JP2535013Y2 - 可変ピッチプロペラの変節装置及び軸連結構造 - Google Patents

可変ピッチプロペラの変節装置及び軸連結構造

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JP2535013Y2
JP2535013Y2 JP1992014256U JP1425692U JP2535013Y2 JP 2535013 Y2 JP2535013 Y2 JP 2535013Y2 JP 1992014256 U JP1992014256 U JP 1992014256U JP 1425692 U JP1425692 U JP 1425692U JP 2535013 Y2 JP2535013 Y2 JP 2535013Y2
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秀敬 東原
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は可変ピッチプロペラの変
節装置と、該変節装置等を備えた動力伝達装置における
軸連結構造に関し、更に詳しくは変節装置の全長を短く
するとともに分解組立が容易な可変ピッチプロペラの変
節装置と分解組立が容易な軸連結構造に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】近年、操船者の労力軽減と操船性の容易
化を図るために可変ピッチプロペラを搭載した船舶が増
加している。この可変ピッチプロペラは、プロペラ軸内
に翼角を変更する変節軸を設け、この変節軸を往復動さ
せることにより翼角を変更して推力の方向を変更できる
推進機である。
【0003】この可変ピッチプロペラの全体的な構成
は、図7の模式図に示すように、主機関Mからの動力
は、中間軸51,変節装置N,プロペラ軸56と伝達さ
れ、そして、プロペラ軸56後端のフランジ56aに固
着されたプロペラ翼Pa,プロペラボスPb等のプロペ
ラ関係部品を回転させることにより推力を発生させるも
のである。また、上記プロペラ軸56後部には船体Hと
のシールをするシール装置Sが設けられており、上記主
機関Mからプロペラ軸53後部のシール装置Sまでが機
関室長さKLの間に搭載されている。
【0004】このように構成された可変ピッチプロペラ
の変節装置部の具体的な構造を図8に示す拡大断面図を
参照しながら説明すると、主機関から動力を伝達する中
間軸51の後方には、給油軸52が連結されており、こ
の給油軸52の外周に給油環53とフィードバックリン
グ54が周設されている。そして、この給油軸52の後
方にサーボシリンダ55が連結され、このサーボシリン
ダ55の後方フランジ55cにプロペラ軸56のカップ
リング57が連結されている。
【0005】そして、サーボシリンダ55のピストン5
8中央部には変節軸59が設けられ、外周方向近傍には
上記フィードバックリング54と連結されたロッド54
aが設けられている。また、上記給油環53からは給油
孔53aがサーボシリンダ55の油室55a,55bに
連通するよう形成されている。
【0006】この構成による可変ピッチプロペラは、給
油環53から供給された制御油をサーボシリンダ55の
油室55a,55bに供給してピストン58を作動させ
ることにより変節軸59を往復動させる。この変節軸5
9の往復動により上記プロペラボスPb(図7参照)内
のクロスヘッドを往復動させてプロペラ翼Paを回動さ
せることにより翼角を変更している。この翼角の検出
は、ピストン58に連結されたフィードバックリング5
4の位置を検出装置60で計測することにより行ってい
る。
【0007】
【考案が解決しようとする課題】しかし、上述した従来
の可変ピッチプロペラには以下のような問題がある。先
ず、主機関Mから船尾側に向けて、中間軸51、給油軸
52、サーボシリンダ55、プロペラ軸カップリング5
7、プロペラ軸56と軸方向に順番に並べて構成してい
るので、図8に示すように中間軸51の後端からプロペ
ラ軸56前端までの全長Lが長くなり、機関室における
据付けスペースを長くする必要があった。このため、機
関室長さKLの制約される船舶、特に貨物船のように、
機関室長さの増加が船倉の減少、すなわち積数量の減少
となるような船舶にあっては搭載するのが困難になる等
の問題を生じてしまう。
【0008】また、可変ピッチプロペラの場合、必ず図
7に示すように、プロペラ軸56の後端に形成されたフ
