JP2526870B2 - 放射線像撮像装置 - Google Patents

放射線像撮像装置

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Description

【発明の詳細な説明】 イ.産業上の利用分野 本発明はディジタル放射線検出素子アレーを用いた放
射線像撮像装置に関する。
ロ.従来の技術 近時医学診断用X線画像を電子的撮像技術によってデ
ィジタル画像として撮像することが行われるようになっ
てきた。
放射線画像のディジタル方式による撮像を行うには、
X線イメージインテンシファイアとイメージ蓄積板を用
いる方法もあるが、ディジタル放射線検出素子アレーを
用いてX線光子を計数する方法も提案されている。この
場合ディジタル放射線検素子アレーにおける一画素分の
構成はシンチレータと光検出素子或は半導体放射線検出
器よりなる放射線検出素子と放射線検出信号を増幅する
アンプ、アンプ出力をノイズと真の放射線検出パルスと
に弁別するレベル選別器等よりなるアナログ動作部分
と、上記レベル選別器により取出された放射線検出パル
スを計数するカウンタ及び、外部制御回路からの指令で
カウンタの計数の開始,停止、カウンタ計数データの出
力,カウンタリセット等を行う制御部等のディジタル動
作部分とより成っており、このような一画素分の素子が
アレー状に配列されて一つの撮像素子を構成している。
このようなディジタル放射線像撮像の技術については例
えば特開昭59−94046号,特開昭60−80746号等によって
提案がなされている。
ハ.発明が解決しようとする問題点 上述した放射線画像のディジタル撮像方式には次のよ
うな問題がある。一画素分のディジタル放射線検出素子
は前述したような構成を持つが、この一素子の消費電力
はアンプ部分で約140mW、レベル選別部で約100mW、カウ
ンタで約10mW合計約250mWであり、1000画素の一次元ア
レーでは250Wと云うような電力消費になる。この電力消
費は全て熱になる。人体のX線透視画像の撮像の場合一
画像の撮像時間は1秒以下で短いから、一回だけの撮像
の場合、上述したような発熱は問題にしなくてもよい
が、通常医療検査の場合、一人の被験者について数乃至
十数枚の透視画像を撮像するので、一画像の撮像の度に
何分もの冷却休止期間を設けることは検査能率を著しく
低下させ、被験者にとっても迷惑なことである。
本発明はこの発熱の問題を解決しようとするものであ
る。発熱の問題そのものは撮像素子の通電時間を極力短
くすること、撮像を行わない期間は通電をしないことで
一応解決できるが、単にこれだけでは撮像開始時の温度
上昇速度が大きいから、回路素子の動作点が温度によっ
て移動し、撮像期間中に正常動作範囲を逸脱してしまう
おそれがあり、撮像を引続いて繰返す場合、撮像素子の
温度が上昇して来てアナログ動作部分の半導体素子の特
性が変化し、放射線検出特性にドリフトを生ずる。本発
明は、撮像素子の発熱を抑えると共に、温度変化による
半導体回路素子の動作状態の変化の問題を解決しようと
するものである。また発熱の処理は通電時間の短縮と共
に積極的な冷却が有効であるが、撮像装置は動かす必要
があり、冷却手段には構造機能上の制約が多い。本発明
はこの冷却手段についても解決の方向を示すものであ
る。
ニ.問題点解決のための手段 まず第1に放射線検出素子アレーを用いた撮像装置に
おいて、各素子対応回路中温度変化の影響が無視できな
い部分例えば放射線検出素子の出力信号を増幅するアン
プ等を除いた部分への通電を撮像動作と連動させて撮像
期間中のみ通電し、温度変化の影響が無視できない部分
は連続通電される予熱手段を設けた。
更に回路の加熱及び急激な温度変化を抑制したとして
も引続いて撮像動作を繰返していると次第に温度が上昇
してアナログ回路の出力レベルがドリフトするので、ア
ナログ回路の信号増幅部分に負帰還回路と、負帰還信号
を或時点で固定して保持するメモリ手段と、信号増幅部
の入力端子を0レベルに引落とすスイッチ手段を設け
た。
また放射線検出素子アレー及び回路部分の移動範囲の
端の位置に冷却手段例えばファンを設け、一画像の撮像
における移動の行程端において放射線検出回路部分が強
制冷却を受け得るようにした。
ホ.作用 放射線検出回路中、特性上温度変化の影響を考えなく
