JP2527750B2 - 炭化水素特にエチレンのオキシクロリネ−シヨン方法およびそれに使用する触媒組成物 - Google Patents

炭化水素特にエチレンのオキシクロリネ−シヨン方法およびそれに使用する触媒組成物

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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、改善された収率が得られ、しかも同時に、
特に触媒粒子の粘着および塊状化の減少によつてステン
レス鋼反応器腐食効果を減少させる触媒組成物を使用す
るエチレンのオキシクロリネーシヨン方法に関する。
塩化水素および空気または酸素の使用による気体炭化
水素のオキシクロリネーシヨンは、長い間公知の方法で
ある。この塩素化は、不活性支持体上に付着させた金属
塩類から成る触媒の存在下で行なわれる。一般的に使用
される金属塩は塩化第二銅のようなハライドであり、こ
れらはそれ自体で使用されたときは比較的揮発性である
欠点があり、そのため、この化合物を工業プラントにお
ける流動床において使用したとき工業的に許容できない
触媒活性およびオキシクロリネーシヨン収率の低下が起
こる。
この欠点を克服するために、触媒組成物中にアルカリ
およびアルカリ土類金属塩化物および希土類またはラン
タニドからの他の金属塩化物の配合が提案されている
(B.P.GB-969,937.ベルギー国特許BE-741,055)。
これらの各種の触媒組成物は、使用される炭化水素の
性質並びに塩化第二銅の揮発効果を減少させるのに添加
される金属塩または金属塩類の性質に特に依存する。さ
らにこれら各種の触媒組成物はまた、特に触媒粒子が反
応器壁への粘着または塊状化による工業用反応器の鋼に
腐食を起こす。現在判明しているところでは、使用され
る塩に関連する技術データからは定性的にも定量的にも
引出すことができない影響であり、関連する各触媒組成
物について実験的に研究しなければならない問題であ
る。
銅およびマグネシウムの2種の金属を含有する組成物
を使用して今まで工業的に達成されたことがない活性度
および収率でエチレンのオキシクロリネーシヨンによつ
て1,2−ジクロロエタンを製造することが可能な銅−お
よびマグネシウム−基剤の触媒組成物を見出した。同時
にこれらの組成物では触媒粒子の粘着および塊状化並び
に工業用反応器の腐食を最小にすることができる。
従つて、本発明は、アルミナ支持体上に付着させた塩
化第二銅、塩化マグネシウムおよび塩化ナトリウム並び
に塩化リチウムから選ばれるアルカリ金属塩化物から成
る触媒組成物の触媒作用によるエチレンの1,2−ジクロ
ロエタンへのオキシクロリネーシヨン方法に関する。
アルカリ金属を使用するときは、操作は銅塩:ナトリ
ウム塩の原子比1:0.01〜0.2で行う。実際に、ナトリウ
ム塩の場合には、ステンレス鋼反応器の腐食が観測さ
れ、Cu:Na原子比が1:0.2を超えるとこの腐食は著しくな
り、または許容できない程度になることが判明してい
る。
これに対して、アルカリ金属がリチウムであるとき
は、Cu:Liの原子比は重大ではなく、そして、1:0.0001
〜1:2の範囲のCu:Li比で実施できる。
本発明はまた、 (i)アルミナ上に付着させた1:0.1〜1.5:0.01〜0.2の
間の原子比の塩化第二銅、塩化マグネシウムおよびNaC
l、または、 (ii)アルミナ上に付着させた塩化第二銅、塩化マグネ
シウムおよびLiCl。この場合には各種塩の比は、通常、
1:0.1〜1.5:0.0001〜1.5の間、そして、好ましくは1:0.