ランジ56aが船尾から突出し、このフランジ56aに
プロペラ翼Pa,プロペラボスPb等のプロペラ関係部
品を固着する構造となっている。従って、プロペラ軸5
6と変節軸59は船尾側から船体内に挿入して組立てる
必要がある。一方、主機関Mからの動力は、船首側から
中間軸51、給油軸52、サーボシリンダ55、プロペ
ラ軸カップリング57を介してプロペラ軸56に伝達さ
れている。従って、可変ピッチプロペラを装備した船に
おいては船首側に設けた中間軸51と、船尾側に設けた
プロペラ軸56とを、中間部に設けた変節装置N部分で
組立/分解する必要がある。この組立/分解は、通常の
組立/分解の他、例えば、給油環の取付け/取外し時や
損傷等により変節装置部を分解・点検交換する必要が生
じた場合等がある。
【0009】この組立/分解時には給油軸52を取外し
てサーボシリンダ55を船首側にばらすことにより作業
することになるが、狭い船内にあっては工事が大変で、
その労力と時間は多大であった。また、これらの連結は
一般的に各フランジをリーマボルトにより連結する構造
であるが、リーマボルトのはめあいはきつく、容易に組
立/分解できるものではなかった。
【0010】更に、上記カップリング部構造にあって
は、長い給油軸52を必要とするとともに、この給油軸
52の外周部に給油環53とフィードバックリング54
を周設する必要があり、また、可変ピッチプロペラは従
来の固定ピッチ式プロペラと比較すると、構造が複雑で
あるので製作あるいは組立等に多くの費用と時間を要す
る。このため、構造面あるいは作業面から費用の低減を
図ることが困難で、従来の可変ピッチプロペラは高価な
推進機となっている。
【0011】一方、この種の従来技術として、実公昭62
− 15120号公報があるが、この公報記載の考案は、ピス
トンの位置を検出するフィードバックリングがないもの
であるとともにスペーサリングを有するものであるの
で、カップリング部の全長はあまりコンパクトにはなっ
ておらず、また、組立/分解も本考案における変節装置
の構造に比べて複雑なものである。なお、この考案に
は、駆動軸とスペーサリングとの連結を、トルク伝達用
のラジアルピンとスラスト伝達用のボルトにより行うこ
とは開示されているが、その具体的な構成は何ら開示さ
れていない。
【0012】本考案は上記課題に鑑みて、変節装置部分
を短くするとともに組立/分解も容易で安価な可変ピッ
チプロペラを提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本考案における第1の考案は、給油軸にサーボシリ
ンダを形成した変節箱と、該給油軸に周設した給油環
と、上記サーボシリンダのピストンに連結されてプロペ
ラ軸内を往復動する変節軸と、該変節軸の移動量を検出
するフィードバックリングとを有する可変ピッチプロペ
ラの変節装置において、上記変節箱とプロペラ軸とを離
間して設け、該離間部で上記変節軸を、該変節軸の連結
手段を形成したフィードバックリングにより連結し、上
記プロペラ軸に連結手段を介して連結固定するカップリ
ングを設け、該カップリングの変節箱側を上記離間部へ
延出させてフランジ部を形成すると共に該フランジ部を
変節箱と連結し、該フランジ部の変節箱側端面からプロ
ペラ軸側に開口する長溝を設け、該長溝から上記フィー
ドバックリングの外周部を突出させて翼角を検出したこ
とを特徴とする可変ピッチプロペラの変節装置である。
【0014】また、本考案における第2の考案は、可変
ピッチプロペラの変節装置を備えた動力伝達装置におい
て、動力を伝達する駆動側軸と、該駆動側軸から動力を
受ける従動側軸との接合面の外周側から軸芯方向に複数
のラジアルピンを設けると共に、該ラジアルピンを設け
た上記接合面の外周部に抜け止めリングを設け、該抜け
止めリングを前記ラジアルピンの外面に固定したことを
特徴とする軸連結構造である。
【0015】
【作用】上記第1の考案によれば、変節装置部の組立て
は、変節箱とプロペラ軸を離間して設けると共に、この
離間部で連結手段を形成したフィードバックリングによ
り変節軸を連結し、上記プロペラ軸に連結手段を介して
カップリングを固定し、このカップリングの変節箱側へ
延出させて形成したフランジ部を変節箱に連結し、該フ
ランジ変節箱側端面からプロペラ軸側へ開口させて
形成した長溝から上記フィードバックリングの外周部を
突出させることにより組立が完了する。
【0016】分解は、変節箱とカップリングとの連結を
解除すると共にカップリングとプロペラ軸との連結も解
