JP2536768B2 - 非粘着性フッ素ゴム組成物 - Google Patents

非粘着性フッ素ゴム組成物

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Description

【発明の詳細な説明】 (発明の技術分野) 本発明は非粘着性フッ素ゴム組成物、さらに詳細に
は、フッ素ゴムの非粘着性を改良したフッ素ゴム組成物
に関する。
(発明の従来技術) フッ素ゴムは、耐油性に優れていることから、自動車
のエンジンなど内燃機関の燃料系の弁体として多く使用
されている。
このような弁1は、例えば電磁石2あるいはスプリン
グなどの作用によって軸方向に可動可能になっていると
ともに、流体の通路3に開設される弁座4に当接−解除
を行なうことによって流体通路2内を流通する流体の量
を制御したり、又はオン−オフを行なう作用を営むもの
である。
このような弁1は、例えば金属製の弁軸11とその先端
部に設けられた弁体12よりなり、この弁体12としては耐
油性及び耐磨耗性を要求されることからフッ素ゴムが使
用されている。
このような構造の弁1を使用して流体の制御を行なう
場合、前記弁座4と弁体12は当接−解除を無数繰り返す
ことになる。このように弁体12を長年使用すると、前記
弁体12が粘着性を有するようになって、前記弁座4と弁
体12の接触部Aが粘着し、弁1が離れにくくなったり、
ひどくなると粘着して離れなくなったりする事態を生じ
ていた。
このような欠点を徐々するため、前記弁軸11にフッ素
ゴム製の弁体12を取り付けた後、前記弁体12の表面をア
ミン又はアミン酸塩で表面処理する方法が開発されてい
る(特許出願公開昭和61年第81437号公報)。
このような方法によれば、フッ素ゴムの非粘着化は従
来の表面処理を行なわない場合の3倍程度改良され、良
好な非粘着化を示す。しかしながら、このようなアミン
処理を行なった場合も、非粘着性は十分とはいえず、さ
らに良好な非粘着性フッ素ゴムが希求されているのが現
状である。
(発明の概要) 本発明は上述の点に鑑みなされたものであり、従来に
比較して良好な非粘着性を有するフッ素ゴム組成物を提
供すること、さらに詳細にはフッ素の表面処理によら
ず、フッ素ゴム自体を非粘着化する方法を提供すること
を目的とするものである。
したがって本発明による非粘着性フッ素ゴム組成物
は、フッ素ゴム100重量部に対し、下記の一般式のアル
キルウレア化合物を5〜30重量部練り込んだことを特徴
とする非粘着性フッ素ゴム組成物。
RNHCONH(CH2)nNHCONHR1 (ただし、R、R1は炭素数8〜20の同一又は異なるアル
キル基、nは1〜8の正の整数を示す) 本発明者らは、フッ素ゴムの非粘着化について鋭意研
究した結果、所定のアルキルウレア化合物をを所定量添
加することによって、フッ素ゴムの非粘着性が100倍以
上改良されることを見いだし、本発明に至ったものであ
る。
(発明の具体的説明) 本発明をさらに詳しく説明する。
本発明によれば、フッ素ゴムに対し、下記の一般式の
化合物を添加する。
RNHCONH(CH2)nNHCONHR1 (ただし、R、R1は炭素数8〜20の同一又は異なるアル
キル基、nは1〜8の正の整数を示す) 前記一般式において、R及びR1は炭素数8〜20のアル
キル基であるが、前記R及びR1の炭素数が8より小さい
と、融点が低くなり過ぎて取り扱いが困難になり、一方
20を越すと、粘度が大きくなり過ぎ、混練が困難になる
からである。
nは1〜8の正の整数であるが、8より大きいと、粘
着防止効果が充分でない恐れを生じるからである。
前記のような化合物の具体例としては、例えばC17H35
NHCONH(CH2)NHCONHC17H35等のアルキルウレア類等の
一種以上であることができる。
この化合物の添加量は、フッ素ゴム100重量部に対
し、5〜30重量部である。5重量部未満であると、充分
な非粘着化が達成できない恐れがあり、一方30重量部を
越えると、諸物性が低下するという欠点を生じる恐れが
あるからである。
本発明において使用されるフッ素ゴムは、基本的に限
定されるものではない。二元系及び三元系など、種々の
フッ素ゴムを使用することができる。具体例を上げれ
ば、ヘキサフルオロプロペン、1、1、1、2、3−ペ
ンタフルオロプロペン、テトラフルオロエチレン、トリ
フルオロエチレン、1,2−ジフルオロエチレン、ジクロ
ルジフルオロエチレン、クロルトリフルオロエチレン、
ヘキサフルオロブテン、フッ素化ビニルエーテル類、パ
ーフルオロアクリル酸エステルなどの共重合体を挙げる
