JP2536710Y2 - 車両用オイルパン - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、潤滑油であるオイルを貯留しておく車両用
オイルパンに関するものである。

〔従来の技術〕

一般に車両のオイルパンは、オイルパン本体にパイプ
からなるオイルレベルゲージガイドが１本設けられてい
る（例えば、実開昭59−62214号公報）。

しかし、キャブがチルトできるトラック等の車両にお
いては、キャブをチルトさせなくともエンジンの前方か
らオイル液面の測定を可能にするために、第３図及び第
４図に示すようにオイルレベルゲージガイド11をオイル
パン本体10の中央部に取付けるのみならずその前部側に
も他のオイルレベルゲージガイド12が設けられている。

以上の点について第５図・第６図により説明を補足す
る。第５図はキャブとオイルレベルゲージガイド11,12
とを側面から見た概念図、第６図は同じく上面から見た
概略図を示す。両図において、キャブ20はエンジン21の
上方に在ってエンジン21の下側にはオイルパン10が設け
られている。エンジン21を点検するときキャプ20をチル
トさせて各種の点検が行われる。オイルパン10内のオイ
ル液面の測定はオイルパン10の側面に設けられたオイル
レベルゲージガイド11にオイルレベルゲージを差し込ん
で行われる。

一方、キャブ20をチルトさせない場合は、キャブ20が
エンジン21上方に覆い被さるように設けられているの
で、オイルレベルゲージガイド11に対しオイルレベルゲ
ージを差込み難くなっている。そのため他のオイルレベ
ルゲージガイド12を、キャブ20に妨げられないエンジン
21の前部側に設けて、オイル液面の測定を行う。

〔考案が解決しようとする課題〕

ところで、前記オイルパン本体10は、普通、制振鋼板
製であり、そのオイルパン本体10にスチール製パイプか
らなるオイルレベルゲージガイド11,12を溶接すること
は、性質上溶接し難い。従って、２本のオイルレベルゲ
ージガイド11,12をそれぞれ別々に溶接固着すること
は、その作業に多くの時間がかかる。また一般に、車両
の種類によりフレームに対するエンジンの取付傾斜角度
が異なるが、オイルパンは、ほぼ同じものを使用する。
そのためにオイルパン本体10の離れた２箇所にオイルレ
ベルゲージガイド11,12を取付けた場合、同第３図に示
すようにオイル液面13の位置が場所により異なり、測定
するオイルレベルガイド11,12の取付位置によって測定
値が異なり、正確な測定ができない場合があった。

本考案は上記に鑑みてなされたもので、その目的は、
溶接し難い箇所の溶接を少なくして作業性をよくすると
共に、キャブをチルトさせなくともオイル液面を正確に
測定できる車両用オイルパンを提供することである。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的を達成するための本考案は、制振鋼板製オイ
ルパン本体に２本のオイルレベルゲージガイドを設けた
車両用オイルパンにおいて、上記制振鋼板製オイルパン
本体の前部側に突出させて１本のオイルレベルゲージを
溶接固着し、そのオイルレベルゲージガイドの途中の根
本部にガイド取付孔を形成し、そのガイド取付孔に他の
オイルレベルゲージガイドを溶接固着したことを特徴と
するものである。

〔作用〕

１本のオイルレベルゲージの途中の根本部に他のオイ
ルレベルゲージガイド溶接固着すれば、オイルパン本体
とオイルレベルゲージガイドとの溶接固着が１本とな
り、溶接し難い制振鋼板製オイルパン本体との溶接箇所
が少なくなる。

また、オイルパン本体の前部側に突出させて溶接固着
した１本のオイルレベルゲージガイドに他のオイルレベ
ルガイドを設ければ、各オイルレベルゲージガイドに備
えたオイルレベルゲージによりほぼ同一の測定場所（位
置）で測定が行われ、オイル液面が同一になる。

更にまた、オイルパン本体の前部側に溶接固着された
突出する１本のオイルレベルゲージがキャブより突出し
てキャブをチルトさせることなくエンジンの前方からオ
イル液面の測定が可能となる。

