JP2528563B2 - 制震構造物用高減衰装置 - Google Patents

制震構造物用高減衰装置

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JP2528563B2
JP2528563B2 JP3148371A JP14837191A JP2528563B2 JP 2528563 B2 JP2528563 B2 JP 2528563B2 JP 3148371 A JP3148371 A JP 3148371A JP 14837191 A JP14837191 A JP 14837191A JP 2528563 B2 JP2528563 B2 JP 2528563B2
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high damping
damping device
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damping
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鐸二 小堀
元一 高橋
義憲 松永
直幹 丹羽
淳 田上
孝之 水野
邦夫 古川
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は地震等の振動外力に対す
る構造物の応答について、高い減衰性を与え、その振動
を低減するための高減衰装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】出願人は構造物の柱梁架構内に、ブレー
スや壁等の形で可変剛性要素(耐震要素)を組み込み、
可変剛性要素自体の剛性、あるいは架構本体と可変剛性
要素との連結状態を可変とし、地震や風等の振動外力に
対し、その特性をコンピューターにより解析して、非共
振となるよう構造物の剛性を変化させて構造物の安全を
図る能動型制震システム、可変剛性構造等を種々開発し
ている(例えば特開昭62−268479号、特開昭6
3−114770号、特開昭63−114771号
等)。
【0003】また、装置の減衰係数を可変とした油圧式
の制震装置を用い、構造物の非共振性や減衰性を考慮し
た種々の能動型制震システムを提案している(例えば特
開平2−209568〜71号等)。
【0004】さらに、これらの能動型制震システムに利
用可能な制震装置として、例えば特願平2−37992
号のシリンダーロック装置や、特願平2−42078号
の制震構造物用可変減衰装置等がある。シリンダーロッ
ク装置の基本原理は、シリンダー本体内の両ロッド形ピ
ストンの両側に油圧室を設け、両油圧室内の圧油を切換
弁により閉止し、または流動させることにより、前記ピ
ストンを固定し、または移動自在とするものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の能動
型制震システムは、主として地震動等の卓越周期と、構
造物の固有周期(通常、1次の固有周期が問題となる場
合が多い)との関係に着目し、卓越周期に対し、構造物
の固有周期を能動的にずらすことにより、共振現象を避
け、応答量の低減を図っている。
【0006】しかし、特に地震動等の場合、非定常振動
であることから、例えば卓越周期がはっきりしない場合
や卓越周期が複数ある場合等、必ずしも最適な制御とな
らない場合も考えられる。
【0007】また、能動型制震システムの場合、制御用
のコンピューターの他、各種センサーを用いるため、何
らかの異常があった場合に対し、種々の安全維持機構を
必要とする等、制御機構が複雑となり、コスト面での問
題も考えられる。その他、制御の遅れにより十分な効果
を発揮するまで時間を要するような場合も考えられる。
【0008】本発明の高減衰装置は構造物に用いること
により、コンピュータープログラム等による制御システ
ムを必要としない受動型の制震を可能とするものであ
り、柱梁架構内に設置可能なコンパクトな構造で、適切
に設置することにより、構造物に高い減衰機能を持た
せ、地震や風等の外乱による構造物の揺れを低減すると
ともに、快適な居住空間を実現することを目的としてい
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の高減衰装置は上
述したシリンダーロック装置と同様、構造物の柱梁架構
内に設置されるシリンダー形式のダンパー装置であり、
例えばシリンダー本体を架構の梁に連結し、シリンダー
本体より出入するピストンロッドをブレースまたは耐震
壁等の耐震要素側に連結する。構造物に地震等の振動外
力が作用した場合、架構と耐震要素間の相対変位に対
し、高減衰装置がその減衰係数に応じた抵抗力を与え、
構造物の振動を減衰させる。
【0010】架構または耐震要素に対するシリンダー本
体およびロッドの連結関係は上述した場合の逆であって
もよく、また架構内の耐震要素間に設置し、耐震要素ど
うしを連結する形でもよい。
【0011】また、本発明の高減衰装置はコンパクトな
装置で、例えば保持力200t、減衰係数25〜50t
/kineといった高い減衰係数を目指したもので、このよ
