JP2537426B2 - 長期断熱性にすぐれたスチレン系樹脂発泡体の製造方法 - Google Patents

長期断熱性にすぐれたスチレン系樹脂発泡体の製造方法

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JP2537426B2 JP2167307A JP16730790A JP2537426B2 JP 2537426 B2 JP2537426 B2 JP 2537426B2 JP 2167307 A JP2167307 A JP 2167307A JP 16730790 A JP16730790 A JP 16730790A JP 2537426 B2 JP2537426 B2 JP 2537426B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明はスチレン系樹脂発泡体の製造方法に関する。
さらに詳しくは、オゾン破壊係数が0で樹脂に対する溶
解能の低い蒸発型発泡剤を用いてすぐれた断熱性を長期
間有するスチレン系樹脂押出発泡体を製造する方法に関
する。
(従来の技術) スチレン系樹脂発泡体の製造方法の一つとして溶融樹
脂中に蒸発型発泡剤を添加し、低圧域へ押出すことによ
って溶融スチレン系樹脂を発泡させる方法が広く採用さ
れている。この方法には従来から一般に蒸発型発泡剤と
してジクロロジフルオロメタン(以下フロン−12とい
う),ジクロロテトラフルオロエタン(以下フロン−11
4という)などのフロン類が用いられている。
しかしながら、これらのフロン類は空気中に拡散して
成層圏まで上昇し、オゾン層を破壊して有害な放射線の
地表到達率を上昇せしめ、皮膚癌などの疾病を多発する
おそれがあるといわれ、世界的にその使用制限、さらに
は全廃などの対策案が打ち出されている。
そこで本発明者らは、発泡剤にプロパン,ブタンなど
の炭化水素系の発泡剤を用い、断熱性能にすぐれた押出
発泡体を得ることを試みたが、プロパンを主発泡剤とし
て用いた場合には十分に低い熱伝導率を有する押出発泡
体を得ることができなかった。また、n−ブタンを主成
分とする工業用ブタンを主発泡剤として用いた場合に
は、気泡が肥大化するなどの現象が見られる他、発泡体
中におけるブタンの残存率がフロン−12等と比較すると
小さく、すぐれた断熱性能を引き出すまでに至っていな
い。
また、オゾン破壊係数が小さいフロン類としてジフル
オロクロロメタン(以下フロン−22という)やオゾン破
壊係数が0のフロン類として1,1−ジフルオロエタン
(以下フロン−152aという)を主発泡剤として用いた場
合には、押出直後には比較的良好な断熱性能を示す発泡
体が得られるが、経時とともに気泡内のフロン−22また
はフロン−152aの残存率が減少し、断熱性能が大幅に低
下するという欠点がある。
また、特公昭57−7175公報に開示された、オゾン破壊
係数が小さいとされる1,1−ジフルオロ−1−クロロエ
タン(以下、フロン−142bという)を主発泡剤に用いた
場合には、初期の断熱性能は、前記フロン−22およびフ
ロン−152aを用いた場合よりも良好である。しかしなが
ら、長時間にわたる断熱性保持の面で熱伝導率の変化率
が10%以下であることが望ましいが、得られた発泡体
は、この条件を満足せず、またフロン−12を用いた場合
よりも熱伝導率の変化率が大である。
また、1−クロロ−1,2,2,2−テトラフルオロエタン
(以下、フロン−124という)を主発泡剤として用いた
場合には、上記課題は解決されるが、熱伝導率の変化率
はフロン12とほぼ同等レベルに止まり、また、フロン−
124はわずかながらオゾン層を破壊する可能性を持つた
め、オゾン破壊係数が0である発泡剤を用いて、かつ熱
伝導率の変化率がフロン−12と同等以上であるようなす
