JP2530426Y2 - 巻取紙の衝突防止装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、輪転印刷機における巻
取紙自動装着装置の三つ又アームへ巻取紙を搬送する
際、巻取紙の位置ずれ，傾斜等に起因して生じる、巻取
紙とウェブセンタあるいは取付けアームの衝突を防止す
るための巻取紙衝突防止装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】輪転印刷機では、二〜三本の取付けアー
ムを有する三つ又アームに巻取紙と称するロール紙をそ
れぞれ装着し、一本の巻取紙が使い終ると、次の取付け
アームに装着した巻取紙を自動的に印刷部に供給して連
続運転を行なっている。この場合、巻取紙の無くなった
取付けアームは、巻芯を取り除かれ、新たな巻取紙が自
動的に装着される。

【０００３】新たな巻取紙の三つ又アームまでの搬送
は、通常、巻取紙を搭載してトラバーサまで運ぶトロッ
コ及び、このトロッコを搭載してトロッコ引込み位置か
ら三つ又アームまで運ぶトラバーサとによって行なわれ
る。このトラバーサによる巻取紙の搬送に際し、巻取紙
の搭載位置が軸方向にずれていたり巻取紙が斜めになっ
ていたりすると、巻取紙を取付けアームに装着するとき
に巻取紙が取付けアームのウェブセンタ等に衝突して、
ウェブセンタを破損したり、巻取紙がトロッコから落下
したりする問題がある。

【０００４】このため、巻取紙と取付けアームの衝突を
防止する必要があり、従来は次のような方法をによって
衝突の防止を図っていた。すなわち、第一は、図７に示
すように、三つ又アームにおける各取付けアーム２の各
ウェブセンタ３側の先端部分にリミットスイッチ４をそ
れぞれ２個づつ設け、これらのリミットスイッチ４で巻
取紙１の端面を検出することにより、巻取紙の位置状態
を判断し、衝突を防止する方法である。また、第二は、
図８に示すように、トラバーサの移動方向に投光器５ａ
と受光器５ｂからなる光電式のセンサを配置し、このセ
ンサによって、巻取紙１の両側端部を検出することによ
り巻取紙の位置状態を判断し、衝突を防止する方法であ
る。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た第一の方法は、取付けアーム２の各ウェブセンタ３側
の先端にリミットスイッチ４を２個づつ設けなければな
らず、合計１２個のリミットスイッチと取付け治具が必
要になるという問題があった。さらに、リミットスイッ
チ４は、接触式の検出器であるため、巻取紙１との間隔
を広くとれず、したがって巻取紙１の搭載位置が大きく
ずれているような場合あるいは巻取紙１の傾きが大きい
場合には、リミットスイッチ４が巻取紙１と衝突して破
損するという問題があった。

【０００６】また、第二の方法は、光電センサ（投光器
５ａと受光器５ｂ）の取付け位置が、他の部材との関係
で大幅に制限されるため、投光器５ａと受光器５ｂ間の
距離が長くなり、測定精度が低下するという問題があっ
た。

【０００７】本考案は上述の問題点を考慮してなされた
ものであり、巻取紙と取付けアームの衝突を、安価な装
置によって正確かつ確実に防止できるようにした巻取紙
の衝突防止装置の提供を目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本考案の巻取紙衝突防止装置は、輪転印刷機における巻
取紙自動装着装置の三つ又アームへ巻取紙を搬送する軌
道上の任意の位置に、検出領域を巻取紙の紙掛け可能範
囲に設定した距離限定形光電検出器を配置するととも
に、この検出器からの信号によって、巻取紙が紙掛け可
能範囲外の位置にあると判断したときに、衝突の防止に
必要な信号を出力する判定部とを具備した構成とし、好
ましくは、距離限定形光電検出器を、取付けアームのウ
ェブセンタ側の先端に、巻取紙端面に対して斜めになる
よう取り付けた構成としてある。さらに必要に応じ、距
離限定形光電検出器を二個一組とし、これら距離限定形
光電検出器の検出領域を異ならせた構成としてある。

