JP2530275B2 - α−グルコシダ−ゼ遺伝子、ベクタ−、形質転換体及びそれを用いたα−グルコシダ−ゼの製造法 - Google Patents

α−グルコシダ−ゼ遺伝子、ベクタ−、形質転換体及びそれを用いたα−グルコシダ−ゼの製造法

Info

Publication number
JP2530275B2
JP2530275B2 JP4240114A JP24011492A JP2530275B2 JP 2530275 B2 JP2530275 B2 JP 2530275B2 JP 4240114 A JP4240114 A JP 4240114A JP 24011492 A JP24011492 A JP 24011492A JP 2530275 B2 JP2530275 B2 JP 2530275B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
glucosidase
aspergillus oryzae
gene
transformant
vector
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP4240114A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0662868A (ja
Inventor
時 俊 貴 峰
村 學 造 田
味 勝 也 五
本 勝 ひ こ 北
谷 知 栄 子 熊
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JOZO SHIGEN KENKYUSHO KK
KOKUZEICHO CHOKAN
Original Assignee
JOZO SHIGEN KENKYUSHO KK
KOKUZEICHO CHOKAN
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JOZO SHIGEN KENKYUSHO KK, KOKUZEICHO CHOKAN filed Critical JOZO SHIGEN KENKYUSHO KK
Priority to JP4240114A priority Critical patent/JP2530275B2/ja
Publication of JPH0662868A publication Critical patent/JPH0662868A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2530275B2 publication Critical patent/JP2530275B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Enzymes And Modification Thereof (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アスペルギルス・オリ
ゼーから得られた新規α−グルコシダーゼ遺伝子、これ
を含むベクター、そのベクターをアスペルギルス・オリ
ゼーに移入した形質転換体及びその形質転換体によるα
−グルコシダーゼの製造法に関するものである。
【0002】アスペルギルス・オリゼーのα−グルコシ
ダーゼは産業上重要な酵素であり、本発明によって得ら
れた形質転換体は本酵素を著量に生産し、これら本酵素
を用いる産業界に大いに貢献するものである。
【0003】
【従来技術及びその問題点】一般にα−グルコシダーゼ
は、マルトース及びオリゴ糖の非還元末端のグルコシル
基をグルコースまたはオリゴ糖の6位あるいは3位の水
酸基に転移する活性をもつ酵素であり、動物、植物およ
び微生物に広く分布している。(「化学大辞典3」共立
出版(昭42−9−10) p.139−140)。
【0004】澱粉工業において製造されるイソマルトオ
リゴ糖は、清酒、味噌、醤油などに少量含まれうま味を
つける天然の食品成分として知られている。また、イソ
マルトオリゴ糖は、人の腸内に常在するビフィズス菌な
どの有用細菌に対する増殖効果あるいは、虫歯に対する
抗う蝕効果などの機能性を有しており非常に重要な糖類
であり、この糖類は、α−グルコシダーゼの作用により
製造される。
【0005】また、麹菌アスペルギルス・オリゼーの生
産するα−グルコシダーゼにより、イソマルトース、イ
ソマルトトリオース、コウジビオース、パノース等のオ
リゴ糖が清酒のうま味、こくの成分として生成されてお
り、清酒醸造においても本酵素は重要な役割をもってい
る。従って、本酵素の高生産を図るため、培養方法の検
討や菌株の育種等が行われてきた。
【0006】しかしながら、従来の育種法は、主とし
て、紫外線や変異誘発剤によって得られる変異株から選
択する方法に限られていたため、安定な変異体を単離す
