JP2535419B2 - スルフィドケトン誘導体およびその製造法 - Google Patents

スルフィドケトン誘導体およびその製造法

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JP2535419B2 JP1266211A JP26621189A JP2535419B2 JP 2535419 B2 JP2535419 B2 JP 2535419B2 JP 1266211 A JP1266211 A JP 1266211A JP 26621189 A JP26621189 A JP 26621189A JP 2535419 B2 JP2535419 B2 JP 2535419B2
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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は医薬品として有用なスルフィドケトン誘導体
に関する。さらに詳しくは、アラキドン酸カスケード代
謝産物に起因する疾患を治療するための作用を有するス
ルフィドケトン誘導体およびその製造法に関する。
<従来技術> アラキドン酸は生体内においてリポキシゲナーゼの作
用により、種々のロイコトリエン(LT)類に変換され
る。これらロイコトリエン類は種々の生理活性を有し、
例えば、LTB4は白血球の化学走性活性、浸潤、凝集、脱
顆粒、スーパーオキシドアニオン産生、血管内皮への粘
着亢進等に関与し、LTC4やLTD4は回腸、呼吸器系の平滑
筋収縮、皮膚血管収縮、血管透過性亢進、降圧などの生
理活性を示す(The Leukotrienes,A Biological Counci
l Symposium,P.J.Piper,Raven Pres(New York))。
現在これらの種々の生理活性を示すロイコトリエン類
は気管支喘息、鼻アレルギー、眼炎症、アトピー性皮膚
炎などのアレルギー性疾患や、浮腫、虚血性疾患、高血
圧症、虚血性脳障害等の循環器系疾患の症状発現の原因
となることが知られている。また、乾癬の病変中にLTB4
が多量にみられることも最近の研究で明らかになってい
る。
従って、リポキシゲナーゼを阻害することが、上記し
たアレルギー性疾患や循環器系疾患または乾癬等および
それに関連する炎症の治療に有効であると考えられる。
<発明の目的> 本発明者らは、リポキシゲナーゼにより産生されるロ
イコトリエン類の生合成を阻害する物質に関して鋭意研
究した結果、本発明におけるスルフィドケトン誘導体が
かかる目的を達成し得ることを見出し、本発明に到達し
たものであり、本発明の目的はかかるスルフィドケトン
誘導体およびその製造法を提供することにある。
<発明の構成及び効果> すなわち本発明は、下記式[I] Ar−X−(CH2−COOR1 …[I] で表わされるスルフィドケトン誘導体、および下記式
[II−a] Ar−SH …[II−a] [式中、Arは上記式[I]の定義に同一である。] で表わされるチオール化合物と下記式[III−a] で表わされるハロケトン化合物を塩基存在下もしくは塩
基性溶媒下で反応せしめることを特徴とする下記式[I
−a] で表わされるスルフィドケトン誘導体の製造法、および
下記式[II−b] [式中、Arは上記式[I]の定義に同一である。] で表わされるスルフィドケトン化合物と下記式[III−
b] Hal−(CH2 nCOOR1 …[III−b] で表わされるハロゲン化合物を塩基存在下反応せしめる
ことよる下記式[I−b] で表わされるスルフィドケトン誘導体の製造法、および
下記式[II−c] Ar−Z−(CH2−COOR1 …[II−c] で表わされるスルフィドケトン化合物と、下記式[III
−c] H2N−OR2 …[III−c] [式中、R2は水素原子またはメチル基を表わす。] で表わされるヒドロキシルアミン誘導体またはその塩酸
塩を反応せしめることよりなる下記式[I−c] Ar−Q−(CH2−COOR1 …[I−c] で表わされるスルフィドケトン誘導体の製造法に関す
