JP2533104B2 - 砕木パルプの酸化漂白法 - Google Patents

砕木パルプの酸化漂白法

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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明の対象は、熱−精砕機−砕木パルプ、化学−熱
−精砕機−砕木パルプ(TMP、CTMP)、砕木パルプ、パ
ルプおよび廃紙を過酸化物またはジチオン酸の塩および
その誘導体および亜硫酸およびその誘導体を用いて漂白
するための助剤に関する。
従来の技術 紙の製造の際に原料として使用するのに必要とされる
砕木パルプの漂白は、一般に酸化漂白または還元漂白に
より行われる。漂白は、一段漂白法でも二段漂白法でも
実施することができる。
漂白剤は、砕木パルプの種類、砕木パルプの前処理、
漂白剤量、水質、配量法および添加剤の種類によって影
響を及ぼされる。一段漂白法の場合の向上された平均白
色度は、8〜10であり、二段漂白法の場合には、16〜18
である。
公知技術水準によれば、白色度を所望の程度に向上さ
せるのに必要とされる漂白液の安定化は、過酸化水素の
場合には水ガラスを用いて行われる。しかし、水ガラス
を使用することは、例えば機械部分中に堆積することに
よって廃水の澄明化が困難になるという処理技術的な問
題を生じる。この問題は、化学的助剤の増大された使用
量を減少させることが必要とされ、このことは、同様に
公知技術水準に相当する循環路閉鎖系によって改めて新
しい問題を生じる。
従って、ドイツ連邦共和国特許第3338260号明細書に
は、安定剤またはホスホン酸、ポリヒドロキシカルボン
酸および燐酸塩の混合物からなる錯形成剤が記載されて
おり、これらの薬剤は、それらが共働して酸化漂白の場
合ならびに還元漂白の場合に顕著な安定化および良好な
漂白作用を生ぜしめた。しかし、全体的に、特に一段漂
白法の場合には、白色度をさらに向上させることが望ま
れている。
発明が解決しようとする問題点 従つて、より高度な漂白作用を有する漂白剤を見出す
という課題が課された。
問題点を解決するための手段 意外なことに、この課題は、酸化漂白を還元剤の存在
で実施することによって解決される。
還元剤としては、殊にアミドイミドメタンスルフィン
酸塩、亜燐酸塩およびヒドロキシルアミン塩が適当であ
る。他の慣用の還元剤[“ウルマン(Ullmann)”、第2
0巻、第125頁以降参照]は試験しなかつたが、その適性
は除外されるものではない。還元剤は、単独で使用する
ことができるかまたは組合せて使用することができる。
酸化漂白法の場合に還元剤を存在させることにより漂
白作用が改善され、かつ酸化剤を付加的に消費するだけ
ではないことは驚異的なことに相違ない。酸化漂白剤と
しては、この目的のために公知の過酸化水素(H2O2)が
特に好適であることが判明した。それというのも、この
過酸化水素は残渣なしに反応させることができるからで
ある。特に強力に漂白する場合には、例えば“ヴォッヘ
ンブラット・フュア・パピーヤファブリカツィオーン
(Wochenblatt fur Papierfabrikation)”(1982
年)、第6号、第179頁〜第180頁の記載から周知のよう
に、例えば亜硫酸または亜二チオン酸塩を用いる還元漂
白法を接続することも同様に可能である。本発明によれ
ば、酸化工程で還元剤を添加することにより、二段漂白
法の場合にもなお向上された白色度が生じ、勿論還元漂
白法が損なわれることはない。
ホスホン酸としては、N,N−ビス(カルボキシメチ
ル)−1−アミノ−エタン−1,1−ジホスホン酸、N−
2−カルボキシエチル−1−アミノ−エタン−1,1−ジ
ホスホン酸、N,N−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ア
ミノ−エタン−1,1−ジホスホン酸および1,2,1−トリカ
