JP2536840B2 - 軟弱地盤改良装置の攪拌翼構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （イ） 産業上の利用分野 この発明は軟弱地盤改良装置の攪拌翼構造に関するも
のである。

（ロ） 従来の技術 従来、軟弱地盤に掘削孔を穿設し、同孔中の掘削土
と、同孔中に注入した硬化剤とを、回転軸に連設した攪
拌翼等で混練して、同混練物の硬化により軟弱地盤を硬
化改良する装置があった。

（ハ） 発明が解決しようとする問題点 しかしながら、掘削土が攪拌翼と一体的に回転するい
わゆる共廻り現象が生起して、混練が充分行われず、硬
化剤の混合に粗密を生じ、粗なる部分を保償するために
硬化剤の過剰注入を招来し、更に、工事の信頼性を低下
させるという欠点があり、この欠点を解消するために、
回転軸を二重反転軸に構成し、それぞれに連設した攪拌
翼を相互に反転せしめることにより上記の共廻り現象を
防止して充分な混練を行うように構成したものがあり、
これは充分な混練を行うことができるものの、硬化剤注
入ノズルの配設位置が必ずしも最適位置ではなく、その
ため、硬化剤と掘削土との混和が各部均一にならず、地
盤改良作業の信頼性を損なうという問題がある。

（ニ） 問題点を解決するための手段 この発明では、地中に穿設した掘削孔中の掘削土と、
同掘削孔中に注入した硬化剤とを、回転軸に連設した攪
拌翼にて混練すべく構成した軟弱地盤改良装置におい
て、回転軸を相互に逆方向に回転する筒状の外軸と、外
軸の内部を挿通した内軸とで二重軸に構成し、内外軸下
部にそれぞれ略半円弧状の内部攪拌翼，中部攪拌翼，外
部攪拌翼を軸芯から順に外方に向って配設し、しかも、
内部攪拌翼の両端は、内軸の外周面に連設し、中部攪拌
翼の上端は外軸の下端に連設すると共に、中部攪拌翼の
下端は、内軸の下部に下部軸受を介して遊嵌し、外部攪
拌翼の下端は内軸に連設すると共に、外部攪拌翼の上端
は、外軸の上部に上部軸受を介して遊嵌し、内部、中
部、外部の各攪拌翼がそれぞれ互いに反対方向に回転す
べく構成すると共に、内部攪拌翼の上端と下端との間の
内軸外周面に硬化剤注入のためのノズルを左右側方に向
けて配設して、同ノズルを内軸の内部に形成した薬剤送
入孔に連通させたことを特徴とする軟弱地盤改良装置の
攪拌翼構造を提供せんとするものである。

（ホ） 作 用 この発明では、多重軸に連設した複数の攪拌翼のうち
少なくとも１個の攪拌翼が回転停止状態を保持している
ので、各攪拌翼間に回転速度差を生じて共廻り現象が防
止され、二重反転機構を設けずとも充分な混練が行われ
るものである。

特に、硬化剤注入のためのノズルを、内軸外周面の内
部攪拌翼上下端の中間位置に左右側方向に向けて配設し
たことで、掘削土攪拌作用の略中心位置に硬化剤を注入
することができ、しかも相反する方向に回転する内部及
び外部攪拌翼９−1,9−３と中部攪拌翼９−２との間に
硬化剤が注入され、混練土壌に硬化剤がよく混じり、均
一に硬化剤と掘削土との混和が行えるものである。

（ヘ） 効 果 この発明によれば、二重反転の攪拌翼によって掘削土
と硬化剤の混練が充分に行われることにより、硬化剤の
過剰注入を要せず、また、工事の信頼性を向上し、しか
も装置の製作コストを低減するという効果がある。