る。
上記式[I]で表わされるスルフィドケトン誘導体化
合物において、Arは6位にOR3(R3は水素原子またはメ
チル基を表わす。)を有する2−ナフチル基又は非置換
のナフチル基を表わす。
R1は水素原子もしくはその非毒性塩またはC1〜C4のア
ルキル基を表わす。R1がアルキル基の場合は例えば、メ
チル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチ
ルなどの基を挙げることができるが、好ましくはメチル
基を挙げることができる。またR1が水素原子であると
き、適当な無機または有機の塩基とから生成される非毒
性塩も挙げることができる。かかる塩基のうち、無機塩
基としては、例えばナトリウム、カリウム、カルシウ
ム、マグネシウムなどのアルカリ金属もしくは、アルカ
リ土類金属の水酸化物、炭酸塩,重炭酸塩などが挙げら
れる。
また有機塩基としては例えば、メチルアミン、ジメチ
ルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチル
アミン、トリエチルアミンなどの第1級、第2級もしく
は第3級アルキルアミン類;エタノールアミン、ジエタ
ノールアミン、トリエタノールアミンなどの第1級、第
2級もしくは第3級アルカノールアミン類;エチレンジ
アミン、ヘキサメチレンジアミンなどのジアミン類;ピ
ロリジン、ピペリジン、モルホリン、ピペラジン、N−
メチルモルホリン、ピリジンなどの環状飽和もしくは不
飽和アミン類などが挙げられる。
Xは を表わし、Yは酸素原子または を表わし、R2は水素原子またはメチル基を表わす。nは
1〜4の整数である。
上記式[I−a]で表わされる化合物は、塩基存在下
もしくは塩基性溶媒下、下記式[II−a]で表わされる
チオール化合物と上記式[III−a]で表わされるハロ
ケトン化合物を反応せしめることにより得られる。上記
式[II−a]で表わされるチオール化合物と上記式[II
I−a]で表わされるハロケトン化合物の反応では、塩
基性溶媒として例えばジエチルアミン、トリエチルアミ
ン、ピリジン、エチレンジアミン、ピロリジンなどが挙
げられるが、好ましくはピリジンが挙げられる。また代
わりに種々の固体有機塩基あるいは無機塩基を用いるこ
ともできる。例えば、その1つに無機塩基として炭酸カ
リウムが挙げられる。この場合反応に用いる溶媒として
は、アセトン、テトラヒドロフラン、ベンゼン、ジメチ
ルホルムアミドなどがあげられ、また反応系に水を加え
て、反応を行ってもよい。
チオール化合物[II−a]に対してハロケトン化合物
[III−a]は0.5〜10倍当量、好ましくは0.9〜2.0倍当
量、塩基を用いる場合には、チオール化合物[II−a]
に対してそれを0.5〜15倍当量、好ましくは1.0〜3.0倍
当量用いればよい。反応温度は0〜150℃の範囲で行な
われ、好ましくは20〜120℃である。反応時間は化合物
により異るが10分〜24時間程度である。反応終了後、抽
出やカラムクロマトグラフィーなどの通常の後処理によ
り、前記スルフィドケトン誘導体が得られる。
上記式[I−b]で表わされるスルフィドケトン誘導
体は、上記式[II−b]で表わされるスルフィドケトン
化合物と、上記式[III−a]で表わされるハロゲン化
合物を塩基存在下で反応せしめることにより得られる。
用いられる塩基としては、水素化ナトリウム、リチウム
ジイソプロピルアミド(LDA)などの塩基が用いられる
が、好ましくは水素化ナトリウムである。反応に用いる
溶媒はテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメチ
ルスルホキシド、ベンゼンなどが挙げられるが、好まし
くはジメチルホルムアミドである。
スルフィドケトン化合物[II−b]に対して、ハロゲ
ン化合物[III−b]は0.5〜10倍当量、好ましくは0.9
〜5倍当量、塩基は0.5〜15倍当量、好ましくは0.9〜5
倍当量用いればよい。反応温度は0〜100℃の範囲で行
なわれ、好ましくは20〜80℃である。反応時間は化合物
により異るが20分〜24時間程度である。反応終了後、抽
