JP2523417B2 - 針状粒子炭酸カルシウムの生成方法 - Google Patents

針状粒子炭酸カルシウムの生成方法

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JP2523417B2 JP3183638A JP18363891A JP2523417B2 JP 2523417 B2 JP2523417 B2 JP 2523417B2 JP 3183638 A JP3183638 A JP 3183638A JP 18363891 A JP18363891 A JP 18363891A JP 2523417 B2 JP2523417 B2 JP 2523417B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、種々の産業分野におい
て充填剤、補強剤等として利用されている炭酸カルシウ
ム、特に針状粒子炭酸カルシウムの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】炭酸カルシウムは、石灰石を機械的に粉
砕した重質炭酸カルシウムと、化学的方法により合成さ
れる合成炭酸カルシウムとに大別される。重質炭酸カル
シウムは不定形粒子として得られ、その粒径は粉砕、分
級により目的とする大きさに整えられる。
【0003】合成炭酸カルシウムの製法としては、主と
して、“液−液”法と“液−ガス”法があり、日本で工
業的に主として行なわれているのは“液−ガス”法であ
る。
【0004】“液−ガス”法は、水酸化カルシウムスラ
リーに炭酸ガスを吹き込んで反応させる方法が代表的で
あり、水酸化カルシウムスラリーの濃度、反応温度、反
応方法、添加剤の種類と有無などの反応条件を制御する
ことにより、種々の粒径、形状の炭酸カルシウムが開発
されている。
【0005】本発明者らは先に、炭酸ガスが吹き込まれ
ている水中に、水酸化カルシウム水溶液を注入すること
により、“液−ガス”法により長径5〜100μm、短
径0.2〜5μm程度の針状粒子炭酸カルシウムが得ら
れることを報告した(特開昭62−278123号公
報)。
【0006】一方、“液−液”法は、主として、炭酸イ
オンを含む溶液(炭酸ナトリウム水溶液、炭酸アンモニ
ウム水溶液等)と、カルシウム化合物の溶液(塩化カル
シウム水溶液、酢酸カルシウム水溶液等)とを反応させ
て炭酸カルシウム粒子を得るものであり、短径2〜3μ
m、長径30〜60μmの炭酸カルシウム結晶の製法
が、特開昭59−203728号公報に記載されてい
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、炭酸ガスを
用いる“液−ガス”法により、高い生産性で針状粒子炭
酸カルシウムを製造することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の針状粒子炭酸カ
ルシウムの生成方法は、水酸化カルシウムスラリーに、
水酸化カルシウム1モルに対して1/2〜2/3モルの
アルミン酸ナトリウムを添加した後、炭酸ガスと50℃
以上の温度で反応させることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施態様】本発明では、水酸化カルシウムスラ
リーに対してアルミン酸ナトリウムを添加した後、炭酸
ガスを吹き込む。アルミン酸ナトリウムは、水酸化カル
シウム1モルに対して1/2〜2/3モル(0.5〜
0.67モル)添加することが必要である。アルミン酸
ナトリウムの添加量が上記範囲から外れると、後述の比
較例1,2に見られるように、立方形のカルサイト等の
混入する割合が増加してくる。
【0010】本発明では、アルミン酸ナトリウムを添加
した水酸化カルシウムスラリーを50℃以上、好ましく
は60℃以上に加熱して炭酸ガスを吹き込み、反応を行
なうことが必要である。この温度が低すぎると、比較例
3に見られるように、立方形のカルサイトの混入してく
る傾向はないものの、アスペクト比が小さくなり針状を
保ち得なくなる。
【0011】炭酸ガスは、炭酸ガスのみを吹き込んでも
よいし、炭酸ガスを含む混合ガスとして吹き込んでもよ
い。上記の反応により、長径4〜50μm、短径0.2
〜3μm程度の針状の炭酸カルシウム粒子が生成する。
【0012】
【発明の効果】本発明によれば、水酸化カルシウムスラ
リーに添加剤としてアルミン酸ナトリウムを適切な量だ
け加え、適切な温度で炭酸ガスを吹き込むことにより、
簡単に針状の炭酸カルシウム粒子が得られる。
【0013】しかも、本法は、前述の特開昭62−27
8123号公報に記載の方法に比べて数十倍以上の生産
性が得られ、大幅なコストダウンを実現しうることか
ら、合成樹脂組成物、塗料、インキなど広範囲な用途へ
の利用およびその拡大が期待できる。
【0014】
【実施例】
実施例1 水酸化カルシウムスラリー(0.25モル/リットル)
2リットルにアルミン酸ナトリウムを0.25モル添加
し、22℃で1時間撹拌する。これを80〜85℃に加
熱後、撹拌しながら炭酸ガス(約0.1リットル/mi
n)を2時間吹き込んで反応させる。生成物を水で洗浄
し、フィルターにて濾過脱水し、電気乾燥器を用いて約
100℃で乾燥して試料No.1の針状粒子炭酸カルシ
ウムを得る。
【0015】図1に、試料No.1のSEM(走査電子
顕微鏡)による観察写真を示す。写真下のスケールは、
フルスケール20μm、1目盛2μmを表わす。また、
図8は試料No.1のX線回折パターンで、主にアラゴ
ナイト結晶であることを示している。
【0016】X線回折の測定条件は次の通りである(以
下の実施例ですべて共通)。 ターゲット:Cu フィルタ:Ni 電圧/電流:30KV/15mA フルスケール:2000Cps Time Const.:1sec Scan. Speed:2°/min Chart Speed:20mm/min Div. Slit:1° Rec. Slit:0.2mm Scatt. Slit:1°
【0017】比較例1 水酸化カルシウムスラリー(0.25モル/リットル)
2リットルにアルミン酸ナトリウムを0.2モル添加
し、22℃で1時間撹拌する。これを80〜85℃に加
熱後、撹拌しながら炭酸ガス(約0.1リットル/mi
n)を2時間吹き込んで反応させる。以下、実施例1と
同様にして試料No.2の炭酸カルシウム粒子を得る。
【0018】図2に、試料No.2のSEMによる観察
写真を示す。写真下のスケールはフルスケール20μ
m、1目盛2μmを表わす。また、図9は試料No.2
のX線回折パターンで、カルサイトのピークが強くなっ
ていることを示している。
【0019】実施例2 水酸化カルシウムスラリー(0.25モル/リットル)
2リットルにアルミン酸ナトリウムを0.33モル添加
し、22℃で1時間撹拌する。これを80〜85℃に加
熱後、撹拌しながら炭酸ガス(約0.1リットル/mi
n)を2時間吹き込んで反応させる。以下、実施例1と
同様にして試料No.3の針状粒子炭酸カルシウムを得
る。
【0020】図3に、試料No.3のSEMによる観察
写真を示す。写真下のスケールはフルスケール20μ
m、1目盛2μmを表わす。また、図10は試料No.
