JP2536939Y2

JP2536939Y2 - 主蒸気ノズル閉鎖装置

Info

Publication number: JP2536939Y2
Application number: JP1989147514U
Authority: JP
Inventors: 豊大村
Original assignee: 石川島播磨重工業株式会社
Priority date: 1989-12-21
Filing date: 1989-12-21
Publication date: 1997-05-28
Anticipated expiration: 2004-12-21
Also published as: JPH0385596U

Description

【考案の詳細な説明】「産業上の利用分野」本考案は原子炉の核燃料交換作業時に原始炉圧力容器
の内側から主蒸気ノズルの開口部を密封する主蒸気ノズ
ル閉鎖装置に関する。

「従来の技術」主蒸気ノズル閉鎖装置は、原子炉の核燃料交換作業時
に、原子炉圧力容器の内側から主蒸気ノズルの開口部を
密封して、原子炉圧力容器と主蒸気ラインとを隔離状態
とするもので、原子炉圧力容器内における核燃料交換作
業と、主蒸気ラインにおける主蒸気隔離弁の分解点検作
業およびリークテスト等とを平行して実施することを可
能にするものである。

第６図および第７図は、このような主蒸気ノズル閉鎖
装置の従来例を示しており、この閉鎖装置１は、原子炉
圧力容器２の同一水平レベルに配設されている４箇所の
主蒸気ノズル３の開口部3aに挿入される４個のプラグ本
体４を備えている。これらプラグ本体４は、原子炉圧力
容器２の内径より若干小径の逆圧サポートリング５の上
に、主蒸気ノズル３と同じ相互間隔をおいて配設され、
該逆圧サポートリング５に着脱可能に設けられているＸ
字状の取り扱いビーム６を介してクレーン等で吊持し得
るようになっている。また、取り扱いビームに６には、
プラグ本体４と係脱し得るシリンダ等を利用したプラグ
着脱機７が搭載されている。

そして、核燃料交換作業時に、第７図に示すように、
原子炉圧力容器２およびその上方のリアクタウエル８の
中に放射性物質の拡散防止のためのシール水Ｗを張った
状態として、前記主蒸気ノズル閉鎖装置１を原子炉圧力
容器２内に吊り降ろし、各プラグ本体４を主蒸気ノズル
３の開口部3aに挿入した後、その背部を逆圧サポートリ
ング５により支持するようにしており、その状態で取り
扱いビーム６は逆圧サポートリング５との連結状態を解
除されて核燃料交換作業の支障とならないように原子炉
圧力容器２内から撤去される。

「考案が解決しようとする課題」しかしながら、前記逆圧サポートリング５は、直径が
例えば6mにも及ぶ大型のリング状であるため、水平方向
に対して傾きが生じると、わずかな傾きであっても周方
向に180°離れた対向２点では大きな高低差が生じ、そ
の取り付けが困難になる。したがって、その吊持作業に
おいては水平度を正確に維持しなければならず、このた
め、クレーンへの支持作業、シール水Ｗ中への吊り降ろ
し作業等において高度の熟練を要し、作業性が低下する
原因となっていた。

一方、逆圧サポートリング５の外径は主蒸気ノズル３
の開口部3aに可能な限り接近し得るように原子炉圧力容
器２の胴部2a内径に対して最大限大きく設定することが
望ましいが、原子炉圧力容器２のフランジは、小径化等
のため第７図に示す外向きフランジ2bから内向きフラン
ジに改善することが考えられており、原子炉圧力容器２
の内方にフランジが張り出すと、その内向きフランジよ
りも逆圧サポートリング５を小径とする必要があるた
め、逆圧サポートリング５と主蒸気ノズル３の開口部3a
とのギャップが大きくなり、開口部3aから離間した位置
でプラグ本体４を支持することになるとともに、プラグ
本体４の駆動距離も大きくする必要があるなどの不都合
が生じる。

本願考案は前記課題を有効に解決するもので、主蒸気
ノズルの開口部への取り付け作業を容易にするととも
に、原子炉圧力容器の内面の凹凸形状等の影響を受ける
ことを少なくし、開口部を確実に密封することができる
主蒸気ノズル閉鎖装置の提供を目的とする。

