JP2529443B2 - 磁気記録再生装置のトラッキング制御装置 - Google Patents

磁気記録再生装置のトラッキング制御装置

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JP2529443B2
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  • Adjustment Of The Magnetic Head Position Track Following On Tapes (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は磁気記録再生装置のトラッキング制御装置に
関するものである。
従来の技術 磁気記録再生装置においては、記録トラック上に記録
されている情報信号を再生するときには、記録トラック
上を再生ヘッドがオントラックして再生走査するための
トラッキング制御が必要である。
トラッキング制御の方法として実用化されているもの
には、テープの長手方向に専用のコントロールトラック
を設け、フレーム周期もしくはその整数倍の周期でコン
トロール信号を記録し、再生時にはこのコントロール信
号を利用してトラッキング制御を行う方法がある。しか
しこの方法では、専用のコントロールトラックを必要と
すること、また記録トラックの全域にわたってトラッキ
ングエラー信号を得ることができないことなどの欠点が
ある。
実用化されている他の方法としては、異なるアジマス
角を有する磁気ヘッドで磁気記録媒体上に記録された少
なくとも2つの平行した記録トラックを同時に再生走査
するアジマス角の異なる少なくとも2個の再生ヘッド
(以下、再生ペアヘッドと呼ぶ。)を用い、再生ペアヘ
ッドの各ヘッドから再生される水平同期信号の時間差を
もとに再生ペアヘッドのトラックずれを検出する方法が
ある。この方法は映像信号にトラッキング制御用の信号
(パイロット信号)を重畳する必要がなく、再生される
水平同期信号の時間差から再生ペアヘッドのトラックず
れを示す時間差データを得ることができるため、再生ペ
アヘッドを圧電素子などで構成した電気−機械変換素子
上に搭載し、前記時間差データを用いてヘッドの機械位
置を変化させれば、トラック曲がりに追従可能な制御系
を構成することができる。
以下、上記アジマス時間差検出方式を用いたトラッキ
ング制御装置について説明する。
第6図は、磁気テープ上に記録されている記録トラッ
クと再生ペアヘッドの位置による水平同期信号の再生時
間差の変化を示す。
第6図において、(a)は異なるアジマス角を有する
再生ペアヘッド602と記録トラック601の位置関係を示す
平面図、(b)は再生ペアヘッド602がオントラック位
置を走査したときに再生ペアヘッド602から再生される
水平同期信号を示す。(c)は再生ペアヘッド602の走
査位置がオントラック位置より右にずれたときに再生さ
れる水平同期信号を示す。(d)は再生ペアヘッド602
の走査位置がオントラック位置よりも左にずれたときに
再生される水平同期信号を示す。(b),(c),
(d)においてH−sync(A)は再生ペアヘッド602の
うちの磁気ヘッドAで再生する水平同期信号、H−sync
(B)は再生ペアヘッド602のうちの磁気ヘッドBで再
生する水平同期信号を示す。
同図において、603は記録トラックに記録されている
水平同期信号であり、矢印604は再生ペアヘッド602が記
録トラックを走査する方向を示す。再生ペアヘッド602
がオントラック位置を走査したときに再生される水平同
期信号は(b)に示すように時間差T(=0)をもって
それぞれのヘッドから再生される。再生ペアヘッド602
の走査位置がオントラック位置より紙面上で右にずれた
ときには磁気ヘッドAで再生される水平同期信号の再生
タイミングが速くなり、再生される水平同期信号は
(c)のように時間差T1をもって再生され、再生ペアヘ
ッド602の走査位置がオントラック位置より紙面上で左
にずれたときは磁気ヘッドBで再生される水平同期信号
の再生タイミングが速くなり、(d)に示すように時間
差T2で水平同期信号が再生される。この再生される水平
同期信号の時間差を求めることにより、再生ペアヘッド
602のトラックずれを検出することができる。
再生ペアヘッドを電気−機械変換素子に搭載し、再生
ペアヘッドから出力される水平同期信号の再生時間差を
再生ペアヘッドがオントラック位置を再生走査するとき
に得られる時間差データTに近づけるように電気−機械
変換素子を変化させることにより、再生ヘッドはトラッ
ク曲がりがあってもオントラック位置を走査できる。
しかし、ペアヘッドにおいては、それぞれのVTRによ
って記録ヘッドのヘッド走査方向の機械的な取り付け段
差が異なるため、異なるVTRで記録されたテープを再生