ぐれた断熱性能を有する発泡体が望まれている。
そこで、本発明者らは上記実情をふまえて鋭意研究を
重ねた結果、スチレン系樹脂にオゾン層を破壊する能力
の全くない1,1,1−トリフルオロ−2−フルオロエタン
(以下、フロン−134aという)を一定量以上用いた場
合、微細な気泡構造を有するとともに、すぐれた断熱性
能を有する押出発泡体が得られ、かくして得られた押出
発泡体は、その熱伝導率が長期間にわたって維持される
可能性が高いという推論に達した。ところが、後述の通
りフロン−134aはスチレン系樹脂に対する溶解能が小さ
いため、従来の条件では押出発泡の際に、フロン−134a
のスチレン樹脂に対する溶解不良が生じ、ダイ内でガス
の遊離が発生するため、所望する発泡体の発泡倍率を得
るために十分な量だけの量を添加することが不可能であ
り、その結果、外観・物性ともに良好な発泡体を得るこ
とができなかった。しかも、押出発泡体の製造工程内に
おける樹脂に対する発泡剤の溶解性現象が解明されてい
なかったので、こうした樹脂に対する溶解能が低いガス
を用いた場合に、ダイ内でガスの遊離を生じせしめない
ための圧力・温度・滞留時間等の工程因子の設定は、全
て実際の押出機を用いた実験による結果から推定するし
か方法がなく、したがって工程因子の決定までには非常
に多くの原材料,時間,および労力を必要とする。
これらの状況に加えて、フロン−134aは現在のところ
大量入手が困難であるために、フロン134aを主発泡剤と
して用いてスチレン系樹脂の発泡体を製造することによ
り、以上述べたようなすぐれた物性を有する発泡体が得
られる可能性が高いという推論に対して、実際に実施可
能な発泡体の製造における工程因子を十分に検討するこ
とが困難であった。
(本発明が解決しようとする課題) そこで本発明者らは、上記課題を解決にむけて、押出
発泡における発泡剤の溶解現象解明のための実験的評価
方法を開発し、さらに本溶解現象が、気液平衡における
気体の吸収速度の概念によって説明できることを見出
し、1989年8月24日〜25日に行われるプラスチック成形
加工学会第1回年次大会においてその報告を行った(以
下前発表という)。
しかし、前発表における研究結果は、あくまで現象の
理解と発泡剤の溶解現象に関する定性的な研究に止ま
る。したがって、前発表における成果のみでは、工程因
子の決定に際しての上記課題を解決するには至らなかっ
た。
そのため本発明者らは、さらに鋭意研究を重ねた結
果、気液平衡における気体の吸収速度の概念に、実在気
体の状態方程式、および難溶性気体の物質移動における
浸透説の概念を導入することにより、押出発泡における
発泡剤の溶解現象を理論的に定量化することに成功し
た。そして、本定量化理論をフロン−134aに代表される
ごとき、ポリスチレンに対する溶解能の低い蒸発型発泡
剤を用いて、例えばスチレン系樹脂の押出発泡体を得る
場合等に適用し、ダイ内における発泡剤の遊離を防止す
るに十分な溶解速度を得るための工程因子についての定
量的な考察を行い、温度・圧力・滞留時間についての具
体的な条件設定を行った。
さらに、上記理論的考察をもとに、フロン−134aを主
発泡剤とし、これにポリスチレン薄膜に対するガス透過
率が空気と同等以上の値を有する易透過性発泡剤を一定
量加えた押出発泡体の製造実験を行った結果、ダイ内に
おける発泡剤の遊離現象を引き起こすことなしに、所望
の発泡倍率を有し、しかも外観・物性ともに良好な発泡
体を得ることに成功し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明はオゾン破壊能力を有しないがポリスチ
レンに対する溶解能が小さく、フロン−12未満である蒸
発型発泡剤(以下、難溶性発泡剤と略称することがあ
る。)を主発泡剤として用いてポリスチレン系樹脂を押