3のX線回折パターンで、主にアラゴナイト結晶である
ことを示している。
【0021】比較例2 水酸化カルシウムスラリー(0.25モル/リットル)
2リットルにアルミン酸ナトリウムを0.4モル添加
し、22℃で1時間撹拌する。これを80〜85℃に加
熱後、撹拌しながら炭酸ガス(約0.1リットル/mi
n)を2時間吹き込んで反応させる。以下、実施例1と
同様にして試料No.4の炭酸カルシウム粒子を得る。
【0022】図4に、試料No.4のSEMによる観察
写真を示す。写真下のスケールはフルスケール20μ
m、1目盛2μmを表わす。また、図11は試料No.
4のX線回折パターンで、カルサイトのピークが強くな
っていることを示している。
【0023】実施例3 水酸化カルシウムスラリー(0.5モル/リットル)2
リットルにアルミン酸ナトリウムを0.6モル添加し、
25℃で1時間撹拌する。これを80〜85℃に加熱
後、撹拌しながら炭酸ガス(約0.1リットル/mi
n)を4時間吹き込んで反応させる。以下、実施例1と
同様にして試料No.5の針状粒子炭酸カルシウムを得
る。
【0024】図5に、試料No.5のSEMによる観察
写真を示す。写真下のスケールはフルスケール20μ
m、1目盛2μmを表わす。また、図12は試料No.
5のX線回折パターンで、主にアラゴナイト結晶である
ことを示している。
【0025】実施例4 水酸化カルシウムスラリー(0.25モル/リットル)
2リットルにアルミン酸ナトリウムを0.33モル添加
し、23℃で1時間撹拌する。これを50〜55℃に加
熱後、撹拌しながら炭酸ガス(約0.1リットル/mi
n)を2時間吹き込んで反応させる。以下、実施例1と
同様にして試料No.6の針状粒子炭酸カルシウムを得
る。
【0026】図6に、試料No.6のSEMによる観察
写真を示す。写真下のスケールはフルスケール20μ
m、1目盛2μmを表わす。また、図13は試料No.
6のX線回折パターンで、主にアラゴナイト結晶である
ことを示している。
【0027】比較例3 水酸化カルシウムスラリー(0.25モル/リットル)
2リットルにアルミン酸ナトリウムを0.33モル添加
し、25℃で1時間撹拌する。これを40〜45℃に加
熱後、撹拌しながら炭酸ガス(約0.1リットル/mi
n)を2時間吹き込んで反応させる。以下、実施例1と
同様にして試料No.7の炭酸カルシウム粒子を得る。
【0028】図13に、試料No.7のSEMによる観
察写真を示す。写真下のスケールはフルスケール20μ
m、1目盛2μmを表わす。アスペクト比が小さくな
り、針状を保ち得ないことが判る。
【0029】また、図14は試料No.7のX線回折パ
ターンで、主にアラゴナイト結晶であることを示してい
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、試料No.1の針状粒子炭酸カルシウ
ムのSEM写真(粒子構造)である。
【図2】図2は、試料No.2の炭酸カルシウム粒子の
SEM写真である。
【図3】図3は、試料No.3の針状粒子炭酸カルシウ
ムのSEM写真である。
【図4】図4は、試料No.4の炭酸カルシウム粒子の
SEM写真である。
【図5】図5は、試料No.5の針状粒子炭酸カルシウ
ムのSEM写真である。
【図6】図6は、試料No.6の針状粒子炭酸カルシウ
ムのSEM写真である。
【図7】図7は、試料No.7の炭酸カルシウム粒子の
SEM写真である。
【図8】図8は、試料No.1のX線回折パターンを示
すチャートである。以下の各図で、Aはアラゴナイト結
晶のピークを、Cはカルサイト結晶のピークを示す。
【図9】図9は、試料No.2のX線回折パターンを示
すチャートである。
【図10】図10は、試料No.3のX線回折パターン
を示すチャートである。
【図11】図11は、試料No.4のX線回折パターン
を示すチャートである。
【図12】図12は、試料No.5のX線回折パターン
を示すチャートである。
【図13】図13は、試料No.6のX線回折パターン
を示すチャートである。
【図14】図14は、試料No.7のX線回折パターン
を示すチャートである。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水酸化カルシウムスラリーに、水酸化カ
    ルシウム1モルに対して1/2〜2/3モルのアルミン
    酸ナトリウムを添加した、炭酸ガスとを50℃以上の
    温度で反応させることを特徴とする針状粒子炭酸カルシ
    ウムの生成方法。
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