する場合には、この取り付け段差を考慮して再生ヘッド
のトラックずれを検出する必要があり、異なる磁気ヘッ
ドで記録された記録トラック上の水平同期信号の記録位
置と再生ペアヘッドのヘッド取り付け位置の相対的な位
置関係を求めた上でトラック曲がり追従を行う必要があ
る。第7図に取り付け段差の異なる記録ヘッド記録した
記録トラックと再生される水平同期信号の時間差の関係
を示す。同図(a),(b)はそれぞれ異なる記録ヘッ
ドによって記録トラック上に記録された水平同期信号70
3を示す。同図(c),(d)は(a),(b)に示す
記録トラックを同一の再生ペアヘッド702で再生走査し
たときに各ヘッドから再生される水平同期信号の出力タ
イミングを示す。
第7図(a),(b)に示す記録トラックはそれぞれ
ヘッド段差がH1,H2である記録ペアヘッドで記録されて
おり、記録トラックA1,B1およびA2,B2に記録されている
水平同期信号703の記録位置がH1,H2の段差をもってい
る。このような記録トラックを再生ペアヘッド702がオ
ントラックして再生走査したときに再生ペアヘッド702
の各ヘッドA,Bから出力される水平同期信号の出力タイ
ミングは、それぞれ第7図(c),(d)に示すように
なり、記録トラックA1,B1をオントラック走査するとき
の再生時間差はT1であり、一方、記録トラックA2,B2を
オントラック走査するときの再生時間差はT2となる。す
なわち、同じオントラック位置を再生ペアヘッドが走査
しても、記録されている水平同期信号と再生ペアヘッド
の取り付け段差の関係によって再生される水平同期信号
の時間差は異なるため、再生ペアヘッドが常にオントラ
ック位置を走査するためには、記録ヘッドが異なり、記
録トラックに記録されている水平同期信号の違いに対応
してトラッキング基準値をそれぞれ設定する必要があ
る。
トラック曲がり追従動作を行うために、各再生ヘッド
から再生される水平同期信号の時間差を上記したトラッ
キング基準値に近づけるように電気−機械変換素子を駆
動するピエゾ駆動データを演算作成する。同じテープ上
に異なるVTRで記録したトラックがある場合、その編集
点前後では上記で説明したようにオントラック位置の水
平同期信号の再生時間差が変化するため、トラッキング
基準値を再設定せずに追従動作を行った場合には水平同
期信号の記録位置の異なるトラックを最初に走査したと
きに再生される水平同期信号の時間差はトラッキング基
準値に対して一方向にずれた状態になる。そのために電
気−機械変換素子を駆動するためのピエゾ駆動データは
全体に同方向に演算処理が行われる。これは電気−機械
変換素子に直流電圧成分が印加された状態に等しくな
り、同じテープ上に異なるVTRで記録したトラックを走
査した場合、電気−機械変換素子に印加された直流電圧
成分を監視すれば検出できる。
第5図にアジマス時間差検出方式を用いたトラッキン
グ制御装置の概略の構成を表すブロック図を示す。
第5図において、501,502は異なるアジマス角を有す
る再生ペアヘッド、503は再生ペアヘッド501,502を搭載
する電気−機械変換素子、504,505は再生ペアヘッド50
1,502から再生される再生信号を増幅する再生増幅器、5
06は再生信号処理回路で、再生増幅器504,505から出力
される再生信号を処理して端子507から再生映像信号を
出力するとともに、ペアヘッドの各ヘッド501,502で再
生される水平同期信号H−sync(A),H−sync(B)を
出力する。508はペアヘッドの各ヘッド501,502から再生
される水平同期信号H−sync(A),H−Sync(B)の時
間差を検出する時間差検出回路、509は磁気ヘッド502の
再生出力最大時の時間差データをトラッキングの基準値
とするトラッキング基準値作成回路、510はトラッキン
グ基準値作成回路509から出力されるトラッキング基準
値と時間差検出回路508から出力される時間差データを
もとに電気−機械変換素子を駆動するためのピエゾ駆動
データを演算作成する駆動データ演算回路、511は駆動
データ演算回路510の出力に対応した電圧で電気−機械
変換素子503を駆動する電気−機械変換素子駆動回路、5
12は駆動データ演算回路510から出力されるピエゾ駆動
データに含まれる直流電圧成分の積分値を求める直流成
分積分回路、513は直流成分積分回路の出力値を0に近
づけるようにキャプスタン位相制御基準信号を遅延する
遅延量を設定し、その遅延量に応じてキャプスタン位相
制御基準信号を遅延する位相基準制御回路、514は位相
基準制御回路513で遅延されたキャプスタン位相制御基
準信号と再生コントロール信号との位相関係が所定の値
となるように位相制御を行い、位相制御エラー信号を出
力する位相制御回路、515はキャプスタンモータ517の回
転速度を所定の値に制御する速度制御回路、516は位相