るのが困難であった。また、従来法の場合、好まざる形
質変化をともなうことも多く、その結果現在までにα−
グルコシダーゼを高生産する能力を有するアスペルギル
ス・オリゼーの育種には成功していない。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記問題点を
解決するためになされたものであって、α−グルコシダ
ーゼを著量生産する微生物を開発する目的でなされたも
のである。そして上記目的達成のため各方面から検討し
た結果、目的とする微生物を創製するには、古典的な変
異法よりは遺伝子を直接使用する遺伝子操作による方法
が好適であるとの観点にたった。
【0008】この観点に立ち、α−グルコシダーゼ生産
菌として多用されている、アスペルギルス・オリゼーの
α−グルコシダーゼ遺伝子に着目した。そして研究、検
討を重ねた結果、同菌由来の染色体DNAライブラリー
を作製し、このライブラリーから目的とするα−グルコ
シダーゼをコードする遺伝子をクローニングするのに成
功した。
【0009】そして更に、このクローン化したα−グル
コシダーゼをコードする遺伝子を有する染色体DNA断
片を、アスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryza
e)の宿主ベクター系に移入することにも成功し、得ら
れた形質転換体においてα−グルコシダーゼ遺伝子が分
泌生産されること等も確認し、これらの新知見に基き、
本発明を完成した。
【0010】即ち、本発明は、アスペルギルス・オリゼ
ーのα−グルコシダーゼ遺伝子に着目し、アスペルギル
ス・オリゼーの染色体DNAより図1の制限酵素切断地
図で規定されるα−グルコシダーゼ遺伝子をコードする
DNA断片をクローン化し、これをアスペルギルス・オ
リゼーの宿主ベクター系を用いて形質転換し、得られた
形質転換体を、培地に培養し、培養物α−グルコシダー
ゼを採取することを特徴とするα−グルコシダーゼの製
造法に関するものであり、その態様を列挙すれば次のと
おりである。
【0011】(1)アスペルギルス・オリゼーから単離
したα−グルコシダーゼ遺伝子。 (2)(1)のα−グルコシダーゼ遺伝子を連結したア
スペルギルス・オリゼーのベクター。 (3)(2)のベクターをアスペルギルス・オリゼーに
移入することによって得られるα−グルコシダーゼ高分
泌能を有する形質転換体。 (4)(3)の形質転換体を用いることによってα−グ
ルコシダーゼを効率的に著量生産する方法。
【0012】以下、本発明について詳しく説明するが、
本発明に用いた染色体DNAの供与体はアスペルギルス
・オリゼーであり、具体的には例えばRIB40株であ
る。
【0013】本菌株から染色体DNAを抽出するには、
例えばAgric. Biol. Chem., Vol.51, 323-328(1987)に
記載されたアスペルギルス・オリゼーの染色体DNAの
抽出に関する方法に準じて行われる。
【0014】次に、得られた染色体DNAを適当な制限
酵素で処理し、部分分解を行った後、蔗糖密度勾配超遠
心法で分画して10Kbp−20Kbpの断片を得る。同じ接着末
端を生じさせる制限酵素で処理したファージに上記で得
られたDNA断片を挿入して染色体ジーンライブラリー
を作製する。当該ファージとしてはEMBL3 (J. Mol. Bio
l., Vol.170, 827-842(1983))が用いられる。また、
サブクローンにはMethods in Enzymology Vol.153, 3-1
1(1987)に記載のpUC118を用いた。
【0015】上記で得られた染色体ジーンライブラリー
からの当該遺伝子の単離にあたっては、アスペルギルス
・オリゼーと同属のアスペルギルス・ニガーのα−グル
コシダーゼ遺伝子の塩基配列(日本農芸化学会1990年度
大会講演要旨集、510頁)に基づいて合成オリゴDNA
を作製し、それをプローブに用いてアスペルギルス・ニ
ガーの染色体ジーンライブラリーよりスクリーニングを
行い、制限酵素切断地図(日本農芸化学会1990年度大会
講演要旨集、510頁)に一致する2.5KbpのEcoRI断片を取
得した。このDNA断片をマルチプライム法(Anal. Bi
ochem., Vol.137, 266-267(1984))により標識した後、
プローブに用いてプラークハイブリダイゼーションを行
いアスペルギルス・オリゼーのα−グルコシダーゼ遺伝
子のDNAをクローニングする。得られたDNA断片は
図1の制限酵素切断地図を有していた。
【0016】上記で得られたDNA断片をアスペルギル
ス・オリゼーのベクターとして例えばargB遺伝子をマー
カーにもつpRBG1(Agric. Biol. Chem., Vol.53, 2549-
2555(1987))に挿入し得られたDNAをargB欠損株のア