【０００９】

【作用】上記構成からなる巻取紙の衝突防止装置によれ
ば、取付けアームに送られてくる巻取紙が、紙掛け可能
範囲外にあると判断すると、巻取紙とウェブセンタの衝
突を防止するために必要な信号を出力する。また、距離
限定形光電検出器を二個一組とした場合には、検出器自
体の故障を検知することができる。

【００１０】

【実施例】以下、本考案の巻取紙の衝突防止装置におけ
る実施例を説明する。図示してないが、巻取紙はトロッ
コに搭載されており、トロッコは、トロッコ引込み位置
においてトラバーサ上に搭載されている。トラバーサ
は、軌道上を取付けアームに対して前進，後退可能な自
走式となっている。また、取付けアームが高い位置にあ
る場合は、トラバーサにリフターを装備し、取付けアー
ムの下方あるいは前方においてリフターを作動させ、巻
取紙を取付けアームの高さまで上昇させるタイプのもの
を使用する。

【００１１】次に、図面を参照しながら本実施例装置を
詳細に説明する。図１は、第一実施例の要部拡大図、図
２はその側面図を示す。これら図面において、１は巻取
紙であり、上述のようにして取付けアーム２まで搬送さ
れる。この取付けアーム２のウェブセンタ３側の先端に
は、治具１１を介して距離限定形光電検出器１０が取り
付けてある。ここで、距離限定形光電検出器１０とは、
発光素子と位置検出素子を用い、三角測量方式により対
象物体までの距離を計測し、この計測値に比例したアナ
ログ電圧を出力する検出器であり、設定した対象物体ま
での距離、すなわち検出領域内に被検出物が存在すると
きにはＯＮ信号を判定部１２へ出力する。

【００１２】したがって、本実施例装置の場合、距離限
定形光電検出器１０の検出領域をウェブセンタ３の先端
部と同じ距離（図１の線Ｌ）に設定すると、巻取紙１が
図１に示すような正常位置の場合にはＯＦＦ信号、巻取
紙１に図３に示すような位置ずれがあったり、図４に示
すような傾きがあったりして、ウェブセンタ３側に寄っ
て（図３，４の線Ｌを越えて）いるとＯＮ信号を判定部
１２へ出力する。また距離限定形光電検出器１０は、巻
取紙１の送られてくる方向に向って斜めに取り付けるこ
とにより、図１におけるｌ1 及びｌ2 の領域を検出可能
領域とすることができる。したがって、一個の検出器で
二次元方向の検出を行なうことができ、高精度の検出が
可能となる。

【００１３】判定部１２は、距離限定形光電検出器１０
から送られてくる信号により巻取紙１が紙掛け可能範囲
内にあるか否かを判断し、紙掛け可能範囲外と判断する
と、アラーム信号の出力指令あるいは／及び巻取紙の自
動装着装置を停止させる旨の信号等を出力し、巻取紙１
がウェブセンタ３等と衝突しないようにする。

【００１４】なお、上記説明は、便宜上三つ又アームの
うち片側の一つの取付けアーム２に一個の距離限定形光
電検出器１０を取り付けた例について行なったが、通常
は三つ又アームにおける各取付けアーム２に、それぞれ
距離限定形光電検出器１０を取り付けてある。

【００１５】また、三つ又アームの両側の取付けアーム
２に距離限定形光電検出器１０を取り付けると巻取紙１
の両端部の位置を確認でき、より確実に衝突の防止を図
れる。

【００１６】さらに、一つの取付けアーム２に二個の距
離限定形光電検出器１０を設け、それぞれの検出領域を
異ならせて設定すると、検出精度の向上と、検出器自体
の故障をチエックすることが可能となる。以下、図５及
び図６にもとづいて二個の距離限定形光電検出器１０を
用いて検出を行なう例について説明する。本実施例の場
合、一方の距離限定形光電検出器１０ｂの検出領域は、
ウェブセンタ３の先端と同じ距離に設定し、他方の距離
限定形光電検出器１０ａの検出領域は、正常時における
巻取紙１の端面までの距離、すなわち、巻取紙１の紙掛
け範囲（図５の線ｌ）とする。このような構成からなる
本実施例の場合、巻取紙１の端面が線Ｌとｌの間に位置
していれば、巻取紙１は紙掛け可能範囲内の正常な位置
にあると判断される。