制御回路514から出力される位相制御エラー信号と速度
制御回路515から出力される速度制御エラー信号とをミ
ックスし、キャプスタンモータ517を駆動するキャプス
タンモータ駆動回路である。
以上のように構成された従来のアジマス時間差検出方
式を用いたトラッキング制御装置について、以下その動
作説明をする。
再生ペアヘッド501,502より再生される再生信号は再
生増幅器504,505に入力され増幅されて再生信号処理回
路506に入力される。再生信号処理回路506では再生ペア
ヘッド501,502の各ヘッドから再生された再生信号から
水平同期信号を取り出す処理を行い、水平同期信号H−
sync(A),H−sync(B)は時間差検出回路508に入力
される。時間差検出回路508では入力された水平同期信
号H−sync(A),H−sync(B)の再生時間差を検出
し、再生時間差データを出力する。トラッキング基準値
作成回路509では再生ヘッド502の再生出力が最大になる
ときの再生時間差データをトラック曲がり追従制御の基
準値とする。駆動データ演算回路510にはトラッキング
基準値作成回路509の出力であるトラッキング基準値と
時間差検出回路508の出力である時間差データが入力さ
れ、これらのデータをもとに電気−機械変換素子503を
駆動するピエゾ駆動データを演算作成する。電気−機械
変換素子駆動回路511ではそのピエゾ駆動データに対応
した電圧で電気−機械変換素子503を駆動する。駆動デ
ータ演算回路510で作成されたピエゾ駆動データは、直
流成分積分回路512に入力される。直流成分積分回路512
では入力されるピエゾ駆動データと電気−機械変換素子
に印加される直流電圧成分が0[v]に相当するときの
ピエゾ駆動データとの差を求め、その差の値を所定期間
積分演算する。位相基準制御回路513では直流成分積分
回路512の出力である積分値を0に近づけるようにキャ
プスタン位相制御の基準信号を遅延する遅延量を設定
し、その遅延量に応じて端子518から入力されるキャプ
スタン位相制御の基準信号を遅延する。位相制御回路51
4では位相基準制御回路513の出力である遅延されたキャ
プスタン位相制御の基準信号と端子519から入力される
再生コントロール信号との位相差が所定の値になるよう
に位相制御を行い、位相制御エラー信号を出力する。速
度制御回路515ではキャプスタンモータ517の回転速度を
所定の値になるように速度制御を行い、速度制御エラー
信号を出力する。キャプスタンモータ駆動回路516では
位相制御回路514の出力である位相制御エラー信号と速
度制御回路515の出力である速度制御エラー信号をミッ
クスし、キャプスタンモータ517を駆動する。
発明が解決しようとする課題 しかしながら上記従来の構成では、ペアヘッドの各再
生ヘッドから再生される水平同期信号H−sync(A),H
−sync(B)の再生時間差データをもとにピエゾ駆動デ
ータを作成し、そのピエゾ駆動データに対応する電圧を
電気−機械変換素子に印加して再生ヘッドをオントラッ
ク走査位置に変異させるとともに、同時にピエゾ駆動デ
ータをもとに電気−機械変換素子に印加される直流電圧
成分を求め、その平均印加電圧を0[v]に近づけるた
めにキャプスタンモータの位相制御基準信号と再生コン
トロール信号の位相差を変化させることにより、再生ヘ
ッドの走査位置を制御する2つのループの干渉が起こ
り、再生ヘッドの走査位置が絶えず微妙にオントラック
位置からずれるということが起こり、狭トラック記録時
にはこのずれが無視できなくなる。
さらに、一本のテープを連続して再生する際にテープ
の途中から記録したVTRが変わり、記録トラックに記録
されている水平同期信号の位置関係が変化した際に、ト
ラッキング基準値を変化させない状態でトラッキング制
御を引続き行ってしまうと、オントラック位置からずれ
た走査位置を基準の走査位置として電気−機械変換素子
を制御してしまうという問題点があり、記録ヘッドの変
化を自動的に検出してトラッキング基準値を再度求め直
す処理が必要である。
本発明は上記の問題点を解決するもので、電気−機械
変換素子に印加される駆動電圧に含まれる直流電圧成分
の積分値を求め、その積分値が所定の範囲に入ったとき
はキャプスタンの位相基準信号と再生コントロール信号
の位相関係を固定にし、その後再びその積分値が所定の
範囲から外れたときは、トラッキング基準値を再設定す
ることにより、再生ヘッドが安定してオントラック位置
を走査することができる磁気記録再生装置のトラッキン
グ制御装置を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段 この目的を達成するために本発明の磁気記録再生装置
のトラッキング制御装置は、トラッキングエラー信号を
出力するトラッキングエラー信号出力手段と、前記トラ