3〜1:0.001〜1の間であるのいずれかから成るエチレン
のオキシクロリネーシヨン用触媒組成物に関する。
本発明の触媒組成物において使用されるアルミナは、
任意の起源および任意の公知の方法によつて製造された
ものでよく、イーターおよびガンマ型が通常使用され
る。ガンマ型アルミナを使用して良結果が得られてい
る。
本発明の触媒組成物に使用されるアルミナは、20〜10
0μmの間、好ましくは25〜75μmの間の平均粒子直径
を有する。
B.E.T.法によつて測定したアルミナの比表面積は、一
般に50〜250m2/gである。100〜210m2/gの間の比表面積
のアルミナを使用し良結果が得られている。
最後に、アルミナの細孔容積が、0.1〜1cm3/gのもの
が通常使用される。細孔容積は、好ましくは0.2〜0.8cm
3/gの間であり、細孔容積が0.3〜0.6cm3/gの間にあるア
ルミナの使用によつて良結果が得られている。
アルミナは、結晶格子に一体化されているか、任意の
化学的形態で結合している多少の量のナトリウム原子を
天然に含有していることに留意すべきである。さらに便
宜上「非可洗性(unwashable)ナトリウム原子」と記述
できるこれらのナトリウム原子の存在は、「可洗性アル
カリ金属」と考えられている塩形態でアルカリ金属を含
有する触媒組成物のみに関係のある本発明にとつて何等
の重要性はない。本発明のアルカリ金属塩はアルミナ支
持体に化学的に結合しておらず、問題の塩でアルミナを
含浸することによつて一般に触媒組成物中に導入され
る。必要とするアルカリ金属によるこの含浸は、他の塩
による含浸と同時または他の塩の含浸の前または後のい
ずれかで実施できる。
上記したような特性を有する触媒組成物が最終的に得
られるならば、本発明の触媒組成物を製造する方法自体
は必須のことではない。良結果が得られる製造方法は次
の特性を有するγ−アルミナを含浸することから成る: 約50μmの平均粒子寸法、170〜190m2/gの間のB.E.T.
比表面積、0.43cm3/gの細孔容積および0.75kg/dm3の自
由流動充填密度。
この含浸は、必要量の銅、マグネシウムおよびアルカ
リ金属クロライドを含有する水性溶液を使用し、75℃の
温度で1工程で行う。使用するアルミナ量の細孔容積の
70〜100%に含浸用溶液の容積を制限することによつて
固体によつて吸収されない液相のできるのを避けるべき
である。この含浸させたアルミナをオキシクロリネーシ
ヨン反応器にそのまま導入する前に乾燥させる。
最終的にオキシクロリネーシヨン工程において使用さ
れる触媒組成物は、一般に、金属として計算して30〜90
g/kgの銅含量を有する。この量が50〜75g/kgの間にある
のが好ましく、最も好ましい触媒組成物は銅含量が60〜
70g/kgの間にある触媒である。
触媒組成物中の他の塩の含量は、前記に既に詳述した
原子比と共にこのような方法で特定した銅含量から容易
に決定できる。
最終の触媒組成物は、一般に25〜200m2/gの間、好ま
しくは50〜150m2/gの間の比表面積を有する。100〜140m
2/gの間にあるB.E.T.比表面積を有する触媒組成物を使
用して良好な結果が得られている。
この触媒組成物は、触媒を固定床または流動床に配置
する任意のオキシクロリネーシヨン工程において使用で
きる。これらは収率が改善され、かつ、ステンレス鋼反
応器における腐食が無いために触媒が流動床形態にある
方法において特に有利である。
流動床中に配置された触媒を使用して操作を行うとき
は、オキシクロリネーシヨン反応が行なわれる温度は、
通常200〜300℃の間である。好ましくはこの温度は220
〜280℃の間である。最後に240〜270℃の範囲の温度で
良好な結果が得られている。
オキシクロリネーシヨン反応を行う圧力は、それ自体
必須のものではない。通常1〜10atmの間、好ましくは
1〜8atmの間の圧力で操作される。
触媒組成物の流動化速度自体は必須のものではなく、
