JP2523084Y2 - ワイヤ式レギュレータ - Google Patents

ワイヤ式レギュレータ

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JP2523084Y2
JP2523084Y2 JP2710191U JP2710191U JP2523084Y2 JP 2523084 Y2 JP2523084 Y2 JP 2523084Y2 JP 2710191 U JP2710191 U JP 2710191U JP 2710191 U JP2710191 U JP 2710191U JP 2523084 Y2 JP2523084 Y2 JP 2523084Y2
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本考案は、例えば車両のウィンドガラスの
昇降機構に用いられるワイヤ式レギュレータに関する。
【0002】
【従来技術およびその問題点】ウィンドガラスの昇降機
構の一種として知られるワイヤ式ウィンドレギュレータ
は、ウィンドガラスを支持するスライダベースをガイド
レールにより上下移動可能に支持し、このスライダベー
スから上下方向に繰り出した一対のワイヤを、ガイドレ
ールの上下に設けたガイドローラを経由させて、それぞ
れ巻取ドラムに巻き付け、この巻取ドラムを回転駆動す
ることにより、ウィンドガラスを昇降させるという基本
構成を有する。
【0003】ところで、上記ワイヤ式ウィンドレギュレ
ータ組立時に、巻取ドラムに巻き付けるワイヤのたるみ
の除去作業を簡略化させるため、次のことが考えられ
る。すなわち、この巻取ドラムを、例えば互いに相対回
転可能な主巻取ドラムとラチェットプレートとに分割
し、スライダベースから上下方向に繰り出した一対のワ
イヤをそれぞれ主巻取ドラムとラチェットプレートにそ
れぞれ接続しておき、主巻取ドラムとラチェットプレー
トとを接合状態で互いに相対回転させることにより、た
るみを除去するのである。
【0004】この場合、主巻取ドラムの周面には螺旋状
に連続したワイヤ溝を設けるのが好ましく、このワイヤ
溝に沿ってワイヤを巻き取るのであるが、主巻取ドラム
のラチェットプレートに対する相対回転時に両者間に隙
間が生じたとき、この隙間に、ワイヤ溝に巻き取られる
べきワイヤが挟み込まれる虞れがある。
【0005】
【考案の目的】本考案は、このようなワイヤ式レギュレ
ータの問題点を解消し、たるみ取り等の巻付時に、主巻
取ドラムのワイヤ溝に確実にワイヤを巻き取ることので
きるワイヤ式レギュレータを得ることを目的とする。
【0006】
【考案の概要】本考案は、同一の被駆動体に接続された
ワイヤの両端部をそれぞれ巻取ドラムに巻回し、この巻
取ドラムを正逆に回転駆動することにより、上記被駆動
体を駆動するワイヤ式レギュレータにおいて、上記巻取
ドラムを、周面に螺旋状に連続したワイヤ溝を有する主
巻取ドラムと、この主巻取ドラムに対するいずれか一方
向の相対回転が可能なラチェットプレートとに分割し、
上記主巻取ドラムとラチェットプレートに、上記ワイヤ
の両端部の係止部をそれぞれ設け、かつ主巻取ドラム
に、そのラチェットプレートと接合すべき端面から、こ
のラチェットプレートに最も近いワイヤ溝に向けて、主
巻取ドラムの径を縮小させるテーパ面が形成されている
ことに特徴を有する。
【0007】このワイヤ式レギュレータによると、主巻
取ドラムとラチェットプレートをワイヤ巻取方向に相対
回転させることにより、ワイヤの巻取ドラムへの巻取、
ワイヤ全長の調整(ワイヤ遊びの除去)を簡単に行なう
ことができる。さらに、ラチェットプレートとの接合部
付近でワイヤが弛んだ場合でも、ワイヤはワイヤ溝に確
実に巻き取られるから、適正に巻き取られず、隣接する
ワイヤ溝に乗り上げる等の不都合は回避される。
【0008】
【考案の実施例】以下図示実施例について本考案を説明
する。図11はワイヤ式ウィンドレギュレータの全体構
造を示すもので、ドア内の補強部材に固定されるガイド
レール10には、スライダベース11が昇降自在に支持
されている。このスライダベース11には、図示しない
ウィンドガラスが固定される。スライダベース11に
は、ガイドレール10に沿って上下方向に延びるワイヤ