「課題を解決するための手段」本願考案に係る主蒸気ノズル閉鎖装置は、原子炉圧力
容器のシール水の中に吊り降ろされ、内側から主蒸気ノ
ズルの開口部を個々にかつ着脱可能に密封する主蒸気ノ
ズル閉鎖装置であって、主蒸気ノズル開口部を挿入状態
に密封するプラグ本体と、該プラグ本体に連結されて主
蒸気ノズル内に挿入される拡径具と、プラグ本体の挿入
方向後方位置に連結されて拡径具を駆動する操作機構
と、プラグ本体の背部の上方位置に取り付けられる吊り
ピースと、プラグ本体の背部に取り付けられ吊りピース
による吊持時に内側と外側との重量及び浮力によるプラ
グ本体の傾きを平衡させるためのバランス装置とを有す
る構成を採用している。

「作用」プラグ本体と拡径具と操作機構とバランス装置とを合
わせた重量及び浮力が、バランス装置の存在により吊り
ピースの内側と外側とで平衡させられて、プラグ本体の
傾きを設定した状態でシール水中に吊り降ろされ、プラ
グ本体と拡径具との部分を主蒸気ノズルの開口部内に挿
入して、操作機構により拡径具を駆動して主蒸気ノズル
内で突っ張った状態とすることにより、プラグ本体を個
々に固定して抜け止め状態とすることが行なわれる。

主蒸気ノズルの開口部毎に、プラグ本体の固定が個々
に行なわれることにより、従来技術例で説明した逆圧サ
ポートリングが不要となり、プラグ本体の着脱は個々に
行なわれる。

「実施例」以下、本考案の主蒸気ノズル閉鎖装置の一実施例を第
１図ないし第５図に基づいて説明する。

この図示例の主蒸気ノズル11は、その先端部から根元
の開口部11aに向けて漸次縮径するテーパ状に形成され
ている。そして、主蒸気ノズル閉鎖装置12は、各主蒸気
ノズル11の開口部11aを挿入状態に密封するプラグ本体1
3が相互に分離していて、単独取り扱いが可能とされ、
各プラグ本体13に、該プラグ本体13とともに主蒸気ノズ
ル11内に挿入される拡径具14と、プラグ本体13の挿入方
向後方位置から拡径具14を駆動する操作機構15と、該操
作機構15をプラグ本体13に着脱する連結器16と、原子炉
圧力容器17内のシール水中における姿勢を調整するため
のバランス装置18とが連設されているものである。

前記プラグ本体13は、主蒸気ノズル11の開口部11a内
に挿入される円柱状の本体部13aと、該本体部13の後端
に一体形成されたフランジ部13bとを有する形状とされ
ており、本体部13aの外周部には周方向に２本のリング
溝21が形成され、これらリング溝21の中にシール材22が
装着されている。そして、各リング溝21とフランジ部13
bの外周との間を連通するようにシール加圧孔23が設け
られ、また、プラグ本体13の先端に開口するテスト加圧
孔24が同様にフランジ部13bの外周まで連通し、これら
シール加圧孔23およびテスト加圧孔24に外部の加圧系25
が接続されている。

前記拡径具14は、図示例では、プラグ本体13を貫通す
る駆動ロッド26の先端とプラグ本体13の先端との間に設
けられており、プラグ本体13先端の取付ブラケット27に
固定しためねじ部材28に、駆動ロッド26が貫通状態に螺
合するとともに、該駆動ロッド26の先端に回転自在に支
持リング29が設けられ、該支持リング29と前記取付ブラ
ケット27との間に一対ずつ連結状態のリンク30が180°
離間して取り付けられ、各対をなすリンク30相互の連結
位置に押圧ブロック31が回動自在に支持された構成とさ
れ、駆動ロッド26を回転させることにより、めねじ部材
28に支持リング29を接近させて両押圧ブロック31を半径
外方に押し出すものである。符号32は、各リンク30、押
圧ブロック31を支持するピンを示す。