スペルギルス・オリゼーに移入し、形質転換体を得る。
argB欠損株として、更に具体的にはM-2-3株(Agric.Bio
l. Chem., Vol.53, 2549-2555(1987))が挙げられる。
形質転換法としては公知の方法例えばAgric. Biol. Che
m., Vol.51, 323-328(1987)に記載された方法あるいは
これに準じた方法が取られる。
【0017】このようにして得たアスペルギルス・オリ
ゼーの形質転換体を培地に培養し、培養液中に分泌生産
されるα−グルコシダーゼを採取するのである。ここで
用いる培地としては例えばマルトースあるいは澱粉を唯
一炭素源とする培地が挙げられる。ここで得た培養液中
のα−グルコシダーゼ活性の測定は4−ニトロフェニル
−α−D−グルコシドを基質として作用させ遊離してく
る4−ニトロフェノールを定量させることにより行われ
る。こうして形質転換体を培養することにより、α−グ
ルコシダーゼを効率よく製造できる。
【0018】次に本発明の実施例を示す。
【0019】
【実施例1】
【0020】染色体DNAのジーンライブラリーの作製
【0021】アスペルギルス・オリゼーRIB40の分生胞
子1白金耳をデキストリン・ペプトン培地(2%デキス
トリン、1%ポリペプトン、0.5%KH2PO4、0.1%NaN
O3、0.05%MgSO4・7H2O)200mlに接種し、30℃、3日間
回転振とう培養後、得られた菌体を3G1ガラスフィル
ターで集め、滅菌水で洗浄した。
【0022】次にこの菌体の水分を濾紙により除去した
後、あらかじめ−80℃に冷却した乳鉢を用いて液体窒
素中ですりつぶした。この菌体破砕物をTE溶液(10mM
Tris-HCl、1mM EDTA、pH8.0)に懸濁した後、溶菌溶液
(0.5%SDS、50mM EDTA)を等量加えて緩やかに攪拌
後、37℃、30分間放置した。得られた溶菌液を3000rp
m、20分間冷却遠心分離後、上清を取得した。その上清
を等量のフェノール・クロロホルム混合液で2回処理し
て、夾雑するタンパク質を除去後、2.5倍容の冷エタノ
ールを加えDNAを沈澱させた。この沈澱物を0.1mg/ml
のRNaseを含むTE溶液に緩やかに溶解して30℃、30分
間反応した。この溶液をフェノール・クロロフォルム処
理した後、2.5倍容の冷エタノールを添加し、生じた染
色体DNAをパスツールピペットで巻取った。巻取った
DNAを乾燥後、TE溶液に溶解し、染色体DNA溶液
を調製した。
【0023】得られたDNAを制限酵素Sau3AIで部分分
解後、分解断片を5−20%の蔗糖密度勾配超遠心法で分
画して10−20Kbpの断片を集めた。この断片をファージ
λEMBLE3-BamHIアーム(東洋紡績(株))にT4リガー
ゼを用いて連結し、得られたファージDNAをin vitro
パッケージングキット(ギガパックゴールド(東洋紡績
(株))を用いてパッケージングした後、E.coli LE392
にトランスフェクションし、染色体DNAのジーンライ
ブラリーを作製した。
【0024】
【実施例2】
【0025】染色体DNAのジーンライブラリーからの
アスペルギルス・オリゼーのα−グルコシダーゼ遺伝子
のクローニング
【0026】実施例1に記載の染色体DNAのジーンラ
イブラリーに保存されたファージのプラークを形成後、
プラークハイブリダイゼーションによりα−グルコシダ
ーゼ遺伝子を含むクローンの選択を行った。この一連の
操作は常法(Molecular cloning, pp63-67, Cold Spri
ng Harbor Loboratory(1982))によった。プラークハイ
ブリダイゼーションに用いたプローブは、アスペルギル
ス・オリゼーと同属のアスペルギルス・ニガーのα−グ
ルコシダーゼ遺伝子の塩基配列(日本農芸化学会1990年
度大会講演要旨集、510頁)に基づいて合成オリゴDNA
を作製し、それをプローブに用いて、アスペルギルス・
ニガーの染色体ジーンライブラリーよりスクリーニング
を行い、制限酵素切断地図(日本農芸化学会1990年度大
会講演要旨集、510頁)に一致する2.5KbpのEcoRI断片を
取得した後、このDNA断片をマルチプライム法(Ana
l. Biochem., Vol.137, 266-267(1984))により32Pで
放射能標識したものである。
【0027】約10,000個のプラークの中から、上記のプ
ローブとハイブリダイゼーションする5個のクローンを
選択できた。これらのクローンの中に挿入されているア
スペルギルス・オリゼー由来のDNA断片を各制限酵
素、例えば、PstI、SalI、EcoRIで消化し、上記のプロ
ーブを用いてサザンハイブリダイゼーションを行ったと
ころ、各種サイズのDNA断片を見いだし、これらのD
NA断片の中からPstIで消化して得られた最も大きな7.