特に、内軸外周面の内部攪拌翼上下端の中間位置に配
設して、硬化剤を掘削土攪拌の略中心位置に注入するこ
とによって、硬化剤と掘削土と混和が各部均一になり、
また、ノズルが内軸外周面の左右側方向に向けて配設さ
れているので、同一部材の内軸に形成した薬剤送入孔と
の連通構造、及び内軸と硬化剤を圧送するポンプユニッ
トとの連通構造が、外軸にノズルを設けるものに比べて
非常に簡単になるという効果がある。

（ト） 実施例 この発明の実施例を図面にもとずき詳説すれば、Ａは
軟弱地盤改良装置を示し、クローラ型の走行装置１にて
移動自在のベースマシン２の前部に支柱３を立設し、同
支柱３の前側面にてモーター４及び減速機65よりなる駆
動機構６を昇降自在に支持せしめ、駆動機構６の下端に
は回転軸７の上端を連設し、同軸７の下端に掘削刃体
８、同刃体８の上方に攪拌翼９をそれぞれ連設し、回転
軸７の回動により軟弱地盤Ｇを掘削して略円形断面の掘
削孔Ｈを穿設し、掘削孔Ｈ中の掘削土と、ポンプユニッ
ト10からの硬化剤とを攪拌翼９にて攪拌混練し、掘削刃
体８及び攪拌翼９抜去後の同混練物の硬化により軟弱地
盤を硬化改良すべく構成している。

回転軸７は、筒状の外軸11及び外軸11内部を挿通した
内軸12とで二重軸を構成しており、外軸11は駆動機構６
の外側ケースに連設固定されて回動せず、内軸12は駆動
機構６の出力軸と連動連結して回動するものである。

内軸12の下端には、軟弱地盤Ｇを掘削するための掘削
刃体８を連設しており、内軸12の回動により、同地盤Ｇ
に略円形断面の掘削孔Ｈを穿設するものであり、同刃体
の上方の同刃体８の近接位置に攪拌翼９を連設してい
る。

攪拌翼９は、内部、中部、外部攪拌翼９−1,9−2,9−
３よりなり、各攪拌翼９−1,9−2,9−３はそれぞれ略半
円弧形状であり、中部攪拌翼９−２は内部攪拌翼９−１
の外部を、外部攪拌翼９−３は中部攪拌翼９−２の外部
をそれぞれ囲繞しており、内部攪拌翼９−１の上下端は
同軸12の外周面に連設され、中部攪拌翼９−２の上端は
外軸11の下端に、同攪拌翼９−２の下端は内軸12に遊嵌
した下部軸受13に連設されている。外部攪拌翼９−３の
下端は内軸12に連設され、同上端は外軸11下端に遊嵌し
た上部軸受14に連設され、同軸受14を介し外軸11軸支さ
れている。

また、内部攪拌翼９−１の上端と下端との間の内軸12
外周面に硬化剤注入のためのノズル16を左右側方向に向
けて配設して、同ノズル16を内軸12の内部に形成した薬
剤送入孔15に連通させておき、同薬剤送入孔15を介して
ポンプユニット10からの硬化剤がノズル16に圧送され、
同ノズル16から掘削孔Ｈ中に注入される。

この発明の実施例は上記のように構成されており、軟
弱地盤改良作業に際しては、まず、内軸12を駆動機構６
で回転させつつ、回転軸７を降下させて掘削刃体８にて
略円形断面の掘削孔Ｈを穿設するのであるが、この際掘
削土の排出は行わず掘削刃体８及び攪拌翼を掘削土中に
埋没した状態とする。

次いでポンプユニット10を作動させて硬化剤をノズル
16から掘削土中に注入しつつ徐々に回転軸７を上昇させ
ると、掘削孔Ｈ中の掘削土は下方から順次攪拌翼により
硬化剤と混練されて行き、掘削刃体８及び攪拌翼９の抜
去後に、この混練物が硬化して軟弱地盤中に略円柱状の
硬化地盤を造成するものであり、かかる一連の作業を繰
返すことにより広範囲の地盤改良作業を行うものであ
る。

