JP2535739Y2 - 水中ポンプ用メカニカルシ−ル - Google Patents

水中ポンプ用メカニカルシ−ル

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JP2535739Y2
JP2535739Y2 JP1990007943U JP794390U JP2535739Y2 JP 2535739 Y2 JP2535739 Y2 JP 2535739Y2 JP 1990007943 U JP1990007943 U JP 1990007943U JP 794390 U JP794390 U JP 794390U JP 2535739 Y2 JP2535739 Y2 JP 2535739Y2
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pressure
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ring
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壽夫 福井
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日本ピラー工業 株式会社
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【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、水中ポンプに装備されるメカニカルシール
であって、モータ室とインペラ室との間に形成された油
室に一対の密封要素を並列配置してなる水中ポンプ用メ
カニカルシールに関するものである。
〔従来の技術〕
従来のこの種の水中ポンプ用メカニカルシールとして
は、第6図に示す如く、モータ室10とインペラ室9との
間に形成された油室8に一対の密封要素を並列配置して
なり、低圧側密封要素によりモータ室10と油室8とをシ
ールすると共に高圧側密封要素によりインペラ室9と油
室8とをシールするように構成されたものがよく知られ
ている。
すなわち、このメカニカルシール(以下「第1従来シ
ール」という)は、油室8とインペラ室9及びモータ室
10とを仕切る第1及び第2隔壁11a,11bに夫々固定保持
された第1及び第2固定密封環1,2と、油室8内におい
てインペラ軸12に基端部を相対向させて嵌着固定された
第1及び第2ベローズ3,4と、先端側部分が基端側部分
より薄肉となる断面略L字形をなしており、各ベローズ
3,4の先端部に取着された軸線方向摺動可能な第1及び
第2回転密封環5,6と、両ベローズ3,4の先端部間に介挿
されており、ベローズ3,4と相俟って、回転密封環5,6を
固定密封環1,2に押圧接触させるコイルスプリング7と
を具備して、インペラ室側(第6図上、右側)に位置す
る高圧側密封要素である第1密封環1,5の相対摺接回転
作用によって油室8とインペラ室9とを遮蔽シールさせ
ると共に、モータ側(同図上、左側)に位置する低圧側
密封要素である第2密封環2,6の相対摺接回転作用によ
って油室8とモータ室10とを遮蔽シールさせるように構
成されている。
ところで、インペラ室側流体の圧力Pはインペラ作用
によって高圧となり、これが高圧側密封要素である第1
ベローズ3に大きな逆圧として作用することになる。
このように大きな逆圧が第1ベローズ3に作用したと
きには、第1ベローズ3が、それ自身の弾性力及び緊締
バンド13の締付力によってインペラ軸12に嵌着固定され
ているにすぎないものであることとも相俟って、モータ
室10側に移動され或いは圧縮されて、第1回転密封環5
が第1固定密封環1から離間する方向に変位せしめられ
る虞れがある。
このような事態が発生すると、第1密封環1,5間の接
触圧が低下したり、第1ベローズ3とインペラ軸12との
間に滑りを生じて、第1密封環1,5間の相対回転が良好
に行われなくなり、油室8とインペラ室9との間のシー
ル機能が損なわれることになる。一方、低圧側密封要素
においても、第1べローズ3の上記変動によりコイルス
プリング7が圧縮されて、第2密封環2,6間の接触圧が
必要以上に増大し、第2密封環2,6間に焼き付きが生じ
る虞れがある。
そこで、本考案者は、先に、第7図に示す如く、逆圧
防止手段として、ベローズ3,4の基端部を衝合させてお
くことを提案した。