ルボキシブタン−2−ホスホン酸;ジエチレントリアミ
ンペンタメチレンホスホン酸(DTPMP)、ヒドロキシエ
タンジホスホン酸およびアミノトリスメチレンホスホン
酸ないしはこれらの酸の相当する塩が使用される。ポリ
ヒドロキシカルボン酸としては、グルコン酸、クエン
酸、N,N−ジヒドロキシエチレングリシン、ジエチレン
トリアミンペンタ酢酸、エチレンジアミンテトラ酢酸、
ニトリルトリ酢酸ないしこれらの酸の相当する塩が使用
される。燐酸塩成分としては、オルト燐酸の相当するア
ルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩ないしはポリ燐
酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩が使用さ
れる。
記載した成分は、80:10:10または10:10:80および10:8
0:10の混合比が特に好適であることが判明した。これら
の物質を一緒に使用することにより相乗効果が生じる
(例えば、ドイツ連邦共和国特許出願公開第3338260号
明細書参照)。
水中の重合属含量は、記述した循環路の閉鎖系を通っ
て増大され、したがって錯形成剤にも拘らず白色度は満
足なものではない。これは、白色度が重金属イオンによ
って非可逆的に損なわれることに関与している。重金属
の濃度が増大することにより、重大な白色度損失と関連
する紙の老化が誘起される。この効果は、錯形成剤を大
量に添加することによっても阻止することはできない。
意外なことに、この効果は還元剤を添加することによっ
て阻止することができることが判明した。
更に、還元剤は問題なしに錯形成剤中に混入させるこ
とができることが判明した。それによって、前記方法を
さらに簡単なものにすることができる。こうして形成さ
れた生成物は、申分のない過酸化物系漂白剤を生ぜし
め、この場合紙の耐老化性は保たれる。
次の例により、本発明に関する事項を詳説する。
試験法 従来の公知技術水準によれば、 漂白剤処方は次の組成からなる: a)過酸化物系漂白剤 過酸化水素 1.5〜2% 苛性ソーダ液 1.5〜2% 安定剤(次の例による) 1.0〜5% b)還元漂白剤 亜二チオン酸ナトリウム 0.5〜2% 公知技術水準による試験方法は次のとおりである。
a)原質濃度3〜10%の水性パルプ100gを40℃〜100
℃、特に55℃〜65℃で8〜12のpH価で1.5〜2%の過酸
化水素添加量で酸化漂白した。滞留時間は、8時間ま
で、特に2時間までであった。その後に、硫酸で酸性に
した。
b)引続き、還元剤をパルプに対して計算して0.5〜5
%の濃度で添加して還元漂白した。使用した水の重金属
含量は100ppmであった。
比較例(上記の公知技術水準による試験) 例1:上記方法a)による酸化漂白を、安定剤として水ガ
ラス4%を使用して行った。−白色度8 例2:例1と同様に行ったが、下記の化合物1%を安定剤
として使用した。
DTPA−白色度6.6 EDTA−白色度6 NTA−白色度7 アルカリ金属オルトホスフェート−白色度6.4 例3:例1と同様に行ったが、水ガラス4%の代わりに次
の化合物の組合せ物1%を使用した。
N,N−ビス(ヒドロキシメチル)−1−アミノエタン−
1,1−ジホスホン 45部 燐酸 16部 KOH 15部、残分 水 白色度 7 例4:例1と同様に試験を実施したが、3種類の組合せ物
を使用した。
a) DTPMP 20部 燐酸 16部 水 27部 KOH 10部 DTPA 10部 白色度 13.4 b) N,N−ビス(ヒドロキシメチル)−1−アミノエタン−
1,1−ジホスホン酸 20部 H3PO4 20部 ポリ燐酸塩 20部 DTPA 8部、残分 水 白色度 13.7 c) DTPMP 25部 ポリ燐酸塩 20部 EDTA 20部 KOH 20部、残分 水 白色度 10.5 実施例(本発明法による試験) 本発明による組成は還元漂白剤を一処理工程で使用し
た。
例5:還元剤0.5%を追加使用し、例4と同様に試験を行