除し、該カップリングをプロペラ軸の軸方向に移動させ
ることにより離間部を開放することができ、この離間部
でフィードバックリングによる変節軸の連結を解除する
ことにより変節軸を分解することができる。
【0017】このことにより、離間部が変節装置部の組
立/分解代と共に、フィードバックの取り出しスペース
となり、変節装置部の全長が短くなると共に、組立/分
解が容易に行えるようになる。
【0018】また第2の考案によれば、動力を伝達する
駆動側軸と該駆動側軸から動力を受ける従動側軸を連結
し、両軸間の接合面の外周側から軸芯方向に複数のラジ
アルピンを設け、このラジアルピンを設けた接合面の外
周部に抜け止めリングを設けてラジアルピンの外面に
定する。このことにより、抜け止めリングが全てのラジ
アルピンの抜け止めを行うので、複雑な抜け止め用の加
工が不要となると共に、軸連結部の組立/分解が容易と
なる。
【0019】
【実施例】以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明
する。図1は第1実施例を示す図面であり、(a) が変節
装置全体の断面図で、(b) がA矢視からの部分平面図で
ある。図示するように、船首側には図示しない主機関か
らの動力を伝達する中間軸1が設けられ、船尾側には中
空で船首側端部にカップリング6を設けたプロペラ軸5
と、このプロペラ軸5の内部で軸方向に往復動すること
により翼角を変更する変節軸7が設けられている。
【0020】そして、上記中間軸1とカップリング6の
間には、給油軸2と、この給油軸2の船尾側端部を塞ぐ
中間板3と、給油軸2内に形成されたサーボシリンダ4
とから構成された変節箱Cが設けられており、この給油
軸2の外周部に給油環8が周設されている。また、中間
板3からは、上記サーボシリンダ4に設けられたピスト
ン9のピストンロッド9aが突設されている。このピス
トンロッド9aは、上記変節軸7を分断したピストン9
側の軸であり、上記変節箱Cを構成する中間板3の後端
面と上記プロペラ軸5の先端との間に形成された離間部
Vの位置で変節軸7と接合するようになっている。
【0021】上記給油軸2と中間板3との連結は、軸方
向に設けられた複数のテンションボルト10と接合面1
2の周囲に設けられた複数のラジアルピン11により行
っている。この連結部の詳細は後述する軸連結構造によ
り説明するが、給油軸2と中間板3間のトルクをラジア
ルピン11で、スラストをテンションボルト10で伝達
している。
【0022】一方、プロペラ軸7とカップリング6の間
には外面がテーパに形成されたインナースリーブ13が
介装されており、このインナースリーブ13の内面がプ
ロペラ軸5と、外面がカップリング6と固着されてい
る。なお、このインナースリーブ13の船尾側端部には
ネジ部13aが形成されている。
【0023】また、上記カップリング6は、インナース
リーブ13と接合する部分から船首側へ延出するよう形
成されたものであり、船首側端部にはフランジ部6aが
形成され、このフランジ部6a端面からプロペラ軸5端
部近傍まで開口した長溝6bが2箇所(図1(b) では1
箇所のみ図示)に設けられている。また、船尾側の内面
は上記インナースリーブ13と同一角度のテーパで形成
されており、この内面から外面方向に複数の加圧孔6c
が設けられている。14はカップリング6をインナース
リーブ13に圧入するための圧入用ピストンである。な
お、この実施例ではテーパ状のインナースリーブ13に
よる連結手段を用いているがシュパンリング等でもよ
く、カップリング6とプロペラ軸5とを連結できると共
に、連結を解除して軸線方向に移動させることができる
ものであればよい。
【0024】このカップリング6のフランジ部6a近傍
にはフィードバックリング15が設けられている。この
フィードバックリング15は、基部に形成され連結手段
となるナット部15aと、外周部に設けられたリング部
材15cと、これらを連結するアーム部15bとから構
成されており、ナット部15aが上記ピストンロッド9
aと変節軸7とを連結固定する機構として働いている。
そして、アーム部15bは円周方向の2箇所(1箇所の
み図示)に設けられており、このアーム部15bが上記
カップリング6の長溝6bから突出し、このアーム部1
5b先端部にリング部材15cがボルト15dにより取
着されている。
【0025】なお、リング部材15cの溝15eに緩嵌
されたコマ部材16は、フィードバックリング15の往
復動により軸16aを支点にして回動し、この回動角度