出やカラムクロマトグラフィーなどの通常の後処理によ
り、前記スルフィドケトン誘導体[I−b]が得られ
る。
上記式[I−c]で表わされる化合物は、上記式[II
−c]で表わされるスルフィドケトン化合物と上記式
[III−c]で表わされるヒドロキシルアミン誘導体ま
たはその塩酸塩を反応せしめることにより得られる。こ
の時、化合物によっては塩酸塩を中和するために、炭酸
ナトリウムなどの無機塩基を用いるとよい結果が得られ
る。反応させるスルフィドケトン(上記式[II−c])
に対してヒドロキシルアミン類[III−c]は1.0〜20倍
当量、好ましくは5.0〜10倍当量用い、無機塩基を加え
る場合には、ヒドロキシルアミン類に対して、0.5〜1.0
倍当量用いる。反応溶媒は、全ての化合物を溶解させ均
一で反応が行なえるものであればよく、例えは、エタノ
ール−水、メタノール−水などアルコール−水の二相系
が挙げられる。反応温度は0〜100℃の範囲で行なわ
れ、好ましくは20〜50℃である。反応時間は1時間〜36
時間程度である。反応終了後、抽出やカラムクロマトグ
ラフィーなどの通常の後処理により、上記式[I−c]
で表わされる、スルフィドケトン誘導体が得られる。
かかるスルフィドケトン誘導体[I−c]は、次いで
必要に応じて加水分解反応に付すことができる。すなわ
ち、式[I]におけるエステル基[COOR1,R1はC1〜C4
低級アルキル基]を加水分解反応に付すことができる。
かかる加水分解反応はそれ自体公知の方法、例えば、水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなど
の塩基性化合物の存在下に加水分解する方法が採用さ
れ、かくして相当するカルボン酸体が得られる。目的物
の単離精製は通常の方法、すなわち抽出、クロマトグラ
フィーなどの手段により行なうことができる。カルボン
酸体の非毒性塩は塩生成反応によって得られ、かかる塩
生成反応は適当な溶媒中で、上記した方法で得られるカ
ルボン酸と、例えばアルカリ金属の水酸化物あるいは炭
酸塩、水酸化アンモニウム、炭酸アンモニウム、アンモ
ニアあるいはアミンなどを反応させて得られる。
本発明のスルフィドケトン誘導体[I]の具体例とし
ては、例えば以下の化合物が例示される。
(1) 4−(6−メトキシ−2−ナフチルチオ)−3
−オキソブタン酸メチル (2) 5−(6−メトキシ−2−ナフチルチオ)−6
−オキソヘプタン酸メチル (3) 5−(6−メトキシ−2−ナフチルチオ)−6
−ヒドロキシイミノヘプタン酸メチル (4) 4−(6−ヒドロキシ−2−ナフチルチオ)−
3−オキソブタン酸メチル (5) 4−(6−メトキシ−2−ナフチルチオ)−3
−メトキシイミノブタン酸メチル (6) 4−(6−ヒドロキシ−2−ナフチルチオ)−
3−メトキシイミノブタン酸メチル (7) 5−(6−メトキシ−2−ナフチルチオ)−4
−オキソペンタン酸メチル (8) 5−(6−ヒドロキシ−2−ナフチルチオ)−
4−オキソペンタン酸メチル (9) 5−(6−メトキシ−2−ナフチルチオ)−4
−ヒドロキシイミノペンタン酸メチル (10) 5−(6−ヒドロキシ−2−ナフチルチオ)−
4−ヒドロキシイミノペンタン酸メチル (11) 6−(6−ヒドロキシ−2−ナフチルチオ)−
5−オキソヘキサン酸メチル (12) 6−(6−ヒドロキシ−2−ナフチルチオ)−
5−ヒドロキシイミノヘキサン酸メチル (13) 6−(6−メトキシ−2−ナフチルチオ)−5
−オキソヘキサン酸メチル (14) 6−(6−メトキシ−2−ナフチルチオ)−5
−ヒドロキシイミノヘキサン酸メチル (15) 4−(2−ナフチルチオ)−3−オキソブタン
酸メチル (16) 4−(2−ナフチルチオ)−3−メトキシイミ
ノブタン酸メチル (17) 5−(2−ナフチルチオ)−4−オキソペンタ
ン酸メチル (18) 5−(2−ナフチルチオ)−4−メトキシイミ
ノペンタン酸メチル (19) 5−(2−ナフチルチオ)−5−オキソヘキサ
ン酸メチル (20) 6−(2−ナフチルチオ)−5−メトキシイミ
