電
塗装装置の中間貯留槽に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、導電性塗料の静電塗装装置の
一形態として、塗装ガンと塗料供給源との間に中間貯留
槽が設けられている。
【0003】そして、新たに用いられる塗料の色替え時
に、色替え前の塗料が中間貯留槽内に残留付着すること
による混色を回避すべく数々の工夫がなされている。そ
の一例として、特開昭63−310671号の「被加工
物品を導電性の塗装材料で順次塗装する方法」等の技術
的思想が掲げられる。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
従来技術では、ピストンとシリンダとの間のシール部材
としてOリングが用いられているため、このピストンの
変位に伴う塗料の送出時にシリンダ室に注入されている
塗料が微量に液洩れを生ずることがある。その結果、シ
リンダ室の内壁に塗料が残留付着し、その残留付着した
塗料と色替えした塗料とが混色状態を生起する。すなわ
ち、ワークに純正な色の塗料を塗布することができない
不都合が顕在化している。また、前記の不都合を克服す
るためにピストンを後退させた状態で洗浄しなければな
らず、洗浄時間の長期化と洗浄液を大量に必要とする不
都合が存在している。
【0005】そこで、本出願人は、上記Oリングに代え
て断面形状がU字状またはV字状のシール部材を用いる
ことを提案している(特願平2−304465号《特開
平4−176351号》等参照)。このシール部材を使
用することにより、ピストンの変位時にシリンダ室の内
部の液圧のために該シール部材のU字状またはV字状の
断面形状が拡開し、ピストンとシリンダとの機密性が向
上して液洩れを阻止することが可能となっている。
【0006】本考案は、この種のシール部材を用いた中
間貯留槽に関するものであり、ピストンとシリンダとの
機密性を確保するとともに、特にシール部材の膨潤によ
る該ピストンの摺動抵抗の増加を有効に阻止することが
可能な静電塗装装置の中間貯留槽を提供することを目的
とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
めに、本考案は、シリンダと、前記シリンダ内に往復摺
動自在に配設されたピストンと、シリンダ器壁に設けら
れ、塗料および洗浄液の供給源に接続される注入孔部
と、前記シリンダ器壁に設けられ、塗装ガンに接続され
る塗料および洗浄液の排出孔部と、前記ピストンの周壁
部に配設される高分子材料製のシール部材とを備え、前
記シール部材は、中実状基部に連続しかつその開口部が
前記シリンダ器壁側に開放された断面U字状または断面
V字状の摺接部を有するとともに、前記中実状基部の外
周面部と前記シリンダ器壁の内周面部との間に所定の間
隙が形成されることを特徴とする。
【0008】
【作用】上記の本考案に係る静電塗装装置の中間貯留槽
では、長期間の使用によりシール部材に塗料中および洗
浄液中の水分が浸入して、このシール部材の膨潤を惹起
し易いが、該シール部材の摺接部は、断面U字状または
断面V字状に構成されているため、その開口部側に膨出
してシリンダ器壁の内周面部との摺動抵抗の増加を発生
することがない。一方、中実状基部の外周面部とシリン
ダ器壁の内周面部との間に所定の間隙が形成されている
ため、該中実状基部の膨出部分がこの間隙に収容されて
前記中実状基部とシリンダ器壁との摺動抵抗の増加を有
効に阻止することができる。従って、ピストンが常時円
滑に摺動変位し、効率的かつ高精度な塗装作業を遂行す
ることが可能になる。
【0009】
【実施例】本考案に係る静電塗装装置の中間貯留槽につ
いて実施例を挙げ、添付の図面を参照して以下に説明す
る。
【0010】図1において、参照符号10は本実施例に
係る静電塗装装置の中間貯留槽を示す。この中間貯留槽
10は、シリンダ12と、このシリンダ12内に往復摺
動自在に配設されたピストン14と、シリンダ器壁16
に設けられて塗料および洗浄液の供給源(後述する)に
接続される注入孔部18と、このシリンダ器壁16に設
けられて後述する塗装ガンに接続される塗料および洗浄
液の排出孔部20と、前記ピストン14の周壁部14a
に配設される高分子材料製、例えばポリエチレン樹脂製
のシール部材22とを備える。
【0011】ピストン14は、ピストン本体23とピス