うな条件を実現するため下記の構成要素を備えている。 構造物の架構または耐震要素に固定されるシリンダ
ー本体 前記シリンダー本体内を移動するピストン 前記シリンダー本体の一端から出入し、前記シリン
ダー本体が固定された架構または耐震要素と対向する架
構または耐震要素に固定されるピストンロッド 前記ピストンの両側に形成された油圧室 前記ピストンを貫通して前記両油圧室を連通させる
複数の流路 前記流路に設けられた調圧弁としてのポペット弁 前記両油圧室を連結するバイパスに設けたアキュム
レーター アキュムレーターからそれぞれの油圧室へ向かう油
のみ流すための一対のチェック弁 前記各チェック弁と並列に設けられ、油圧室の圧ご
もりを解消するためのオリフィス。
【0012】調圧弁をピストン内に形成した流路に設け
ることで、シリンダー外部への油漏れが防止され、高減
衰性を得るためのシール性が確保される。
【0013】また、調圧弁としてポペット弁を使用した
ことで、流体抵抗を乱流状態として温度に依存しない減
衰特性が実現される。
【0014】アキュムレーターは主として負圧時に発生
する気泡によるガタの防止および温度変化(火災時を含
む)による油の伸縮に対応するためのものであり、これ
により安定性、安全性が確保される。
【0015】また、チェック弁と並列に設けたオリフィ
スは、地震時等にシリンダー本体とロッドが繰り返し相
対変位(振動)している際の油圧室における圧ごもりを
解消するとともに、装置の減衰特性を線形化する目的で
設けられている。
【0016】
【実施例】図1は本発明の高減衰装置10の概要を示し
たもので、シリンダー11内に両ロッド形式のピストン
12が組み込まれている。ただし、ピストンロッドは一
方向のみシリンダー11から突出し、その突出する側の
ロッド12aおよびシリンダー11の反対側に、耐震要
素または柱梁架構と連結するための取付部15、16を
設けている。
【0017】高減衰、高剛性を確保するための条件とし
ては、まずピストン12移動方向と反対側の油圧室14
を負圧としないことが必要で、そのためピストン12に
調圧弁17a、17bを設け、移動油量が直接的に反対
側の油圧室14へ流れる構造としている。
【0018】また、作動中の油の圧縮を考慮して不足油
量を補償する必要があるので、補給用のアキュムレータ
ー18が必要となり、バイパス19にはチェック弁20
a、20bを設けている。さらに停止すると、油が元の
状態に戻る(膨張)ので、補償された油をアキュムレー
ター18に戻す必要があり、チェック弁20a、20b
と並列にオリフィス(絞り)21a、21bを設けてい
る。
【0019】図2は本発明の高減衰装置10の具体的な
実施例を示したもので、図3はその調圧弁17部分の詳
細を示したものである。なお、図2ではアキュムレータ
ー18部分を省略して示している。
【0020】基本的な構造は前述した通りであり、外部
への油漏れ防止および高減衰を得るためのシール性を確
保する目的で、調圧弁17a、17bがピストン12内
に設置されている。
【0021】また、調圧弁17a、17bとしては、円
錐形のポペット弁等を使用し、流体抵抗を乱流状態とし
て、温度に依存しない減衰特性を実現している。調圧弁
17a、17bに用いるポペット弁としては、図3のよ
うな円錐弁の他、図4(a) ,(b) に示すような所定のス
リット25を形成した比例弁を用いることもできる。
【0022】この他、耐久性および信頼性の向上のた
め、ピストンシール23を多段金属シールとし、固定シ
ール22を2段シールとしている。また、メンテナンス
に関してはロッドシール24を2段シールとするととも
に、外側のシール24aをカートリッジ式として取り換
え可能としている。このように、各部のシール性、精度
を増すことにより、高い減衰係数が可能となる。
【0023】また、取付部15については3方向回転自
由なクレビスを用いている。
【0024】図5は高減衰装置10の本体側面に取り付
けられたバイパス19およびアキュムレーター18の一
例を示したもので、油圧室14aとアキュムレーター1
8との間に油圧室14a側へ向かう油の流れを阻止する
ためのチェック弁20aを設け、油圧室14bとアキュ
ムレーター18との間に油圧室14b側へ向かう油の流
れを阻止するためのチェック弁20bを設けている。ま
た、各チェック弁20a、20b部分にはこれらを貫通
する(回路図的には並列となる)オリフィス21a、2
1bが設けられ、高減衰装置10の減衰特性を線形化す
るとともに、油圧室14a、14b内での圧ごもりを解
消する。
【0025】また、アキュムレーター18をピストン型
とすることで、窒素ガスの使用を避けることができ、ま
た図5のような油量監視装置を付けることで容易に内部
油量が監視できる。すなわち、油量監視棒26の突出量
L=L0 ±ΔLについて、ΔLが温度、漏れ等による許
容変動値以下であることを監視する。
【0026】次に、本発明の高減衰装置10の適用例と
して、鉄骨ラーメン構造の建家を対象とした高減衰構造
物の設計方法について説明する。
【0027】図6は本発明の高減衰装置を用いた高減衰