ノヘキサン酸メチル (21) 5−(2−ナフチルチオ)−4−ヒドロキシイ
ミノペンタン酸メチル (22) 6−(2−ナフチルチオ)−5−ヒドロキシイ
ミノヘキサン酸メチル (23) 5−(6−ヒドロキシ−2−ナフチルチオ)−
6−オキソヘプタン酸メチル (24) 5−(6−ヒドロキシ−2−ナフチルチオ)−
6−ヒドロキシイミノヘプタン酸メチル (25) 5−(2−ナフチルチオ)−6−オキソヘプタ
ン酸メチル (26) 5−(2−ナフチルチオ)−6−ヒドロキシイ
ミノヘプタン酸メチル (27) 4−(6−メトキシ−2−ナフチルチオ)−5
−オキソヘキサン酸メチル (28) 4−(6−メトキシ−2−ナフチルチオ)−5
−ヒイドロキシイミノヘキサン酸メチル (29) 4−(6−ヒドロキシ−2−ナフチルチオ)−
5−オキソヘキサン酸メチル (30) 4−(6−ヒドロキシ−2−ナフチルチオ)−
5−ヒドロキシイミノヘキサン酸メチル (31) 4−(2−ナフチルチオ)−5−オキソヘキサ
ン酸メチル (32) 4−(2−ナフチルチオ)−5−ヒドロキシイ
ミノヘキサン酸メチル (33) 3−(6−メトキシ−2−ナフチルチオ)−4
−オキソペンタン酸メチル (34) 3−(6−メトキシ−2−ナフチルチオ)−4
−ヒドロキシイミノペンタン酸メチル (35) 3−(6−ヒドロキシ−2−ナフチルチオ)−
4−オキソペンタン酸メチル (36) 3−(6−ヒドロキシ−2−ナフチルチオ)−
4−ヒドロキシイミノペンタン酸メチル (37) 3−(2−ナフチルチオ)−4−オキソペンタ
ン酸メチル (38) 3−(2−ナフチルチオ)−4−ヒドロキシイ
ミノペンタン酸メチル (39) 5−(6−ヒドロキシ−2−ナフチルチオ)−
6−メトキシイミノヘプタン酸メチル (40) 5−(2−ナフチルチオ)−6−メトキシイミ
ノヘプタン酸メチル (41) 5−(6−メトキシ−2−ナフチルチオ)−6
−メトキシイミノヘプタン酸メチル (42) 4−(6−メトキシ−2−ナフチルチオ)−5
−メトキシイミノヘキサン酸メチル (43) 4−(6−ヒドロキシ−2−ナフチルチオ)−
5−メトキシイミノヘキサン酸メチル (44) 4−(2−ナフチルチオ)−5−メトキシイミ
ノヘキサン酸メチル (45) 3−(2−ナフチルチオ)−4−メトキシイミ
ノペンタン酸メチル (46) 3−(6−メトキシ−2−ナフチルチオ)−4
−メトキシイミノペンタン酸メチル (47) 3−(6−ヒドロキシ−2−ナフチルチオ)−
4−メトキシイミノペンタン酸メチル (48) 化合物(1)〜(47)のカルボン酸体 (49) 化合物(48)のエチルエステル体 (50) 化合物(48)のナトリウム塩 かくして得られた本発明におけるスルフィドケトン誘
導体は、リポキシゲナーゼに対する阻害活性を示し、抗
SRS−A活性を有することが見出された。従って本発明
化合物は気管支喘息、鼻アレルギー、アレルギー性眼炎
症、アトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患や浮腫、
虚血性疾患、高血圧症、虚血性脳障害などの循環器系疾
患あるいは、乾癬などの疾病の治療または予防、ウイル
ス性疾病の治療または予防に有用である。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。
実施例1 4−(6−メトキシ−2−ナフチル)−3−オキソブタ
ン酸メチルの合成 6−メトキシナフタレン−2−チオール154mg(0.81m
mol)のピリジン5ml溶液を氷冷し、クロロアセト酢酸メ
チル94μ(0.81mmol)を加えて、室温で20分間撹拌し
た。さらに油浴で約100℃で1時間反応を続けた。希塩
酸を加えて、反応を終結させ、エーテルにて抽出した。
有機層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥させた。減圧下
溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーに
より目的物のスルフィドケトン誘導体を得た。収量123m
