JP2536711B2 - 炭酸ガスレ―ザ―用ガスの再生方法 - Google Patents

炭酸ガスレ―ザ―用ガスの再生方法

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JP2536711B2
JP2536711B2 JP4299852A JP29985292A JP2536711B2 JP 2536711 B2 JP2536711 B2 JP 2536711B2 JP 4299852 A JP4299852 A JP 4299852A JP 29985292 A JP29985292 A JP 29985292A JP 2536711 B2 JP2536711 B2 JP 2536711B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ガスレーザー装置、と
くに炭酸ガスレーザー装置で使用した混合ガスを再使用
できるように触媒を用いて再生する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】高出力、高パルスのガスレーザー装置と
して、炭酸ガスレーザー装置が知られている。 炭酸ガ
スレーザー装置のレーザーガスには、通常、He,N2
およびCO2の混合ガスが使用されている。 放電によ
りCO2の一部はCOとO2に分解し、その中でもO2
ガス中に高濃度に存在したままであると、レーザーの出
力が低下するとともにアーク放電が起り、電極等を損傷
する原因となる。
【0003】フレッシュガスを常時供給すれば常に高出
力が保てるが、レーザー用混合ガスの大部分を占めるH
eは高価なガスであり、必要な混合ガスの全量をフレッ
シュガスでレーザー装置に供給するのでは、ランニング
コストが膨大なものとなる。このため、炭酸ガスレーザ
ー装置で混合ガス中に生成したCOとO2とを再結合さ
せてCO2に戻し、そのガスを再使用することが試みら
れている。 この反応を積極的に実施するためには、貴
金属触媒が有効であることが知られている。
【0004】出願人は、炭酸ガスレーザー装置で使用し
た混合ガスを繰り返し使用できるように再生する工業的
方法であって、触媒活性が長時間持続するような再生方
法、および活性が低下した触媒を再活性化する方法、な
らびにそのような方法を実施する装置を開発して、すで
に提案した(特願平3−49657号)。
【0005】その方法は、炭酸ガスレーザー装置で使用
したHe−N2−CO2混合ガス中のCOとO2およびN
Oxを、200℃を超え350℃までの温度で貴金属触
媒と接触反応させ、発生した反応熱を未反応の混合ガス
の予熱に利用し、ついで反応後の混合ガスをレーザー発
振に使用できる温度まで冷却し、除塵してレーザー装置
に循環させることからなる。 上記の高い温度は、NO
xによる触媒反応阻害を抑制するために必要な条件であ
る。
【0006】この方法は一応の成功をおさめたが、反応
に先立つ混合ガスの予熱、および反応後の混合ガスの冷
却に、多大なエネルギーを必要とする。
【0007】その後さらに研究を続けた結果、炭酸ガス
レーザー装置においても、装置の出力規模や操業条件に
よってはNOxの発生が実質上認められない場合が少な
くないことがわかった。 そしてNOxを含有しない混
合ガスは、貴金属触媒と高温における接触という条件を
みたさなくても、より安価な金属酸化物触媒を使用し、
上記した温度領域より遥かに低温で処理しても、十分に
レーザー用ガスの再生ができることを見出した。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
の新しい知見を利用して、炭酸ガスレーザー装置で使用
した混合ガスを、レーザー出力を低下させることなく繰
り返し使用できるように再生する方法であって、エネル
ギー消費を状況に応じて少なくて済ませることができ
る、合理化された方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の炭酸ガスレーザ
ー用ガスの再生方法は、炭酸ガスレーザー用のHe−N
2−CO2混合ガスを再使用のために再生する方法であっ