ッキングエラー信号を基に再生ヘッドが搭載された電気
−機械変換素子を駆動させるための駆動データを出力す
る駆動データ演算手段と、前記駆動データに応じて前記
電気−機械変換素子を駆動する電気−機械変換素子駆動
手段と、前記駆動データの所定直流電圧成分からの差の
値を積分する直流成分積分手段と、前記直流成分積分手
段の出力値が所定の範囲にあることを判別し、これに応
じた値を出力する判別手段と、前記判別手段の出力値に
応じてキャプスタンモータの位相基準信号と再生コント
ロール信号との位相差を変化させる位相基準制御手段と
を有し、前記判別手段で前記直流成分積分手段の出力値
Aが所定の範囲外であると判別した時は、前記位相基準
制御手段は前記判別手段の出力値に応じて基準信号の遅
延時間を変化させて前記位相差を前記直流成分積分手段
の出力値が0に近づくようにし、かつ、前記判別手段で
前記直流成分積分手段の出力値Aが所定の範囲内である
ことを判別したときは、前記位相基準制御手段は前記位
相差を検出直前の位相差に保持する磁気記録再生装置の
トラッキング制御装置である。
作用 本発明は上記した構成により、前記判別手段で直流成
分積分回路の出力値AがA<B2またはB1<A(B2<B1)
であると判別したときは、前記位相基準制御手段では判
別回路の出力に応じて基準信号の遅延時間を変化させて
キャプスタンモータの位相制御の基準信号と再生コント
ロール信号との位相差を直流成分積分回路の出力値が0
に近づくようにし、かつ、直流成分積分回路の出力値A
がB2≦A≦B1であることを判別したときは前記位相基準
制御手段はキャプスタンモータの位相制御の基準信号と
再生コントロール信号との位相差を検出直前の位相差に
保持し、検知回路で直流成分積分回路の出力値が所定範
囲内に入った後再び所定範囲外になったことを検知した
ときは、トラッキング基準値作成手段でトラッキング基
準値を再設定することにより、電気−機械変換素子に印
加される直流電圧成分が0[v]近傍で再生ヘッドの走
査位置がオントラック位置からずらすことなく、安定な
トラッキング制御が行え、かつ、編集処理等を行い同じ
テープにおいて異なる記録ヘッドで記録された記録トラ
ックを再生する再に、記録ヘッドが異なり記録されてい
る特定信号の相対的な記録位置の変化を自動的に検出し
て、トラッキング制御の基準値を再度設定しなおすこと
により、同じテープにおいて異なる記録ヘッドで記録さ
れた記録トラックを再生しても安定してオントラック位
置を再生走査するトラッキング制御を行うことができ
る。
実施例 第1図において、磁気ヘッド101,102は異なるアジマ
ス角を有しておりペアヘッド131を構成し、電気−機械
変換素子103上に搭載される。また、磁気ヘッド122,123
は異なるアジマス角を有しておりペアヘッド132を構成
し、電気−機械変換素子124上に搭載される。ペアヘッ
ド131,132はそれぞれ回転ドラム(図示せず)の180゜対
抗する位置に取り付けられている。104,105は磁気ヘッ
ド101,102より出力される再生信号を増幅する再生増幅
器、125,126は磁気ヘッド122,123より出力される再生信
号を増幅する再生増幅器、スイッチ回路131,132はヘッ
ドの回転位置を表すH−SW信号により、再生信号の切り
換えを行うスイッチである。106は再生信号を処理する
再生信号処理回路であり、端子107から再生映像信号を
出力するとともに再生ヘッド101,102の各ヘッドで再生
した水平同期信号H−sync(A),H−sync(B)を出力
する。出力された水平同期信号H−sync(A),H−sync
(B)は時間差検出回路108に入力され、時間差検出回
路108において水平同期信号H−sync(A),H−sync
(B)の時間差を検出する。時間差検出回路108から出
力される時間差データは駆動データ演算回路110および
トラッキング基準値作成回路109に入力される。トラッ
キング基準値作成回路109では再生ヘッド102の再生出力
が最大になるときの時間差検出回路108の時間差データ
をトラッキング制御の基準値とし、駆動データ演算回路
110に入力する。駆動データ演算回路110では再生ペアヘ
ッド101,102がオントラック位置を走査するように時間
差データ及びトラッキング基準値をもとにして電気−機
械変換素子103,124を駆動するためのピエゾ駆動データ
を演算作成する。駆動データ演算回路110で演算作成さ
れたピエゾ駆動データは、電気−機械変換素子駆動回路
111,127に入力される。電気−機械変換素子駆動回路11
1,127ではそれぞれピエゾ駆動データに対応した電圧を
電気−機械変換素子103,124に印加し、駆動する。ま
た、駆動データ演算回路110で演算作成されたピエゾ駆
動データは直流成分積分回路112に入力され、ピエゾ駆