った。
a) DTPMP 20部 H3PO4 16部 水 27部 DTPA 10部 アミドイミノメタンスルフィン酸 0.5部 白色度 15.4 b) N,N−ビス(ヒドロキシメチル)−1−アミノエタン−
1,1−ジホスホン酸 20部 H3PO4 20部 KOH 30部 DTPA 8部、残分 水 およびヒドロキシアンモニウムスルフェート 0.5%
白色度 16 c) DTPMP 20部 ポリ燐酸塩 20部 EDTA 20部 KOH 20部、残分 水 およびヒドロキシルアミンスルフェート 0.5% 白色度 16 例6(比較例):CTMP:(化学的、熱機械的パルプ)チッ
プをNa2SO32.0%+DTPA0.6%で含浸し、繊維をほぐし、
引続きH2O22%およびNaOH1%で漂白した。
白色度 5 例7:例6と同様に行ったが、DTPAをN,N−ビス(ヒドロ
キシメチル)−1−アミノエタン−1,1−ジホスホン酸2
0部、H3PO420部、KOH20部、DTPA8部、ヒドロキシルアミ
ンスルフェート42部からなる混合物に代えた。
白色度 8 例8(比較例):廃紙100gの上に水を打ち、これを6%
の原質濃度においてH2O22%およびNaOH1%でDTPA0.5%
を添加しながら漂白した。
白色度 10 例9(比較例):例8と同様に行ったが、DTPAをDTPMP2
0部、H3PO420部、KOH20部、DTPA10部、残分水からなる
混合物0.2%に代えた。
白色度 13 例10:例8と同様に行ったが、DTPAをDTPM20部、ポリ燐
酸塩20部、DTPA10部、ヒドロキシルアミンホスフェート
50部からなる混合物に代えた。
白色度 15 前記の実施例は、本発明による漂白助剤を用いると、
それぞれの還元剤なしの場合よりも良好に向上された白
色度を達成することができることを明示する。完全に代
えることができる支障ある水ガラスのほかに、重金属イ
オンの濃度が高い場合にも、顕著に向上された白色度が
得られる。従って、本発明による製品を使用する場合に
は、循環水の化学薬品負担は軽減される。このことは、
上記の利点と一緒になって殊に支障のない操業、ひいて
は上昇した効率に導く。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭52−96204(JP,A) 特開 昭57−149581(JP,A) 特開 昭56−148987(JP,A) 特開 昭54−111589(JP,A) 特開 昭57−21591(JP,A) 特公 昭47−16841(JP,B1)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】砕木パルプ懸濁液に酸化漂白剤ならびにホ
    スホン酸、ポリヒドロキシカルボン酸及び燐酸ないしは
    それらの塩を含有する錯形成剤−組合せ物を乾量の砕木
    パルプに対して0.5〜5%の量で添加し、かつ混合する
    ことにより、砕木パルプを、殊に重金属塩の存在で酸化
    漂白する方法において、酸化漂白を還元剤の存在で実施
    することを特徴とする、砕木パルプの酸化漂白法。
  2. 【請求項2】過酸化物系漂白剤を使用する、特許請求の
    範囲第1項記載の方法。
  3. 【請求項3】アミドイミドメタンスルフィン酸塩および
    /または亜燐酸塩および/またはヒドロキシルアミン塩
    を還元剤として使用する、特許請求の範囲第1項または
    第2項に記載の方法。
  4. 【請求項4】還元剤を乾量の砕木パルプに対して0.5〜
    5%の量で使用する、特許請求の範囲第1項から第3項
    までのいずれか1項に記載の方法。
  5. 【請求項5】還元漂白を酸化漂白後にジチオン酸または
    亜硫酸を用いて実施する、特許請求の範囲第1項から第
    4項までのいずれか1項に記載の方法。
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