構造物1を概念的に示したもので、図7の一般構造物
1’に対して、柱梁架構を約半分とし、局所的に耐震要
素としてのブレース4と高減衰装置10を設置して、そ
の部分で建家の振動エネルギーを吸収する。
【0028】図8は一層分を振動モデルとして表したも
ので、図中cは装置の減衰係数、kF は柱梁架構の剛
性、kV はブレースの剛性である。
【0029】上記モデルによる多層建物の複素固有値を
求め、下式(1) により構造体の各次モードごとの減衰定
数を算定する。 hi =−Re(λi )/|λi | … (1) ただし、 λ: i次複素固有値 hi : i次減衰定数 Re(λi ) : i次複素固有値の実数部。
【0030】図9は複素固有値より求めた架構の減衰定
数と、各層の高減衰装置の減衰係数c(t/kine)の関係を
1〜3次のモードについて示したもので、図9において
各次の減衰定数h1 、h2 、h3が10〜40%を示す
範囲aに、高減衰装置の減衰係数cを設定すれば、十分
な応答低減効果が得られる。この範囲aとしては、3次
減衰定数h3 のピークと1次減衰定数h1 のピークの間
が適当である。すなわち、3次のモードに対する減衰定
数h3 の最大値を与える減衰係数c3 と、1次のモード
に対する減衰定数h1 の最大値を与える減衰係数c1
を求め、前記高減衰装置の減衰係数cが c3 ≦c≦c1 となるように設定すればよい。
【0031】減衰係数cがc3 より小さいと、架構の変
形が急激に大きくなり、またc1 より大きいと、振動抑
制効果としてはあまり差がないものの、高減衰装置の必
要耐力が大きくなる。
【0032】図10は地震応答スペクトルでみた応答低
減効果を示したものである。一般構造物の固有周期T1
に対して、柱梁架構を約半分とすることで、固有周期が
伸び(T2 )、スペクトルそのものが低下する。それと
ともに、減衰効果が2%程度から10〜40%に増加す
ることで、さらに応答スペクトルが低下し、固有周期が
わずかに短くなる(T3 )。このとき、通常問題となる
変形の増加は減衰効果が増加することで抑制できる。
【0033】一例として24階建て、建物の高さが9
8.1m、基準階高さ3.90m、基準階床面積126
9m2 程度の鉄骨ラーメン構造の高層建物で、入力地震
動の最大速度振幅を50kineレベルに想定した場合、必
要な高減衰装置は1層に4台として、保持力200t、
減衰係数25〜50t/kine程度となる。なお、高減衰
装置は各階に設けてもよいが、各次の振動モードの節に
あたる階のみとして、効率化を図ることも可能である。
【0034】
【発明の効果】 油圧シリンダー形式の簡単な機構
で、かつコンパクトな装置で高減衰性能を実現してお
り、構造物内への適用が容易である。
【0035】 調圧弁をピストン内部に設けた構造で
あり、シール性を確保することで、性能安定性および信
頼性の高い装置が作れる。
【0036】 調圧弁としてポペット弁を用いること
により、温度変化による性能変動の少ない装置が作れ
る。
【0037】 本発明の装置を構造物に適用すること
により、受動型の高減衰構造物が実現でき、高い制震効
果が得られる。これにより地震、風等の外乱による揺れ
を大幅に低減でき、建物の構造安全性を高めるととも
に、快適な居住空間を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高減衰装置の構造の概要を示すモデル
図である。
【図2】本発明の高減衰装置の一実施例を示す断面図で
ある。
【図3】調圧弁部分の詳細を示す断面図である。
【図4】調圧弁の他の例を示したもので、(a) は正面
図、(b) は側面図(一部断面)である。
【図5】バイパスおよびアキュムレーター部分の構造の
一例を示す断面図である。
【図6】高減衰構造物を概念的に示した立面図である。
【図7】比較例としての一般構造物を概念的に示した立
面図である。
【図8】高減衰構造物の一層分の振動モデル図である。
【図9】複素固有値より求めた架構の減衰定数と、高減
衰装置の減衰係数関係を1〜3次のモードについて示し
たグラフである。
【図10】地震応答スペクトルでみた応答低減効果を示
すグラフである。
【符号の説明】
1…高減衰構造物、2…柱、3…梁、4…ブレース、1
0…高減衰装置、11…シリンダー、12…ピストン、
14…油圧室、15、16…取付部、17…調圧弁、1
8…アキュムレーター、19…バイパス、20…チェッ
ク弁、21…オリフィス、22…固定シール、23…ピ
ストンシール、24…ロッドシール、25…スリット、
26…内部油量監視棒
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松永 義憲 東京都港区元赤坂1丁目2番7号 鹿島 建設株式会社内 (72)発明者 丹羽 直幹 東京都港区元赤坂1丁目2番7号 鹿島 建設株式会社内 (72)発明者 田上 淳 東京都調布市飛田給二丁目19番1号 鹿 島建設株式会社技術研究所内 (72)発明者 水野 孝之 東京都調布市飛田給二丁目19番1号 鹿 島建設株式会社技術研究所内 (72)発明者 古川 邦夫 神奈川県相模原市麻溝台1丁目12番1号 カヤバ工業株式会社相模工場内