てもよい部分は撮像期間中だけ通電されるので、装置へ
の電力供給が低減されて温度上昇の問題は一応回避され
る。こゝで本発明の特徴は温度変化の影響が無視できな
い部分は予熱しておくことにより、飽和温度近くまで温
度が上昇しているので、その温度に合わせて回路設定を
しておくことで温度変化の影響を解消することができ
る。温度変化の影響が無視できない回路部分は微弱信号
を所定レベルまで増幅するプリアンプ等で、この部分で
はゲインを大きく設定しているので、素子特性が温度に
よって少しずれても回路の動作点が大きく変動し、出力
に著しい歪を生ずるので、温度変化に対する動作の安定
化が重要である。本発明ではこのような部分は連続通電
で予め飽和温度近くまで温度が上げてあるので、温度的
に安定しており、動作が安定する。しかも回路全体とし
てはフルパワーは撮影期間中だけ供給されるので、全体
的は発熱は抑制されるのである。
更に上述した方式によっても引続いて撮像を繰返す場
合、装置の全体的な温度は少しずつ上昇して或る飽和温
度に近付いていくので、アナログ回路部分では出力レベ
ルにドリフトが発生するが、或る回の撮像動作の直前に
増幅回路部分の入力側を0レベルに引落とし、その時の
増幅回路部分の出力信号を負帰還信号としてメモリ手段
に保持させ、この信号をその回の撮像動作中のの負帰還
信号として増幅回路部分にフィードバックするので、撮
像を繰返す間のドリフトが累積されることなく、毎回同
じ画調の撮像が可能となる。
最後に撮像装置の放射線検出素子アレーと各素子に対
応する回路部分とを別体として両者間をケーブルで接続
するようにすれば、回路部分は任意に強制冷却できる
が、そのようにすると、アレーは一次元アレーでも1000
画素程度であるから、ケーブルも同数の導線を含んだも
のとなり、放射線検出素子アレーの移動の妨げになる。
特に一次元アレーを用いて像面走査を行って一枚の画像
を撮像する方式ではアレー素子の走査移動は高速を要す
るので、ケーブルによる接続は困難である。本発明では
放射線検出素子アレーと回路部分を一体化し、その撮像
のための移動範囲の端の位置に強制冷却手段を設けたの
で、撮影動作の前後で装置は強制冷却を受け、引続いて
撮像を繰返す場合でも、温度上昇が低く抑えられ、撮像
と撮像との間の休止帰還を充分に取ると云う必要がなく
なるから撮像能率が向上し、放射線検出素子アレー及び
後続回路部分と冷却装置とが一体化されていないので、
アレー部分が構造的に軽く、移動機構も軽くでき、高速
移動が容易となる。
ヘ.実施例 第1図はX線検出器1及びそれに接続されるアナログ
及びディジタル両回路部分の一画素分の構成の一例を示
す。1はX線検出素子で半導体検出器が用いられてお
り、A1はバイアス端子で数十乃至数百Vの負の電圧が印
加されている。21はアナログ回路中温度変化の影響が大
きく現れる回路部分であり、22はアナログ回路中温度変
化の影響の少ない部分、3はディジタル回路部分であ
る。7は全画素共通の電源で、Sは全画素共通の主スイ
ッチである。回路中、温度変化の影響の少ないアナログ
回路部分22及びディジタル回路部分は主スイッチSと直
列のスイッチ8を介して給電され、温度変化の影響の大
きいアナログ回路部分21は主スイッチSを通して直接給
電される。従って主スイッチSを投入すると回路部分21
は直ちに通電されるが、回路部分22及び3は主スイッチ
の他のスイッチ8も閉じられなければ給電されない。そ
してスイッチ8は撮像装置の操作と関係して撮像期間中
だけ閉じられる。図ではスイッチ8は便宜上各画素毎に
設けられるように画かれているが、スイッチ8は全画素
共通である。
第2図は一画素分の回路構成の他の実施例を示す。第
2図の例との違いは温度変化の影響の大きい回路部分21
のバイアス電流を大小切換えるバイアス制御回路9が付
加された点である。バイアス制御回路9はスイッチ8の
開閉と連動して撮像期間中は通常のバイアス電流を回路
21に流し撮像期間外にはバイアス電流を小さな値に切換
える。B1はバイアス制御回路9にバイアス電流切換え指
令信号を印加する端子である。この構成によると、温度
変化の影響の大なる回路部分に常時通電することで温度
を安定化させる効果を得ると共に非撮像時に通電量を減
少させることで電力消費を減らし、回路部分21の温度上