動データと所定の直流電圧成分の差を所定期間積分し、
その積分結果を判別回路113に入力する。判別回路113で
は、比較基準値設定回路114の出力である比較基準値B1,
B2(B2<B1)と直流成分積分回路112の出力である積分
結果Aの大小比較を行い、A<B2のとき+1、B2≦A>
B1のときは0、B1<Aにときは−1のデータを出力し、
検知回路115及びスイッチ回路130に入力する。検知回路
115では判別回路113の出力データが0から±1に変化し
たとき、即ち、直流成分積分回路112の出力である積分
結果Aが一旦所定の範囲内に入った後再び所定の範囲外
になったとき検知信号116をトラッキング基準値作成回
路109及びスイッチ回路130に出力する。トラッキング基
準値作成回路109では検知信号116が入力されるとトラッ
キング基準値を再設定する処理を行い、トラッキング基
準値を作成する処理が終了すればスイッチ回路130に作
成信号133を出力する。スイッチ回路130では検知信号11
6が入力されたときはデータ“0"を位相基準制御回路117
に出力し、作成信号133が入力されたときは判別回路113
の出力データを位相基準制御回路117に出力するように
切り換えを行う。位相基準制御回路117では、入力され
るデータに応じてキャプスタン位相制御の基準信号を所
定の遅延時間分遅延し、遅延された基準信号は位相制御
回路118に入力される。位相制御回路118では位相基準制
御回路117において所定の遅延時間遅延された基準信号
と再生コントロール信号との位相比較を行い、位相制御
エラー信号を出力する。位相制御エラー信号は速度制御
回路119から出力される速度制御エラー信号とミックス
されキャプスタンモータ駆動回路120に入力され、キャ
プスタンモータ121を駆動する。
トラッキング追従動作を行っているときは電気−機械
変換素子を駆動するピエゾ駆動データの直流電圧成分の
平均値は0[v]であり、再生される水平同期信号の時
間差データはトラッキング基準値にほぼ等しくなってい
る。記録VTRが変わったときには、一般にトラック曲が
りパターンが変化すると共に記録トラックに記録されて
いる水平同期信号の記録位置が変化する。トラック曲が
りパターンが変化することにより再生される水平同期信
号の時間差データは変化し、電気−機械変換素子に印加
される直流電圧成分の積分値は変化する。また、記録ト
ラック上で水平同期信号の記録位置が変化した場合にも
同様に積分値が変化するため、その変化を検知回路115
で検知することができる。
第2図に直流成分積分回路112と判別回路113と比較基
準値設定回路114と検知回路115と位相基準制御回路117
のブロック図を示す。
直流成分積分回路112は、差分演算回路203及び差分演
算回路203の出力データを所定期間積分する積分回路204
で構成される。端子201には駆動データ演算回路110の出
力であるピエゾ駆動データが入力され、端子202には電
気−機械変換素子に印加される電圧が0[v]となるピ
エゾ駆動データの値が入力される。差分演算回路203
は、端子201から入力されるピエゾ駆動データと電気−
機械変換素子に印加される駆動電圧が0[v]になると
きの所定値との差を演算する。積分回路204では、差分
演算回路203の出力データを所定期間積分し、その結果
を判別回路113に出力する。判別回路113では比較基準値
設定回路114の出力である比較基準値B1,B2(B2<B1)と
直流成分積分回路112の出力である積分結果Aの大小比
較を行い、A<B2のときは+1、B2≦A≦B1のときは
0、B1<Aのときは−1のデータを位相基準制御回路11
7及び検知回路115に入力する。検知回路115では、判別
回路113の出力データが0から±1に変化したとき、即
ち、直流成分積分手段112の出力値が所定の範囲内に入
った後再び所定の範囲外になったことを検知したとき検
知信号116をトラッキング基準値作成回路109に出力し、
トラッキング基準値作成回路109では検知信号116が入力
されるとトラッキング基準値を再設定する処理を行う。
位相基準制御回路117は判別回路113の出力データに応じ
てキャプスタンモータ位相制御における基準信号の遅延
量を設定する遅延量設定回路205と、遅延量設定回路205
の出力に応じて端子128から入力されるキャプスタン位
相制御の基準信号を遅延させる遅延回路206で構成され
る。遅延量設定回路205で判別回路113の出力信号レベル
をもとに基準信号の遅延量を設定する。判別回路113の
出力データが+1または−1のときは、遅延量設定回路
205では遅延量データ(初期値(x‘80'))と判別回路
113の出力データとの加算演算処理を行い、遅延量デー
タを出力する。判別回路113の出力データが0のときは
演算処理を行わずにそれまでに設定された遅延量データ