を図示しない検出装置により検出して翼角を検出するた
めのものである。
【0026】このように構成された本考案の変節装置の
組立ては以下のように行う。先ず、給油軸2の船首側端
部に形成されたフランジ2aと中間軸1の端部に形成さ
れたフランジ1aを連結ボルト17により結合し、給油
軸2の外周部に船尾側から給油環8を挿入して周設する
とともに給油軸2内にピストン9を挿入する。そして、
給油軸2の船尾側に中間板3をテンションボルト10で
連結するとともに分割面12に複数のラジアルピン11
を嵌入して連結固定する。
【0027】そして、中間板3から突出したピストンロ
ッド9a端部と変節軸7端部とに形成された互いに逆方
向のネジ部を、フィードバックリング15の基部に形成
したナット部15aにより固定する。
【0028】一方、プロペラ軸7には、予め圧入用ピス
トン14とカップリング6とインナースリーブ13を船
首側から挿入すると共に、インナースリーブ13をプロ
ペラ軸7端部に位置決めしておく。そして、カップリン
グ6を船首側に移動させ、カップリング6の周囲に設け
た長溝6bが上記フィードバックリング15のアーム部
15bに位置するようにしてカップリング6のテーパ部
とインナースリーブ13のテーパ部を密着させた後、圧
入用ピストン14のネジ部14aをインナースリーブ1
3のネジ部13aに螺合させ、注油孔14bから油室1
4cに油を注入して加圧することにより、ピストン部材
14がカップリング6を船首側へ押圧してインナースリ
ーブ13のテーパ部とカップリング6のテーパ部を圧着
固定する。このことにより、プロペラ軸7とインナース
リーブ13とカップリング6を一体化する。そして、上
述した中間板3とカップリング6を連結ボルト18で固
定することにより変節装置部の組立が完了する。
【0029】この変節装置を分解する場合、連結ボルト
18と圧入用ピストン14を取り外すとともに、フィー
ドバックリング15のリング部材15cを取り外した
後、カップリング6の加圧孔6cから圧油を注入して加
圧することによりテーパ面に油圧を掛けて、カップリン
グ6とインナースリーブ13とを離脱させる。
【0030】このことにより、カップリング6を船尾側
へ移動させて中間板3とプロペラ軸7端部との間に離間
部V(分解代)を形成させる。そして、この離間部V
(分解代)でフィードバックリング15の取り外し、あ
るいは中間板3の分解,給油環8の取り外し等の作業を
行うことができ、変節装置の組立/分解が容易に行え
る。
【0031】上記第1実施例の構成における翼角制御
は、サーボシリンダ4に制御油を供給することによりピ
ストン9が往復動し、このピストン9の移動に伴って変
節軸7も往復動する。この変節軸7の往復動により、変
節軸7先端に設けられた図示しないクロスヘッドがリン
ク機構を介してプロペラ翼を回動させて翼角を変更す
る。この時、変節軸7の移動に伴ってフィードバックリ
ング15のリング部材15cはカップリング6の外周部
で移動する。
【0032】この翼角の検出は、フィードバックリング
15の移動量を検出することにより行っており、上述し
たように、フィードバックリング15外周部のリング部
材15cに形成した溝15eに緩嵌したコマ16を有す
るレバー16bの回動角度を検出することにより行う。
このフィードバックリング15が移動した場合、レバー
16bが揺動し、このレバー16bの揺動角を検出して
図示しない制御演算装置によりプロペラ翼の角度を算出
している。このように、ピストン9の往復動によるフィ
ードバックリング15の動きを、レバー16bを介して
翼角を算出することによりフィードバックさせている。
【0033】以上説明したように、本考案は、フィード
バックリング15をプロペラ軸7のカップリング6部に
設けるとともに、給油軸2内にサーボシリンダ4を内設
し、給油軸2外周部に給油環8を周設することにより、
中間軸1のフランジ端部からプロペラ軸7の端部までの
全長Lを大幅に短縮したので、従来例の図8に示す全長
Lに比べて、図1に示すように大幅に短くなり、可変ピ
ッチプロペラ全体としてもコンパクトになっている。
【0034】次に、図2に示す側断面図に基づき第2実
施例を説明する。この実施例は、上述した第1実施例と
は給油軸2の船首側端部の形状が異なっている。つまり
上述した第1実施例は給油軸2の中間軸側が密閉されて
いたのに対し、この実施例は開放されたものであり、中
間軸1の端面がサーボシリンダ4端部の油室壁面を兼ね
ており、中間軸1と給油軸2を連結することによりサー