本質的には触媒の粒度分布および装置の寸法によつて決
まる。一般に、操作は5〜100cm/秒の間、好ましくは10
〜50cm/秒の間の速度で行なわれる。
最後に、使用される反応体比は、一般的に従来法にお
いて使用されているのと同じ比である。操作は習慣的に
使用されるHClに関してわずかに過剰のエチレンを使用
して行なわれる。しかし、本発明の触媒組成物では、化
学量論近くまたはHCl過剰でも作業が可能である。
本発明を次の実施例によつてさらに完全に説明する。
実施例1 平均比表面積190m2/gを有し、銅、マグネシウムおよ
びナトリウム塩化物の水性溶液で含浸したγ−型アルミ
ナから成る225cm3の触媒組成物を、乾燥後AISI型316Lオ
ーステナイトステンレス合金製の小さいプレートを備
え、エチレンの1,2−ジクロロエタンへの流動床オキシ
クロリネシヨン用のインコネル(Inconel)600製の反応
器中に配置する。
この反応器中に反応体ガスを焼結金属フイルターを通
して底部から導入する。反応生成物は、反応器圧力制御
バルブによつて大気圧に脱圧される。次いで、反応生成
物は−20℃に維持されているトラツプ中において冷却さ
れ、そして、非凝縮性ガスはサンプリングバルブ上に吹
込まれる前に水スクラバー中において洗浄する形成され
た生成物の収支は、集められた液体および気体のクロマ
トグラフ−分析およびスクラバーの脚部から集められた
水性溶液の酸滴定分析によつて行う。
下記の第1表に示すような異なる量のナトリウムを含
有する触媒組成物を使用して4種の試験を行う。この第
1表には、反応器操作条件並びに得られた結果も含まれ
る。
これらの実験室実験によつて得られた収量は、5秒に
制限された保持によつて限定された。C2H4への転化率は
従つて全実験で限定された(工業用反応器の操作条件で
は、これより良好なエチレン転化率を確保するためには
るかに長い保持時間;10〜80秒、そして、大部分の場合2
0〜50秒を得ることが可能である)。
各種の試験結果の比較から、次のことが結論として云
える: 本発明のナトリウム限界以下(試験1)で操作したと
きは、1,2−ジクロロエタンの収率は本発明の触媒組成
物(試験2および3)で得られた収率より低い。しか
し、鋼の腐食は弱く、許容できる; 本発明のナトリウム限界以上(試験4)で操作したと
きは、1,2−ジクロロエタンの収率はすぐれており、本
発明(試験2および3)で得られた収率に匹敵する。し
かし、鋼のの腐食が強く、工業的見地から失格である; 本発明のナトリウム限界内(試験2.および3)で操作
したときは、1,2−ジクロロエタンの収率はすぐれてお
り、同時に鋼腐食も合格であることが観察される。
実施例2 銅、マグネシウムおよびリチウム塩化物の水性溶液で
含浸し、180〜190cm2/gの平均比表面積を有するγ−ア
ルミナから成る225cm3の触媒組成物を乾燥後、エチレン
の1,2−ジクロロエタンへの流動床オキシクロリネーシ
ヨンのために、AISI型316Lオステナイトステンレス鋼合
金製の小さいプレートを備えたインコネル600製の反応
器内に配置する。
この反応器中に、底部の燃結金属フイルターを通して
反応体ガスを導入した。次いで、反応生成物は反応器圧
力制御バルブによつて大気圧に脱圧した。次いで、反応
生成物を−20℃に維持されているトラツプ中において冷
却し、非凝縮ガスをサンプリングバルブ上に流す前に水
スクラバーで洗浄する。形成された生成物の収支は、集
めた液体および気体生成物のクロマトグラフ分析および
スクラバー脚部で集めた水性溶液の酸滴定分析によつて
確定する。
下記の第2表に示すようなリチウムの各種の量を含有
する触媒組成物で6種の試験を行う。この第2表には、
反応器操作条件および得られた結果も含む。
これらの実験室実験で得られた収率は5秒に制限され
た保持時間のため限定される。従って、C2H4の転化率は
全実験で限定される(工業用反応器での操業条件では、