このようにしたメカニカルシール(以下「第2従来シ
ール」という)にあっては、上記した如き第1従来シー
ルでは使用できないような大きな逆圧が作用する条件下
においても、かかる逆圧による第1ベローズ3の移動は
第2ベローズ4による係止作用によって確実に防止さ
れ、第1回転密封環5が第1固定密封環1から離間変位
されるようなことがない。したがって、第1従来シール
における上記した問題は解決され、高圧条件下において
も良好なシール機能を発揮しうる。このことは、次のよ
うな実験結果からも確認されている。すなわち、インペ
ラ軸径が15mmである水中ポンプにおいて実験したとこ
ろ、第1従来シールでは、第4図に▲印及び破線で示す
如く、インペラ室側流体の圧力Pが1.5kgf/cm2Gを超え
ると、第1密封環1,5による密封端面からの漏れが急激
に増大したが、第2従来シールでは、同図に■印及び鎖
線で示す如く、インペラ室側流体の圧力Pが1.5kgf/cm2
Gを超えるときにも殆ど漏れが生じなかった。
〔考案が解決しようとする課題〕
しかし、第1及び第2従来シールにあっては、ベロー
ズ3,4の基端部同士を衝合させていると否とに拘わら
ず、ベローズが圧縮状態で配置されることとも相俟っ
て、第1又は第2回転密封環5,6にはコイルスプリング
7による押圧荷重に加えて、ベローズ3,4の圧縮による
押圧荷重が作用することから、密封環1,5又は2,6間の接
触圧したがって回転トルクが増大し、しかもそれがメカ
ニカルシールの組込状態次第では大きくばらつく虞れが
ある。したがって、低圧側であり且つ圧力変動が生じな
いモータ室側の密封要素である低圧側密封要素について
はともかく、高圧側であり且つインペラの回転により大
きな圧力変動が生じるインペラ室側の密封要素である高
圧側密封要素においては、起動不能や高トルクに起因す
る密封環1,5間の焼付を生じたり、回転トルクが大きく
変動して、良好且つ安定したシール機能を発揮できない
といった問題がある。
本考案は、第1又は第2従来シールの如く構成された
ものにおいて、特に高圧側密封要素を改良することによ
って、上記した問題を解決し、インペラの回転により圧
力変動する条件下においても良好且つ安定したシール機
能を発揮しうる水中ポンプ用メカニカルシールを提供す
ることを目的とするものである。
〔課題を解決するための手段〕
本考案は、モータ室10とインペラ室9との間に形成さ
れた油室8に一対の密封要素を並列配置してなり、モー
タ室10と油室8とをシールする低圧側密封要素及びイン
ペラ室9と油室8とをシールする高圧側密封要素が、各
々、基端部をインペラ軸12に嵌着固定されたベローズ3,
4と、油室8とモータ室10又はインペラ室9との間の隔
壁11a,11bに固定された固定密封環1,2と、先端側部分が
基端側部分より薄肉となる断面略L字形をなしており、
先端を固定密封環1,2に接触させた状態でベローズ3,4の
先端部に取着された回転密封環5,6と、を具備するもの
である水中ポンプ用メカニカルシールにおいて、上記の
目的を達成すべく、特に、 両ベローズ3,4の基端部を衝合させておくこと、 高圧側密封要素における回転密封環5と固定密封環1
との摺接環状面である密封端面14の幅Wを、インペラ室
側流体が接触する回転密封環5の先端側内周面部分5bを
軸線に平行な円柱面に形成すると共に油室側流体が接触
する回転密封環5の先端側外周面部分5aを先端方向に窄
まる円錐面に形成することによって、0.8〜1.3mmの狭小
幅となしておくこと、 高圧側密封要素の回転密封環5における、インペラ室
側流体が接触する基端側内周面部分5cを円柱面たる先端
側内周面部分5bから基端方向に拡がる円錐面に形成して
おくこと、 を提案するものである。
〔作用〕
かかる構成の水中ポンプ用メカニカルシールによれ
ば、のように構成したことにより、第2従来シールに
おけると同様に、高圧側密封要素にインペラ室側流体の
圧力による大きな逆圧が作用した場合にも各密封要素に
よる良好なシール機能を発揮させることができる。
そして、のように構成して、インペラ室側密封要素
である高圧側密封要素の密封端面14の幅Wを、通常のも
のより狭小の0.8〜1.3mm(通常は2mm程度)としたか
ら、両ベローズ3,4が圧縮状態で衝合配置されているに
も拘らず回転トルク及び起動トルクは然程増大せず、第
2従来シールにおけるに比して大幅に低下することにな
り、起動不能や焼き付き等の不都合は生じない。しか