出発泡させる際にその平均溶解速度がダイ内における発
泡剤の遊離現象を生じせしめないために十分な値をもつ
ような圧力・温度・滞留時間条件を見出すことにより地
球環境に対する影響を与えることなく、所望の発泡倍率
を有し、外観・物性ともに良好な押出発泡体を得ること
を目的とするものである。
(課題を解決するための手段) しかして上記目的に適合する本発明の特徴はポリスチ
レン系1gあたりに対する溶解能が、140℃,10kgf/cm
2(ゲージ)の環境下で、1時間に3.1×10-5モル未満で
ある蒸発型発泡剤をスチレン系樹脂1gあたり(1/ρ)×
1.7×10-5モル以上、(1/ρ)×5.3×10-5モル以下(ρ
は発泡体密度[g/cm3]を表す)用いて、スチレン系樹
脂を押出発泡させる方法において、後記式(a)を時間
的に積分することにより求められる該蒸発型発泡剤の溶
解量が添加量の95%以上であり、かつ該蒸発型発泡剤の
スチレン系樹脂1gあたりに対する平均溶解速度が1.0×1
0-7mol/sec以上、7.0×10-7mol/sec以下であるような圧
力・温度条件を用いて発泡体を製造することにある。
ただし、 C:樹脂1gあたりの樹脂に対する発泡剤の溶解量[g/g] C′:樹脂1gあたりの樹脂に対する発泡剤の溶解度[g/
g] Do:0℃,1atmにおける発泡剤の樹脂に対する拡散係数[c
m2/sec] G:樹脂1gあたりの発泡剤添加量[g/g′] MG:発泡剤の分子量 P:圧力[kg/cm2] T:温度[K] z:圧縮係数 ρR:樹脂密度[kg/m3] θ:時間[sec] である。
ここで、上記本発明において、式(a)を時間的に積
分することにより求められるスチレン系樹脂1gあたりに
対する平均溶解速度が1.0×10-7mol/sec以上、6.1×10
-7mol/sec以下はより好適であり、請求項2記載の発明
はこれである。
また、上記方法で用いる蒸発型発泡剤の具体例として
は炭素数が2以上であり、かつ分子内に水素原子を1個
以上含むフッ化炭化水素が挙げられ、とりわけ1,1,1−
トリフルオロ−2−フルオロエタンを含むことは好まし
く、請求項3,4に記載の発明はこれらを特徴とする。
更に請求項5記載の発明は本発明方法により得られる
発泡体の厚みとして10mm〜150mmのものを製造すること
を特徴とする。
次いで、前記本発明の特徴に示された式(a)に関し
以下に式(a)が導出されるまでの理論的考察を簡単に
示す。ただし、ファイバースコープ観察実験とは、前発
表における発泡剤溶解性の解明実験をさす。ファイバー
スコープを押出機に設置し、押出系内の発泡剤ガス塊を
直接観察した実験である。
基礎方程式 一般に気液平衡における気体の吸収速度
の定義式は、 で与えられる。ここでC′,Cはそれぞれ溶質の溶解度
[g/g],θ時までの溶解量[g/g],Kは総括物質移動係
数[cm2/sec],Aは溶媒1g当たりにおける溶媒と溶質の
接触面積の総和[m2/g],ρは溶媒の密度[kg/m3
である。
ここで、難溶性ガスの溶解現象において、物質移動が
非定常拡散によって行われると仮定し、拡散係数の圧力
・温度依存性が で表せると仮定すると、 と表せる。ここで、DoはTo(=273.15K),Po(=1atm)
における拡散係数[cm2/sec],Δθは接触時間[sec]
である。
また、プロセス内のガス塊は球であるとし、樹脂1gあ
たりについて考えると、 A=4πr2B … V=4/3πr3B … PV=znRT … より、 と表せる。ここで、P,Tはそれぞれ圧力[kg/cm2],温
度[K]であり、B,Gはそれぞれ樹脂1gあたりのガス塊
数[/g]および気体添加量[g/g],Rは気体定数〔kg
・cm/mol・k],rはガス塊の半径[cm],MGは気体の分