g(50%)1 H−NMR(90MHz,CDCl3)δ/ppm 3.64(s,2H),3.66(s,3H),3.82(s,2H),3.88(s,3
H),7.07−7.26(m,6H).13 C−NMR(22.5MHz,CDCl3)δ/ppm 44.50,46.28,52.23,55.19,105.66,119.32,127.62,128.0
6,128.39,128.73,128.97,129.34,133.51,157,89,167.1
9,197.44 IR(neat)1750cm-1(νC=O),1720cm-1(ν=O) Mass(EI) m/e=304(M+) 参考例1 1−(6−メトキシ−2−ナフチルチオ)−2−オキソ
プロパンの合成 6−メトキシナフタレン−2−チオール1.004g(5.26
mmol)、炭酸カリウム1.78g(12.9mmol)、アセトン60m
lを氷浴下で混合し撹拌した。
ブロモアセトン0.72ml(8.57mmol)を少しずつ加え、
室温で1時間45分間撹拌した。
過で炭酸カリウムを除去した後、減圧下アセトンを
留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより目
的物であるスルフィドケトン誘導体を得た。収量763mg
(59%)、 m.p. 74.5−76.0℃1 H−NMR(90MHz,CDCl3)δ/ppm 2.28(s,3H),3.71(s,2H),3.91(s,3H),7.08−7.74
(m,6H). 実施例2 5−(6−メトキシ−2−ナフチルチオ)−6−オキソ
ヘプタン酸メチルの合成 1−(6−メトキシ−2−ナフチルチオ)−2−オキ
ソプロパン237mg(0.96mmol)の乾燥ジメチルホルムア
ミド5ml溶液の中に水素化ナトリウム53mg(60%in oil,
1.33mmol)を入れ、しばらく撹拌した。
20分後4−ブロモ酪酸メチル202mg(1.12mmol)のジ
メチルホルムアミド2ml溶液を少しずつ加え、3時間60
℃で加熱撹拌した。希塩酸を加えて反応を終え、酢酸エ
チルにて抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾
燥させた。減圧下溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロ
マトグラフィーにより目的物である、スルフィドケトン
誘導体を得た。収量90mg(25%)1 H−NMR(90MHz,CDCl3)δ/ppm 1.64−1.93(m,4H),2.27(s,3H),2.14−2.34(m,2
H),3.64(br,s,4H),3.89(s,3H),7.08−7.80(m,6
H).13 C−NMR(22.5MHz,CDCl3)δ/ppm 22.58,27.00,29.50,33.48,51.47,55.25,57.61,105.62,1
19.29,126.61,127.43,128.94,128.97,130.59,132.45,13
4.00,158.12,173.18,204.43. IR(neat)1710cm-1(νC=O),1740cm-1(νC=
O) Mass(EI) m/e=346(M+) 実施例3 5−(6−メトキシ−2−ナフチルチオ)−6−ヒドロ
キシイミノヘプタン酸メチルの合成 ヒドロキシルアミン塩酸塩8.4mg(0.12mmol)に水を
少し加え、これに5−(6−メトキシ−2−ナフチルチ
オ)−6−オキソヘプタン酸メチル20mg(0.058mmol)
のエタノール溶液を、氷浴中加え撹拌した。このとき不
溶物が析出するので、水、エタノールを加えていって、
均一で反応が進むようにした。4時間室温で反応の後、
15分間60℃に加熱した。
エーテルにより抽出し、分取用薄層クロマトグラフィ
ーにて目的物のスルフィドケトン誘導体を得た。収量1
1.2mg(54%)1 H−NMR(90MHz,CDCl3)δ/ppm 1.73−1.90(m,4H),1.96(s,3H),2.27−2.40(m,2
H),3.66(s,3H),3.89(s,3H),6.3−6.4(br,6H),7.