も、メカニカルシールの組込状態次第で回転トルクにば
らつきが生じたりすることがなく、インペラ室側流体の
圧力が変動したときにも、安定したシール機能を発揮し
うる。すなわち、本考案者の実験,研究によれば、前記
密封端面14の狭小幅Wが0.8mmを下まわると、トルク値
は小さくなるものの、圧力が高められたインペラ室側流
体は油室8へと漏れ出し、漏れが許容量を超えることが
確認され、また前記密封端面14の狭小幅Wが1.3mmを超
えると、トルク低下効果に全く寄与しないことが判明し
た。
ところで、回転密封環5の先端側外周面部分5aを先窄
まり状の円錐面とすることに加えて又はこれに代えて、
回転密封環5の先端側内周面部分を先拡がりの円錐面と
しても、密封端面14を狭小幅としておくことができる
が、このようにすると、密封端面幅を上記した寸法に設
定した場合にも、インペラ室側流体が油室8に漏洩し、
良好なシール機能を発揮し得ない。
すなわち、インペラ室側流体はインペラの回転により
大きく圧力変動するが、油室側流体は圧力変動すること
がなく、その圧力は一定である。しかも、油室側流体で
ある油は、インペラ室側流体である水よりも粘度が極め
て高い。さらに、回転密封環5の先端側内周面部分を上
記した如き円錐面とすると、この内周面部分と固定密封
環1の先端面との間に密封端面14の外周方向つまり油室
8方向に窄まる断面楔状の領域が形成されるから、この
領域内のインペラ室側流体には、回転密封環5の回転に
より、油室8方向の遠心力が作用することになる。つま
り、遠心力によりインペラ室側流体が密封端面14へと積
極的に送り込まれることになる。したがって、油室側流
体は、それが粘度の高い油で且つ圧力一定であることか
ら密封環1,5間から、インペラ室9側に洩れることはな
いが、インペラ室側流体は、それが粘度の低い水であり
且つ高圧で圧力変動するものであるから、上記した遠心
力の作用により、密封環1,5間から油室8側に漏洩し易
く、良好なシールを発揮し得ない。なお、回転密封環5
の先端側内周面部分を円錐面としておく場合には、回転
密封環5が硬質材製のものであることとも相俟って、先
端側外周面部分5aを円錐面としておく場合に比して、加
工が困難であり、歩留りが悪いといった加工上の問題も
生じる。
しかし、のように、回転密封環5の先端側部分にお
いて、外周面5aのみを円錐面形状とし、内周面5bはこれ
を軸線に平行な円柱面としておくと、インペラ室側流体
は、これに密封端面14へと送り込むような遠心力が作用
しないことから、油室8側へと漏洩する虞れがない。し
かも、回転密封環5の外周面側においては、先端側外周
面部分5aと固定密封環1の先端面との間に密封端面14の
外周方向つまり油室8方向に拡がる断面楔状の領域が形
成されるから、この領域内の油室側流体は、回転密封環
5の回転による遠心力の作用により、密封端面14から油
室8側に押し戻されることになり、その漏洩がより確実
に阻止される。したがって、油室側流体及びインペラ室
側流体の何れについても、その漏洩が確実に防止される
ことになり、良好なシール機能を発揮させることができ
る。
また、両密封端環1,5に作用するトルクは両密封環1,5
の摺接環状面である密封端面14の径(半径)に比例す
る。したがって、回転密封環5の先端側外周面部分5aの
みを先窄まりの円錐面としておくと、これに加えて又は
これに代えて回転密封環5の先端側内周面部分を先拡が
りの円錐面とする場合に比して、密封端面径がより小さ
くなり、トルクをより小さくすることができる。
このように、のように構成しておくことによって、
のように構成することによって生じる問題を解消し
て、良好且つ安定したシール機能を発揮させることがで
きるのである。
一方、のように構成することによって、次のような
問題が生じるが、かかる問題はのように構成しておく
ことによって可及的に解消される。
すなわち、第1に、水中ポンプの運転中において、高
圧側密封要素の回転密封環5の内周面には高圧の流体圧
(インペラ室側流体の圧力)が作用するが、回転密封環
5は、先端側部分が基端側部分より薄肉となる断面略L
字形をなしているものであるから、かかる流体圧によっ
て、回転密封環5は、先端側部分が基端側部分に比して
より拡径するような形態(回転密封環5の一断面部分に
ついていえば、その断面部分が、両密封環1,5の対向面
間が外周側において開く方向(第1図に示す第1回転密
封環5の断面部分についての時計回り方向であって、以