子量,zは圧縮係数である。
また、前発表におけるファイバースコープ観察結果よ
り、CFC−12 9.5[PHR]において、B=40であった。そ
こで、Bは気体の添加量に比例すると仮定すると,,
,式より となる。本発明では式をEuler法により離散化し、各
工程因子を適当に近似して代入し、コンピュータを用い
て計算を行った結果を説明する。
以上の通り、押出発泡における難溶性発泡剤の樹脂に
対する溶解現象は、理論的には非常に複雑な式により表
現される。すなわち、実験にあたって、実験者が直観的
に判断を下すのが困難なほど、各工程因子間に複雑な相
互関係があるといえる。本発明は、このような複雑な現
象を理論的に解明することにより、工程因子の決定を従
来の試工錯誤による繁雑な作業から解放すると同時に、
発泡剤としての物性にすぐれているにもかかわらず、樹
脂に対する溶解性が低いために用いることが不可能であ
った発泡剤を主発泡剤として用いた押出発泡体の製造を
可能とするものである。
(実施例) 次に本発明の製造法をフロン−134a/スチレン系樹脂
発泡体を製造する場合に適用して具体的に説明すると、
フロン−134aおよびポリスチレン薄膜に対するガス透過
率が、空気と同等以上の値を有する易透過性発泡剤を混
合した蒸発型発泡剤を添加して押出発泡する際に、フロ
ン−134aの添加量が、スチレン系樹脂1gあたり(1/ρ)
×1.7×10-5モル以上(1/ρ)×5.3×10-5モル以下(ρ
は発泡体密度を表す)とする場合に、式(a)を積分す
ることによって求められる該蒸発型発泡剤の溶解量が添
加量の95%以上、好ましくは96%以上、更に好ましくは
97%以上であり、かつ同じく式(a)を積分することに
より求められる該蒸発型発泡剤の平均溶解速度が1.0×1
0-7mol/g・sec以上、7.0×10-7mol/g・sec以下、好まし
くは1.0×10-7mol/g・sec以上、6.1×10-7mol/g・sec以
下である場合に、目的とするポリスチン系樹脂発泡体が
得られる。溶解量が添加量の95%未満の場合には、ダイ
内において発泡剤の遊離現象が発生するために発泡体の
外観,物性が低下し、また溶解速度が1.0×10-7mol/g・
sec以下では滞留時間が長過ぎるために発泡体の生産性
が低下するため好ましくない。また、7.0×10-7mol/g・
sec以上に溶解速度を上げるためには、特に押出系の昇
圧が必要となり、押出系が不安定となるために好ましく
ない。
本発明で用いられる発泡剤/樹脂の組合わせは発泡剤
が樹脂に対し難溶性を有するならば特に物質に限定され
るものではないが、たとえばフロン−134a/スチレン系
樹脂等が挙げられる。ここでスチレン系樹脂とは、ポリ
スチレンを初め、スチレンとα−メチルスチレン,無水
マレイン酸,アクリル酸,アクリル酸エステル,メタク
リル酸やメタクリル酸エステルなどを共重合したもの
や、ポリスチレンにスチレン・ブタジエンゴム(SBR)
などを適宜添加して改質したもの等をさす。
なお、ポリスチレンに対する溶解能は下記の方法にし
たがって測定した。
ポリスチレン20gを精秤し、200メッシュのステンレス
製の金網の中に封入し、耐圧容器(A)に入れ、140℃
に加熱する。
一方、耐圧容器(B)に液化フロンを封入し、その飽
和蒸気圧が10kgf/cm2(ゲージ)となるように温度を調
節する。
前記耐圧容器(A)および(B)を均圧弁を有する耐
圧パイプで接続したのち、均圧弁を開にする。
前記耐圧容器(A)および(B)の内圧を耐圧容器
(B)の温度を調節して均圧(約10kgf/cm2(ゲー
ジ))とし、ポリスチレンに気相状態のフロンを吸収さ
せる。この際、吸収時間は1時間とする。
均圧弁を閉止後、耐圧容器(A)を室温まで水冷し、
除圧後ステンレス製金網に封入されたポリスチレンを取