05−7.78(m,6H). 実施例4 4−(6−ヒドロキシ−2−ナフチルチオ)−3−オキ
ソブタン酸メチルの合成 4−(6−メトキシ−2−ナフチルチオ)−3−オキ
ソブタン酸メチル102.8mg(0.34mmol)の乾燥塩化メチ
レン溶液を−78℃に冷却した。三臭化ホウ素100μ
(0.97mmol)を加え、2時間78℃から室温で反応させ
た。乾燥メタノール3mlを加え、室温で一昼夜撹拌を続
けた。酢酸エチルにて抽出し、有機層を飽和食塩水で、
洗浄の後、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。減圧下
溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーに
より、目的物のスルフィドケトン誘導体を得た。収量8
1.8mg(83%)1 H−NMR(90MHz,CDCl3)δ/ppm 3.67(s,3H),3.70(s,2H),3.79(s,2H),5.6−6.4(b
r,1H),6.92−7.70(m,6H). 実施例5 4−(6−メトキシ−2−ナフチルチオ)−3−メトキ
シイミノブタン酸メチルの合成 4−(6−メトキシ−2−ナフチルチオ)−3−オキ
ソブタン酸メチル60mg(0.20mmol)o−メチルヒドロキ
シルアミン塩酸塩25mg(0.30mmol)、炭酸ナトリウム1
2.4mg(0.15mmol)にエタノールおよび水を適当量入
れ、反応混合物が均一になるようにして一晩室温で撹拌
した。
反応混合物に飽和食塩水を加え、エーテルによる抽出
した。減圧下エーテルを留去し、70mgの粗生成物を得
た。
炭酸ナトリウムを入れずに同様の反応を行ない、この
場合は68mgの粗生成物を得、これら両方を合わせてシリ
カゲルカラムクロマトグラフィーにより目的物のスルフ
ィドケトン誘導体が得られた。収量79mg(40%)1 H−NMR(90MHz,CDCl3)(シン,アンチ混合物) 3.51,3.36(s,2H),3.66(s,3H),3.73(s,3H),3.82,
3.98(s,2H),3.91(s,3H),7.09(m,6H,Ar). IR(neat)1740cm-1(νC=O),1625cm-1(νC=
N) Mass(EI) m/e=333(M+) 実施例6 4−(6−ヒドロキシ−2−ナフチルチオ)−3−メト
キシイミノブタン酸メチルの合成 4−(6−ヒドロキシ−2−ナフチルチオ)−3−オ
キソブタン酸メチル85mg(0.29mmol)、o−メチルヒド
ロキシルアミン33mg(0.40mmol)、炭酸ナトリウム17mg
(0.20mmol)を適当量のエタノールおよび水(それぞれ
約2〜3ml)を加え、均一な溶液にして2時間室温で撹
拌した。酢酸エチルで抽出し、減圧下溶媒を留去した
後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより目的物
のスルフィドケトン誘導体を得た。収量55mg(56%)1 H−NMR(90MHz,CDCl3)(シン,アンチ混合物) 3.37,3.52(s,2H),3.67(s,3H),3.73(s,3H),3.81,
3.98(s,2H),5.60(br,1H),7.00−7.79(m,6H). 実施例7 5−(6−メトキシ−2−ナフチルチオ)−4−オキソ
ベンタン酸メチルの合成 6−メトキシナフタレン−2−チオール304mg(1.6mm
ol)のピリジン10ml溶液を氷浴下撹拌した。5−ブロモ
レブリン酸メチル342mg(1.64mmol)の2mlピリジン溶液
を一気に加え、氷浴下で20分間、約100℃に加熱して40
分間撹拌した。室温まで冷却後、希塩酸を加えて中和
し、酢酸エチルにて抽出した。有機層を無水硫酸マグネ
シウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去後、シリカゲルカ
ラムクロマトグラフィーにより、目的物であるスルフィ
ドケトン誘導体を得た。収量255mg(50%)1 H−NMR(90MHz,CDCl3)δ/ppm 2.53(t,2H,J=6.5Hz),2.87(t,2H,J=6.5Hz),3.60
(s,3H),3.73(s,2H),3.84(s,3H),7.04−7.73(m,6
H). 実施例8 5−(6−ヒドロキシ−2−ナフチルチオ)−4−オキ
ソペンタン酸メチルの合成 6−ヒドロキシナフタレン−2−チオール104mg(0.5
9mmol)、ピリジン5mlを氷浴下で撹拌した。5−ブロム
レブリン酸メチル130mg(0.62mmol)のピリジン2ml溶液
を氷浴下で加えそのまま1時間撹拌した。希塩酸を加え
て中和し、酢酸エチルにて抽出した。有機層を無水硫酸
マグネシウムで乾燥した。減圧下有機溶媒を濃縮後、シ
リカゲルカラムクロマトグラフィーにより、目的物のス