昇を平均的に低く抑えることができる。
第3図は他の実施例におけるIC化されたX線検出回路
における一画素分の回路部分のICチップ上の配置を示
し、前例と同じく、21はアナログ回路中の温度変化の影
響の大きな部分、22はアナログ回路中温度変化の影響の
小さな部分、3はディジタル回路部分で、回路部分21と
22との間に、21をコ字形に囲んで発熱素子10が設けてい
る。発熱素子10はトランジスタの発熱を利用することが
できる。この実施例では全回路部分一律に撮像期間だけ
電源を供給し、その間発熱素子10の通電を停止、非撮像
期間中発熱素子10に通電するようにするものである。こ
のようにすることで、温度変化の影響の大なる回路部分
21が撮像中の通電により自身及び他の回路部分の発熱に
よって受ける熱量と、非撮像中の発熱素子10から受ける
熱量とを略同じにして温度変化の振幅を小さく抑えるこ
とができる。
第4図の実施例はアンプに温度変化によるドリフトを
補正する機能を持たせたものである。上述した各実施例
の適用、或は回路を取付ける基板を熱伝導の良い熱容量
の大きなものにする等の方法で回路の急激な温度変化及
び加熱を避けることができた場合でも撮像動作を引続い
て何回も繰返す必要がある場合、回路全体の温度が次第
に上昇して来て、アナログ回路の動作点が変化すること
による出力のドリフトが無視できない場合がある。この
実施例はそのような場合にも対処することができるもの
である。第4図でA1は信号増幅用のアンプであり、Inが
信号入力端子、Outが出力端子である。入力端子Inはス
イッチSwを介して0レベルに落せるようになっている。
出力端子OutはバッファアンプBA及びスイッチSsを介し
て、アンプA1の反転入力端子にフィードバックされてい
る。この入力端子には信号保持用のコンデンサCが接続
してある。スイッチSw,Ssは撮像動作が行われていない
間ONであり、撮像開始直前にOFFとなる。スイッチSwがO
NであるとアンプA1の信号入力は0であり、その時反転
端子入力が0であれば、A1の出力は0の筈であるが温度
によって動作点が移動すると0でなくなり、温度上昇と
共に増加する。この出力のオフセットをeとする。スイ
ッチSsがONである間A1の出力がバッファアンプBAで増幅
されてA1の入力側に負帰還されているので、反転端子入
力は0より高くなり、A1の出力はeより下がる。BAの利
得を充分大きくしておくと、A1の出力は信号入力の如何
にかゝわりなく略0となり、A1の反転端子レベルはオフ
セットeと略々等しくなっている。つまりアンプA1の反
転端子レベルはX線検出信号なしの状態におけるアンプ
A1の出力レベルと略同じで、これがドリフト補正信号で
あり、撮像開始直前にスイッチSw,SsがOFFになると、メ
モリ用のコンデンサCにこの補正信号が保持され撮像期
間中は撮像開始直前のドリフトに対して補正が行われ
る。撮像を行う度にこのようにしてドリフト補正が行わ
れるので、ドリフトが累積して行くのが阻止される。
第5図は第4図の実施例の改良型である。第4図のア
ンプA1をA1,A1′の2段構成とし、A1′の出力をバッフ
ァアンプBA1,BA2によってA1,A1′両アンプに負帰還する
ようにした。撮像開始前、まずスイッチSpを開き、S
w′,Ss′をONにしてA1′のドリフト補正信号をコンデン
サC′にメモリさせ、Sw′,Ss′をOFFにし、Sp,Sw,Ssを
ONにしてA1のドリフト補正信号をコンデンサCにメモリ
させてSw,SsをOFFにする。
第6図は本発明の強制冷却を行う場合の一実施例を示
す。1はX線検出素子で一次元アレイ状に配列されてお
り、X線は矢印のように左方から入射せしめられる。2
はアンプ、レベル選別器等のアナログ動作を行う回路部
分、3はカウンタ,コンピュータとのインターフェース
等のディジタル動作を行う回路部分で、X線検出素子1
の一次元アレー,2,3等の回路部分は一つの基板4上に取
付けられており、基板4は上下方向のガイド5に摺動可
能に保持されて、不図示の上下走査機構により駆動さ
れ、X線検出器1の一次元アレーがX線像を一方向に走
査するようになっている。ガイド5の下部には液槽6が
あり、ガイド5はこの液槽の底に植立されている。従っ
て基板4は上下方向のストロークの下端位置では液槽6
内に納まるようになっており、液槽5にはシリコンオイ