り出し、その重量を計量する。
上記の結果から、次式にしたがってポリスチレン1gあ
たりに対する溶解能(フロン吸収量)を算出する。
上記の結果、フロン−12、フロン−124およびフロン
−134aのポリスチレン樹脂1gあたりに対する溶解能は、
それぞれ3.1×10-5モル、4.3×10-5モルおよび2.4×10
-5モルであり、本発明においては樹脂に対する溶解性が
小さいほど定量化モデルの理論的精度が向上することか
ら、フロン−134aが好適に用いられる。
フロン134aの必要添加量は、断熱性の保持能および発
泡体の寸法安定性の面から発泡体の発泡倍率が特定され
るため、その所望とする発泡体の発泡倍率、すなわち発
泡体密度に応じて適宜調整される。フロン−134aの必要
添加量は、スチレン系樹脂1gあたり(1/ρ)×1.7×10
-5モル以上、(1/ρ)×5.3×10-5モル以下、(ρは発
泡体密度[g/cm2]を表す)である。かかる必要添加量
が(1/ρ)×1.7×10-5モル未満では十分な断熱性能を
有する発泡体を得ることが困難であり、また、得られた
発泡体は押出後1〜4日の間に収縮する傾向にあるの
で、所望の形状を有する製品を得ることが難しい。ま
た、(1/ρ)×5.3×10-5モルをこえる場合には、得ら
れた発泡体が70℃以上に加熱されたときに寸法安定性が
低下する傾向にあるので好ましくない。
前記フロン−134aと併用される易透過性発泡剤として
は種々のものが使用可能であるが、たとえば塩化メチル
(ポリスチレン薄膜に対するガス透過率7.3×10-10[cm
3・cm/cm2・cmHg・sec]),塩化エチル(同1.2×10-10
[cm3・cm/cm2・cmHg・sec])等が挙げられるが、本発
明はかかる例示にのみ限定されるものではない。前記易
透過性発泡剤の必要添加量は、スチレン系樹脂1gあたり
4×10-4モル以上、1.4×10-3モル以下である。かかる
添加量が4×10-4モル未満では、得られる発泡体の密度
が低下しがたくなり、1.4×10-3モルをこえる場合に
は、断熱性能の低下および発泡体の収縮が発生しやすく
なるため好ましくない。
ただし、易透過性発泡剤を併用することは、難溶性発
泡剤の溶解性の改善が行われ、ダイ内におけるガスの遊
離現象が防止された場合に、得られた発泡体の物性をさ
らに改善するために行うことであるから、本発明におけ
る発泡体の製造条件の設定に際して、易透過性発泡剤の
添加の有無、および上記必要添加量の範囲内における添
加量の大小が影響をもたらすものではない。
また、本発明においては前記蒸発型発泡剤のほかに必
要に応じてスチレン系樹脂に平均気泡径を調節するため
のタルク等の造核剤や滑剤,難燃剤,および染料,顔料
など着色剤,ノニオン系界面活性剤のような界面活性剤
が、本発明の目的が阻害されない範囲内で添加されても
よい。
前記スチレン樹脂および造核剤,滑剤,難燃剤等の所
定量を調整し、つぎにこれらを押出機中に供給し、これ
に前記蒸発型発泡剤の所定量を圧入し、加熱溶融混練さ
せ、スリットダイ等の発泡装置を介して押出す等の通常
の方法により、たとえば発泡体密度(ρ)が2×10-2g/
cm3以上、4.5×10-2g/cm3以下であり、発泡体の平均気
泡径が0.1mm以上、0.7mm以下であり、厚さが10mm以上、
150mm以下の板状のごとき、外観,物性ともに良好なス
チレン系樹脂発泡体が容意に得られる。
なお、前記発泡体密度(ρ)が2×10-2g/cm3未満の
場合には断熱性能が低下し、押出直後に発泡体が収縮す
る傾向があり、また4.5×10-2g/cm3をこえる場合には、
軽量性に欠き、高価格となる点から好ましくない。ま
た、前記平均気泡径が、0.1mm未満のもののみから構成
されている場合には、得られる発泡体の密度が低下しが