トンロッド24とを備え、このピストン本体23は、ピ
ストンロッド24の先端部分に固定され、その周壁部1
4aに設けられた外周側部23a、23bがシリンダ器
壁16の内周面部16aに密接する。この外周側部23
a、23bの間に周溝26が形成され、この周溝26の
内部に水、または水とグリセリンの混液が充填される。
周壁部14aには、周溝26を画成する外周側部23a
および23bの外方にシール部材22が配設される。
【0012】少なくとも注入孔部18および排出孔部2
0側に配設されるシール部材22は、中実状基部28
と、この中実状基部28に連続しかつその開口部30を
シリンダ器壁16側に開放する断面U字状の摺接部32
とを有する(図2参照)。中実状基部28の外周面部3
4は、摺接部32の外周直径よりも小径に構成され、こ
の外周面部34と内周面部16aとの間に所定の間隙3
8が形成される。摺接部32の開口部30には、この開
口部30を拡開させる方向に作用する板ばね(弾性部
材)40が配設される。
【0013】ピストン本体23の先端面に三日月状の三
個の突起部42a乃至42cが設けられ、この突起部4
2a乃至42c側に第1シリンダ室44が形成されると
ともに、この第1シリンダ室44を構成するシリンダ器
壁16には、塗料および洗浄液の注入孔部18と排出孔
部20とが穿設されている。この排出孔部20は、塗装
ガン(後述する)と連通状態にあり、塗料並びに洗浄液
を第1シリンダ室44に導入するための注入孔部18
は、傾斜してシリンダ12の外周壁まで延在している。
【0014】ピストン本体23によって分割された他方
の第2シリンダ室46には、ピストン14を矢印X1方
向へ摺動させるための駆動源となるエアを供給し、ま
た、この供給されたエアを外部へと排出するためのエア
用孔部48が穿設されている。
【0015】なお、中間貯留槽10は、静電塗装方法の
一つであるボルテージブロック法を用いることを可能と
するため、全体として絶縁体をなすものであるが、場合
によってこの中間貯留層10を絶縁体で囲繞して、同一
の機能、すなわち、絶縁機能を持たせることもできる。
【0016】次に、この中間貯留槽10が介装される静
電塗装装置の全体の構成を説明する。
【0017】図3に示す静電塗装装置において、中間貯
留槽10は、複数の異なる塗料を選択的に供給する接地
された塗料供給源である色替弁機構50と塗装ガン52
との間に介装されている。
【0018】中間貯留槽10と色替弁機構50との間に
供給路54が設けられ、この供給路54の途上には、少
なくとも一部に電気絶縁性の管路56を有しこの管路5
6の両側に切換弁58a、58bが接続されたブロック
弁機構60が配置される。色替弁機構50は、エア
(A)と水(W)および洗浄液(S)等の供給を制御す
る第1洗浄弁62と、異なる塗料を供給することが可能
な複数の塗料弁64a乃至64eとを備えている。
【0019】ブロック弁機構60を構成する入口側の切
換弁58aによって色替弁機構50と、エア(A)、水
(W)および洗浄液(S)等の供給を制御する第2洗浄
弁66とが切り換えられ、このブロック弁機構60が出
口側の切換弁58bから供給路54を介して中間貯留槽
10と接続される。この切換弁58bは、さらに排出路
68を介して廃液槽70に連通自在である。
【0020】この中間貯留槽10の第2シリンダ室46
には、空気供給源74が流量調整弁76、開閉弁78お
よびエア用孔部48を介して連通し、ピストン14を駆
動させる。この空気供給源74は、ブースタ80を経由
してエア圧を調節するための塗料の流量調節器82に接
続されており、この流量調節器82により塗料の吐出量
の制御が図られる。
【0021】中間貯留槽10と塗装ガン52との間に
は、流量調整器82が介装された送出路84が設けら
れ、この塗装ガン52は、ダンプ弁86とトリガ弁88
とを備えるとともに、図示しない高電圧印加手段に接続
されている。
【0022】次に、このように構成される静電塗装装置
の動作について説明する。
【0023】静電塗装に際して、まず、図3に示すよう
に、色替弁機構50の塗料弁64aから所定の色の塗料
が圧送され、供給路54を介して中間貯留槽10の第1
シリンダ室44に充填され、さらに送出路84を経由し
て塗装ガン52まで充填される。この充填時には、トリ
ガ弁88が閉塞される一方、ダンプ弁86が開放され、