をそのまま出力する。遅延回路206では遅延量設定回路2
05の出力データに対応した遅延時間だけキャプスタン位
相制御の基準信号を遅延し、遅延された基準信号は位相
制御回路118に入力される。積分結果Aを一旦所定範囲
内に引き込んだ後再び所定範囲外になったことを検知回
路115で検知したときは、検知信号116がスイッチ回路13
0に入力され端子2の方に接続され、位相基準制御手段1
17には0のデータが入力され、遅延量を検知する前の遅
延量データを保持する。トラッキング基準値作成回路10
9においてトラッキング制御の基準値が新たに設定され
た後トラッキング追従動作を再開始したときスイッチ回
路130にトラッキング基準値作成回路109から信号が入力
され端子1に接続され、電気−機械変換素子に印加され
る直流電圧成分の平均値が0[v]に近づくよう判別回
路113の出力データが位相基準制御回路117に入力され、
再びキャプスタンモータの位相制御を開始する。
第4図は電気−機械変換素子を駆動して得られる再生
ペアヘッドの走査位置と電気−機械変換素子に印加され
る直流電圧成分が0[v]のときの走査位置の関係を示
す。第4図において、401は磁気テープ、402は記録トラ
ック、403はコントロールトラック、404はコントロール
トラック403に記録されているコントロール信号、405は
電気−機械変換素子に印加される直流電圧成分の平均値
が0[v]のときの走査軌跡、406は電気−機械変換素
子に直流電圧成分が印加されオントラック位置を再生ヘ
ッドが走査する走査軌跡である。
第4図を用いて電気−機械変換素子に印加される直流
電圧成分を0[v]に近づける動作を説明する。
本実施例のトラッキング制御装置において、ピエゾ駆
動データを+(プラス)方向に増加させると電気−機械
変換素子駆動電圧が高くなり、再生ペアヘッドが紙面上
で右に変位する。逆にピエゾ駆動データを−(マイナ
ス)方向に減少させると電気−機械変換素子駆動電圧は
低くなり、再生ペアヘッドは紙面上で左にずれる。ま
た、キャプスタンモータの位相制御の基準信号の遅延量
を+(プラス)方向に増加させると遅延時間は増加し、
再生ヘッドの走査位置は記録トラックに対して紙面上で
右方向に遅延時間だけ移動し、逆にキャプスタンモータ
の位相制御の基準信号の遅延量を−(マイナス)方向に
減少させると遅延時間は減少し、再生ヘッドの走査位置
は記録トラックに対して紙面上で左方向に遅延時間だけ
移動する。区間Cにおいて、電気−機械変換素子駆動電
圧の直流電圧成分が0[v]であるときはヘッドの走査
軌跡は405であり、オントラック走査軌跡406をペアヘッ
ドが走査するようにするためには+(プラス)方向の電
圧を電気−機械変換素子に印加しなければならないた
め、ピエゾ駆動データは直流電圧成分が0[v]のとき
のピエゾ駆動データに対して+(プラス)であり、直流
成分積分回路112の出力値AはB1<Aとなる。このとき
判別回路113は−1のデータを出力するため位相基準制
御回路117では、それまでの遅延量データに−1の演算
処理を行い、遅延量データに応じた遅延時間だけ基準信
号を遅延し、再生コントロール信号との位相差を変化さ
せる。遅延時間を減少させることにより、再生ヘッドの
走査位置は記録トラックに対して紙面上で右方向に移動
する。駆動データ演算回路110ではペアヘッドが再度オ
ントラック位置を走査するようにピエゾ駆動データを−
(マイナス)方向に減少させる。その結果、同図区間E
に示すように電気−機械変換素子に印加される直流電圧
成分は減少し、直流電圧成分が0[v]のときのヘッド
の走査軌跡405とオントラック走査軌跡406は近づくこと
になる。この演算処理を繰り返し行い、直流成分積分回
路112の出力値AがB2≦A≦B1の範囲内に入ったとき同
図区間Dに示すように直流電圧成分が0[v]の時のヘ
ッドの走査軌跡405はオントラック走査軌跡406に等しく
なり、電気−機械変換素子に印加される直流電圧成分は
0[v]に近づける動作ができる。
第3図に本発明の第1の実施例における動作図を示
す。
第3図において、(a)はヘッド走査位置を示すH−
SW信号である。(b)は電気−機械変換素子103に印加
される駆動電圧を、(c)は直流成分積分回路112の出
力である積分データを、(d)は判別回路113の出力デ
ータを、(e)は遅延量設定回路205の出力を示す。区
間5はトラック曲がり追従動作を停止しているときの動
作であり、それ以外の区間はトラック曲がり追従動作を
行っているときの動作を示す。
まず、区間1においては、直流成分積分回路112の出
力データAはB1<A(同図(c))となる。このとき判
別回路113は同図(d)に示すように−1のデータを出
力するため、遅延量設定回路205ではその前の区間の出
力値に対して−1の演算処理を行うため、遅延量データ
出力は同図(e)に示すようになる。遅延量データが変