12、13が固定されており、このワイヤ12、13
は、ガイドレール10の上下端部に設けたガイド部材1
4、15により曲折ガイドされている。ワイヤ12、1
3は、ガイド部材14、15を出た後ガイドケーブル1
6、17内に入り、ワイヤ式レギュレータ20に導かれ
ている。本考案は、このワイヤ式レギュレータ20に特
徴を有する。
【0009】ワイヤ式レギュレータ20は、図1に示す
ように、ドア内の支持部材に固定されるハウジングケー
ス21を有し、このハウジングケース21に形成した筒
状部21aに、主巻取ドラム22Aとラチェットプレー
ト22Bとからなる巻取ドラム22が回転自在に支持さ
れている。
【0010】主巻取ドラム22Aは、図1、および図4
〜図5に示すように、フランジ24より上方の周面に、
螺旋状に連続したワイヤ溝23を有し、該フランジ24
より下方の周面を、ブレーキ機構25のばね保持面26
としている。ワイヤ溝23は、ドラム側接合面52と平
行な面に関して傾斜角θを有するように形成されてお
り、ワイヤ12の巻取り時には図2の矢印Dの方向に張
力が作用する。なお、上記傾斜角θは、約4度に設定さ
れるのが好ましい。
【0011】主巻取ドラム22Aの軸部には、ハンドル
シャフト27を挿通する軸孔28、その上方に回動支持
孔50が穿けられている。主巻取ドラム22Aは、上方
から見ると図6のようになっている。つまり、外周にド
ラム側接合面52を有しており、このドラム側接合面5
2の内周側に、ドラム側ラチェット歯51を有してい
る。
【0012】ラチェットプレート22Bは、図1および
図7〜図9に示すように、円盤部54を有しており、こ
の円盤部54には、上下に突出するラチェットプレート
突出部56と回動軸部55が形成されている。そしてラ
チェットプレート22Bは、主巻取ドラム22Aの回動
支持孔50に、回動軸部55を相対回転自在に嵌合して
いる。ラチェットプレート22Bは、円盤部54の外周
縁裏面の全周に亘り環状凸部71が形成されている。こ
の環状凸部71は、同一の被駆動体(ウィンドガラス)
に接続されたワイヤ13の先端部13eを係止する係止
部57を有している。この係止部57の内周壁58は、
その内側に接合配置されるドラム側接合面52を囲繞す
る。環状凸部71の内周側に、プレート側ラチェット歯
60が形成されており、このプレート側ラチェット歯6
0と内周壁58との間は、主巻取ドラム22Aのドラム
側接合面52と接合すべきプレート側接合面59とされ
ている。
【0013】主巻取ドラム22Aのドラム側接合面52
の外径Bは、ワイヤ溝23が形成されている部位(主巻
取ドラムの本体)の外径Aより大きく設定されている。
主巻取ドラム22Aのラチェットプレート22Bと接合
すべき端面から、このラチェットプレート22Bに最も
近い第一のワイヤ溝23aに向けて、主巻取ドラム22
Aの径を縮小させるテーパ面52aが形成されている。
また環状凸部71の内周壁58と、ドラム側接合面52
の外周縁との間の隙間は、少なくともワイヤ12、13
の外径aより小さくなるように設定されている。
【0014】主巻取ドラム22Aには、ワイヤ12の先
端部の係止駒12e(図3)が係止され、ラチェットプ
レート22Bには上述のようにワイヤ13の先端部の係
止駒13eが係止されるから、ワイヤ12、13は、そ
れぞれ巻取ドラム22Aをいずれか一方を回転駆動した
とき、一方が巻き取られ他方が繰り出される関係で、ワ
イヤ溝23に沿って巻き付けられる。
【0015】図10に示すように、ドラム側ラチェット
歯51とプレート側ラチェット歯60は、それぞれ回転
対称たる鋸歯状に形成され、そのピッチはドラム側ラチ
ェット歯51もプレート側ラチェット歯60も同じに構
成されている。ドラム側接合面52は、ドラム側ラチェ
ット歯51の先端と同一平面に位置するように構成され
ている。またプレート側ラチェット歯60は、プレート
側接合面59と同一面より下方に突出するように形成さ
れている。ドラム側接合面52にプレート側接合面59
を接合させ、プレート側ラチェット歯60をドラム側ラ
チェット歯51に噛み合わせた(各背面60Bと背面5
1Bとを係合させた)状態で、プレート側ラチェット歯
60の底部60Aはドラム側ラチェット歯51の先端と