0KbpのDNA断片を含むクローンからこの7.0KbpのDN
A断片を回収した。この7.0KbpのPstI断片をプラスミド
ベクターpUC118のPstI部位に連結し、サブクローンpTGF
-1を得て、図1に示す如く当該挿入断片の制限酵素切断
地図を作製した。次に、ここで得られたサブクローンpT
GS-1を各種制限酵素で消化後、アガロース電気泳動で分
離し、上記プローブを用いてサザンハイブリダイゼーシ
ョンを行ったところ、図1中の斜線部分のHindIIIとEco
RVの領域とハイブリダイズしたため、7.0KbpのPstI断片
はα−グルコシダーゼ遺伝子を十分にコードしていると
判断した。
【0028】
【実施例3】
【0029】アスペルギルス・オリゼーにおけるα−グ
ルコシダーゼ遺伝子のコピー数
【0030】実施例2で得られたα−グルコシダーゼ遺
伝子のアスペルギルス・オリゼーにおけるコピー数を以
下の方法により決定した。
【0031】アスペルギルス・オリゼーの染色体DNA
を各種制限酵素、例えば、EcoRI、SalI、PstI等で消化
後、アガロース電気泳動で分離し、実施例2で得られた
7.0KbpのPstI断片をプローブとしてサザンハイブリダイ
ゼーションを行いバーオキシダーゼが触媒するルミノー
ルの酸化反応によるケミルミネセンスを検出するという
原理を応用したアマシャム(株)のECL検出システム
によりバンドの検出を行った結果、主な6塩基認識の制
限酵素での消化物とハイブリダイズしたバンドは一本だ
けであることが判明し、アスペルギルス・オリゼーには
本クローンのα−グルコシダーゼ遺伝子が一つだけ存在
することを明らかにした。
【0032】
【実施例4】
【0033】活性アスペルギルス・オリゼーα−グルコ
シダーゼを分泌生産するためのアスペルギルス・オリゼ
ーで機能するベクターの構築
【0034】実施例2で述べたサブクローンpTGF-1のア
スペルギルス・オリゼー由来の7.0KbpのPstI断片には、
α−グルコシダーゼを十分に含むと思われ、この断片を
アスペルギルス・オリゼーで複製可能なベクターpRBG1
Agric. Biol. Chem., Vol.51, 323-328(1987))に次
の方法で連結した。
【0035】先ず、pTGF-1 10μgをPstI制限酵素で消
化した後、0.8%アガロース電気泳動にかけ分離した7.0
Kbpの断片をゲルから切取り、そのゲル片からジーンク
リーンキット(バイオ101社製)を用いてTE溶液(10m
M Tris-HCl、1mM EDTA、pH8.0)に回収した。
【0036】一方、pRBG1をPstI制限酵素で消化後、小
牛腸のアルカリフォスファターゼ(CIAP)で処理し、
5′末端のリン酸基を除去してpRBG1の自己連結を防ぎ
ながら上記の7.0Kbp DNA断片とT4リガーゼを用い
て連結し、図2に示すベクターpRTG-F7を作製した。こ
のベクターはE.coli HB101に移入することにより、カナ
マイシン耐性を有する形質転換体を作製し、これを用い
てpRTG-F7を大量に取得することができる。
【0037】
【実施例5】
【0038】活性アスペルギルス・オリゼーのα−グル
コシダーゼを多量に分泌生産するアスペルギルス・オリ
ゼー形質転換体の作製
【0039】実施例4で述べたベクターpRTG-F7に挿入
されている7.0Kbpのアスペルギルス・オリゼー由来のD
NA断片には、α−グルコシダーゼを発現分泌生産する
のに必要な情報が含まれていると予想される。そこで次
のようにpRTG-F7のアスペルギルス・オリゼーへの移入
を行った。
【0040】アスペルギルス・オリゼーのアルギニン要
求性株(argB)、例えば、M-2-3株(Agric. Biol. Che
m., Vol.53, 2549)をデキストリン・ペプトン培地(2
%デキストリン、1%ポリペプトン、0.5%KH2PO4、0.0
5%MgSO4・7H2O)で30℃、3日間振とう培養した後、得ら
れた菌糸を無菌水で洗浄した。
【0041】この菌糸を細胞壁溶解液A(10mMリン酸緩
衝液pH6.0、0.8M NaCl、5mg/mlノボザイム234(ノボノル
ディスク社製)、5mg/mlセルラーゼR-10(ヤクルト本社
製))あるいは細胞壁溶解液B(10mMリン酸緩衝液pH6.