ことができる。
このような本発明のフッ素ゴム組成物には、そのほか
に加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤。充填剤、加工助剤
などを適量添加することができるのは、明らかである。
以下、実施例について説明する。
実施例1 R=R1=C17H35、n=1のアルキルウレア化合物をフ
ッ素ゴム100重量部に対し10重量部配合した三元系フッ
素ゴム組成物(ほかにカーボンブラック、20重量部、架
橋助剤5.5重量部、架橋剤{過酸化物}2重量部、を含
む)よりフッ素ゴムを製造し粘着性を測定した。
このようなフッ素ゴム組成物を使用して、第2図に示
すような粘着試験機によって粘着性を試験した。
すなわちニッケル−鉄合金製のプランジャ5の先端部
に前記組成物試料6を貼着し、バルブシート7上に載置
し、プッシュブルゲージ8によって上方に前記プランジ
ャ5を持ち上げるときの力(g)を測定した。試料6と
プランジャ5の自重は2gであった。
測定は、前記プランジャ5に取り付けられた試料5に
50gの荷重をかけ、バルブシート7に試料を押しつけた
状態で、40℃、湿度80%の状態で20時間保持した後、さ
らに25℃、湿度65%で4時間放置した後に行なった。
この試験方法より明らかなように、持ち上げる力が小
さいほど粘着製は小さくなる。また、実際の粘着性は、
測定値より2g引いた値である。
結果を下記の第1表に示す。
比較例として前記組成物に使用したフッ素ゴムの粘着
性を試験を行なった。
この第1表より明らかなように、通常のフッ素ゴムに
比較して、平均値で10倍前後、非粘着効果が改良されて
いることがわかった。
最大値でも、5〜13倍の効果があると共に、最小値に
おいては30倍以上の効果が出たものもあった。
実施例2 フッ素ゴム(三元系フッ素ゴム)に対し、上記実施例
1のアルキルウレア系化合物の添加量を変化させた本発
明のフッ素ゴム組成物を製造し、同様に粘着性を測定し
た。
また比較例として、特開昭61-81437号に開示されてい
るアミンによる表面処理を行なったフッ素ゴムについて
の粘着性も測定した。
まず、実施例1の化合物を所定量添加し、練り込んだ
後、プランジャに焼き付け、200℃、8時間の条件で二
次加硫した後、フッ素ゴム表面をメタノールで洗浄する
と共に、超音波によって2分間洗浄を行なって試料とし
た。
比較例の試料は、同一のフッ素ゴムをプランジャに焼
き付けた後、水洗し、上記と同一条件で二次加硫し、同
一条件でメタノール、超音波洗浄をした後、アミン溶液
(Diak No.1;商標名、デュポン(株))20%水溶液に1
〜24時間浸漬して表面処理を行なったものを試料とし
た。
結果を第2表に示す。
この第2表より明らかなように、アミン表面処理を24
時間したフッ素ゴムは平均粘着力が107gであり、非粘着
処理を行なっていないフッ素ゴムの粘着力(473g)より
も4倍以上の非粘着性を示す。しかしながら、本発明に
よる平均値は、3gであり、非粘着処理をしていないフッ
素ゴムの150倍以上、アミン表面処理をした場合の35倍
以上の効果があった。
この粘着性のデータ(平均値)をグラフにしたものを
第3図に示す。図中、黒丸はアミン表面処理を行なった
フッ素ゴム(横軸は時間を示す)、白丸は本発明による
組成物より製造されたフッ素ゴム(横軸は重量部を示
す)を示している。
(発明の効果) 以上説明したように、本発明によれば酸ビスアミドな
いしアルキルウレア系化合物を添加したため、著しく良
好な非粘着性のフッ素ゴムを得ることができる。このた
め、信頼性の高い弁体などを製造することができるとい
う利点がある。
【図面の簡単な説明】
第1図は弁機構を模式的に示した図、第2図は粘着性を
試験するための機構を示した図、第3図は本発明による
実施例1の化合物の添加量と粘着性の関係及び比較例と
してのアミン処理時間と粘着性を示したグラフ(粘着性
のデータは平均値)である。 12……弁体。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フッ素ゴム100重量部に対し、下記の一般
    式のアルキルウレア化合物を5〜30重量部練り込んだこ
    とを特徴とする非粘着性フッ素ゴム組成物。 RNHCONH(CH2)nNHCONHR1 (ただし、R、R1は炭素数8〜20の同一又は異なるアル
    キル基、nは1〜8の正の整数を示す)
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