下「内径当たり方向」という)に傾くような形態)に歪
む虞れがある。このような圧力歪の発生メカニズムは、
回転密封環5の一断面部分についていえば、この断面部
分が、あたかも、これに外径当たり方向への回転モーメ
ントが作用して、外径当たり方向へと傾くことによるも
のとみなすことができる。そして、このような流体圧に
より回転密封環5に作用する拡径変形力ないし内径当た
り方向への回転モーメントは、流体圧が作用する回転密
封環5の内周面が軸線に平行である場合において最大と
なり、その圧力歪は回転密封環5の先端側部分が薄肉と
なる程大きくなる。
したがって、のように、回転密封環5の内周面が軸
線に平行な円柱面であり且つその先端側部分が円錐状に
カットされてより薄肉となっている場合には、上記圧力
歪は極めて大きく、回転密封環5の先端が固定密封環1
に全面的に接触せず、その内径側でのみ接触する状態
(以下「内径当たり状態」という)となり、良好なシー
ル機能を発揮し得なくなる。かかる密封環1,5の接触不
良の問題は、インペラ室側流体の圧力が高くなるに従い
より顕著となる。
第2に、インペラ室側流体の圧力は回転密封環5の基
端面にも背圧として作用し、この背圧により回転密封環
5は軸線方向(固定密封環1方向)に押圧されることに
なる。したがって、のように両密封環1,5の接触面積
が極めて小さい場合には、のように構成していること
とも相俟って、インペラ室側流体が高くなって背圧によ
る軸線方向押圧力がある程度以上に高くなると、両密封
環の接触面圧が必要以上に高くなって、密封環1,5の異
常摩耗や焼付を生じ、良好なシール機能を維持し得なく
なる。
しかし、のように構成しておくと、回転密封環5の
基端側内周面部分5cが基端方向に拡がる円錐面となって
いることから、これに流体圧が作用しても、その径方向
分力が拡径変形力となるにすぎず、回転密封環5の内周
面全体を軸線に平行な円柱面とした場合に比して、流体
圧による拡径変形力(ないし内径当たり方向の回転モー
メント)は減少されることになる。また、上記基端側内
周面部分5cに作用する流体圧によって、つまり基端側内
周面部分5cに直交する作用力によって、回転密封環5の
一断面部分には、上記した内径当たり方向の回転モーメ
ントと逆方向の回転モーメントが生じることになる。す
なわち、回転密封環5を内径当たり状態に変形させよう
とする圧力歪を相殺するような圧力歪が生じることにな
る。
したがって、回転密封環5における、これを内径当た
り状態に変形させようとする圧力歪の発生が効果的に抑
制されることになり、上記第1の問題(両密封環1,5の
接触不良)を可及的に解消することができる。
また、回転密封環5に作用する背圧による押圧力は、
背圧が作用する基端面が軸線方向に直交する面である場
合において最大となるが、のようにしておくと、基端
側内周面部分5cに作用する流体圧の軸線方向分力のみが
押圧力となることから、背圧による押圧力が軽減される
ことになり、上記した第2の問題(両密封環1,5の接触
圧異常)を可及的に解消することができる。
このように、〜のように構成しておくことによっ
て、各構成の利点を生かしつつ、その欠点を他の構成で
排除することができ、高圧側密封要素によるシールを長
期に亘って良好且つ安定した状態で行なうことができる
のである。
〔実施例〕
以下、本考案の構成を第1図及び第2図に示す実施例
に基づいて具体的に説明する。
第1図に示す水中ポンプ用メカニカルシールにおい
て、1は油室8とインペラ室9とを仕切る第1隔壁11a
に固定保持された、一体形成の緩衝部1aを有する第1固
定密封環、2は油室8とモータ室10とを仕切る第2隔壁
11bに固定保持された、一体形成の緩衝部2aを有する第
2固定密封環、3は固定密封環1,2を洞貫するインペラ
軸12に基端部を嵌着固定された第1ベローズ、4は基端
部を第1ベローズ3の基端部に相対向させた状態でイン
ペラ軸12に嵌着固定された第2ベローズ、5は第1ベロ
ーズ3の先端部に取着された第1回転密封環、6は第2
ベローズ4の先端部に取着された第2回転密封環、7は
両ベローズ3,4の先端部間に介挿されたコイルスプリン
グである。
すなわち、このメカニカルシールは、インペラ側(第
1図上、右側)に位置する高圧側密封要素である第1密
封環1,5の相対摺接回転作用によって油室8と大きな流
体圧力Pが発生するインペラ室9とを遮蔽シールさせる