aだけ隙間が開くように設定されている。この状態にお
いて、プレート側ラチェット歯60の傾斜面60Cとド
ラム側ラチェット歯51の傾斜面51Cとはbだけ隙間
が開くように設定されている。
【0016】ハンドルシャフト27は、手動または電動
の回転駆動機構に接続できるようになっている。ブレー
キ機構25は、ハンドルシャフト27に回転力が与えら
れた場合にはその回転を主巻取ドラム22Aに伝達し、
主巻取ドラム22A側に加わる回動力によってはハンド
ルシャフト27を回転させない周知の機構である。この
機構は、本考案の要旨に関係がないので、詳細な説明を
省略するが、基本的には、主巻取ドラム22A側が回動
しようとすると、ブレーキスプリング38が拡径してベ
ースプレート39に密着し、ハンドルシャフト27が回
動しようとすると、ブレーキスプリング38が縮径して
ベースプレート39との摩擦を解き、主巻取ドラム22
Aの回動を許容するものである。
【0017】図1のバランススプリング45は、本考案
装置によるワイヤの巻付(長さの調節)の後、ラチェッ
トプレート22Bのラチェットプレート突出部56(ハ
ンドルシャフト27)に装着されるもので、被駆動体
(この例ではウィンドガラス)の重量を相殺し、上昇下
降の操作力をほぼ等しくする作用をする。
【0018】上記構成の本ワイヤ式レギュレータ20
は、従来品と異なり、図11のガイドレール10の上下
に、予めガイド部材14、15を固定し、これにワイヤ
12、13をガイドさせるとともに、スライダベース1
1を、ガイドレール10の最上方に上げる。ワイヤ式レ
ギュレータ20のバランススプリング45およびそのス
プリングケース46は、外しておく。スライダベース1
1を最上方に上げた状態は、下方のワイヤ13が、巻取
ドラム22から最も繰り出される状態であり、この状態
のワイヤ13の先端部の係止駒13eをラチェットプレ
ート22Bにできるだけたるみなく係止する。他方上方
のワイヤ12は、最もたるんだ状態にある。
【0019】この状態において、ラチェットプレート2
2Bを例えば適当な治具を用いて固定し、次に、ハンド
ルシャフト27を介して、主巻取ドラム22Aをワイヤ
12を巻き取る方向に回動させる。すると、主巻取ドラ
ム22Aがラチェットプレート22Bに対して回動する
から、鋸歯状のプレート側ラチェット歯60の傾斜60
cに沿って、ドラム側ラチェット歯51がせり上がり、
プレート側ラチェット歯60を一山越えて次の歯と噛み
合い、これを繰り返して主巻取ドラム22Aが回動す
る。これにより、主巻取ドラム22Aは、固定状態のラ
チェットプレート22Bに対して相対回転する。したが
って、ワイヤ12は外周のワイヤ溝23に巻かれてい
き、最終的にはワイヤ12のたるみが完全に取られる。
【0020】この場合、ドラム側接合面52の外周
内周壁58との隙間がこのワイヤ12の外径cより小さ
く設定されていることにより、プレート側ラチェット歯
60の傾斜60cに沿ってドラム側ラチェット歯51が
せり上がり両者が瞬間的に離れても、ワイヤ溝23のラ
チェットプレート22B側に巻き取られるワイヤ13が
該隙間に入り込むことはなく、さらに該ワイヤ13はテ
ーパ面52aに沿って第一のワイヤ溝23aに向けて確
実に案内され、巻き取られる。したがって、ワイヤ13
が、第一のワイヤ溝23aにうまく巻き取られずに第二
のワイヤ溝23b(図2)に巻き取られたワイヤ13に
乗り上げ、ウィンドガラスの昇降に支障を来す不具合は
確実に防止される。
【0021】そして、ワイヤ12を完全に巻き付けてた
るみを取った後、ハンドルシャフト27へ加えていた回
動力を開放すると、主巻取ドラム22Aは、図10の矢
印Aと反対のB方向に回動しようとする。しかし、主巻
取ドラム22Aが矢印B方向に回動しようとすると、ド
ラム側ラチェット歯51の背面51Bがプレート側ラチ
ェット歯60の背面60Bと係合するから、ドラム側ラ
チェット歯51とプレート側ラチェット歯60とが完全
に噛み合う。この結果、主巻取ドラム22Aのラチェッ
トプレート22Bに対する相対回転は阻止され、ワイヤ
12の緩みは防止される。
【0022】以上のたるみ取りが終了したら、バランス
スプリング45の中心をラチェットプレート突出部56