ルフィドケトン誘導体を得た。収量79mg(44%)1 H−NMR(90MHz,CDCl3)δ/ppm 2.52(t,2H,J=6.5Hz),2.96(t,2H,J=6.5Hz),3.57
(s,3H),3.91(s,2H),7.10−7.97(m,6H),8.60(br,
1H). 実施例9 5−(6−メトキシ−2−ナフチルチオ)−4−ヒドロ
キシイミノペンタン酸メチルの合成 5−(6−メトキシ−2−ナフチルチオ)−4−オキ
ソペンタン酸メチル45mg(0.14mmol)、ヒドロキシアミ
ン塩酸塩14mg(0.20mmol)、炭酸ナトリウム12mg(0.11
mmol)を約2mlずつのエタノールおよび水の混合溶液に
溶かし均一になるようにして、室温で一晩、約60℃に加
熱して一晩反応させた。エーテルにて抽出し、飽和食塩
水で洗浄した後、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥
した。減圧下溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマト
グラフィーにより目的物のスルフィドケトン誘導体を得
た。収量27mg(57%)1 H−NMR(90MHz,CDCl3)δ/ppm(シス,トランス混合
物) 2.51−2.75(m,4H),3.61,3.66(s,3H),3.85,3.70(s,
2H),3.89(s,3H),7.06−7.80(m,7H). 実施例10 5−(6−ヒドロキシ−2−ナフチルチオ)−4−ヒド
ロキシイミノペンタン酸メチルの合成 5−(6−ヒドロキシ−2−ナフチルチオ)−4−オ
キソペンタン酸メチル41mg(0.13mmol)、ヒドロキシル
アミン塩酸塩14mg(0.20mmol)を適当量のエタノール−
水混合溶媒に溶かし(それぞれ4ml程度)、室温で一晩
撹拌した。エーテルにて抽出し、有機層を無水硫酸マグ
ネシウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去し、シリカゲル
カラムクロマトグラフィーにより目的物であるスルフィ
ドケトン誘導体を得た。収量25mg(58%)1 H−NMR(90MHz,CDCl3)δ/ppm(シス,トランス混合
物) 2.51−2.78(m,4H),3.65,3.87(s,2H),3.67,3.60(s,
3H),6.49−7.71(m,8H), 実施例11 6−(6−ヒドロキシ−2−ナフチルチオ)−5−オキ
ソヘキサン酸メチルの合成 6−ヒドロキシナフタレン−2−チオール205mg(1.1
6mmol)にピリジン5mlを入れ、氷浴下撹拌した。6−ブ
ロモ−5−オキソヘキサン酸メチル315mgのピリジン2ml
溶液を加え、1時間氷浴下で撹拌した。さらに室温で4
時間、90℃に加熱して4時間反応させ、ひき続き室温で
終夜撹拌を続けた。反応混合物を希塩酸で中和し、酢酸
エチルにて抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで
乾燥させた。
減圧下溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラ
フィーにより目的物であるスルフィドケトン誘導体を得
た。収量170mg(46%)1 H−NMR(90MHz,CDCl3)δ/ppm 1.89(tt,2H,J=7.3Hz,6.8Hz),2.32(t,2H,J=6.8H
z),2.72(t,2H,J=7.3Hz),3.64(s,3H),3.68(s,2
H),6.09(brs,1H),6.95−7.73(m,6H). 実施例12 6−(6−ヒドロキシ−2−ナフチルチオ)−5−ヒド
ロキシイミノヘキサン酸メチルの合成 6−(6−ヒドロキシ−2−ナフチルチオ)−5−オ
キソヘキサン酸メチル32mg(0.10mmol)、ヒドロキシル
アミン塩酸塩10mg(0.14mmol)にエタノール−水の混合
溶媒(それぞれ約5ml程度)を加えて溶かし、室温で一
昼夜撹拌した。酢酸エチルにて抽出し、有機層を無水硫
酸マグネシウムにて乾燥した。減圧下溶媒を留去し、シ
リカゲルカラムクロマトグラフィーにより目的物である
スルフィドケトン誘導体を得た。収量15mg(44%)1 H−NMR(90MHz,d6−アセトン)δ/ppm(シス・トラン
ス混合物) 1.72−2.09(m,2H),2.21−2.62(m,4H),3.57,3.60
(s,3H),3.93,3.74(s,2H),7.07−7.82(m,6H),8.59
(brs,1H),9.90,9.72(brs,1H). 実施例13 6−(6−ヒドロキシ−2−ナフチルチオ)−5−オキ
ソヘキサン酸の合成 6−(6−ヒドロキシ−2−ナフチルチオ)−5−オ
キソヘキサン酸メチル48mg(0.15mmol)にテトラヒドロ
フラン1mlとメタノール2mlを入れて撹拌した。0.4N LiO
