JP2524773B2

JP2524773B2 - 浸透油の回収方法

Info

Publication number: JP2524773B2
Application number: JP62251467A
Authority: JP
Inventors: 勇矢野; 伸一勝村
Original assignee: Taisei Corp
Current assignee: Taisei Corp
Priority date: 1987-10-07
Filing date: 1987-10-07
Publication date: 1996-08-14
Anticipated expiration: 2011-08-14
Also published as: JPH0195191A

Description

【発明の詳細な説明】〈産業上の利用分野〉本発明は、地中に浸透した油（以下『浸透油』とい
う）の回収率の高い浸透油の回収方法に関するものであ
る。

〈従来の技術〉石油基地等に貯蔵された貯油が、貯油施設を経て地中
に浸透する場合がある。地中に浸透した浸透油は、地下
水の上層付近に浮遊しながらレンズ状の厚みをもって滞
留していることが確認されている。ところで、現在地中
に浸透した浸透油の回収方法として、浸透油の層にウェ
ルポイントを打設して、吸引する方法が知られている。

〈本発明が解決しようとする問題点〉前記した従来の浸透油の回収方法にあってはつぎのよ
うな問題点が存在する。

（イ）土粒の表面に皮膜状に付着した浸透油の回収がほ
とんどできない。そのため、浸透油の回収率が低い。

（ロ）浸透油の粘着力により回収地点までの移動に時間
が長くかかる。そのため、浸透油の回収作業が長期化す
る傾向にある。

〈本発明の目的〉本発明は以上の点に鑑み成されたもので、地下水の揚
水量を最小に抑制しつつ、浸透油の回収効率を向上さ
せ、しかも回収期間の短縮化が図れる、浸透油の回収方
法を提供することを目的とする。

〈本発明の構成〉以下、第１図を参照にしながら本発明の一実施例につ
いて説明する。

（イ）回収原理本発明は、地中に溜まった浸透油をまず洗浄剤で洗浄
して回収する方式である。

（ロ）浸透油の回収施設浸透油１の浸透範囲にわたり複数の簡易井戸、例え
ば、先端にフィルター機能を有するウェルポイント２を
取り付けたライザーパイプ３を均等に打設する。ライザ
ーパイプ３の打設方法は公知の方法に従う。また、揚水
量の低減と油の回収率の向上を図るため、ウェルポイン
ト２の打設高さを、事前に確認した地下水６の水頭より
僅かに低い位置とする。地上に露出する各ライザーパイ
プ３の基端はヘッダーパイプ４に接続する。

ヘッダーパイプ４の基端は、真空ポンプP1と送水ポン
プP2とを組み合わせた特殊ポンプに接続する。送水ポン
プP2の後方に伸びる送液パイプ５は、地中から揚出した
地下水や油などの混在した液を排液処理する処理施設７
に接続する。

（ハ）洗浄剤、分解促進剤の注入施設浸透油１の滞留位置に通じる地下水６の上流側に貯液
槽９を配備する。貯液槽９から伸びる給液管10はその下
端を地下水６に到達させて設置する。

（ニ）洗浄剤洗浄剤８としては、例えば比重が水より小さい液体石
鹸等の界面活性剤を使用できる。

（ホ）分解促進剤分解促進剤としては、油をアルカリ反応により自然破
壊する例えば消石灰液を使用できる。その他、カセイソ
ーダのようなアルカリ性物等も使用できる。

〈本発明の作用〉貯液層９から地下水６へ洗浄剤８を放出する。

地下水６に混入した洗浄剤８は、地下水６の流れに従
って浸透油１に向けて移動する。また、地下水６の流れ
がない場合であっても、ウェルポイント２で吸引を開始
すると、周囲の地下水６が地下水の流れとは無関係にウ
ェルポイント２へ向けて移動することになる。その結
果、洗浄剤８が土粒間に介在する浸透油１を包み込ん
で、油の粘着力を著しく低下する。粘着力が低下して移
動性が良好となった浸透油１はウェルポイント２で地上
側に回収される。なお、加温した洗浄剤８を注入した
り、或は別途に加温水を注入したりスチームを注入して
地中の温度を上げると、油の粘着力の低下率が向上す
る。洗浄剤８の洗浄によって浸透油１の大半を回収でき
ることが各種実験により確認された。

〈その他の実施例〉上記したように洗浄剤８の洗浄によって大半の浸透油
１を回収できるが、洗浄剤８で洗浄した後も土粒の表面
に油が付着して残存している場合もある。このような場
合は土粒の表面に付着している油を回収するため、洗浄
剤８の場合と同様に、ウェルポイント２で吸引を続けな
がら地下水６中に今度は分解促進剤を放出する。する
と、土粒の表面に付着した油が分解促進剤と反応を起こ
して自然分解する。自然分解した油をウェルポイント２
で回収しながら、地中に残存した油の回収を終了する。
分解促進剤を用いて洗浄する作業は必要に応じて行うも
のとする。

〈本発明の効果〉本発明は以上説明したようになるからつぎのような効
果を期待することができる。

（イ）地下に浸透した油を洗浄および分解して回収する
ため、従来のように地中に油を残存させずに回収でき
る。そのため、従来に比べて油の回収率が著しく向上す
る。

（ロ）地下水中に界面活性剤を混入することにより油の
粘着力を著しく低下させることができる。

その結果、回収地点までの油の移動性が良好となり、
油の回収時間を大幅に短縮できる。

（ハ）簡易井戸の打設高さを、地下水の水頭より僅かに
低い位置とした。そのため、揚水量の低減と油の回収率
の向上の両条件を同時に満足することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図：浸透油の回収施設の概念図

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】地中に浸透した油の浸透範囲に簡易井戸を
設けて回収する浸透油の回収方法において、油の浸透範囲の外方の地下水中に油を洗浄する洗浄剤を
混入しながら簡易井戸で回収する、浸透油の回収方法。