たく、発泡体の厚みを大きくすることが困難となり、ま
た、0.7mmをこえる場合には、得られた発泡体の密度は
低下するが、断熱性が低下するので、0.1〜0.7mm,好ま
しくは0.2〜0.5mmの範囲に調節されるのが望ましい。
本発明の製造法によって得られたスチレン系樹脂発泡
体は、軽量であり、しかも長期間にわたって断熱性にす
ぐれたものであり、成層圏のオゾン層を破壊し、地表に
到達する紫外線量を増加せしめて動植物の育成に害を与
えると指摘されている特定フロンが排除されたものであ
るので、たとえば住宅家屋用断熱材などに好適に使用し
うるものである。
つぎに実験例に基づいて本発明のポリスチレン系樹脂
発泡体の製造法をさらに詳細に説明するが、本発明にか
かる例のみに限定されるものではない。
実験例1〜2および比較例1〜2 押出発泡実験 第1図に示す如き押出機(1)、押出機(2)、冷却
機(3)ならびにダイ(4)を並設した装置を用い、押
出機(1)においてスチレン樹脂100gにタルク(平均粒
径6μm)0.5gを配合し混練,溶融すると共に第1表に
示す量の蒸発型発泡剤を圧入し、次いで押出機(2)、
冷却機(3)を経て図に示す測定点,,における
各圧力・温度条件として第1表に示す条件を設定し、ダ
イ(4)より目開きの間隔が1.8mmのスリットを介して
大気圧下に押出発泡し厚さが約50mmの板状のポリスチレ
ン樹脂発泡体を成形した。
かくして得られた発泡体について物性として発泡体密
度、平均気泡径、熱伝導率、熱伝導率の変化率および外
観を夫々下記の方法によって調べた。
(イ)発泡体密度 次式により求めた。
(ロ)平均気泡径 得られた発泡体の厚さ方向の気泡径を測定し、その平
均値を求めた。
(ハ)熱伝導率 JIS A−9511に準じて測定した。
(ニ) 長期間にわたる断熱性能の保持性の尺度として熱伝導
率の変化率を前記(ハ)で測定した熱伝導率に基づいて
下式より算出した。
(ホ)外観 得られた発泡体に異状がないかどうか目視により調べ
た。
平均溶解速度の算出 上記押出発泡実験における圧力・温度・滞留時間に対
応した平均溶解速度の算出は、それぞれの実験水準にお
ける条件を式(a)に代入し、時間的に積分することに
より行われるが、以下にその算出法について述べる。
1.温度・圧力カーブの決定 第1図に示す装置において、押出機(2)入口(以下
測定点という),冷却機(3)入口(以下測定点と
いう)、冷却機(3)出口(以下測定点という)にお
ける圧力・温度の測定値から、通常の圧損・伝熱計算に
より、押出機(2)および冷却機(3)内の圧力・温度
カーブを求める。通常の押出発泡装置には、例えば押出
機(2)のないもの、あるいは押出機(2)の代わりに
冷却機が設置されているもの等もあり、また押出機
(2)内のスクリュのフライト形状等により押出機
(2)内の圧力カーブを変化させることも可能である
が、いずれの場合においても装置の形状に合わせて圧力
カーブを推定し、式(a)に代入することにより算出す
ることができる。
2.溶解度C′,圧縮係数zの決定 以上により求められた圧力・温度カーブから、溶解度
C′を溶解度線図より求める。また、圧縮係数zは圧力
・温度カーブおよび用いる蒸発型発泡剤の臨界温度・臨
界圧力を用いて、z線図より求める。
3.平均溶解速度の算出 以上により求められた圧力・温度カーブおよび溶解度
C′,圧縮係数zを用いて平均溶解速度を算出する。そ
の際、式(a)左辺の時間微分項をEuler法により差分
化し、コンピュータを用いて微小時間Δθにおける溶解
量を求め、これを解析領域(測定点〜測定点)全体
にわたって積算することにより求めた。ただし、Δθ≒
0.03secとした。
かくして以上の押出発泡実験より得られた各物性およ
び平均溶解量の算出結果を第1表に示す。
なお、本発明の圧力・温度条件を外れた場合を比較例