前記操作機構15は、プラグ本体13の後方に突出してい
る前記駆動ロッド26を回転させるもので、プラグ本体13
の背部に対して着脱可能なハンジング35の中に、インパ
クト駆動機等の拡径駆動機36が収納され、該拡径駆動機
36により回転させられるレンチ37がハウジング35の前面
に突出させられ、該レンチ37を前記駆動ロッド26の端部
に係合して回転させる構成とされている。この場合、拡
径駆動機36は、ハウジング35内に設けられた筒状ガイド
38内にレンチ37の突出方向に沿って移動自在に収納され
て、ばね39によりレンチ37の突出方向に向けて押圧付勢
されており、駆動ロッド26の回転に伴う軸方向の移動に
追従し得るようになっている。

前記連結器16は、前記ハウジング35内に、拡径駆動機
36と同様のインパクト駆動機等からなる着脱駆動機40が
例えば拡径駆動機36を中心とする円に沿って等間隔に３
個配設され、これら着脱駆動機37により回転させられる
めねじロッド41が前記レンチ37と平行にハウジング35の
前面に突出し、該めねじロッド41をプラグ本体13背部の
おねじ部材42に螺合する構成とされている。また、この
連結器16においても、各着脱駆動機40は、すべり部材43
を介してハウジング35の内面に接触するとともに、ばね
44によってめねじロッド41の突出方向に押圧付勢されて
おり、めねじロッド41の螺合に伴う軸方向の移動に追従
し得るようになっている。符号45は操作機構15および連
結器16に電源を供給するための給電ケーブルを接続する
コネクタを示す。

前記バランス装置18は、プラグ本体13とは反対側の前
記ハウジング35の背部に、底面に貫通穴51を有するタン
ク52が一体に設けられるとともに、該タンク52の上部に
形成されるプレナム部53の空気量を加減する空気給排系
54が設けられた構成とされ、その空気量を多くすること
によりタンク52の浮力を大きくしてプラグ本体13を下向
き姿勢とし、一方、空気量を少なくすることによりシー
ル水をタンク52内に侵入させて浮力を小さくし、上向き
姿勢とすることができるものである。

また、ハウジング35の上面にはクレーン等により吊持
するための吊りピース55が固定されるとともに、ハウジ
ング35の両側部にはアーム56が突出して設けられ、これ
らアーム56に投光器57とカメラ58とが設けられ、カメラ
58の映像を外部のモニタに写し出し得るようになってい
る。なお、符号59は、駆動ロッド26とプラグ本体13との
間、前記レンチ37およびめねじロッド41とハウジング35
との間をそれぞれ密封するシール部材である。

このように構成した主蒸気ノズル閉鎖装置12は、プラ
グ本体13、拡径具14、操作機構15等を連結器16によって
一体に連結しておき、ハウジング35の吊りピース55をク
レーンによって吊持し、原子炉圧力容器17内のシール水
中に吊り降ろして、プラグ本体13を主蒸気ノズル11の開
口部11aに対向して配置させる。このとき、投光器57で
開口部11aを照らしつつカメラ58の映像を確認して、前
記タンク52のプレナム部53の空気量（言い換えればタン
ク52内に侵入したシール水Ｗの量）を加減することによ
り、プラグ本体13の姿勢を開口部11aの軸線に沿って調
整する。

そして、開口部11aに向けて接近させて拡径具14、プ
ラグ本体13の本体部13の順に開口部11a内に挿入した
後、操作機構15の拡径駆動機36によって駆動ロッド26を
介して拡径具14を広げることにより、押圧ブロック31を
主蒸気ノズル11の内周面に押圧接触させて拡径具14を主
蒸気ノズル11の中で突っ張った状態に固定する。しかる
後、加圧系25からプラグ本体13のリング溝21に加圧水等
の圧力流体を注入して、両シール材22を膨張させること
により開口部11aを密封し、連結器16の着脱駆動機40に
よりプラグ本体13とハウジング35との連結状態を解除し
てハウジング35を原子炉圧力容器17内から撤去する。