0、0.8M NaCl、20mg/mlヤタラーゼ(宝酒造(株)社
製))に懸濁し、30℃、3時間振とうすることによりプ
ロトプラスト化を図った。得られたプロトプラストをガ
ラスフィルターでろ過することにより残存する菌糸を除
去した。
【0042】次に、このプロトプラストを0.8M NaClで
2回洗浄した後、形質転換溶液1(50mM Tris-HCl(pH 7.
5)、0.8M NaCl、10mM CaCl2)に2.5×106個/mlになる
ような懸濁液を調製した。この懸濁液に1/4容の形質
転換溶液2(40%(W/V)ポリエチレングリコール4000、
50mM CaCl2、50mM Tris-HCl(pH 7.5)) 1/100容のジメチ
ルスルホキシドを添加してコンピテントセルを調製し
た。
【0043】このコンピテントセル0.2ml(4.0×107個)
にpRTG-F7 10μgを加え氷中で30分間放置した後、1ml
の形質転換溶液2を加えよく混合した後、室温で20分間
放置した。得られたコンピテントセルを10mlの形質転換
溶液1で洗浄後、0.8M NaClを含むツァペック・ドック
ス培地(0.2%NaNO3、0.1%K2HPO4、0.05%MgSO4・7H
2O、0.05%KCl、0.001%FeSO4、2%グルコース、pH 5.
5)の平板上に塗布し、その上に 0.8M NaClを含む0.5%
寒天を重層して30℃で培養した。pRTG-F7は、アルギニ
ン要求性を相補する遺伝子(argB)を含んでおり、最小
培地(ツァペック・ドックス培地)で生育可能な形質転
換体を取得した。これをアスペルギルス・オリゼー A
GT2(Aspergillus oryzae AG
T2)と命名し、微生物工業技術研究所に微工研菌寄第
13077号(FERM P−13077)として寄託
した。
【0044】
【実施例6】
【0045】アスペルギルス・オリゼーの形質転換によ
るα−グルコシダーゼの生産
【0046】実施例5で得た形質転換体(アスペルギル
ス・オリゼー AGT2,FERMP−13077)の
分生胞子を15mlの培地(3%マルトース、1%ポリペプ
トン、0.1%KH2PO4、0.05%MgSO4・7H2O、0.05%KCl、0.
001%FeSO4、pH 5.5)に2×105個接種し、30℃で3日
間振とう培養後得られた培養物を3Glガラスフィルタ
ーでろ過することにより培養上清を得た。この培養上清
をセントリカットU-20(倉敷紡績(株)製)を用いて濃
縮した後、20mM酢酸緩衝液(pH5.0)中で5℃、一夜透
析して得た粗酵素液を用いてSDS-PAGE及び酵素活性の測
定を以下のように行った。
【0047】まず、SDS−ポリアクリルアミドゲル電
気泳動は、ラエムリ(Laemmli)の方法(Nature, Vol.22
7,680(1970))で行い、泳動後のゲルはクマシーブリア
ントブルーR250を用いて染色した。以上の操作により、
形質転換体はα−グルコシダーゼに相当する分子量のタ
ンパク質が多量に分泌していることを確認し、また、α
−アミラーゼ、グルコアミラーゼに相当する分子量のタ
ンパク質の分泌量が減少していることも合わせて確認し
た。以上の結果より、培養液中に含まれる主な夾雑酵素
(α−アミラーゼ、グルコアミラーゼ)は、形質転換体
においては、非常に減少していることが判明し、より高
純度な、α−グルコシダーゼの分泌生産が可能となっ
た。
【0048】次に、α−グルコシダーゼ活性は、基質と
して0.2%4−ニトロフェニル−α−D−グルコシドを
含む10mM酢酸緩衝液(pH 5.0)に粗酵素液を添加して37
℃で反応させた後、0.5MNa2CO3を加えることにより反応
を停止させ、反応中に遊離してくる4−ニトロフェノー
ルを405 nmの吸光度の上昇で測定した。また、α−アミ
ラーゼ活性は、ジニトロサリチル酸(DNS)法(生物
化学実験法1、18頁−19頁)を用いて生成してくる還元
糖によりDNSから還元的に生成される3−アミノ−5
−ニトロサリチル酸を500 nmの吸光度で直接比色定量し
て測定した。グルコアミラーゼ活性は、可溶性澱粉を基
質として反応させ生成してくるグルコースをムロターゼ
・GOD法(Clin. Chim. Acta, Vol.37. 538-540(197
2))に基づくグルコース測定用キット(グルコースC−
テストワコー(和光純薬(株)製)を用いて測定した。
以上の酵素活性の測定結果を下記の表1に示した。
【0049】
【表1】
【0050】上記結果から明らかなように、形質転換体
のα−グルコシダーゼ活性は、ベクター(pRBG1)のみ
の形質転換体と比べて活性、比活性ともに約13倍増加
した。また、形質転換体のα−アミラーゼ活性は約1/
50、グルコアミラーゼ活性は約1/10に減少した。
【0051】以上により明らかな如く、本発明により得
られる培養液は、対照に比べてα−グルコシダーゼ活性
が著しく増加するのみならず、α−アミラーゼ、グルコ
アミラーゼ等の他の酵素分泌量が減少するため、本発明
に従い上記したアスペルギルス・オリゼーの形質転換体
を培養することにより、培地中にα−グルコシダーゼが
大量分泌生産され、なおかつ、夾雑酵素も少なく高純度
