JP2536789B2 - 窯業系外壁材組成物 - Google Patents

窯業系外壁材組成物

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元彦 平井
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Description

【発明の詳細な説明】 《産業上の利用分野》 本発明は窯業系外壁材組成物に関し、特に、経済的で
あるにも係わらず防水性及び撥水性が十分である窯業系
外壁材組成物に関する。
《従来技術》 建築用外壁材は従来から種々のものが知られており、
近年特に、環境保全の観点からボルトランドセメント、
高炉セメント、スラグセメント、石灰、石膏、けい酸カ
ルシウム等のセメント原料にけい砂、パーライト、シリ
カ、けい酸カルシウム等のけい酸質原料及び/又はパル
プ、木片、ガラス繊維、有機繊維等の繊維質原料を添加
してなるノンアスベスト系の窯業系外壁材が進展してき
ている。
しかしながら、この種の窯業系外壁材は表面及び内部
に多数の気孔を有するため吸水性が高く、従って滲水に
よる漏水、鉄筋の錆の発生、凍害等を防止することがで
きない。そこで、この窯業系外壁材で構成した外壁にシ
リコネート又はオルガノシランを塗布したり、外壁組成
物にシリコーンオイルを内添することが従来から広く行
われている。
《発明が解決しようとする課題》 しかしながら、上記外壁に塗布されるシリコネート系
の防水剤は強アルカリ性であるためボード類を取りつけ
る金具を腐蝕するおそれがあるので取扱い上に制約があ
る上、表面が汚染され易いので美観上の問題もあり、更
には、耐久性も悪いという欠点がある。一方、前記塗布
に使用されるオルガノシランの場合には、得られる塗膜
が耐アルカリ性及び塩素イオン滲透に対する抵抗性に優
れているという特徴を有するものの、塗布に際して、該
オルガノシランはコンクリートのごく表面にしか滲透し
ないので、表面が傷ついたり、屋外曝露によって劣化し
た場合には防水性が失われるという欠点がある。又、上
記シリコネート及びオルガノシランの何れについても、
外壁材を用いて外壁を構成したのちに塗布するという後
工程が必要であるので煩雑であるという欠点もある。
一方、成形前の窯業系外壁材組成物に内添されるシリ
コーンオイルとして代表的なジメチルシリコーンオイル
又は長鎖アルキル基含有シリコーンオイルは化学的に不
活性な中性物質であることから腐蝕トラブルの発生もな
く、又内部添加であるということから撥水継続性が良
く、周囲環境への汚染トラブルもないという有利性を有
する。これらのシリコーンオイルについては各種のもの
が公知である(特公昭50−27053号公報、特公昭50−338
12号公報、特開昭55−42272号公報、特開昭55−113655
号公報、特公平1−44673号公報、特公平1−58148号公
報参照)が、パルプ等繊維質原料の含有量が大きな窯業
系外壁材の場合には、吸水率を大幅に低減させる上から
添加するシリコーンオイルを多量とする必要があり、経
済性に欠けるという欠点がある。
そこで、本発明者等はこれらの欠点を解決すべく鋭意
検討した結果、分岐状オルガノポリシロキサンを添加す
ると、この窯業系外壁材組成物を注型、養生固化して得
られる成形体が充分な耐吸水性を持つものになるという
ことを見出すと共に、上記分岐状アルガノポリシロキサ
ンは窯業系外壁材組成物に直接添加することができるの
で、外壁に塗布するという後処理工程が不要である上、
その添加量は窯業系外壁材組成物に対し経済的な量で済
むことを見出し本発明を完成させた。
従って本発明の目的は防水性及び撥水性が十分であり
漏水や鉄筋の錆発生、或いは凍害を防止することができ
ると共に経済性にも富む窯業系外壁材組成物を提供する
ことにある。
《課題を解決するための手段》 本発明の上記の目的は、セメント原料を主成分とし、
けい酸質原料及び/又は繊維質原料並びに、25℃におけ
る粘度が5〜1,000csであり、R1 3SiO1/2で示される重合
体単位が20〜50モル%、R1 2SiOで示される重合体単位が
20〜50モル%及びR1SiO3/2で示される重合体単位が20〜
50モル%である分岐状オルガノポリシロキサンを、組成
物中の固形分に対して0.1〜10重量%添加、混合してな
ることを特徴とする窯業系外壁材組成物によって達成さ
れた。
本発明の窯業系外壁材組成物は公知のノンアスベスト
系窯業系外壁材組成物に分岐状オルガノポリシロキサン
を添加することにより容易に製造することができる。
上記のノンアスベスト系窯業系外壁材組成物はポルト
ランドセメント、高炉セメント、スラグセメント、石
灰、石膏、けい酸カルシウム等のセメント原料100重量
部に、けい砂、パーライト、シリカ、けい酸カルシウム
等のけい酸質原料を10〜200重量部及び/又はパルプ、
木片、ガラス繊維、有機繊維等の繊維質原料を1〜50重
量部配合し、均一に混合することによって得られる。
上記ノンアスベスト系窯業系外壁材組成物に添加され
る分岐状オルガノポリシロキサンは、分子中にT単位を
含有するものであるが、これはR1 3SiO1/2で示される重
合体単位20〜50モル%、R1 2SiOで示される重合体単位20
〜50モル%、R1SiO3/2で示される重合体単位20〜50モル
%を含有する分岐状オルガノポリシロキサンである。こ
こにR1はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、
ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデ
シル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシ
ル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニ
ル基、フェニル基、トリル基等のアリール基若しくはこ
れらの基の炭素原子に結合して水素原子の一部又は全部
をハロゲン原子、シアノ基、メルカプト基等で置換した
クロロメチル基、トリフルオロプロピル基、シアノエチ
ル基、メルカプトプロピル基等から選択される炭素原子
数が1〜18である非置換若しくは置換の同種又は異種の
1価炭化水素基であり、R1の50%以上はメチル基であ
る。
又、この分岐状オルガノポリシロキサンはこの組成物
から作られる外壁材に耐吸水性を与えるものであるとい
うことから、25℃における粘度が5〜1,000csの範囲の
ものとする必要があるが、特に作業性を良くするという
観点から100cs以下のものとすることが好ましい。
上記分岐状オルガノポリシロキサンの添加量は、窯業
系外壁材組成物の原料固形分に対して0.1〜10重量%の
範囲とすれば良いが、好ましくは2〜5重量%の範囲で
ある。0.1重量%より少ないと所望の防水性が得られ
ず、10重量%より多くするとコストアップとなって実用
的ではなくなる。
《発明の効果》 本発明の窯業系外壁材組成物は、従来公知の各種のシ
リコーンオイル内添窯業系外壁材組成物とは異なり、分
岐状オルガノポリシロキサンを添加してなる組成物であ
るので、従来以上に防水性及び撥水性に優れたものとな
り、従って本組成物から作られた外壁材は降雨による漏
水、鉄筋の錆発生及び凍害が効果的に防止される。
《実施例》 以下本発明を実施例によって更に詳述するが、本発明
はこれによって限定されるものではない。
尚、実施例中の%は重量%、粘度は25℃における測定
値、吸水率は、ノンアスベスト系窯業系外壁材組成物か
ら作った成形体を水道水中に24時間浸漬した後、その重
量を測定して吸水率を計算した。
〔合計例〕:分岐状オルガノポリシロキサン トリメチルクロルシラン290g(2.67モル)、ジメチル
ジクロルシラン330g(2.56モル)及びメチルトリクロル
シラン380g(2.54モル)の混合液を、1,780gの水を保持
した5ガラスフラスコ内に撹拌しながら4時間かけて
滴下投入した。滴下中フラスコを水冷することにより液
温を50℃以下に保った。更に1時間撹拌した後静置し、
分離した塩酸水層を廃棄した。
得られた油層を3%炭酸ナトリウム水溶液1,000gによ
り洗浄した後、更にプロピレンオキサイド1gを投入し、
2時間撹拌を行って減圧下(50mmHg)140℃にてストリ
ッピングを行い低揮発成分を除去して、33センチストー
クスで無色透明液体のオルガノポリシロキサンAを得
た。
得られたオルガノポリシロキサンAの重合体単位を29
Si−NMR分析法により分析したところ(CH33SiO1/2
位が28モル%、(CH32SiO単位が33モル%、CH3SiO3/2
単位が39モル%であった。同様にしてオルガノポリシロ
キサンB〜Dを合成した。これらの特性及び分析結果を
オルガノポリシロキサンAと共に第1表に示した。
〔実施例1〜8〕 ポルトランドセメント50gにけい砂(7号)50g、パー
ライト(トプコ#31:昭和化学工業(株)製商品名)10
g、5×5×0.5mmのパルプ片5.5g、水道水80g及び水道
水を除く固形分合計量に対し、第1表に示した分岐状オ
ルガノポリシロキサン(A〜C)を第2表に示した如く
添加して窯業系外壁材組成物I〜VIIIを調製した。
次に、この組成物を10分間700rpmで高速撹拌した後、
木枠中に入れて10×3×2cmの大きさに成形し、室温で1
2時間放置した後鉄製耐圧容器に入れ、組成物に対して1
0重量%の水を添加して密閉し、熱風循環式恒温槽で150
℃×24時間養生させた。次に、成形物を取り出して上記
恒温槽にて150℃×24時間乾燥させて比重1.1の成形体と
し、得られた成形体について吸水率を測定したところ第
2表に示した通りの結果が得られた。
〔比較例9〜14〕 実施例1〜8で作製したと同様なノンアスベスト系窯
業系外壁材組成物に第1表に示したポリシロキサンD並
びに下記一般式で示されるジメチルポリシロキサンE: (粘度:20センチストークス)及びメチルオクチルポリ
シロキサンF: (粘度:18センチストークス) をその固形分に対して第3表に示した如く添加して組成
物IX〜XIVを調製した後、実施例1と同様にして成形体
とし次いで吸水率を測定したところ第3表に示した通り
の結果が得られた。第3表の結果から明らかな如く、こ
れらは何れも実施例1〜8のものに比較して吸水率が大
きく、添加量を5重量%としても吸水率は30%以上と大
きいことが確認された。
〔比較例15〕 分岐状オルガノポリシロキサンを添加しない以外は実
施例1〜8と全く同様にして窯業系外壁材組成物XVを作
成し、吸水率を測定した。
結果は第3表に示した通りである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C04B 111:27 C04B 111:27

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】セメント原料を主成分とし、けい酸質原料
    及び/または繊維質原料並びに、25℃における粘度が5
    〜1,000csであり、 R1 3SiO1/2で示される重合体単位が20〜50モル%、R1 2Si
    Oで示される重合体単位が20〜50モル%及びR1SiO3/2
    示される重合体単位が20〜50モル%(R1は、同種又は異
    種の炭素原子数1〜18の1価炭化水素基であり、その50
    %以上はメチル基である。)である分岐状オルガノポリ
    シロキサンを、組成物中の固形分に対して0.1〜10重量
    %添加、混合してなることを特徴とする窯業系外壁材組
    成物。
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