として併記した。
(発明の効果) 以上の如き本発明方法によればフロン規制において規
制対象となっているフロン−12(CFC−12)の代替フロ
ンの1つであるフロン−134a(HFC−134a)はフロン−1
2に比べポリスチレンに対する溶解性が悪いためこれを
発泡剤に用いても発泡体の品質を良好に保持するための
工程因子群の設定に困難性を有するが、溶解量および平
均溶解速度が所要の範囲であるような圧力・温度を用い
て押出発泡させることによりフロン−12と同量用いても
充分、溶解性を改善し良好な発泡体を製造することが出
来る効果を有し、フロン−12などオゾン破壊が問題とな
っている現下の状勢においてこれを解消し良好な押出発
泡ポリスチレンを製造する方法として極めてすぐれた実
効が期待される方法である。
また請求項2〜5記載の各方法は何れも具体的な方法
として実用上の効用が期待される。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の実験例において使用した装置の概要を
示す畧示図である。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリスチレン1gあたりに対する溶解能が、
    140℃,10kgf/cm2(ゲージ)の環境下で、1時間に3.1×
    10-5モル未満である蒸発型発泡剤をスチレン系樹脂1gあ
    たり(1/ρ)×1.7×10-5モル以上、(1/ρ)×5.3×10
    -5モル以下(ρは発泡体密度〔g/cm3〕を表す)用い
    て、スチレン系樹脂を押出発泡させる方法において、下
    記式(a)を時間的に積分することにより求められる該
    蒸発型発泡剤の溶解量が添加量の95%以上であり、かつ
    該蒸発型発泡剤のスチレン系樹脂1gあたりに対する平均
    溶解速度が1.0×10-7mol/sec以上、7.0×10-7mol/sec以
    下であるような圧力、温度条件を用いて発泡体を製造す
    ることを特徴とする長期断熱性にすぐれたスチレン系樹
    脂発泡体の製造方法。 ただし C:樹脂1gあたりの樹脂に対する発泡剤の溶解量[g/g] C′:樹脂1gあたりの樹脂に対する発泡剤の溶解量[g/
    g] Do:0℃,1atmにおける発泡剤の樹脂に対する拡散係数〔c
    m2/sec] G:樹脂1gあたりの発泡剤添加量[g/g] MG:発泡剤の分子量 P:圧力[kg/cm2] T:温度[K] z:圧縮係数 ρR:樹脂密度[kg/m3〕 θ:時間〔sec〕 である。
  2. 【請求項2】式(a)を時間的に積分することにより求
    められるスチレン系樹脂1gあたりに対する平均溶解速度
    が1.0×10-7mol/sec以上、6.1×10-7mol/sec以下である
    ことを特徴とする請求項1記載の長期断熱性にすぐれた
    スチレン系樹脂発泡体の製造方法。
  3. 【請求項3】蒸発型発泡剤が、炭素数が2以上であり、
    かつ分子内に水素原子を1個以上含むフッ化炭化水素で
    あることを特徴とする請求項1または2記載の長期断熱
    性にすぐれたスチレン系樹脂発泡体の製造方法。
  4. 【請求項4】蒸発型発泡剤に、1,1,1−トリフルオロ−
    2−フルオロエタンを含むことを特徴とする請求項1,2
    または3記載の長期断熱性にすぐれたスチレン系樹脂発
    泡体の製造方法。
  5. 【請求項5】スチレン系樹脂発泡体が、厚み10mm〜150m
    mである請求項1,2,3または4記載の長期断熱性にすぐれ
    たスチレン系樹脂発泡体の製造方法。
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