ボシリンダ4が形成されるものである。
【0035】次に、図3に示す第3実施例を説明する
と、この実施例は、上述した第1実施例及び第2実施例
が給油軸2の船首側端部にフランジ部を形成して中間軸
1と連結し、船尾側に中間板3を結合してカップリング
6と連結する構成であったのに対して、給油軸2の船首
側を円筒形状にし船尾側にフランジ部を形成した例であ
り、中間軸1後端のフランジ1aと給油軸2及び船尾側
端部のフランジ2aとカップリング6とをテンションボ
ルト10とラジアルピン11により連結した例である。
【0036】なお、上述した何れの実施例も、プロペラ
軸5のカップリング部をストレートで形成し、この周囲
にインナースリーブ13を圧着しているので、プロペラ
軸5自体はストレートのものでよく、予備のプロペラ軸
を常備することを考えると互換性があるので、部品の供
給等のメンテナンス面から経済的である。
【0037】また、上記第1,第2あるいは第3実施例
のように、変節箱Cは給油軸2のみの一体型であっても
給油軸2と中間板3との分割型であってもよく、また、
給油環8も一体型であっても分割型であってもよい。
【0038】ところで、上述したように可変ピッチプロ
ペラにあっては狭い機関室内で組立/分解作業を行う必
要があるので、上述した何れの実施例も、軸方向の連結
部をトルク伝達用のラジアルピン11と、スラスト伝達
用のテンションボルト10を設けることにより構成して
いる。この具体的な構造は図4に示す図1に示す第1実
施例のラジアルピン部拡大断面図のように、駆動側軸で
ある給油軸2と従動側軸である中間板3との接合面12
の外周側から軸芯方向に複数のピン穴11aを穿設し、
このピン穴11aの開口側にラジアルピン11の抜け止
めを行うC型止め輪11bの溝11cの加工を行ってい
る。こうすることにより、ラジアルピン11とピン穴1
1aのはめあいがきつくても、テンションボルト10を
緩めて接合面12を分離することにより容易にラジアル
ピン11を取り外せることになり、リーマボルトのみに
よる連結構造に比べて組立/分解が極めて容易に行える
ようになる。
【0039】しかし、上記構成ではピン穴11aの加工
を行った後、止め輪の溝11cの加工を行う必要があ
り、この場合、JISの規定により表面から必ず寸法h
を取る必要がある。このように寸法hを取った場合、深
いピン穴11aを加工する必要を生じ、深いピン穴11
aを加工した場合、給油軸2の外径が大きくなり、これ
に伴って給油環8の径も大きくなるので給油軸2と給油
環8との間における制御油のシール性が悪化する可能性
がある。
【0040】そこで、上記ラジアルピン11の外周部に
抜け止めリングを設けることにより、連結部の加工作業
とともに組立/分解作業に要する時間と労力を激減させ
ることができる。この具体的な構成を図5(a),(b) に示
すラジアルピン部拡大断面図と図6に示す接続面断面図
を参照しながら説明する。
【0041】先ず、図5(a) に示すように、給油軸2と
中間板3とを接合させて、この接合面上にピン穴11a
を共加工して設ける。そして、このピン穴11aにラジ
アルピン11を嵌挿するとともに給油軸2の外周部に設
けた抜け止めリング11eをスライドさせてラジアルピ
ン11を設けた接合面の外周部に位置させ、この抜け止
めリング11eの外部から数本のラジアルピン11のネ
ジ孔11dに止ネジ11fを螺合して固定する。このラ
ジアルピン11は、図6に示すように、図面上では給油
軸2と中間板3との間に8本設けられ、また、テンショ
ンボルト10も8本設けられている。そして、ラジアル
ピン11を設けた接合面の外周部に設けた抜け止めリン
グ11eは、上記ラジアルピン11の4本に止ネジ11
fで固定されている。
【0042】このように数箇所のラジアルピン11に抜
け止めリング11eを固定することにより全てのラジア
ルピン11の抜け止めを行い、上記図4に示す実施例で
行っていた全てのピン穴へのC型止め輪の溝加工を不要
としている。
【0043】このように構成された給油軸2と中間板3
との分割は、止ネジ11fを取り外すとともに抜け止め
リング11eを給油軸2側へスライドさせ、テンション
ボルト10を緩めれば容易に分割することができる。
【0044】このように構成することにより、周方向に
複数設けるC型止め輪の溝加工を不要とするので、加工
作業に要する多くの時間と労力を不要とすることがで
き、また、給油軸2の外径を最小限に抑えるので、シー
ル性の悪化を防止することができる。