充填後にこのダンプ弁86が閉成される。
【0024】そこで、ブロック弁機構60の切換弁58
a、58bの切換動作が行われ、第2洗浄弁66の駆動
作用下に前記ブロック弁機構60が洗浄され、この洗浄
に用いられた洗浄液は、排出路68を経由して廃液槽7
0に排出される。そして、ブロック弁機構60が乾燥さ
れ、これにより色替弁機構50と中間貯留槽10とは、
電気的に絶縁される。
【0025】次に、空気供給源74から流量調節弁76
および開閉弁78を介して中間貯留槽10の第2シリン
ダ室46に駆動用エアが供給され、ピストン14が第1
シリンダ室44側に変位するとともに、図示しない高電
圧印加手段が駆動される。これにより、塗料は、高電圧
が直接印加された状態でトリガ弁88の開成作用下に図
示しないワークに塗布される。
【0026】この場合、中間貯留槽10において、ピス
トン14の周壁部14aに配設されるシール部材22
が、中実状基部28に連続しかつその開口部30をシリ
ンダ器壁16側に開放する断面U字状の摺接部32を有
している。このため、ピストン14の変位時に、第1シ
リンダ室44の内部の液圧あるいはエア圧のためにこの
シール部材22のU字状の断面形状が拡開してピストン
14の周縁部とシリンダ器壁16の内周面部16aとの
機密性を向上させることができる。この結果、第1シリ
ンダ室44に注入された塗料の微量な液洩れを阻止する
ことが可能になる。
【0027】ところで、中間貯留槽10を長期間使用し
ていると、シール部材22が常時塗料や洗浄液に接して
いるため、それらの中に含まれている水分がこのシール
部材22内に浸入し、該シール部材22が膨潤し易い。
その際、摺接部32は、断面U字状を有してその内部に
開口部30が形成されているため、前記膨潤が生じても
この開口部30側に膨出するので内周面部16aに対し
て必要以上に大きな摺動抵抗が作用することがない。
【0028】一方、中実状基部28にも前記膨潤が発生
し易いが、本実施例では、この中実状基部28の外周面
部34と内周面部16aとの間に所定の間隙38が形成
されている。従って、中実状基部28は、間隙38内に
膨出するためにこの中実状基部28と内周面部16aと
の摺動抵抗の増加を有効に阻止することができる。これ
により、ピストン14が、矢印X1方向および矢印X2
方向に常時円滑に摺動変位し、第1シリンダ室44への
塗料の充填時間が長くなったり、塗料の吐出量が変動し
たりすることがなく、効率的かつ高精度な塗装作業を遂
行することが可能になるという効果が得られる。
【0029】また、シール部材22の開口部30には、
この開口部30を拡開させる方向に作用する板ばね40
が配設されている。このため、断面U字状を有する摺接
部32自体の剛性が低下していても、板ばね40を介し
てこの摺接部32を内周面部16aに確実に摺接させる
ことができ、シール性の低下を防止することが可能にな
る。なお、板ばね40を摺接部32内に埋設しておけ
ば、開口部30を形成するシール部材22の内壁面の洗
浄作業が簡単かつ確実に遂行されるという利点が得られ
る。
【0030】次に、第2の実施例に係る中間貯留槽10
0の要部が、図4に示されている。なお、第1の実施例
に係る中間貯留槽10と同一の構成要素には、同一の参
照符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0031】この中間貯留槽100を構成するシール部
材102は、中実状基部104と、この中実状基部10
4に連続しかつその開口部106をシリンダ器壁(図示
せず)側に開放する断面U字状の摺接部108とを有す
る。シール部材102の外周面部110は、摺接部10
8の先端側から中実状基部104側に向かって内方に傾
斜するテーパ面部であり、この外周面部110と内周面
部16aとの間に開口断面楔形状の間隙112が形成さ
れる。摺接部108の開口部106には、この開口部1
06を拡開させる方向に作用する板ばね(弾性部材)1
14が配設される。
【0032】この場合、本第2の実施例に係る中間貯留
槽100では、シール部材102の外周面部110がテ
ーパ面部であり、この外周面部110の中実状基部10
4側が内周面部16aから大きく離間している。このた
め、中実状基部104が膨出しても、その膨出部分が間
隙112内に収まってこの中実状基部104と内周面部
16aとの摺動抵抗の増加を有効に阻止することがで