て、レーザー装置で使用した混合ガス中のNOxの有無
を決定し、その結果に従って、 イ)NOxが存在する場合は、混合ガスを、200℃を
超え350℃までの温度で貴金属触媒と接触させ、ガス
中のCOとO2とを反応させてCOをCO2に変えるとと
もに、COとNOxとを反応させてCO2とN2に変換す
ること、または ロ)NOxが存在しない場合は、混合ガスを、常温ない
し200℃以下の温度で貴金属触媒または金属酸化物触
媒と接触させ、ガス中のCOとO2とを反応させてCO2
に変えること、のいずれかを行なうことを特徴とする。
【0010】ガス中にNOxが存在するか否かは、一般
に装置の規模や操業条件によってほぼ決定され、NOx
の発生が有るか無いかはわかるので、検知するまでもな
い場合が多い。しかし、NOx分析計により容易に確か
めることができるから、必要に応じて検知を行なえばよ
い。
【0011】貴金属触媒としては、Au,Pt,Ru,
RhまたはPdを、アルミナまたはシリカに担持させた
ものが好適である。
【0012】金属酸化物触媒としては、CuO−MnO
2 系もしくはAg・Mn・Co系の複合金属酸化物、ま
たはAg2O を主成分とするものが有用である。 これ
らの触媒は、温度120〜200℃において使用し、触
媒反応を行なうことが好ましい。
【0013】触媒は、いずれも固定床で使用できる。
使用後の混合ガスを触媒床を通過させるに適した空塔速
度は、貴金属触媒の場合は4,000〜30,000/
Hrであり、金属酸化物触媒の場合は1,000〜5,00
0/Hrである。
【0014】触媒はまた、常用の担体たとえばアルミナ
粒子に担持させた形態に限らず、混合ガスを再生反応の
ために加熱するヒーターの表面に触媒を担持させた形態
で使用することもできる。 この触媒使用形態は出願人
が最近提案した(特願平4−156505)ものであっ
て、使用後のガスの加熱が、加熱が最も効率的である触
媒表面において行なわれるので、エネルギー消費が最小
限で済むという利点がある。
【0015】このような触媒を使用した場合でも、高温
でガス再生反応を行なった場合には、再生されたガスを
レーザー装置で使用するに適した温度に冷却してから再
使用に供すべきことはもちろんである。
【0016】
【作用】すでによく知られているように、炭酸ガスレー
ザー用のHe−N2−CO2混合ガス中では、放電により
下式のようにCOとO2とが発生する。 CO2→CO+0.5O2 そこで、触媒によりこのCOとO2を反応させて、CO2
を再生する。 CO+0.5O2=CO2 NOxの発生する機構は、放電により生じたO2とN2
反応によると考えられている。
【0017】このNOxは、触媒の活性点に吸着して被
毒現象を起すが、貴金属触媒を200℃を超える高温で
使用すれば、被毒が抑制され、混合ガス再生反応を続け
ることができる。 これは、混合ガス中のCOによるN
Oの還元反応 NO+CO=0.5N2+CO2 NO2+2CO=0.5N2+2CO2 によるものと考えられる。
【0018】しかし、長時間の使用により、触媒の被毒
が少しずつでも進むと、ガス再生反応の活性低下は免れ
ない。 その場合は、He−CO−O2混合ガスを触媒
に送って、上記のNOx還元反応を行ない、触媒の再活
性化を行なえばよい。 その技術は、前記の特許出願
(特願平3−49657)に開示してある。
【0019】使用後の混合ガス中にNOxが存在しない
場合、被毒の問題がないから、使用後の混合ガスを再生
する触媒は貴金属触媒でも金属酸化物触媒でもよく、温
度も常温ないし200℃以下の比較的低い温度で足り
る。 ただし、十分な転化率を達成するためには、12
0℃以上、代表的には150℃程度の温度を与えること
が望ましい。
【0020】
【実施例】貴金属触媒として、下記の表1のA〜Dに示
した4種の触媒を用意した。
【0021】 表 1 (貴金属触媒) 活性種 Pt Rh−Ru Ru Pd 担持量 0.4% 各0.4% 0.4% 0.4% 担 体 アルミナ アルミナ アルミナ シリカ 調製法 油中球状 含浸法 含浸法 含浸法 金属酸化物触媒としては、表2のEおよびFを用意し
た。
【0022】 炭酸ガスレーザー用ガスの使用後の混合ガスの模疑ガス