ルのような不揮発性、高電気絶縁性の液が満たしてあっ
て、基板4上の電気回路はこの液によって冷却されるよ
うになっている。撮像を行うときは、基板4が上方に駆
動されて液槽6から出てX線像を下から上へと走査して
一つのX線像の撮像を行う。
第7図は強制冷却を行うもう一つの実施例で、この場
合、基板4の撮像のための走査運動の上下行程端に夫々
ファン11を配置し、基板を上方へ移動させながら走査を
行ったときは撮像後上方のファンで冷却し、下方へ走査
運動を行ったときは撮像後下方のファンで冷却するもの
である。その他第6図の各部と対応する部分には同じ符
号を付し、一々の説明は省略する。
本発明は放射線検出回路を温度変化の影響の大きな部
分と小さな部分とに分け、前者は予熱手段によって温度
の安定化を計り、後者は撮像時のみ通電することで装置
全体の発熱を低く抑え、しかも通電の断続に伴う温度変
化の振幅を抑制し、更に温度変化に伴うドリフトの補正
手段を設け、撮像における放射線検出器の走査運動の行
程端で強制冷却を行うことで加熱を防ぐと云うことを内
容とする発熱対策で、上述各実施例はこれらの発熱対策
を夫々単独で実施しているが、これらの対策を二つ或は
三つ組合せて実施してもよいことは云うまでもない。
また上記対策の中には撮像動作と関係して動作せられ
るスイッチが用いられているが、これらのスイッチは撮
像装置を制御するコンピュータからのシーケンシャルな
信号によって操作されるようにしてもよく、或は撮像開
始直前からX線照射が開始されるので、撮像用の放射線
検出素子或は別途設けられた放射線検出素子によって放
射線が検出されたことを検知してスイッチを制御するよ
うにしてもよい。
ト.効果 本発明放射線像撮像装置は、放射線検出回路を温度変
化の影響が大なる部分と小なる部分とに分け、後者には
撮像帰還中のみを通電することで発熱を抑制し、かつ前
者の部分は常時通電或は発熱素子を設けて撮像を行わな
い期間中予熱しておくことで温度変化の振幅を小さくし
たので、放射線検出回路の温度による特性の安定性が向
上し、更に温度変化に伴う回路特性のドリフトに対する
補正手段をもうけることで、一層温度に対する安定性が
増し、放射線検出素子アレーの撮像時の走査運動の行程
端に強制冷却手段を配置することにより、走査運動の高
速性を阻害することなく、放射線検出回路の強制冷却が
行われているので、装置の過熱が防止される。
【図面の簡単な説明】
第1図は放射線検出回路における本発明の一実施例の一
画素分の回路図、第2図は同じく他の実施例の一画素分
の回路図、第3図は同じくIC化された回路における回路
各部の配置一例の平面図、第4図は本発明におけるドリ
フト補正手段の一実施例の要部回路図、第5図は同じく
他の実施例の要部回路図、第6図は本発明における強制
冷却に関する一実施例の要部斜視図、第7図は同じく他
の実施例の要部斜視図である。 1……放射線検出素子、2……アナログ回路部分、3…
…ディジタル回路部分、21……アナログ回路中の温度変
化の影響の大きな部分、22……アナログ回路中の温度変
化の影響の小さな部分、4……基板、5……ガイド、6
……液槽、10……発熱素子、11……ファン。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】放射線検出素子アレーを用いた放射線像撮
    像装置において、各放射線検出器素子に対応する一画素
    分の回路を各回路毎に温度変化の影響が無視できない部
    分と無視できる部分に分け、後者の回路部分は撮像動作
    中のみ電力を供給し、前者の部分は非撮像期間中撮像期
    間中の動作用供給電力に代えて発熱用電力を供給するよ
    うにしたことを特徴とする放射線像撮像装置。
  2. 【請求項2】温度変化の影響が無視できない回路部分へ
    の発熱用電力の供給が、その回路自身への電力供給であ
    る特許請求の範囲第1項記載の放射線像撮像装置。
  3. 【請求項3】温度変化の影響が無視できない回路部分へ
    の発熱用電力の供給が、同回路部分を囲む発熱素子への
    給電である特許請求の範囲第1項記載の放射線像撮像装
    置。
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