【００１７】図６は、二個の距離限定形光電検出器１０
ａ，１０ｂにおける検出信号の状態と、巻取紙の位置状
態等を示す図である。 同図において、検出器１０ａがＯＮで、検出器１０ｂ
がＯＦＦの場合は、巻取紙１の端面がウェブセンタ３の
先端Ｌと正常時における巻取紙の端面ｌとの間に位置し
ていることを示している。したがって、巻取紙は紙掛け
可能な正常状態にある。

【００１８】検出器１０ａと１０ｂがともにＯＮの場
合は、巻取紙１の端面がウェブセンタ３の先端（線Ｌ）
よりも取付けアーム２側に位置していることを示してい
る。したがって、巻取紙はウェブセンタ３と衝突する可
能性がある。

【００１９】検出器１０ａがＯＦＦで、検出器１０ｂ
がＯＮの場合は、通常起こり得ない状況を意味してお
り、いずれかの検出器１０ａ，１０ｂが故障している可
能性が高い。

【００２０】検出器１０ａと１０ｂがともにＯＦＦの
場合は、巻取紙１の端面が正常時における巻取紙の端面
（線ｌ）よりも、取付けアーム２と反対側に位置してい
ることを示している。したがって、巻取紙１は、反対側
の取付けアーム（図示せず）のウェブセンタ（図示せ
ず）と衝突する可能性がある。このように、二個の距離
限定形光電検出器１０ａ，１０ｂを設けると、片側の取
付けアームに検出器を取り付けるだけで、巻取紙１の両
側の位置状態を検出できるとともに、検出器自体の故障
をも発見することができる。

【００２１】なお、本考案は上記実施例に限定されるも
のではなく、要旨の範囲内において種々変形実施が可能
であり、例えば距離限定形光電検出器１０は、巻取紙の
搬送軌道上であれば取付けアーム以外の場所に設置して
もよい。

【００２２】

【考案の効果】以上のように、本考案の巻取紙の衝突防
止装置によれば、簡単な構成によって、巻取紙とウェブ
センタ等の衝突を確実に防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例装置の説明図を示す。

【図２】図１の側面図を示す。

【図３】第一実施例装置の検出動作説明図を示す。

【図４】第一実施例装置の検出動作説明図を示す。

【図５】本考案の第二実施例装置の説明図を示す。

【図６】第二実施例装置の検出動作説明図を示す。

【図７】従来用いられていた一装置例の説明図を示す。

【図８】従来用いられていた他の装置例の説明図を示
す。

【符号の説明】

１…巻取紙 ２…取付けアーム ３…ウェブセンタ １０（１０ａ，１０ｂ）…距離限定形光電検出器 １２…判定部

Claims (3)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 輪転印刷機における巻取紙自動装着装置
   の三つ又アームへ巻取紙を搬送する軌道上の任意の位置
   に、検出領域を巻取紙の紙掛け可能範囲に設定した距離
   限定形光電検出器を配置するとともに、この検出器から
   の信号によって、巻取紙が紙掛け可能範囲外の位置にあ
   ると判断したときに、衝突の防止に必要な信号を出力す
   る判定部とを具備したことを特徴とする巻取紙の衝突防
   止装置。
2. 【請求項２】 距離限定形光電検出器を、取付けアーム
   のウェブセンタ側の先端に、巻取紙端面に対して斜めに
   なるよう取り付けたことを特徴とする請求項１記載の巻
   取紙の衝突防止装置。
3. 【請求項３】 距離限定形光電検出器を二個一組とし、
   これら距離限定形光電検出器の検出領域を異ならせたこ
   とを特徴とする請求項１または２記載の巻取紙の衝突防
   止装置。