H水溶液0.38ml(0.15mmol)を加え、1時間撹拌した。
さらに0.4N LiOH水溶液0.38ml加え、二昼夜、ふたた
び0.4N LiOH水溶液0.38ml加え1時間撹拌した。飽和硫
酸水素カリウム水溶液を加え、エーテルにて抽出し、有
機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下有機溶
媒を留去後、分取用薄層クロマトグラフィーにより目的
物のスルフィドケトン誘導体を得た。収量31mg(67%)1 H−NMR(90MHz,CD3OD)δ/ppm 1.86(tt,2H,J=6.6Hz,7.0Hz),2.15(t,2H,J=6.6H
z),2.67(t,2H,J=7.0Hz),3.34(s,2H),7.03−7.71
(m,7H),9.61−9.80(br,1H). 参考例2 6−(6,7−ジヒドロキシ−2−ナフチルチオ)−5−
オキソヘキサン酸メチルの合成 6,7−ジヒドロキシナフタレン−2−チオール202.7mg
(1.05mmol)にピリジン3mlを入れ氷浴下撹拌した。6
−ブロモ−5−オキソヘキサン酸メチル284.3mg(1.27m
mol)のピリジン2ml溶液を加え、氷浴下で30分室温で一
昼夜撹拌した。希塩酸を加え、混合物を中和し、酢酸エ
チルにて抽出、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し
た。減圧下、有機溶媒をシリカゲルカラムクロマトグラ
フィーにより目的物であるスルフィドケトン誘導体を得
た。収量173mg(49%)1 H−NMR(90MHz,d6−アセトン)δ/ppm 1.84(tt,2H,J=7.0Hz,6.8Hz),2.28(t,2H,J=7.0H
z),2.72(t,2H,J=6.8Hz),3.58(s,3H),3.84(s,2
H),7.11−7.61(m,6H),7.93−8.94(brm.2H). 実施例14 ヒト全血でのリポキシゲナーゼ産生抑制活性の評価 投薬していない健常人のヘパリン処理静脈血2mlに、
第1表記載のスルフィドケトン誘導体を被検薬とする検
体のDMSO溶液2μを加え(final 10-5M)、37℃で5
分間処理した後、A23187のDMSO溶液10μを加え(fina
l 25μM)、37℃で15分間処理し、氷冷した。定量用内
部標準物質として15−HETE 100ngのDMSO溶液10μを加
えた後、アセトニトリル0.8mlを加え、生じた沈殿を遠
心分離して除いた。上清中のLTB4,5−HETE,12−HETEをH
PLC分離・定量した。
結果をリポキシゲナーゼ産生抑制率(%)として第1
表に示した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 31/215 ABN A61K 31/215 ABN ADZ ADZ AED AED

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記式[I] Ar−X−(CH2−COOR1 …[I] で表わされるスルフィドケトン誘導体。
  2. 【請求項2】R1が水素原子またはメチル基である請求項
    1記載のスルフィドケトン誘導体。
  3. 【請求項3】下記式[II−a] Ar−SH …[II−a] で表わされるチオール化合物と下記式[III−a] で表わされるハロケトン化合物を塩基存在下もしくは塩
    基性溶媒下で反応せしめることを特徴とする下記式[I
    −a] で表わされるスルフィドケトン誘導体の製造法。
  4. 【請求項4】上記式[III−a]において、Xが塩素原
    子もしくは臭素原子である請求項3記載のスルフィドケ
    トン誘導体の製造法。
  5. 【請求項5】下記式[II−b] で表わされるスルフィドケトン化合物と、下記式[III
    −b] Hal−(CH2−COOR1 …[III−b] で表わされるハロゲン化合物を塩基存在下反応せしめる
    ことよりなる下記式[I−b] で表わされるスルフィドケトン誘導体の製造法。
  6. 【請求項6】上記式[III−b]において、Xが塩素原
    子もしくは臭素原子である請求項5記載のスルフィドケ
    トン誘導体の製造法。
  7. 【請求項7】下記式[II−c] Ar−Z−(CH2−COOR1 …[II−c] で表わされるスルフィドケトン化合物と、下記式[III
    −c] H2N−OR2 …[III−c] [式中、R2は水素原子またはメチル基を表わす。]で表
    わされるヒドロキシルアミン誘導体またはその塩酸塩を
    反応せしめることよりなる下記式[I−c] Ar−Q−(CH2)n−COOR1 …[I−c] で表わされるスルフィドケトン誘導体の製造法。
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