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 構造物の架構または耐震要素に連結され
    るシリンダー本体と、前記シリンダー本体内を移動する
    ピストンと、前記シリンダー本体の一端から出入し、前
    記シリンダー本体が固定された架構または耐震要素と対
    向する架構または耐震要素に連結されるピストンロッド
    と、前記ピストンの両側に形成された油圧室と、前記ピ
    ストンを貫通して前記両油圧室を連通させる複数の流路
    と、前記流路に設けられた調圧弁としてのポペット弁
    と、前記両油圧室を連結するバイパスに設けたアキュム
    レーターと、前記バイパスの前記油圧室のそれぞれと前
    記アキュムレーターとの間に設けられ、前記油圧室から
    の油の流出を阻止するための一対のチェック弁と、前記
    バイパスに前記各チェック弁と並列に設けたオリフィス
    とからなることを特徴とする制震構造物用高減衰装置。
  2. 【請求項2】 前記オリフィスは前記チェック弁を構成
    する弁体を貫通して設けられている請求項1記載の制震
    構造物用高減衰装置。
  3. 【請求項3】 前記アキュムレーターをピストン型とし
    て、前記アキュムレーターに油量監視装置を設けてある
    請求項1記載の制震構造物用高減衰装置。
JP3148371A 1991-06-20 1991-06-20 制震構造物用高減衰装置 Expired - Lifetime JP2528563B2 (ja)

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US07/901,567 US5347771A (en) 1991-06-20 1992-06-19 High damping device for seismic response controlled structure

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JPH04371679A JPH04371679A (ja) 1992-12-24
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006194372A (ja) * 2005-01-14 2006-07-27 Hitachi Metals Techno Ltd 制震用油圧ダンパ

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JP2006194372A (ja) * 2005-01-14 2006-07-27 Hitachi Metals Techno Ltd 制震用油圧ダンパ

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Effective date: 19960423