上記の攪拌作業に際し、内部及び外部攪拌翼９−1,9
−３は内軸12と共に回転し、中部攪拌翼９−２は外軸11
に固定されて反対方向に回転するので、各攪拌翼９−1,
9−2,9−３の間に回転速度の差を生じ掘削土と硬化剤と
が充分な混練作用を受けるものであり、硬化剤は粗密な
く充分に攪拌混合されて硬化剤の過剰注入を要せず、上
記３個の攪拌翼９−1,9−2,9−３の混練作用と、攪拌作
用の中心位置への硬化剤注入によって、掘削度と硬化剤
とが各部均一に混和され、造成された硬化地盤は一様な
強度を有して工事の信頼性を向上するものである。

第３図には、外軸17を回動させ、内軸18を固定したも
のを示し、半円弧状攪拌翼を５重に配設したものを示
す。

第４図は、単一回転軸20に中部攪拌翼21を連設し、外
部及び内部攪拌翼22,23を連結して同軸20と遊嵌したも
ので、外部及び内部攪拌翼22,23は掘削土の抵抗によ
り、回転軸20にて強制回動される中部攪拌翼21よりも回
転速度が遅くなり各攪拌翼間の回転速度に差を生じて混
練作用を促すものである。

第５図は外軸24に連設した外攪拌翼25から下方向に連
設した下向翼体26と、内軸27に連設した内攪拌翼28に連
設した上向翼体29とを交互に配設したもの、第６図は外
軸30に連設した外攪拌翼31に連設した内向翼体32と、内
軸33に連設した外向翼体34とを交互に配設したもの、第
７図は、外攪拌翼35を内軸36に連設し外向、内向翼体3
7,38を交互に配設し同翼体37,38の間隙にジグザグ状の
中間翼体39を配設して同中間翼体39を外軸40に連設した
ものを示す。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明構造の攪拌翼を有する軟弱地盤改良装
置の全体側面図 第２図は、同要部側面図（一部切欠） 第３図〜第７図は、他実施例 A:軟弱地盤改良装置 H:掘削孔 7:回転軸 9:攪拌翼 ９−1:内部攪拌翼 ９−2:中部攪拌翼 ９−3:外部攪拌翼 11:外軸 12:内軸 15:薬剤送入孔 16:ノズル

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】地中に穿設した掘削孔（Ｈ）中の掘削土
   と、同掘削孔（Ｈ）中に注入した硬化剤とを、回転軸
   （７）に連設した攪拌翼（９）にて混練すべく構成した
   軟弱地盤改良装置において、回転軸（７）を相互に逆方
   向に回転する筒状の外軸（11）と、外軸（11）の内部を
   挿通した内軸（12）とで二重軸に構成し、内外軸（1
   2），（11）下部にそれぞれ略半円弧状の内部攪拌翼
   （９−１），中部攪拌翼（９−２），外部攪拌翼（９−
   ３）を軸芯から順に外方に向って配設し、しかも、内部
   攪拌翼（９−１）の両端は、内軸（12）の外周面に連設
   し、中部攪拌翼（９−２）の上端は外軸（11）の下端に
   連設すると共に、中部攪拌翼（９−２）の下端は、内軸
   （12）の下部に下部軸受（13）を介して遊嵌し、外部攪
   拌翼（９−３）の下端は内軸（12）に連設すると共に、
   外部攪拌翼（９−３）の上端は、外軸（11）の上部に上
   部軸受（14）を介して遊嵌し、内部、中部、外部の各攪
   拌翼（９−１），（９−２），（９−３）がそれぞれ互
   いに反対方向に回転すべく構成すると共に、内部攪拌翼
   （９−１）の上端と下端との間の内軸（12）外周面に硬
   化剤注入のためのノズル（16）を左右側方に向けて配設
   して、同ノズル（16）を内軸（12）の内部に形成した薬
   剤送入孔（15）に連通させたことを特徴とする軟弱地盤
   改良装置の攪拌翼構造。