の先端のスリット62に挿入し、バランススプリング4
5による適当なバランス回転力をハンドルシャフト27
(主巻取ドラム22A)に与えた状態で、スプリングケ
ース46をハウジングケース21に固定する。
【0023】組立終了状態ではそのまま維持されるか
ら、以後、ラチェットプレート突出部56を正逆に回転
させると、主巻取ドラム22Aとラチェットプレート2
2Bは常に一体に回動して、ワイヤ12と13を一方で
は巻き取り、他方では繰り出すこととなる。
【0024】以上の実施例では、ラチェットプレート2
2Bを固定して主巻取ドラム22Aを回動させることに
より、ワイヤ12のたるみ取りを行なったが、この関係
は逆でも良い。
【0025】
【考案の効果】以上のように本考案のワイヤ式レギュレ
ータは、主巻取ドラムとラチェットプレートを相対回転
させることにより、巻き付けるべきワイヤのたるみを容
易に取ることができる。さらに、ラチェットプレート側
のワイヤ溝に巻き取るときにワイヤに弛みが生じたり、
主巻取ドラムが瞬間的にラチェットプレートから離れて
も、このワイヤをワイヤ溝に適正に巻き取ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案を適用したワイヤ式ウィンドレギュレー
タの実施例を示す図11のI-I線に関する断面図であ
る。
【図2】同実施例の要部を示す断面図である。
【図3】同実施例のワイヤの先端部形状例を示す斜視図
である。
【図4】同実施例の主巻取ドラムを示す正面図である。
【図5】同実施例の主巻取ドラムを示す断面図である。
【図6】同実施例の主巻取ドラムを示す平面図である。
【図7】同実施例のラチェットプレートを示す底面図で
ある。
【図8】同実施例のラチェットプレートを示す平面図で
ある。
【図9】同実施例のラチェットプレートを示す断面図で
ある。
【図10】同実施例の主巻取ドラム側とラチェットプレ
ート側それぞれのラチェット歯を噛み合わせた状態を示
す要部の拡大断面図である。
【図11】同実施例のワイヤ式ウィンドレギュレータ全
体を示す正面図である。
【符号の説明】
10 ガイドレール 11 スライダベース 12 ワイヤ 12e 係止駒 14 ガイド部材 13e 係止駒 13 ワイヤ 15 ガイド部材 16 ガイドケーブル 17 ガイドケーブル 20 ワイヤ式レギュレータ 21 ハウジングケース 21a 筒状部 22 巻取ドラム 22A 主巻取ドラム 22B ラチェットプレート 23 ワイヤ溝 23a 第一のワイヤ溝 23b 第二のワイヤ溝 25 ブレーキ機構 26 ばね保持面 27 ハンドルシャフト 28 軸孔 38 ブレーキスプリング 39 ベースプレート 45 バランススプリング 46 スプリングケース 50 回動支持孔 51 ドラム側ラチェット歯 52 ドラム側接合面 52a テーパ面 54 円盤部 55 回動軸部 56 ラチェットプレート突出部 57 係合部 58 内周壁 59 プレート側接合面 60 プレート側ラチェット歯 71 環状凸部

Claims (1)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 同一の被駆動体に接続されたワイヤの両
    端部をそれぞれ巻取ドラムに巻回し、この巻取ドラムを
    正逆に回転駆動することにより、上記被駆動体を駆動す
    るワイヤ式レギュレータにおいて、 上記巻取ドラムを、周面に螺旋状に連続したワイヤ溝を
    有する主巻取ドラムと、この主巻取ドラムに対するいず
    れか一方向の相対回転が可能なラチェットプレートとに
    分割し、 上記主巻取ドラムとラチェットプレートに、上記ワイヤ
    の両端部の係止部をそれぞれ設け、 かつ主巻取ドラムに、そのラチェットプレートと接合す
    べき端面から、このラチェットプレートに最も近いワイ
    ヤ溝に向けて、主巻取ドラムの径を縮小させるテーパ面
    が形成されていることを特徴とするワイヤ式レギュレー
    タ。
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Legal Events

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