と共に、モータ側(同図上、左側)に位置する低圧側密
封要素である第2密封環2,6の相対摺接回転作用によっ
て油室8とモータ室10とを遮蔽シールさせるように構成
されているのである。この実施例では、インペラ軸12と
しては15mm径のものが使用されている。固定密封環1,2
は、第1図に示す如く、SiC,Al2O3等の硬質材で構成さ
れた断面矩形状のものである。ベローズ3,4はゴム材で
構成された円筒形状のものであり、その基端部は、その
内径をインペラ軸12の外径より所定量小さく設定して、
それ自身の弾性力と緊締バンド13による緊締力とによっ
てインペラ軸12に嵌着固定されている。回転密封環5,6
は、第1図に示す如く、先端側部分が基端側部分より薄
肉なる断面略L字形をなするもので、SiC,Al2O3,WC等の
硬質材又はカーボン等の軟質材で構成されている。
そして、両ベローズ3,4は、第1図に示す如く、基端
部同士が衝合する圧縮状態で配置されている。
さらに、高圧側密封要素にあっては、第1密封環1,5
の摺接環状面たる密封端面14の幅Wが、第2図に示す如
く、回転密封環5の先端側部分の外周面を面取り加工す
ることによって、つまり油室側流体が接触する回転密封
環5の先端側外周面部分5aを先端方向に窄まる円錐面に
形成し且つインペラ室側流体が接触する回転密封環5の
先端側内周面部分5bは面取り加工をすることなく軸線に
平行な円柱面に形成しておくことによって、通常の密封
端面幅(2.0mm程度)より狭小の0.8〜1.3mmとされてい
る。なお、面取り角度θは回転密封環5の材質等に応じ
て加工可能な範囲で適宜に設定される。例えば、回転密
封環5がSiC,カーボン等の型成形品である場合には、面
取り角度θを60〜20°としておくことが好ましい。さら
に、回転密封環5のインペラ室側流体が接触する基端側
内周面部分5cを、第2図に示す如く、円柱面たる先端側
内周面部分5bから基端方向に拡がる円錐面に形成してあ
る。
以上のように構成されたメカニカルシールにあって
は、第1ベローズ3に第1従来シールでは対処できない
ような大きな逆圧(例えば、インペラ軸径15mmの条件下
では、1.5kgf/cm2Gを超えるようなインペラ室側流体の
圧力Pによる逆圧)が作用したときにも、かかる逆圧に
よる第1ベローズ3の移動は、逆圧が作用しない第2ベ
ローズ4による係止作用によって確実に防止される。し
たがって、第1回転密封環5が第1固定密封環1から離
間変位されて、第1密封環1,5の密封端面14からの漏れ
が急増するようなことがなく、良好なシール機能が発揮
される。このことは、第4図に示す実験結果からも明ら
かである。すなわち、上記実施例のメカニカルシールに
ついて前記密封端面14からの漏れ量を測定したところ、
●印及び実線で示す如き結果が得られた。
また、第1密封環1,5の密封端面14の幅Wを上記した
如く通常(2mm程度)より狭小としたから、ベローズ3,4
を圧縮,衝合状態で配置したことによる回転トルク及び
起動トルクの増大はこれが殆ど生じない。したがって、
メカニカルシールの組込状態に拘らず、安定した低トル
クで起動,運転することができ、第2従来シールに比し
て良好且つ安定したシール機能を発揮させうる。このこ
とは、第5図に示す実験結果からも明らかである。すな
わち、この実験は、上記実施例のメカニカルシール及び
前記密封端面幅を2mmとした以外これと同一構造のメカ
ニカルシールつまり第2従来シールについて、インペラ
室9の密封流体圧力を0.1kgf/cm2G,0.5kgf/cm2G,1.0kgf
/cm2G,1.5kgf/cm2G,2.0kgf/cm2G,2.5kgf/cm2Gとしたと
きにおける回転トルク及び起動トルクの変動を夫々測定
したものである。なお、第5図においては、上記実施例
のメカニカルシールについての起動トルクを○印で、ま
た回転トルクをハッチングを付した○印で夫々示してあ
り、第2従来シールについての起動トルクを□印で、ま
た回転トルクをハッチングを付した□印で夫々示してあ
る。
さらに、回転密封環5の基端側内周面部分5cを基端方
向に拡がる円錐面としたことによって、密封端面幅Wを
狭小としたことによる密封環1,5の接触不良,接触圧異
常を可及的に防止することができる。
なお、本考案に係るメカニカルシールは上記実施例に
限定されず、本考案の基本原理を逸脱しない範囲内にお
いて適宜に改良,変更することができる。
例えば、第3図に示す如く、第2密封環2,6の密封端