であることが判明した。
【0052】
【発明の効果】上述したことから明らかな如く、本発明
によれば、α−グルコシダーゼ遺伝子の組み込まれた組
換え体DNAを含むアスペルギルス・オリゼーを培地に
培養することにより、極めて効率よくα−グルコシダー
ゼを分泌生産させることができ、発酵工業のみならず、
食品工業、医薬品工業において様々な用途に利用するこ
とができ産業上極めて有用である。
【0053】したがって、このようにして効率的に生産
されたα−グルコシダーゼを用いて、例えばイソマルト
オリゴ糖を効率的に生産し、清酒、味噌、醤油等のうま
味成分として利用できるほか、ビフィズス菌増殖、抗う
蝕等の用途にも利用できる。
【0054】更にまた、α−グルコシダーゼ遺伝子の組
み込まれた組換え体DNAを含むアスペルギルス・オリ
ゼーを用いて製麹した麹を利用して清酒を醸造すれば、
イソマルトース、イソマルトトリオース、コウジビオー
スその他のオリゴ糖が生成し、清酒にうま味やこくを付
与することができ、従来にない新しいタイプの清酒も醸
造することが可能となる。したがって本発明は、清酒の
新しい需要を開拓する点でも大いに期待されるものであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】アスペルギルス・オリゼーのα−グルコシダー
ゼ遺伝子の制限酵素切断地図を示す。
【図2】実施例4で得たベクターpRTG-F7の制限酵素切
断地図を示す。
【符号の説明】
P: PstI Sc: ScaI H: HindIII E: EcoRI EV: EcoRV Sa: SacI B: BamHI
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 (C12N 9/26 (C12N 9/26 C12R 1:69) C12R 1:69) (C12N 15/09 ) C12R 1:69) ) (72)発明者 五 味 勝 也 東京都北区滝野川2丁目6番30号 国税 庁醸造試験所内 (72)発明者 北 本 勝 ひ こ 東京都北区滝野川2丁目6番30号 国税 庁醸造試験所内 (72)発明者 熊 谷 知 栄 子 東京都北区滝野川2丁目6番30号 国税 庁醸造試験所内 (56)参考文献 日本農芸化学会1990年度大会講演要旨 集P.510 BIOSCI.BIOTECHNO L.BIOCHEM.56(8)(1992) P.1368−1370

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記図1に示す制限酵素切断地図で規定
    されるアスペルギルス・オリゼーから単離したα−グル
    コシダーゼ遺伝子を含有するDNA断片
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のα−グルコシダーゼ遺
    伝子を含有するDNA断片を含んだアスペルギルス・オ
    リゼーのベクター。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載のベクターをアスペルギ
    ルス・オリゼーに移入することにより得られたα−グル
    コシダーゼ生産能の上昇した形質転換体。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の形質転換体を培養し、
    培養物からα−グルコシダーゼを採取することを特徴と
    するα−グルコシダーゼの製造法。
JP4240114A 1992-08-18 1992-08-18 α−グルコシダ−ゼ遺伝子、ベクタ−、形質転換体及びそれを用いたα−グルコシダ−ゼの製造法 Expired - Lifetime JP2530275B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4240114A JP2530275B2 (ja) 1992-08-18 1992-08-18 α−グルコシダ−ゼ遺伝子、ベクタ−、形質転換体及びそれを用いたα−グルコシダ−ゼの製造法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4240114A JP2530275B2 (ja) 1992-08-18 1992-08-18 α−グルコシダ−ゼ遺伝子、ベクタ−、形質転換体及びそれを用いたα−グルコシダ−ゼの製造法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0662868A JPH0662868A (ja) 1994-03-08
JP2530275B2 true JP2530275B2 (ja) 1996-09-04

Family

ID=17054701

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP4240114A Expired - Lifetime JP2530275B2 (ja) 1992-08-18 1992-08-18 α−グルコシダ−ゼ遺伝子、ベクタ−、形質転換体及びそれを用いたα−グルコシダ−ゼの製造法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2530275B2 (ja)