として、NOxの存在するものとしないもの、下記表3
のガスI,IIの2種を用いた。
【0023】 表 3 (模疑ガス) ガスI(NOx共存) ガスII(NOxなし) CO2 30.0%(容量) 30.0%(容量) N2 30.0% 30.0% CO 6.66% 6.66% O2 3.34% 3.34% NOx 300ppm − He 残 残 上記の触媒A〜DならびにEおよびFを反応器に充填
し、種々の温度において、ガスIおよびIIを、空塔速度
5,000/Hrで通過させてガス再生反応を行なった。
10時間後のCO転化率は、各温度において、それぞ
れ表4および表5に示すとおりであった。
【0024】 表 4 (ガスI:NOx共存) 150℃ 200℃ 300℃ 300℃ 250℃ 300℃ 100% 100% 25% 18% 100% 15% 143℃ 180℃ 260℃ 280℃ * 260℃ 95% 98% 8% 7% 5% 125℃ 150℃ 84% 60% *CO反応率は100%であるが、NOxの反応率は実質上ゼロであった。
【0025】 表 5 (ガスII:NOxなし) 120℃ 150℃ 150℃ 200℃ 200℃ 180℃ 100% 100% 100% 100% 100% 100% 96℃ 130℃ 130℃ 180℃ 150℃ 80% 100% 100% 95% 38% 80℃ 120℃ 120℃ 150℃ 130℃ 60% 76% 75% 65% 13% 上の結果から、使用後の炭酸ガスレーザー用混合ガスを
再生するとき、NOxが存在するならば貴金属触媒を用
いて高温で接触させるべきこと、またNOxが存在しな
ければ、貴金属触媒および金属酸化物触媒のどちらを用
いてもよく、しかも比較的低温で接触させればよいこと
がわかる。
【0026】
【発明の効果】本発明の炭酸ガスレーザー用ガスの再生
方法によれば、使用後のガス中にNOxが存在するか否
かに応じて触媒および接触温度を選択することにより、
あるいはNOxによる被毒を抑制して長時間にわたるガ
ス再生を可能にし、あるいはより少ないエネルギー消費
をもって、またはそれに加えてより廉価な触媒を用いて
ガス再生を行なうことによって再生のコストを低減し
て、合理的にガス再生を実施することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 戸井田 努 茨城県東茨城郡大洗町成田町2205 日揮 株式会社大洗原子力技術開発センター内 (56)参考文献 特開 平4−286171(JP,A) 特開 平1−196881(JP,A) 特開 昭64−15991(JP,A)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭酸ガスレーザー用のHe−N2−CO2
    混合ガスを再使用のために再生する方法であって、レー
    ザー装置で使用した混合ガス中のNOxの有無を決定
    し、その結果に従って、 イ)NOxが存在する場合は、混合ガスを、200℃を
    超え350℃までの温度で貴金属触媒と接触させ、ガス
    中のCOとO2とを反応させてCOをCO2に変えるとと
    もに、COとNOxとを反応させてCO2とN2に変換す
    ること、または ロ)NOxが存在しない場合は、混合ガスを、常温ない
    し200℃以下の温度で貴金属触媒または金属酸化物触
    媒と接触させ、ガス中のCOとO2とを反応させてCO2
    に変えること、のいずれかを行なうことを特徴とする再
    生方法。
  2. 【請求項2】 貴金属触媒として、Au,Pt,Ru,
    RhまたはPdを、アルミナまたはシリカに担持させた
    ものを使用する請求項1の再生方法。
  3. 【請求項3】 金属酸化物触媒として、CuO−MnO
    2系もしくはAg・Mn・Co系の複合金属酸化物、また
    はAg2Oを主成分とするものを使用し、温度120〜
    200℃において触媒反応を行なう請求項1の再生方
    法。
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