化することにより位相制御の基準信号の遅延時間が変化
し、よって、基準信号と再生コントロール信号との位相
差が変化する。その結果、再生ヘッドの走査位置が変化
し、電気−機械変換素子に印加される駆動電圧は区間2
の同図(b)に示すように直流電圧成分が0[v]に近
づくようになる。区間2において、ピエゾ駆動データを
積分回路204で積分した積分値AはB2≦A≦B1となるた
め区間3の始まりにおいて判別回路113は0を出力し、
遅延量設定回路205の出力である遅延量は前のデータの
遅延量を保持し、基準信号と再生コントロール信号との
位相関係は変化しない。区間4において同図(c)のよ
うに積分値AがB1<Aとなったとき、即ち、異なるデッ
キで記録されたトラックを再生してオントラック位置を
示す基準値が変化したとき、検知回路115はその次の区
間5において同図(f)に示すようにHighレベルとなる
検知信号を出力する。検知信号を検知したときにはクラ
ック曲がり追従動作を停止する。即ち、駆動データ演算
回路110から出力されるピエゾ駆動データを固定値とす
ると共に、検知信号をスイッチ回路130に入力し、スイ
ッチ回路130では“0"のデータを位相基準制御回路117に
入力し、遅延量データを検知直前のデータに保持する。
そうすることにより区間5に示すように電気−機械変換
素子に印加される駆動電圧を各ヘッドごとに一定値に
し、トラッキング基準値を再設定する。このとき遅延量
データは検知信号が出力される前の遅延量データに保持
される。トラッキング基準値が再設定された電気−機械
変換素子がトラック曲がりに対して追従動作を開始した
とき、トラッキング基準値作成回路109から信号がスイ
ッチ回路130に出力され、判別回路113の出力データが位
相基準制御回路117に入力される。区間6で同図(b)
に示す電気−機械変換素子駆動電圧を作成したとき、直
流成分積分回路112で電気−機械変換素子に印加される
直流電圧成分を積分する。区間7で直流成分積分手段11
2の出力である積分値Aを判別回路113で判別し、同図
(d)に示すように−1のデータを出力する。このデー
タをもとに遅延量設定回路205で同図(e)に示すよう
に遅延量を変化させ、電気−機械変換素子に印加される
直流電圧成分を0[v]に近づけるように位相制御動作
を繰り返す。区間7で同図(c)に示すように直流成分
積分回路112の出力である積分値AがB2≦A≦B1になっ
たとき、区間8では同図(d)に示すように判別回路13
0は0を出力し、同図(e)に示すように遅延量データ
を前区間のデータに保持し、キャプスタンモータの位相
を変化させないようにする。ここで、区間1〜3と異な
る記録ヘッドで記録されたトラックに対してオントラッ
クし、トラック曲がり追従動作しつつ電気−機械変換素
子に印加される直流電圧成分の平均電圧は0[v]とな
る。
以上説明したように本実施例によれば、アジマス時間
差を用いたトラッキング制御において、判別回路113に
所定の比較基準値を入力し所定の範囲を設定し、ピエゾ
駆動データの直流電圧成分に相当する積分値が所定範囲
内に入ったときはキャプスタンの位相基準信号と再生コ
ントロール信号との位相差をそれまでの値に保持する範
囲を設け、電気−機械変換素子に印加される直流電圧成
分の平均値が0[v]近傍で安定なトラッキング制御動
作を行うことができる。また、積分値を一旦所定範囲内
に引き込んだ後再び積分値が所定範囲外になったことを
検知したときトラッキング基準値を再設定することによ
り、記録ヘッドが変化し記録されている水平同期信号の
記録位置が変化しても自動的に変化を検出し、再度トラ
ッキング基準値を設定し直して再生ペアヘッドがオント
ラック位置を走査するようにトラッキング制御動作を行
うことができる。特定の信号としてH−syncとしたが、
その他の同期信号(例えば、D−VTRにおけるIDデー
タ、ブロックの切換を検出する信号)を用いても制御動
作が可能である。
発明の効果 以上説明したように本発明によれば、判別回路113に
所定の範囲を設定し、電気−機械変換素子に印加される
直流電圧成分の積分値が所定の範囲内に入ったときはキ
ャプスタンの位相基準信号と再生コントロール信号との
位相差をそれまでの値に保持する範囲を設け、電気−機
械変換素子に印加される駆動電圧が0[v]近傍で再生
ヘッドの走査位置をオントラック位置からずらすことな
く安定なトラッキング制御を行うことができる。さら
に、直流電圧成分の積分値を一旦所定の範囲内に引き込
んだ後再びその積分値が所定範囲外になったことを検知
したときにトラッキング基準値を再設定する検知信号を
出力する検知回路115を設けることにより、編集点など
記録トラックのパターンの変化によるオントラック位置
を示すトラッキング基準値が変化しても再生ペアヘッド
がオントラック位置を走査するようにトラッキング制御