【0045】なお、図1,図2に示す第1,第2実施例
では、図6に示すように説明上ラジアルピン11,テン
ションボルト10共に8本で構成しているが、通常は1
6本程度を必要とするので、組立/分解は上記説明以上
に簡便となる。また、上記軸連結構造は通常の軸間の連
結部に用いることも可能であり、この場合にも同様の効
果を発揮することができる。
【0046】
【考案の効果】請求項1記載の考案によれば、変節箱と
プロペラ軸を離間して設け、実翼角のフィードバックを
取出すスペースと、組立/分解のスペースとを同一箇所
であるこの離間部に持って来たので、変節装置部の全長
が大幅に短縮され、機関室長さが制約される船舶であっ
ても可変ピッチプロペラを搭載することが可能となる。
【0047】また、変節装置部の分解/組立あるいはメ
ンテナンス時等も、カップリングを船尾側へずらすこと
により軸系を動かすことなく変節箱とプロペラ軸の分解
/組立が可能となり、従来の構造に比べて労力と時間が
大幅に短縮される。その結果、製造コストあるいは作業
コストが低減され、安価な可変ピッチプロペラを提供す
ることができるという効果を奏する。
【0048】更に、請求項2に記載の軸連結構造にあっ
ては、従来の連結構造に比べて軸側の加工及び軸連結部
の組立/分解が極めて容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の第1実施例を示す図面であり、(a) は
変節装置全体の断面図、(b) はA矢視の部分平面図であ
る。
【図2】本考案の第2実施例を示す変節装置部全体の断
面図である。
【図3】本考案の第3実施例を示す変節装置部全体の断
面図である。
【図4】図1に示すラジアルピン部の拡大断面図であ
る。
【図5】(a),(b) は本考案に係るラジアルピン部を示す
拡大断面図である。
【図6】図1に示す本考案の第1実施例に係るラジアル
ピン接続面断面図である。
【図7】可変ピッチプロペラ全体の構成を示す模式図で
ある。
【図8】従来の変節装置全体を示す断面図である。
【符号の説明】
1…中間軸 2…給油軸 3…中間板 4…サーボシリンダ 5…プロペラ軸 6…カップリング 6b…長溝 7…変節軸 8…給油環 9…ピストン 9a…ピストンロッド 10…テンションボルト 11…ラジアルピン 11a…ピン穴 11e…抜け止めリング 12…接合面 13…インナースリーブ(連結手段) 14…圧入用ピストン 15…フィードバックリング 15a…ナット部(連結手段) 15c…リング部材 C…変節箱 V…離間部(分解代)

Claims (2)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 給油軸にサーボシリンダを形成した変節
    箱と、該給油軸に周設した給油環と、上記サーボシリン
    ダのピストンに連結されてプロペラ軸内を往復動する変
    節軸と、該変節軸の移動量を検出するフィードバックリ
    ングとを有する可変ピッチプロペラの変節装置におい
    て、 上記変節箱とプロペラ軸とを離間して設け、該離間部で
    上記変節軸を、該変節軸の連結手段を形成したフィード
    バックリングにより連結し、上記プロペラ軸に連結手段
    を介して連結固定するカップリングを設け、該カップリ
    ングの変節箱側を上記離間部へ延出させてフランジ部を
    形成すると共に該フランジ部を変節箱と連結し、該フラ
    ンジ部の変節箱側端面からプロペラ軸側に開口する長溝
    を設け、該長溝から上記フィードバックリングの外周部
    を突出させて翼角を検出したことを特徴とする可変ピッ
    チプロペラの変節装置。
  2. 【請求項2】 可変ピッチプロペラの変節装置を備えた
    動力伝達装置において、動力を伝達する駆動側軸と、該
    駆動側軸から動力を受ける従動側軸との接合面の外周側
    から軸芯方向に複数のラジアルピンを設けると共に、該
    ラジアルピンを設けた上記接合面の外周部に抜け止めリ
    ングを設け、該抜け止めリングを前記ラジアルピンの外
    面に固定したことを特徴とする軸連結構造。
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JPH0636497Y2 (ja) * 1985-07-12 1994-09-21 アイワ株式会社 光学系装置

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