このように例えば４個の主蒸気ノズル11の開口部11a
をそれぞれプラグ本体13により独立して閉鎖した後、各
プラグ本体13のテスト加圧孔24から主蒸気ノズル11内へ
圧力流体を注入して漏洩テスト等を実施するものであ
る。一方、開口部11aからプラグ本体13を撤去する場合
は、上記の逆順により行われる。

「考案の効果」以上の説明から明らかなように、本考案の主蒸気ノズ
ル閉鎖装置によれば、次のような効果を奏することがで
きる。

（ｉ）主蒸気ノズル内に挿入した拡径具を操作機構によ
って主蒸気ノズル内で広げることにより、プラグ本体を
主蒸気ノズルに固定することができ、リークテスト時の
プラグ本体の抜け止めを確実に行うことができる。

（ii）拡径具によって主蒸気ノズルにプラグ本体を単独
で固定することができるから、従来技術における逆圧サ
ポートリングが不要となり、単独で取り扱い可能となっ
て、シール水中への吊り降ろし作業、開口部への位置合
わせ作業等を容易にすることができる。

（iii）逆圧サポートリングが不要となるから、原子炉
圧力容器のフランジ内径が胴部内径より小さい場合で
も、原子炉圧力容器内への吊り降ろしが可能であり、そ
の内面の凹凸形状に影響されることなく確実に開口部を
閉鎖することができる。加えて、主蒸気ノズルの開口部
毎にプラグ本体を着脱させることと、プラグ本体の傾き
を平衡状態とすることにより、作業性を向上させること
ができる。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第５図は本考案の主蒸気ノズル閉鎖装置の
一実施例を示すもので、第１図は全体縦断面図、第２図
は主蒸気ノズルの開口部を閉鎖した状態を示す縦断面
図、第３図はシール材付近の縦断面図、第４図は第１図
のIV−IV線に沿う横断面図、第５図は第１図のＶ−Ｖ線
に沿う矢視図、第６図は主蒸気ノズル閉鎖装置の従来例
を示す平面図、第７図は第６図の主蒸気ノズル閉鎖装置
を原子炉圧力容器内に吊持している状態を示す縦断面図
である。 11……主蒸気ノズル、11a……開口部、12……主蒸気ノ
ズル閉鎖装置、13……プラグ本体、13a……本体部、13b
……フランジ部、14……拡径具、15……操作機構、16…
…連結器、17……原子炉圧力容器、18……バランス装
置、21……リング溝、22……シール材、23……シール加
圧孔、24……テスト加圧孔、25……加圧系、26……駆動
ロッド、27……取付ブラケット、28……めねじ部材、29
……支持リング、30……リンク、31……押圧ブロック、
32……ピン、35……ハウジング、36……拡径駆動機、37
……レンチ、38……筒状ガイド、39……ばね、40……着
脱駆動機、41……めねじロッド、42……おねじ部材、43
……すべり部材、44……ばね、45……コネクタ、51……
貫通穴、52……タンク、53……ブレナム部、54……空気
供給系、55……吊りピース、56……アーム、57……投光
器、58……カメラ、59……シール部材。

Claims

(57)【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】原子炉圧力容器（17）のシール水（Ｗ）の
中に吊り降ろされ、内側から主蒸気ノズル（11）の開口
部（11a）を個々にかつ着脱可能に密封する主蒸気ノズ
ル閉鎖装置（12）であって、主蒸気ノズルの開口部を挿
入状態に密封するプラグ本体（13）と、該プラグ本体に
連結されて主蒸気ノズル内に挿入される拡径具（14）
と、プラグ本体の挿入方向後方位置に連結されて拡径具
を駆動する操作機構（15）と、プラグ本体の背部の上方
位置に取り付けられる吊りピース（55）と、プラグ本体
の背部に取り付けられ吊りピースによる吊持時に内側と
外側との重量及び浮力によるプラグ本体の傾きを平衡さ
せるためのバランス装置（18）とを有する主蒸気ノズル
閉鎖装置。