Non-Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
BIOSCI.BIOTECHNOL.BIOCHEM.56(8)(1992)P.1368−1370
日本農芸化学会1990年度大会講演要旨集P.510

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0662868A (ja) 1994-03-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5731174A (en) Process for the saccharification of starch
Cornet et al. Characterization of two cel (cellulose degradation) genes of Clostridium thermocellum coding for endoglucanases
JPS62228284A (ja) 酵母分泌ベクタ−
HU195533B (en) Process for producing microorganisms modificated with genetical engineering for producing amilase
JPH0829091B2 (ja) ハイブリッドpma配列の製造方法及び該方法に使用するベクター
JP2799380B2 (ja) 新規酵素
DE69329164T2 (de) Protein mit Alpha-Glukosidase-Aktivität, DNS mit dessen genetischer Information und Herstellung von Alpha-Glukosidase
US5278059A (en) Polypeptide possessing cyclomaltodextrin glucanotransferase activity
JP2530275B2 (ja) α−グルコシダ−ゼ遺伝子、ベクタ−、形質転換体及びそれを用いたα−グルコシダ−ゼの製造法
US4783415A (en) Gene coding for signal peptides and utilization thereof
WO1986003774A1 (en) A method of transforming fungi with a vector
US4710461A (en) Promoter derived from chloroplast DNA
JPH0671428B2 (ja) ウリカーゼのdna配列および製法
EP0124076A2 (en) Method for preparation of recombinant plasmids, microorganisms transformed by said plasmids and thermo-stable alpha-amylase
CA1335183C (en) Polypeptide possessing cyclomaltodextrin glucanotransferase activity
FI91885C (fi) -amylaasia koodaava yhdistelmä-DNA ja menetelmiä sitä sisältävien mikro-organismien valmistamiseksi
US6509183B1 (en) DNA fragment containing gene for alkaline pullulanase
US4929559A (en) DNA containing the prolipoprotein signal peptidase gene
WO1991002803A1 (en) A method of suppressing chromosomal gene expression
Bahri et al. Regulation of a thermostable α-amylase of Streptomyces thermoviolaceus CUB74: maltotriose is the smallest inducer
JP2748347B2 (ja) アスペルギルス・ソーヤ形質転換体
JP2685125B2 (ja) 新規遺伝子、それを用いた形質転換体及びその利用
US5202427A (en) DNA segment containing streptomycin resistance gene and being capable of controlling expression of said gene
JPH09173074A (ja) 新規遺伝子、および該遺伝子を保有する形質転換体細胞
JPS59154991A (ja) リボスタマイシン耐性遺伝子およびプラスミド

Legal Events

Date Code Title Description
EXPY Cancellation because of completion of term