を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の第1の実施例における磁気記録再生装
置のトラッキング制御装置のブロック図、第2図は同実
施例の直流成分積分回路と判別回路と比較基準値設定回
路と検知回路と位相基準制御回路のブロック図、第3図
は同実施例の動作を説明するための波形図、第4図は同
実施例の直流電圧成分を0[v]に近づける動作を説明
するためのパターン図、第5図は従来のアジマス時間差
検出方式を用いたトラッキング制御装置のブロック図、
第6図,第7図は従来のアジマス時間差検出方式を説明
するための模式図とその波形図である。 103,124……電気−機械変換素子、108……時間差検出回
路、109……トラッキング基準値作成回路、110……駆動
データ演算回路、111……電気−機械変換素子駆動回
路、112……直流成分積分回路、113……判別回路、115
……検知回路、117……位相基準制御回路、118……位相
制御回路、205……遅延量設定回路。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】トラッキングエラー信号を出力するトラッ
    キングエラー信号出力手段と、 前記トラッキングエラー信号を基に再生ヘッドが搭載さ
    れた電気−機械変換素子を駆動させるための駆動データ
    を出力する駆動データ演算手段と、 前記駆動データに応じて前記電気−機械変換素子を駆動
    する電気−機械変換素子駆動手段と、 前記駆動データの所定直流電圧成分からの差の値を積分
    する直流成分積分手段と、 前記直流成分積分手段の出力値が所定の範囲にあること
    を判定し、これに応じた値を出力する判別手段と、 前記判別手段の出力値に応じてキャプスタンモータの位
    相基準信号と再生コントロール信号との位相差を変化さ
    せる位相基準制御手段とを有し、 前記判別手段で前記直流成分積分手段の出力値Aが所定
    の範囲外であると判別した時は、前記位相基準制御手段
    は前記判別手段の出力値に応じて基準信号の遅延時間を
    変化させて前記位相差を前記直流成分積分手段の出力値
    が0に近づくようにし、かつ、前記判別手段で前記直流
    成分積分手段の出力値Aが所定の範囲内であることを判
    別したときは、前記位相基準制御手段は前記位相差を検
    出直前の位相差に保持する磁気記録再生装置のトラッキ
    ング制御装置。
  2. 【請求項2】異なるアジマス角を有する磁気ヘッドで磁
    気記録媒体上に同時に記録された少なくとも2つの平行
    した記録トラックを再生する装置において、 電気−機械変換素子に搭載されたアジマス角の異なる少
    なくとも2個の再生ヘッドが同時に磁気テープ上を走査
    して再生した各再生信号に含まれる特定の信号の再生時
    間を得る時間差検出手段と、 トラッキング制御の基準値を作成するトラッキング基準
    値作成手段と、 前記再生時間差と前記基準値との差が最小となるように
    少なくとも前記電気−機械変換素子を駆動させるための
    駆動データを出力する駆動データ演算手段と、 前記駆動データに応じて前記電気−機械変換素子を駆動
    する電気−機械変換素子駆動手段と、 前記駆動データの所定直流電圧成分からの差の値を積分
    する直流成分積分手段と、 前記直流成分積分手段の出力値が所定の範囲にあること
    を判別し、これに応じた値を出力する判別手段と、 前記判別手段の出力値データを基に前記直流成分積分手
    段の出力値が所定の範囲に入った後再度所定の範囲外に
    出たことを検知する検知手段と、 前記判別手段の出力値に応じてキャプスタンモータの位
    相基準信号と再生コントロール信号との位相差を変化さ
    せる位相基準制御手段とを有し、 前記判別手段で前記直流成分積分手段の出力値Aが所定
    の範囲外であると判別した時は、前記位相基準制御手段
    は前記判別手段の出力値に応じて基準信号の遅延時間を
    変化させて前記位相差を前記直流成分積分手段の出力値
    が0に近づくようにし、かつ、前記判別手段で前記直流
    成分積分手段の出力値Aが所定の範囲内であることを判
    別したときは、前記位相基準制御手段は前記位相差を検
    出直前の位相差に保持し、 前記検知手段において前記直流成分積分手段の出力値が
    所定範囲内に入った後再び所定範囲外になったことを検
    知したときに、前記トラッキング基準値作成手段は前記
    の基準値を再設定する磁気記録再生装置のトラッキング
    制御装置。
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