JP2532345Y2 - キャスク移送装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、原子力発電等において
発生する使用済み燃料を収納する樽状のキャスク（使用
済燃料輸送容器）を横向きにした状態でクレーンで持ち
運び、定置する際に使用するキャスク移送装置に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】従来、上記の如きキャスクを移送する場
合には、図４にその正面図、図５にその左側面図を示す
ようなキャスク移送装置を用いていた。即ち、クレーン
で引き揚げ可能な横吊りフレーム１の四隅から吊り下げ
た４本のキャスク吊りアーム2a,2b,2c,2d （2cは隠れて
見えない。）の下端を、キャスク５自体に設けられてい
る４個のトラニオン5a,5b,5c,5d （5cは隠れて見えな
い。）に玉掛けして横吊り移送していた。

【０００３】而して、クレーン側ではワイヤを二重にす
る等の安全対策が取られているが、フレームからの吊下
装置は一重吊りであるため、キャスク吊りアーム2a,2b,
2c,2d 若しくはトラニオン5a,5b,5c,5d の何れかに支障
があると落下の危険性があり、そのため吊上げ高さはキ
ャスクが落下しても安全な高さ以下に制限されていた。
従って、キャスクを高く積み重ねて定置することも困難
であった。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】本考案は、上記の問題
点を解決するためなされたものであり、その目的とする
ところは、キャスクを高位置まで安全に移送、定置し得
るキャスク移送装置を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記の目的は、クレーン
に吊り下げ可能な略矩形の横吊りフレームと、上端が上
記横吊りフレームの四隅近くにそれぞれ取り付けられ、
下端が横向きにセットされたキャスクの４個のトラニオ
ンにそれぞれ取り付けられる４本のキャスク吊りアーム
と、上記キャスクをそのスキッドと共に搭載する略矩形
のパレットと、上端が上記横吊りフレームの四隅近くに
それぞれ取り付けられ、下端が上記パレットの四隅近く
にそれぞれ取り付けられる４本のパレット吊りアーム
と、から構成されるキャスク移送装置によって達成し得
る。

【０００６】

【作用】上記の如き構成のキャスク移送装置であると、
キャスクが４本のキャスク吊りアームと４本のパレット
吊りアームによって二重吊りされるため、従来の一重吊
りに比べて安全性が格段に向上し、キャスクを高位置ま
で安全に移送、定置し得るものである。

【０００７】

【実施例】以下、図面を参照しつゝ本考案を具体的に説
明する。図１は本考案に係るキャスク移送装置の一実施
例を示す正面図、図２はその左側面図、図３はキャスク
の積上げ、定置状態を示す説明図である。

【０００８】図１及び図２中、１はクレーンによって吊
上げ可能な略矩形の横吊りフレーム、2a,2b,2c,2d （2c
は隠れて見えない。）は横吊りフレーム１の四隅近くか
らそれぞれ吊り下げられた４本のキャスク吊りアーム、
３はパレット、4a,4b,4c,4d（4cは隠れて見えない。）
は横吊りフレーム１の四隅近くからそれぞれ吊り下げら
れた４本のパレット吊りアーム、５はスキッド６上に載
置されたキャスク、5a,5b,5c,5d （5cは隠れて見えな
い。）はキャスクに設けられたトラニオンである。パレ
ット３の四隅には吊り把手3a,3b,3c,3d （3cは隠れて見
えない。）が設けられ、それぞれにパレット吊りアーム
4a,4b,4c,4d の下端がボルト止めされるようになってい
る。

【０００９】そこで、キャスク５の移送時には、スキッ
ド６上に載置されたキャスク５をスキッド６と共にパレ
ット３上に搭載し、キャスク５自体に設けたトラニオン
5a,5b,5c,5d にキャスク吊りアーム2a,2b,2c,2d の下端
を玉掛けする。このときパレット３の四隅の吊り把手3
a,3b,3c,3d もそれぞれパレット吊りアーム4a,4b,4c,4d
の下端にボルト止めする。

【００１０】この状態で横吊りフレーム１の把手にクレ
ーンのフックを引っ掛けて横吊りフレーム１を引き揚げ
ると、キャスク吊りアーム2a,2b,2c,2d によりキャスク
５が吊り揚げられると共に、パレット吊りアーム4a,4b,
4c,4d によってパレット３も一緒に吊り揚げられる。従
って、キャスク５は結果的にキャスク吊りアームとパレ
ット吊りアームとによって二重吊りされることになり、
これらのアーム若しくはトラニオン5a,5b,5c,5d 、吊り
把手3a,3b,3c,3d 等の何れかに異常が生じても直ちにキ
ャスク５が落下する危険はなく、そのため高位置までキ
ャスクを移送することが可能となる。

【００１１】そして、このようにキャスク５が落下する
危険がないため、例えば図３に示すように天井クレーン
７によりキャスク５を高位置まで持ち上げて、多段に積
み重ね、貯蔵することができる。また移送後に、パレッ
ト吊りアーム4a,4b,4c,4d をパレット３の吊り把手3a,3
b,3c,3d から取り外すことにより、パレット３を図３に
示すようにキャスクの置き台として利用すると共に、下
段のキャスク貯蔵室との仕切蓋として機能させることが
できる。

【００１２】

【考案の効果】本考案は上記の如く構成されるから、本
考案によるときは、従来の一重吊りのキャスク移送装置
に比べて安全性が格段に向上し、キャスクを高位置まで
安全に移送、定置でき、貯蔵スペースの利用効率も向上
させ得るものである。

【００１３】なお、本考案は上記の実施例に限定される
ものではなく、本考案の目的の範囲内において上記の説
明から当業者が容易に想到し得るすべての変更実施例を
包摂するものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係るキャスク移送装置の一実施例を示
す正面図である。

【図２】その左側面図である。

【図３】キャスクの積上げ、定置状態を示す説明図であ
る。

【図４】従来のキャスク移送装置の一例を示す正面図で
ある。

【図５】その左側面図である。

【符号の説明】

1 横吊りフレーム 2a〜2d キャスク吊りアーム 3 パレット 3a〜3d 吊り把手 4a〜4d パレット吊りアーム 5 キャスク 5a〜5d トラニオン 6 スキッド 7 天井クレーン

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】クレーンに吊下げ可能な略矩形の横吊りフ
   レーム(1) と、 上端が上記横吊りフレームの四隅近くにそれぞれ取り付
   けられ、下端が横向きにセットされたキャスク(5) の４
   個のトラニオン（5a〜5d）にそれぞれ取り付けられる４
   本のキャスク吊りアーム（2a〜2d）と、 上記キャスク(5) をそのスキッド(6) と共に搭載する略
   矩形のパレット(3) と、 上端が上記横吊りフレーム(1) の四隅近くにそれぞれ取
   り付けられ、下端が上記パレット(3) の四隅近くにそれ
   ぞれ取り付けられる４本のパレット吊りアーム（4a〜4
   d）と、 から構成されるキャスク移送装置。