き、前述した第1の実施例に係る中間貯留槽10と同様
の効果を有することになる。
【0033】ところで、図5に示すように、シール部材
Sの中実状基部Tの中央部に切欠部K1を設けたり、こ
の中実状基部Tのピストン本体P側に切欠部K2を設け
ることも考えられる。しかしながら、切欠部K1を設け
る際には、中実状基部Tに必ず中実部分T1が存在して
しまい、この中実部分T1の膨潤によりピストンPの摺
動抵抗が増大するという不都合が生ずる。一方、中実状
基部Tの内側に切欠部K2を設けていても、この中実状
基部Tが外側に膨出するため、ピストンPの摺動抵抗の
削減を図ることができない。
【0034】なお、第1および第2の実施例では、シー
ル部材22、102の摺接部32、108を断面U字状
に構成しているが、これに限定されるものではなく、断
面V字状に構成しても同様の効果を有することができ
る。
【0035】
【考案の効果】本考案に係る静電塗装装置の中間貯留槽
によれば、以下の効果が得られる。
【0036】塗料中および洗浄液中の水分の浸入により
シール部材が膨潤しても、摺接部は、断面U字状または
断面V字状に構成されているためにその開口部側に膨出
してシリンダ器壁の内周面部との摺動抵抗の増加を惹起
することがない。一方、中実状基部とシリンダ器壁の内
周面部との間に所定の間隙が形成されているため、この
中実状基部は、該間隙内に膨出するので前記中実状基部
とシリンダ器壁との摺動抵抗の増加を有効に阻止するこ
とができる。従って、ピストンを常時円滑に摺動変位さ
せることが可能になり、効率的かつ高精度な塗装作業を
遂行することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の第1の実施例に係る静電塗装装置の中
間貯留槽の縦断説明図である。
【図2】前記中間貯留槽の要部拡大説明図である。
【図3】前記中間貯留槽を組み込む静電塗装装置概略構
成図である。
【図4】本考案の第2の実施例に係る静電塗装装置の中
間貯留槽の要部拡大説明図である。
【図5】シール部材の種々の部分に切欠部が設けられた
中間貯留槽の要部拡大説明図である。
【符号の説明】
10…中間貯留槽 14…ピストン 14a…周壁部 16…シリンダ器壁 16a…内周面部 18…注入孔部 20…排出孔部 22…シール部材 28…中実状基部 30…開口部 32…摺接部 34…外周面部 38…間隙 40…板ばね 44、46…シリンダ室 50…色替弁機構 52…塗装ガン 60…ブロック弁機構 100…中間貯留槽 102…シール部材 104…中実状基部 106…開口部 108…摺接部 110…外周面部 112…間隙 114…板ばね
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 荒井 信成 埼玉県狭山市新狭山1−10−1 ホンダ エンジニアリング株式会社内 (72)考案者 石橋 一郎 埼玉県狭山市新狭山1−10−1 ホンダ エンジニアリング株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−310671(JP,A)

Claims (2)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】シリンダと、 前記シリンダ内に往復摺動自在に配設されたピストン
    と、 シリンダ器壁に設けられ、塗料および洗浄液の供給源に
    接続される注入孔部と、 前記シリンダ器壁に設けられ、塗装ガンに接続される塗
    料および洗浄液の排出孔部と、 前記ピストンの周壁部に配設される高分子材料製のシー
    ル部材とを備え、 前記シール部材は、中実状基部に連続しかつその開口部
    が前記シリンダ器壁側に開放された断面U字状または断
    面V字状の摺接部を有するとともに、 前記中実状基部の外周面部と前記シリンダ器壁の内周面
    部との間に所定の間隙が形成されることを特徴とする静
    電塗装装置の中間貯留槽。
  2. 【請求項2】請求項1記載の中間貯留槽において、前記
    摺接部に形成される開口部には、該開口部を拡開させる
    方向に作用する弾性部材が設けられることを特徴とする
    静電塗装装置の中間貯留槽。
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