さらに良好なエチレン転化率を確保するために保持時間
を顕著に長くできる:10〜80秒、そして大部分の場合20
〜50秒)。
各種の試験結果の比較から、リチウムのある限界以上
の操作のときは、1,2−ジクロロエタンの収率は急速に
低下する(試験8および9)が、鋼の腐食は弱いが触媒
粒子の粘着および塊状化(Fig9)のため不合格になる。
各種の試験の結果から、リチウムが本発明による限界を
超えたとき、触媒粒子の高い粘着および塊状化のため触
媒は実用性がなくなる(Fig10およびFig12)、かつ腐食
計による腐食測定も不可能になる(Fig11およびFig1
3)。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明のナトリウム限界より低いナトリウム量
の触媒組成物でエチレンを1,2−ジクロロエタンにオキ
シクロリネーシヨンしたときの鋼の腐食が弱いことを示
す金属組織の写真である。 第2〜3図は本発明の触媒組成物による鋼の腐食が弱い
ことを示す金属組織の写真である。 第4図は、本発明組成物のナトリウム限界より高い場合
の鋼の腐食が強いことを示す金属組織の写真である。 第5〜7図は触媒組成物中のリチウム含量が本発明の限
界内またはそれ以下であると鋼の腐食が弱いことを示す
金属組織の写真である。 第8〜9図はリチウムが限界以上であると腐食は弱い
が、触媒粒子の粘着、塊状化が大くなることを示す金属
組織の写真である。 第10〜13図もリチウムが限界以上であると触媒粒子の粘
着および塊状化が甚だしくなることを示す金属組織の写
真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ミシェル ストレベレ ベルギー国 ブリッセル,リュ ソムブ レ,84 (56)参考文献 特公 昭45−31443(JP,B1)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エチレンの1,2−ジクロロエタンへのオキ
    シクロリネーション方法において、塩化第二銅、塩化マ
    グネシウム、および塩化ナトリウム並びに塩化リチウム
    から選ばれるアルカリ金属塩化物を付着させたアルミナ
    支持体から成る触媒組成物によって前記のオキシクロリ
    ネーション反応の触媒作用をさせることを特徴とする前
    記の方法。
  2. 【請求項2】前記の触媒組成物におけるアルカリ金属
    が、0.01〜0.2:1の間のナトリウム:銅の原子比で使用
    されるナトリウムであることを特徴とする特許請求の範
    囲第1項に記載のオキシクロリネーション方法。
  3. 【請求項3】前記の触媒組成物において使用されるアル
    カリ金属が、リチウムであることを特徴とする特許請求
    の範囲第1項に記載のオキシクロリネーション方法。
  4. 【請求項4】1:0.1〜1.5:0.01〜0.2の間の原子比でアル
    ミナ上に付着させた塩化第二銅、塩化マグネシウムおよ
    び塩化ナトリウムから成ることを特徴とするエチレンの
    オキシクロリネーション用の触媒組成物。
  5. 【請求項5】アルミナ上に付着させた塩化第二銅、塩化
    マグネシウムおよび塩化リチウムから成るエチレンのオ
    キシクロリネーション用の触媒組成物。
  6. 【請求項6】塩化第二銅、塩化マグネシウムおよび塩化
    リチウムを、1:0.1〜1.5:0.0001〜1.5の間の原子比で使
    用することを特徴とする特許請求の範囲第5項に記載の
    触媒組成物。
JP62159518A 1986-06-27 1987-06-26 炭化水素特にエチレンのオキシクロリネ−シヨン方法およびそれに使用する触媒組成物 Expired - Lifetime JP2527750B2 (ja)

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