〔実施例〕

以下、図面により本考案を詳細に説明する。

第１図及び第２図は、本考案に係かる車両用オイルパ
ンの一実施例を示したものである。

１は潤滑油であるオイルを貯留しておくオイルパン本
体で、制振鋼板製である。そのオイルパン本体１の側面
２の上部には、補強部材３を介してステー４が取付けて
ある。また、そのオイルパン本体１の側面２の前部側に
は、ガイド取付孔５が形成されて、そのガイド取付孔５
にスチール製パイプからなる１本のオイルレベルゲージ
ガイド６が挿入されてオイルパン本体１の前部側に突出
し溶接固着されている。そのオイルレベルゲージガイド
６の上部側は、前記ステー４に支持されている。１本の
オイルレベルゲージガイド６の途中の根本部には、ガイ
ド取付孔７が形成され、そのガイド取付孔７には、他の
オイルレベルゲージガイド８が挿入されて溶接固着さ
れ、そのオイルレベルゲージガイド８の上部側がステー
４に支持されている。そして、図示されていないが、各
オイルレベルゲージガイド6,8には、それぞれオイルレ
ベルゲージが装着されている。

かかる構造の車両用オイルパンによれば、１本のオイ
ルレベルゲージガイド６の途中に他のオイルレベルゲー
ジガイド８を溶接固着することになり、溶接し難いオイ
ルパン本体１とオイルレベルゲージガイド６との溶接箇
所が１箇所となり、それだけ溶接し難い箇所の溶接が少
なくなって作業性がよくなる。尚、オイルレベルゲージ
ガイド６とオイルレベルゲージガイド８の溶接固着は、
同材料で形成されているから、容易に溶接できる。ま
た、オイルパン本体１に溶接固着したオイルレベルゲー
ジガイド６に他のオイルレベルゲージガイド８を設ける
から、オイルパン本体１には共通のパイプが接続されて
おり、従ってオイルレベルゲージガイド6,8の何れのオ
イルレベルゲージガイド6,8に装着されたオイルレベル
ゲージでオイル液面９を測定してもオイル液面が違わな
い。即ち、同じ部位を測定したことになり、何れのオイ
ルレベルゲージガイド6,8に挿着されたオイルレベルゲ
ージでもオイル液面９を正確に測定できる。

また、オイルパン本体１の前部側に溶接固着された突
出する１本のオイルレベルゲージガイド６がキャブより
突出して、キャブをチルトさせなくともエンジン前方か
らオイル液面の測定が可能となる。

更に、上記１本のオイルレベルゲージガイド６のオイ
ルパン本体との途中の根本部に他のオイルレベルゲージ
ガイド８を設けているから、キャブをチルトさせたと
き、オイルパン側方の位置からオイル液面を測定するこ
とが容易にできて、その値はキャブをチルトさせない場
合のオイル液面と同値である。

〔考案の効果〕

以上述べた如く本考案は、制振鋼板製オイルパン本体
に１本のオイルレベルゲージガイドを溶接固着し、その
オイルレベルゲージガイドの途中に他のオイルレベルゲ
ージガイドを溶接固着したので、溶接し難い箇所の溶接
を少なくして作業性をよくすることができ、また、オイ
ル液面を正確に測定でき、然も、キャブをチルトさせな
くとも、エンジンの前方からオイル液面を正確に測定で
き、更にキャブをチルトさせたときオイルパン側方の位
置からオイル液面を正確に測定できるという効果を奏す
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例の側面図、第２図は第１図の
要部断面図、第３図は従来の例の側面図、第４図は第３
図の要部断面図、第５図・第６図は従来技術として示す
第３図・第４図の補足説明用の側面図と上面図である。 １……オイルパン本体 6,8……オイルレベルゲージガイド。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】制振鋼板製オイルパン本体に２本のオイル
   レベルゲージガイドを設けた車両用オイルパンにおい
   て、 上記制振鋼板製オイルパンの前部側で非チルト時のキャ
   ブより突出させて１本のオイルレベルゲージを溶接固着
   し、そのオイルレベルゲージガイドの途中の根本部にガ
   イド取付孔を形成し、 そのガイド取付孔に他のオイルレベルゲージガイドを溶
   接固着したこと を特徴とする車両用オイルパン。