面15の幅も、第2回転密封環6を第1回転密封環5と同
様形状に構成することによって、通常の密封端面幅より
狭小の0.8〜1.3mmとしておいてもよい。
〔考案の効果〕
以上の説明から容易に理解されるように、本考案の水
中ポンプ用メカニカルシールによれば、インペラの回転
によりインペラ室側流体の圧力が変動する条件下におい
ても、第1及び第2従来シールにおける冒頭で述べた如
き問題を生ずることなく、長期に亘って安定した低トル
クで漏れのない良好なシール機能を発揮させることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本考案に係るメカニカルシールの一実施例を示
す半截断面図、第2図はその要部を取出して示す断面図
であり、第3図はその変形例を示す第1図相当の半截断
面図であり、第4図及び第5図は夫々シール特性につい
ての実験結果を示すグラフであり、第6図は第1従来シ
ールを示す判截断面図であり、第7図は第2従来シール
を示す判截断面図である。 1……第1固定密封環(高圧側密封要素)、2……第2
固定密封環(低圧側密封要素)、3……第1ベローズ
(高圧側密封要素)、4……第2ベローズ(低圧側密封
要素)、5……第1回転密封環(高圧側密封要素)、5a
……先端側外周面部分、5b……先端側内周面部分、5c…
…基端側内周面部分、6……第2回転密封環(低圧側密
封要素)、7……コイルスプリング、8……油室、9…
…インペラ室、10……モータ室、11a……第1隔壁(油
室とインペラ室との間の隔壁)、11b……第2隔壁(油
室とモータ室との間の隔壁)、12……インペラ軸、14…
…高圧側密封要素における両密封環による密封端面、15
……低圧側密封要素における両密封環による密封端面、
W……密封端面の幅、P……インペラ室側流体の圧力。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−226765(JP,A) 実開 昭55−45026(JP,U) 実開 昭62−2863(JP,U) 実開 昭61−54553(JP,U) 実開 昭60−178660(JP,U) 鷲田彰著、メカニカルシール、昭和50 年11月25日、日刊工業新聞社6版発行、 第63〜64頁

Claims (1)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】モータ室(10)とインペラ室(9)との間
    に形成された油室(8)に一対の密封要素を並列配置し
    てなり、モータ室(10)と油室(8)とをシールする低
    圧側密封要素及びインペラ室(9)と油室(8)とをシ
    ールする高圧側密封要素が、各々、基端部をインペラ軸
    (12)に嵌着固定されたベローズ(3,4)と、油室
    (8)とモータ室(10)又はインペラ室(9)との間の
    隔壁(11a,11b)に固定された固定密封環(1,2)と、先
    端側部分が基端側部分より薄肉となる断面略L字形をな
    しており、先端を固定密封環(1,2)に接触させた状態
    でベローズ(3,4)の先端部に取着された回転密封環
    (5,6)と、を具備するものである水中ポンプ用メカニ
    カルシールにおいて、 両ベローズ(3,4)の基端部を衝合させ、 高圧側密封要素における回転密封環(5)と固定密封環
    (1)との摺接環状面である密封端面(14)の幅(W)
    を、インペラ室側流体が接触する回転密封環(5)の先
    端側内周面部分(5b)を軸線に平行な円柱面に形成する
    と共に油室側流体が接触する回転密封環(5)の先端側
    外周面部分(5a)を先端方向に窄まる円錐面に形成する
    ことによって、0.8〜1.3mmの狭小幅となし、 高圧側密封要素の回転密封環(5)における、インペラ
    室側流体が接触する基端側内周面部分(5c)を円柱面た
    る上記先端側内周面部分(5b)から基端方向に拡がる円
    錐面に形成したことを特徴とする水中ポンプ用メカニカ
    ルシール。
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鷲田彰著、メカニカルシール、昭和50年11月25日、日刊工業新聞社6版発行、第63〜64頁

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